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俺が色々書きなぐるスレ

1 : ◆91wbDksrrE :2009/11/12(木) 11:36:37 0
2ちゃんの書き込み窓でないと調子が出ない。

そんなわけで、色々書き殴る為のスレを立ててみました。

2 :夢見る名無しさん:2009/11/12(木) 11:40:26 O
許可せん

3 : ◆91wbDksrrE :2009/11/12(木) 12:06:28 0
わかりました。帰ります。

ノシ バーイ

4 :夢見る名無しさん:2009/11/12(木) 16:25:21 O
帰らないで〜

5 : ◆91wbDksrrE :2009/11/13(金) 20:14:15 0
声が聞こえたので戻ってきました。

6 : ◆91wbDksrrE :2009/11/24(火) 02:45:53 0
おっと、忘れてたこのスレ。

でもスランプなんです。


7 : ◆91wbDksrrE :2009/11/26(木) 17:18:27 0
まあ、スランプだからって創作自体全くしてないわけじゃないんですけどね。

8 : ◆91wbDksrrE :2009/11/26(木) 23:27:18 0
今日は、過去書いた第一部完の中篇をリテイクしてたり。

あれについては一人遊びスレで色々書きましたが、
設定とかは結構昔っから考えてる奴を使ってるんで、
何とかしてちゃんとした形にしたいと思ってるんですよ。

9 : ◆91wbDksrrE :2009/11/26(木) 23:27:54 0
特に終盤のダレダレ加減は。

というわけで、今回は書き溜めて一気に投下して
バーボンにかかる、というのを目指して頑張ってます。

10 : ◆91wbDksrrE :2009/12/07(月) 15:40:16 0
まあ、そんなこと言いながらさっぱり進んでないわけですが。

小旅行に行ってきたので、その時撮った写真を三、四枚貼る予定。
ってミスってるやんかーw 修正してくれた人にお礼を言わねば。

11 : ◆91wbDksrrE :2009/12/08(火) 23:27:09 0
設定は世界から作る

というわけで、某所に投下したアレは、某女王大剣に
インスパイアされてああいう世界になったりするわけです。
そこで、テーマとしてああいうものがあるから、
当然のごとく「強い女の子」という設定が生まれ、
そこからニョキニョキっと他の設定も生えてくるわけです。

・・・これ、うまくいかない時はさっぱりうまくいかないんですよねー。

12 : ◆91wbDksrrE :2009/12/10(木) 02:20:44 0
さて、例の場所に久しぶりに投下投下。

ストーリー転がす下準備、と。

13 : ◆91wbDksrrE :2009/12/11(金) 23:35:46 0
今日はエロい方の板で、14000バイトくらいのを投下。
二時間弱で書いたけど、やっぱり俺はそのくらいの時間で
詰めて書いた方が書ききれるなぁ、と改めて思う。
久しぶりに投下したアレも、時間的には一〜二時間で書いたし。

逆に言うと、そのくらいの時間で書ききれないと、グダグダになるので、
長編を書く時はそのくらいのスパンで話を一段落させないといけなくなり、
結果なかなかうまく書けない、と。

難儀な。

14 :夢見る名無しさん:2009/12/11(金) 23:38:25 0
鼻毛。。。

15 : ◆91wbDksrrE :2009/12/11(金) 23:39:08 0
難儀な鼻毛・・・?

16 :夢見る名無しさん:2009/12/11(金) 23:39:51 0
鼻毛。。。

17 : ◆91wbDksrrE :2009/12/11(金) 23:49:45 0
 その鼻毛は難儀であった。何が難儀なのかと言えば、伸びるのだ。
 鼻毛なのだから伸びて当然であろうと言う人間は、その鼻毛をして
難儀であると言わさしめるその実情を知らないが故に言っているに違いない。
 その鼻毛は伸びるのだ。尋常ならざる速さで。
 おかげで、その難儀な鼻毛の持ち主である彼は、いつも片方の鼻に
ティッシュを詰めていなければならないハメになっていた。そうでもしなければ、
鼻毛が際限なく伸び、鼻から飛び出し、挙句の果てには三つ編みが可能な
程の長さになるのだから。
 無論、鼻にティッシュを詰めていたと言って、それで鼻毛が伸びなくなる
わけでは無い。伸びる余地を失った鼻毛は、鼻の穴内でぐるぐるととぐろを
巻くようにその存在感を増して行く。最終的に、巨大な鼻くそのようになった
その鼻毛は、鼻くそがそうされるように、鼻をほじられて取り出される。毛根が
鼻粘膜とつながっている為、痛みが走りこそするが、それでも伸びっぱなしの
ものを逐一切るよりは効率が良いと言える。
 以上のように、その鼻毛が難儀な鼻毛であるという事はご理解いただけたと
思う。一日でラーメンマンな鼻毛が出来上がるのだ。難儀この上無い。
 さて、ここで再び「何故」という言葉が出てくる。
 何故、鼻毛が伸びるのか。そこまで伸びるのか、と言う疑問に際してである。
 何故、彼の鼻毛は、難儀な鼻毛はそこまでの速度で伸びるのか。
 これについてはただいま原因究明中であり、ここで多くを語る事はできない。
だが、その鼻毛の持ち主である彼は、ただ一言、言葉を残している。
「これも運命――」
 彼は、半ば諦めている様子だ。これも運命であり、受け入れるべきものである、として。
だが、我々は引き続き、その運命(はなげ)と戦う所存である。彼の為にも、彼の
鼻毛をどうにかする為に、戦っていこうと考えている。
 例え、それが無駄な戦いに終わろうとも、いつの日か、我々の次を継ぐ物が、
必ず運命(はなげ)を打倒してくれるだろう。
 我々は、その日が来るのを信じている――

                                      終わり

18 : ◆91wbDksrrE :2009/12/11(金) 23:50:33 0
・・・何書いてんだ。

19 : ◆91wbDksrrE :2009/12/15(火) 20:25:40 0
はふぅ。

20 : ◆91wbDksrrE :2009/12/18(金) 21:07:05 0
ボクシング見てました。
何か今回のなんちゃって実況解説はあんまり面白く書けなかったと思います。
だって長谷川速いんやもん! 挑戦者も速いんやもん!
追いかけるの精一杯だもん!

・・・何で駄々っ子化してるんだろう?

このリベンジは大晦日に果たしたい所存。
そもそも総合・プロレス畑の人ですし。
まあ、所詮ただのファンですけどね。

21 : ◆91wbDksrrE :2009/12/18(金) 21:10:04 0
昔書いてた設定を何となくツラツラと。

魔術と法術、合わせて魔法と称する、そんな技術がある世界。

魔術は、異世界の法則を召喚する事で、この世界の法則を
ねじ曲げる術。有り体に言うと黒魔法。

法術は、この世界の法則を促進する事で、この世界の法則の
適用速度を増進させる術。有り体に言うと白魔法。

魔術は使い手が数多いるが、法術は使い手が限られる。
なぜなら、そもそもこの世界に括弧として存在する法則を、
この世界の力でもって促進するのは難しいから。



22 : ◆91wbDksrrE :2009/12/20(日) 15:06:18 0
これで、法術の使い手である所のお姫様と、
魔法の世界なのに魔法が使えない剣士の
ロマンスな奴を書こうとしていたりしました。

テラ厨二w

もちろん、剣士はオッドアイw
で、魔術も法術も使えるものすごい有名な兄貴がいたりw

23 :みのる:2009/12/24(木) 23:38:12 O
本気で執筆してるから詳しくは書けないけど今書いてる作品の概要だけw

主人公は大学で民俗学を専攻してる青年
フィールドワークで訪れた某県にて事件は起こる
世羅悲夢(セラフィム)と呼ばれる異形の魔者達の襲来
またそれを操る謎の巫女
アナザーワールドと現世を繋ぐとされる社の秘宝

もう少しで100P書き終えるw

24 : ◆91wbDksrrE :2009/12/26(土) 20:42:30 0
誰やー!

ちなみに、みのると言ったら鈴木みのるですよ?

25 : ◆91wbDksrrE :2009/12/26(土) 20:43:03 0
まあ、がんばってください。

というわけで、今日涼宮ハルヒちゃんの憂鬱が二冊も届きました。

あれ?

26 : ◆91wbDksrrE :2009/12/28(月) 23:47:27 0
二冊買った甲斐があるくらい面白かったので良し。
いやよくないよw

というわけで、今日はなんとなく思いついた分を投下。
後の方は、ちょっと後悔が残ったかな。
オチが弱い。もっとこう、マスク嫌がるのとか
そういう部分をはっきり表現できた余地があったなぁ、と。

投下する前に推敲しろって話なんですけどね。

27 : ◆91wbDksrrE :2009/12/29(火) 20:32:45 0
夢の中にいるから夢を見ない

君に夢が無いのは、君にとっての現が、君にとっての夢であるからに他ならない。

28 : ◆91wbDksrrE :2009/12/31(木) 09:26:11 0
キレがなくなったなー

かけられる時間が変わったからだろうか。
速攻勢い突っ走り型創作方法が主体だけど、
その為のひらめき待ちの時間が無いと、
やはりまず走り出す事ができんという事か。

29 : ◆91wbDksrrE :2010/01/01(金) 00:50:44 0
「なにやら騒がしいのう……もう夜更けじゃと言うに」
 彼女が寝ぼけ眼をこすりながら眼下を見れば、そこには何人もの人が彼女の
寝転ぶ鳥居をくぐっている姿があった。
「……なんじゃ、もう新しい年か。どうりでここの所社務所の連中が忙しそうに
 しとったと思うたわ……ふぁぁああ」
 大きなあくびをしながら、彼女はすっくと鳥居の上に立った。かなりの高さであるが、
その高さに彼女が怖気づく事はなかった。まあ、そもそもその上で体を固定する事も
無く眠りこけていたわけだから、今更怖気づく必要は無いと言えば無い。
 そこは彼女のお気に入りの場所であり、そこにいる事は彼女にとってはむしろ自然
な事であった。
「しかし、相変わらずわしの姿が見える者はおらんようじゃな。ま、じゃからと言って
 何がどうするというわけでもないが」
 そんな彼女の姿を、眼下の群衆は誰ひとりとして見とがめる事が無い。普通、年端
もいかぬ少女が鳥居の上に鎮座していれば、誰かしら騒ぐだろうに、そういった声は
一切上がる事が無い。それどころか、誰も視線すらそちらに向けていない。
 彼女はつまり、そういう存在であった。極々一部の、そういった素養のある人間
以外には、彼女の姿は見えないのだ。ここ何十年か、こうして新しい年と共に、大量の
人間を出迎えるのが彼女の習慣となっていたが、彼女の姿を見咎めた人間はいない。
 今年も、やはりいないようだった。
「お主ら、真摯に祈れよ。さすれば応えてやらんでもないからな」
 誰にともなく、苦笑まじりにつぶやきながら人の流れを視線で追って行く彼女は、
ふと自分を見つめる視線に気づいた。
 ここ何十年か、この神社に参る大量の人間の中に、彼女の存在を目にする素養を
持った者はいなかった――“この神社に参る”人間の中には。
「……相も変わらず、こりぬ奴よのう」
 苦笑を深くしながらその視線の元をみやれば、そこには一人の男がいた。少年と青年
の間にあるような、あどけなさを残しながら、相応に歳を経たその表情は、彼女の事を
心配しているように、不安に歪んでいた。
「……まったく」
 軽くため息を付くと、彼女は飛んだ。跳ぶのではなく、飛んだのだ。

30 : ◆91wbDksrrE :2010/01/01(金) 00:50:52 0
「何が不安じゃ、丈明よ」
「……つねちゃん」
 ここ何十年か、彼女は自分を見る事のできない人の群れを迎え入れ、見送ってきた。
 だが、ここ何年か、その彼女の役務をひっそりと見守る人間がいた。
 それが、彼、伊上丈明である。
「その名で未だに呼んでくれるのは嬉しいが、わしは問うておるのじゃぞ、丈明よ」
「……俺もその内、君の事見えなくなるのかなって思って」
 彼と出会ったのは、彼がまだ間違いなく少年と言える容姿をしていた頃であり、それ
から数年、彼は彼女の事を見守り、時には会話を交わしたりもしていた。彼はそれが
できる素養を持っていた。だが――
「なぜにそう思うのじゃ?」
 問いながら、彼女はその答えを半ば理解していた。
 彼女のような存在を見る素養の持ち主は、純粋な心を持っている子供にこそ多い。
成長し、体も心成長していけば、次第にその素養も失われていく。それが人の常だと、
彼女は知っていた。
「最近……つねちゃんがフッと見えなくなる時があって……それで……」
「わしが見えぬと不安か?」

31 : ◆91wbDksrrE :2010/01/01(金) 01:05:27 0
「……うん」
「見える者が見えなくなるのじゃから、それは自然な事じゃ……じゃがな、丈明よ」
 彼女は、笑顔で言った。
「わしが見えるという事に頼るでないぞ。わしは、お主らの心の支えにはなろう。
 じゃが、それはあくまでわしがお主の心の中に居る事で成り立つ。そうでなければ
 ならんのじゃ」
「心の、中……?」
「わしのような存在が、実際に居るという事を知り、実際に存在を確認し、それが
 当たり前になってしまってはいかんのじゃ。わかるか、丈明よ?」
「……よく、わかんないな」
 彼は、困惑しているようだった。青年に近づいたとは言え、まだ少年としての面影
も残している歳だ。突然始まった難しい話に、頭がついていかないのかもしれない。
「わしがおらんようになろうと、動じるでない……つまりは、そういう事じゃ」
「つねちゃん、いなくなっちゃうの?」
「ま、すぐにではなかろうがの。その内、わしの姿はお主には見えんようになる。
 わしの声はお主には聞こえんようになる。わしの体にお主は触れられぬようになる。
 その日はそう遠くなかろうて」
「そ、そんなの……だって……俺……俺……!」
 彼の思いつめたような表情に、彼女の心に――もうずいぶん前にどこかに忘れてきた
と思っていた部分に――チクリと痛みが走った。
「皆まで言うな、丈明よ。お主の想いに、わしは応える事はできん。なんせわしは」
 それでも、彼女は笑みを絶やすこと無く、言った。
「わしは、神様じゃからの」
「……神は常に人共にある。八百万に宿りしが故。されど、神は見えず。神は聞こえず。
神は触れられず。神に触れるが叶うは、触れた時のみと知れ……」
「なんじゃ、覚えておるではないか」
「……どうしても、ダメなのかな?」
「残念じゃが、な。まあ、わしが見えなくなるまでは、このように言葉を交わす事も
 できるじゃろうから、別れがすぐにやってくるというわけでは無い。そう気を落とす
 事もあるまいぞ」
「……でも、いつか来るんだよね」
 彼は、寂しそうな声で言った。

32 : ◆91wbDksrrE :2010/01/01(金) 01:16:17 0
「そうじゃな……来年か、再来年か……もしかすると、明日いなくなるかもしれぬな」
「……明日、って……」
「じゃから、動じるな。心を構えよ。それができぬ男では無いと、そう思ったがの?」
 イタズラめいた笑みで誤魔化してはいたが、彼女の瞳からは今にも涙が溢れそう
だった。いつの頃だっただろうか。神となる前、まだ人であった時、狐の眷属として
祀られるようになる、ずっとずっと前――流し方すら、今の今まで忘れていた涙が、
彼女の瞳に光をたたえ始めていた。
「それに、お主の今の体躯では、わしのこの体には見合うまい。なんじゃったか……
 ろりこん、じゃったかの? 何にせよ変態呼ばわり されてしまうのがオチじゃぞ?
 カハハッ!」
 声に出して笑ってみても、涙は止まりそうになかった。
「まったく、新年のいの一番からするような話ではないわ。さて、丈明よ。お主も
 父の手伝いがあろう。社務所に戻って働くがよい。わしも参拝する者を見守ら
 なければならぬからな」
 そう言って、彼女は再び飛んだ。彼に背を向けて。流れ落ちそうな涙を気取られまいと。
「……つねちゃん」
 彼の、寂しげなつぶやきを、彼女の鋭敏な耳はとらえる。
「……まったく……突然、何を言うかと思えば……そんなもの、いつか来ると
 わかりきっておったろうに……」
 千年近くを生きる間に、別れはいくつも経験してきていた。
 だが、なんど経験しようとも、それに慣れるという事はなさそうだった。
「……動じるな……動じるでないぞ……丈明よ」
 まるで自分に言い聞かせるかのように呟きながら、彼女は鳥居の上に
降り立ち、そっと目端ににじんだ涙をぬぐった。
 いずれ来る別れの時には、自分はもっと泣くのだろうか――そんな事を考えながら。


33 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:20:39 0
「何が不安じゃ、丈明よ」
「……つねちゃん」
 ここ何十年か、彼女は自分を見る事のできない人の群れを迎え入れ、見送ってきた。
 だが、ここ何年か、その彼女の役務をひっそりと見守る人間がいた。
 それが、彼、伊上丈明である。
「その名で未だに呼んでくれるのは嬉しいが、わしは問うておるのじゃぞ、丈明よ」
「……俺もその内、君の事見えなくなるのかなって思って」
 彼と出会ったのは、彼がまだ間違いなく少年と言える容姿をしていた頃であり、それ
から数年、彼は彼女の事を見守り、時には会話を交わしたりもしていた。彼はそれが
できる素養を持っていた。だが――
「なぜにそう思うのじゃ?」
 問いながら、彼女はその答えを半ば理解していた。
 彼女のような存在を見る素養の持ち主は、純粋な心を持っている子供にこそ多い。
成長し、体も心成長していけば、次第にその素養も失われていく。それが人の常だと、
彼女は知っていた。
 ここ数十年の間は、子供にすら彼女を見る事のできる者は少なくなり、彼は幾年か
ぶりに現れた、その素養を持った人間である。
 だが、そんな彼でも、人の常から逃れる事はできない。
「最近……つねちゃんがフッと見えなくなる時があって……それで……」
「わしが見えぬと不安か?」

34 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:24:51 0
「……うん」
「見える者が見えなくなる。それは自然な事じゃ……じゃからな、丈明よ」
 彼女は、笑顔で言った。
「わしが見えるという事に頼るでないぞ。わしは、お主らの心の支えにはなろう。
 じゃが、それはあくまでわしがお主の心の中に居る事で成り立つ。そうでなければ
 ならんのじゃ」
「心の、中……?」
「わしのような存在が、実際に居るという事を知り、実際に存在を確認し、それが
 当たり前になってしまってはいかんのじゃ。わかるか、丈明よ?」
「……よく、わかんないな」
 彼は、困惑しているようだった。青年に近づいたとは言え、まだ少年としての面影
も残している歳だ。突然始まった難しい話に、頭がついていかないのかもしれない。
「わしがおらんようになろうと、動じるでない……つまりは、そういう事じゃ」
「つねちゃん、いなくなっちゃうの?」
「ま、すぐにではなかろうがの。その内、わしの姿はお主には見えんようになる。
 わしの声はお主には聞こえんようになる。わしの体にお主は触れられぬようになる。
 その日はそう遠くなかろうて」
「そ、そんなの……だって……俺……俺……!」
 彼の思いつめたような表情に、彼女の心に――もうずいぶん前にどこかに忘れてきた
と思っていた部分に――チクリと痛みが走った。
「皆まで言うな、丈明よ。お主の想いに、わしは応える事はできん。なんせわしは」
 それでも、彼女は笑みを絶やすこと無く、言った。
「わしは、神様じゃからの」
 笑みを絶やす事なく、されど、痛みもまた絶える事なく。
「神とはなんじゃ?」
「……神は常に人共にある。八百万に宿りしが故。されど、神は見えず。神は聞こえず。
神は触れられず。神に触れるが叶うは、狂(ふ)れた時のみと知れ……」
「覚えておるな。気が狂れるとは、すなわち異界に触れるという事。子は、自然とそれを
 為す。じゃが、歳を経れば触れぬようになる」
「……どうしても、無理なのかな?」

35 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:24:58 0
「残念じゃが、な。それが自然な事じゃからのう。……まあ、わしが見えなくなるまでは、
 このように言葉を交わす事もできるじゃろうから、別れがすぐにやってくるというわけでは
 無い。そう気を落とす事もなかろう」
「……でも、いつか来るんだよね」
 彼は、寂しそうな声で言った。

36 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:32:32 0
「そうじゃな……来年か、再来年か……もしかすると、明日いなくなるかもしれぬな」
「……明日、って……」
「じゃから、動じるな。心を構えよ。それができぬ男では無いと、そう思ったがの?」
 イタズラめいた笑みで誤魔化してはいたが、彼女の瞳からは今にも涙が溢れそう
だった。いつの頃だっただろうか。神となる前、まだ人であった時、狐の眷属として
祀られるようになる、ずっとずっと前――流し方すら、今の今まで忘れていた涙が、
彼女の瞳に光をたたえ始めていた。
「それに、お主の今の体躯では、わしのこの体には見合うまい。なんじゃったか……
 ろりこん、じゃったかの? 何にせよ変態呼ばわり されてしまうのがオチじゃぞ?
 カハハッ!」
 声に出して笑ってみても、涙は止まりそうになかった。
「まったく、新年のいの一番からするような話ではないわ。さて、丈明よ。お主も
 父の手伝いがあろう。社務所に戻って働くがよい。わしも参拝する者を見守ら
 なければならぬからな」
 そう言って、彼女は再び飛んだ。彼に背を向けて。流れ落ちそうな涙を気取られまいと。
「……つねちゃん」
 彼の、寂しげなつぶやきを、彼女の鋭敏な耳はとらえる。
「……まったく……突然、何を言うかと思えば……そんなもの、いつか来ると
 わかりきっておったろうに……」
 千年近くを生きる間に、別れはいくつも経験してきていた。
 だが、なんど経験しようとも、それに慣れるという事はなさそうだった。
 別れの悲しさにも。
 想われるという事の、嬉しさにも。
「……お主がわしを忘れる事がなければ、それで良い」
 そして、自分が彼を忘れる事がなければ―― 
 まるで自分に言い聞かせるかのように呟きながら、彼女は鳥居の上に
降り立ち、そっと目端をぬぐった――その時。

37 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:32:42 0
「つねちゃん!」
 群集が、突然の叫び声にざわめいた。
「俺、ずっと忘れないから! 覚えてるから、つねちゃんの事、忘れないから!」
 群衆から向けられる奇異の視線に動じる事無く、彼は自身の思いのたけを、
精一杯の言葉に込めて、放っていた。まるで、彼女の呟きに応じるかのような、彼女の
想いに応えんとするかのようなその言葉に、
「……うつけが」
 彼女の瞳からは、一筋の光が零れた。

 ――その日、その辺りには久方ぶりの雪が舞ったという。

38 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:34:09 0
>29
>33-37

39 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:41:35 0
よし、投下してこよう。

40 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 02:45:44 0
 綺麗に光り輝く、どこか物悲しい雪が――

41 : ◆91wbDksrrE :2010/01/02(土) 23:40:12 0
久しぶりに推敲を遂行した気がする ナンチテ

ダメジャン

42 : ◆91wbDksrrE :2010/01/03(日) 22:25:16 0
「なあ、吉野」
 彼に話しかけられたのは、いつの事だったか。
 はっきりとは覚えていないが、確か教室が夕焼けで真っ赤に染まっていたのは
良く覚えている。私が彼の事を、一人の人間として意識したのは、その時が初め
てだった。
「もう放課後だぞ。いつまで寝てるんだ」
 夕焼けが教室に差し込む、そんな時刻。彼の言う通り、もう授業はとっくの昔に
終わっていて、教室が閑散としている所からわかるように、ホームルームも終わり、
皆帰路についている。
 ……そんな事は、彼に言われるまでもなくわかっていた。
「別に、寝てたわけじゃないし」
 応えながら、私は机に伏せていた頭を上げ、彼を見た。
「………………誰?」
 見覚えはなかった。……いや、正確に言えば違う。見覚えはあったが、名前と
顔が一致する存在ではなかった、と言うのが妥当だと思う。
 そもそも、高校になれば女子と男子は互いに異なるコミュニティーを作り、それ
ぞれに干渉せずに生活を送るものだ。男子の顔と名前が一致しないのは別に
不思議でもなんでもない。
 もっとも、私に関して言えば、そういった当たり前の女子高生とはまた違う理由
で、彼の顔と名前が一致しなかったのだけれど。
「うわ、ひでー」
 彼は、私の文字通りひどい言葉にも、動じる事なく笑っていた。
 ……きっと、物好きなんだろう。こんな私に、わざわざ声をかけてくるなんて。
「えっと……同じクラスだって事はわかるんだけど……誰だったっけ?」
「うわー……本気なんだなー。凹むなー」
 言葉とは裏腹に、彼の顔からは笑みが消える事はなかった。全くもって物好きな
奴だ。実際に名前が出てこなかったのは事実だけど、それ以上に自分に構って
欲しくないからこういう物言いをしている面もあるというのに、それに全然動じる気配
が無い。……物好きというか、単に鈍感なだけなのかもしれない。
「藤井だよ。藤井克彦」

43 : ◆91wbDksrrE :2010/01/03(日) 22:25:26 0
「……藤井、くん?」
「そ。藤井。覚えといてくれ」
「……忘れない間は覚えとく」
 それだけ言って、私は立ち上がった。多分、一週間くらいしたら忘れていそうだった
けど、その事は彼には告げない。
「睡眠不足か? いつもホームルーム終わってもしばらく寝てるけど……」
「……聞いてなかった? 寝てたわけじゃないから」
「そうなのか?」
「机に伏せってたら、すぐに寝てると思うのはやめてもらいたい所ね」
 ……まあ、普通は寝ていると思うだろうけど。
「了解了解。お前は寝てるわけじゃないって事は、忘れない間は覚えておくよ」
 彼はにへらと笑って、そんな風に私の物言いを真似した。
 この瞬間の彼への印象は「鬱陶しい奴」だった。
 夕焼けの紅さと同様に、その事も、はっきりと覚えている。

44 : ◆91wbDksrrE :2010/01/03(日) 23:25:02 0
「なあ、吉野」
 それから、何故か彼は私に度々話しかけてくるようになった。
 それも、決まって放課後になって、私が机に伏せっている時に。
「もう放課後だぞ。いつまで寝てるんだ」
 彼が私に、いつものようにそう言う時は、いつも夕焼けが差し込んでいたから、だから
覚えているのかもしれない。最初の日が、そうだったという事を。
「……藤井君」
「あれ、起きてたのか?」
 いつも、こうだった。
「寝てるわけじゃない……そう、最初の日に言ったわよね?」
「ああ、ごめんごめん。そうだったよな。すっかり忘れてた」
 そう言って、彼はにへらと笑う。
 いつも、彼は私を"起こして"くれる。まったく、記憶力という物が無いのかしら。
「それにしても――」
 いつもは、私を起こすと、私が帰るのに合わせるかのように――と言っても帰り道
は違うので、教室の前で別れるのだけれど――教室を後にするのに、その日は少々
違った。彼は、相変わらず何が楽しいのか、にへらとした笑い顔のまま、思いもしない
事を言い出した。
「俺は忘れてばっかりいるけど、吉野は記憶力いいよなー」
「何が?」
「俺の名前、覚えてくれてるじゃん」
「……」

45 : ◆91wbDksrrE :2010/01/03(日) 23:25:11 0
 ……それは……。
 言われるまで、意識すらしていなかった。
 彼の事を記憶にとどめてから、もう一ヶ月になる。その間ほとんど毎日、こうやって
彼は私を"起こして"くれていたのだから、覚えていて当然と言えば当然なのだけれど
……それでも、その事を特に意識していなかったというのは事実だ。
 普通、私は人に名前を教えられても、それを長い間覚えておくという事は無い。最初
彼の名前を一週間くらいで忘れるだろうと思ったのは、別に彼の事が嫌いだからとか
そういう事ではなく、単に私が人の名前というものを、その程度の期間しか覚えて
いないというだけの事だった。
 なのに……気づけばもう、一ヶ月だ。
「……そんなの、普通でしょう? クラスメイトだもの」
「最初覚えてなかったよな?」
「そ、それは……」
 自分でも珍しいと思うほど久方振りに、私は動揺していた。なぜ動揺する必要が
あるのかと、冷静な部分の自分が自問するが、答えは出ない。出せるなら、そもそも
動揺などしていないだろうし。
「ま、いっか! こうして覚えてくれてるんだもんな!」
 私の動揺を他所に、彼は勝手にそう結論づけると、手をひらひらとさせながら
「んじゃなー」
 と去って行った。
「……」
 なんだろう、この、なんとも言えない気分は。
「もうっ!」
 八つ当たりに、私は机の足を蹴飛ばしたのだけれど
「……」
 ……痛かった。

46 : ◆91wbDksrrE :2010/01/06(水) 21:37:04 0
 気づけば、彼の事を見ている自分がいた。
 授業中。普段ならぼーっと窓の外を見ている時間。
 昼休み。普段なら一人屋上で手製のお弁当を食べている時間。
 そして放課後。彼が私の事を”起こして”くれる時間。
 

47 : ◆91wbDksrrE :2010/01/06(水) 21:37:30 0
>>42-45

48 : ◆91wbDksrrE :2010/01/09(土) 23:54:58 0
妖魔夜行は面白かったなー。

・・・百鬼夜翔はなんであんなに盛り上がらなかったんだろうなあ。

・・・・・・リボーンリバーry

49 : ◆91wbDksrrE :2010/01/09(土) 23:56:37 0
ちょっとコクーンワールド引っ張り出して読んでみるか。

ライトノベル読み始めの頃、図書室に置いてあったコクーンとかで
そっちの世界に興味持ったから、一時期は友野詳みたいな
物書きになりたい!なんて思ってたりしたもんだっけ・・・。

最近復活してきてはいるようだけど。

50 : ◆91wbDksrrE :2010/01/10(日) 00:00:27 0
とかいいつつ、今読んでいるのはブギーポップ。

笑わないは散々読んで、ストーリーがだいたい頭に入ってしまってるので、
リターンズを読書中。

ダークリーとかヴァルプルギスの後悔とか読んで、
以前のを読み返す必要を感じたからなんだけども。

あと、デュラララも読み直したい。
四巻までしか読んでなくて、なおかつ1〜4巻までの
内容がさっぱり思い出せ無くなっているので、
五巻以降積ん読状態。

アニメは面白そうだった。声もイメージにあってたし。

51 : ◆91wbDksrrE :2010/01/10(日) 20:17:00 0
あー、もー、魔王スレの続きがさっぱり形にならん!

プロットはもう決まってるんですよ。
吸精鬼一族である事とか、勇者と魔王の関係とか、
そこらへん使ってあんな事やこんな事をしよう、と!

でも形にならないorz

52 : ◆91wbDksrrE :2010/01/10(日) 20:22:24 0
「……はぁ」
 ため息が口をついた。話に聞いたところによると、ため息というのは一度つく度に
幸せが一つ逃げていくのだという。
 では、幸せなど持ち合わせていない人間の場合、ため息をつくと何が逃げて
いくというのだろう。
 私は、視線の先にいる人を、そんなことを考えながら見つめていた。
 そこにいるのは彼だ。藤井君が、友達と談笑していた。
 

53 : ◆91wbDksrrE :2010/01/11(月) 00:24:49 0
ブギーポップは面白いなぁ。
パンドラとか、今読むと何か無性に泣きたくなってきた。

54 : ◆91wbDksrrE :2010/01/14(木) 23:11:38 0
ペパーミントまで読んできた。

何か、夜明けとヴァルプルギスで凪母の設定と
凪の彼女に対する反応変わってね?と思ったが気のせいだと言う事にする。

55 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 11:30:11 0
 シュレーディンガーの猫という話を知っているか?
 いまやその名前を知らぬ人間は少ないと思える程に有名になってしまった
話だが、その内容まで詳しく知ってる人間はそう多くは無いんじゃないだろう
かな。何しろ、俺自身が詳しくない。
 だがまあ、概略くらいはわかる。それは、一定の確率で毒が散布される
箱の中に入れられた猫が、しばらく時間が経った後、生きているか死んで
いるかを判断するには、箱を開けてみるしか無い、というもの。
 そこから逆説的に、確率論的に言えば本来死んでいるはずの猫は、箱を
開けてみるまでは生きているのではないか――そういった、量子論だったか?
ややこしい科学の例え話だ。
 俺は文系だからな。そういう話はさっぱりわからん。太陽よりでかい星がある
とかスゲーな、とか、夜空に輝く月って綺麗だよな、とか、そんな事を思うくらい
だ、せいぜいがな。
 だからまあ、これは知識として知っているだけで、それが学問的にどういった
意味を持つ例え話なのか、という事についてはさっぱりわからない。
 ただわかるのは――人が見ている物という奴は、“人が見ているが故に
そう在るのではないか”という事を言っているんじゃないか、という事くらいだ。
 視覚だけに限らない。
 聴覚でもいい。触角でもいい。あるいは味覚でもいいかもしれない。
 だが、何かの感覚が無いと、人は何かをそこに在ると思えないんじゃないか。
 そういう事を、つまりは言っているのではないかと、そう俺は考えている。
実際には違うかもしれないが、な。
 我思う。故に我有り。
 我感じる。故に汝在り。
 人が自分を認識するのは、人が自分が認識していると“思う”からで、
人が他人を認識するのは、人が他人を認識していると“思える”からだ。
 前置きが長くなったが、ここからが本題だ。
 明日、ってものをどう思う?
 今、ってものをどう思う?
 過去、ってものをどう思う?

56 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 12:11:40 0
 実際のところ、何をすれば彼女が喜ぶのか、というのが僕にはさっぱりわからない。
 わからないなら彼女に選んでもらえばいいか、という事で、色々な店が立ち並ぶ
ショッピングモールに連れ立ってきたものの、彼女はきょろきょろと辺りを見回すばかり
で、その表情はしかめ面。とても楽しそうには見えない。
 僕はといえば、そんな彼女の様子にオロオロするばかりで、時折「あ、じゃああそこ
入ってみようよ」とか「あれとか面白そうじゃない?」と言って彼女を連れて行ってみる
のだが、相変わらず彼女はしかめ面のままきょろきょろしている。何かを探している
という風でもないそのしぐさは、僕には彼女がこの状況を詰まらないものだと感じて
いるようにしか見えず、僕の焦りは募る一方だった。
「……ちょっと、休憩しようか」
 そう言って、僕らはフードコートの一角にあるファーストフード店で飲み物と軽い
食事を買い、隅の方に空いていた席に座った。
「ちょっと疲れたね。休日だから、人が多いよね」
 僕がそう言うと、彼女はこくりと頷いた。
 相変わらず顔はしかめ面のままで、とても楽しそうには見えない。という事は、
彼女はただ単に疲れただけで、そんな場所に連れて来た僕の事は、もう――
 そもそも、僕は彼女の事がよくわからない。
 わからないから好きになる――なんて、どこかで聞いた事のあるフレーズその
ままに、僕は彼女の事を好きになっていた。一緒にいたいと思うし、彼女に喜んで
ほしいと思うし、だから今日もこうして、その、いわゆるデートという奴を試みて
――そして、無残に失敗している、というわけだ。
 もともと、彼女はあまりしゃべらないし、感情という奴を表に出す事が無い。いつも
無口で、独りで、友達らしい友達もいる様子が無く……でも、だからこそ、そんな彼女
の事が、僕は気になっていた。

57 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 12:58:31 0
 僕が告白に至るまでには、それほどの時間はかからなかった。
 どうせ駄目元だし、という事で、あれこれ思い悩み始めるよりも先に、まず行動に
移したのだ。好きだ、付き合ってほしい……そんな、ごくありきたりな、でもとんでもなく
勇気のいる言葉を、僕は彼女にぶつけた。
 意外な事に、彼女は僕の告白を聞いて、あっさりOKを出してくれた。
「ん。いいよ」
 それだけ言って、そして僕らはその日、初めて一緒に帰り道を歩いた。
 こうして僕らは晴れて恋人になったわけなのだけれど……それで何かが変わった
かというと、あまり何も変わらなかった。
 彼女は学校ではこれまで通りいつも独りだったし、僕も学校ではそんな彼女を
ただ見ているだけで、はっきり言って告白するまでと、彼女の事が気になって
仕方が無かったころと、やっていることは何も変わっていなかった。
 ただ一つ変わったのは、彼女と一緒に帰るようになったという事。ただそれだけだ。
 と言っても、これもまた本当に“一緒に帰るだけ”で、最初はそのことをネタに僕を
からかっていた友人たちも「あれ? お前らって付き合ってるんじゃなかったっけ?」と
首を傾げ始める始末だった。
 帰り道でも、僕は色々としゃべろうとするのだけど、彼女はそれにこくりこくりと頷いて
くれたりはするのだけれど、当然そんな会話にもなっていない会話が長続きするはず
もなく、彼女の家の前まで着くころには、互いに押し黙ってしまうのが常だった。
「それじゃあ、また明日」
「うん、また明日」
 そう言って別れ、僕は自分の家に帰るのだけれど、一人になってしまうと色々な
考えが頭をめぐって止まらない。
 果たして、彼女は僕と一緒にいて楽しいのだろうか、とか、ひょっとしたら、とても
詰まらなくて、それなのに、お情けで僕と付き合っているという事にしてくれているんじゃ
ないだろうか、とか……。
 そんな事は無いのだろうと思う。……いや、そう思いたいだけなのかもしれないけど、
少なくとも、彼女は“嫌そうな顔”だけはしない。笑ったり喜んだりもしないけれど、嫌だな、
と、そう見える顔は僕に見せたことがなかった。
 それだけが僕の救いだった。救いだったのだけれど――

58 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:04:02 0
「はぁ……」
 僕は思わずため息をついてしまった。
 これは、どう見ても“嫌な顔”だよな……。
 目の前で、僕の買ってきたハンバーガーを、もそもそと小動物のように食べる彼女の
姿は、見ていて何だか愛らしくはあるのだけれど、その表情がしかめ面ではそれも
台無しだ。
「……どうかした?」
 彼女は、そんな事を訊いてくる。僕のため息が気にかかったのだろう。
「あ、いや……その……楽しいかい?」
 ……聞いてどうするんだろうな。楽しければ、こんな顔をするわけが無いだろうに。
「うん、楽しいよ」
 彼女はそう言う。だが、それはやはり、気遣いというものなのだろう。僕に気を遣って、
楽しいと言ってくれているだけに違いない。
「すごく、楽しい。初めてだから」
 ……あれ? 僕は何か違和感……というか、引っかかりのようなものを覚えた。
「本当に、楽しい? それにしては……その……」
「なに?」
 迷いはあった。彼女は気を遣ってくれているというのに、そんな事を訊けば、その
気遣いを無碍にする事になるからだ。
 とはいえ……引っかかているのに、それを無視してしまえば、それもまた、彼女に
とってよくないような……そんな気もしていた。何か勘違いをしているような、そんな
感じがしたのだ。
 彼女の事をわかることができるような……そのきっかけとなるような事なのでは、
これは無いだろうか、という。
 そんな事を考え始めた瞬間、迷いが大きくなるその前に、僕は口を開いた。
「……凄い顔、してるなぁ、って」
 結果、とんでもない台詞が口をついて出てしまった。何を口走ってるんだ僕は!?
「あ、いや、その、凄い顔って言っても君は綺麗なわけだからそういう意味じゃなくて、
 なんだか楽しくないような、しかめ面で……えっと、その……ごめん」
「どうして謝るの?」
「だって……女の子に凄い顔だなんて……変な事言っちゃってホントにごめん」

59 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:25:09 0
「……大丈夫」
「え?」
「変な事じゃないよ。むしろ……変なのは私の方だから」
 僕が変な事を言ったせいだろうか。彼女まで変な事を言い出した。
「しかめ面してたんでしょ? それ、私……笑ってたんだと思う」
 ……え?
「私は、凄く楽しかった。こんな所来た事無いから。いろんな物、見れたし」
「で、でも……」
「しかめ面してた?」
「……うん」
 そうだ。あんなしかめ面してて、それで楽しいなんて……。
「謝らなければならないのは……たぶん、私の方」
 ……実際、彼女の精神が昂揚しているというのは確かなようだった。普段の無口
ぶりが信じられないくらい、今の彼女は多弁だ。
「私……笑い方、忘れちゃってるみたい」
「……え?」
「人間、ずっとしゃべらないでいると声の出し方を忘れてしまうらしいけど……それと同じ」
「それって……つまり……」
 笑い方を忘れてしまうくらい、もうずっと、長い間、笑っていないという事、か?
 その意味する所を考えて、そして想像した事実に僕はゾッとした。
「だから、あなたの言うそんな……変な顔をしてたんだと、そう思う」
 楽しいのに……その楽しさを、うまく表現できずに、だから……だからなの、か。
「……ごめんなさい」
「謝る必要なんてないよ! ……むしろ、それならなお更僕の方が謝らなけりゃ!」
「どうして?」
「……だって……そんな事、全然知らなかったから」
 いや、違う。
「知ろうと……してなかったから」
「……そんな事、ない。私が、隠してたから……」
「いや、僕の方が謝るべきだよ!」
「いいえ、私の方が……」
「いや、僕の方が……って……何やってんだろうね、僕ら」

60 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:44:13 0
「……そうね」
 そういって、彼女はしかめ面になる。それは、彼女にとっての笑顔だ。
 でも……。
「しかめ面でもこんなに可愛いんだから、笑ったらもっと可愛いよなぁ……」
 と、僕は思った。そして、目の前の彼女の顔が、キョトンとした物になったことで、
その思いが、呟きとして口を吐いて出ていたのに気づいた。
「……」
 彼女の顔が、少しだけだが赤くなっている。
「……笑えるように、なってほしいな」
 きっと、僕の顔も赤くなっているだろう。
 でも、毒食わば皿までだ。僕は、今この瞬間、思っている事を口にした。
「君が……本当の意味で笑えるように、一緒に頑張るから」
「……ずっと?」
 彼女のその問いかけに、僕は迷いも何も抱く事なく、すぐさま頷きを返した。
「ああ、ずっとだ。約束する」
 いったい僕は何を言っているのだろうか、と、冷静に自分を振り返るもう一人の
自分がいる。これではまるで、結婚でもするみたいじゃないか、と。
 神の代理人もいない。周りに僕らを祝福してくれる人もいない。教会でも神社でも
なんでもない、ショッピングモールのフードコートの一角だ。
 でも、そんな場所でも――そんな場所だからこそ、僕の今抱いているこの気持ちに、
嘘偽りの入り込む余地は、無かった。

61 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:44:28 0
「……ありがと」
 真っ赤になった彼女は、恐らくはそれが今の彼女の精一杯なのだろう。どこか引き
つった、ただ唇の端をもたげるだけの、それが笑いだと言われたからやっているような、
そんな歪な笑みを浮かべてみせてくれた。
 でも、例え歪でも、それが本物であることに違いはなかった。彼女が、今この瞬間、
僕の為に、一生懸命創ってくれた――そういう“本物”である事に。
「きゃっ!?」
 僕は、辺りをはばかり事なく、彼女の華奢な身体を抱きしめた。そうしたいと思った
意思そのままに。
 一瞬身体を堅くした彼女も、すぐに僕の腕に身を預けてくれた。
「……ありがとぉ」
 愛おしさとは、こういう感情の事を言うのだろうか。
 耳元で彼女の囁きを、もう一度呟いた感謝の言葉を聴いて瞬間、僕の全身は
彼女に対するそんな気持ちで満たされていく――
 わからないから好きになる。
 確かにそうだ。でも、それは正確じゃない。
 わかった後でも、ずっと好きでいられる。わかったからこそ、もっと好きになる。
 それが……それこそが、本当の“好き”なんだと、この瞬間僕は思った。

                                             終わり

62 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:48:31 0
「はぁ……」
 僕は思わずため息をついてしまった。
 これは、どう見ても“嫌な顔”だよな……。
 目の前で、僕の買ってきたハンバーガーを、もそもそと小動物のように食べる彼女の
姿は、もともと小柄な彼女の体躯と相まって、見ていて何だか愛らしくはあるのだけれど、
その表情がしかめ面ではそれも台無し……かというと、そんな表情でも十分可愛いと
思ってしまう僕は、やはり彼女の事が好きなのだろう。だが、彼女の方はどうなのだろう?
「……どうかした?」
 彼女は、そんな事を訊いてくる。僕のため息が気にかかったのだろう。
「あ、いや……その……楽しいかい?」
 ……聞いてどうするんだろうな。楽しければ、こんな顔をするわけが無いだろうに。
「うん、楽しい」
 彼女はそう言う。だが、それはやはり、気遣いというものなのだろう。僕に気を遣って、
楽しいと言ってくれているだけに違いない。
「すごく、楽しい。初めてだから」
 ……あれ? 僕は何か違和感……というか、引っかかりのようなものを覚えた。
「本当に、楽しい? それにしては……その……」
「なに?」
 迷いはあった。彼女は気を遣ってくれているというのに、そんな事を訊けば、その
気遣いを無碍にする事になるからだ。
 とはいえ……引っかかているのに、それを無視してしまえば、それもまた、彼女に
とってよくないような……そんな気もしていた。何か勘違いをしているような、そんな
感じがしたのだ。彼女の事をわかることができるような……そのきっかけとなるような
事なのでは、これは無いだろうか、という。
 そんな事を考え始めた瞬間、迷いが大きくなるその前に、僕は口を開いた。
「……凄い顔、してるなぁ、って」
 結果、とんでもない台詞が口をついて出てしまった。何を口走ってるんだ僕は!?
「あ、いや、その、凄い顔って言っても君は綺麗なわけだからそういう意味じゃなくて、
 なんだか楽しくないような、しかめ面で……えっと、その……ごめん」
「どうして謝るの?」
「だって……女の子に凄い顔だなんて……変な事言っちゃってホントにごめん」


63 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:49:27 0
>56,57,62,59-61

64 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 13:56:18 0
さて、Bサイド。

65 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 14:11:19 0
 もともと、私はこういった場所に縁がなかった。
 それはもちろん、行こうと思えばバスなりなんなり交通手段はあるわけで、その意思
があれば、行く事自体は可能だったろうと思う。でも……縁は、無かった。
 だから、私にとってそこは、その場所にある全ては、まったく初めて見るに等しい
ものであり、故に新鮮で、それらを見て回るだけで、私はひどく――“楽しい”と、そう
思っていた。

66 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 14:11:25 0
 家庭環境に色々な問題を抱えて育った私は、対人関係に難がある人間になった。
 それで何か問題があるなら、たぶん何とかして直そうとしたのだろうけど、あまり
差し迫った問題が発生しなかったから、だから私はそのままだった。
 通う学校の女子グループも、あからさまに自分たちを避ける私を別に敵視する
ようなことはせず、ただ放って置いてくれた。聞けば、それはかなり珍しい事だと
言う。女の子という生き物は、自分たちのグループに入ろうとしない存在は、かなり
の確率で敵とみなし、苛烈な言動をもってあたるようになるらしい。もっとも、それが
本当かどうか、確かめる術も気も、私にはなかったが。そういう意味では、運が良かった
と言えなくも無いのだろうが、それまでの自分の人生、その運の無さというものを考えた
時、この程度で帳尻を合わされたらまったく割に合わないな、と考えないわけでは
なかったが、割に合わなかったらと言ってどうこうするわけでも、どうこうできるわけでも
ないというのはわかりきっていたので、深くは考えなかった。
 そうして、私は孤立した。孤立したからと言って特に何か問題が発生するわけでも
無く、やはり私はそのままだった。
 適当に――いい加減な、という意味ではなく――勉強し、それなりの成績を残し、
教師からも特に意識されないような、そんなポジションに自分を置くようにしたのは、
そうしなければいけないという意識によるものではなく、これも気づけばそうなっていた
だけだった。
 教師からも、クラスメイトからも、誰からも意識されない、そんな存在に私はなっていた。
 さびしいと思う事は、特になかった。
 楽しいと思う事も、やはり特になかったけれど。
 独りでいるという事は、私にとってはごくごく当たり前の、日常だった。
 だから、寂しさを感じることはなかった。
 だから、楽しさを感じることもなかった。
 彼が、私に“告白”をしてくるまでは。

67 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 14:33:52 0
「ん。いいよ」
 どうして、自分はあんなにもあっさりと、彼の告白を受けてしまったんだろう?
 今考えてもわからない。
 時々、彼の視線を感じていたから、だろうか。告白以前から、彼は私の事を
何やら奇妙な視線で見つめている事があった。その視線の意味はわからなかった
が、教室にいても特に誰からも意識されることのなかった私にとって、その視線は
どこかイライラさせられるものだった。自分が意識されているという事を、否応無く
意識させられる視線だったから。
 どうして、彼がそんな視線を自分に向けるのか。それはつまり、私の事を好きだった
から、ということになるわけだけれど……それがわからなかった。どうして、彼が
私の事を好きになったのか、という事が、私には皆目検討がつかなかった。
 だから、あっさり告白を受けたのかもしれない。
 独りでいれば、何もわからない事なんてなかった。自分の事は、自分が一番
わかっているから。そして、それで十分だったから。それ以外の事を知る必要なんて、
何もなかったから――
 告白を受けたその日、私は彼と一緒に家路についた。
 それから毎日、一緒に帰るようになった。
 彼は、小柄な私の歩幅に合わせるように、ゆっくりと歩いてくれて、道中では、色々
と話しかけてきてくれた。だが、そのどれも私にはあまり理解できない話題で、私は
ただこくこくと頷きを返す事くらいしかできなかった。
 そんな私の様子に、次第に彼も押し黙ってしまう。そんな事が幾度も続いた。
「それじゃあ、また明日」
「うん、また明日」
 そう言って、家に入ってしまうと、私の心を後悔が包む。
 私がもっとちゃんと話せれば、彼にこんなに気を遣わせるような必要も無いだろうに――
 と、そこで私は驚いた。
 私は、申し訳なく思っていたのだ。彼に対して。彼と満足に会話できず、彼を困らせて
しまっている自分の事を。
 今まで独りだった。それで何の不自由も無かった。でも、今……私は不自由を感じて
いる。彼を、困らせずにすむにはどうすればいいのか、わからないからだ。

68 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 15:01:24 0
 友人に相談する? ……当然、それはできない。私には友人なんていないから。
 親や兄弟に相談する? それもできない。どちらも私にはいないから。……いなく、
なったから。ごく普通の一軒家だから、その前まで送ってきている彼も、気づいて
いないだろう。私も言っていないし、学校でうわさになる程、私は周囲に意識されて
いないから。
 結局、わからないまま、私は彼との付き合いを続けた。
 こんな自分でも、どうやら彼は嫌いにはならず、むしろどうしてそこまで、と言うくらい
優しくしてくれた。それが嬉しくて……そして、それに応えることができない自分が
悔しくて、でもどうする事もできなくて――
「今度、郊外のショッピングモール、いかないか?」
 そうして今、私はここにいる。
 今まで行った事の無い場所でなら、私も少しは変われるんじゃないか。そんな
淡い期待を抱いて。
 そしてやってきたそこは、私にとってはさながら異世界のようだった――というのは
流石に大げさにしても、そういった光景はテレビなどでしか見たことがなかったので、
初めて見るに等しい感動があった。
 人ごみの多さ、装飾に彩られたディスプレイ、そこに飾られたさまざまな商品――
そういった、他の人なら見慣れているようなものでも、私にとっては新鮮で、見る
だけで楽しかった。多くの人は、その多さにうんざりする人ごみも、私にとっては
動物園の動物に等しい……などと思っていることが知れたら、人ごみを構成する
人々は怒るだろうか? 私は少しでも多くの物を見ようと、きょろきょろと辺りを見回して
いた。少しでも、楽しめるように――
 ――楽しい?
 そうだ、楽しいんだ、私は。今、私は楽しんでいる。
 いつ以来だろうか、こんな感情を覚えたのは……。
「あ、じゃああそこ入ってみようよ」「あれとか面白そうじゃない?」
 この感情を私に与えてくれたのは彼だ。彼が導くがまま、私はそのショッピングモールを
歩き回った。
 この楽しさは、彼が与えてくれたもの。
 そして、こんなにも楽しいのは……きっと、彼が隣にいるからだ。

69 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 15:26:55 0
「……ちょっと、休憩しようか」
 その彼に感謝しようと、おそらく生まれて初めての、ありがとうを言おうと、そう思って
いたら、彼がそんな事を言った。確かに、彼の表情には疲れが見えるし、私自身も
あちこち歩き回って少し疲れてきた所だった。
 フードコートの隅に腰かけ、彼が買ってきてくれた飲み物と軽い食事を分け合った。
「ちょっと疲れたね。休日だから、人が多いな」
 確かに、人は多かった。こくりと私は頷き、目の前のハンバーガー――これもまた
初めて食べるものだった――にかぶりついた。かぶりつくと言っても、私の小さな口
では一気に食べるというわけにもいかず、もそもそとハムスターが種を食べている
ような食べ方になってしまう。でも、それでもそれは美味しかった。
 とても楽しい。今いるこの場所が。そして何より、彼が一緒にいてくれるという事が。
 どうして思っていたんだろう。独りでいい、なんて。
 どうして気づかなかったんだろう。誰かと一緒にいるのが、こんなに楽しいなんて。

70 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 16:25:36 0
「ツンデレに萌えを感じるなど、最早古い! だからお前はそのままのお前を俺に
 ぶつけてこいっ!」
「アホかぁああああああああ!!!!」
 あたしが右で繰り出したロシアンフックは、死角から奴――高部虎彦の左テンプルを
貫き、一回転する勢いで吹き飛ばした。だが、奴にとってはそれでも致命傷にはならな
かったようで、すぐさま起き上がり、驚愕の表情で私を見つめている。
「な、何をするんだ、未砂……」
「あたしはっ! お前の事をっ! まったく! これっぽっちも! 意に介してすらいないっ!」
「……だからよぉ、そんなにツンツンじゃなくても……」
「ツンじゃなくてこれがデフォじゃあああああああ!!!!」
 あたしが繰り出した左は、後に黄金の左と言われる事になる。
 それは見事に奴の人中穴を突き、奴の目は瞬間くるんと白目になる。
 要するに、気絶したのだ。
「……ふんっ! まったく、毎度毎度キモい事しか言わないんだから……」
「それさえなければ、って?」
「ひゃわっ!?」
 いつの間に湧いていたのか、私の背後から聞こえた声に驚き振り返ると、
そこには先輩――結城沙理先輩がいた。
「まったく、お互いに難儀よねぇ。もっと素直になればいいのに」
「お互いにって何ですかっ! こいつはこれ以上無いくらいに素直ですし、あたしだって
 これ以上無いくらいに素直ですよ! こいつの事なんか、さっき言った通り全く全然
 これっぽっちも意に介してないんですからっ!」
「でも、未砂って言わないよね?」
「何をですかっ!」
「トラっちの事、嫌い、って」
 ………………。
「き、嫌いとか、そ、そのレベルですら無いってだけでしゅよっ!」
「あ、噛んだ」
「先輩が変な事言うからですっ!」
「私は別に変な事は言ってないけどなー」
「言ってますっ! もう、知らないっ!」


71 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 16:25:51 0
 そう言って、私はその場を去った。何故か、頬が真っ赤になっているのを自覚しながら。
 こ、これは別に、実はあいつの事を意識してるとか、そういう事じゃないんだからねっ!?
ちょっと運動して、熱くなってるだけだから!

「……ほんと難儀よねぇ、ほれ、起きれ」
 未砂がいなくなってすぐ、沙理は眼下に転がる虎彦に声をかけた。
「気絶したフリもそうだけど、あの無駄な一回転受身とか、いったいあんたは何が
 やりたいのかね、と。おねーさん気になっちゃうなー」
 虎彦は、むくりと起き上がると、半眼で傍らに立つ沙理を見た。その視線は、疑い
半分、怒り半分といった所だ。
「別に……どうだっていいでしょう」
「傍で見てると、ほんと面白いけど……もどかしいのよね、あんたらって」
「何がですか? こうして俺があいつの相手にされないことが、ですか?
 それだったらあいつも言ってる通り、俺の事をあいつが別にどうとも思ってない
 ってだけの事で――」
「そう思ってた方が楽だから、って事よね?」
「……何がですか」
「本気で行って、玉砕したら立ち直れないし、もし受け入れられても、今みたいな
 関係ではなくなる……それが、怖い」
「………………」
 虎彦は、彼女の言葉に眉を潜め――だが、反論はしなかった。
「だから、わざとキモいと思われるような事を言って、怒らせて、そういう関係を
 いつまでも続けたいと思ってる……ほんともどかしいわ」
「……もどかしかったら、何なんです?」
「別に、何も」
 あっけらかんとした口調で言う沙理に、虎彦は唖然としたようだった。
「ま、おねーさんとしては、時にははっぱをかけないと……楽しめないかな、って所?」
「……好きにしてくださいよ」
 そう言って、虎彦は立ち去った。
「ホントに……難儀よねぇ、何事も」
 その後姿を見送る沙理の顔は、面白がっているようでもあり――そして、どこか
さびしそうでも、あった。

72 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 18:28:56 0
>65-69

>70-71


73 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 18:42:26 0
このスレ、すごい役立ってるwww

74 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 18:53:31 0
 結局の所、俺には恐怖がある。
 自分が「お前なんかどうでもいい」と思われているのではないか、という恐怖だ。
 そんな事は無いと、俺の周りの人間は言うだろう。実際に自分の恐怖を打ち明けた
事は無いが、まず間違いなくそう言うはずだ。仕事ではそれだけ働いているし、趣味で
書いている小説も、そのくらいは評価されている――そのはずだ。
 だが、"そのはず"では駄目だ。絶対にそうでなければ、駄目だ。そうでなければ……
俺はこの恐怖からは逃れられない。
 あるいは、逃れられない恐怖など、誰にだってあるのかもしれない。どこまで行っても
確固たる自信が持てない、俺のような人間は、どこにだって転がっているのかもしれない。
 そんなの、確かめようが無いだろ? だから、考えたって仕方が無い。確かめられる
のは、自分の気持ちだけだ。ましてや、それすらも確たる物ではない。自信が無いという
その事すらも、確固たる固まった気持ちというわけではないのだから、一体気持ちという
ものはどういう存在なのか、自分のそれすらも、もしかすると考えても仕方が無いのかも
しれない。それはまた、違う種類の恐怖だった。
 ……だがまあ、それは別に絶対的恐怖ではない。何しろ、それは自分の中でだけ
解決できる問題で、解決してもしなくても同じようなもので、だったらそれは無いような
ものだと、そう言って無視する事ができるからだ。
 だから、俺にとっての恐怖はこれしかないと言って差し支えない。
 「おまえなんかどうでもいい」と他人に思われる事。
 この恐怖は、他人が関わっている。
 他人がそう思うという事が恐怖である以上、いかに他人の心の事など考えても
仕方が無いと思っていようとも、無視して考えないという事が、できない。
 本質的に、恐怖について無視する事ができなければ、考えないという事もまた恐怖を
招くわけだから、それは当然の道理であった。
 結局の所、だから俺は"死神"に出会う事になった。
 俺がもしも恐怖を抱かないだけの心の強さを持っていれば。
 俺がもしも恐怖を抱いたとしても動じないだけの拠り所を持っていれば。
 俺がもしも恐怖を抱かせる相手をそれだと気づかないままでいられれば。
 そうすれば――あいつは――

75 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 18:53:38 0
 だが、これは終わってしまった話だ。もう終わってしまった話をこれから語るのだから、
ここで言うIFは、全て現在には通じない。もしも、はもしもであり、現実を変える力には
一切ならないのだ。その事を痛感しながら、それでも俺は語ろう。
 "死神"と俺が、なぜ出会う事になり――そしてなぜあいつが"ああなってしまった"のか。

 これは――怖がりの男と、なにものをも恐れない女の話――そういう事に、なっている。

76 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 20:29:43 0
ブギポ二次創作を何となく考えてたり。

それよりもあのスレとあのスレでのアレを何とかするのが
先じゃないのか、と言う話なんだけど。

77 : ◆91wbDksrrE :2010/01/17(日) 23:42:55 0
 彼にとって、彼女は"拠り所"ではなかった。
 だが皮肉にも、彼女にとっては、彼は"拠り所"だった。
 そんな二人の出会いはというと、これはまたありふれたもので――

「へえ。佐々目さんって言うんだ。珍しい苗字だね」
「んー? そう? それだったら貴方の貸牧って方が珍しいと思うけど?」
 合コンという、男女の出会う場所としてはありふれた場所、状況で、二人は出会い、
そして互いに”引っ掛かり”を感じた。何か、言葉にはできない何かを、互いに感じた。
 それが何だったのかは、その時の二人にはわからなかったが、もしも今現在の
彼であれば、きっとこう言うだろう。
「あー……そうだな。結局の所、こいつは俺の欠けてるもんを持ってるな、って……
 そう思ったんだわ、きっと。それはあいつも同じじゃねえか?」
 こうして、佐々目紫乃花と貸牧亮治は出会い――

「ねえ、貸牧君」
 その出会いから一ヶ月程経った頃。
 二人の関係を決定づける出来事は、彼女の行動によって起こった。
「その、ね……私と、お付き合い……してみない?」
 後にも先にも、彼女がそわそわと、何か落ち着きがなく――まるで怖がっている
ような、何かを恐れているような雰囲気を見せたのは、その時だけだった。少なくとも、
それからかなりの時間を彼女と一緒に過ごす亮治にとっては、その時が唯一だった。
 その瞬間から彼女がそれを忘れたのか、それともずっと以前からそうで、その時だけ
たまたま思い出していたのかはわからない。
 だが、そうして二人の関係が決定づけられてから、彼女はまるでそれを忘れて
しまったかのように振舞うようになった。
 恐怖を。
 何かに対する恐れを、どこかに置き忘れてしまったかのように。

78 : ◆91wbDksrrE :2010/01/20(水) 20:29:56 0
動きないなー。
レスつかないなー。

でもまだ焦るような時間じゃない。
きっと。多分。

79 : ◆91wbDksrrE :2010/01/21(木) 11:19:43 0
Bサイド、やっぱり無意味に重過ぎる。
うーん、一応話としては書ききっておくべきなんだろうけど、
あのスレには投下できんなw

80 : ◆91wbDksrrE :2010/01/22(金) 00:35:31 0
「……えっと、その……頼みたい事が、あるんですけど……」
 引っ込み思案な彼女は、いつも俺に頼みごとをする時言いよどむ。
そんな気にしなくてもいいのに、と毎回思うが、そんな奥ゆかしさも
彼女の魅力の一つではある。
「何だい?」
「……その、ですね……後ろから、ギューってしても、いいですか?」
 後ろから抱きつきたい、という事だろうか。……どうしたんだろう、突然
そんな事を言い出して。普段はハグすら恥ずかしがってなかなかでき
ないというのに、自分から抱きつきたいと言い出すなんて……。
「あ、もちろん後ろからですよ! ……抱きしめあうとか、それは、ちょっと、
 その……恥ずかしいですから……すいません、ごめんなさい」
「何謝ってんだよ」
 僕は苦笑しながら後ろを向く。
「ほら、どうぞ?」
 両手を広げて、彼女が抱きつきやすいようにしてみる。

81 : ◆91wbDksrrE :2010/01/25(月) 18:25:40 0
「そ、それじゃあ……いきます、ね?」
「いいよ?」

82 : ◆91wbDksrrE :2010/01/26(火) 20:04:28 0
 それは、悲しいほどに"本当"だった。
 私のこの想いも"本当"で、その想いが決して叶う事が無い事も、また、"本当"で――
 それでも私は、この想いを捨てるつもりは無い。

83 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 14:35:49 0
俺、ブキポ二次創作一通り書き終わったら、ライトノベル総合スレ立てるんだ・・・

84 :夢見る名無しさん:2010/01/31(日) 16:40:19 0
>>118
おまおれ
後これに嵌った
ttp://3-me.net/flashdir/hopten/

85 :夢見る名無しさん:2010/01/31(日) 16:41:04 0
すいません誤爆いたしました

86 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 16:48:17 0
何事かとw

87 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 18:04:21 0
 登場人物オリジナル
樫牧(かしまき)亮治(りょうじ)
怖がり。
大学生で、日々をなんとなく過ごしている。

漣(さざなみ)紫乃花(しのか)
恐れ知らず。
大学生で、日々を活力的に過ごしている。

 ポイントにおくもの
恐怖。それに付随するさまざまな“良い所”

88 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 22:12:04 0
 名は体を表すという言葉がある。
 これはつまり、名前はその見た目などを表すという意味であるのだが、場合によって
は外見だけに留まらず、その魂のあり方までもが名前によって規定されるとして考え
られる場合がある。
 曰く、それまで誰にも顧みられていなかった一振りの太刀が、村正という名を見出され
て以降、自らも魔を放ちながら、それでも魔を断つ、妖刀として扱われるようになった――
そのような例は、枚挙に暇はあれど、確実に存在する。
 名を有したが故に、与えられたが故に、見出されたが故に、それ故に、その太刀は
魔気を孕む物となった――そんな一刀は、どこか儚げな、それでいてその強さとどまる事
を知らぬと言った体を伺わせる無双の気迫を放つ、そんな相反した雰囲気を兼ね備えた
少女の手に握られていた。
 では、彼女の場合は――その妖刀を今この瞬間手にしている彼女の場合は、どうだろうか。
 彼女の場合、その名はその外見に見事なまでに適合していた。まるでその名が意味
する花の名の如く、彼女は可憐で美しい容姿を有していた。いつ散るとも知らぬ、だが
凛と咲き誇る、花の如き儚さ。
 だがしかし、その視線は、見つめる物を貫き通しかねない、それだけで人を殺せる
のではないかと言わんばかりの鋭さを持つ視線は、その適合を否定していた。儚いのは、
人の夢の如く消え去るのは、彼女ではなく、彼女の目の前に立った物だと、そうその
視線は語っていた。強い、ひたすらに強い意志と、自信と、経験が、その視線から迸って
いた。

89 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 22:13:11 0
 では、彼女の名は体を、魂のあり方を表していないのか。
 答えは否である。
 文字には、意を含めるという用法がある。同音異字の文字を以て、直接的に過ぎる表現
を避け、それでいて意味を失わせないという、そういう用法だ。
 一見迂遠に思えるその行為は、だがしかし、言霊という目に見えぬ魂を信じるが故に
行われ、そして今尚行われ続けている――
 彼女は、腰だめに刀を構え、走った。その速度は、女だてらにという言葉すらも生ぬるい、
人の域を超えかねない程の俊足であり、縮地もかくやという神速であった。
 彼女が向かうのは、相対する敵に向けてである。
 その敵の名は、寄生。虫でもなく、動物でもなく、ただ寄生という名を冠せられ、そして
その名の如く、名は体を表すの言葉通り、寄生し、そして寄生し尽くす。何もかもを。
 寄生は、その本体は本来姿を持たない。誰の目にも留まらずやってきて、誰にも
気づかれぬ内に寄生する。それが本来のそれの姿であり、攻撃だった。
 だが今、寄生はその姿を、一匹の虫に似た、だが虫ではありえない大きさを備えた
姿を、彼女の眼前に晒していた。彼女の持つ太刀、妖刀村正の放つ気にあてられ、仮初の
姿を得させられているのだ。
 本来なら、その姿に怯えても何らおかしくないグロテスクな姿に、だが彼女は怯える事
なく、それどころか敵意すら浴びせ、しかし冷静に肉薄する。
 仮初の姿であっても、それは本質を表す姿であり、それを断ち切る事は、すなわちそれ
そのものの終わり――死である。
 寄生もまた、その事実を本能的に察知しているのだろう。彼女の肉薄に、神速の接近に
瞬時に対応する。口から伸ばした針のような物で、彼女を迎撃したのだ。神速に対するそれ
もまた、神速と言える速度であり――勝負は一瞬で決した。
「………………」

90 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 22:13:26 0
 斬ッ。
 彼女のまとう和装の、その袖の部分がハラリと落ちる。それは、彼女が敵の一撃を回避し
きれなかった事を表していた。だが――それだけだった。
「……」
 彼女は後ろを振り返る事もなく、薙ぎ払った剣を、血曇を払うかのように一度縦に振り、
そして腰に佩いていた鞘へと収めた。
 同時に、その背後でドウッと音を立て、何かが倒れた。最早、それは何かと形容するしか
なかった。音を立て、倒れたにも関わらず、その音がした場所には……既に、何も存在して
いなかったのだから。
「……手間を、とらせる」
 彼女は呟きを残し、そのまま月明かりの中、歩み始めた。
 そしていつものように、思い出す。あの日、あの瞬間……彼女が覚悟を決めた、その時を。
 ――もしもお前の前に、お前の道を為す妨げとなる物が現れれば、その時は――
 脳裏によぎるは、今際の際の父の言葉。
 ――刃の煌めきの如く生きよ。その為の守護を、お前の名には含ませた――
 妖刀と呼ばれる、持てば狂気に囚われるその刃を持って尚、彼女が正気を保っていられる
のは、恐らくは、その名の守護によるものなのだろう。
 刃の煌めき。煌めきとは、灯火を映す物。故にそれは火の如く――
 刀火――転じて、桃花。それが彼女の名の意味。真の、込められた意味だった。
 ――できれば、お前には……その真の意味が意味無き物となる人生を――
 恐らくは叶わぬと……無間の姓(かばね)を持つ以上は避けては通れぬと知りながら、彼女
の父はそう願い……そして死んだ。その事は、彼女も知っている。だが。
「今は叶わずとも……この私が、無間の運命(さだめ)……終わらせてみせる」
 そうすれば、父の願いは叶う。戦う事をせずに済む未来を、自らの手でつかみとってみせる。
 それが、彼女の誓いだった。
 その誓いが叶うのかは、今はまだ……誰にもわからない……。

                                                 終わり


91 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 22:48:36 0
 名は体を表すという言葉がある。
 これはつまり、名前はその見た目などを表すという意味であるのだが、場合によって
は外見だけに留まらず、その魂のあり方までもが名前によって規定されるとして考え
られる場合がある。
 曰く、それまで誰にも顧みられていなかった一振りの太刀が、村正という名を見出され
て以降、自らも魔を放ちながら、それでも魔を断つ、妖刀として扱われるようになった――
そのような例は、枚挙に暇はあれど、確実に存在する。
 名を有したが故に、与えられたが故に、見出されたが故に、それ故に、その太刀は
魔気を孕む物となった――そんな一刀は、今、一人の少女の手に握られていた。
 では、彼女の場合は――その妖刀を今この瞬間手にしている彼女の場合は、どうだろうか。
 彼女の場合、その名はその外見に見事なまでに適合していた。まるでその名が意味
する花の名の如く、彼女は可憐で美しい容姿を有していた。いつ散るとも知らぬ、だが
凛と咲き誇る、花の如き儚さ。
 だがしかし、その視線は、見つめる物を貫き通しかねない、それだけで人を殺せる
のではないかと言わんばかりの鋭さを持つ視線は、その適合を否定していた。儚いのは、
人の夢の如く消え去るのは、彼女ではなく、彼女の目の前に立った物だと、そうその
視線は語っていた。強い、ひたすらに強い意志と、自信と、経験が、その視線から迸って
いた。

92 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 22:49:14 0
>>91 >>89 >>90

93 : ◆91wbDksrrE :2010/01/31(日) 23:15:13 0
   。
    〉
  ○ノ イヤッホォォ!
 <ヽ |
 i!i/, |i!ii ガタン
 ̄ ̄ ̄ ̄
受けたようで良かった。小躍り中w
あと、エロい板にも投下完了。でもエロくないw

94 : ◆91wbDksrrE :2010/02/04(木) 18:21:27 0
新聞といえば配達であり思わず新聞の日というお題だったことを
忘れたとしても当方には一切その責任は無いといいたいところだが
無理やりねじ込んだ努力は認めていただきたく思うがまあそこまで
いうほどでもないといえばないので気になされるな

という戯言

95 : ◆91wbDksrrE :2010/02/04(木) 20:17:50 0
いかん、ブギー二次に使えそうな能力を思いついたのに、度忘れしてしまった!
どんなだったっけ・・・

96 : ◆91wbDksrrE :2010/02/06(土) 23:58:34 0

 ―― 一方その頃 ――

「戦那羅・毘津愚兵弐須様! 戦那羅・毘津愚兵弐須様! 大変です戦那羅・毘津愚兵弐須様!」
 その男――仮に部下Aとしておこう――は焦っていた。
 彼はとある作戦を任されていた。その作戦とは、特殊な薬品を用い、用済みになった駒に曹鉢宗
をコソコソと嗅ぎ回る男を排除させ、然るべき後に駒をも消し去るという物であり、作戦名は彼の
上司である戦那羅・毘津愚兵弐須が付けた。
 その名も「ラリってハニー!? スイートホームでサンサーラ大作戦!」。
 ちなみに、戦那羅・毘津愚兵弐須にネーミングセンスは無いと、部下Aは思っている。
 その作戦が、失敗に終わった事を報告せねばならないと言うのに、肝心の報告相手である上司、
戦那羅・毘津愚兵弐須の姿が見えないのだ。
「どこにおいでですか、戦那羅・毘津愚兵弐須様! ……あ!?」
 果たして、彼はいた。そこは曹鉢宗においては上級信者しか使えない娯楽室の一角の隅の方で
あり、そこに彼は巨体を収めて座っていた。
 その姿は、まさに異様と称するに相応しいものだった。
 まず、彼には顔が二つあった。そのどちらにも口は無く、目鼻は合わせて四つずつで、常に何か
の匂いを嗅ごうと、何かを見ようとしているかのように、ひくひくギョロギョロと蠢いている。
 そして、二つの顔の中央部分からは、天にそびえ立つように、肉が盛り上がっていた。彼を初めて
見た物は、その誰もが同じ感想を抱く。
 まるで、ペニ○スと睾○丸じゃあないか、と。
 そして、その感想を口に出してしまった物は――例外なく、地獄を見る事になる。
 そうして、彼は今のこの地位を築きあげた。
 曹鉢宗実働実戦部隊『セントリー』。彼は、その部隊長として、曹鉢宗の荒事を一手に引き受ける
立場にあった。

97 : ◆91wbDksrrE :2010/02/07(日) 03:23:33 0
眠り損ねた風邪治りかけなのに俺ぇぃ♪

98 : ◆91wbDksrrE :2010/02/11(木) 20:29:55 0
 俺は、その建物を見上げていた。
 エンパイア・ステート・ビル。それは、アメリカにおいて長らく世界最高の高さを誇る建造物として
君臨し、世界最高の座を失って尚、摩天楼の代表格として広く世に知られる、そういう建物だ。
 もちろん、ここにそのエンパイア・ステート・ビルそのものがあるわけは無い。これはこの街に
金持ちが趣味で立てたレプリカだ。周りにあまり高い建物が無いこの街では、その超高層ビルは、
なんだか酷く浮いて見える。成金趣味が透けて見えるような、そんな気もする。
「キングコングでも呼びたいのかねぇ……」
 変装も兼ねたサングラスの位置を直しながら、俺は目的地があるであろう、ビルの中ほど辺りを
見た。そう。曹鉢宗の本部は、このビルの中にあるのだ。
 もちろん、このビル全体が曹鉢宗のものというわけではない……と言いたいところなのだが、
宗教施設はともかく、他に入っている会社や施設、それら諸々は曹鉢宗の息がかかった
会社だったり施設だったりすると言うから、実質このビルは曹鉢宗の持ち物であると言って
差し支えないだろう。
 ……まあ、しばらくは飲食店や娯楽施設のある階だから、さして心配する必要も無いだろう。
俺の面も割れてはいないはずだ。一応、変装もしてきたしな。……おかげで、妙な視線を向け
られたりもしているような気がするが、逆にこんな変装をして侵入してくるやつがいるとは、
敵さんも思っちゃいまい。
 一階には、ファーストフード店やレストランが入っていて、今もそこそこ賑っている。腹は減ってない
から、別に用は無い。俺はそのまま通り過ぎ、エレベーターへ向かおうとしたが、そこである
広告に目が留まった。
 二階への通路に、大々的に大きなポスターが飾られていた。タイトルは、「地獄少女VSヘルボーイ」。
監督名が……大塩平八郎、とある。

99 : ◆91wbDksrrE :2010/02/11(木) 20:30:16 0
「これか……」
 親父さんが言っていた映画とは、おそらくこれだろう。今日はどうやら試写会が行われるらしい。
「言うがままに作らされたが、その意味はわからない……そう言ってたな」
 何かのたくらみが、この映画に仕込まれているのは間違いないだろう。だが、それが何かは
わからない。下手にこれをどうにかしようとして、俺の事を察知されるのはまずい、か……。
 ひとまずは、置いておくしかないだろう。俺はわずかな懸念を残しつつ、その場を後にした。
 今はジュリアを助け出すのが先決だ。
「さて、と」
 目的地である曹鉢集本部は、四十八階に存在しているらしい。らしい、と言うのは、それが
はっきりと確認できていないからだ。エレベーターの階数表示も、その階には特に何も無いと
表示されていて、一般人は立ち入り禁止とされているのだろう事が推測できた。
 となると、その前の四十七階で、何らかの手がかりを探す必要がある。
 ……まあ、俺の考えが上手くはまれば、あっさり行けそうな気もするんだが。
「ついたか。速いな、このエレベーター」
 考えている内に、エレベーターの人口音声が、四十七階についた事を知らせてくれた。
「さて……では、大博打と行きますか」


 ―― 一方その頃 ――

100 : ◆91wbDksrrE :2010/02/14(日) 11:08:33 0
 戦那羅・毘津愚兵弐須は戸惑っていた。
 自分が、まるでどこかの覇王のように、天に拳をつきあげている事に。
 自分の視界が、何か柔らかい布のような物で覆われている事に。
 自分の身体が、休息に熱を失い、冷えていく事に。
 自分が、死を迎えようとしているのだという事に。
 どうしてこうなったのか。センペニはこの数分の間に起こった出来事を思い返していた――

「センペニ様!」
「何ごとだ。あと略すな」
 部下からの報告は、来訪者を告げる物だった。この本部施設の下の階、そこにあるダミー会社の
受付に、一人の男がやって来たと言うのだ。
「関係者以外通す必要は無いと指示していたはずだが……」
「何故、報告する?」
「はっ……それが、最初は奇妙な奴という事も有り、追い返そうとしたのですが……
 戦那羅・毘津愚兵弐須様と、その側近に『星の王子さまが迎えに来た』と伝えろと……そう言えば
 向こうにもわかるはずだ、とそう言われまして……」
 部下としては、そのような思わせぶりな事を言われては、確認するしかなかった……そういうわけ
だろう。もしも何らかの使者か何かであれば、追い返してしまうのも不味いという判断の元、部下は
報告したのだ。
 それが、センペニの命運を決めてしまう事になるとも知らずに。
 そして部下のその報告を聞いた瞬間、センペニの傍らにいた奈美・ディアーメサーバが目を見開いた
事にも、彼は気付かなかった。
「……星の王子さま……?」
 センペニは首を傾げた。全く意味がわからない。
「どれ、どのような奴なのだ?」
「はっ、この男です」
 部下が機器を操作すると、ジュリアがもがいている姿を写した映像が消え、代わりに監視カメラからの
映像がディスプレイに映し出された。そこにいたのは、一人の男であった。
 ごく普通のダークブラックのスーツに身を包んだその男は、だが一見して普通ではないと知れた。
 星型に縁取られた、まるでパーティーか何かで余興の仮装に用いるような、ありえないサングラスを
かけていたのだ。
「……なんだこのフザケた男は?」

101 : ◆91wbDksrrE :2010/02/15(月) 20:24:47 0
前半はそのままでいいか。

後半は・・・リテイクだな。

102 : ◆91wbDksrrE :2010/02/15(月) 20:34:03 0
 ―― 一方その頃 ――

 結局の所、この戦那羅・毘津愚兵弐須という男は小者である――そう、奈美は考えていた。
 小者であるから御しやすく、故にスケープゴートに仕立て上げる事も容易で、こうして本来の
目的の為に利用できたのだと、そう考えていた。
 大部分、その考えに間違いはなかったのだが、彼女が一つだけ計算違いをしていた事がある。
 小者であるが故に、彼は臆病だった。そして、臆病であるが故に……その外見からは想像も
できない慎重さを、彼は有していたのだ。その点を、彼女は失念していたのである。
「ここを、放棄するぞ」
 だから、突如としてセンペニがそのような事を言い出したのに対し、彼女は唖然とする事
しかできなかった。
「何やら、嫌な予感がする。ここにとどまっていると、我の身によからぬ事が起きる……
 そんな気がするのだ」
「兄者もか。我もそう考えていた所だ」
「……突然何をおっしゃいますか、戦那羅・毘津愚兵弐須様」
「儀式は、別にここではなくともできる。創造の神は、どこにでもおわすからな」
「この娘を連れて、ここより離れる。良いな、奈美よ」
 それは、彼女の……ひいてはその背後にいる存在の計画には無い動きだ。そうされてしまえば、
彼女達の計画は瓦解してしまう。
 この場にセンペニを留めて置く事。そして、儀式だけは行わせる事。それが叶わなければ、
計画の成功率は一割にすら満たなくなる。それだけは、不味い。
「何を恐れる事がありましょうか、センペニ様」
「だから略すな」
「失礼しました。戦那羅・毘津愚兵弐須様」
「……恐れてはおらぬ」
「我が悲願成就すれば、我はあのお方すらも恐れる必要がなくなる」
「だが、その為には失敗はできぬ。わからぬか、奈美よ」
 

103 : ◆91wbDksrrE :2010/02/15(月) 22:11:50 0
エロい板でアホな事やってたら時間があっという間に経ってるという罠。

104 : ◆91wbDksrrE :2010/02/16(火) 19:04:44 0
そのアホな事がエラい受けて小躍りしている罠。

105 : ◆91wbDksrrE :2010/02/17(水) 23:19:17 0
白い物がふよふよするホラー、か・・・。

となると、儀式始まって、異空間化した所に乗り込んでいく感じかなー。
バイオハザードみたいな。

106 : ◆91wbDksrrE :2010/02/18(木) 17:47:09 0
 自らが主導する日々の政務。それがこれ程までに過酷な物であったとは――リルシャは頭を抱えていた。
「……ふぅ」
 休息は僅かだ。この後、隣国ラルトランドの外交官との会食がある。その席では、おそらく兼ねて
よりの懸案である中立地帯について、新国王である自分の見解が問われる事になるだろう。既に
方針は固めているとは言え、その方針に反対する臣下も多く、かの国の使者には、満足な返答を
返せないかもしれない。それはつまり、主導権を向こうに預けるという事を意味している。
「もう少し……私に時間と……生まれが、あれば……」
 思わず口をついたその言葉に、彼女は自ら嫌悪感を覚えた。
 リルシャラーナ・セイル・ディルブランド。このディルブランド王国の女王であり、つい先日その地位
に就いたばかりの新しいこの国の王。それが彼女だ。
 まだ齢十八でありながら玉座に就く羽目になったのは、彼女の運が悪かったという他無いだろう。
 王位継承権で言えば、彼女は下位もいい所だった。生まれの悪さもあり、彼女が王位に関わる
ような事などありえないと、そう誰もが思っていた。
 この国を、流行病が襲うまでは。
 元々、先代国王であるリルシャの父は身体が弱く、政務は長男である皇太子ディオール、そして
王妃であるリーアベルゲが取り仕切っており、リルシャはその補佐――と言う名の、ただの雑用――
をさせられていた。
 頭の良かった彼女は、使い走りのような事しながら、正妃であるリーアベルグとその息子で
あるディオールに虐げられながらも、様々な政(まつりごと)のイロハについて学んでいた。
 ゆくゆくは、この国を支える政務者の一人となれるように。そうして、王となるであろう腹違いの兄、
ディオールを助けられるように。そう願って彼女は「娼姫の子の癖に」「ゆくゆくは、あの娘はこの
国を乗っ取るつもりだ」などという陰口にも負けず、彼女は自らの見識を高めていた。


107 : ◆91wbDksrrE :2010/02/18(木) 17:47:14 0
 その生まれ故に、政略結婚の道具としてすらも見向きもされなかった彼女には、最早道はそれ
しか残されていなかった、と言っても過言ではなかったのだ。
 そういった努力が、蝶よ花よと持て囃され、社交界で遊んでばかりの姉達の感にさわり、
いわれの無いいじめを受ける原因になったりもしたのだが、それでも彼女は自分の信じた道を
歩き続けていた。
 そして、彼女が十八の誕生日を迎えたその翌日。
 彼女の係累は、誰ひとりとして生きてはいなかった。
 元々身体の弱かった父も、政務を司っていた義母や兄も、自分を虐げていた姉達も、残らず流行病
でその生命を落としたのだ。
 王国は激震した。口さがない者は「娼姫の娘が毒をもったのだ」などとあらぬ妄言を吐いたりも
したが、王国にとっては取れる選択肢は一つしかなかった。
 つまり、女王として、唯一の王位継承権保持者であり、唯一生き残った王家の者である、王女、
リルシャーラーナを即位させるという選択しか、なかった。
 幸い、十八という成人の年齢を迎えており、さらに幸いにも、彼女は政にある程度通じていた。
 故に話はとんとん拍子に進み、国王、王妃やその子どもたちの喪が明けるのに合わせて、
王女リルシャラーナは、女王リルシャラーナ・セイル・ディルブランドとなったのである。
「……ふぅ」
 そんな、自らの身に起こった惨劇と、思わぬ幸運――かどうかは今はまだ判然としてないが――を
思い起こしながら、リルシャは再びため息を漏らしていた。そんな彼女の背後から、声がした。
「女王陛下。お疲れのようですが、そろそろご準備を」
「アステア……もう、そんな時間なのですね……」
 彼女の側仕えである、アステア・ビールドがそこには立っていた。
「はっ! 件の了解は、未だ大臣達からは取り付けられておりませんが……しかし、時間です」

108 : ◆91wbDksrrE :2010/02/19(金) 21:58:08 0
>>98から

109 : ◆91wbDksrrE :2010/02/19(金) 21:59:11 0
間違えた。
>>98-99から


110 : ◆91wbDksrrE :2010/02/20(土) 21:38:54 0
 部屋全体が暗闇に包まれているが故に、床に描かれたそれが薄ぼんやりと光っているのが
明確にわかる。蛍光塗料などを使っているわけではないのに、その図形――五芒星は、どこか
不吉な光を放っているのだ。明滅する蛍光塗料など、この世には存在しない。
「……何を、するつもりなのですか……?」
 ジュリアは問いかけた。無論、答えが返ってくるわけは無い。単に、目の前で起こっている
不可思議な現象について、自分の頭の中を整理し、推論を導き出す為の一手としての自問だ。
 だが――
「ジュリア、と言ったか」
「これより、我らは儀式を行う」
 予想外の答えに、ジュリアは目を見張った。
 先程までいた部屋とは異なり、この部屋には光源――脈動するかの如く明滅する五芒星だ――
がある。故に、声の主の姿を確認する事ができた。
 そして彼女は、確認しなければ良かったと、そう思った。そこにあるシルエットは、紛れも無く男の
ナニのそれであったのだから。
「……お主、今失礼な事を考えていなかったか?」
「あ……いえ……そ、そんな事は無いですよ?」
「そうか」
「ならば、良い」
 よくよく見れば、それはナニのアレではなかった。
 それは、人間だった。人間だが……異形だった。
「………………ッ」
 彼女は驚きに声を漏らしそうになったが、寸でで抑える事に成功した。
「……ほう。我のこの姿を見ても、声一つ挙げぬか」
「見上げた精神力……まさに、この儀式に相応しい……」
 声の主――戦那羅・毘津愚兵弐須は、満足したようにそう言った。
 儀式。そうこの男――だろう、おそらく――は言った。
 儀式。一体何の? この男は、自分を使って何をするつもりなのだろうか。
「これより、儀式を行う」
「神を降ろす儀式だ」
 ……神? ジュリアは内心で首を傾げた。
 彼女は暴走した父親によってここまで連れてこられた。その事から、ここが曹鉢宗に関係する
場所……恐らくは、本拠地のような所であろう事は予想できた。 

111 : ◆91wbDksrrE :2010/02/21(日) 21:54:17 0
 だが、曹鉢宗とは、宗教の体こそ取っていたが、特に本神とする神など持ってはいなかったはず。
 その彼女の疑問は、次のセンペニの言葉でさらに深い物となった。
「創作の神。数多の創作を見守り、その力となる神を、お前へと降ろし――」
「――あのお方を……いや、奴を、排除する」
 創作の神。それが一体どのような神なのか、ジュリアには見当もつかなかった。
 そして、その神の力を以てしなければ排除できない、"奴"とは……一体?
「……私は、あなた達の思い通りにはなりません!」
 疑問を解消する事は二の次にして、彼女は自らの決意を口にした。己を鼓舞する為に。
「その必要は無い」
「お前が思い通りになる必要なぞ、我らには無いのだ」
 だが、返ってきた言葉は予想外の物だった。
「お前は器」
「ただの容れ者」
「"お前"は要らぬ。いや、違うな……」
「"お前"は消える。そうだ。消えるのだ」


112 : ◆91wbDksrrE :2010/02/22(月) 22:45:17 0
 まるで、何かに酔ったかのように、陶然とした表情でセンペニは言葉を紡ぐ。
 その姿に、彼女はこの場に連れてこられて初めて感じた。恐怖という名の感情を。
 今まで押し込めてきたそれが、一気に彼女の心を侵食していく。
「アズさん……」
 その恐怖に対する、彼女の中の武器は、その名前しかなかった。
 彼は言った。自分が彼女を守ると。ずっと、一緒にいてくれると。
 今、彼はここにはいない。だが、彼はここに来てくれる。そう、約束したのだから。
 それは、もしかすると彼女の見た夢の中での言葉かもしれない。本当の彼は、彼女
の事などどうでもよいのかもしれない。でも、彼女にとって、恐怖という名の感情に
抗う為の武器は、それしかなかった。
 彼女の口から漏れたその名を、センペニは聞きとがめた。
「アズ……? それはあのエージェントの名か」
「奴がお前を助けに来るというのか?」
「奴はエージェント……任務である曹鉢宗の調査を最優先する」
「奴は故にここには来ない」
「奴がここに来たとしても」
「奴はお前をお前だとわからぬだろう」
「奴が来るその前に」
「奴が知らぬ所で、儀式は完遂するのだから」
 二つの顔から紡がれる言葉は、彼女の心を侵して行く。
「いいえ……来ます。来てくれます。アズさんは……必ず来てくれます!」
 だが、最後の一片までを侵し尽くす事はできない。最後の一片は、その名によって
守られていた。その存在によって守られていた。
「……ふん」
「……まあいい」
 センペニは、最後の最後の土壇場で、折れずにとどまる彼女の心に疑念を覚えながら
も、その事について深く考えようとはしなかった。
 そんな事などどうでもいい、と言わんばかりに、彼はそれを開始する言葉を口にした。
『始めよ。我に創作の力をもたらす儀式を』

113 : ◆91wbDksrrE :2010/02/22(月) 22:47:55 0
「アズさん……ッ!」
 合図と共に、自らの身体に流れ込んでくる力の奔流を感じながら、それでも
それに流されまいと、彼女は必死にその名にしがみつく。
 だが、その彼女の必死の行為すらも、力は押し流して行く。
 彼女の意識が途切れたのは、部屋全体が深蒼の光に包まれた瞬間だった――。

114 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 21:35:39 0
ここまでで決まっている事

・あのお方って誰?

無論、ハルトシュラーである。
創作する事、それ自体を是とし、そこに道徳観念を持ち込まない。
故に魔王と称される。その創作能力は凄まじく、この世界の物理法則すらも、
新たな法則を創作する事で覆す事が可能という、チートキャラである。

・神様って誰?

H・クリシェ。創作する者を守護する女神。
創作する事は無論、その創作によって万人が幸せになる事を願い、
その為に活動する者を守護し、導く。
故に、創作それ自体のみを是とし、これ以外の何物にも意を払わない
ハルトシュラーとは敵対している。
女神なので、これまた色々とできるが、自身の力を振るう事は
滅多に無く、そのほとんどが誰かの創作への協力という形で顕れる。

・戦那羅・毘津愚兵弐須って何がしたいの?

結局、小者なので偉くなりたい。曹鉢宗でトップを取りたい。そんな事しか考えていない。
その為にはトップであるあのお方ことハルトシュラーを打倒するのが手っ取り早いので、
ハルトシュラーと敵対しているクリーシェの力を

・奈美さんって何がしたいの?

実は、彼女はハルトシュラーを信奉していて、今回の戦那羅・毘津愚兵弐須の
思惑を利用し、逆に彼を抹殺する事を目的としている。
その思惑が果たされた後は、クリーシェの力を宿した素体を封印する事で、
クリーシェの力を削ごうとしている。ハルトシュラーの創作力を分け与えられており、
色々と常識では考えられない物を創り出す事ができる。

115 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 21:56:39 0
・ハルトシュラーは何がしたいの?

特に何も。
奈美・ディアーメサーバがハルトシュラーの力を分け与えられているのは、
ただの気まぐれでしかない。このような気まぐれは度々であり、ハルトシュラーは
自らが何もかも創りだしてしまえるが故に、自らの手によらない創作を
促す事で、自分には創れない何かを見出そうとしているのではないか、
と考える者もいるが真相は定かではない。

・これからの展開。

儀式により、クリーシェの力を宿したジュリア。だが、その力は暴走し、
創作者の生霊を召喚してしまう。その生霊は人間へと取り憑き、
曹鉢宗本部は魔窟と化す。その最中を走り抜けるアズ。
一方、本当の目的である、戦那羅・毘津愚兵弐須抹殺の為、
薬で強化され、さらにクリーシェの力を受けて怪物化した大塩平八郎をけしかける。
一撃で致命傷を負わされた戦那羅・毘津愚兵弐須は、
今際の際に幻を見ながら息絶える事となる。
その現場に到着するアズ。ラオウ立ちで息絶えている戦那羅・毘津愚兵弐須。
そして、その傍らには悪鬼の如き異形と化した大塩平八郎。
その向こうには、蒼髪となったジュリアが、虚空へ視線をさまよわせていた。

116 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 22:00:52 0
ちなみに、アズさんは普通の人間です。
時々ブロッキングからのギガースブリーカーを出したりもするけれど、人間です。

・・・そのはずなんだが。

117 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 22:14:20 0
 ――博打は、俺の負けだった。
 いや、それは違うか。そもそも、賭けは成立しなかった。そんな余地は、そもそも無かったらしい。
「破ぁぁああああああ!」
 どこかの寺生まれの人のような奇声を挙げて襲いかかってくる、恐らくは受付嬢だったらしい
可愛いらしかっただろうお嬢さん――今は見る影も無い、山姥か何かのような形相だが――の突進を
かわしながら、俺は自分が甘かった事を痛感していた。変装も兼ねてつけていた星型のサングラスを
外し、ポケットにしまいこみながら、俺は受付嬢だったらしい山姥と向き合った。全く、ここまでおかしな
目で見られた苦労は一体何だったんだ。
「……ったく、なんなんだこりゃ」
 ここは、曹鉢宗本部があるだろう階の一個下、四十七階。そこは、階数表示とその説明を信じる
ならば、とある企業のオフィスが入っているはずの階だった。事実、周囲の風景はその知識を
裏付けている。そこは確かに、オフィスなのだろう。受付があり、少し向こうの方にはいくつも机が
並んでいる部屋がただ一点の、だが決定的な点を除けば。
 白い、ふよふよした物が、そこには漂っていた。そして、その白いふよふよした物は、目の前の
山姥へと吸い込まれていき――
「URRYYYYYY!!!!!」
 今度は

118 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 22:44:16 0
 心眼で見る事にした。
 心眼と言うと、そんなものあり得ないと言われるかもしれないが、これはつまり、それまでの
経験などから相手の動きを予測する事で、実際の動きに事前に対応するという事だ。見てから
動くのではなく、動く前に心の中で見る。故に、心眼と呼ばれるのだ。
 そのスキルが極まれば、本当に目を閉じていてもあらゆる攻撃がかわせる。逆に、目で見る事が
心で見る事を妨げすらすると言う。俺の体術の師は、そのくらい当たり前にやっていたが、まだまだ
俺はその域には達していない。よって、目は開いたままだが、それでも脳裏にはすぐにイメージが
湧き上がっていく。
 現山姥の攻撃は、直線的だ。いかに速さがあろうとも、直線的にしか動けないという事がわかる
ならば、その軌道を予測し、回避する事は容易い。俺はその直線に回り込むように動いた。
 びゅう、と音を立て、山姥の腕が空気を薙ぐ。俺はがら空きになった山姥の胴に、
「すまんな」
 という一言と共に、無造作に拳を叩き込んだ。
「ウボァー」
 どこぞの皇帝のような声をあげながら、山姥は昏倒した。
 

119 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 22:58:33 0
 彼女についていたふよふよとした白い物は、その大きさを縮めながら意識を失った彼女から離れて、
宙を漂い始めた。
 ……これは、一体何なんだろうな? 何かオカルト的な物じゃないか、という予想はつくんだが……。 
「……ん?」
 そこで俺は初めて気づいた。
 この白くてふよふよとした物は、このオフィスのあちこちを飛んでいるという事に。
 そして、その推定霊魂(?)に憑かれた人間が、幾人もうめき声を挙げて倒れているという事に。
「……一体、これは……何なんだ?」
 俺の疑問に答えたわけではないだろうが、うめき声のいくつかが、言葉の体を為し始めた。
「締め切り……つらいよぉ……」
「電波こねぇ……電波こーい……電波こーい……」
「下書き……もうめんどーだ……」
「上達しねえ……上手くなりてー……」
「なんで……俺のは……あいつのが上手いなんて……ちくしょう」
 ……それらの言葉を総合して考えるに、これは……。
「小説家や漫画家の……霊、なのか?」
 締め切りがどうとか言っているし……だが、だとすると、どうして……?
「どうして、ここにそんな霊がいるんだ?」
 ……まあ、そもそも霊に憑かれるという現象自体が、常識の範囲外にあるわけだが、目の前に
起きているそれは、そういった現象であるとしか思えなかった。
 よく見れば、倒れている人間の身体に憑いている白いふよふよは、それ程の大きさではなかった。
これがある一定の大きさになると、さっきの受付嬢のように暴れだしたりする、という事だろうか。
「そして……超人的な力も発揮する、と」
 だが、今の状況はある意味好都合だった。先程の受付嬢のように、襲いかかってきそうな奴は
見る限りではいない。
 今のうちに、さっさと上の階への通路を探すとしよう。
「……ここ、か」
 程なくして、俺は>>に上の階への階段を発見した。
「しかし……なんでこんなトコにあるねん」
 思わずツッコミを入れてしまいながら、俺はその階段を駆け上がる。
 目的地は……目指す場所はすぐそこだ。
「待ってろよ、ジュリア!」

120 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 23:39:56 0
 アズが、ごく普通に存在した上の階への階段を
「……曹鉢宗本部隠してる意味がなくないか?」
 とツッコミを入れながら登っていた、丁度その頃。

「ふはは……素晴らしい……素晴らしいぞこの力っ!」
 白いふよふよを全身にまとい、戦那羅・毘津愚兵弐須は全身に満ち溢れる力に歓喜していた。
「これが創作の……その神の力っ!」
「この力があれば、あのお方にも容易く勝てるっ!」
 彼の目の前には、それまでと髪の色が異なる――蒼い髪となったジュリアが、あられもない
姿で――丁度筋肉バスターをかけられる時のように、臀部が露出する形で拘束されていた。
だが、彼女に恥ずかしがる様子は無い。いや、それ以前に、彼女は周囲の状況に全く反応して
いなかった。ただ、全身からその髪色と同じ蒼い光を放つだけで、その目は、つい先程まで強烈な
意志を宿していた瞳と同じ物だとは到底思えない程に虚ろで、虚空を見上げるばかりだった。
「……素晴らしいお力です、戦那羅・毘津愚兵弐須様」
 センペニの傍らに、ジュリアの乳バンドで覆面をした彼女の父……略してジュリアの乳と共に
立つ奈美・ディアーメサーバは、その顔に満面の笑みを浮かべていた。
 センペニは、その笑顔を賞賛の笑みとしか受け取れなかった。こと、ここに至って尚、彼は
自らの命運が既に尽きている事に気づいていなかった。
「大塩平八郎の映画、『地獄少女対ヘルボーイ』に仕掛けた精力吸収の呪、見事に機能したようだな」
「そして、その収集した精神力を用いて女神の力を、力だけを降ろす……その策、見事に成った!」
「ええ……策は見事に成りました……成ったのですよ、戦那羅・毘津愚兵弐須様」
 センペニを、そして階下のカモフラージュの為の会社員達を包んでいる白いふよふよは、創作者達の
生霊であった。創作者の苦悩、怨嗟、嫉妬、そういった感情が、取り憑いた対象の力を増大させるのだ。
 何の備えも無く憑かれれば、暴走するか、あるいは意識を失うかのどちらかだが、備えた上で憑かれれ
ば、それは自らの能力を増強する、いわば能力増強の道具として使う事ができる。


121 : ◆91wbDksrrE :2010/02/23(火) 23:40:01 0
 だが、それはあくまで生霊の力であり、その生霊をここに呼んでいる女神の力というわけではなかった。
 その事に、センペニは気づかない。自らの身に、女神の力が宿ったと、そう勘違いしていた。
 奈美が教えていないのだから、気づこうはずもない。
「……もう、貴方に用はありません。センペニ」
 そう、奈美が言った瞬間だった。
 センペニと同じく、白いふよふよ――創作者の生霊を身にまとった異形が動いた。
「……」
 


122 : ◆91wbDksrrE :2010/02/25(木) 13:11:44 0
 だが、それはあくまで生霊の力であり、その生霊をここに呼んでいる女神の力というわけではなかった。
 その事に、センペニは気づかない。自らの身に、女神の力が宿ったと、そう勘違いしていた。
 奈美が教えていないのだから、気づこうはずもない。
「……もう、貴方に用はありません。センペニ」
 そう、奈美は呟いた。だが、その呟きにすらも、歓喜に浮かれているセンペニは気づかない。
 その呟きと同時、センペニと同じく、白いふよふよ――創作者の生霊を身にまとった異形が動いた。
 最早、それが"それ"であるという事を示す印は、顔面を覆う乳バンドしかなかった。足も腕も、通常に
倍する太さとなり、さらに急激に伸びた体毛によって覆われ、元々それが人間の物であるという事を、
それを見るだけで気づける者は皆無であろうという程に、それは異形と化していた。
 そして……それは、その変貌に見合っただけの力を、得ていた。
「……」
 気合の声をあげる事も無く、音も無く背後からセンペニに忍び寄ったそれは、気づかぬまま笑うセンペニ
の背中に、一切の躊躇無く、貫手を放った。
 どしゅっ。
「あ?」
「ん?」
 何かを突き破るような音。それは、センペニの身体がそれの貫手によって貫かれた音であり、そして、
センペニの命が失われた音であった。
 センペニの四つの目には、とくん、とくんと、身体から分かたれて尚脈動する、自らの心臓が映っていた。
「……なんだ……?」
「……これは……?」
 センペニは、事ここに至って尚、気づいていなかった。
 自らの命が失われたという事に。
 自らが裏切りにあったという事に。
 痛みを感じる暇も無く、センペニの身体はその機能を失っていく。
「あ……ああ……」
「光が……栄光が……見える……」
 今際の際の幻が、彼の前に現れ、そして――
『ああ……』
 それに手を伸ばそうとした所で、センペニの身体は、止まった。
 全ての機能が停止した。
 センペニは――死んだのだ。

123 : ◆91wbDksrrE :2010/02/25(木) 13:59:11 0
「死に様だけは、まるでどこかの覇王のようね……」
 奈美・ディアーメサーバは、相変わらず深淵の如き笑みを浮かべたまま、天に拳を突き上げて
息絶えたセンペニを見つめた。
「……」
 その傍らに、右手を血で濡らした異形が立った。
 ジュリアの父、大塩平八郎。そうであると、わかる者ならばわかる印、ジュリアの乳バンドは、
今はセンペニの顔面に載せられていた。最早、彼が彼であるとわかる者は、いないだろう。
「それにしても……」
 奈美は、そんな獣に語りかけた。
「まさか、あなたがここまで"適応"するとは、ね……あの薬があのお方の力添えによって出来上がった
 物だとは言っても、ここまで"思念"との親和性が高くなるなんて……」
 異形の獣は、何の反応も示さない。
「もっとも、そこまで思念を取り入れ、自らの変化させてしまえば……元には、戻れないでしょうけど」
 彼の……いや、それの視線は、ただ一点に注がれていた。まるで、その事以外はどうでもいい、と
言わんばかりに、あられもない姿で拘束される、蒼き髪の少女へと。
「……もう、戻れないのに……それでも、娘の事は気になるのね。泣かせる話だわ……本当に」
 言葉とは裏腹に、やはり奈美は笑みを絶やす事なく、異形の獣と、それが見つめる蒼き女神を
交互に見て……そして、彼女は笑った。声をあげて。
 その時だった。
『警告。侵入者発見。警告。侵入者発見』
「……アラート? こんな時に、侵入者?」
 奈美はコンソールを操作して、画面に監視カメラの映像を映し出した。
 そこに映っていたのは――
「……まさか、本当に……この娘を助けに来たとでも言うの!?」
 ――黒い服に身を包み、創作者の生霊に憑かれて暴走する人間をかき分けて走る、一人の男、
曹鉢宗に敵対する組織のエージェント、アブドゥル・タルゥム・アズラットだった。


 生霊に憑かれて暴走する人間を倒すorやり過ごす方法二つ >> >>
 決戦の場所 >>

124 : ◆91wbDksrrE :2010/02/25(木) 14:56:55 0
次忘れずに書く事

偽ンパイアステートビルの各種セキュリティーが機能していない理由


125 : ◆91wbDksrrE :2010/02/25(木) 23:48:03 0
「笑えるわけなんか……ないじゃない」
「おやおや、それはいけない。あなたは、どうすれば笑えるのですか?」
 男の言葉に、だが、少女は応えない。
「私はラフ・メイカー。ですが、貴方がどうすれば笑えるかがわかるわけではない。
 全く、われながら不器用な物です。笑わせる為に生きているのに、その方法を
 自分で見つける事ができないのですから」
「生きてるだけ……いいじゃない……」
 少女は、搾り出すような声で言った。
「生きてるって事が、どれだけ素晴らしい、奇跡みたいな事なのか……あたしは
 全然知らなかった……知らないまま……死んだ」
 少女は飛び上がった。跳んだのではなく、飛んだのだ。
「そして、今はこの有様よ。ここから離れる事もできない。誰も、何も訪れる事の
 無いここで、何もしないまま、無為に日々を過ごして……一体、あたしはどうして、
 こんな風に苦しまなきゃいけないの? いつまでここにいればいいの?
 一体……何があたしを、この場所に……この世界に留めているの!?」
 少女の搾り出すような声は、次第にその大きさを増し、やがては叫びとなった。
 その叫び声に合わせるかのように、周囲に散乱していた瓦礫が宙を舞い飛ぶ。
「ラップ現象、ですか」
 男はその現象にさして驚く事も無く、ゆっくりと宙に浮く彼女の元に歩み寄っていく。
「それが、貴方の悲しみの理由。貴方の笑えない原因、ですか」
「……そうよ。あんた、何て言ったかしら? ラフ・メイカー? 人を笑わせる為に
 生きてるって、そう言ったわよね?」
「ええ。その為に、私は生きています」
「だったら……人じゃない者を笑わせるのは、管轄外なんじゃないの?」
 少女は、全てを諦めきったような瞳で、何かを探るように、男を見た。
「……貴方は、人ですよ。私は、二本の足を持ち、意志を持って会話をする存在を、
 人間意外に知りません」
「人間は、空を飛ばないでしょう?」
「いいえ、私が知らないだけで飛ぶかもしれません」
「人間は、周囲の瓦礫を空に舞い飛ばせたりしないでしょう?」
「いいえ、私が知らないだけでするかもしれません」

126 : ◆91wbDksrrE :2010/02/25(木) 23:50:41 0
「……あんた、滅茶苦茶じゃない」
「よく言われます」
 そう言って、男は少女の視線を真正面から受け止めた。
「大事なのはですね、貴方が人間であるかどうかという事実ではなく」
 そこで、男は、ラフ・メイカーと言う名を名乗りながら、それまで全く
動かそうともしなかった両の唇の端を、持ち上げた。
「私が、貴方を人間だと思っている。その事実なのですよ」
「……やっぱり、あんた、滅茶苦茶だわ」
 呆れたように、少女は言った。
 すると、ラップ現象はやみ、少女の身体もそれに合わせるかのように、
地面へと降り立った。


127 : ◆91wbDksrrE :2010/02/26(金) 00:02:55 0
「……で?」
「はい?」
「あんたは、どうやってあたしの事を笑わせてくれるわけ?」
「そうですねぇ……」
 男はしばし逡巡すると、少女が驚くような事を言った。
「愛を、語り合ってみませんか?」
「……は?」
 唖然とする少女に向かって、男は言葉を継ぐ。
「愛を語り合う、愛しあうという事は、それはそれはとても素晴らしい事です。
 おそらく、貴方はそういった事を知らずに死に、それが心残りになって、
 今も笑えないまま、悲しそうにしたまま、ここにとどまっているのではないかと、
 そう私は推測したのですよ」
「……愛を……って……要するに、あたしが、あんたに、抱かれるって、事?」
「それもありますね。そこまで行かなくても、愛を語り合う事はできるようですが、
 最終的には皆そこに行き着くのは、確かにその通り」
「ば、馬鹿じゃないの!? なんで、そんな……あんた、ただの通りすがりじゃない!」
「そうですね、確かにそうです。でも……一目惚れというものが、世の中にはありまして」
「……あのさ」
「なんでしょう?」
「頭湧いてんじゃないの?」
「……一目惚れした相手に頭沸いてるとか言われた……どうしよう、泣きそうだ……」
「あんたが泣いてちゃしょうがないでしょ!?」
「ええ、そうですね。泣くのはやめましょう」
「……まあ、その……そういう事、興味無いわけじゃないし……それに、あんた、
 別にその……格好悪いってわけでもないから……別に、その、ね? 絶対に
 嫌だってわけじゃないけど……でも、心の準備というか……まだ、したこと、無いし……」
「では、私の方からお願いしましょう。お願いします、貴方を抱かせてください!」

128 : ◆91wbDksrrE :2010/02/26(金) 00:03:02 0
「ッ……! ……ま、まあ、ね? あ、あんたがそこまで頼むから、仕方なく、よ?
 そこの所は、しっかり理解しときなさいよね!」
「はい、無論。私が泣くよりも、貴方を鳴かせた方が楽しそうですし」
「……あんた、あたしを笑わせるんじゃないの?」
「それは採取的に、であって、その道程においては、しっかり気持ちよくして差し上げます
 から、自然と鳴く事になるかと思われます」
「……なんかさ」
「なんでしょう?」
「ホントに頭沸いてるわよね、あんた」
「……どうしよう、泣きそうだ」
「でも、あたしも同じくらい沸いてるかもね……だって、別にいいかな、って……初対面の
 あんた相手に、思っちゃったんだもん……」

129 : ◆91wbDksrrE :2010/02/26(金) 18:52:54 0
 そう言って、少女は目を閉じ、男の胸に、身体を預けた。
「……優しく、しますよ」
 男の言葉にこくりと頷き、彼女は男の顔が自分のそれに近づいてくるのを感じた。

こっからはエロにつき、ここには書けぬ。どうしよう。

130 :夢見る名無しさん:2010/02/26(金) 21:37:13 0
うpろだにうpって貼るとか

131 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 12:14:16 0
「人間は、皆騙されてんだよ」
「はぁ?」
 そいつは、何かいきなりわけのわからない事を言い出した。
「その騙されてる対象が、本当の事か、それとも嘘か。そこが違うだけでさ」
「本当の事に騙されるって……なんか違わない?」
 嘘をつかれるという事、虚偽によって誤った選択をさせられる事、それが
騙されるって事なんじゃないのかしらと、そう私は思った。それが当たり前の
事で、常識なんじゃないのかと。
「それが違わねえんだな、これが」
 彼は、不敵な笑みを浮かべた。まるで、自分の考えが周囲と異なる、それが
誇りであるかのように。
「結局、騙されるってのは、納得するって事だ。後になって違うと、嘘だったと
 わかるかどうかで、騙されたかどうかを判断するのがふつーみてえだけど、
 俺はそうは思わねえんだよな」
「……ちょっと、わかんないんだけど?」
「結果じゃなくて、過程だけ取り出せば、嘘だろうと本当だろうと、騙してない
 のと同じで、だからこそ騙していると言えるって事だよ」
 私の頭の中にはハテナマークが浮かぶばかりだ。まったく、彼の言っている
意味がわからない。
「えっと……要するに、騙されてたってわからなければ、騙してようが本当の
 事言ってようが、誰も気づかない、って事かしら?」
「おおむねそんな感じだな! なんだよ、わかってんじゃん」
「……それって、詐欺師の常套句じゃない?」
「それはちょいと違うな。詐欺師は、最終的には詐欺師だって事に気づかれる、
 そういう痕跡を残してるから、詐欺師だって言われるんだからな」
「痕跡すら残さずに人を騙せるなら……そりゃまあ、詐欺師だって言われる事は
 ないわね」

132 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 12:14:38 0
「だろ!? だから俺はいつも言ってるんだ。誰にも気づかれないように、騙して
 るって事がわからないように騙せ、ってさ。ま、そんな事できる奴はなかなか
 いねーんだけどな」
 ……それは……確かにそうすれば、誰にも詐欺師と呼ばれる事は無く、誰も
傷つけることなく、誰かを騙す事ができるだろう。でも、それは……
「……それ、無理じゃないの?」
「ん?」
「そんな風に人を騙すことって……できないんじゃない?」
「そんなことねえよ」
 彼は、笑った。それまでの不敵な笑みではなく、世の中の何もかもが楽しくて、
それがたまらないといった風に見える、爽やかで眩しい、見ていて思わずドキッと
してしまいそうな、そんな笑顔で。
「例えばさ、長嶋茂雄っているだろ?」
「ああ……野球の」
「あいつが、実はてんで大したことの無いへぼバッターで、皆凄い奴だって騙され
 てるんだとしたら、どうするよ?」
 それは……そんな事は無いだろう。野球にさして詳しくない私ですら、彼の名前
は知っているし、その功績も聞き及んでいる。そんな彼が、凄くないわけが無い。
「それは……そんなわけ、ないじゃない」
「どうしてそう言える?」
「皆が……そう言って……あ」
 そこで、私は気づいた。"皆がそう言っている。だから、嘘じゃない"という、自分の
思考の推移に。
「気づいたみてえだな」
 彼は、やっぱり笑っていた。

133 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 12:14:47 0
「もちろん、バッティング技術が凄いとか、勝負強さに天性の物があるとか、色々と
 理由は付けられてる。でもそれは、全て『凄いと認識できる要素』として、人が
 作り出した物だ。それが本当に凄いことだと、誰が保証する? それを保証する
 人間は正しいと、何が保証してくれるんだ?」
 そうだ……世の中の正しい事とは、即ち、多くの人がそれを正しいと言っているから、
だから正しい事であると定義されているに過ぎないのだと……そこで私は気づいた。
「ま、要するにだな……"それ"が、俺にはできるんだよ」
 彼は、一見して少年にしか見えない彼は、つまりこう言っているのだ。
 自分は、そうやって"正しい事”を作り出す事ができる、と。
「そんな事が……できるって、言うの?」
 しかし、それを人為的に操作するなんて事が……しかも、個人でそれを行うなんて
事が……できる、わけが無い。
「今、できるわけないって思ってるよな?」
 彼は、やっぱり笑っている。その笑いの向こうには、これ以上ない自信が見える。
 できないわけが無いと、そう確信している。
「じゃあまず、そこから騙してやるよ」
 それが、彼との、<嘘の無い嘘吐き>(トゥルース・ライヤー)との奇妙な出会いで、
それから続く腐れ縁の始まりだったのだが……この時のわたしには、そんな事は
知る由もなかった。これから始まる、死神と嘘吐きの化かし合いの事も――

134 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 12:15:43 0
>>130
ありがとう。
いや、まあ、真面目に悩んでるというわけでもないのでw
向こうには書き殴りスレというスレもありますし。



135 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 12:23:54 0
ブギーポップ・アンブッシュ 嘘吐きの本音(リアル・インテンション)

全体像は見えないなー。

136 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 15:00:17 0
「結局は、同じなのよね。プロレスにしたってそう」
「プロレスって……あの、バックドロップがどうこう言って、喧嘩する奴?」
「まあね……知らない人にはそんな風に写るのかしら」
「それがどうかしたの?」
「勝ち負けではない所に価値があると言っても、結局は、その価値で勝負している、
 というような話よ」
「……え?」
「プロレスという競技は不思議な物でね、試合自体の勝敗というのが、実は
 それ程重要視されないの。負けても素晴らしいと賞賛される事があるし、
 勝ってもどうしようもないと罵倒される事がある」
「それって、おかしくない?」
「そうね、おかしいわね。競技である以上、勝敗以上の価値は、本来存在しない
 はずなのに、どうしてだか、人はそれ以外の部分に評価を与えたがる。もっとも、
 これはプロレスに限った話ではないのだけれどね。キックボクシングや総合格闘技、
 もっと言えば野球やサッカーでも、スケートやバスケットボールでも、そういう評価を
 される試合というのはある。物凄い強豪に、アマチュアチームが挑んだりした時とかね」
「試合には負けたが勝負には勝った、というやつ?」
「そう。負けるが勝ち、とも言うわね。とは言っても、それは結局、負ける方に価値が
 あるからというだけで、実際に負けという事実だけを指して言っているわけではなないわ」
「負ける事に価値がある、かぁ……よくわからなくなっちゃう」
「競技である以上、本来勝つ事以上の価値は無いはずだという、その定義が間違って
 いるのかしら。その定義が無ければ、この違和感というのは生じえないのだから。
 それとも、そんなのはただの敗者の、負け犬の遠吠えでしかなくて、それが評価されて
 しまうのは、判官贔屓の引倒しでしか無いのかしら」
「……うーん」
「結局はね、気の持ちようなのよ。それはどこに行っても、何をしてても、同じ。同じなの」
「勝ったと思った人が勝ち、とか?」
「そう。それが真実よ。ただ唯一の、真実になり得る解。人間にとっての、ね。勝利というのは、
 即ち結果として現れるそれ以外にも存在し得る物であり、尚且つそちらの方が人にとっては
 より重要である……といった所かしら」
「でも……なんだか、釈然としない」

137 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 15:00:43 0
「それは簡単な話よ。誰だって、そう、貴方だって、自分一人では生きていけないという、
 ただそれだけの事。だから、その真実を他人に認めてもらえない事には、すっきりしない
 ということなのよ」
「確かにそうね。お母さんとかお父さんとかいないと、私生きていけないもん。あ……でも」
「わたしだってそうよ。この病院にいる人がいなければ、わたしは生きていけない。
 もちろん、あなたがいなくても、よ?」
「……う、うん。でも、ごめんね。嫌な事言っちゃって」
「わたしが、その事を全く気にしていないというのは知っているでしょう?」
「でも……それでも、何か、悪いよ」
「それよ」
「え?」
「それが、今言っていた事の証左。気の持ちようであるという事と、それが他人の存在に
 よって思い通りにはできないという事の」
「よ、よくわからないんだけど……」
「貴方はこう想ったわね? 両親のいないわたしにとって、それを指摘される事は決して
 快い事ではない、と。それを言ってしまって申し訳ない、と」
「……うん」
「でも、わたしにとっては、本当の本当に、そんな事はどうでもいいの。だって、今はもう
 貴方がいてくれるから。それでも、貴方が申し訳ないと思うのは、それが普通だから」
「普通?」
「そう。そうやって申し訳なく思う事が、その話題を不快に感じるという事が普通だから」
「……じゃあ、あなたは普通じゃないの?」
「そうよ? わたしは普通じゃない。だから、そんな気遣いは無用なのよ」
「う……うぅ……」

138 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 15:00:51 0
「でもね、感謝はするわ。例え無用ではあっても、そうやって気遣ってくれたという事は、
 わたしにとっては貴方がわたしを想ってくれたという、その証明なのだから」
「……何か、恥ずかしいよ?」
「恥ずかしがる事は無いわ。貴方のその優しさに、わたしは随分救われているの」
「そういう事面と向かって言われると、恥ずかしいものなんだよぉ……」
「あら、そうなのね。でも……そうやって恥ずかしがってる貴方も、可愛くて大好きよ、わたしは」
「も、もう! 恥ずかしい事ばっかり言って!」
「ふふふ……ごめんなさいね、その辺りの事は、さっぱりわからないものだから」
「……からかわれてるとしか思えないなー」
「嫌だったらやめるわ。貴方は、わたしにとってはかけがえの無い者だから、失えないもの」
「……嫌じゃ、ないけどさ」
「……こうやって、他愛の無い会話を交わせる存在というのは、希望の種になる……それをわたしは
 知っているから、だから……貴方を失うわけにはいかない。あの人も、そうやって生きたのだから」
「え、何か言った?」
「いいえ、何も。ただ、貴方の可愛いさを再確認していただけよ。本当にもう、妬ましいくらいに
 羨ましいわ」
「そ、それを言ったら私だって……凄い、綺麗だし」
「あら、ありがとう。そう言ってくれるのは貴方だけよ?」
「うぅ……なんで言った私が恥ずかしくならなきゃいけないのよぉ! 理不尽だぁ!」
「ふふふ……本当に、ありがとう」

139 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 15:15:13 0
積ん読になってた騎士は恋情の血を流すを読了。
最後何か泣きそうになった。

んで何か思いついたのを上にツラツラと。
よーちゃんとしずるさんっぽく見えなくも無いけど違う人達。

140 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 15:34:06 0
酸素は鏡に映らないも積ん読になってたんで今取り出したけど、
これ2100円もしたのか・・・当時の俺は何を思って新刊で買って、
挙句の果てに積んでたんだろうなぁ・・・今なら中古で千円以下で
買えるだろうに。

141 : ◆91wbDksrrE :2010/02/28(日) 18:00:49 0
読了。

まあまあ、かな。

しかし、騎士は恋情のryの身も蓋もなさに比べると、
話としては収まりがついた感じだな。
騎士はryって、要するに、よーちゃんとしずるさんが如何にして
出会う事になったか、という話であって、それ以外の事は
割と別にどうでもいい、仮面ライダースナックのスナックみたいな
もんのように思えたもんなー。

だからこそ、ラストに何か無性に泣けたのかもしれないが。

142 : ◆91wbDksrrE :2010/03/04(木) 20:37:50 0
鯖が復帰したがやる気は復帰しない。
ガッデム。

避難所でアホな事書く元気があるなら、
先に書きためておけばいいのにね?

143 : ◆91wbDksrrE :2010/03/06(土) 23:03:05 0
でもそのアホな事に絵がついたりするから、世の中わからないw

144 : ◆91wbDksrrE :2010/03/07(日) 20:22:59 0
エロイ板で投下された、高品質戯言SSを読んで、
今戯言シリーズを読み直し、結果書く時間と気力がなくなっているというw

これなんて罠?

145 : ◆91wbDksrrE :2010/03/11(木) 14:07:54 0
支援が来たー!

146 : ◆91wbDksrrE :2010/03/11(木) 21:08:54 0
いやー、ホントに自分はコツコツやるという事ができない奴だw

でもまあ、ああいう風に書いた以上は、それを現実にする為に動かないとね。

147 : ◆91wbDksrrE :2010/03/12(金) 22:46:36 0
とりあえずやる事

・安価小説の続き

・カッコいい発子のSS

この二つを優先

148 : ◆91wbDksrrE :2010/03/16(火) 21:48:10 0
「わたしはね」
 彼の目の前に立つ少女は、不敵な笑みを浮かべて言った。
「自分で創る事はできない。ただ見てるだけ。見守るだけ。見て、守るだけ」
「そ、そんな馬鹿な話が……ありえるはずが……」
 数多の荒らしを繰り返し、人々の怨嗟の声を嘲笑いながら、ありとあらゆる創作を、その場を、壊し尽くし
かねない勢いで暴れまわっていた男の目には、信じられない光景が……信じられない人物が、映っていた。
「目の前の物を信じなさい。貴方が感じている物、それが全てよ。それは、創作を前にした時も、
 それをただ見守るだけの女神を前にした時も、等しく変わらない。愛しくも変わらない。何も、変わらない」
 そこにいるはずのない、蒼髪の女神。
 創作の中でそれが語られるのみの、現実にはいるはずの無い彼女。
 だがしかし、彼の前に、彼女は確かに実体を持って存在していた。
 彼女の声もまた、スピーカーから聞こえるのではなく、彼女の口から響く。
「創る事を守るという事は、つまり、創らざるは守られずという事。まあね、それでも別に、穏当な感想や、
 妥当性のある批評をつけるならば、それは創作の糧になるのだからOKよ。創作に繋がるのならば、
 それすらもわたしは守りましょう。でもね……」
 男は動けなかった。
 蒼髪の女神が自らに向ける視線、そこに込められた一つの意志に縛られ、動けなかった。
 それは、心臓を居抜き、内臓を砕き、全身の血流を沸騰させ、惨めにあらゆるものを垂れ流して死ぬ、
そんな情景を連想させられる、死を込めた意志――殺気。
「でもね……自己満足の為に、壊すだけの言葉を叩きつける事――これは許せない」
 男は、直感した。

149 : ◆91wbDksrrE :2010/03/16(火) 21:48:24 0
「許す理由が――無い」
 自分は、これから殺されるのだ、と。
 男の口をついて出た言葉は、だがしかし、謝罪や懺悔ではなく……悪あがきだった。唯一動く口を、
彼は自己の正当化の為に動かした。そうして彼はいつも難局を乗り切ってきた。いつも彼の前に
立ち塞がった敵は、最終的には彼の前から消えた。いなくなった。
 今回も同じだと、そう彼は思った。
 勘違い、した。
 それが――彼の運命を、決める事になるとも知らず。
「許すとか許さないとか……そんなのお前に決められる筋合いは」
「あるのよ」
 だが、その悪あがきをも、彼女は両断した。
 いや……悪あがきだったからこそ、両断した。
「だって――私は、神様なのだから」
 "最早、この者に可能性は無し"
 冷たい瞳がきらめくと、辺り一面に蒼が広がった。
 蒼。
 ただひたすらに蒼。
 死を、予感させる色。 
 人は、死ねばどうなるか。
 曰く――蒼くなる。白くなるのはその後だ。何もなくなるのはその後だ。
 蒼の後に白。
 白とは虚無。
 故に、蒼の後に絶無。
 故に、蒼たる彼女は、無を手向ける能を有す。
 それを知る者は、いない。
 それを知り得た者は、同じく無と化すが故に。
 彼のように。
 蒼に飲み込まれる、彼のように。





150 : ◆91wbDksrrE :2010/03/16(火) 21:48:31 0
「……こういう風にしかできない自分が、わたしは嫌い」
 動かなくなった"それ"を見下ろしながら、彼女は呟く。
「……何も創れない自分が、わたしは嫌い」
 何者をも産み出せ無い自分を想いながら、彼女は呟く。
「……貴方は、創れたのよ? わたしとは違う。貴方は……わたしとは違う」
 問いかけに、可能性の提示に、既に無と化した"それ"は応えない。
「……そうしてくれれば……わたしは……わたしは……」

 "あなたの事が、好きになれたかもしれないのに"

 最後の言葉は口に出さず、彼女はその場から消え去った。
 一つの可能性を、既に零だった可能性を無へと消し去った、その場から。






 何者をも創れず、故に何者をも創る者を愛し、守る。
 それが彼女。
 蒼髪の女神。
 H・クリーシェ。
 彼女は見守る。
 創作を。創作する者を。
 それが、常套句の如き、ただの気休めと絶望の繰り返しであろうとも。
 それでも彼女は――

151 : ◆91wbDksrrE :2010/03/16(火) 21:57:13 0
・・・カッコいいSSと言えるのだろうか?
ただの厨二な気が。

まあでも、乗ったらすぐなんですよね。
内容はともかく(ぉぃ
乗るまでが長いw

152 :夢見る名無しさん:2010/03/18(木) 03:11:59 0





153 : ◆mIS047Qb/ftc :2010/03/19(金) 13:15:02 0



154 : ◆91wbDksrrE :2010/03/21(日) 09:37:48 0
うにー。



155 : ◆91wbDksrrE :2010/03/21(日) 14:17:25 0
おかしい。

優先するはずの安価小説がさっぱり進まず、
何故かエロい板で化物SSを書いている・・・。


156 : ◆91wbDksrrE :2010/03/22(月) 20:29:33 0
世の中に無意味な事なんて無い。

あるのはただ、無駄な事だけだ。

157 : ◆91wbDksrrE :2010/03/23(火) 20:18:40 0
うにー。
すすまねえというか、取っ掛かりがつかめねー。

発子の台詞だけはポンポン出てくるのになー。

158 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 00:03:44 0
 なるほどな。
 俺は納得していた。あんな無防備な、ごくごく普通の場所に階段があるわけだ。
 それ自体が罠。迂闊な、疑いを持たない、俺のような人間に対する罠だった、という事だ。
「……ったく……もう、一ヶ月は登ってる気分だな」
 延々と続く階段。
 螺旋になっているわけでもない。降りているわけでもなく、ずっと登り続けている。
 にも関わらず、階段は続く。
「こんな罠仕掛けて、全く念入りなこった」
 嘲るような笑みを浮かべてみるも、疲労が拭えるわけでも無い。俺は少し休憩を取る事にした。
敵地のど真ん中ではあるが、闇雲に動き続けてガス欠してしまえば、それこそ終わりだ。
 それに……ここには、人の気配は無かった。人に憑くモノの気配も、また。
 階段を登り始めてしばらくの間は"敵襲"はあった。恐らくは作家の亡霊にでも憑かれた人間の、だ。
 どうやら、その騒ぎのお陰で、電子的なセキュリティーについては役を為さないようになっていたのは、
まあ不幸中の幸いと言えただろうが、その分、全く躊躇無く俺という標的に襲いかかってくる"普通の人間"
の厄介さと言ったら、これは無かった。
 だが、その"敵襲"も、階段を登り始めてしばらくすると、止まった。
 おそらく、そこで俺は囚われてしまったのだろう。この、結界とでも称するのが妥当な、超自然的な罠に。
「オカルトにも程があるだろ……まったく」
 あるいは、何らかの催眠によって、俺は登り続けているという錯覚をしているだけで、その実、階段で
足踏みをしているだけなのかもしれない――そう考えて適当な壁に頭突きをかましてみたが、まあ、
普通に痛かった。当たり前だ。こんな現実感のある催眠……夢は、ありえない。
 だとすれば、巧妙に設計された錯視的な通路であるのではないか――その可能性も考えた。
 人間は視覚に引き摺られる。周囲に変化の乏しい森などで、気づいたら狭い範囲をぐるぐる回って
いただけ、などという遭難の定番シチュエーションは、人間がいかに視覚に頼っているかの証明の
ようなものだろう。周りの風景で、自らの進行方向を判断しかねるが故に、自分がまっすぐではなく、
少しだけ曲がって歩いているという事に気付けない――。

159 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 00:04:29 0
 それと同じようなトリックの疑いを持ち、俺は目を閉じて足を進めた。
 結論からいえば、だ。やはり、ただひたすらに、上に登っている事に間違いは無かった。
 これは、オカルトだ。超常現象だ。本来ならば、ありえない。ありえるはずの無い現象だ。いかにこの
ビルが巨大で、階数が膨大だとは言え、これ程の長時間歩いていて、全く先が見えないなどという事は
ありえない。
 そもそも、ありえなといえば、作家の亡霊に取り憑かれるだの、そんな事の方が余程ありえない。
 だが、それについては目の前で確認した。現実として、この目で見たのだ。
 ……となれば、この無限階段についても、認めざるを得ない。
「まあ、問題はそこじゃないんだよな……」
 そうだ。結局は、これが現実であろうが何であろうが、俺にとって大事なのは、この状況から如何にして
抜け出すかという事であって、それ以外の事は別にどうでもいい。別にどうでもいいのだが……その抜け
出す方法について、全くこれっぽっちも取っ掛かりがつかめない。
 故にこその、小休止。
 下手な考え休むに似たりと言うのならば、休んでしまおうという事だ。
 ……まあ、休んだ所で、何かいいアイデアが思い浮かぶというわけでも無いのだが。
 相手は、超常現象だ。
 生憎と、俺はあくまで常識の中で生きてきた。もちろん、普通ではない事件に遭遇したりする頻度は、
普通にいきている人間よりは随分と多かったと言えるが、普通ではないどころではない、異常と言うのも
生ぬるい、超常なる事件には、流石に出くわしたことが無い。
「まったく……ままならないもんだぜ」
 浮かべる笑みにも、俺は力を込められない。

160 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 00:04:45 0
 もしかすると。
 このまま俺は。
 ここで延々と階段を登り続けながら。
 疲労し。
 衰弱し。
 飢餓し。
 絶望し。
 絶望死。
 するのではないか。
『ねえ』
 ジュリアを助ける事もできず。
 彼女を救うヒーローにもなれず。
 ままならない、まま。
『ねえってば』
 ……いや、絶望するにはまだ早い。
『ちょっと』
 登ってもダメなら、つまり縦軸に移動するのがダメなら、発想を転換させてみれば……。
『聞きなさいよ』
 ……いかんな、自分で思っている以上に疲労が酷い。幻聴まで聞こえてきやがった……。
『誰が幻聴よ誰が』
 いや、お前の事だよ。……って、幻聴と会話するなんて、俺ももう駄目かもしれないな……ははっ。
『浸ってる所悪いんだけど……人の話聞く気、ある?』
「……幻聴にしちゃ、何か妙に個性的だな?」

161 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 00:04:51 0
『だから幻聴じゃないって言ってるでしょ! うだうだ言ってないで人の話聞きなさいよ!』
 ……これ、は?
『まあ、まず言っておくけど、これはあんたの頭に思念波送って私の声聞かせてんの。ぶっちゃけると
 テレパシーって奴? で、あんたの考えてる事も、こっちでは捉えられてるから、会話可能ってわけ。
 ここまでOK?』
 ……つまり、幻聴ってわけじゃない、って事か?
『そうよ。あんた、幻聴なんか聞くようなタマじゃないでしょ?』
 まあ、な……どこの誰かは知らんが、テレパシーだか何なんだかもよくわからんが、要するに、俺に
何か言いたい事があるんだな?
『言いたい事っていうか……お願い、かな?』
 お願いねぇ。
『まずは、私の名前から名乗っておくわね。私はH・クリーシェ。女神よ』
 ……。
 …………。
 ………………。
 は?
『H・クリーシェ。女神よ』
 ……いや、別に聞こえなかったわけじゃなくてだな……女神?

162 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 00:21:32 0
『そ。まあ、最初はとある掲示板見守る神様だったんだけどね、なんだかんだで今や創作の女神よ』
 心なしか、その声は誇らしげだった。つまり、本気だという事だ。
『……あんた、失礼な奴ね』
 

163 : ◆91wbDksrrE :2010/03/25(木) 13:54:33 0
 いや、テレパシーで話しかけられてるだけでもありえねーってのに、その上神様? なんなんだ
このファンタジー路線? 俺は一応ハードボイルド小説の世界に生きてきたつもりなんだがな……。
『嘘でしょ』
 はい嘘です。よくてルパン三世な世界です。ボイルド具合は半熟がせいぜいです。
『奥の手で敵倒しまくって半熟値貯めたはいいけど、半熟レベル上げ過ぎて弱い半熟モンスター
 しか出て来なくなって困るのよねー。うんうん、経験あるわ』
 何の話だ。
「まあ、女神どうこうは一先ず置いとくとしてだな……一体何なんだ、君のお願いってのは?」
『女神どうこうは一先ず置いておけないんだけど……』
「まあいい。君が女神だと仮定して、だ」
『……まあいいわ。率直に言うわね』
 ああ、そうしてくれ。
『わたし、今、貴方が助けようとしている娘の中にいるの』
 ……。
 …………。
 ………………。
 は?


164 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 21:28:16 0
『……あんた、そればっかしね』
「いや、いやいや、いやいやいや。ちょっと待て。待ってくれ」
『何を待てってのよ』
「俺が助けにいこうとしてるのは、ジュリアって女の子だ」
『そうね。自分が中にいるから言うわけじゃないけど、結構可愛い娘じゃない。もしかして惚れてるの?』
「……なわけねえだろ。だいたい、歳の差どんだけだと思ってんだよ」
『どうだかねー』
「……ともかく、ジュリアの中に……あー、クリーシェ、だったっけ?」
『ええ』
「お前がいる、って言う事か?」
『そうよ。何かどっかの馬鹿に召喚されちゃったみたいでね。その器として、この娘が選ばれたらしいの』
 召喚? ……本当にファンタジーだな、おい。
『まあ、ハードボイルドスパイアクションは諦めなさい』
 ……俺は最初からそこは目指して無いんだが。
『あら、そうなの?』
「……何か、考えてる事が筒抜けってのはやりにくいな」
『仕方ないじゃない。これが今の私の精一杯なんだから』
「カリ城かよ」
『えー。わたしルパンよりクラリスがいいんだけど』
「わかったよ。……それで、お嬢さん?」
『何かしら、おじさま?』
「……何か、お前の声だとどう聞いてもおしとやかで芯の強いお嬢様ってより、ツンデレタカピーお嬢様
 ってイメージにしかならんのだが」
『うっさいわね。ほっときなさいよ』
 ……放っておく事にしよう。
『それがいいわよ』
「……本当にやりにきー」
『とにかく、閑話休題。話戻すわよ』
 へいへい。
『わたし、今召喚されて、その娘の中にいるんだけど……ちょっと問題があってね?』
「あ、ちょっとその前に一つ質問いいか?」
『いいわよ』

165 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 21:38:45 0
 俺は、一番肝心な事をまず聞く事にした。
 即ち、ジュリアは無事なのか、という事だ。
『ああ、なるほどね。そこは確かに心配よね。よくあるファンタジーだと、神降ろしの器にされたりしたら、
 よくて寿命半減、悪くすると即魂が崩壊して死亡、蘇生も不可、ってのが定番だものね』
「っていうかそれ背景世界フォーセリアだろ……」
『ちなみに、わたしはラヴェルナが一番好きね』
「で、結局だ……ジュリアは、無事、なのか?」
『そうね……無事、といえば無事よ。ここはフォーセリアじゃない、ただの地球だしね』
 俺はほっと胸を撫で下ろした。一先ず、助けに行くも間に合わず……という事は無さそうだ。
「とりあえず、それを聞いて安心したよ。となれば、さっさとこの階段を抜けなきゃな」
『ちょっと待ちなさいよ!』
「なんだ、クリーシェ? 俺はこれからこの階段の横の壁をぶち抜いてだな……」


166 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 21:40:59 0
「いや、いやいや、いやいやいや。ちょっと待て。待ってくれ」
『何を待てってのよ』
「俺が助けにいこうとしてるのは、ジュリアって女の子だ」
『そうね。自分が中にいるから言うわけじゃないけど、結構可愛い娘じゃない。もしかして惚れてるの?』
「……なわけねえだろ。だいたい、歳の差どんだけだと思ってんだよ」
『どうだかねー』
「……ともかく、ジュリアの中に……あー、クリーシェ、だったっけ?」
『ええ』
「お前がいる、って言う事か?」
『そうよ。何かどっかの馬鹿に召喚されちゃったみたいでね。その器として、この娘が選ばれたらしいの』
 召喚? ……本当にファンタジーだな、おい。
『まあ、ハードボイルドスパイアクションは諦めなさい』
 いや、目指してないし。
『あら、そうなの? さっきハードボイルド小説がどうこう考えてたじゃない』
「それは冗句だよ……ってか、考えてる事が筒抜けってのはやりにくいな」
『仕方ないでしょ。きっちり精神つないでないと、意志の疎通はできないの。これが今の私の精一杯
 なんだから』
「カリ城かよ」
『えー。わたしルパンよりクラリスがいいんだけど』
「わかったよ。……それで、お嬢さん?」
『何かしら、おじさま?』
「……何か、お前の声だとどう聞いてもおしとやかで芯の強いお嬢様ってより、ツンデレタカピーお嬢様
 ってイメージにしかならんのだが」
『うっさいわね。ほっときなさいよ』
 ……放っておく事にしよう。
『それがいいわよ』
「……本当にやりにきー」
『とにかく、閑話休題。話戻すわよ』
 へいへい。
『わたし、今召喚されて、その娘の中にいるんだけど……ちょっと問題があってね?』
「あ、ちょっとその前に一つ質問いいか?」
『いいわよ』

167 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 21:45:55 0
 俺は、一番肝心な事をまず聞く事にした。
 即ち、ジュリアは無事なのか、という事だ。
『ああ、なるほどね。そこは確かに心配よね。よくあるファンタジーだと、神降ろしの器にされたりしたら、
 よくて寿命半減、悪くすると即魂が崩壊して死亡、蘇生も不可、ってのが定番だものね』
「っていうかそれ背景世界フォーセリアだろ……」
『ちなみに、わたしはラヴェルナが一番好きね。もちろん、湖岸の国までしか読んでないけど』
「で、結局だ……ジュリアは、無事、なのか?」
『スルーされた……』
 当たり前である。真面目な話をしようとしている時に脱線させるんじゃねえ!
『うう……ごめんなさい』
 わかればよろしい。
『そうね……無事、といえば無事よ。ここはフォーセリアじゃない、ただの地球だしね』
 俺はほっと胸を撫で下ろした。一先ず、助けに行くも間に合わず……という事は無さそうだ。
「とりあえず、それを聞いて安心したよ。となれば、さっさとこの階段を抜けなきゃな」
『ちょっと待ちなさいよ!』
「なんだ、クリーシェ? 俺はこれからこの階段の横の壁をぶち抜いてだな……」
『無事といえば無事、って言ったでしょ?』
「え? だから無事なんだろ? ……って」
 そう言って、俺はふと気づいた。
 無事といえば無事。それはつまり、無事と言わなければ無事ではない――無事とは言い難い
要素がある、という含みを持たせた言い方だ。
『いや、まあ、身体は本当に完膚なきまでに無事よ? 正直、わたしも神様だって言っても、
 そこまででっかい力持ってるわけでもないしね? ……でもねぇ、一つ大きな問題があるの』
 大きな問題。
 それはジュリアにも関わってくる問題……なのだろう、おそらく。
『実はね、今わたし……っていうかわたしの入ってる身体、とっっっっっっっっっっっっても!』
「とっても?」
『……恥ずかしいカッコ、させられてるのよね』
 ………………。
 はぁ?
『あんた、本当にそればっかりね……』
 いや、聞き返したくもなるだろ!? 恥ずかしい格好? なんだそりゃ!?

168 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:10:43 0
『筋肉バスターって知ってる?』
 ああ、知ってるぞ。……ってか、何かさっきから知識偏ってないか? なんか日本のOTAKU文化に
ついての話ばっかり出てるような気がするんだが。
『ついてこれてるじゃない?』
 だって面白いからな。アニメーションとかマンガとか、結構好きだし。
 そもそも俺がこういう職を志したのはだな、ヘッケルとジャッケルという……。
『そんな事はどうでもいいわ』
 あ、はい、どうでもいいですね、うん。
『……まあ、端的に言うとね、あの態勢で、パンツ丸出し状態?』
 ………………………………。
 よし、ジュリアをそんな目に遭わせた奴を連れてこい。
 火刑にしてやる!
『幅が広いんだか狭いんだか……』
 ……ごほん。本音はともかく、だ。
 そんな辱めにジュリアがあってるなら、一刻も早く助けないと……!
『というわけで、わたしもそんな恥ずかしい格好させられてるせいで、彼女の身体を使えずに
 困ってるわけよ』
「……なるほどな、そう繋がるわけか」
 女神のお願い。恥ずかし格好させれてるせいで、意識を表に出せずにいる。
 だから、その格好をさせられている状態から助けてくれ、という――お願い。
『おかげで力暴走しちゃって、色々と創作を志す人の思念っていうか、生霊みたいなの呼び出し
 やうし……本来、魂に活力を与えて創作する気を起こすってのが正当な使い方なんだけど、
 それが暴走してるせいで、逆に創作する人の魂をひっぱりこんじゃってるみたいなのよねー』
 ……。
 おい、ちょっと待て。
『何? っていうかあんた、ちょっと待て発言多くない?』
 多くもなるわい。
 この状況、お前のせいなのかよ!?
『……この状況って?』
「さっき俺が襲われたりした奴らに憑いてた霊は、お前のせいで出てきたのかって事だ!」
『ああ……そうね。そういえば、そういう事になるわね』
 ったく……とんだ迷惑だ。

169 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:11:00 0
「という事は、この無限階段も、お前の力が暴走して、って事か……」
『あ、ごめん。"これ"は違うわ』
 ……あれ? そう、なのか?

170 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:32:41 0
 このオカルトな、ファンタジーな、荒唐無稽な現象は、全てこの女神様とやらの仕業だと、そう考えて
しまいたい所なんだが……本人が(本神が?)違うと言うのなら、違うのだろう。
『これは……アイツの仕業よ。仕業、ってのも違うわね。アイツは、こういう現象を"創った"だけ。
 だから、アイツの"創った"現象をここに設置した奴がいるって事になるから、正確に言えばそいつの
 仕業って事になるけど……大元に在るのは、アイツの力よ』
 女神はよくわからない事を言った。
『いや、まあ……わかれって言っても難しいとは思うけどね。アイツは……言葉では、ちょっと説明
 し辛い奴だからさ』
 言葉では説明し辛い? そりゃまた一体どういう事だ?
『……まあ、あんたなら、いつかアイツと遭う事もあるでしょ。わたしに出会って、アイツに出会わない
 なんて事は、多分無いはずだからね。だから、その時に……その時に、圧倒的なまでに、わかる
 事はできるから……ま、安心しなさい。……いや……絶望しなさい、と言っておいた方が、より正確
 なのかもしれないけどね』
 ますますよくわからない事を、女神は言った。どこか、苦笑いのような、イタズラをする子供のような、
そんな不思議な笑いの気配を、俺に向けて放ちながら。
 アイツとは、一体……?
『魔王よ。そう呼ばれているわ』
 ……なんだそりゃ?
『全てを創る者。混沌の担い手。破壊を全うせし者……名すらも、破壊し、そして新たに創るが故に、
 一言でアイツを称する事はできない。そんな言葉はこの世に存在しない。いつかアイツが創るまでは。
 ……ただ、今この瞬間のアイツの名ならば、教える事ができるわ』
 ……。
 俺は、自分が唾を飲み込む音を聞いた。
 緊張、している? 何にだ? この女神さんの過剰な演出にか?
 違う。
 彼女が口にしようとしている存在の、その力にだ。
『ハルトシュラー。それが、彼の、彼女の、その存在の……今に限っての、真なる名よ』
  

171 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:40:28 0
>158-163
>166-170

とりあえず。

172 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:44:03 0
>168

『ああ……そうね。そういえば、そういう事になるわね。ごめんなさい、迷惑かけちゃってるわね』
 ったく……とんだ迷惑だ。まあ、お陰でセキュリティーについては無効化できたみたいなんで、
迷惑ばっかりってわけでもないけどな。しかし――

173 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:51:50 0
 このオカルトな、ファンタジーな、荒唐無稽な現象は、全てこの女神様とやらの仕業だと、そう考えて
しまいたい所なんだが……本人が(本神が?)違うと言うのなら、違うのだろう。
『これは……アイツの仕業よ。仕業、ってのも違うわね。アイツは、こういう現象を"創った"だけ。
 だから、アイツの"創った"現象をここに設置した奴がいるって事になるから、正確に言えばそいつの
 仕業って事になるけど……大元に在るのは、アイツの力よ』
 女神はよくわからない事を言った。
『いや、まあ……わかれって言っても難しいとは思うけどね。アイツは……言葉では、ちょっと説明
 し辛い奴だからさ』
 言葉では説明し辛い? そりゃまた一体どういう事だ?
『……まあ、あんたなら、いつかアイツと遭う事もあるでしょ。わたしに出会って、アイツに出会わない
 なんて事は、多分無いはずだからね。だから、その時に……その時に、圧倒的なまでに、わかる
 事はできるから……ま、安心しなさい。……いや……絶望しなさい、と言っておいた方が、より正確
 なのかもしれないけどね』
 ますますよくわからない事を、女神は言った。どこか、苦笑いのような、イタズラをする子供のような、
そんな不思議な笑いの気配を、俺に向けて放ちながら。
 アイツとは、一体……?
『魔王よ。そう呼ばれているわ』
 ……なんだそりゃ?
『全てを創る者。混沌の担い手。破壊を全うせし創造者……名すらも、破壊し、そして新たに創るが故に、
 一言でアイツを称する名は、そんな言葉はこの世に存在しないの。……ただ、今この瞬間のアイツの
 名ならば、教える事ができるわ。仮初ではあるけども、同時に真名でもある、そんな名前よ』
 ……。
 俺は、自分が唾を飲み込む音を聞いた。
 緊張、している? 何にだ? この女神さんの過剰な演出にか?
 違う。
 彼女が口にしようとしている存在に対して、だ。
 まだ、どういう存在なのかもわからない、その名前すらもわからない、何もかもわからない、そんな
存在に対して、俺は緊張を強いられている。

174 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:52:04 0
『それが……彼の、彼女の、その存在の……仮初の真名。仮初でありながら真でもあるという矛盾すら、
 彼女は創る。創り出す事ができる。その名を――』
 緊張は、その名を耳にした瞬間、最早戦慄と言ってもいいレベルに達した。
『――ハルトシュラー』

175 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 22:53:36 0
>158-163
>166-167
>168( >172 )
>169 >173-174

176 : ◆91wbDksrrE :2010/03/26(金) 23:20:47 0
とりあえず投下。

続いて、ファミチキと罵倒による敵回避及び、決戦のバトルフィールドへ!

177 : ◆91wbDksrrE :2010/04/01(木) 17:14:21 0
……ふぅ。

178 : ◆91wbDksrrE :2010/04/02(金) 21:26:41 0
『なーんちゃって。ちょっと脅かしすぎたかしら? ま、心配しなくても、アイツは今回に限っては、
 おそらく出てこないと思うわよ。"話の筋"(ストーリーライン)として、ここであんたがアイツと
 出遭うってのは、ちょっと考えにくいからね』
 ……そんな台詞と共に、その"魔王"についての話は打ち切られた。
 まるで、その名を呼ぶ事が、その存在を噂する事が、そこに招いてしまうというジンクス――要するに、
噂をすれば何とやら、だ――を恐れるかのように。そう感じたのは、決して俺の思い違いでは無いだろう。
 女神を自称する彼女すらも、その存在を恐れているようだった。恐れているという事を、多分自分では
認めないのだろうけれど、俺は、そう感じた。
 ……何もかもを創る存在。
 そんなの、それこそ神様みたいなものじゃないか。
 そんなのが、曹鉢宗のバックにいたという、その、恐らくは事実であろう情報。こんなもの、組織に
持ってかえっても一笑に付されるだけだろうなぁ……。
 だからというわけでは無いが、俺自身、その存在については深く詮索しようとは思わなかった。名前
だけで戦慄を、その理由もわからないまま覚えさせられるような、そんな奴について深く知りたいとは
思わない。それに、深淵を覗く者は、という言葉もある。好奇心猫を殺す、という言葉もだ。知れば知る程
招きやすくなる……それは世の中で実際に起こるジンクスであり、知ったが最後、それから逃れる
事はできないなんて事は、俺の生きる世界では当たり前にある。
 だから、俺はその存在を、意図的に頭の中から消した。考えない事にした。
 それよりも。
 それよりも、今、考えなくてはならない事が、ある。
 ここから脱出し、ジュリアを助けなくてはならない。
 それが、今為すべき、最優先事項。
『ここからの脱出は……そうね、わたしが誘導すれば、恐らくは可能よ』
 そう言ったクリーシェの言葉通り、彼女の言葉に従って歩くと、すぐに階段はその終端を迎えた。
これまで延々登り続けてきたのが馬鹿みたいに、それはあっさりとした到着だった。
 そのあっさりとした到着を、別に挽回しようと思ったわけではないだろうが――
「ぐるぉぉぉぉぉぉぉぉうっっっっ!!!!」

179 : ◆91wbDksrrE :2010/04/03(土) 21:22:17 0
 ――待ち構えていたかのように、化物が出現した。
 創作者の生霊が宿り、暴走した人間。その速度や膂力は人並みを外れた上にさらに
外れていて、まともに打撃されれば、普通の人間である俺は、一撃で倒されかねない。
「ちっ!」
 問答無用で襲いかかってくる

180 : ◆91wbDksrrE :2010/04/15(木) 13:51:44 0
おおふ

寝てた(嘘

181 : ◆91wbDksrrE :2010/04/18(日) 00:13:16 0
何か創作欲が乗らない。

世界樹3のせいだな(←ダメ人間

182 : ◆91wbDksrrE :2010/04/18(日) 00:14:50 0
とりあえず、今日届いた本

國崎出雲の事情と最上の命医。
前者は、連載時に普通に絵がいいと思ったので購入。
でも、カブキファンからは絶対に叩かれそうな内容だよなぁw
実際にどうかまで調べるつもりはないが。
可愛い女の子がいればそれでいいのです。

・・・あれ? 女の子・・・? ・・・・・・・・・・・・

                   
                        ヽ○ノ   俺「まあいいか!」
                         /
                        ノ)
                   


183 : ◆91wbDksrrE :2010/04/23(金) 00:11:53 0
うーん、ウボァーと言えば俺自身ウボァー中なんだよなーw

まあ、なるようにしかならんですよ。
ギルバート・メレンデスよ。

184 : ◆91wbDksrrE :2010/04/23(金) 23:49:17 0
「ずっと好きでした!」
 告白。それはもう、紛れも無く告白だ。何の告白かって? そりゃ無論――愛の、だな。
 そんな事されたら、普通なら大喜びなんだろうな……しかも、相手がくりくりの巻き毛が可愛らしい、
つぶらな目をした結構器量よしな女の子となれば、普通の男なら両手を挙げて万歳三唱間違い無し。
もう、目潤ませちゃって、自分の言葉が相手にどんな反応をもたらすのか、不安と期待がないまぜに
なった顔しちゃって、可愛いったら無いの。本当に可愛いと思う。……可愛いいんだけど、さ。
「……あの、ね」
「なんですか先輩!」
 あーあー、もうそんなに気張らんでも……って言っても、そりゃ気張るよねー。この娘にしたら
一世一代の大勝負なんだろうし。そりゃ瞳も潤むわ、ってなもんだよ。
 でもさ、ちょっと冷静になってもらいたいんだよね……"あたし"としては、ね。
「あたし、女だよ?」
 そう。
 それが問題。
 一世一代の大勝負の相手が、同性ってのはどうなのよ? これが噂の百合って奴なのかしらん……。
「それがどうかしたんですか?」
 ……なんか、何を当たり前の事を言ってるんだ、みたいな顔されたんですけど。
「いやね、だから……普通、女の子は男の子と付き合うのが自然じゃないのかな、って」
 うちは共学だしねぇ。女子高だと、意外と出会いが無いせいか、百合カップルって珍しく無い
らしいんだけど、共学で、ちゃんと男もそれなりにカッコいいのがいる我が校で、まさかこんな事態が
起ころうとは。しかも他ならぬあたしの身に。
「……先輩は、私の事、嫌いなんですか?」
 ……うーん、どうなんだろ? 嫌い……ではないよねー。可愛いと思うし。部で見てる限りだと、
性格も非の打ち所が無いし、

185 :夢見る名無しさん:2010/04/25(日) 13:45:13 0
うるせぇそっちが一枚岩じゃないようにこっちも一枚岩じゃないんだよ
そんなんだから面倒くさくてみんな他の所に引き上げるんだ

186 :夢見る名無しさん:2010/04/25(日) 13:46:02 0
あばばばばばばあばばばっばばばば
誤爆してしまいましたあああああああああああああああああなかったことにいいいいいいいいいいいいい

187 : ◆91wbDksrrE :2010/04/25(日) 19:00:33 0
<○><○> ジー

┃━┏┃ ジー

あ? え? はい?
何ですか? ワタシ、何もミテないアルヨ! イザユケボウケンシャタチー!

188 : ◆91wbDksrrE :2010/04/28(水) 00:41:33 0
なんだかなぁ

189 : ◆91wbDksrrE :2010/04/29(木) 17:11:51 0
うがー。

190 : ◆91wbDksrrE :2010/04/29(木) 17:12:49 0
<○><○>
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

胸の辺りまで埋められてお手上げの二人な図

191 : ◆91wbDksrrE :2010/04/29(木) 17:40:39 0
「浮気、しましたね……?」
 彼女の瞳は、既に狂気に染まっていた。
 その利き腕に持つ刃渡り十センチのナイフが、その狂気を裏付けている。ちなみに、逆腕には
鍋の蓋を持っている。どこかの小さい妹リスペクトなのか。
「貴方が私だけの物じゃなくなるなら……」
 じり、じりと。彼女は僕の方ににじり寄ってくる。
「貴方を殺して私も死ぬわっ!」
 そして、全く躊躇なく、遠慮なく、配慮などそもそも無く、ナイフを僕のみぞおちに向けて、正確に、
これ以上無い程正確に突き出してきた。
 それを僕は――避けない!
「……え?」
 感じたのは、熱さだった。
 痛みはほとんど無く、ただひたすらに、熱い。 

192 : ◆91wbDksrrE :2010/04/29(木) 17:54:14 0
 それはつまり、痛みを感じる事すらもできない、という事なのかも、しれなかった。
 目の前には、驚いた顔の彼女。おそらく、僕が避けると思っていたのだろう。実際、いかに
正確にナイフを突き出そうと、それを操る彼女に、ナイフを用いる技能などは何も無い。避け
ようと思って避けられない物ではなく……正確さから見て、訓練すれば相当のナイフ使いに
なれそうだけど、彼女には、そんなのとは無縁の人生を送ってもらいたいな……などと。今は
そんな事を考えている場合でも、その余裕も無かった。
 鳩尾。人体の急所の一つだ。そこにナイフは突き立っている。
 出血は止まらない。当然だ。止めようとしていないのだから。
 今考える事は別にあり、今すべき事は止血ではない。
「な……なんで? どうしてなのっ?」
「これは……証だよ」
 声も震えていた。情けない限りだ。こんな震えた声じゃ、格好付けてもさまにならないじゃないか。
「いつだったか言っただろ? ……僕は……死ぬなら……君に殺されたい、って」
 そう。
 彼女は、率直に言って、常軌を逸していた。異常者だった。可愛く言えば、ヤンデレとでも言う
のだろうけど、当事者である僕には、そんな可愛い者では決して無く、時に旋律を覚える事もあった。
 それはいつの事だったろうか。彼女を部屋に呼んだ時、

193 : ◆91wbDksrrE :2010/05/05(水) 23:36:25 0
 ――待ち構えていたかのように、化物が出現した。
 創作者の生霊が宿り、暴走した人間。その速度や膂力は人並みを外れた上にさらに
外れていて、まともに打撃されれば、普通の人間である俺は、一撃で倒されかねない。
攻撃を避けて機会を伺うか、あるいはリスクを承知で、ジュリアの親父さんにやったように、
後の先を取るか――まともにやれば、そのどちらかしかない。
 だが、まともに闘う必要はそもそも無かった。こちらには、彼らを招く理由となった、蒼い女神が
いるのだ。
「お前の作品、三点リーダーが多すぎて読みにくいんだよ! それに中身もあちこちからネタ
 パクってきて織り交ぜてんじゃねえよ! わかる人間からしたら失笑もんだ! サービスの
 つもりかそれで!?」
 それは、創作に関する罵倒。
 クリーシェが教えてくれた、こいつら――創作者の生霊に憑かれた人間への、最も効果的な対処法
が、それだった。
「うごごごごごごごごごごぉっ!!!??」
 そんな事を叫んで意味あるのかよ、と半信半疑だった俺の目の前で、今まさに俺に目がけて
振り上げた拳を振り下ろそうとしていた怪物が、ばったりと仰向けに倒れ、さらに痙攣し始めた。
 ……効いてるよ、おい。
『生霊に出しちゃうくらいの子って、大抵繊細なのよね。だから罵倒されると逐一凹んじゃうの』
「……な、何か申し訳ない事しちまったような気分になるな」
『本当は、ファミチキがあればもっと楽なんだけどね』
「ファミチキ? コンビニのファーストフードが何の役に立つんだ?」
『わたし、好物なのよね。その影響があるのか、この子達もファミチキには目がなくなってるの。
 だから、ファミチキを餌にして、戦闘回避するのが一番手っ取り早いのよ』
「……この国、ファミマなんか無いもんな」
 一応、ここは海外某国という事になっている。。ジャパニーズコンビニエンスストアは、ここには
あったりなかったり、だ。
「ま、別に罵倒しながら進んでいきゃいいんだろ?」
『うん、まあ、そういう事ね』
 化物は、痙攣しながら何事かつぶやいている。恐らくはそれは、謝罪の言葉なのだろう。
「……ま、元の身体に戻ったら、しっかり省みていい作品作ってくれよ」
 俺はそんな言葉を化物の中の人にかけると、先へと進む事にした。

194 : ◆91wbDksrrE :2010/05/05(水) 23:49:49 0
そもそも、ノリとか以前の問題として、キャラ設定とか忘れてるという。

備忘録的にまとめとくか。

・騎士
実は女性な、一見イケメン優男な騎士さん。基本的にマジメで、時々容赦が無い。
熱烈ラブコールを仕掛けてくる魔王の事は憎からず思っているが、愛があれば性別なんて!
というレベルに達しているかというと、そこまででは無い。可愛い妹的な感じ。


195 : ◆91wbDksrrE :2010/05/06(木) 21:01:00 0
・魔王
幼女。耳年増でエロエロアピールを騎士を落とそうと試みているが、スルー率高し。
まあ、所詮幼女なので、効果の程も知れているというか、相手が女なのがそもそもの敗因というか。
サキュバス、吸精鬼の一族であり、本人もその力を宿している。
今後独り身の寂しさからその力を暴走させたりする予定。
魔王である事を知っているのは騎士と・・・あと誰だったっけ?

196 : ◆91wbDksrrE :2010/05/07(金) 02:40:01 0
コテけーしわーすれー♪

まあ、特に問題は無い。多分。

197 : ◆91wbDksrrE :2010/05/07(金) 03:34:53 0
俺、絶対例のアレで生涯文章絶対量の3%くらい浪費してるよなぁ・・・。

198 : ◆91wbDksrrE :2010/05/09(日) 00:54:20 0
「やるやる詐欺ばっかりしてんじゃねえよ! まとまった休みにくらい、集中して書いてみろ!
 電波がこねえこねえって言い訳ばっかりじゃねえか! ちったあ反省しろ!」
 罵倒による敵の無力化は、凄まじいまでの効果を発揮していた。
 ……だが、心なしか自分の心まで痛むのは何故なんだぜ?
『いい調子じゃない』
「まあな。ところで、方向はこっちでいいのか?」
『ええ。感じるわ。もうすぐ、私の……あの娘のいる所よ』
 俺たちは、まるで波のように押し寄せてくる化物化した人間を無力化しながら、

199 : ◆91wbDksrrE :2010/05/09(日) 00:54:35 0
俺の創作意欲も無力化されそうです!

200 : ◆91wbDksrrE :2010/05/10(月) 21:13:10 0
いかん、自分で書いた文でダメージを受けるなんて・・・。

しかも何かまた風邪ひいたくさいし・・・。

本気出す宣言してからほぼ一日しかそれがもってないとかどうなのよ・・・。

201 : ◆91wbDksrrE :2010/05/13(木) 19:46:05 0
別件はどうやら終了。

でも呪われたせいでへこみ中・・・

202 : ◆91wbDksrrE :2010/05/15(土) 20:50:21 0
続きマダーしてくれたのに、それに応えないようじゃ男がスタルヒン!(←日本で初めて三百勝達成した投手)

203 : ◆91wbDksrrE :2010/05/15(土) 20:50:41 0
でも、もうちょっとだけ待ってね?

204 : ◆91wbDksrrE :2010/05/17(月) 21:24:37 0
俺はやっぱりファミチキよりLチキだと思った。

205 : ◆91wbDksrrE :2010/05/17(月) 21:47:47 0
 俺たちは、まるで波のように押し寄せて化物と化した人間を片っ端から無力化しながら、目的の場所――ジュリアの
いる場所へと進んでいる。クリーシェが言うには、もうすぐそこにたどり着くらしいのだが……。
「……なかなか、そうは簡単に行かないみたいだな」
 目の前に、二つの人影。
 その一つは、これまで無力化してきたのと同じ――いや、それ以上の化物で。
 そしてもう一つは――瞳に意志の力を宿した、人間だった。
 星型の眼鏡の下には、怒りにも似た、いや、怒りそのものとも言える意志が光っている。
 彼女が、奈美・ディアーメサーバ、か。
 ……他にあんな星型の眼鏡を好き好んでしている奴がいたら、俺は世の中の価値観というものを認識し直さなくてはならない。
『あれが、今回の……アイツの、"導管"(パイプ)よ』
「パイプ?」
『アイツは、何物をも、何者をも創り出す事ができる。であるが故に、直接何かを変えるという事はできないの』
「アイツ……ハルトシュラー、か」
 その名を口にするだけで、背筋に寒気が走る。
『ゼロから作る事はできても、既に存在する物を、直接弄る事はできない。だから、ああいう風に、自らの創作物を
 手下に授けて、その人間に揮わせる事で、既に存在する物への変化を間接的にもたらそうとするわけね』
 丁度、私とは真逆ね、と、クリーシェはどこか皮肉げな口調で言う。
 なるほど。例の無限階段をあそこに仕掛けたのも、この女という事か。
 ……しかし、まさかここに来てコレが役に立つとはな。俺はそっと懐に手を伸ばし、ここに来る前に用意したある物を
手にした。
「お話は終わったかしら?」
「ああ、待たせたな、奈美さん」
「……あら、私の事、知っているのね」
「事情通の友人がいてな。あんたの事はリサーチ済み、って所だ」
 そう、リサーチは済んでいる。故に、これがあんたに効果的だという事も承知してるのさ!
 俺は懐から取り出したサングラスを――星型の、丁度奈美がしているような奇妙な形だ――かけた。
「似あうかい?」
「……? 何がしたいのかしら」
「あれ? ほら、これ、どうよ」
 



206 : ◆91wbDksrrE :2010/05/17(月) 22:39:12 0
「ごめんなさい、貴方の余興に付き合う暇は無いの」
 ……おい、野沢、話が違うぞ。
『ホントに何やってんのよ……』
 お前まであきれるなよクリーシェ! 悲しくなるだろ!?
「大方、その事情通とやらから私の好みでも聞いていたのでしょうけど……生憎、もう私は以前の私では
 無いわ。あの御方と出会って……私は生まれ変わった。新しい私を、あの御方は創ってくださったの」
 野沢てんで役に立ってねー!? 何のために出てきたんだあいつ!?
「私は、あの御方の手。あの御方の足。あの御方の為なら、私は何でもできる……例えば、こんな事もね」
『ちょっとアンタ、ぼーっとしてんじゃないわよっ!』
 クリーシェの声で我に返ると、俺の前の前にはすでにそれが迫っていた。
 化物。一言で言うならば、鬼。
 俺はとっさに身体を沈ませた。全く何の根拠も無い、判断したというよりは何故か身体がそう動いたとしか言いようの
無い動き。だが、その動きが俺の命を救う事になった。
 一瞬前まで俺の胴体があった場所を鬼の一撃が薙ぎ払う。耳に聞こえたのは、空気が裂ける破裂音。
 もしも喰らっていたら――まったく、想像したくもない!

207 : ◆91wbDksrrE :2010/05/27(木) 22:36:19 0
なんだかんだと言われたら・・・言われてないときたもんだ。

明日からまた生きるぞー!

208 : ◆91wbDksrrE :2010/05/28(金) 02:12:58 0
頼むから俺に落ち着いて創作させてくれないか、You・・・。

209 : ◆91wbDksrrE :2010/06/03(木) 18:16:05 0
やっと落ち着けそうな気配が。

210 : ◆91wbDksrrE :2010/06/03(木) 18:16:46 0
しかし・・・もうちょっとって十年待てって意味かよ・・・(自己嫌悪

211 : ◆91wbDksrrE :2010/06/14(月) 16:20:45 0
 夜。
 水辺の近くを歩けば、聞こえるのは蛙の鳴き声だ。それも、一種類ではない。小さな物から大きな物まで、さながら
合唱でもしているかのように、ともすれば昼間の静よりも騒がしいほどに、蛙達は鳴いていた。
 ありとあらゆる、人の作った物がなくなり、不自然な、自然であるが故に不自然な自然が戻ってきたこの世界で、
自然の奏でる彼は途方に暮れるしかなかった。
 佐渡孝太郎という彼の名を呼ぶ者も、それどころか、知る者すらも、恐らくは

212 : ◆91wbDksrrE :2010/06/25(金) 21:41:30 0
むにゃー

213 : ◆91wbDksrrE :2010/06/28(月) 17:33:15 0
変な事にばかり首を突っ込んでるから、創作する意欲がなくなるんだよなぁ・・・。
最近お題見てもひらめきがそもそも来ないし、来ても形になる前に消しちゃう事が度々だ。

214 : ◆91wbDksrrE :2010/07/01(木) 00:41:50 0
 真剣(かたな)での斬り合いって奴は、どうしても苦手だ。好きになれねえ。
 命のやり取り、ってのがそもそも苦手なんだろうかな。本気になって殺す殺されるってのを考えなきゃ
ならんのが、どうしても怖え。臆病もんだからな、俺は。
 でも、こうして腰に真剣(これ)を佩いている以上、時にはそれを抜かなきゃならねえ時もある。
 ま、この御時世だ。街中の、白昼堂々にそういうハメになる事は少なくなったが、裏路地の、月がでない
夜となると、まだまだ真剣(こいつ)の出番は多い。
 臆病もんの俺としては、そんな目に遭う事自体勘弁してもらいてえ所なんだが、神さんってのは意地が
悪いんだろうな。三月に一回は、俺をそんな目に遭わせやがる。俺に恨みでもあんのかね?

「恨み、ねぇ……」

215 : ◆91wbDksrrE :2010/07/01(木) 00:41:55 0
 ふふっ、ちいとばかし笑える話だ。こんな事やってて、恨まれてねえつもりででもいるのかね、俺は。
 他人さまに金を貸し、その利鞘で生きる、金貸しの俺が、恨まれてねえわけがねえだろうに。どんだけ
身奇麗で、誠実であろうと、金貸しってだけで、金を貸し、それを取り立てるってだけで、他人さまからは
どうしたって恨まれる。
 ま、そんなのはどうってこたねえ。そんなのは、いちいち考えちゃいられねえ。どんな怨嗟の声を浴びせ
られようとも、月の無い夜に闇討ちかけられようとも、そんなのは大したこたぁねえんだ。怨嗟の声は聞き
流せばそれでいいし、闇討ちは返り討ちにしてやりゃいい。ま、臆病もんの俺としては、毎回そうやって
罵倒されたり、命をねらわれたりする度に、ガタガタと震えてんだがね。
 とはいえ、怖くてガタガタ震えちゃいるが、剣筋だけは震えねえのが、さすがは俺――じゃなくて、俺bに
剣を仕込んだお師さんの凄まじさ、さ。
 裏路地の、月がでない晩。真剣(こいつ)の出番となると、俺は人が変わったようになる。
 いや、人は変わっちゃいねえ。俺の中に、もう一人人間ができちまう、って感覚だ。
 俺が、臆病もんの俺が、怖え怖えと震えてる間に、もう一人の俺が真剣(こいつ)を振るいまくる。
そしたら、俺を襲う奴らは血飛沫上げて血に伏すんだよ。んで、その有様に、また俺は震えるんだがね。
自分の腕も、俺は怖え。まったく、あんなお師さんの言う事真に受けて、血反吐吐くまで鍛錬積むんじゃ
なかったぜ。そうすりゃ、こんな怖え目に遭うこともなく、逝けたのによ。

216 : ◆91wbDksrrE :2010/07/01(木) 01:19:51 0

「ったく、ここまで俺は恨まれてんのかね……」

 そうだ。こんな怖え目に遭う事なんか、無かったはずだ。
 俺が背を預けてる長屋の戸板は、カタカタと音を立てている。もちろん、風で揺れてるわけじゃねえ。
俺が震えて、その震えのせいで音を立ててやがるんだ。
 怖え。凄まじく。
 

217 : ◆91wbDksrrE :2010/07/05(月) 21:37:54 0
「なぁ、何か変な電波が来たんだが」
「またなの? 最近よく受信するの」
「ほっとけ」
「そのくせ形にできなくて、書けない書けないって唸ってるの」
「ますますほっとけ!」

 ここはごくごく普通の安アパート。
 1Kの部屋に住むごくごく普通のサラリーマンの俺は、ごくごく普通の生活をし、ごくごく普通のサラリーを
いただき、ごくごく普通に満足して、ごくごく普通に暮らしていました。
 ただ一つ違ったのは――

「あ、そこの漫画とってなの」
「あ? ……おい、お前これ、森田さんは無口の二巻じゃねえか! また勝手にアマゾンで注文しやがったな!?」
「だって、貴方がいない間暇なの」
「だったらなんで俺いるのに漫画読んでんですか!?」
「だって、貴方がいても暇なの」
「……お前、ホントに平気で毒吐くよな。そんな可愛いナリして」
「私の好物はコロッケじゃないの」
「誰がコロ助だよ! そのナリじゃねえよ!?」
「そうなの。私はメリーさんなの」
「……ホント、どうして格安だからって飛びついちまったかなぁ」
「もしもし、私メリーさん。今漫画読んでるの」
「ええい、見ればわかるわっ! いちいち電話してくんなっ!」

 ――そう。
 その1Kの部屋に、メリーさんが憑いていた事なのです。

218 : ◆91wbDksrrE :2010/07/05(月) 21:38:18 0
「だいたい、メリーさんが部屋に憑くって、おかしいだろ」
「どうしたの? 改まって基本設定から洗いなおすなんて、まるでアニメ化を前にした新規読者への配慮みたいなの」
「俺とお前の話はそういう話なのか!? アニメ化したら誰が声あてるんだよ!?」
「多分、貴方は……玄田哲章なの。りゅーじんまるー」
「おおおおおうっ! ……ってアホかっ! わかりにくいわっ! だいたい俺の声はそんな渋くねえ!」

 本当に、一体全体どうしてこうなったのか。
 まあ、どうもこうも無い。いわくつきなんですが、とは先んじて聞かされていたし、変な人形がどうこうもちゃんと
説明されていて、それでもこの部屋に入るのを選んだのは俺なんだから。だから、現状は自業自得以外の何物
でもない。いわくというのが、メリーさんに変化する人形で、そのメリーさんが穀潰しだった。ただそれだけの事だ。

「ちなみに、私の声は釘宮理恵なの」
「ツンデレかっ!? お前いっこもデレた所見せた事ねえじゃんかよっ!?」
「どっちかというと、晴れぶたのタマちゃん的な感じなの」
「だからわかりにくいってんだろうがよぉっ!?」

 ……どうしてくれよう、この穀潰し。
 基本はメリーさんだし、憑いてるのがこの部屋だから、人形捨てても戻ってくる。それは入居一日目に自ら
体験した。それはもう、一ヶ月程前の事になる――

219 : ◆91wbDksrrE :2010/07/05(月) 21:38:37 0

 いわくつきの部屋とはいえ、霊感というか、そういった物が全く無い俺には別に何ということも無く感じられた。
 ただ、目に見えてわかったのは、一体の……まあ、可愛い、のだろうか。人形に詳しくない俺にはよくわからないが、
とにかく、西洋人形が、1Kの部屋、そのど真ん中に鎮座在していた。
 それを確認した俺は、躊躇する事無く、行動に移った。
 その人形をゴミ袋にぶっこみ、近くを通りがかった廃品回収業者に押し付け、代わりにトイレットペーパーをゲット――
その間、わずか三分。
 そんな暴挙を働いても、特に部屋の空気が変わるということも、身体が重くなるという事も無く、俺は鼻歌を歌いながら、
思わぬ戦利品に小躍りしていた。
 だが、その晩かかってきた電話に、俺は戦慄する事になる――

『もしもし、私メリーさん。面倒くさいから省略するの』
「はぁ?」

 突然かかってきた電話は、意味不明の物だった。
 メリーさん。その名前は都市伝説で聞いた事があった。持ち主に捨てられた人形が、徐々に徐々に持ち主へと
近づいていくのを、逐一電話で報告し、そして最後には、自分を捨てた持ち主に、大きな鎌で復讐を遂げる――
そういった話だったはずだ。
 でも――面倒くさいから省略?
 意味不明の言葉を残し、その電話は切れた。

220 : ◆91wbDksrrE :2010/07/05(月) 21:40:20 0
「なんだったんだ、いった……いぃっ!?」
「はろー、なの」

 振り返ると、そこにはメリーさんがいた。
 ……いや、多分、メリーさんなんだろう、とおぼしき人のような何か? みたいな?
 金髪の、可憐なドレスに身を包んだ少女。
 この場合、少女が可憐だというわけではないのを、強く言って置かなければなるまい。
 ……だって、その少女の目は、死んだ魚のように濁っていたのだから。

「ここ、居心地がいいの。出て行きたくないの。だから貴方は私を養うの。オッケーなの?」
「……待て。待て待て待て」

 な、なんだこのダメオーラは……。

「えっと……メリー、さん?」
「そうなの。メリーさんなの。アルフィーとは関係ないの」
「そりゃメリーアンだろ……」
「ナイスツッコミなの」

 いや、親指グッってされても……。
 しかし、どうやらこの目の前の、ダメダメオーラを醸し出しまくる金髪美少女っぽいなまものは、メリーさんであるという
事が確定してしまったようだった。
 だって、本人? 人なのか? まあいいや。とにかく当人が言ってるんだから、信じるしかない。
 実際、閉めきったこの部屋の中に忽然と現れたんだし、信じるか信じないかは貴方次第です的状況だという事は
間違いないからな。それだったら、俺はこの信じるを選ぶぜ、と。
 ……俺は冷静なようにみえて、混乱していた。

「」  

221 : ◆91wbDksrrE :2010/07/07(水) 20:49:05 0
 いわくつきの部屋とはいえ、霊感というか、そういった物が全く無い俺には別に何ということも無く感じられた。
 ただ、目に見えてわかったのは、一体の……まあ、可愛い、のだろうか。人形に詳しくない俺にはよくわからないが、
とにかく、西洋人形が、1Kの部屋、そのど真ん中に鎮座在している事だ。目に見えてわかる、だがそれ以上では
ありえない事態を目の前に、俺は即座に、躊躇する事無く、行動に移った。
 その人形をゴミ袋にぶっこみ、近くを通りがかった廃品回収業者に押し付け、代わりにトイレットペーパーをゲット――
その間、わずか三分。
 そんな暴挙を働いても、特に部屋の空気が変わるということも、身体が重くなるという事も無く、俺は鼻歌を歌いながら、
思わぬ戦利品に小躍りしていた。
 元々いわくつきの部屋に越してくるくらいだ。懐にはそれほど余裕は無い。トイレットペーパー一巻きとはいえ、
タダで生活必需品が手に入ったのだ。これを喜ばずにいられようか。
 だが、その晩かかってきた電話によって、俺のそんな囁かな喜びは、全くもってぬか喜びに終わる事になった――

『もしもし、私メリーさん。面倒くさいから省略するの』
「はぁ?」

 突然かかってきた電話は、意味不明の物だった。
 メリーさん。その名前は都市伝説で聞いた事があった。持ち主に捨てられた人形が命を得て、徐々に徐々に持ち主へと
近づいていく。その過程を逐一電話で報告し、そして最後には、自分を捨てた持ち主に、大きな鎌で復讐を遂げる――
そういった話だったはずだ。
 でも――面倒くさいから省略?
 意味不明の言葉を残し、その電話は切れた。

「なんだったんだ、いった……いぃっ!?」
「はろー、なの」

 振り返ると、そこにはメリーさんがいた。
 ……いや、多分、メリーさんなんだろう、とおぼしき人のような何か? みたいな?
 金髪の、可憐なドレスに身を包んだ少女。
 この場合、少女が可憐だというわけではないのを、強く言って置かなければなるまい。
 ……だって、その少女の目は、冷凍イカのように、澱んでいたのだから。

222 : ◆91wbDksrrE :2010/07/07(水) 20:56:23 0
「ここ、居心地がいいの。出て行きたくないの。そして私は働き無くないの。だから貴方は私を養うの。オッケーなの?」
「……待て。待て待て待て」

 な、なんだこのダメオーラは……。

「えっと……メリー、さん?」
「そうなの。メリーさんなの。アルフィーとは関係ないの」
「そりゃメリーアンだろ……」
「ナイスツッコミなの」

 いや、親指グッってされても……。
 しかし、どうやらこの目の前の、ダメダメオーラを醸し出しまくる金髪美少女っぽいなまものは、メリーさんであるという
事が確定してしまったようだった。
 だって、本人? 人なのか? まあいいや。とにかく当人が言ってるんだから、信じるしかない。
 実際、閉めきったこの部屋の中に忽然と現れたんだし、信じるか信じないかは貴方次第です的状況だという事は
間違いないからな。それだったら、俺はこの信じるを選ぶぜ、と。
 ……俺は冷静なようにみえて、混乱していた。

「早速だけど、お腹が減ったの」
「……えー」

 この流れはいかん。
 この流れは、なんとなくこのまま居着かれてしまう流れだ。
 そして、こいつはなんと言った? 自分を養え? そんな余裕があるなら、俺はこいつに出会っていなかったはずだ!

「……生憎だが、俺はお前を養う程の貯蓄も、給料も」
「じー、なの」

 ああっ、なんだその目は!? そんな目で俺を見るんじゃないっ!
 冷凍イカのような目でも、潤んで上目遣いだとものすごい罪の意識がっ!

「だめ、なの?」

223 : ◆91wbDksrrE :2010/07/07(水) 20:57:41 0

 そうだ。ダメだ! ダメだと言ってやれ! 容赦無くこの部屋から追い出し、どこか別の家に行かせるんだ! それが
俺の平穏な生活を約束する、唯一の選択なのだ! その方がこいつにとってだってきっといい! お互いの幸せの
為に、はっきりと言ってやれ! 男を見せろ、俺!

「……だめじゃないです」

 無理でした。

224 : ◆91wbDksrrE :2010/07/28(水) 22:48:01 0
はっちゃんを支援したものかどうか迷う。

っていうか項目だけ追加されて0票だから、逆に動かしづらいw
0のままでもオイシイんじゃないか?という芸人的思考がw

225 : ◆91wbDksrrE :2010/07/29(木) 00:23:24 0
おお、はっちゃんに一票入った!

・・・俺じゃないよ?

226 : ◆91wbDksrrE :2010/08/03(火) 20:51:17 0
Xw

227 : ◆91wbDksrrE :2010/08/06(金) 21:11:39 0
真面目にはっちゃんが話題に上らない現状に危機感を覚える発子派な俺w

228 : ◆91wbDksrrE :2010/08/06(金) 21:11:58 0
サマーウォーズ視聴しつつ、書きためについて考えたりしてみる。

229 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 16:57:59 0
書きためてからスレ立てる事に一先ず決定。

で、いつから書きため始めるのかというと・・・

明後日くらいから本気だす!(←ダメダメだー

230 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 19:10:17 0
っていうか、書きなぐるスレなんだから、もっと書きなぐろうよ自分

231 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 21:55:44 0
作業用BGM的に使うはずだった、オネアミスの翼をうっかり全部最初から最後まで通してみてしまった・・・。
時間がぁ〜

232 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 23:06:03 0
 夏の曇り空。
 もくもくと湧き出てきた入道雲に、ふと昔を思い起こす。

 夏になり、買ってもらったばかりの雨合羽。
 緑色で、被るとちょうど可愛いあまがえるのように見える装飾が施されていて、それを早く着たくて、
私はいつも早く雨が降らないかなぁ、と空を見上げてばかりだった。
 そんなある日の事。

「今日は外に出たらだめよ。?????ちゃんなんか、飛ばされちゃうんだから」
 やっとやってきた雨は、激しい風も引き連れていた。
 台風と呼ばれるそれを、私は初めて認識した。
 びゅうびゅうと吹きすさぶ風。バリバリと戸板を打つ雨。
 でもそれは、私のわくわくを煽るばかりで――

「お母さん、車でちょっとお出かけしてくるから、ちゃんとお留守番しててね」

 ――私は、買ってもらったばかりの緑の雨合羽を着て、外に出て、そして――

「……あれ?」
 それから、どうなったのだったっけ?
 首を捻って考えてみるも、どうしても思い出す事ができない。
 考えながら、私の足は自然に進む。
 どこへ行くかも知らぬまま。

 夏の曇り空。
 激しい雨の最中でも、歓喜の歌を歌うように、カエル達は鳴いている。
 気づけば、そこはどこかの田んぼの中。
 まだ青々としている稲穂が、遥か頭上に茂っていて。

「あ、そっか。そうだったね」
 

233 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 23:10:42 0
 見上げれば、そこにあるのは入道雲。
 雲を背景に、緑に茂る、稲穂の群れ。

「私は、カエルになったんだ」

 これから雨が降りますよ。
 カエル達は鳴き始める。
 これから雨が降りますよ。
 私も一緒に泣き始める。
 もう、かえる事は――できないから。

 げーこ、げこ。
 げーこ、げこ。

234 : ◆91wbDksrrE :2010/08/16(月) 23:11:23 0
修正

「お母さん、車でちょっとお出かけしてくるから、ちゃんとお留守番しててね」

 わくわくを、抑える大人はいなくなった。
 私は、買ってもらったばかりの緑の雨合羽を着て、外に出て、そして――

235 : ◆91wbDksrrE :2010/08/19(木) 23:54:34 0
「言ってくれなきゃ……言ってくれなきゃわかんないよ!」
「……」

 言葉は、出なかった。
 言ってくれなければわからないと、そう彼女は言ってくれたのに。
 なのに、言葉は出なかった。

「……っ」
「……」

 彼女が踵を返し、部屋を出て行っても、俺に出来るのはそれを黙って見送る事くらいで――

「……?」

 違和感を覚え、そっと頬に手をやれば、そこは濡れていた。
 言葉はどうしても出てこなかったのに、出てこないのに、涙はこうしてすぐに出るんだな……。

「……美那子」

 やっと出た言葉は、つぶやくように、ささやくように紡がれた、彼女の名前。
 そんな小さな言葉が、もうずっと向こうに行ってしまった、手の届かない場所に行ってしまった彼女に
届くはずもなく、それはただ、小さく響くだけ。
 一人立ち尽くすこの場所に。
 一人立ち尽くす俺の心に。

「……美那子」

 もう一度呟いたその瞬間、俺はようやく気づいた。
 これで、終わりなんだ、って。


 ----------------------------------------

236 : ◆91wbDksrrE :2010/08/22(日) 09:19:38 0
「どうだ?」
「何がだ?」
「明日の決勝だよ」
「ああ、もうそんな時期か……」

 俺は少しだけ遠い目で、空を見上げた。
 空は青い。雲は両手で数えられる程にぽつぽつと見えるだけで、空はひたすらにその青さを主張し、
その青さをもたらしている日差しは、じりじりと俺の肌を焼く。
 要するに、夏だ。
 どうしようもないくらいに、夏だ。
 そして、それももう終わりが近づいている。やかましいくらいに鳴き喚くセミの声が、それを教えてくれる。

「そんな時期かって……お前、いつもこの時期は楽しみにしてたじゃないか」

 友人は、少し驚いたように言う。

「ああ……去年までは、な」

 そう。去年までは、俺はこの時期、テレビの前から離れようとしなかった。
 職場でもこっそりワンセグで

237 : ◆91wbDksrrE :2010/08/22(日) 15:52:02 0
「どうだ?」
「何がだ?」
「明日の決勝だよ」
「ああ、もうそんな時期か……」

 俺は少しだけ遠い目で、空を見上げた。
 空は青い。雲は両手で数えられる程にぽつぽつと見えるだけで、空はひたすらにその青さを主張し、
その青さをもたらしている日差しは、じりじりと俺の肌を焼く。
 要するに、夏だ。
 どうしようもないくらいに、夏だ。
 そして、それももう終わりが近づいている。やかましいくらいに鳴き喚くセミの声が、それを教えてくれる。
 その時期に、俺がいつも楽しみにしていた物があった。
 全国高校野球大会……甲子園だ。

「そんな時期かって……お前、いつもこの時期は楽しみにしてたじゃないか」

 友人は、少し驚いたように言う。

「ああ……去年までは、な」

 そう。去年までは、俺はこの時期、テレビの前から離れようとしなかった。
 職場でもこっそりワンセグで見ていて、上司に怒られる事数多だった。
 だが、今年は……。

「今年の春な、甥っ子と野球してたんだよ」
「へえ。いいじゃないか」
「甥っ子は小学生でな、少年野球でエースで四番やってる」
「まるで昔のお前みたいだな」

 そんな友の言葉に、俺の脳裏に浮かぶのは。

238 : ◆91wbDksrrE :2010/08/25(水) 22:59:32 0
「あんたさ、そんな事して何が楽しいわけ?」

 男は目を丸くした。
 そして知る。人間、本当に驚いた時には声など出ないものなのだ、と。

「……あれ? 何固まってるの?」

 そこにいたのは、蒼い髪を後ろで二つに括った少女だ。
 彼女は確かにそこにいた。
 間違いなく、そこにいる。
 絶対に、確実に、いるはずの無い存在が、そこに。

「ああ……『なんでお前がここにいるんだ』と言う事もできない程に驚いちゃってるわけね。
 ま、無理もないか」

 少女は不敵に笑いながら、男の肩に手を置く。

239 : ◆91wbDksrrE :2010/08/25(水) 22:59:37 0
「貴方は、普通の人間だものね。普通の人間だから……だから、こういう事、しちゃうんだろうしね」
「こ、これは……」

 ようやく出た男の言葉は、だがしかし、すぐに途切れる。
 これは自分がやったわけではない。その弁明の言葉は、最後まで紡がれる事は無い。
 少女の目に宿る、蒼くて青い、怒りの炎によって、断ち切られた。

「こういうノリ、久しぶりなのよね。ずいぶん前にやった時は、上手く言葉にできなかったけど、
 今なら一言で言えるわ。その言葉の名は――」

 蒼い光が、少女を中心にして淡く広がっていく。

「――悪意」

 その蒼い光は、少女の手を伝うようにして、男へと至り、その身を包んでいく。
 男の、驚愕とも苦痛とも取れない、歪んだ顔ごと。

「悪意って奴が、どうもわたしは我慢できないみたいなのよね」

 蒼の後に虚無。
 蒼の後に――絶無。
 故に、蒼たる彼女は、無を手繰る能を有す。
 蒼い光に包まれた男の目に写るのは、蒼。蒼。蒼。
 その後に残るのは――

「……貴方には、まだ可能性がある、って事かしら」

 無――では、なかった。

240 : ◆91wbDksrrE :2010/08/26(木) 22:36:36 0
この路線で書こうとすると、どうしても緩さが前面に出る前に書いた奴の方が
完成度高いように思えてしまうのでボツだな・・・。

241 : ◆91wbDksrrE :2010/08/30(月) 16:09:44 0
ttp://wiki.livedoor.jp/morning084/d/

容量的に創発の半分という部分がネックだったので、
2ちゃん内で移転先を探してたけど、上手いこと見つからないので
↑こっちで書きなぐる事にしました。

修正はともかく、コピペがめんどい。

242 : ◆91wbDksrrE :2010/09/02(木) 14:48:32 0
んで、溜まってる案件

・結婚してください!の続き
・エージェントの続き
・魔法少女の書き直し

243 : ◆91wbDksrrE :2010/09/12(日) 01:06:43 0
エージェントの無茶ぶりの事を言ってくれた人には感謝したい。
マジで再開はどうしようかな・・・。

244 :夢見る名無しさん:2010/09/12(日) 10:18:20 0


245 : ◆91wbDksrrE :2010/09/12(日) 18:32:40 0
敬語不良でいこう。

246 : ◆91wbDksrrE :2010/09/23(木) 20:36:29 0
やっぱり引っ張られるなー。
この設定じゃ幻想殺しそのまんまだし、どうしたもんか。

247 : ◆91wbDksrrE :2010/09/23(木) 20:38:37 0
まあ、そもそもの動機が禁書目録と超電磁砲のアニメが面白かったからという事で
書き直し始めたわけだし、敵設定にしたって某ご覧の有様なエロゲの敵と被ってる
事に後になって気づいたりしたわけだから、あんまり気にしなくてもいいのかもしれないが・・・。

248 : ◆91wbDksrrE :2010/09/23(木) 20:45:48 0
異世界からの法則召喚技術

術者が導管になるので、その精神性を体現する形で発現する

という事は・・・

249 : ◆91wbDksrrE :2010/10/11(月) 16:28:56 0
すすまねー。

250 : ◆91wbDksrrE :2010/10/12(火) 22:33:41 0
「俺はお前を信じてる……だから、お前は俺をちったぁ信じてみやがれ!」

251 :夢見る名無しさん:2010/10/24(日) 22:53:54 0
>>1
それで気が済んでも虚しいだけ

252 : ◆91wbDksrrE :2010/10/31(日) 21:44:20 0
おうふ。すっかり書き込みを忘れててdat落ちする所だった

253 : ◆91wbDksrrE :2010/11/07(日) 22:19:38 0
意外ともつなぁ、この板

254 : ◆91wbDksrrE :2010/11/15(月) 21:18:59 0
うーん、主人公の性格が、どうしてもトウマートウマーの人と
かぶってしまうような気がして決めきれないw

それだけ、俺の理想の主人公なんだなぁ、あの説教魔はw

255 : ◆91wbDksrrE :2010/11/25(木) 21:35:42 0
受け取ったはいいけど、どうすんべかな。

256 :夢見る名無しさん:2010/12/05(日) 08:50:38 0
避難所で、しかも終わったあとに、何を偉そうなこと言ってんですか
基本的にやってることは同じですよ?

257 :夢見る名無しさん:2010/12/05(日) 08:51:55 0
ごめん
誤爆

258 : ◆91wbDksrrE :2010/12/09(木) 23:10:13 0
「僕は、自慢じゃないけど、何でもできる子でね」
「どう聞いても自慢だぞそれ」
「まあ、最後まで聞きなって」

 そう。僕は、色々な事ができる子供だった。いわゆる、十で神童、十五で秀才
という奴だ。

「で、二十歳過ぎればただの人になって、死にたくなった、と?」
「いや、そういうわけじゃない」
「やっぱりただの自慢話じゃねーかよ」
「それなりに、だったんだよ。それなりに、なんでもできた。色々な事が、それなりに」

 だから、皆期待した。色々な人が、色々な期待を、僕に。
 でも、それはある日突然落胆に変わった。
 それなりにしか、僕は出来なかったからだ。

「例えばね、音楽もやったんだ。ピアノと、バイオリンと、ギターと三味線と……とにかく、
 いろいろだ」
「ものすげーごちゃまぜだな」
「やらせればそれなりに出来たからね。だから、何でもやらされた。で、僕もそれを
 何でもこなした。それなりに」
「運動も、勉強も、全部そんな感じだったのか?」
「うん。サッカーで部のレギュラーになりつつ、バスケットボール部に助っ人に
 行ったり、試験前に要点をまとめたノートを各教科ごとに販売したり、ね。
 高校時代の話だけれど」
「……お前、それでどうして死にたくなるんだよ」
「」

259 : ◆91wbDksrrE :2010/12/14(火) 20:51:13 0
「不幸自慢をするつもりは無い、と前置きしておくけど」
「そう言って不幸自慢に聞こえない話をする奴っていないよな」
「うん、まったくだ」
「否定しねえのかよ! だったらこれからする話も不幸自慢なのかよ!?」
「いや、そのつもりは無いけど、客観的に見て不幸自慢に聞こえるのは想像に
 難くないからね。そこをわざわざ否定するつもりは無い」
「お前、ホントにウザいなー……」
「あれ? 『天然で』が抜けてるよ?」
「そういうのがウザいってんだよ! さっさと本題話せ!」
「閑話休題」
「よし」
「」

260 : ◆91wbDksrrE :2010/12/14(火) 21:03:53 0
「実は、僕って徹底的に期待されずに生きて来ていてね」
「はぁ?」
「普通は、親なりから、子供というのはある程度期待されて育つ物だろう?
 それが愛なのか、それとも将来養ってもらう事を考えての打算なのかは、僕には実感
 としても想像としても理解し難いんだけどね」
「」

261 : ◆91wbDksrrE :2010/12/14(火) 22:22:55 0
「不幸自慢をするつもりは無い、と前置きしておくけど」
「そう言って不幸自慢に聞こえない話をする奴っていないよな」
「うん、まったくだ」
「否定しねえのかよ! だったらこれからする話も不幸自慢なのかよ!?」
「いや、そのつもりは無いけど、客観的に見て不幸自慢に聞こえるのは想像に
 難くないからね。そこをわざわざ否定するつもりは無い」
「お前、ホントにウザいなー……」
「あれ? 『天然で』が抜けてるよ?」
「そういうのがウザいってんだよ! さっさと本題話せ!」
「閑話休題」
「よし」
「実は僕って、徹底的に期待されずに生きて来ていてね」
「はぁ?」
「普通は、親なりからの期待を受けて、子供というものは育つだろう? でも、僕には
 それが無かった」
「流行りのDVって奴か?」
「まんがタイムきららも、けいおん!の掲載誌として流行るかと思ったら、そうでもなかったね」
「それはD☆Vだろ!? オレが言ってんのはドメスティック・バイオレンスのDVだよ!」
「うん、わかってる」
「……なあ、お前おちょくってる? オレの事おちょくってる?」
「うん、割と」
「うわぁ、マジで殺してえ」

262 : ◆91wbDksrrE :2010/12/29(水) 00:39:58 0
「諦めさん、何か御用ですか?」
「いやな、何か僕のこの文章における中の人が、大人のお前との会話ネタを
 何とかしてひねり出せないものかと考えているっぽいんだけど、サンプルが
 少なすぎる上に、その場面の大部分が忍野の奴が繰った戯言とも言える
 無駄話が大部分のお願いに費やされていて、もっと大人になった八九寺と
 僕を会話させろよこの野郎! お姉さん好きに何か恨みでもあるのか!
 と行き場の無い憤りを抱いているらしいんだが……って、僕の名前をギブアップ
 症候群のメンタル豆腐な奴みたいに呼ぶなよ。僕の名前は阿良々木だ」
「失礼。噛みました」
「違う。わざとだ」
「管理しました」
「何を!?」
「いえ、先日の状況を見る限り、阿良々木さんの旺盛な性欲を何とかするには、
 ある程度こちらからのスキンシップを行う事が有効である、と気づいたもので」
「へっ、その程度で僕のあふれんばかりの性欲を管理したつもりか? その管理
 方法が成立するには、大きな問題をクリアしなければならないんだぞ、お前は」
「ほう、それは一体?」
「」


263 : ◆91wbDksrrE :2011/01/25(火) 01:22:34 0
むぅ

264 : ◆91wbDksrrE :2011/01/31(月) 23:01:40 0
「そんな事……許せるかよっ!」

 俺は激怒し、机を割らんばかりの勢いで、拳を叩きつけた。
 だが、その剣幕にも、目の前の女は涼しい顔だ。眼鏡の奥の瞳が、まるで
矢のように俺を射ぬいている。
 でもな……視線で人は殺せないんだよ。
 人を殺すには、実際に刺さなきゃなんねえ。斬らなきゃなんねえ。撃たなきゃ
なんねえ。絞めなきゃなんねえ。殴り、蹴り、叩かなきゃなんねえ。
 ミサイルは人を殺す。でもな、それは人が人を殺すわけじゃねえ。人が人を
殺すってのは、殺した奴の命を心に背負うって事だ。それができて初めて、
人は人を殺したという事を……人殺しを、知る事ができる。
 俺はそれを知っている。
 でも、この女は……目の前の嬢ちゃんは、それを知らない。
 だから、俺の大事な戦友に対して行われる非道を、淡々と俺に告げるなんて
無情な事ができるんだろうよ。

「ですが、これは決定ですので」

 ああ、そうだろうさ。お前さんは決定された事を、

265 : ◆91wbDksrrE :2011/02/07(月) 22:40:30 0
 死後硬直という言葉がある。
 死体は死後、生体反応を失う事で硬直するという、アレだ。
 だが、その死後硬直も、時間が経てばだんだんと解けていく。たまに勘違いしている
人がいるが、死体というのはずっと硬いままじゃない。死後硬直が解ければ柔らかく
なっていくものだ。
 俺は目の前で寝転んでいるあいつの頬を、指でつついてみた。
 柔らかい。まるで冷たい饅頭のようだ。
 ……冷たい。そう。あいつの頬は、肌色を失い、土気色を得て、冷たくなっていた。
 もう、からかった時に赤くなる事もなければ、膨らませて怒りを表す事も無い。

「……なんで俺の戦友(とも)は、皆先に逝っちまうかねぇ……」


266 :みのる:2011/02/17(木) 21:29:49 O
柿「殴らないで!><。」

267 : ◆91wbDksrrE :2011/02/25(金) 00:40:00.44 0
 彼女の名は、裏ハルトシュラー。
 無論というべきか否か、本名ではない。
 遠い親戚の隔世遺伝で、彼女はたまたま金髪碧眼の容姿を得てしまい、それが
たまたまとある掲示板で魔王と称されているキャラクターに似ているからという事で、
ハルトシュラーの裏バージョンの名を拝領するに至っただけで、ちゃんとした名前は
他にきちんと存在している。
 とはいえ、今では彼女の事を知る人は、誰もが彼女の事をウラトウラトと、裏ハルトシュラー
を略した愛称で呼ぶ。今となっては、彼女自身すらも、自分の名前を忘れてしまった。
苗字が二文字で名前が三文字の、どこにでもありふれた名前だったような覚えが、
微かにあるだけである。
 というのは無論、一部冗談であり、誰もかれもがウラトと自分を呼ぶならば、いちいち
本名とか覚えてもらわなくても、そっちで覚えてもらえば十分なんじゃね?という、彼女
独自の面倒くさがり理論故に定着してしまった、というのが実際のところだ。
 面倒くさがり理論。
 大仰に言っているが、要するに彼女はモノグサなのだ。自分の名前が、あずかり知らぬ
(今では「知らなかった」だが)場所の、特定キャラクターからつけられた愛称であると
認識されても、それをいちいち訂正しようと想わないどころか、覚えてもらいやすくて
いんじゃね?と考えてしまう程度には、物事に積極的ではないのだ。

「師匠は知識はあるのに、どうしてそれが活かせないんですか?」



268 : ◆91wbDksrrE :2011/02/25(金) 00:40:05.88 0
 彼女の弟子(何の弟子なのかは、彼女自身にもいまいちわからない)である、ハンドル
ネーム裏刀が、ある日彼女に向かって突然はっきりと面と向かって、いや向かってないが
チャットだし。まあとにかく、堂々とそんな事を訊いて来た事があった。
 答えは簡単である。
 ものぐさだから。
 面倒臭がりであるが故に、作業を最後まで完遂できず、形になる物を残す段階にまで
至れないが為に、知識を活かす事ができないのだ。
 だが、その時彼女はこう答えた。

「答えんのめんどい」

 面倒臭がり極まれり、である。
 一事が万事、彼女はこんな感じであった。必要最小限をちょびっと下回る程度に
しか活動せず、あとは面倒だからと気が向くまで放置し、たまに気が向いたと思っても
長続きはしない。
 その答えを受けて

「……なるほど、師匠が実力を発揮できないのは、ものぐさだからなんですね」

 かっこにがわらいかっことじ。
 とりあえず、そんな風に裏刀は結論づけていた。だいたい、というかほぼあってる
のはどういうわけだ、と思わないでもなかったが、まあいいか、といつものように放置
する事にしたのだが、その問い自体に、ふと彼女は昔の事を思い出していた。面倒
くさがりの彼女にしては非常に珍しい事であったが。

「お前さー、もっとちゃんとしろよ」

 あれは……高校生の頃だったか。
 地方の小規模な高校で、周囲は見知った顔ばかり。彼女のある種特異な容姿を
気にもとめない人間が全校生徒の約半数。そんな高校で、彼女にそんな言葉を
投げかけたのは、

269 : ◆91wbDksrrE :2011/02/26(土) 03:57:16.48 0
>>219
すまない、こういう時に長文になってしまうのは、もはや息をするのと
同じレベルでの生体活動なんだ。・・・これが割と冗談じゃないから困る。

意図を聞いたのは、他人の考えをきちんと理解したいからなのね。
リクエスト云々はちょっと煽りめいた言い方として受け取られても
仕方がないような書き方になってしまったかもしれないが、
それでも、書く人が懸念を表しているのに、意に介さずに
お題を出しまくるのはやめて欲しいという自分の意見は変わらない。
だから、ちゃんとした考えの元でお題を出しているのならば、
それについてはきっちり説明してもらった方が、懸念を表している人(含む俺)にも
納得できるんじゃないか、という事で聞いたわけなのね。
もちろん、喧嘩は一切するつもりは無い、というのは改めて言っておくよ。
リクエスト云々に関しては、そういう風にも受け取られかねないような
お題の出し方になってたよ、という感じで受け取ってもらえたら・・・ムリカナー?(汗

270 : ◆91wbDksrrE :2011/02/26(土) 03:57:56.36 0
と向こうに書くべきか否か。
様子見するって言ってたのに書いちゃった時点で、
徹底的にやった方がいんじゃね?って感じなんですけど、
まあ一応再び様子見。

271 : ◆91wbDksrrE :2011/03/03(木) 03:44:14.51 0
「これは私たちの出番と言う以外ないでしょう、田原総一朗木さん!」
「僕の名前の原型が無い間違え方をするな。僕の名前は阿良々木だ」
「失礼。噛みました」
「違う。わざとだ」
「鑑みました」
「何をだ!? 世論をか!?」
「それを鑑みると、阿良々木さんの存在は抹消せざるを得なくなってしまうので……」
「……微妙に言い返せないのがアレだな」
「で、対談をする」

272 : ◆91wbDksrrE :2011/03/03(木) 05:20:02.96 0
 とある場所に、一体の龍がいました。
 その身体の色から、青龍と呼ばれるその龍は、四季の内の春を司る存在でしたが、
その大柄な身体からは想像もつかない程にうかつで、尚且つおっちょこちょいでした。
 よく失敗をしては落ち込んで、元々の内気な性格もあり、彼は次第に周囲から孤立
するようになりました。
 春という季節を司る彼がそんな様子なもので、春という季節自体がだんだんとどんより
とした物になっていきます。これではいけないと考えた天の神様は、一計を案じました。

 ある年の事です。
 その年も、そろそろ春一番を吹かせないといけない時期になり、青龍はいつも使っている
如意宝珠――龍が手に持つ、あらゆる願いを叶えるという宝玉の事です――を探しました。
 が、見つかりません。いつもその手に持っていたはずの宝玉が、何故かその日は
いくら探しても見つからないのです。

273 :みのる:2011/03/08(火) 22:34:13.09 O
わかった!
萌えだよ!萌えが足りないんだよっ!!

274 :夢見る名無しさん:2011/03/11(金) 12:50:40.68 O
 


275 : ◆91wbDksrrE :2011/03/15(火) 15:57:15.80 0
うにょー

276 : ◆91wbDksrrE :2011/03/27(日) 06:56:13.11 0
むへー

277 : ◆91wbDksrrE :2011/04/06(水) 03:39:25.95 0
「……」
「あ、おはようございます!」

 意外な事に、目の前にある物は、物ではなく者だった。
 柔らかな笑みを浮かべる青年……いや、少年か。成長途上にあり、どちらとも
言えるような、そんな年齢の男が、俺に向けかってなのだろう、微笑んでいた。

「おはようございます、ってのも変かなぁ? たまたま朝にあなたが目を覚ました
 ってだけですし……ああ、そうそう。あなた、うちの近くに倒れてたんですよ?」

 ……なるほど。俺はどうやら彼に捨てられてから、どういう経路をたどったのかは
わからないが、この男の家の近くへと行き着いていたらしい。そこをこの男が、
行き倒れか何か――客観的にはそのものであるが、主観的には認め難い――だと
思って拾い、自らの家で介抱していた、ということか。

「余計な事をしたものだな」
「あれ? 余計な事って……ひょっとして、行き倒れごっこしてただけで、実は
 全然平気だったとか?」

 ……この男、いわゆる天然という奴か?

「違うさ。俺が一体何であるか、お前は知るまい」
「……何であるか……?」

 そう。俺が一体何であるか。どういった存在に捨てられ、そして今ここにいるのか。
 この男は知るはずもない。なにせ、俺自身ですら、今しがた目覚めに際して思い
出した所だ。
 捨てられたとはいえ、その本質が変わる事は無い。
 俺はかつて、誰からも恐怖され、畏敬を持って接せられた存在だった。

278 : ◆91wbDksrrE :2011/04/06(水) 03:39:41.13 0
 それを知らぬこの男には、どう見えているか知れた物ではないが。

「何って……可愛い女の子に見えますけど?」
「そう、俺は可愛い女の……」

 は?
 俺はその言葉に思わず眉根を寄せた。

「……待て、貴様。俺が一体何に見えているというのだ?」
「ですから、可愛い女の子ですけど……あ、可愛いとか言われるの嫌なタイプですか?」
「そうではない! ……俺が、女……だと……?」

 ……言われて自らの身体を見てみれば、そこにはあるべきはずではない物があった。
 柔らかな着心地の服に包まれた、二つの柔らかい丘。かつて、そこに存在したはずの
分厚い大胸筋――のように見える物――の代わりに、それはあった。それはつまり、えっと……

「……どういう事?」
「……僕に聞かれましても……」
「いや、だっておかしいだろ!? なんで俺が女体化してるの!?」
「だから僕に聞かれてもわかりませんって! って言うか、女体化って……?
「なるほど、あいつめ……俺を女々しく弱い物として切り捨てたから、俺の身体は
 女の物になったという事か……ッ!」
「えっと、あの……何を言って……?」
「フッ……貴様には言ってもわからんだろうが、教えてやる。何が聞きたい?」
「何か無意味に偉そうですねぇ……とりあえず、お名前は?」

 名前……名前、か。

「俺の名は――エンダース。冥燐王エンダース……だった者だ」
「冥燐王……エンダー……スっ!?」

279 : ◆91wbDksrrE :2011/04/06(水) 03:39:56.80 0
 どうやら、流石にこの男も驚いたらしい。如何に柊蓮司他三名に敗れ、さらには
柊蓮司一人に一蹴され、力に溺れるまでは酒に溺れていた俺とはいえ、冥魔王
としての知名度はそれなりのはず。
 そう、俺はかつて冥燐王エンダースの、根幹たる部分だった、そして力を求めるが
為に捨てられた、武人としての誇りそのも

「って、誰です?」
「知らねえのかよ!?」

 ……部屋の隅っこに行ってシクシク泣いてもいいですか?

「あ、すいません、何か有名な方なんですね!? すいません、僕あんまり有名人
 の名前とか知らなくて、だから多分、あなたが有名じゃないわけじゃないと思うんですよっ!」

 やめてくれ……俺に優しくするな……! その優しさが、辛い……っ!

「……ま、まあいい」

 凹んでいても仕方がない。そもそも、俺は今や冥魔皇帝となったエンダースに
捨てられた身。エンダースそのものではないのだ。彼の知名度が低い事を
嘆く必要など無いはずだ。うん、そういう事にしておこう。そう決めた! へへ、
ざまあみやがれ! あれ、どうして目から汗が出てくるのかな?

「……だ、大丈夫ですか?」
「優しくするな!? 優しくするなよ!?」
「は、はぁ……」
「ごほん……どうやらその様子では、俺が何であるかを説明した所で理解はできぬ
 だろう。故に、こちらから質問をさせてもらおうか」
「はい、なんでしょう?」
「貴様の名は?」
「ああ、そういえばまだ名乗ってませんでしたね。僕の名前は――」

280 : ◆91wbDksrrE :2011/04/06(水) 03:40:20.36 0
 そう言って、男は俺に向けて再び微笑み、口を開こうとした。
 だが、その紡がれようとした言葉は、突然の乱入者によって妨げられる。

「お兄ちゃーん! あの女の人目覚ました!?」

 突然扉を開けて入ってきたのは、男よりも年少であろう少女だった。お兄ちゃん、と
呼びかけたという事は、この男の妹なのだろう。確かに、何となく似ている。

「いきなり大声あげながら入ってくるなよ、加奈美! エンダースさんがびっくりするだろ?」
「あ、目覚めたんですね! 良かったー!」

 ……入ってきた少女の姿に、俺は違和感を覚えた。
 そのまとっている服は……どこか、あの男を思い起こさせる。あの男、柊蓮司の
着ていた服と、何故か印象が被るのだ。よくよく見てみれば、目の前の男がまとっている
それも、同じような印象を覚える。

「……もう一度問おう。貴様と、この娘の名は、何と言う?」

281 : ◆91wbDksrrE :2011/04/06(水) 03:40:27.52 0
 切り離された身とはいえ、頭脳は元より大して衰えてはいない。
 俺の推測が正しければ、ここは……この場所は……

「すいません、エンダースさん……僕の名前でしたよね?」
「ああ……」

 その推測は、次の言葉で裏付けられた。

「悠木マサトと言います。こっちは妹の加奈美」
「よろしくでーす」

 その名は聞いた事があった。
 かつて柊蓮司が初めて世界を救った戦いで、その鍵を握ったという少年。
 一度は世界から消え去ったが、その後日常へと帰還を果たした、星の勇者。
 何の因果か。
 ここは、柊蓮司の故郷。第八世界、ファーじアースと呼ばれる世界なのだと、そう
俺は確信するに至り、そして叫んだ。

「なんでやねーん!!!???」

                                           続かない

282 : ◆91wbDksrrE :2011/04/17(日) 03:50:33.65 0
また貴重な時間を無駄に・・・ortz

283 : ◆91wbDksrrE :2011/05/09(月) 02:02:01.74 0
「……怖いよな」

 とある夜の事。突然本を読んでいた彼が、ふと顔をあげてそんな事を呟いた。

「何が?」

 彼の部屋で、同じように本を読んでいた――と言っても、彼が読んでいるハードカバーの
ビジネス書とは違う、四百円で買える漫画本だったりするんだけど。ちなみに今第三部のラスト
辺りだ――私は、顔を上げる事無く尋ねる。

「聞こえない? ほら、猫の鳴き声」
「猫の? ……うーん、」

284 : ◆91wbDksrrE :2011/05/09(月) 02:38:10.90 0
 俺の人生は、詰まらないものだ。
 でも、詰まらないが故に平和で、平穏で――それがずっと続くんだと、そう思っていた。
 それがいわゆる"普通"って事なんだと、そうどっかの偉い作家先生も言ってたが、俺は多分、
もう"普通"に戻れた、って事なんだろう。"
 いや、違うな。
 普通"に戻れたと思ってた、だ。その瞬間が来るまでは、たしかにそう思ってた。
 でも、そんなものはただの幻想でしかなかったと、一人の少女が教えてくれた。
 それが俺にとって良かったのか悪かったのか――それは、今もってわからない。
 ただ一つ言えるののは、間違っちゃいないという事。
 俺が進む道も、それを選んだ俺の選択も、間違ってだけはいないと――それだけは言える。
 自信を持って、な。

「おーい、佐藤。これ捨ててきてくれ」
「了解(ラジャー)」

 俺は料理長から指示されたゴミ箱を抱え、調理場の勝手口から外へ出た。
 その中には、俺が切り刻んだモノ達の、物言わぬ骸が詰まっている。
 ……いや、単に生ごみ、野菜のカスが捨ててあるだけなんだが。
 店の裏にある生ごみ用の処理槽――生ごみが肥料に早変わり、という一時期流行ったアレの
大型版だ――にその骸達を放りこみ、俺は踵を返して調理場へと戻ろうとした。仕事はまだまだ
残っている。基本、野菜を切ったり皮を剥いたりという、切り仕事しか担当させてもらえない俺だが
――それに関しては特筆できる腕前だと自負しているが、それ以外は壊滅的だと自負している――
それでも出来ることはやらなきゃならん。でなきゃおまんまの食い上げだ。
 ま、こんな、ごく普通の都市にある、ごく普通のレストランに、そうそうトラブルの種が舞い込んで
来るわけも無い。裏路地ではヤクザの裏取引が行われ、不良たちがたまり場にし、猫や犬が
残飯を食い漁っている……なんてイメージは、少なくともうちの店の裏路地には当てはまらない。
 だから、俺はすぐに調理場に戻れる。そのはずだった。

「……るぷ」
「ん?」

285 : ◆91wbDksrrE :2011/05/09(月) 02:52:41.58 0

 声がした。
 猫の鳴き声でも、犬のうなり声でもない。間違いなく、人の声だ。
 かつての職場で鍛えられた俺の耳は、その声を聞き逃すことはなかった。

「……そこか」
「へるぷ、みー……」

 生ゴミ用処理槽の裏。小さな子供ならば潜り込めるかもしれない程度の隙間に、その
声の主はいた。小さな子供ならば潜り込めるかもしれない程度の隙間に潜り込んでいる
その声の主は、小さな子供だった。金色の髪をして、頬を朱に染めた少女が、そのわずかな
隙間にへたりこんでいたのだ。その着ている服は、随分と長い距離を走ってきたかのように
ボロボロで、そのボロボロの服に全く見合わない、やけに質の良さそうな手袋が気にかかる。
 彼女の呼吸は酷く荒い。表情も苦悶のそれであり、明らかに彼女の体調が優れないことは
見て取れる。
 ……しかし、これは……。

「いったい……どうしたもんかね」

 俺は誰にともなく呟いていた。
 見る限り、この少女は日本人ではない。そして、風体を見る限り、何か訳ありなのだろう。
となると、すぐに119番するのも憚られる。以前の仕事では、こういった時は後に禍根を残さない
ようにと、すぐさま"処理"していたものだが、それが嫌で前の仕事を辞めたのだから、その選択
は無い。というか、この国じゃその手はバックがいない限り無理だ。無理じゃなかったとしても
絶対にやらんがな。
 となると、だ。

「……見つかるなよー」


286 : ◆91wbDksrrE :2011/05/09(月) 03:00:03.07 0
 俺はいない事がわかっている神に祈りながら、少女の身体を担ぎ上げた。
 調理場の方は、悪いがドロップアウトという事になるが、人命優先だ、致方無し。運が良ければ
首を切られずに済む可能性もあるからな。……あるといいなぁ。
 とにかく、彼女を俺の家に連れて帰る。幸か不幸か、隣人がほとんどいないボロアパートだ。
どっかの正義漢あふれる市民様に見つかりでもしなければ、あらぬ疑いをかけられる事もあるまい。

「へるぷ……みー……」

 たどただしい英語のつぶやきが、熱に浮かされているのだろう少女の口から漏れる。
 ま、仕方がなかろう。助けて、と言われて助けない程に、俺は人間を辞められなかったんだから。
 だから、退屈で平凡な、でも平和で平穏な日常に戻ってきたんだから。

「とはいえ、それも今日で終わりかもしれないな」

 否応なしに、俺の肌は何かを感じていた。
 ……いや、この娘の、細身に見えて意外とあるあれそれの弾力を、とかそういう話ではなく。
 予感、という奴だ。これから何かが、俺の平和を、平穏をブチ壊しにやってくる、という。
 結局俺は、"普通"に戻れた事なんか、一度も無かった――そういう事なんだろう。

                                     to be continued...

287 : ◆91wbDksrrE :2011/05/13(金) 00:06:48.09 0
またあしたーノシ

288 : ◆91wbDksrrE :2011/05/18(水) 02:29:06.87 0
あしたどころじゃねえ

289 : ◆91wbDksrrE :2011/06/09(木) 07:31:05.11 0
「お、おう、神原」

 その日は、僕が神原の、いわゆる一つの告白を受け入れてから、初めて二人で会う日だった。
 というか、デートだった。これまでのなんちゃってではない、モノホンのデートだ。

「ああ、阿良々木先輩。待たせてしまったようだな」
「いや、今来た所だから」
「阿良々木先輩ともあろう人が、まさか私が来る直前に来ていたわけがあるはずがない。
 いつもながら流石の謙遜、見習わせてもらうぞ、阿良々木先輩」
「いや、ホントに今さっき来たばっかりなんだよ……あいつに引き止められて、な」
「……やはり、戦場ヶ原先輩は……?」
「ああ、お前の心配してるような事はないよ。ただ……」

 僕は、余裕を持ってゆっくり歩いて行こうと考えて、二時間ほど前に家を出ようとした、
その時の事を思い出していた。

「あら、暦君。おでかけ?」

 玄関で靴を履いていると、背後からいつものように平坦な、でも随分とその中にある
起伏がわかるようになった声が聞こえた。戦場ヶ原ひたぎ。僕の、最も愛する女性だ。




290 : ◆91wbDksrrE :2011/06/09(木) 07:31:11.44 0
「昨日言っただろ。……神原と、な」
「そういえば、そうだったかしら」
「……本当に、いいのか?」
「それはこの前言ったでしょう。あくまで私が一号であれば、二号さんであろうとV3であろうと、
 存在する事に問題はない、と」

 なるほど、確かにお前はテクニシャンだからな。そして神原は力だけは有り余ってそうだしな。
という事は、V3は誰になるんだろうか……

「何を当然のように三人目までゲットする算段を立てているのかしら。問題はなくとも悶々とはするのよ。
 もっっとも、神原の場合は可愛い後輩でもあるわけであるし、然程懊悩の程度は高くなくて済むわけだけれど」
「……あー、なんて言っていいか……」
「ぽん。そういえば」

 僕が思わず口にしようとしてしまった謝罪を断ち切るように、ひたぎは何かを思いついたように

「昨夜は色々とやりすぎて、神原をちゃんとエスコートできるように、あの娘の事について
 きっちりレクチャーしてあげておくのを忘れていたわ。」

291 : ◆91wbDksrrE :2011/07/24(日) 01:49:18.05 0
 それはまるで、喫水線が船縁の直下にまで至っているかのような、そんな心境だった。
 四文字熟語で言えば、沈没寸前。いや、違う、まて。これは四文字熟語ではないではないか。
こんな初歩的なミスをしてしまう程度には、私は行き詰まっている。全く物を書く人間としては恥と
言えるような間違いだ。四文字熟語とは、焼肉定食のような言葉を――だから指さないと言うに!
 弱肉強食――そうだ、これが正しき四文字熟語。そして、今の私が置かれている、現代日本
という社会の掟。暗黙の了解だ。

「これが書けなかったら、もう二度とうちからは話が無い物と思ってくれ」

 その最後通告は、主観的に見れば突然だった。
 だが、客観的に見れば、猶予に猶予を重ね、辛抱に辛抱を重ねた上で、堪忍袋の尾が切れた上に、
袋から堪忍が飛び出て私を殴り倒しに来るに至って、ようやくなされた、遅すぎる最後通告であると
言えた。それ程に、私は優遇されていたのだ。ただの一度、歴史に残る程売れた本を書いたという
程度の事で、社会はそこまでの優遇を私に与えてくれた。
 弱肉強食。恐らくは、私という強者の糧となった弱者も多々いただろう。ただの一度とはいえ、
絶対的とも言える強さを示した強者である――あった――私は、知らぬ間に多くの人間の肉を
貪り食って、生きていたのだ。その事に、いまさらながら気付かされる。
 自らが食われる段になって、ようやくその事に気づくとは、人間とはまったくもって愚かな生き物だ。
いや、人間が愚かなのではなく、私が愚かなのだ――などと、そう割り切る事すらできない程に、
今の私は弱い。弱くなった。強さなど欠片もなく、ただ食われるのを待つばかりの弱肉となっている。
 自らの弱さを認められない自分をせせら笑いながら、それでもかつての強さにすがりつき、何とか
して自分が弱くないという事を見せ、生き延びようとしている惨めな弱者。
 それが今の私だ。客観的に見た、私だ。 行き詰まった作家の末路だ。なまじっか大ヒットを
飛ばしてしまったが故に、それ以上を求め続けるがあまり、何も書けなくなってしまった作家の、
哀れで矮小な姿が、私なのだ。私、そのものなのだ……。


292 : ◆91wbDksrrE :2011/07/24(日) 01:49:32.11 0
いいオチが思いつかない

293 :夢見る名無しさん:2011/08/07(日) 17:15:24.85 0
significance

294 : ◆91wbDksrrE :2011/08/22(月) 01:02:29.68 0
そこまで言われたら書くしかねえよなぁ。

いや、忘れてたわけじゃないんだけど。

295 : ◆91wbDksrrE :2011/08/25(木) 03:34:50.76 0
「なんかね……最近、これでいいのかな、って……」

 そこは、物静かな音楽の流れるバー。
 カウンターには二人の女――少なくとも、女のように見える存在がいる。
 客はそれだけだ。店の主人たる男は、音楽の邪魔をする事が無いように、
そして何よりも二人の客の会話を妨げる事が無いように、静かに皿を
拭いている。
 少女とも言えそうな外見の女は、何やら悩みを抱えているらしく、先程から浮かない
顔をして、言葉の終わり際にため息を挟んでは、既に空になったグラスを弄んでいる。
 もう一人、うっかりすれば胸がこぼれてしまいそうな、露出度の高いきわどい服に
身を包んだ女は、どうやら相談をもちかけられているらしい。
 少女のような女が何かを言う度に、頷いたり、首を振ったりしながら、言葉を
返している。そんなやり取りがしばらく続いた後、今度は際どい服の女がため息をこぼした。

「どうしてよりによってあたしに相談に来るかねぇ……」
「だって、何か、行き詰まったのを打破する為には、一番適役じゃない、姐さん」
「姐さん言うな。まあ、そんな差はありゃしないけどね、一応あんたの方が歳上なんだから」
「私たちに年齢なんて意味無いじゃない。……意味があれば、また違ったのかな……?」
「……なんか、ホント参ってるみたいだね。あんたらしくないじゃないのさ」
「私らしく?」
「そうそう。いつものあんたなら『姐さんの方がどう見ても歳上にしか見えないって!』とか
 言って笑い飛ばしたりする所じゃないかい」
「……うーん」
「で、当然あたしはその言葉に激怒して、一撃食らわすわけだけど」
「……あれ、いつの間にか命拾いしてる?」

296 : ◆91wbDksrrE :2011/09/05(月) 05:00:47.70 0
「オーモーイーガー」
「その一撃かよ!? 本当に命拾いだよ!」
「しかも味方殺し性能」
「……分かる人いるのかしら。まあ、無差別な方が姐さんらしいっちゃらしいけど」
「いつかmugen入りして、ドラゴンとタッグを組むのが、ささやかだけどあたしの夢なんだ」
「その日は多分永遠に来ないんじゃないかなぁ……っていうか、来たら来たで、焼かれたと思ったら
 潰していた的な殺伐としたタッグになりそう。……何の話してたっけ?」
「だからぁ、あんたがアイデンティティ喪失しちゃって、どないしたもんか、って事っしょ?」
「まあ、突き詰めるとそうなのよねぇ……一体、私って何なの、っていう」

297 : ◆91wbDksrrE :2011/09/26(月) 14:12:59.43 0
俺がやってるやり方としては、その例えを流用せてもらうとすると

----------------------------------------

「あーあ、つまんねぇな……」
 Aがぼやきながら町を歩いている。今日は日曜日で特にやることもない。
 何か面白いものでも探そうと町に繰り出してみたが特にめぼしいものは見つからなかった。
 そんな時だった。
「うん、あいつは……」
 Bだった。肩を落とし、顔は俯いたままとぼとぼと歩いている。
 そして、そのまま近くにある飲食店に入っていった。看板を見れば、どうやらそこは
お好み焼き屋のようだった。
「B……なんか落ち込んでたな」

          ★

「いらっしゃいませー!」
 扉についていた鐘が景気よく鳴り響く。香りたつソースの匂いが、ここがお好み焼き屋
である事をおしえてくれる。看板も見ずに入った店だったが、Bとしてはとにかく腹を満たせれば
何でも良かったので、手頃な値段のお好み焼きという選択は、意図せずしたにしては
良好な物であったと言えた。Bの沈んでいた心が、そんな小さな事で少しだけ浮上する。
 とはいえ、少しだけ浮上した所で、元々の沈み方が半端ないのだから、大して意味は無い。
 席につくと、大きくため息をつきながら、Bはメニューを見つめた。
「よう、B。どうした?」
 そんなBの背後から、聞きなれた声がした。
 振り返ったBが見たのは、これまた見慣れた顔。そこに立っていたのはAだった。


298 : ◆91wbDksrrE :2011/09/26(月) 14:13:06.27 0
「なんだ、Aか……」
「おいおい、人を見てがっかりしたような顔するとか、失礼だな」
 そう言うAの顔は笑っていたので、いつもの軽口である事は察せられたが、その軽口で
自分ががっかりしたような顔をしていた事に気付かされたBの心は、先ほどの浮上分を
軽く上回る程に、さらに深く、沈んだ。
 ――ああ、俺はまだ期待してたのか。
「……はぁ」

----------------------------------------
という具合に、視点の変化というのは、一人称なら俺と僕の二人がいるなら、
俺の一人称と僕の一人称の切り替え、三人称なら、内心を描写できる人間の切り替えを
指して言う物であり、その切り替えの際には、段落を開けるなどして何らかのクッションを
用意するのが常なんだな。

上の例だと、★を挟んだ以前と以降とで、「Aの内心及び見た物の描写」と、
「Bの内心及び見た物の描写」とを切り替えた・・・つもりなんだが、上手くできてるかは知らんw

なんとなくの予想だが、多分、貴方は三人称での視点の固定というのがまだ出来ていないんじゃないかな?
三人称、つまりはAという人間を見ている第三者が発言しているという体を取った描写をする場合、
視点は基本的に固定する物という事になっている。つまりはこの場合、Aという人間が見た物、感じた事
を描写するのであれば、Bという人間が見た物、感じた事は描写できない、という事になる。




299 : 忍法帖【Lv=32,xxxPT】 :2011/10/08(土) 02:48:44.98 0
てす☆

300 :キリ番ゲッター:2011/10/08(土) 02:49:17.16 0
300

301 :夢見る名無しさん:2011/10/16(日) 00:26:24.27 O
おめ

302 : ◆91wbDksrrE :2011/11/02(水) 15:15:41.57 0
んあー

303 : ◆91wbDksrrE :2011/11/20(日) 04:42:04.21 0
とりあえず、オチは決まった。

だが過程は決まらない。

残り時間は一ヶ月強か・・・。

304 : ◆91wbDksrrE :2011/11/20(日) 05:08:58.91 0
メモ

リーンの闇砦から捻ってアレをああしてこう

305 :夢見る名無しさん:2011/12/07(水) 18:04:12.44 O
やん

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