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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第十一部

1 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 21:51:23 ID:fm0Q//fl
なにジョジョ?
殺し合いに巻き込まれて困っている?

ジョジョ それは
無理矢理荒木を倒そうと
するからだよ



     __.. -―─ 、__
    /`       三ミー ヘ、_
  ゝ' ;; ,, , ,,     ミミ  , il ゙Z,
  _〉,..    ////, ,彡ffッィ彡从j彡
  〉,ィiiif , ,, 'ノ川jノ川; :.`フ公)了
 \.:.:.:i=珍/二''=く、 !ノ一ヾ゙;.;.;)
  く:.:.:.:lムjイ  rfモテ〉゙} ijィtケ 1イ'´
   〕:.:.|,Y!:!、   ニ '、 ; |`ニ イj'  逆に考えるんだ
   {:.:.:j {: :} `   、_{__}  /ノ
    〉イ 、゙!   ,ィ__三ー、 j′  「皆殺しにしちゃってもいいさ」
  ,{ \ ミ \  ゝ' ェェ' `' /
-‐' \ \ ヽ\  彡 イ-、    と考えるんだ
     \ \.ヽゝ‐‐‐升 ト、 ヽ、__
      \  ヽ- 、.// j!:.}    ` ー 、
       ヽ\ 厶_r__ハ/!:.{
          ´ / ! ヽ




このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ってバトルロワイアルをしようという企画です。
二次創作、版権キャラの死亡、グロ描写が苦手な方はジョセフの様に逃げていってください
ちなみにこの企画は誰でも書き手として参加することができます。
僕たちジョジョロワ住民は……作品が投下されるとくるい、もだえるのだ 喜びでな!
初心者の方も大歓迎です。書く技術は承太郎のようにやっていればそのうち覚えることができます
が、マンハッタン・トランスファー程までとはいいませんが、億泰よりは空気を読むことを推奨します
詳しく知りたい方はまとめサイトよりどうぞ、読んでも本になることはないのでご安心ください


まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/

前スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第十部
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281454038/

2 :新規の方のためにネタバレ名簿は貼らないようにお願いします :2011/01/13(木) 21:52:58 ID:fm0Q//fl
【第一部:ファントムブラッド】11/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/○ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/○ワンチェン/
○ジャック・ザ・リパー


【第二部:戦闘潮流】10/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
○スージーQ/○ドノヴァン/○ストレイツォ/○サンタナ/○ワムウ/○エシディシ/○カーズ


【第三部:スターダストクルセイダース】15/15
○ジョセフ・ジョースター/○モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/○ンドゥール/
○オインゴ/○マライア/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス


【第四部:ダイヤモンドは砕けない】12/12
○東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/○矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影


【第五部:黄金の旋風】15/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/○トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
○ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ


【第六部:ストーンオーシャン】 15/15
○空条徐倫/○エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
○エンポリオ・アルニーニョ/○ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/○ラング・ラングラー/○ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ


【第七部:スティール・ボール・ラン】 10/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/○オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
○ベンジャミン・ブンブーン


【88/88人】



3 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 22:14:20 ID:v0LhWlo8
新規の方のためにネタバレ名簿は貼らないようにお願いします

ネタバレ名簿(wikiの該当ページに飛びます)
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/pages/23.html



4 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 01:45:06 ID:uoFOYpLS
スレ立て乙です
旧スレの残り2話はもうwiki収録しちゃっていいの?
いいなら俺がやっとくけど? 24時間くらい待つので返答ください

次はいよいよ200話目ですね

5 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 13:18:37 ID:8MiObMd/
スレ立て乙w

>>4
いいんじゃね?
予約入ってるし忙しいのかも
俺もなんか支援できればいいが……感想ならバリバリー

6 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 15:46:30 ID:7BCvNjrl
>>4
編集しようと心の中で思ったならッ!
その時スデに編集は終わっているんだッ!

7 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 19:35:24 ID:JKoAEn20
私も編集のお手伝いさせていただきましたァん!
オインゴの死因は、描写を見る限り血液を上昇させる攻撃だと思ったけど
最期はその血液が頭部に流れ込んで爆発したから「頭部破壊」にしておきました

なんか変だな、と思ったら直して下さると助かります

8 : ◆xrS1C1q/DM :2011/01/14(金) 23:13:09 ID:70ZgDwzE
編集ありがとうございました
これからも頑張ります!

9 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 16:31:11 ID:dW3mqBM5
スレ立て乙です
ジョージさんクソワロタwww
ミラクルジャンプの大亜門先生の新作とネタ被りで、タイムリー過ぎたwww


10 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 16:52:51 ID:+3KcQqpT
マジかよミラクル買ってくる

11 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:33:30 ID:UQhlaj6i
では、代理投下行きます

12 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:34:48 ID:gq4TjxTZ
支援

13 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:35:01 ID:ZRRTRguV
支援

14 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:36:05 ID:UQhlaj6i





 われらをあわれみたまえ。





※   ※   ※


 月が黒ビロードの夜空に縫い込まれている。
 花束を解きほぐしたような星空。
 冴えわたる月光と星明りの中に浮かび上がる黒い建物のシルエットの間で。

 アナスイの長い髪が湿った夜風を含んで揺れている。
 花京院の学生服の布地が月色に映えて鈍く光っている。
 その間を割って、落ちていくテンガロン・ハット。

 彼らの、決闘が始まる。
 
 まるで何もかもを示し合わせたかのように、三人は動いた。
 ハットが地面へ触れ、散開する三つの影。
 
 時を移さずして跳弾する緑の石粒、エメラルドスプラッシュをダイバー・ダウンがはじき、叩き落とした。

 マウンテン・ティムは全てを見届けるために、二人から距離を取って佇んでいた。
 夜のしじまに、月明りが溶け込んでいる。
 出会った場所、境遇が違えば、盃を掲げて共に語らい合えるくらい素晴らしい月夜だった。

 スタンド、ダイバー・ダウンはいなすように弾雨を弾きながら、少しずつ前進を開始する。
 弾幕のうすい部分を目ざとく見つけ、その合間を縫って花京院へと飛びかかる。迎え撃つハイエロファント・グリーン。
 スタンドヴィジョン同士が激しくぶつかり、彼らはお互いの拳を突き合わせたまま鍔迫り合いを演じ始めた。
 
 精神を極限まで高ぶらせ、ただ一点、相手の双眸だけを凝視する。
 しかし、お互いが見ているのはそれぞれ色の違う瞳ではなく、その中に湛える光でもなく、その奥にたぎらせている精神でもない。 
 
 彼らは自分自身の狂いを、相手の目の中に見ていたのだ。
 アナスイの瞳の向こうに、花京院の思考は展開する。

 ――僕にはずっとずっと、わからなかったんです。

 倫理を軽々と越えてしまうような『情』というものが。
 アナスイ。
 あなたに食って掛かったのは、徐倫さんとの関係に赤の他人の身でありながら口を出したのは、同族嫌悪なのかな。
 僕もまたあなたと同じく、感情の押し付けによって、滑稽に踊っていたから?フーゴやグェスさんに、仲間という感情を自分勝手に振りかざして。
 でもあなたは、あなたの『情』は、たぶん滑稽なんかじゃない。あなたの心には愛がある。どんな形をとっていてもきっと、それは僕の知らない素晴らしいものなのだろう。
 なぜ死んでもいいくらいに人を愛せる?絶対に簡単なことじゃない。
 徐倫さんをシーツの中に『監禁』してしまうような無茶苦茶なやり方には腹がたったけど。

 ……もしかしたら、僕は羨ましかったのか?
 ともにエジプトを旅した仲間はほとんど死んでしまって。
 やっと会えたポルナレフには存在自体を信じてもらえず、ここで出会った人たちからは信頼を嘲笑われ、何もなくなった僕。
 
 今はただ悲しい。
 あなたには、たとえ負けても徐倫さんのために闘ったという誇りが残る。
 でも、僕には何も残らない。

15 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:37:09 ID:ZRRTRguV
15人予約にwktkしつつ支援

16 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:37:38 ID:zyHx+1Pg
支援

17 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:37:56 ID:1xRZYvTa
もちろん支援じゃあ

18 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:38:24 ID:UQhlaj6i
 だから――絶対に、絶対に負けたくない。


「あなたは間違っているんだッ!」
 
 花京院は自分の腹へと繰り出された敵の生身の足蹴りを、大きなバックステップによって避ける。
 ティムに説明されたダイバー・ダウンの能力は、すこし触れるだけで致命傷を負わされる危険があるもの。
 それを踏まえ、触れずに攻撃をすることができる自分の能力をどう活かすか。
 彼は思考する。エメラルド・スプラッシュによる緑の弾雨の数で押すか、ハイエロファントの触手でからめ捕り締め上げるか。
 
 対するアナスイはただ淡々と歩を進める兵隊のような目で、花京院の心臓を狙っていた。
 徐倫の居場所を聞き出すこともいいだろう。だが、彼はアナスイが断腸の思いで練り上げた計画を無碍にした、部外者の分際で。
 単純に、許すことができなかった。
 
 ――ぶちのめす。

 愛という名の余すところのない熱狂は、彼の不退転の決意を確固たるものにする。
 その心はまるで永遠の中に凝固してしまったかのように、直立にして不動だった。

 ――俺はいつだっていつだって、わかっていたんだ。 

 徐倫が俺を好きになるはずなんてないことを。
 あの美しい「集中力」を備えた目で俺を見てくれることなんか永久にないってことを。

 人は二度死ぬという。一つ目は肉体の死、二つ目は他人に忘れ去られたとき。
 そうだとするなら俺に二度目の死は訪れないだろう。
 彼女のために生きていれば、優しいあの子は心の隅っこくらいには俺のためのスペースを置いといてくれるだろうから。
 だから、日常の何気ない行為の隙間に――車のドアを開けるふとした一瞬とか、ソファーでコーヒーを飲むようなときに――俺の存在を、うすぼんやりでも思ってくれればそれでいいんだ。
 そして、あの子が温かいコーヒーを飲んでくつろぎ、何の心配もなく日々を過ごすためなら。 
 

 何を切って捨てても――後悔は無い。


19 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:40:01 ID:ZRRTRguV
私怨

20 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:40:10 ID:UQhlaj6i
「徐倫の居場所を言えッ!」

 アナスイはスタンドではなく生身のままで、花京院に殴りかかった。
 身軽に避けられ、彼の拳が民家の壁にぶつかった。壁はアナスイの拳の皮膚を削り取り、その血液を吸う。
 花京院は身をひるがえし、アナスイと対峙した。二人の間に横たわる荒漠とした空気。
 お互い意地だった。失くしそうなものをつなぎ留めんと、牙をむき出し合って。 
 
 花京院は乾いた唇を舐め、口火を切った。
 
「彼女は無事です。でも居場所は教えない」

 元より、知らないのだ。彼女は蝶のごとく、打倒荒木へ向けてこの会場を飛び回っているのだから。

 再びエメラルド・スプラッシュが放たれる。
 アナスイはスタンドで防御しなかった。後ろに吹き飛ぶ。しかし来ることがわかっていた攻撃は、彼に致命傷を負わせることはできなかった。
 防御に使った腕は打撲と裂傷ができていたが、彼の昂ぶった神経は、そんなもの意に介さない。
 
 アナスイのスタンドは何をしていたのか。
 ダイバー・ダウンは地面へと潜行し、花京院本体を叩くために接近を開始していた。
 
 地面を追うアナスイの視線に気が付き、花京院はその場から駆けだす。
 一瞬の間をおいてスタンドの腕が彼の足をつかみ取らんと、地面より突き出でた。
 
 走る、走る。そのたびに足元からはダイバー・ダウンの腕が迫りくる。
 知らず知らずのうちに、花京院は民家の壁へ追い立てられていた。
 そこへ背をつけて、彼は決心する。
 相手は冷静ではない。話で注意を逸らし、ハイエロファントの触手でからめてやろうと。 

「いや……教えない、というよりも、わからないんですよ」

 こめかみを伝う冷や汗を気取られぬように、余裕ぶった笑みを張り付けて。
 アナスイは当てが外れたような顔をした。これで花京院には、情報源としての価値が無くなったことになる。
 彼は本気で腹を立てるだろう。良いことだ。もっと冷静さを失うがいい。



21 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:40:46 ID:ZRRTRguV
 

22 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:41:45 ID:zyHx+1Pg


23 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:41:52 ID:gq4TjxTZ
支援

24 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:42:02 ID:1xRZYvTa
支援

25 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:42:05 ID:UQhlaj6i
「聞きたいんです。徐倫さんとあなたはどういう関係なんですか?」 

「彼女のためなら、俺はこの世のどんなクズにも劣る存在になってもかまわない」

 死角から忍び寄らせていたハイエロファントが、アナスイの足をからめ捕ろうとうごめいた。
 もう少し、あと少しで勝てる。
 視線はアナスイへと固定する。気取られぬよう、慎重に、巧妙に這い寄る。

(……彼に勝利を収めて、僕はどうしたいんだろう)

 最初はアナスイの無茶な行動を非難し、反省させるためだったはずだ。
 たったそれだけのために、花京院はこれ程むきになっているのだろうか。
 
「いいかげん、『彼女のため』なんて恩着せがましいセリフはやめてください」  

「黙れッ!徐倫はどこだ!!」   

 花京院は羨望を持ってアナスイを見ていたのだ。
 ここへきてから迷い、疑い、疑われ――揺れ続けた自分と違い、彼は愚かとも取れるほどまっすぐに進んできた。
 たった一人の愛する女性のために。

 それがとても、うらやましかった。
 やはり、だからこそ、負けたくなかった。ここで負けたら、自分はもうどこへも行けなくなってしまう気がしていた。


 ――どんな気分ですか?『迷わない』っていうのは? 
 

「来い。『ハイエロファント――、ッ!」

 奇襲をかけようとしたその時、刹那にも満たない間をおいて、花京院は背中から押し出すような衝撃を受ける。
 予想できない背後からの攻撃に、彼はもんどりうって倒れた。
 硬質な地面が打ち付けた骨に響く。口の中に広がる砂の味、砂利のざらつき。
 
「『ダイバー・ダウン』。衝撃を潜行させ、俺の好きな時に解き放つ能力」

「……ッ!」

 アナスイにも策があった。
 ダイバー・ダウンはいたずらに地面を潜行していたわけではない。
 花京院がアナスイを煽動しようと画策したように、彼もまた策略を持って行動していた。
 スタンドで巧みに花京院を追い立てた先。

 彼が背をつけていた民家の壁は、先刻アナスイが殴りつけた壁。

 雌雄は決した。花京院は反撃に足るだけの隙を、アナスイから見出すことができない。

「俺は残酷だぜ。なにせ殺人鬼だからな」

 沈黙を纏い、傍らに佇んでいたマウンテン・ティムの眉が、わずかにはねた。
 
 アナスイは冷え切った眼で、口元だけを笑みにして勝ち誇る。
 彼は殺人鬼に戻ってしまった。
 アメリカの新聞をにぎわせた、解体魔の殺人鬼に。




26 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:43:07 ID:ZRRTRguV
sien

27 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:43:13 ID:zyHx+1Pg


28 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:44:06 ID:UQhlaj6i
「う、――」

 花京院は起き上がろうとするが、肩を踏みつけられ地面に這いつくばるよりほかなかった。
 うつ伏せに地へと押し付けられたまま、嘲笑う敵をにらみつける。
 がむしゃらに体を暴れさせて一度足を振り払った。半身を起すが、今度は壁へと蹴りつけられ、首元を捩じるように踏まれる。

 認めたくなかった。負けを認めるなんて嫌だった。
 刺々しい声色で、最期の抵抗を試みる。
 これで事態が好転するなどと思っていない。それでも、このまま負けることだけは嫌だった。
 
「月並みですけど、言わせてもらいます。『そんなことが彼女のためになると、本気で思っているのか?』」

「……負け惜しみなんて感心しないぜ」

 アナスイは睫毛一本動かさずに、花京院にかけた足をさらに踏み込む。満身の悪意を込めるかのごとく、執拗に。
 殺し合いゲームという異常事態にも揺るがなかった彼のこころに訴えかけるような言葉は、もはや存在しないのだった。

「どんな風にバラしてほしい?言いなよ、クソ野郎」

「アナスイ!……やめろ」

 見届けるだけだったはずの決闘に、ティムが口をはさむ。
 神聖な決闘は相手を侮辱しない。アナスイは、世界を取り違えた。 
 事態は最悪な方向へと移っている。
 邪悪のうすら黒い影が、今まさに、強い愛を謳っていたはずの青年の背後に。

 彼はティムの方へ、ちらと視線を投げる。火のような視線。口元に浮かぶ嘲笑。
 そうして無言のまま、何事もないかのように捕えた敵とへと目線を戻す。
 
 花京院は状況を打破するため思考をまとめようとするが、もはや何も考えることができなかった。
 悔しかった。耐えられない怒りが心臓で唸る。
 自分の手に何もないまま死んでしまうのかと思うと、気が狂いそうだった。
 歯を食いしばる自分を見下ろして、アナスイの笑みが彼の顔をより深く穿つのを見た。

 そうして、ダイバー・ダウンが花京院の急所へと狙いを定め、その拳が振り下ろされて。
 まっすぐに繰り出されたその打突は、彼の命をいともたやすく奪うはずだった。



「!!」



 舞い上がる土埃。花京院は迫るアナスイの攻撃とは違う衝撃によって横へと吹っ飛ぶ。


「何……」


 一瞬早く事態をのみ込んだアナスイが呆然と呟いて。



 花京院めがけて振るったダイバーダウンの拳は、




 ――マウンテン・ティムの胴を貫いていた。

29 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:44:35 ID:ZRRTRguV
仮投下のときはここで鳥肌立ったもんだ
支援

30 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:44:58 ID:zyHx+1Pg


31 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:45:25 ID:gq4TjxTZ
アナスイ……お前…まさか……? 支援

32 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:46:36 ID:UQhlaj6i
※   ※   ※



 赤く重い液体が、月光に艶めいている。
 地面に広がる自身の血液の中に身を沈めてなお、マウンテン・ティムは微笑していた。

「花京院君、逃げろ。そして……こいつを――救ってやってくれ」

 その言葉を最後に、閉じられた彼の瞼が再び開くことはなかった。
 
 
 花京院は震える足で地面に膝をついていた。
 
 ダイバーダウンの攻撃が迫ったとき、ティムが突然走り出てきて彼を突き飛ばしたのだった。
 横滑りに吹き飛び、泥だらけになった服はところどころが破れている。露出した肌には新たに擦り傷ができていた。
 しかし花京院はその痛みも感じることなく、崩れ落ちたマウンテン・ティムから視線を離せずにいる。自分の見ているものが信じられなかった。
 砕け散った思考は、ただいたずらに散漫で。花京院はティムの最後の言葉を咀嚼しきれない。


 不意に、夜風が冷たい、という考えだけがぽっかりと浮かんだ。


「ティム……?」

 アナスイがダイバー・ダウンのヴィジョンを消し、死んでしまった仲間の名を呼ぶ。 
 スタンドを介して伝わってきた、彼の肉体を貫いた時の感覚。
 それを確かめるように、自分の腕をじっと見つめる。 

 やにわに足音が届いた。音の方を見れば、走り去っていく花京院の背中。
 アナスイは無言のままそれを見送り、物言わぬ骸と成り果てた友へと再度視線を落とし。

「逝っちまったのか。……いや、俺が殺したんだな」
 
 そばに落ちていたテンガロン・ハットを持ち上げて、指先で回す。
 度重なる戦闘でくたびれてしまったフェルトの質感が、ちりちりと指を刺激する。

 一日にも満たない付き合いだったのに、この帽子が彼の誇りある職業の象徴であると理解できた。 
 それを軽々しく指先で回す。 
 やがてそこから外れたテンガロンハットが、空気の抵抗を受けながら再び地面へと落ちた。
 そして。
 
「俺は……あんたとの思い出を断ち切って、――殺人鬼に戻るよ」 

 友の遺品であるはずのそれを、荒々しく踏みしだく。典型的なテンガロンの型を作っていたウールが、硬い革靴の下にあっさりとつぶれた。
 水牛をかたどった飾りが衝撃で外れ、物悲しく転がる。
 それも気に留めず、幾度となく、彼は踏みつける。すでにただの羊毛の塊と化したものを蹂躙するように踏みつける。
 泥をこすり付けるように、悪意で思い出をにじり消すように。
 
 何度も捩じり、押しひしぐ。

 泥と見分けがつかなくなったころに、彼はゆっくりと帽子から足を離して言った。

「今度こそ、本当に。……さようなら」

 彼は光の中で知ったことを、闇の中で否んだのだ。
 
 踵を返して括目する。
 瞳は一点、闇の中のただ一点を見ていた。

33 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:48:07 ID:UQhlaj6i
 ※   ※   ※

 見上げた空に浮かんだ月は、己を嘲笑っているように見える。光だけがただ白々しく、煌々と降りそそぐ。
 ざらつく街路樹へと押さえつけられ、呻吟しているさまはさぞ憐れだろう。
 地面を見ればすぐ向こうに、つい数時間前に会話したはずのマウンテン・ティムが力なく横たわっている。
 

 首が押しつぶされそうだ。


 ドナテロ・ヴェルサスは考える。
 こんなことが起こるはずではなかった。

「盗み見とは、趣味が悪いぜ」

 ヴェルサスは悲鳴を上げることも、助けを乞うことも、罵倒すらも許されず、アナスイに首を掴み上げられている。
 アンダー・ワールドはダイバー・ダウンによって、がんじがらめにされていた。

 いたずらに足をばたつかせても何もならなかった。
 生身の体も、スタンドも――抵抗らしいことは何も、できなかった。

 悔やむべきは自分の甘さ。
 スタンドが足元に迫っていることに気付けていなかった。
 自分が潜んで見ていることが気付かれていると、悟れなかった。

 亡羊とした思考で思い返す。
 彼はここ数十分、花京院の後を追い続けていた。

 大事そうに抱えていた真っ白なシーツをいぶかしく思っていたが、そこにはあの宿敵、空条徐倫が絡まるようにして捕えられていたこと。
 てっきり花京院から感じるものだと思ってた痣の感覚は徐倫のものだとわかり、大いに驚愕したこと。
 徐倫と花京院の二人が『話し合った過去』を民家の中へ忍ばせたスタンドで掘り起こし、それらの全ての事態を把握したこと。
 そうして、追っても益のなさそうな徐倫を切り捨て、花京院を追ってきたこと。

 警戒すべきマウンテン・ティムたちの動向を知るため、犯罪者が犯行現場に戻るような感覚で取った行動だった。
 隠れたまま様子を見て、もう一度DIOの館を目指すつもりだったのだ。

 そのあとのことはあまりの衝撃のせいか、ひどく断片的で。
 過去を掘り起こしながら花京院の後を追い、追いついた矢先に。
 目の前で展開された死闘。花京院を追い詰めたアナスイの笑い。スタンドに腹をぶち抜かれ、動かなくなったマウンテン・ティム。

 その時点で、逃げるべきだった。
 花京院はどこかに走り去って、すでに影すら見えない。
 
 生きて、幸せにならなくてはならないのに。
 こんなところで、不愉快な泥の上で、泥を見ながら、泥のように死ぬことなんて、絶対に受け入れられない。
 
 しかし、現実は暗い鎌首を残忍にもたげて、彼の小さな願いを刈り取るのだ。

「う……ぐ、俺は、死なねぇッつってんだろうがッ!幸せになるまで!絶対に!」

「じゃあそのためにお前は何かしたのか?なんでこんなとこで這いつくばってやがる?他にやる事があるだろーが」

 呆れたような半眼を溜息とともに閉じ、アナスイは街路樹に押し付けていたヴェルサスの体を地面へと投げた。

「クソッ!アンダー・ワール――」

「言われてからやるようでは無意味だ、うぜえ事はよしな」

 いくら掘り返そうとしても、地面に手が届かず、腕はむなしく空を切る。
 それもそのはず、ヴェルサスの腕の関節は――指のそれに至るまで、完全に、すべて、例外なく、逆に折り曲げられていたから。

34 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:48:25 ID:zyHx+1Pg


35 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:50:06 ID:UQhlaj6i
「無気力な悪ほど吐き気を催すものはないな」

 アナスイはやれやれというように首を振り、肩をすくめる。

 低く、嫌な音が夜の住宅街に響く。
 腕に続いて足首が、膝が、大腿骨が、腰盤が、肋骨が、ダイバー・ダウンによって軽快に組み替えられていく。
 
 ヴェルサスにはわからなかった。
 突然空から落ちてきたスニーカーを拾ってしまったあの日から、何が何だかわからないまま人生を転がり堕ちてきて。
 彼には、自分が不幸な理由が心底わからなかった。
 極めつけは、意味の分からない殺人ゲーム。せっかく出会った相棒のような存在のティッツァーノを見殺しにした、せざるを得なかった状況が恨めしかった。
 
 彼は世の中を呪い、自己憐憫に傾いた濁った眼で周囲をにらみ続けてきた。
 
 世の中が嫌なら、自分を変えればよかった。それが彼には終生分からなかった。

 諦めと後悔が、死にゆく心に去来する。


 (ああ俺、なーんもやってねえなぁ……。幸せって、なんだったんだろうな――ティッツァ?)


 しかし、それもまた、一つの人生。



 最後に一つ鈍い音がして、原形を留めぬほどに組み替えられた彼の死骸が地面に転がされた。


※   ※   ※


36 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:51:28 ID:1xRZYvTa
sien

37 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:51:47 ID:gq4TjxTZ
支援

38 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:52:09 ID:UQhlaj6i
 今わの際。
 冷たいアスファルトに体を横たえながら、思っていた。


 ――アナスイ。生死を問わずにお前を止めるってのは、なにもお前だけの生死のことを言っていたんじゃあないぞ。
 俺の生死も問わずに止めるってことだぜ、知っていたか?
 
 お前が思うより、俺はお前を気に入ってたよ。
 意志を曲げずに、一途で、強いところが特に気に入った。悪く言えば融通の利かない頑固者だな。だがそこがいい。
 俺が見初めたやつなんだから……徐倫のためを思うんなら、お前は下衆な人殺しになるな。

 お前は道を踏み外してる。決闘は、もっと神聖なものだぞ。
 だから、俺はあえて横槍を入れる――俺を殺すのは、お前のような気がしていたさ。
 そして目を覚ませ、俺が死ぬことによって、目を覚ましてくれ。

 体が重い。
 
 ……ルーシーは、きっと俺のことなんか忘れちまうだろう。
 でもそんなことが重要なことか?
 彼女が心底困ったときに、俺に電話をくれたんだ。
 不謹慎を承知でも、それだけで天にも昇るような気持ちになれた。 
 俺が保安官だから、というだけの理由だったとしてもかまわない。
 震える彼女の傍にいさせてもらえただけで……俺はもう十分だった。
 
 彼女がここに来ていなくて、本当に良かった。 

 ルーシー、ありがとう。

 今は、こいつが……アナスイが、正しい道に気付いくれればそれだけで。
 暖かいベッドも、安らかな死もいらない。




 ――俺は、カウボーイだからな。


39 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:52:36 ID:ZRRTRguV
しえん

40 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:54:08 ID:UQhlaj6i
★   ★   ★



 涙の日、その日は。
 それは灰の中からよみがえる日。
 
 われらをあわれみたまえ。
 われらをあわれみたまえ。
 
 
 私たちを苦い死に引き渡さないで下さい――







【マウンテン・ティム 死亡】

【ドナテロ・ヴェルサス 死亡】


【残り 26名】



41 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:54:56 ID:zyHx+1Pg


42 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:56:12 ID:UQhlaj6i
【D-4 南部 /1日目 夜中】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(中)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!

0.ティムさんが、死んだ……僕のせい?そして「アナスイを救ってやってくれ」という最期の言葉の意味が分からない……
1.逃げる。どこへでもいいからここではないどこかへ。
2.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
3.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?
4.巻き込まれた参加者の保護
5.荒木の能力を推測する
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。





【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:身体ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:見敵必殺。徐倫を守り抜く、参加者を殺害する、荒木の打倒

0.さようなら、ティム――殺人鬼に逆戻りだ。ゲームに完全に乗った。
1.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
2.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
3.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない。襲ってこなくても容赦しない。
[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。


※ヴェルサスを殺した時点では仲間を殺した感傷に浸っている……という感じなので、ティム・ヴェルサス二人分の支給品は回収していません。
 この後拾うつもりかどうかは後の書き手さんにお任せします。



43 :存在の堪えがたき軽さ ◇33DEIZ1cds 氏代理:2011/01/19(水) 23:57:19 ID:UQhlaj6i
以上で終わります。
ティムとヴェルサスの所持品については、本文中にアナスイが拾い集める描写を入れると余韻が消えてしまう……と思ったため状態表に入れました。
何かご指摘があればよろしくお願いいたします。


余談……今の本スレといい、毒になっていないヘイズといい、みんな最高だー!ありがとう!





44 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:59:30 ID:UQhlaj6i
代理投下完了です
多数の支援ありがとうございました

感想はあt後で

45 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 00:09:42 ID:8zsDGwre
投下乙です

荒木との接触で覚醒したジョナサンとフーゴ、放送で覚醒したFFと由花子
本来味方のキャラのマーダー化が目立つ2ndだが、
荒木が原因でない覚醒を果たしたのは実はアナスイが初じゃなかろうか?
実力も伴ってこいつはまた厄介な奴が生まれたな
にしてもFFに続いて二人目の奉仕マーダー付きとは徐倫モテモテだなw
奉仕される側もかなり強い部類だし、本人が図らずとも優勝にかなり近いキャラになったなw

にしても、シリアス展開に反してアナスイの状態表の
襲ってくる奴らには容赦しない。襲ってこなくても容赦しない。
に笑ってしまったwww結局容赦しないのかよwww


46 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 00:21:03 ID:nhoZ/9g+
投下乙です!

ティムーーーーーッ!!
お前はルックスだけじゃない。その心もイケメンだったよ。
このロワでのアナスイ&ティムのタッグは大好きだった。ティムの思いを受け継いだかは微妙だが花京院も頑張れ!
とりあえず、また心が折れかかった花京院が立ち直ることが出来るのか、それともこのまま退場するのか……


47 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 00:24:12 ID:KVGzI3Y5
乙です!

アナスイ「おれの精神テンションは今! 殺人鬼時代にもどっているッ!」

遺志を継ぐため仲間の遺品を持っていく
…のではなくてテンガロンハットを踏みつけるアナスイ
ここ読んでてすげーゾッとした。ティムの胴ぶち抜きもビックリしたけど
最期にルーシーの心配するティムイケメンすぎる! グッときたぜ…
アナスイがティムに出会ってなかったらもっと早くにマーダー化してそうだったし
ティムは本当に良き理解者だったんだな、と思う

あと、前スレが埋まったのでwikiの外部リンクの「現行スレ」を新しい方にしておきました

48 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 00:30:42 ID:l4uab0bP
投下&代理投下乙です。

ティムが命をかけてくれたのに、アナスイ…この野郎……
救いは、あるんだろうか……

そしてヴェルサス!
ティッツァーノが死んでからは転落人生だったけど、すごく好きだったよ!!

花京院はフェルディナンド、トニオに続きティムで3人目か、
気に病むような死に方をされたのは。
放送でポルの死亡まで知ったらもう完全に欝になるんじゃないかと…。

49 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 21:08:10 ID:KVGzI3Y5
そういえば200話目だ! おメメタア!
いよいよ終盤って感じだろうか

50 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 21:19:34 ID:0CvNlCI5
200話かぁ…長かったがあっという間だったようにも感じるな
アナスイとうとうお前までそちら側に行ってしまうとは
ジョルノに続き花京院も精神的にそうとう追い詰められてるが
這い上がれるか沈むか…これからに期待してるっスよ〜!

51 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 21:23:14 ID:8zsDGwre
200話目と、今回の仮投下とで、一気に人数が減りましたね・・・
今日の投下ではどうなることやら・・・
とにかく終盤には違いないですね
第4回はともかく、もしかしたら第5回放送は訪れないかも・・・?

52 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:08:07 ID:afo5BDqH
投下おつです
やばいやばい思ってたアナスイが遂に悪堕ちか……
前回みたいに白くなったのはいいけど全てが遅すぎたって事態にならないように頑張ってくれ花京院
それにしてもティムは本当にイケメンだな
自分を殺したはずのアナスイを恨んだりせずに最後まで心配するとかマジイケメン

DIVE&DOWNが大好きな話だっただけに、もうアナスイとティムのタッグが見れないってのがすごく残念です
二回目になるけど暴走したアナスイをなんとかしてくれ花京院

ヴェルサスは落ちっぱなしだったなぁ、ある意味で彼の不幸な人生を体現したのかもしれないけど

200話ゲットおめでとうございます

53 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:41:56 ID:afo5BDqH
では: ◆4eLeLFC2bQ さんの代理東海来ます

54 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:42:41 ID:onhshYUk
 

55 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:44:14 ID:afo5BDqH
片桐安十郎とJ・ガイルはともに似た嗜好を持つ、犯罪者だった。
決して他人から理解されることのない者同士が出会い、手を組み、彼らは半日ほど共に過ごしてきた。
彼らの関係は比較的良好だったといえる。
J・ガイルがホル・ホースと結託し、片桐安十郎を亡き者にしようと目論むまでは。

DIOの館を後にし、人目を忍びつつ横並びに歩いている現在も好きでそうしているわけではない。
背中を見せれば相手に殺られかねないというひりついた緊張感、
それがため優劣のない横並びに自然となっていたのであった。

片や全身火傷、片や骨折と、歩みを鈍らせる身体的なダメージは互いに熟知している。
だが二人の強さが全くの互角であったかというと、そうではない。
時は夜半。日が沈み、闇は鏡面を包み込む。
夜間においては『ハングドマン』の能力よりも『アクア・ネックレス』に軍配が上がるといえた。
それでもまだ、怒りを抱えた片桐安十郎がJ・ガイルを殺そうとしないのは
『相打ちになったら、他のいい気になってる奴らの得にしかならねぇ』『それは最高にイラつく』
そのギリギリの共通意識が二人の底辺に存在していたからだった。

それはあまりに脆い繋がり、仲間意識とは正反対の感情。
外的な要因があればすぐに壊れてしまうような。
元より『同盟』の規約なぞたかが知れている。提案者の目の届かぬ場所なら尚のこと。
故にJ・ガイルはDIOの館を出立して以降、内心では他の参加者との接触を望んでいなかった。

(実際、俺の有利になるような『何か』が欲しいところだな……)

テレンスがこのゲームに参加したようだが、あの男のことは詳しく知らない。
DIOの名、『同盟』の存在を明かせば味方してくれる可能性はあるが、
能力もわからない以上、あまりアテにはできない。するつもりもない。

(それより、俺が気になってるのは『アレ』のことだ。 チラッと見えた気がするんだよなぁ)


「アンジェロさんよぉ、俺はあんたがよぉ〜っく知ってるように仲間意識の強い優し〜ぃ人間なんだ
 だから中心地に向かう前に俺の野暮用に付き合ってもらえないかねぇ」



* * * * *





56 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:45:12 ID:onhshYUk
 

57 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:45:47 ID:afo5BDqH
インディアンが出て行って半刻は経過しただろうか。
すでに目の前の少女の瞳は乾き、意識もはっきりしているように思える。
しかし彼女は徐倫の「誰にその傷を負わされた?」「敵が近くにいるの?」といった質問に対してすべて無表情で返答していた。
意識して無視しているのではなく、興味のない単語がすべて「雑音」でしかないかのような反応。

 あのインディアンについてはとりあえず敵ではないと判断したけれど、彼女が白か黒か決まったわけじゃない。
 彼もこの子の名前を知らないようだったしね……。
 けれどこのままなんの情報も聞きだせずに彼を待つのは時間の無駄としか思えない。

「『広瀬康一は打倒荒木のもとに死んだ、その意志はまだ消えていない』
 あなたをここへ運び込んだ人がそういってたわ」

『広瀬康一』の名が出た途端、彼女がブルリと身を震わせ目を見開いたのがわかった。
やはり、彼女の大切な人なんだろう。

「そう、でしょうね…… 康一君はとっても優しかったから……」

それを機に、長らく止めていた息をゆっくりと吐き出すように、彼女はポツリポツリと『康一君との思い出』を語っていった。


 彼はね、私よりお勉強は出来ないけれど、キラキラした、素敵なものを持ってるのよ。

 康一君は、あんなに酷いことをした私を許して、好きだっていってくれた。

 杜王町では、康一君たちのおかげで吉良が死んで……
 同じ大学に行けたらいいねって、お話したり…、二人で冬服を見に行ったり……。


そのほとんどがここでは有益になりもしない与太話だったが、徐倫は彼女の言葉を遮らずただ聞いていた。

「こんな、こんなところへ連れてこられなければ、康一君は……康一君は……」

胸がしめつけられるような嗚咽が彼女の口から漏れる。
それは計算でも、演技でもない、無防備な嘆き。
だからこそ空条徐倫は彼女を信じた。信用せざるを得なかった。

「私は、空条徐倫 あなたは?」

「…そう、由花子、山岸由花子よ」

名を告げた時、由花子の表情がわずかに揺らいだように思えた。
それはほんのささいな反応でしかなかったが、徐倫の観察眼はそれを見落とさない。

「由花子、もしかしてあなたは父さん、空条承太郎の知り合いなんじゃないかしら?
 広瀬康一という名前も、どこかで聞いたことがあるような気がするし」

父親の記憶ディスクを見たからといって、すべてをわが身に起こったことのように記憶はしていない。
ポルナレフはかろうじて認識できたが、花京院は本人の言がなければ父親の友人だと確信できなかった。
徐倫本人にとって日本人の知り合いは親族以外に存在しない。
だから聞き覚えのある日本人は父親の知り合いの可能性が高い、そう判断するしかなかった。

「『父さん』…………
 そう、あなたが承太郎さんの、娘なのね………」

由花子の顔に微笑が浮かぶ。
どこか諦めたような、何かを悟ったような空虚な笑み。
その意味を徐倫は知らなかった。
まだ、この時は。

58 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:46:16 ID:onhshYUk
 

59 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:47:01 ID:onhshYUk
 

60 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:47:34 ID:afo5BDqH
* * * * *






山岸由花子は絶望していた。
己の失した片腕に。制御不可能な怪物に。広瀬康一はやはり存命ではなかったという現実に。
スタンド使いがどれほど存在しているのか知りようはないが、
この80人余りが閉じ込められた箱庭の中で、同じ能力を持つものに出会うという偶然が起こりうるのだろうか。
いや、現にあったのだ。残酷な偶然が。

愛する『康一君』が死んだ。
その事実は半日前となにも変わらない。
しかし一度抱いた希望は、再び彼を失ったかのごとき衝撃を由花子に与えた。
失血によって朦朧とする頭が『最善策』を選び取ることを拒否してしまったかのように、彼女は哭いた。
見ず知らずの少女に愛する人との思い出を語り、ただただ嘆いた。
そして……


「私は、空条徐倫 あなたは?」


空条徐倫の心中にあったものは、善意だったかもしれない。
だが『つけ』はノートに書き込まれずとも、確実にたまっていたのだ。
最強の戦士を殺害した罪は、その娘によって罰せられるのだろうか。

山岸由花子は笑う。可笑しいほど凄然とした、自らが招いた運命に。
彼女はもう絶望などしていなかった。
強靭な精神力、愛情に見せかけられた狂気に突き動かされ、彼女はこう考えている。


 父親を利用し、彼女も自分の手駒にしてみせる、と。
 失敗すれば破滅に陥るこの状況を、必ず自分のものにする、と。


「承太郎さんは、吉良を倒すときに協力してくれた恩人よ
 娘がいるなんて一言もいってなかったけれど」


61 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:47:56 ID:onhshYUk
 

62 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:49:02 ID:onhshYUk
 

63 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:49:17 ID:afo5BDqH
* * * * *



「改めて見ると、すげぇ威力だな、こりゃ……」

J・ガイルが一崩れの死体を前に呟く。
白塊が覗いて見えるあれは頭部だったものだろうか。巨大なミンチに表情はない。
首から下は繋がってはいたが、不当に肩口が広い。
吹っ飛んでいたのだ、上半部は。
この小さな銀環、首輪の爆発によって。

「こんなのが首に付いてるってーのは、やっぱりぞっとしねぇな」

D-4中央部、J・ガイルの目的地が近くなるにつれて苛立ちを募らせていた片桐安十郎も
首輪の威力に関しては同意せざるを得なかった。

彼らが訪れているのはD-4中央部、何者かに殺されたホル・ホースの死体が横たわる場所だった。

J・ガイルにとって、ここを訪れた目的は2つ。
ひとつは突然殺されたホル・ホースの死因を明らかにすること。
対象を選ばない攻撃ならば自分が死んでいた可能性もあった。
無知無策無謀で難敵に挑むことがどれほど愚かか、嫌というほど思い知らされている。
そしてもうひとつ、いや、こちらがメインだといって差し支えないだろう、
それはホル・ホースに配された支給品の中身を確認することだった。
アンジェロへの牽制となりうるものならば及第点。
『ハングドマン』の弱点を補うようなものならば最上だ。

「お……やっぱり、あったな」

ごそごそと死体を漁るようにしていたJ・ガイルが上体を起こす。
途端に彼の奇怪な顔面がニィッと歓喜の表情を浮かべた。
時刻表の灰を落としながら、黒光りする『それ』を手に握り締める。


――ホル・ホースの奴はさぞ歯がゆく思っただろうなぁ、あいつにとってこれほど無用なものはねぇ


「アンジェロさんよ、こいつは『相棒』の形見なんだ
 俺がもらっていってもかまわないだろう?」

「まぁ、俺のスタンドにその手の攻撃は効かねーしな
 恩を売ってやるぜ、J・ガイルさんよ」

敵意を剥き出しにして、支給品ひとつにぎゃんぎゃん吠えるなどこいつのプライドが許さない。
とんとん拍子に事が進むさまは、空恐ろしいほどだ。

(それにしても、奇妙だな。 これは…繊維……、いや、髪か……?)

ホル・ホースの死体を包み込むきな臭さは、本人から発するものなのだろうか。
夜風に揺らぐその『髪』は、不吉の色をしていた。





64 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:50:02 ID:onhshYUk
 

65 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:51:12 ID:afo5BDqH
* * * * *



「私達、似ているかもしれないわね」

あらかたの情報交換が済んだところで、由花子がポツリと呟いた。

「そうかも、しれないわ」

泣き続ける彼女を前にして思った感情をなぞられたようで、言葉を濁しながらも徐倫は内心驚き、強く共感していた。

 失ってしまったその人達のことをどれほど大切に思っていたか。
 ふざけたゲームに巻き込んだ荒木を、立ちはだかる敵を、どれほど憎らしく思ったか。
 安寧なき戦いにどれほど傷ついてきたか。

―――山岸由花子、孤独な少女は、私に似てる……。


「徐倫、あなた傷だらけね」

由花子のか細い指が頬の傷跡にそっと触れた。シーツから引き剥がしたときに残った傷だ。
そういわれてみれば、後頭部はいまだにズキズキするし、頬の様に『糸』を千切った箇所が全身に残っている。
既に応急処置を終えているけれど、脇腹を刺された際に溢れた血は衣類を黒く染め上げていた。

「私は、誓ったのよ、荒木を倒すって
 そのためならどんな傷を負ってもかまわない
 由花子も、そう思っているんでしょう?」

由花子は片腕を失っている。けれども彼女はまだ闘おうとしていた。
それが徐倫には喜ばしい。
『守られる』ことなど必要ない。それが無上の愛情表現だったとしても。

「もちろんよ、徐倫 だから……私と……」

由花子の言葉は最後まで聞き取れなかった。
突然の銃声が、一瞬遅れて窓ガラスの破砕音が、部屋中に響き、
振り返ったとき、彼女の首筋からは鮮血が噴出していたから。



* * * * *




66 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:51:20 ID:onhshYUk
 

67 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:52:15 ID:afo5BDqH



「ひぃぃいいいいいいひゃっはっはあああああ これだからやめられないぜぇえええええ」

少女二人が慌てふためく様子を、物陰から男が笑い転げながら観察していた。
その手には黒光りする9mm拳銃が握られている。

銃声に反応した時の驚愕の表情、溢れ出す熱い血液、必死に物陰に隠れるその一挙一同。
すべてが、ゾクゾクするほど完璧だった。
誰を殺しても楽しいものは楽しいが、美人が苦悶に醜く顔を歪ませるのが最も最も最も最も素晴らしいッ!!!!

「アンジェロさんよぉ、てめーのためにあっちの女はとっといてやってるんだぜぇ?」

「うるせー、てめーが『善人面』するから黒髪の女を譲ってやったんだぜ」

二人の殺人鬼に二人の獲物、彼らが少女達を見つけたのは、全くの偶然でしかなかった。

家屋の中で佇む二人、もちろん電灯など付けてはいない。
しかしJ・ガイルの目は引き込まれるようにそれを見つけたのだ。
ホル・ホースの死体に絡み付いていた繊維と同じ、しなやかな黒髪を。

仲間意識などない。それゆえにホル・ホースの敵討ちをしようとは微塵も思わない。
拳銃に怨念でも宿っていたかと疑う偶然に、少し驚いただけだ。

「さっきの女は一瞬で殺っちまったからな
 今回はジワジワいたぶってやるんだよ
 DIOの館で負わせてやったダメージもあるだろうしよ」

見れば、団子頭の少女の頭上から雨漏りでもしたかのように『アクア・ネックレス』が滴っているところだった。

雨?と少女が天井を見上げ、滴りは流れとなり彼女に覆いかぶさった。
『ジワジワいたぶってやる』という言葉の通り、いつものような内部破壊は行わない。
そのかわり『アクア・ネックレス』の爪は、少女の生肌を引っ掻き回すように切り裂いていった。
決して致命傷には至らない切り傷が、徐々に『アクア・ネックレス』を朱に染めていく。
それはまるで群れなす小動物の狩りの様相。

ようやく彼女が『アクア・ネックレス』を振り切ったときには、上着はズタズタ、息も絶え絶え。
その目だけが爛々と敵意を映し出す。

「ふぅ〜〜〜〜〜、たまらないねぇあの顔
 もっともっともぉぉおおおおおっと、悔しげな顔で殺してやりたくなるねぇ!!」

『アクア・ネックレス』が跳躍し、再び少女に襲い掛かる。
強引に口中に侵入しようしたそれを少女がスタンドで殴りつけるが、『アクア・ネックレス』に物理的なダメージは通用しない。
手ごたえのなさに少女は唖然としている。
下卑た笑いが涎と共にアンジェロの口から漏れていた。
楽しくて楽しくて仕方がない。





68 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:52:38 ID:onhshYUk
 

69 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:53:07 ID:afo5BDqH
もうそろそろ、内臓をズタズタに裂いてやるか……!!

しかし『アクア・ネックレス』は徐倫の口中に侵入することはできなかった。
侵入すべき口が、『糸』が解けるようにバラバラになってしまったから。

「ちっ、あいつもそういう能力かよ、胸糞悪ーな」

「おっせえええなあ、アンジェロさんよぉ、俺が先に殺っちまうぜぇ?」

アンジェロの思わぬ苦戦もJ・ガイルには可笑しくてたまらなかった。
少女達の恐怖の表情、アンジェロの憎憎しげな表情、これほど楽しい気持ちになるのは久しぶりだ。
ひぃひぃ笑いながら拳銃の引き金を引く。その数、計3回。


1発は壁にめり込み、1発は電灯を粉々に破壊した。


そして最後の1発は、物陰に隠れていた少女の足元に打ち込まれ、



凄まじい音を立てて、『爆発』した。



 * * * * *



銃声、ガラスの割れる音、突然噴出した血、水のような敵、血に濡れる徐倫―――


なにが起こったのか理解する間もなく、次のなにかが起こり、どうしたらいいのかわからない。

心身ともに疲弊しきった少女は、物陰でただ理解できる『端』を見つけようとするのが精一杯だった。

しかし山岸由花子は見たのだ。
一発の銃弾を。

狙いすましたかのように、なにかに導かれるように、それは吸い込まれていった。

開け放たれた窓を抜け、宙を閃き、側に置いてあった、彼女のデイパックに。

確率の問題ではない。これは運命なのだと、山岸由花子は直感する。


――――この中には、空条承太郎の首輪が………!


スローモーションがかかった世界は静寂に包まれ、次の瞬間、白熱した。



* * * * *





70 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:53:38 ID:onhshYUk
 

71 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:54:17 ID:afo5BDqH



「J・ガイル、てめーどういうことだッ!!!?」

火花が夜風に舞い散る中、アンジェロは完全にキレていた。
彼にしてみれば、自らが仕掛けられたガス爆発を再現されたようなもの。
感情を抑えきれぬ怒号、憎悪は深い。

糸状になった女に驚きはしたが、優勢は変わらなかった。
嬲り殺す楽しみも、生の死体を処理する楽しみも、奪ったのはこの男J・ガイル。

「俺が知るか
 手榴弾でも所持してたんだろうよ」

しれっと答える様がアンジェロの怒りを加速させた。

「J・ガイル、長くも短くもねぇ付き合いだったが、わりと面白かったぜ」

言うなりナイフを取り出し、J・ガイルへ差し向ける。
スタンドは家屋の中で水蒸気になっていて手元に戻すにはまだ時間がかかる。
窓ガラスから電灯へと移動していたこいつのスタンドも似たようなもんだろう。

「……俺は別にどっちでもよかったんだぜ?
 このまま組んでいようと、てめーを殺しちまおうとよ」

「そんな小さなおはじきで、俺を殺れるっつーなら、殺ってみな」

挑発に挑発が重ねられ、殺気を孕む。

アンジェロは音も立てずにナイフを振りかぶった。
対するJ・ガイルは避けようとも迎え撃とうともしなかった。微動だにしない。

その時点でアンジェロは疑問を持つべきだった。
拳銃にそれほどの信頼を置いているのかと。
冷静に物を見ているのはどちらだろうかと。


煌めくナイフが映した奇怪な化け物に、とうとう気付くことなく、彼は逝った。


J・ガイルは暗闇が己の弱点であることを知っていた。
拳銃を手に入れ鏡面を増やすことができたとしても、アンジェロとの差は埋まるものではない。
味方にこそ最大の警戒を。
自分の嗜好を満たすこともやめ、少女が重症を負った時点でスタンドは手元に戻していた。

ただそれだけのこと。それだけの差。


J・ガイルが笑う。全身をのけぞらし、腹を抱え、死体を蹴り上げて。
家壁に反射したその声は増幅し、いつまでもいつまでも、狂ったように笑い続けていた。



* * * * *





72 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:54:32 ID:onhshYUk
 

73 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:55:17 ID:afo5BDqH
突然窓ガラスが割れて…、 由花子が怪我を負って…、
水のような不気味なスタンドに襲われて…、 それで…、 それで……?

口に入ってこようとしたスタンドを咄嗟にかわして、
一瞬目の前が真っ白になって、 あれは爆発……?

それにしても、臭いわね、絹が焼けたような匂い、一体何なの?

大体さっきから重たいのよ、私にのしかかっているのは敵?
さっきの奴?


…………じゃあない、私に覆いかぶさるように倒れている柔らかな肢体

これは、由花子………!!!?



「由花子 あなた、私を庇ったの……?」

爆発の直前に水を被ったせいもあるのだろうか。自分には驚くほどダメージがない。
上半身を起こしつつ、ぐったりとした彼女を横たえてやる。
力なく投げ出された三肢、美しかった黒髪はチリチリに焼け焦げ、無残としかいいようがなかった。
血の気のなくなった頬、目元には黒く浮かんだ隈。
床にはジリジリと赤黒いものが拡がっていこうとしていた。

「由花子………」

酷く気怠げに開かれた瞳は、すでに光を宿していない。
もう、彼女は……。

由花子が身体を起こそうとして叶わず、苦しげに唇を振るわせる。
なにかを伝えようとしていた。

「なにを伝えたいの……?」

徐倫が由花子の口元に耳を寄せる。
わずかな呼吸が漏れ、言葉を繋いだ。



 あ  な  た  の 、 お と う さ  ん   を


    こ  ろ  し た の は 、  わ  た   し



その瞬間、徐倫の中で時が止まった。
きな臭さが消え、爆発の熱気が消え、音が消え、感触が消えた。

ただ、耳の奥の方で、血液が激しい奔流となるのを感じていた。


いま、なんていったの?

ゆかこは、なんて?


だれを、だれを、ころしたと…………?

74 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:55:38 ID:onhshYUk
 

75 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:56:16 ID:afo5BDqH
「『似てる』ですって?よくそんなふざけたことがいえたわね この腐ったゲス野郎……ッ」

怒りの余り顔面蒼白となった徐倫。その指が由花子の首をへし折らんばかりに締め上げる。
『似てる』と共感を抱いたのは徐倫。彼女に心許したのは徐倫。己だから、すべてが許せない。


   だから……死ね…… 
            ……死ね……由花子!


彼女の血でぬめった指を、焦げた肌にめり込ませていく。
抵抗する気力もないのだろう、死んだような由花子の瞳は徐倫の嗜虐心を煽り立てた。

しかし一方で徐倫はとてつもなく冷静に、疑問を感じている。


ならどうして私を庇ったの?

  罪滅ぼしのつもりでしょう?

彼女は大切な人を失って泣いていた

  すべて演技だったのよ 仲間と共謀して私をはめるための

どうして父さんを殺したの?

  最初からゲームに乗ったクソビッチ野郎だったのよ、この女は

そうかしら

  『そうかしら』?

彼女にとっては敵だった 私にとって荒木が、DIOが敵であるように

  父さんは殺されるような、人間じゃない

本当に? 彼女の目的が、優勝して愛する人を取り戻すことだったとしても?

  それは正義なんかじゃない、吐き気を催す『邪悪』よ

あなただって、肯定したんでしょう? どんな善人が傷ついたってかまわないと

  私は正しい道を選んだ 彼女の選んだ道は間違ってる


いいえ、私達は『似てる』わ 選んだ道が、傷つけた相手が違っていただけ





76 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:57:13 ID:onhshYUk
 

77 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:57:20 ID:afo5BDqH
「うわぁぁあああアアアアアアアアアアアアアア」


臓腑をひっくりかえされたような吐き気を覚え、胸をかきむしる。

死んでいくのは、私? 由花子?

結局抑えきれず、由花子に背を向けて吐いた。
中身がなくなり、胃液が喉を焼き、涙が止まらなかった。


そうして、再び山岸由花子に向き直ったとき、空条徐倫の瞳はどんな輝きも映してはいなかった。

「由花子、『あなた達』の意志は、私が引き継ぐ」

広瀬康一が遺した『打倒荒木』の意志。
山岸由花子が体現した『すべてを利用する』強さ。

アナスイが私を守ろうというのなら、喜んで盾になってもらおうじゃない。

すべては、荒木を屈服させ、何もかも元通りにする、そのために。


「『また』会いましょう、由花子」


立ち上がり、戸口へ向かう。
玄関を半歩出たところで振り返った。

「私が『こうなる』と期待して、私を庇ったの?」


答えは期待していない。
そんなことは、もうどうだっていいのだから。


徐倫の足音が遠ざっていくのを、床の振動が伝える
宙を見つめる少女の目尻から、一筋の雫が零れ落ちた。


「また………、会いましょう………、康一君………、徐倫……………」





【片桐安十郎(アンジェロ) 死亡】
【山岸由花子 死亡】

【残り 20名】




78 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:58:10 ID:afo5BDqH
【E-4とE-5の境目 /1日目 真夜中】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(大)、体中縫い傷有り、上半身が切り傷でボロボロ、火傷(小)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0. 荒木を屈服させ、すべてを元通りにさせる
1.そのためならばどんなゲスでも利用してみせる。アナスイももちろん利用する。
2.自分達を襲った敵を見つける
3.サンドマンと情報交換
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。


【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、全身ずぶぬれ、右二の腕・右肩・左手首骨折(治療済み)
[装備]:9mm拳銃
[道具]:支給品一式、チューブ入り傷薬、死の結婚指輪の解毒剤リング
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず殺しを楽しみつつ、自分が死なないよう立ち回る
0.大きな施設を回り、参加者を殺害する。
1.同盟の規約を守る。でもいらなくなったら同盟なんか知るか。
2.ほかの参加者を可能な限り利用し、参加者を減らす。
3.自分だけが助かるための場所と、『戦力』の確保もしておきたい。
[備考]
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※ヴァニラアイスの能力、ヴェルサス、ティッツァーノ、アレッシーの容姿を知りました。
※第二放送をアンジェロに話しました。
※由花子と徐倫は爆発で死んだものと思っています。


【備考】
※ホル・ホースの不明支給品は「ミネベア9mm自動拳銃」でした。
※山岸由花子の所持品は首輪の爆発を受けて、大破か消滅しました。





79 :創る名無しに見る名無し:2011/01/20(木) 23:58:15 ID:onhshYUk
 

80 :ニュクスの娘達 ◇4eLeLFC2bQ氏代理:2011/01/20(木) 23:59:11 ID:afo5BDqH
代理投下完了です
感想はまた後ほどに

81 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 00:36:29 ID:Bc/kLrPw
うあああああああああああ、由花子さああああああああああああん!
マジでかああああ、マージーでーかーあああああああ!
くっそー、くっそー、大好きだっただけに凹むぜ、うげえあ
うあー…………うぁー……
ちっきしょう、いい話だなぁこれ
やられたー。いろんな意味でやられたぜー
ロワSS読んでて、ここまで空っぽになったのは久々ですわ。なんつーか、胸に穴が開いたような
うあー、あー、ぁー……
感想がどうも言葉になんねえっていうか、なんというか
無駄に文字数ばかりがんがん増えていきやがる
ちっくしょー、こんだけ書いても全然なにを言いたいのか
とにかく、よかったのは確かです。うぁぁー……

82 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 00:39:24 ID:kw6CnNQX
投下&代理投下乙です
修正版が来るっぽいので感想は今度書きます

由花子さん…

83 :◇4eLeLFC2bQ 氏代理:2011/01/21(金) 22:09:57 ID:8FaGiwe2
氏が規制中とのことで仮投下スレに書いてあった事を代理で投稿します


『ニュクスの娘達』書き手より
掲示板にて「承太郎の首輪は爆発するのか」について議論していましたが
問題なさそうなので修正はしないことに致しました。
自分の至らなさを申し訳なく思いますが、現在投下済みの内容で、指摘・感想をいただけると嬉しいです。



84 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 22:31:22 ID:gLz3ql3L
問題解決ということで感想

由花子さああああああああああん!!!!!!
承太郎という巨城を陥落させたあなたがまさかこんな最後を迎えるなんて・・・!!!
そしていい気になってるJ・ガイル!! 貴様にもいつか絶対天罰が下るぞ!!!
徐倫も早人化してまともにナチス研究所組を手伝ってくれるかは微妙な流れですね・・・

すでに人間じゃないFFを除けば、女の子はとうとう最後の一人に!
生き残りの多かった4部勢がここに来て一気に残り3人になり、対主催側はえらいこっちゃ
リンゴォを含めると残り人数の約半分である9/20がマーダーというとんでもない事態になってますね
5部を除けば各部にまともな対主催が1人以下というとんでもない状況になったこのジョジョロワ2nd・・・
とうとう結末が楽しみになってきました。

85 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 23:03:04 ID:lhHfjp/H
あああ…由花子…!
承太郎をやっちまった時もうわあああとなったが今回もまた…
主人公も残りはジョナサン、ジョルノ、徐倫だがそのうち2人が殺る気だしてしまってるなんてw
2ndえらいハードな展開続きで目が離せないですね

86 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 23:13:39 ID:PDeycl84
ちょっと3行状態表書くの早すぎじゃね?
まだ本投下されてない話について書くのはどうかと思うけど

87 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 23:14:36 ID:kw6CnNQX
じゃあ感想書いちゃおう

由花子さんがこんな風に死ぬなんてショックだよおおおおおおおお
一時は徐倫を利用しようと考えたものの、爆風から庇ったり、
承太郎を殺した罪を告白したり、なんかすごく悲しかったなあ…

J・ガイルは二人殺害してようやくエンジンかかってきた感じだけどどうなることやら
ハングドマンは強力だし銃も手に入れたし

そして徐倫ついに覚醒しちゃったか… 6部勢ヤバすぎるぜ…
最後の女の子はどこまで生き残れるだろうか 今後も目が離せないッ!

88 :創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 23:49:43 ID:gLz3ql3L
>>86
ちょっと前にもどこかで言われてたけど、3行状態表は作品の議論が終了してからの方がいいですね
例えば過去にJガイルが一回死んで、議論により話がボツになって修正で生き返ったことがありましたし

89 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 08:03:24 ID:jP0L0CNQ
保守

90 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:49:30 ID:h+Vl788p
お待たせしました。これより投下いたします。

91 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:50:27 ID:h+Vl788p
自分の身に何が起きたかわからない。
ゆっくりと近づいてくる地面に顔から叩きつけられても、まるで夢の中のように現実感がなかった。

寒気がする。震えが止まらない。なのに体が動かない。
倒れ伏した視界の端で、真っ赤な池が広がっていくのを見て初めて理解した。
ああ、あたし、死ぬんだなって。

ぬちょり、ぬちょりと血のりをつけた靴が目の前を横切っていく。
なんか思ったよりあっさりしてた。
死ぬ時はもっと苦しんだり、足掻いたりするもんだと思ってた。
特にあたしは怖がりだからなぁ……けど意外とたいしたことないもんだ。
こうやって笑えてくるぐらいだもんな。
ただ、だんだん目を開けとくのがつらくなってきた。
そしてたまらなく、寒い。今頃あたしの顔は真っ青になってんだろう。
それでも怖くは、ない。なるようになる、なぜだかそう思えてきた。

ああ、とにかく眠い。早く寝てしまいたい。
それにしても……思えばあっという間の人生だった。
色々あったよ、まったく。
けどなんかここで過ごした一日が一番濃い一日だった。

力のこもらない笑いが漏れる。
まぁ、それもそうか。だって殺し合いだぜ?
これで色々考えなかったり、迷ったり、全然ぶれないなんてわけがない。
あたしみたいに元々がちゃらんぽらんな女なんて特に、な。

いきなり目の前でじいさんが消されたり、二回も同じやつに射殺されそうになったり、ゴミ虫みたいな目で見られたり、自暴自棄になってるところを励まされたり……。
首輪いじってたら危うく爆死しそうになったり、トンだスプラッターな死体を見たり、知り合いに本気で殺されかけたり、同じようなスタンド能力にびっくりしたり……。

でも結局ここでおしまいか。
色々足掻いたけど、頑張ったけど、所詮ここまでの女だったってことか。
それも仕方ないよな……今更どうにもできないもんだ。





―――――そう思わないとやってけない。
―――――仕方ない、どうしようもない、諦めた、なんて言わないとやってけない。


92 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:51:10 ID:h+Vl788p

笑うことができたのは自分が滑稽だったからだ。
結局生きる、生きる、言ってたあたしは死んだまま生きてただけだ。
あたしはとっくに死んでた。
ただ生きた気になってただけだ。

今から生きる、生きよう。そう思ってた。決心してた『だけ』。
あたしはジョルノみたいに、『夢』をもってない。
ホルマジオみたいに貫き通す『信念』もない。
それを探せたらよかったのに。それを見つけることができたら良かったのに。

でも見つけれなかった。見つけようとしただけで、結局その気になってただけ。

だってなんもしてないもん。
ホルマジオの後にひっついて、ナチスに来たらブチャラティに言われるようにジョルノにくっついて。
それで? それであたしはなにか見つけれたのか? 
あたしにとって生きる意味は見つかったのか?

死ぬのが怖くないはずだ。
何も失うモノがないもんな。
死んでも何も変わらないもんな。
生きてても、何も変えれないもんな。

あたしには死にたくない、そう言う理由と資格がない。
だってそうだろう?

「ははッ」

死ぬ間際になって誰もあたしは思い浮かべることができない。
あたしが死んで悲しんでくれるような人の顔が想像できない。

これがあたしが積み上げてきたものだ。
これが……あたしの生きた証か。
笑えるよ。



笑えよ、グェス。

「ははははッ」





【グェス 死亡】









93 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:52:01 ID:h+Vl788p



―――時刻は数時間前


「おいおいおいおい、ちょっと待てよ!
 お前まさかこのまま俺たちを残してどっか行こうって魂胆じゃねーよな?!」

情報交換を終え、背中を向けた俺に向けられた叫び声。
振り向くと、指をこちらにつきつけ喚いていたのは音石明だった。
……まったく、何をそう叫ぶことがあるというのだろうか。
情報交換を終え、リンゴォ・ロードアゲインも手を貸せば歩ける程度まで回復した。
テレンス・T・ダービーのもたらした情報は確かに膨大なものだが、それもナチス研究所で整理すればいいもの。
なにより目的地へ向かおうと急かしたのは音石明本人だったはずだ。

「……情報交換を終えた今、ここに長居する必要はないと思うが」
「そうじゃねぇ! いや、そうだけど!
 ただよ……お前、いまからさっき言ってた女のやつんところにいくつもりじゃねーだろうなァ?」
「そうだ」
「冗談じゃねーぜ!
 怪我人一人と足手まとい一人つれてナチス研究所へ向かうなんて自殺行為じゃねーか!
 そんな状態で誰かに襲われでもしたら目も当てられねぇぜ!」
「奇襲にたいしてはリンゴォのスタンドで対処すればいい。
 なによりお前自身のスタンドで戦えばそれまでの問題だ」
「ふざけるな、あんな怪物相手に戦えるわけないだろォ―――!
 おねがいします、ついてきて下さいィ―――ッ!」

音石に悟られない程度にため息を吐く。
常に無表情なはずのリンゴォがなぜか今だけ、同情的な眼差しを送ってくれているように思えた。
どうやら思ったよりも使えない男のようだ。

―――仕方ない、山岸由花子と空条徐倫のことも気になるがナチス研究所へ向かうとしようか。
一度リゾットと情報交換をしておくのも悪くないし、ちょうどいい機会だったと考えておく。

とにかく、決まった以上、善は急げだ。
わかった、と音石に返事をすると俺はリンゴォに手を貸す。
そしていまだ出発の準備にもたもたしている二人を残し、ほとんど抱きかかえるように、リンゴォの体を支え俺は走り始めた。

「なッ!?」
「おい、ちょっ……待てよ!」

確かについていくことには同意した。
敵対する参加者が出てきたら、俺も協力してその敵を排除しよう。
ただし……

「お前たちがついて来ることができたら、だがな」

94 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:53:22 ID:h+Vl788p


二人がついてきているかを確認するために振り返る。
音石もダービーも命がかかってるとなると流石に必死だ。
不格好ながらも懸命に体を動かし、俺に少しでも遅れまいと我武者羅に走ってくる。
どうやらこのペースでいけば予想以上にはやくナチス研究所へ到着できそうだな。

「……サンドマン」

思考を切り替え、突然声をかけてきたリンゴォの言葉に耳を澄ます。
同時に、前方に見える人影に気付き足を緩めた。
暗い闇に紛れていた人影は段々とはっきりしてくる。
さっきの空条徐倫のように誤解から戦闘が始まってしまうのは馬鹿らしい。
相手がノッた相手でも対処できる距離をとると、俺は足を止めた。

「僕はジョルノ・ジョバァーナ、この殺し合いには乗っていません。
 荒木打倒のために情報と協力者を集めているところです」

一歩一歩、慎重に近づいてきた影がはっきりと形をなす。
互いの顔が、遠目にだが確認できる程度で止まった青年が、両手をあげ言う。
見た限りでは戦意も感じられない。本当のことを言っているようにも思える。
が、信頼に足りるかどうかは分からない。リンゴォの負傷もある以上あまり無茶はできないが……さてどうする。

「肩を貸してる相手は怪我人でしょうか?
 僕のスタンドは治療も行うことができます。
 貴方が僕を信じられないというならば、先に治療を行うことも構いません」
「ジョルノ……ジョバァーナ……」
「……! 貴方は……!」

そのリンゴォが小さい声で彼の名前をつぶやく。
声を聞いて初めてリンゴォだとわかったのか、彼の眼が見開かれる。
知り合いか、そうリンゴォに問いかけると信頼できる相手ではある、とのこと。
どうする、と問うもリンゴォは黙りこむ。青年も返事をすることなくこちらの答を待っていた。
どうやらリンゴォと青年の間で何かあったようだ。
しばらくの間続く静寂、それを破るように後ろから二人の悪態と足音が迫ってきた。

「サンドマン、てめぇふざけんなよ!」
「元々はお前が無理を言ったからだぞ、音石明。
 くそ、散々な目に会った…………」

音石明とテレンス・T・ダービー。
二人の到着が俺たちの行く先を大きく決定づけた。







95 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:54:55 ID:h+Vl788p


ナチス研究所にて男が二人、額をつき合わせ議論を交わす。
時には身振り手振りを加え、納得と正解を求め意見をぶつけ合う。
だがあくまでその言葉は『飾り』。
勿論内容自体は重要なことで、いずれは考えなければならないことだ。
しかし優先順位はそこまで高くないもの、そしてなにより盗聴されても構わない内容。
二人は荒木を出し抜くため、ダミーの会話を続けながら一切手を止めようとしなかった。


「やはり一番考えられるのはG-10の島。
 ジョルノから俺が直接聞いた情報と禁止エリアから考えても、ここで間違いないだろうな」
(つまり首輪の動力源は俺たち自身のスタンドの力だと?)

「だろな。だがわからないのは荒木の考えだ。
 G-10を禁止エリアにすることで奴は自分の居場所をばらしてきている。
 仮に禁止エリアに特定しなかったのならば、マップの半分近くを占める海の中からやつの居場所を特定するのは骨が折れただろうというのに」
(スタンドの力ではなく、正確には生命力ではないかと思っている。
 でなければスタンド使いでない参加者の首輪の説明がつかない。
 勿論、全てが全て同じ構造でないという可能性も否定はしないが)

「絶対的な自信と、挑発行為じゃないか?
 奴の積極的な介入からみても俺たちを本気で殺し合わせようとしているとは思えない」
(――どうも俺はそこがひっかかる。
 仮に動力源が俺たちだとしたならば、電波妨害装置を発動した時、お前が気を失った原因は何だ?)

「事実俺たちがこうやって協力しているぐらいだからな。
 殺し合いを促進させたいならもっと適した時間軸があるはずだ。
 お前が、俺たち暗殺チームに狙われた始めた時なんかがその典型的な例だ。
 だが奴はその時間からお前を呼び出さなかった……それは何故か……。
 ……論点がずれるかもしれないが、ジョルノ・ジョバァーナが言っていた荒木は純粋である、これについてどう思う?」
(装置の発動以外に原因となる要素はなかったが……強いて言うなら音石のスタンド能力か。
 装置が発動したことによって俺の生命力を首輪が過剰に変換しすぎた。
 生命力を吸収されたことで俺は気を失った。一応筋は通っているように思えるが?
 そもそも音石が原因だとしてもあの状況でそうする理由が見当たらない。
 仮に音石が意図的にやったとしてもそこまでするぐらいならば首輪を暴発させたほうが遥かに楽だ)

「俺が直接荒木のやつを見たのは最初の参加者が全員広間に集められていた時ぐらいだから詳しくは分からない。
 ただ俺はジョルノの言葉も一理あると思う。
 こうも色々と不自然な点があるとただ単にやつの気まぐれではないかと疑わしくなってくる」
(そこが不可思議だ。
 電波を受信している首輪、その電波を遮る電波妨害装置。
 この仮定で行くと荒木は電波によってエネルギー変換の調整を行っていることにならないか?
 だが『わざわざ』電波によってエネルギー調整する理由が俺にはわからない。
 首輪はこの殺し合いの根幹をなす重要な要素なのに、だ。
 これほど高性能の首輪を作れる荒木がエネルギーを調整する機械を首輪に入れない理由は何だ?)


96 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:56:42 ID:h+Vl788p

「荒木自身についてもっと知る必要があるか……。
 奴の知り合いは今まで集めた情報からするとこの殺し合いに参加させられてないようだな。
 そうなると直接的に奴について知ろうというのはあまりに不確定すぎる。
 奴の行動パターンから奴の狙いを推測するしかあるまい」
(こいつを見てくれ……。
 これはあるスタンド使いによって首輪の構造を念写したものらしい。
 実際信憑性がなかったが、グェスの話と合わせてみると信頼できるレベルものと思えた。
 ここまでの設計図を模写できるスタンド使いを呼び寄せた時点で、荒木は首輪を解除される可能性は高いと踏んでいたのだろう。
 だから荒木は『あえて』エネルギー調整機を入れなかったんだ。
 俺が思うに電波で調節しているのはやつがそれを最終手段として利用するためだと思う)

「あくまで推測が限界だな。
 奴が一番不可解な行動をとったのはグェスから日記を回収したところだと思うが……お前はどう思う?」
(――――なるほど、いざ首輪を解除しようとしてもその瞬間に電波を遮断し俺たちを気絶させるためか?)

「グェス程度に盗まれてしまった警戒心の薄さの割には自ら回収に出向く辺りがクサイな。
 グェスが盗んだのは支給品のランプを使い、花京院典明と一緒に荒木に呼び出された時か……。
 しかしこれではやはり堂々巡りに入ってしまう。
 果たして荒木は意図的にグェスに『盗ませた』のか? それとも本当に、『盗まれた』のか?」
(そうだ。つまり爆弾は殺し合いを促進させるため、エネルギー調整電波は俺たちが首輪を解除するのを抑止するため。
 首輪は二重の意味で俺たちを拘束している、俺にはそう思える。
 俺は一度気を失ったものの、短時間で立ち上がれるまでには回復した。
 だが発信源を抑えられたら俺は気を失ったままだったかもしれない。
 つまり電波を遮断し続ければ、その間俺の生命力はずっと首輪に吸い取られているわけだ。
 そこでだ……もしこの変換率を高めることができたら?
 ……もしかしたらこの首輪は爆弾を使うまでもなく俺たちを殺すことが可能なのかもしれない)

「実際いくらでもこじつけができそうだからな。やはり情報が少なすぎるか……」
(首輪を解除しようとするとジレンマに陥ってしまうわけか。
 首輪の『機能を停止する』には電波を止めなければならない。だが電波を止めれば荒木に感づかれてしまう。
 その上電波が止まれば首輪のエネルギー変換機能が暴走、装着者はそのまま生命力を過剰に吸収される。
 だが電波を止めずに首輪を解除しようとすれば爆弾が爆発、か)

「ただ『殺し合う』のが目的ではない、つまり俺たちの『死』を望んでのこの殺し合いを開催したわけではないのは断言できそうだな。
 自分の意志で、自らの選択で『殺し合う』、それが奴の望んだものか……?」
(俺に対して電波を遮断しなかったのは『警告』か、はたまた『ご褒美』か。 
 とにかく今後この装置が首輪解除のキーとなるのは間違いない。
 電波妨害装置によって『誰でも電波を妨害できるのか』が分水嶺だろうな。
 音石にしか使えないようだったら絶望的だが、もし俺たちにでも使えるようであれば上手く立ち回ることで荒木を出しぬける)

「俺たちに意志の選択権がある、というふうに奴が考えていると思うと不愉快だな」
(死んだふりか? それでどこまで奴を騙しきれるか……それを防ぐためにやつは盗聴器を仕込んでいるんだぞ
 解除される参加者もだが解除する参加者の演技力も相当なものを要求される……。
 それになによりこの装置は奴自身が支給したものなんだぞ?)

「そうだ……意志とは与えられたものを選び取るためにあるわけではない」
(さっき口頭で言ったはずだ、奴は『俺たちの死』が目的ではないと。
 ならばこいつで首輪を解除できる可能性は充分ある……、いや仮になくてもとりあえずはこいつで試してみるしかないだろう。
 それと監視カメラも考えてナチス研究所に関しては俺のスタンド能力であらかた調べた……が、正直確信はない。
 なにより奴は時間を超えて参加者を集める力がある。俺たちが理解できない未来のカメラ、盗聴器の可能性まで考えると……)


97 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 20:58:18 ID:h+Vl788p

「自ら切り開いていくものだ」
(お手上げ、か。
 現状電波妨害装置がどこまでやれるのかを実験したいが下手すればそれすら荒木にばれてしまうのはキツイな)

「今の俺たちのようにな」
(だがばれる危険性があるとしても、ここから手をつけるしかない
 装置と首輪の距離によっての遮断率の変化、変換率の個別差による装置の稼働率。
 考えられる可能性は無数だが現状ほかに道はない)

「ああ」
(変換率の個別差から考えると強力なスタンド使いにはそれだけ負荷が大きいのだろう。
 吸血鬼や柱の男と呼ばれる奴らがこの場にいることからもその可能性は高い。
 案外スタンドも使えない一般人が一番首輪解除に近い存在なのかもしれないな……)





「リゾット、帰ってきたぜ」

突然の仲間の帰還にリゾットは持ち上げかけたペンを下ろす。
えらい早い帰還だな、そう思いブチャラティに視線を送ると彼も同様に意外そうな表情をしていた。
大声とともに正面の扉が開かれる。その音に紛れて、偽物の可能性は?とブチャラティに問う。
ブチャラティは黙って頷く。席を立ちあがるとともに、流れるようにスタンドを呼び出すと扉の死角へと足を向けた。
リゾットもそれに従い席を立つと、扉から少しだけ距離をとった。

廊下をこちらへ向かってくる音。足音は複数、だんだん近づいてくる音に緊張感も高まる。
そして扉の前で足音は止まると、ノックの音が部屋に響いた。
最初に素早く二回、少し間をおいて一回、さらに間をおいて三回。
それを確認したリゾットは口を開いた。

「入れ。ただし部屋に入っていいのはホルマジオ、お前一人だ」

一瞬だけ間が空き、扉が開かれる。
両手を頭の上に置き、スタンドを脇に立たせたままホルマジオは部屋に入る。
リゾットの氷のように鋭い視線を受け止め、ホルマジオは口を開いた。

「今帰ってきた」
「合言葉は?」
「『裏切り者には慈悲を、復讐者たちには終わりを』」
「プロシュートとコンビを組んでいた人物のスタンド名は?」
「『ビーチ・ボーイ』」
「ソルベの相方の名前は?」
「ジェラート」
「暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロの年齢は?」
「……は?」

98 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:00:10 ID:h+Vl788p


淀みなく答えていたホルマジオの答えが鈍る。
最後の質問に虚を突かれたのか、毒気を抜かれたように間抜けな表情が浮かんだ。
それを見てリゾットは微笑を浮かべ、警戒心を解いた。

「相手の思考を読み取るスタンドという可能性も考えて、お前が知らないはずの質問をしてみただけだ。
 許せ、ホルマジオ」
「おいおい、冗談きついぜ……」
「それで、指令はうまくいったのか?」

坊主頭に伝った冷や汗を拭うと、おどけた顔で肩をすくめる。
それがちょっとしたイレギュラーがあってだな、そう言うとホルマジオはブチャラティを呼び寄せ一旦部屋を出る。
人手が必要だとのことで、その間にリゾットは筆談で散らかった机の上を整理した。

現状筆談でもブチャラティと話した通り、道は暗い。だがそれえでもどうにかするしかないのだ。
それに、とリゾットは皮肉気に思う。
逆境に置かれることには慣れている。いつも通りと言えばいつも通りだ。

裏切り、組織から孤立したチーム。
刺客に追われる恐怖におびえながら、必死で娘の動向を追う。
迫りくる死、一人一人消えていく部下。バツ印をつけた写真と地図だけが増えていく。
絶望と悲しみ、闇に吸いこまれるような孤独感。

過去を思い出し、整理した情報を読み直していたリゾットは窓をたたく音に現実に引き戻される。
窓枠にちょこんと乗っかった一羽の鳥。足には紙がくくりつけられている。

「ジョルノ・ジョバァーナ……」

緊急時には僕のスタンドで連絡を送ります、ナチス研究所を出発する前の彼の言葉が蘇ってくる。
窓を開けると鳥はリゾットの周りをひとっ飛びし、最後に小さく鳴くと元の小石へと戻る。
掌に落ちてきた紙切れを開き、内容に目を落とす。
読み進めるうちに、リゾットの表情が鋭いものへと変わっていった。

「……何かあったのか?」

用事を終え、部屋に戻ってきたブチャラティがリゾットに声をかける。
表情をいつものものに戻すと、リゾットは紙切れをブチャラティに渡す。
さきほどのリゾットと同様、ブチャラティも表情を変えていく。


99 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:06:57 ID:h+Vl788p

「ジョルノ・ジョバァーナからの報告だ。
 無事指令を終え、ナチス研究所へ帰還する……もうすぐそこまで来ているらしい。
 情報の共有はホルマジオと同時にやったほうが良さそうだな」
「……そうか」
「ホルマジオの奴はどこに?」
「……今からくるところだ」

だがジョルノが指令を果たしたならば、ホルマジオはいったいなぜ帰ってきたのか。
リゾットの疑問はまさにちょうどその時、ホルマジオが部屋に入ってきたことで解けた。
ホルマジオの後について男が二人、少年が一人。
そして車いすに乗せられ、気絶した人物が一人。

「パンナコッタ・フーゴ……」

隣でブチャラティが拳を強く握り締める。
握っていた紙が、くしゃりと乾いた音を立てた。








13もの視線が二人を見つめていた。リゾットは相手の返答を黙って待った。
返ってきたのは言葉でなく、怒りに震える拳が叩きつけられた音。
疲れ果てた机がミシミシと悲鳴をあげ、端のほうで身を縮めていた音石はさらに体を小さくする。
億泰のイライラは収まらない。席から大きく身を乗り出すと、目の前のリゾットを鋭い視線で睨みつける。
泣く子も黙るという言葉にふさわしい形相、それでもリゾットは動じない。
涼しい顔で視線を受け流すと、ゆっくりと顔の前で手を組みなおした。

「もう一度聞こう。音石はこの殺し合いをひっくり返す可能性を秘めている男だ。
 この先必ずこの男が必要となる時が来る。それでも……それを聞いてもお前の覚悟は変わらないか?」
「ああ、変わらないね」

取り付く暇もなく、億泰は返す。
何か文句があるなら言ってみろよ、そんな挑発的な意が言葉の端からにじみ出ていた。

「お前自身覚悟していた……兄はまっとうに生きられる宿命ではなかったと。
 そう言ったな? ならば億泰、お前はどう思ったんだ?
 音石明が捕えられ、法に裁かれた時どう思ったんだ?」
「…………」
「法に裁いてもらって良かった、そうお前は心の底から納得できたのか?
 これも法治国家の性、仕方がないことだ、そうやって無理矢理自分を押し殺したのか?
 どっちなんだ?」
「納得できたわけないだろうがッ!」

100 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:10:48 ID:h+Vl788p

再びバンと机を叩き、勢いよく立ち上がる。突然の音にグェスがびくりと身を震わした。
自分の不甲斐なさ、溜めこんでいた怒り、兄を失った悲しみ。
それは億泰にとってブラックボックスとも言える記憶だった。
リゾットの容赦ない質問攻めに億泰の感情は高まる。
胸ぐらをつかんだ拳はブルブルと震え、血ののぼった顔は真っ赤に染まる。

「てめぇに何がわかるってんだッ! 兄貴だぞ……血のつながった家族だッ!
 お袋が死んでッ! 親父はDIOの奴にめちゃくちゃにされてッ!
 たった一人の、頼れる兄貴だったんだッ!
 その兄貴をッ! コイツはッ…………!」

リゾットは何も言わなかった。
胸ぐらをつかまれ今のも殴りかかってきそうな億泰を黙って見つめるだけ。

「お前に俺の気持ちが分かんのかよ!? 
 兄貴が殺されて、その仇を目の前に仲良し子良しなんて俺はごめんだッ!
 時間が違う? 俺の世界では裁かれた? 知るかってんだよッ!
 俺にとってこいつはッ!
 いつまでたっても! どこにいようとも! 兄貴を殺したクソ野郎だッ!」

てめーみてぇな能面野郎に何言っても無駄かもしんないけどよ、そう最後に言い捨てる。
突き飛ばすように手を離すと、肩で息をする億泰。
席につく全員をじろりと睨みつけると、視線があった音石がヒィ、と小さく悲鳴を漏らした。
誰も口をきけなかった。13人が13人、思うことがあったが億泰の暴力的な圧迫感を前に、誰もが口を塞ぐしかなかった。

「まったくもって下らないね」

しばらく流れた沈黙を破ったのは岸辺露伴。
ゆっくりと立ち上がった彼に、億泰は即座に食ってかかる。

「露伴、てめぇ!」
「いいか、億泰、いい加減悲劇のヒロイン気取りはやめろよ。
 兄貴が殺されて顔を真っ赤にするのは君の勝手さ。
 けどお前一人だけがそうなんじゃないんだぜ」

露伴は席につく全員を一人一人指さしていく。

「ここに居る全員が人を殺したり、人を死なせたりしてここにいるんだよ。
 なにも君だけが特別ってわけじゃない。
 それなのに君ときたらまるで餓鬼みたいに口うるさい……いい加減僕もうんざりさ」

頭から水をかけられたような表情が億泰の顔に浮かぶ。
岸辺露伴は変人で、協調性のない嫌味ったらしい嫌な奴だ。
少なくとも億泰はそう思っていた。今の今まではそう思っていた。
だが今の露伴はどうだ。

101 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:14:04 ID:h+Vl788p


「普段の僕ならこんなことは言わないさ、億泰。たださっきも言っただろう?
 僕は勝ちたいんだ。
 あの高慢ちきで気取り屋で人を見下したような態度をとる、あの荒木飛呂彦ってやつが気に食わないんだ。
 君だってそうだろう?」

億泰の表情から気づいたのだろう、露伴は皮肉気に言い放つ。
自分でもらしくないとは思ってる。こんなのは自分の役割ではないし、熱く誰かを諭すようなことなんてまっぴらだ。
けど、それ以上に勝ちたい。普段の自分なら絶対やりたくないことをしてでも、勝ちたい。
露伴の中でかつてないほど情熱が燃えたぎる。
仗助との賭け勝負の時と同様に、負けず嫌いの闘志が彼の中で燃えていた。

二人のやり取りを黙ってきいていたリゾットは億泰に再び問いかける。

「虹村億泰……どうだ? それでもまだ納得できないか?
 音石は俺たちの救世主になりうる人物かもしれない。
 もしかしたら音石のスタンドで荒木を出し抜くことができるかもしれない
 それでもお前は、自分の道を選ぶか?」

何度も叩きつけられた拳が開いては閉じ、震える。
噛みしめた唇は言うべき言葉を探すが、何も見つからない。
全員が億泰の言葉を待っていた。
億泰は自分の心が静まるのを待つと、ゆっくりと口を開いた。

「俺が…………俺は出ていくぜ」

リゾットは眉をひそめ、ブチャラティは落胆を浮かべた。
ジョルノは何も言わず顔を伏せ、露伴は思い切り鼻を鳴らした。

「俺がめちゃくちゃなこと言ってるってのはわかった。
 俺一人がわがまま言ってここにいるやつらに迷惑かけてるってのもわかった。
 だけどやっぱり納得できねぇんだ、俺は。本当は……」

ギロリと音石をにらみつける億泰。

「今すぐにでもあいつを殺さないと気が済まねーんだ。
 ここにあいつがいるってだけでムカっ腹立っちまって、なにかあったら爆発しそうなんだ。
 だから……俺はここを出て行かせて貰うぜ」
「それを許さないと言ったら?」
「それでも出ていかせて貰うぜ。それこそ力づくでもな」
「……ホルマジオ」

億泰の決心は固く、即座に荷物をまとめ始める。
リゾットは小さくホルマジオを呼び寄せると耳元で会話を交わす。
部屋内には困惑と不安、落胆が広がっていた。

―――やはり打倒荒木に向けて力を合わせるのは無理なのか。
―――個々が想いを抱えたまま協力することは不可能なのか。


102 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:18:20 ID:dDMM78+T
支援

103 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:19:08 ID:h+Vl788p


沈みかえる部屋、そんな中でホルマジオは立ち上がるとスタンドを傍らに呼び出す。
リゾットに向けいいのか、と小声で確認するホルマジオ。
頼む、リゾットは一言だけ、そう返した。

「―――かっ切れ」

ホルマジのスタンド、リトル・フィートが動いた。
振り上げられた小指の刃は目にもとまらぬ速度で動き―――リゾットの左耳を切り飛ばした。

「なッ!?」
「ホルマジオ、小指もだ。日本のギャングには『指を詰める』という風習があるらしい」
「アイアイサ―」

既に席を立ち扉へ向いかけていた億泰はその場に凍りつく。
それは億泰だけでなく、部屋中にいる全員。
驚愕に誰もが言葉をなくしていた。

我に返ったジョルノがスタンドを呼び出す。それを見たリゾットは、片手をあげ治療の必要がないことを示す。
痛みを表情には出さない。机の上に転がった左耳と小指、まるで道端に落ちている小石を片づけるようにわきにのけると、彼は立ち上がり口を開いた。

「ここにいる13人、それぞれ思うことがあるだろう。
 もしかしたら俺が掲げる打倒荒木には納得できない奴もいるかもしれない。ちょうど今の億泰のようにな。
 だがそれでも、一度でもこの席についてくれた……話が通じない相手ではない。
 だからこそ俺は敢えて言いたい。俺はここにいる13人全員に協力してほしい。
 今だけは己を殺し、滾る感情を胸に秘め、この殺し合いから脱出するために協力してほしい。
 ここにいる、俺を含めて『五人』は―――」

ジョルノ、ブチャラティ、ホルマジオ、そしてフーゴの順に視線を向ける。

「ギャングだ。
 毎日人を殺す覚悟、人に殺される覚悟とともに生きてきた。
 当然人に誇れるような仕事ではないが、それでも俺たちは汚れ役を受け入れて、泥水を啜るような思いで生きてきた。
 だがそんな俺たちを! 必死で生きてきた俺たちの誇りをッ!
 ボスの野郎は踏みにじったッ!」

さっきまでの冷静さを捨て、リゾットは今一人の男に戻っていた。
彼のチームが受けた屈辱を思い出すと、腹の底からどす黒い感情が湧いてくる。

「そんなボスから俺は伝言を預かった。内容は協力を申し出るものだった。
 今さらだ……、俺たちに死よりもゲスな屈辱を与え、散々力を振りかざした男が協力してくれないか、だと?
 俺は八人もの仲間を失った……ボスのせいでだッ!
 それなのに協力だと……? 俺たちはアイツの犬じゃないッ!」

組織を裏切る時、チームの奴らは誰一人反対しなかった。
ソルベとジェラート、大切な二人が殺された仇が討てるかもしれない。
ボスの娘と言う、あくまで可能性に彼は命を賭けてくれた。
リゾットいうリーダーの決断の元に。

104 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:20:40 ID:dDMM78+T
sien

105 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:24:48 ID:h+Vl788p


「億泰……だから俺はお前の感情が理解できる。仇を討ちたいという思いもわかる。
 俺とおまえは同じ『復讐者』だからな。
 そのうえで言いたい。それはお前にとっての『勝利』になるのか?
 俺はボスを赦せない。だがこれは俺の個人的な感情だ。死んでいった仲間が何を望んでいるか、今になってはわからない。
 ただ奴らは言っていた……自分たちが受けた屈辱を突き付けてやりたいと。
 俺たちが望むことはリーダーである俺と一緒だと」

ここにいるボスを殺すことは奴らの望んだことなのか。
ブチャラティたちと戦った時、自分は過去と折り合いをつけたはずだ。
それでも今、自分の信念が試されている。何が正しく、何が間違いなのか。

「億泰、お前には納得できる道を歩んでほしい。
 俺もボスに会ったときどうなるかはわからない。ただ会ってから考えようと思っている。
 それはチームが『勝つ』ことを望んでいたからだ。
 なによりも俺たちは勝つことを望んでいた。
 これは……この痛みは、お前に見せる俺の『覚悟』と『誠意』だ。
 仇を前に身も切れる思いだろう。見逃すことはこの上なく不本意だろう。
 その怒りを俺は身に受けよう。お前がどうしても我慢できないならば俺が代わりとなってお前の怒りを背負おう」
「どうしてそこまで……?」
「お前が必要だからだ、億泰。今すぐに、とは言わない……だが俺はお前が協力してくれることを望んでいる」
「…………少し……時間をくれ」

億泰はそう言うと席を立つ。荷物は持たなかった。
頭を冷やしてくる、それだけ言い残し外に出ていった。




 


13人が集まった直後、億泰が音石を見て怒り爆発。情報交換する暇もなく今に至ってしまった。
よって、その後は残りの全員による情報交換とチームとしての役割分担が決められた。

リンゴォはあくまで個人であることにこだわった。
彼はチームの一員として働くつもりはないと先に公言していた。
ナチス研究所によったのも体を休めるためであって、荒木打倒など彼の考えうることではない。
そこでリゾットは交換条件を申し込む。

ジョルノのスタンドによる治療と引き換えに、門番として働いてほしいと提案したのだ。
リンゴォはこれを了承するも二つの条件を出す。
ひとつはエシディシ、吉良吉影に関する情報を優先的に提供するとと同時に、二名がナチスに来るようなことがあればリンゴォが戦闘を行うこと。
またその戦闘には絶対に横やりを入れないこと。
そして門番の期限は真夜中24時まで、それ以降リンゴォは拘束されない。
リゾットは条件をのみ、リンゴォに見張りを一任した。

106 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:27:27 ID:h+Vl788p


次にサンドマン、情報交換を終えるとリゾットは先ほどブチャラティと交わした筆談の写しをサンドマンに託す。
彼はサンドマンに引き続きメッセンジャーとしての役割を求めた。
より多くの協力者を、より多くの情報を。
筆談に関してはあくまで奥の手、信用できそうな人物のみに見せて欲しいと伝える。
リゾットの話を聞き終えるとサンドマンは文句も言わず頷き、即座に準備に取り掛かる。
荷物は少ないほうがいい、それだけ言うとリゾットの食料、水と自分自身の支給品を交換。
バッグに地図と食料、水のみを入れたサンドマンは研究所を飛び出した。



「さて、ほかに何か要望があるやつはいないか?」

席に着いた残りを見渡し、リゾットは一人一人に問いかける。
既に最初に居た人数からはだいぶ減ってしまい、部屋の中はいささか寂しげなものになっていた。
と、そこで気づく。いつの間にか岸辺露伴がいなくなっていた。

「岸辺露伴は……?」
「露伴さんは先ほど『ナチス研究所なんてめったに見れるものじゃない! しばらく邪魔しないでくれ』と言って、施設内を取材中です」
「そうか」

ジョルノが代わりに答える。
そのジョルノにリゾットは尋ねる。

「ジョルノ、フーゴの様子はどうだ?」
「怪我自体は大したことありません。
 フーゴが起きた途端、僕たちに襲いかかる可能性も考え最低限の治療に留めておきました。
 動けないこともないですがそれでも彼が暴れることも考え、スタンドで作った蔦で縛り上げました。
 彼が無理にでも蔦を引きちぎろうとすれば、僕のスタンドが攻撃を反射することで動きを封じます」
「今目覚めてないのは?」
「単純に疲労の問題かと。こればっかりはどうしようもありません。
 無理矢理叩き起こせるかもしれませんが、どうしますか?」
「いや、まだ取り掛かるべき問題は多い。とりあえずは後回しにしよう」

ゴールド・エクスペリエンスをすっと脇に呼び出し拳を構えたジョルノを座らせる。
手荒に起こそうと思えばできるかもしれないがそれより優先すべき問題があるとリゾットは考えていた。
テレンス・T・ダービー。
荒木の刺客として送り込まれた割に、彼は驚くほどおとなしく、素直だった。
事を荒立てるわけでもなく彼の知りうる荒木の情報を全て提供する。
彼のこちら側についた、という言葉を信用するならそこまでだが、問題は荒木がそれをどう思っているのか。
そして荒木自身が言っていた『約束はまだ有効』の発言。
はたしてここでダービーにゲームを挑み、それに勝ったならば荒木はどうするのか。


107 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:28:11 ID:KpRfa2oK
支援!支援ッ!

108 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:31:04 ID:t1CxQKx/
投下きた!支援

109 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:32:08 ID:h+Vl788p

「僕は彼が必要とは思えない。今ここで殺しておいたほうがいいんじゃないですか?」

だがダービーの問題に移る前に横やりが入った。
今までずっと黙っていた川尻早人が突如口を開きリゾットに言い放つ。
フーゴに関しては自分が口出しすべきでない。
早人の質問に対しそう判断したリゾットは会議の流れをブチャラティに託し、二人の会話を見守ることにした。

「という意見もあるが、ブチャラティ?」
「早人、君の意見は尤もだ。まして君は襲われた立場、フーゴを危険視するのは充分わかる。
 だが、少しだけ話をさせてほしい。フーゴの罪は俺の罪でもある。こいつは俺のチームの一員だからな」
「僕が言いたいのはそんなことじゃない。
 人を殺そうとしたやつが今更こっち側につくとは思えないんです。話なんかで気持ちが変わるなんて信じられない。
 それにそいつは乗った側であって、仮にこっち側に戻ってきたとしてもそれは見せかけだけかもしれない。
 そんな危険な芽は潰しておいたほうがいいんじゃないですか?」

最初から普通の子供ではないと思っていた。
だが、早人が事も無げに『殺す』という単語を口にしたことでブチャラティは確信した。
長い間ギャングをしていると、時として早人の年で重要なポストに就いた子供もいたことをブチャラティは知っている。
だがそんな子供が最後にたどる道は同じだ―――早人は長くは生きられない。
ブチャラティは唇を噛みしめる。ましてや早人はギャングではない、ただの子供だ。
荒木は命をおもちゃにするだけでなく、子供たちの未来をも取り上げる気なのか。

他人の命を軽んじるものは自分の命も大切にできない。
他人に向けた殺意はいつか跳ね返り、殺意に飲み込まれた者は自ら命を絶つ。
早人は犠牲者なのだ。
こんな殺し合いがなければ彼は正義を信じる素晴らしい人物になっていたことだろう。
それが歪んでしまった。荒木によって捻じ曲げられ、凄惨な経験が彼の黄金の意志を汚してしまった。

「ナチス研究所は地図にも載ってるし、外から見ても大きな建物なんです。
 乗った参加者からしたら絶好の狩り場、そんなところでいつ爆発するかもわからない爆弾を抱えておくなんてリスクが大きくないですか?
 個人的な感情は抑えるべきだとリゾットさんも言ってましたし」
「爆弾も使いどころ次第では強力な武器になる」
「上げ足を取らないでください、ブチャラティさん。
 パンナコッタ・フーゴは間違いなく乗った側なんだ……彼を殺すのにこれ以上の理由は必要ないです」
「強力な規律は組織を作る上で必要不可欠なのはわかっている。
 だが暴力や死で人は決して動かせない。仮にそれで人を動かしてもそれは恐怖による支配だ。
 フーゴがもし乗った側なら俺もこいつを始末することに躊躇いはない。
 ただ100%……さらにそこから1%の確信が欲しい。
 フーゴはもう『こちら側』に帰って来ることができない、その確信が欲しい」
「じゃあその確信はどうやったらできるんですか?」
「そのために俺はこいつと話してみたい。
 少なくとも早人、俺のほうがこいつとの付き合いは長い。
 一緒に仕事もした仲だ、俺のほうがフーゴを理解できる」
「それじゃ堂々巡りだ……結局ブチャラティさん次第じゃないか!」

二人の議論は長引く。
ブチャラティは粘り強く早人を説得する。フーゴのためだけでなく、今や早人のことも考え、ブチャラティは言葉を選ぶ。
対して早人も意見を曲げない。燃え盛る漆黒の意志が早人にブチャラティの意見をガンとして受け入れさせない。
早人の言った通り意見の対立は堂々巡りに陥っていた。


110 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:33:26 ID:t1CxQKx/
 

111 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:34:40 ID:h+Vl788p

その時、部屋の扉がゆっくりと開かれた。
あまりにもゆっくりと開かれたので、そのことに気づいたのはジョルノだけだった。
扉をくぐって入ってきたのは岸辺露伴だった。彼は部屋に入るなり、よろよろとふらつき、壁に寄りかかる。
怪我でもしたのだろうか、心配に思ったジョルノが彼に駆け寄っていく。

「露伴さん、大丈夫ですか?」
「その声はジョルノ君かい? いやぁ〜まいったよ、取材をしてたら急に停電でも起きたのかなァ?
 暗くってな〜〜〜んにも見えなァ〜〜いんだよォ〜〜?
 なんで明かりを消したんだよォ〜〜?」
「停電……? 停電も何も部屋に電気はついてないし、月の光で充分…………ッ!?」

ジョルノは露伴に手を貸して、そして戦慄する。
露伴の眼がなかった。正確には本来あるべき目の部分が削り取られたようになっていた。
―――スタンド攻撃か、そう思うもその割には露伴が痛がる様子もない。
とにかく緊急事態であることは確かだ、そう判断したジョルノは未だ議論が続く部屋中に響く声で叫ぶ。

「リゾット、ブチャラティッ!」
「それにしてもナチスはすごいねェ〜〜〜! 感動してるんだよ僕はァ〜〜!
 なんだかいつになく、清々しい気分なんだよォジョルノ君〜〜〜!」
「ゴールド・エクスペリエンスッ!」

相手がどんなスタンド能力であれ、まずは治療を施さねばならない。
ふらふらと歩き続ける露伴を引き留めつつ、ジョルノは傍らに己の分身を呼び出した。
そしてスタンドが拳を振り上げた、次の瞬間―――

「がッ―――!?」

露伴の口角がつりあがった。それが狙いだ、そう誰かが呟いたのをジョルノは確かに聞いた。
ゴールド・エクスペリエンスが新たに眼を作り出そうとした隙、それを待っていたのだ。
決して人間では出し得ない力、腹をけり上げられたジョルノが天井近くまで浮きあがる。

「ジョルノッ!」
「くそったれがッ!」
「殺すなよ、露伴は操られている可能性があるッ!」

突如起きた襲撃に対応できたのは筋金入りのギャングたちのみ。
近距離型スタンド使いの二人が身を躍らせ、リゾットが吠えた。
近くにいたホルマジオは露伴に飛びかかり、小指についた刀を振る。
背をそるような形で露伴はそれを避けると、その体制のまま蹴りを繰り出す。
崩れた態勢で繰り出されたはずの蹴りはホルマジオの想定を超えた威力で彼のガードを突き破る。

「なッ!?」

凄まじい威力にたたらを踏むホルマジオ。ガードがとかれた彼を見て、露伴がにんまりと笑う。
彼にさらなる追撃が襲いかかった。交差した腕を突き抜けんと全力の拳が叩きつけられた。
その一撃はホルマジオを軽々と吹き飛ばすほど。腕の骨が嫌な音を立てたのを部屋中にいた全員が聞いた。

「スティッキィ・フィンガーズッ!」

112 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:35:09 ID:3SbHyAN6
嫌な予感しかしない 支援

113 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:36:01 ID:3SbHyAN6
sienn

114 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:36:18 ID:KpRfa2oK
この状況でどういうことだ支援

115 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 21:36:24 ID:h+Vl788p

その隙をつきブチャラティは部屋の机を放り投げる。
会議用に使われた大きな机が露伴に向け迫る。そしてその机の影に隠れ追走するブチャラティ。
右によけるか、左に避けるか。
どちらに出ようとも対処できるようスタンドの拳を構える。

「なッ?!」

だがどちらの手段もとらなかった。露伴は拳を振り上げ、机に叩きつけるッ!
ステンレス制の机はひん曲がり、そして真っ二つに割れた。
虚をつかれたブチャラティだが、逆にチャンス。スタンドのラッシュを露伴目掛け振るう。

「うおおおッ!」

右に左に、俊敏なその姿は本来の露伴のものではない。
同時に気付く。ブチャラティの攻撃をいなす中で拳に触れないように細心の注意を相手は払っている。
ブチャラティはスタンド能力がばれていることを確信する。
拳を餌に、強烈な蹴りを相手にお見舞いする。同時にその力を利用、即座に距離をとる。
空中で体制を整えると二メーターばかり離れ着地。依然戦闘態勢のまま、二人の仲間の回復のため時間を稼ぐ。

「貴様、一体何者だ……?」

『露伴だった』ものは笑い声を返す。
ゾッとするような声だった。殺意と悪意で塗り固められた声に全身の毛が逆立つ。
ゆっくりと、笑い語が大きくなるとともに露伴の体が膨張し始めた。
そして―――

「なかなか着心地のいい肉体だったが……俺には少しばかり窮屈でな」

バリバリ、と皮膚を引き裂き、まるで昆虫のように脱皮を終えた男はそう一言。
体全身を伸び縮めさせ、不敵に笑う。
二メーターを超える大男、纏っているのは民族衣装のような布切れのみ。
襲撃者の姿を見たリゾットは隠すことなく盛大に一つ舌打ちをした。

「グェス、早人とフーゴを連れて逃げろ!
 ダービーと音石もだ! なるべく固まって逃げろッ!」
「俺がそれをさせるとでも?」

瞬間、エシディシの姿が消える。
否、超スピードで部屋内をかけぬけたのだ。
目標は逃走を指示されたグェスと早人。机さえ容易く切り裂く拳が振り上げられた。

「スティッキィ・フィンガーズッ!」
「ぬぅッ」

それをさせまいとスティッキィ・フィンガーズが背後から襲いかかる。
床につけたジッパーを利用し、弾丸のような速度でエシディシに飛びかかる。
これにはさすがのエシディシも防御せざる得ない。
拳の能力を警戒し、腕を払い、直撃を避ける。カウンターを狙い放った拳がブチャラティの頬をかすめた。


116 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:37:30 ID:3SbHyAN6
うわあああああああああああ ろはああああああああああああああああん
こうなるフラグだと思ったら案の定orz

117 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:37:38 ID:jsEel50J
sienn

118 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:38:05 ID:KpRfa2oK
支援

119 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:38:41 ID:t1CxQKx/
 

120 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:39:35 ID:3SbHyAN6


「いまだ、はやく行けッ!」
「あわああああああ…………」
「何してんだ、早く行きやがれッ! てめぇもだよ、ダービーッ!」

部屋の隅に飛ばされていたホルマジオが腰を抜かせた音石を立たせる。恐怖に固まっていたダービーがその言葉で我に返った。
ブチャラティのラッシュがエシディシの進行を防ぐ。
その僅かな隙を縫い早人とグェス、フーゴは窓の外から逃げることができた。

「よそ見とは感心せんなァ」
「ハッ!?」

一瞬の隙を突き、腕を掴まれたスティッキィ・フィンガーズが投げ飛ばされた。
本体にダメージはフィードし、ブチャラティは窓を突き破り、外に放り出される。
すかさずホルマジオが助けに入る。
スタンド能力の発動を狙い、刃を振り回すもエシディシはこれを避ける、避ける。
鼻先をかすめ、纏った布が切れていく。そのギリギリの間合いの取り方にホルマジオは焦りを募らせる。
小指の刀はもはや警戒されている。そう判断した彼は小指を囮に距離をとり、足払いをかける。
だが素早い反応でエシディシは跳んだ。
空中にいるにもかかわらず、ホルマジオが腕を振るうより早く、蹴りの体制をとった。

―――俺のほうが遅い。
直前で何かを感じ取りしゃがみこんだホルマジオ。その頭の上を巨大な鎌が刈り取っていく。
髪の毛が数本舞い、冷や汗とともに恐怖が沸き起こる。体を転がし、その場から緊急回避をする。

エシディシはそんなホルマジオを踏みつぶそうと筋肉を収縮させ、途中でやめる。
既に部屋に残るのは戦士だけ。死ぬ覚悟も闘う意志ももった猛者たちだけだ。
今更勝負を焦るのは面白くない。それだけの余裕が彼にはあった。

窓から放り出されたブチャラティが帰ってくる。逃がすべき仲間たちを逃がしたリゾットも戦闘態勢をとる。
奇襲を受けたジョルノもどうやら無事のようだ。口元を伝う血を拭うと起き上がり、四人はそれぞれのスタンドを構えた。

四人と一人が今一度対面する。刹那の緊張感、先に動いたのは人間たち。
左からジョルノが、正面からブチャラティが拳の弾幕とともに接近。
対して怪物は脇に置いてあった机の残骸をジョルノに放り投げ、ブチャラティの攻撃は関節を外し避ける。
唯一戦闘に参加しなかったリゾットのスタンドは近距離には向かないものと判断、ターゲットを変更したエシディシ。

「させねぇよッ」

が、脇から急に飛び出したホルマジオ。
スタンド能力により姿を見えなくしていた男の急襲に、驚きながらも即座に対応。
ジャンプ一番、小指の刃はまたしても彼がまとった布をかするのみ。
紙一重でかわすと宙で一回転、まるで天井に張り付くような姿勢を取る。
天井を蹴ると爆発的な推進力を得てリゾットに迫らんとする。

「消えたッ!?」

が、飛んだ先には誰もいなかった。砂鉄を吸収、本人は壁に紛れその場を離脱。
目標を失い暴走した運動エネルギーは床板を崩壊させる。
床を突き抜け、辺りに木片が舞い、砂埃が立つ。
互いに姿が見えなくなった中、人間たちは影を頼りに今一度肩を寄せ集団で化け物に挑む。





121 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:40:41 ID:jsEel50J
しえん!しえん!

122 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:40:48 ID:t1CxQKx/
 

123 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:42:42 ID:3SbHyAN6


パラパラ、と天井からはがれた塗装が落ちてくる。
戦闘音を聞きつけ駆け付けたガンマンは扉を開け絶句した。
埃が舞い、床板ははがれ、机は粉々、椅子はあちらこちらで倒れている。

「これは……」
「これはこれはリンゴォ・ロードアゲイン……しばらくぶりだなァ」
「エシディシ……」
「先ほどのインディアンはもういないのか……少し残念だが、まぁいい。
 いずれは殺すことになる、早いか遅いかの違いだ」

ぬっと現れた芸術作品ともいえる肉体。
姿を隠すことなんぞ弱者が行うこと、逃げも隠れもせずにエシディシはニヤリと笑った。
リンゴォはそんな男を見て、咄嗟に腰に刺していたナイフを抜く。
ついさっき行った戦闘が頭の中で思い出される。この距離ではマンダムが間に合うか、それすらも危うい。
なにより怪物の瞳には迷いが見えない。
紛れもない殺意。それを前に手だけでなく、体全身の震えがリンゴォを襲っていた。

やがて薄れていく砂埃。完全に収まりきったのを見て人間たちは互いの存在を目で確認する。
エシディシから目を切ることなくじりじりと四人のギャングたちが横一列に並ぶ。
その四人の前に一人の男が立つ。
怪物とギャングたちを遮るように立ち、鋭いナイフが月光を受けキラリと輝いた。

「……ここは俺一人という話のはずだ」
「そういうわけにもいかない。こいつはもはや一人でどうこうという次元じゃ済まない」
「断る。これは俺とあいつの問題だ。」

文字通り怪物に一人で挑むなんぞ自殺行為だ。
拳を交わし、殺意を全身で受けたブチャラティはそれを身をもって知った。
男の肩を掴み、ブチャラティは共闘を申し込む。
が、にべもなく却下される。視線は怪物から離されることなく、ブチャラティは見向きもされなかった。
それでもなんとかしようと再度口を開きかけた彼を遮ったのはリゾットだった。

「ブチャラティ、やらせてやれ」

思わぬ反論に目を見開く。ちょいちょいと指で近づくように合図されたブチャラティは怪物から目を離さぬよう慎重に動く。
リンゴォが向かい合っていると言え、対するは怪物、影すら霞んで見える超スピード。
それをもってすれば誰が襲いかかられてもおかしくない距離で向かいあっているのだ。

「少しでも時間稼ぎができれば上出来だ。
 正直言ってリンゴォは他人を殺すことを非としない、扱いにくい存在。
 荒木に対して反感は持っているものの、それ以前に俺たちギャングとも歩んでいる『世界』が違いすぎる。
 組織の勝利を優先する形で引き留めたが、ここでいなくなっても痛手はそこまでない」
「見殺しにする気か?」
「ブチャラティ、お前も理解しているはずだ。
 俺たちギャングはメンツで成り立っている世界、面を汚されたら相手にその分の借りは返す。
 やつはそれと同種だ。自分の縄張りに入るものには容赦はしない。
 お前だって一度や二度、手を出してはならないサシの勝負ってのを経験しただろう……」
「それとこれは違う……今を逃したら勝機は、ないッ!」





124 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:43:06 ID:t1CxQKx/
 

125 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:45:19 ID:3SbHyAN6

小声で交わされる二人の会話。
これ以上言っても無駄だとブチャラティはわかるとリゾットの制止を振り切り、自ら先立ちエシディシに飛びかかる。
先手必勝、リンゴォ以外にも4人ものスタンド使いがいるのだ。
ここは引く場面ではない……攻める場面ッ!

「なッ!?」

が、それを黙って見ている男ではない。
気づいたらブチャラティは飛びかかってすらいなかった。リゾットとの会話すら終わっていない。
時を六秒巻き戻す、既に情報交換で知っていたとはいえ体験する新しい世界。
戸惑いを隠せないブチャラティにリンゴォは初めて向かい合う。
その眼には確かな敵意が宿っていた。

「ブローノ・ブチャラティ……これは『神聖なる果たし合い』……お前が入っていい世界ではない。
 もしそれでも邪魔をするというのならば……俺はお前にナイフを向けなければならない」
「……! ……仕方がない。リンゴォ、貴方の言うとおりにしよう」
「感謝する」

手を出してはならないサシの戦い―――リゾットの言った通り、リンゴォとエシディシはもはや勝利や死を超越した世界にいるのだろう。
リンゴォの瞳に宿った狂気を見てブチャラティはそう判断した。身を引くと、壁に背をつけ腕を組んだ。
ブチャラティはリンゴォの世界を汚してしまった。それは彼が理解できるものではなかったが、敬意を表するべきだとはわかった。
ならば彼ができることはただ見守るのみ。エシディシが襲ってこようともリンゴォがなんとかしてくれる。
そう信頼することで、敬意を表した。
リンゴォはそれを見てゆっくりと振り返る。ニヤニヤ顔の怪物は大きな隙を見せたにも変わらずその場から一歩も動いていなかった。
人間どもの茶番が―――そう馬鹿にしているのだろうか。
いや、とリンゴォは自らの考えを否定する。こいつはさっきまでとはわけが違う。

「迷いが吹っ切れたか……」
「ああ、お前のおかげでな。やはり俺には人間が理解できないな、リンゴォ。
 今お前がブチャラティの助けを拒否したのも俺には不可解におもえるぞ。
 この俺に対して一人で挑もうとは……フフフ」

しまいには拍手すらし始めた男は笑みを隠そうとしない。
余裕と自信に満ちた顔は確かな実力に裏づくもの、それをリンゴォは知っている。
ナイフを握りしめた手が汗ばみ、震えが全身へと移っていく。
しばらくの間、そうしていた化け物だが突如顔を真剣なものに変える。
さっきまでの雰囲気を一変させ、男はリンゴォに向かって囁く。

「だが、リンゴォ、そんなお前に敬意を表しよう。
 俺には理解はできないが、その勇気だけは評価に値すると考えている。
 無敵のように思えるものに立ち向かう、それは無謀でもなく諦めでもなくお前たち人間がもちうる最高の能力だからな」
「おもしろい……少しいい眼光になったな。だが……やはりお前は対応者にすぎない。
 男の世界を乗り越えていないお前は所詮その程度なのだ」
「馬鹿にすることはない。激昂するようなこともしない。
 貴様が俺をその程度と思うならば、リンゴォ……ここでお前を殺し、俺が対応者でないことを証明しよう……ッ!」





126 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:45:53 ID:t1CxQKx/
 

127 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:45:54 ID:jsEel50J
しえん

128 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:48:05 ID:KpRfa2oK
支援!

129 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:48:14 ID:3SbHyAN6
びりびりと部屋が震えるような圧倒的なプレッシャー。
壁に背をつけた四人のギャングは観客たち。目の前で繰り広げられるのは真夜中の前の最後の決闘。
演じるのは銃を持たないガンマンと名前もない怪物(モンスター)。
フィナーレは号砲とともに。BGMはすでに準備完了だ。照らし出す月光がスポットライト代わり。


「「よろしくお願い申しあげます」」


BETするものは己の命、そして誇り。
人間と一人の怪物が今ここに激突する。
一瞬たりとも目が離せない、最高にして最大の遊戯をどうぞご覧ください。










「おい……おい、暴れんなってッ!」

女の周りには誰もいない。デイバッグをたくさん抱え、彼女は一人盛大に悪態をついていた。
ポケットを押さえつけ全速力で駆けていく。飛び込んだ水たまりが足元で大きくしぶきを上げる。
繰り返される独り言、何と闘っているのだろうか、ポケットを抑える力はますます強くなる。

走りつかれたのか、戦い疲れたのか。
足を止めた女は息を整えポケットをまさぐりながら叫ぶ。

「なんだってんだよ……わかったからッ! 今大きくしてやっから待てって!」

マジシャンもびっくりの一芸、ポケットから飛び出た二人はみるみる大きくなる。
幼さを残した表情に不釣り合いな鋭い眼光、少年は地に足をつけた途端周りを見渡し危険がないか目を光らせる。
車いすに乗った青年は今だ意識を取り戻さないのか、ぐらぐらと首を揺らす。
こんな状況でおねんねなんて呑気なもんだぜ、彼を見てグェスが呟いたのを聞き逃さなかった。
早人は舌打ちをする。誰にも聞こえない、自分だけが聞こえる程度の大きさだった。

「まだここじゃ安全とは言えねぇな……。とりあえず川の近くまで行こうぜ。
 最悪敵が来ても川に飛び込めばなんとか振り切れるかもしれねー……ってお前何やってんだッ?」



130 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:49:41 ID:jsEel50J
支援

131 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:50:08 ID:KpRfa2oK
支援

132 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:50:14 ID:3SbHyAN6

地図を広げていた彼女は現在位置を確認する。
周りを見渡し、大体の位置を確認した彼女が顔をあげると少年はデイバッグをあさっている真っ最中。
腹でも減ったのか、いやいやさすがにそんなわけはないだろう。
ただならぬその様子に少しだけ遠慮がちに、だが強い口調で呼びかける。
少年は振り返ることなく、背中を向けたまま答えた。

「決まってるでしょ? ナチス研究所へ向かうんですよ」
「気でも狂ったのかッ!? あたしたちは逃げるように言われたんだッ!
 だいたい戻ってどうするッ!? あたしたちにできることなんてなんもねぇんだよ!」
「……僕も億泰さんと一緒に出ていけばよかった」
「あん?」
「ギャングだとか囚人だとかで期待してたけど、あんたたちは甘ちゃんばかりだ。
 こんなんじゃ荒木に勝てるもの勝てなくなってしまう」
「何言ってるんだ……お前」
「僕には絶対果たさなければならない目的がある。そのためには利用できる相手はとことん利用させて貰う。
 今回だってそうだ……ナチス研究所に来たのも誰か僕に協力してくれるような人を探すためだった。
 でも駄目……ッ! 誰も使えそうな人はいなかった。皆結局、命に執着する人ばかりだ。
 そういう意味じゃあの怪物……利用するには少し手間取りそうだけど、自信がないわけじゃない」
「おい早人……」
「なにか武器持ってないですか? 流石に丸腰でいくほどの度胸はないので」

無関心に、無愛想に。
グェスのほうを一切振り向くことなく少年は出発の準備を整える。
目当ての武器が見当たらないのか、イライラを隠さず盛大に舌打ちをした。
グェスが無造作に持ってきたデイバッグをひっくり返し、そこらじゅうに物が散らばっていく。
鬼気迫るその様子に、最初は口調を荒げていたグェスも黙りこみそうになる。
だが少年がナチス研究所へ向かい歩き出すのを見ると、慌てて引き留める。

「おい、待てったらッ! おい、早人ッ!」

だがそれでも少年は振り向かない。
体格的には無理に引き留めようと思えばできるかもしれない。なにより彼女にはスタンド能力があるのだ。
けど、グェスは直感的に感じる。
なぜかそんなイメージが思い浮かばない。

(これは……今のは……)

だんだんと遠ざかる背中に手が延ばされ、力なく宙をかく。
あまりに急に起きた出来事に呆然としながら、それでも早人に追い付こうという気が起きなかった。
いくつかのデイバッグと、車いすに乗った青年を残し、彼は歩いていく。

(どうやっても……止められない……。
 アタシ程度が言っても今更どうしようもない……。
 なにより……スタンドを使おうとも『なにもされない』という確信がない!)





133 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:50:37 ID:jsEel50J
支援

134 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:51:15 ID:KpRfa2oK
支援

135 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:51:15 ID:3SbHyAN6


だが、とグェスは恐怖を覚える。
誰もいない。狂気に走った殺人鬼も、ピンチに駆けつけるヒーローも。
それが一層不安を掻き立てる。誰もいないこと、それが孤独感を煽る。
こんなところにあたし一人残されて、一体どうすればいいんだ―――急に不安に思えてきた彼女は辺りを見回す。
早人が行ってしまったら、もはや自分はどこにも帰れないのではないか?
このままここにいていいのだろうか?

その一方で躊躇いもある。早人の眼が彼女の苦い記憶を思い起こさせていたのだ。
役立たず、どんくさいやつ……様々な負の感情がこもった視線。
そしてそれ以上に、邪魔をするやつには容赦しない、漆黒の意志が早人の眼には宿っていた。

宙ぶらりんになっていた手が何かを掴み取るように動く。
車椅子に乗った青年と少年の背をおろおろと見比べる。
どうすればいいのか、何をすればいいのか、一体自分は何をしているんだ。
口をついて出たのは今まで以上に弱弱しい叫び。
助けを求め、行く先を見失った子ヒツジの哀れな鳴き声。


「お――――――」


そんなグェスの叫びは遂には早人に届くことはなかった。
早人は数歩足を進め、ゆっくりと振り返る。
彼の足を止めたのは彼女の途切れた叫びではない。
彼女の叫びを遮り、響き渡った銃声。まるで最初からわかっていたように早人は振り返り男の眼を見る。

車椅子に座った彼の右手には煙をあげる拳銃。
ぐるぐる巻きに巻かれていた蔦をめちゃくちゃにする彼のスタンド。
そして、ぽっかりと落ちくぼんだ眼。
パンナコッタ・フーゴはゆっくりと車いすから立ち上がると顔をしかめる。
口中に広がった鉄の味に顔をしかめ、ペッと唾を吐いた。
真っ赤に染まった唾液が口を伝い流れてくる。

「起きてたんですか?」
「だいぶ前からね……。すぐに動かなかったのは現状がどうなってるか理解するためさ」
「まぁそんなところだと思っていましたよ」

少年のつっけどんな言葉に彼は皮肉気に微笑み、肩をすくめる。
人が一人死んだ、目の前で人が殺された。だというのに彼らはまるでゴミ捨て場で世間話をするように会話を続ける。
転がったグェスをまたぎ、フーゴが早人へ近づいていく。
靴の裏に付着した血液のぬめりとした感覚に一度は歩みをとめたものの、気にすることなく歩いていく。

「ところで……どうして銃を持っていかなかったんだい?
 弾は一発しか入ってなかったけど持っていかないより、持っていったほうがましだろう?
 特に君は子供の上にスタンド使いじゃない……電気椅子に座って居眠りするより危険だ」
「一発しか入ってなかったんじゃないですよ。一発『だけ』にしておいたんです」

空になった拳銃を早人に向かって放り投げる。
優しさが微塵も感じられない雑で乱暴なパスを受け取ると、早人は唇の端を歪ませた。
フーゴが眺める先でズボンのポケットをひっくり返す。
出るわ出るわの弾丸の数々。デイバッグからくすねた数十発の弾丸が早人の言葉の証明だ。
ヒューとハズした口笛と拍手の音が虚しく響いた。





136 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:51:44 ID:t1CxQKx/
 

137 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:52:15 ID:3SbHyAN6


「僕がどんな行動をとるか、見計らうためかい?
 だとしたら大した度胸だよ……彼女じゃなく、君を撃つ可能性だってあったんだぜ?」
「それはないと踏んでましたよ……あなたにはそんな度胸もないし、なによりここで僕を殺したら本当に後戻りができなくなる」
「……どういうことか、説明してもらっていいかな?」

薄気味悪い笑顔を張った二人、会話はそれでも続いていく。
殺意に染まり殺意に固められた少年と、裏切られたことで裏切りを重ねる少年。
殺意と裏切り、死の香りが辺りに漂い始める。
事切れた女性が最後に狂気に満ちた笑いをあげた。

「いいですよ……交渉しましょう。
 僕らが逃げた先にたまたまゲームに乗った殺戮者がいた。グェスさんは残念ながら殺されてしまい、僕は絶体絶命。
 そこで目を覚ました貴方が登場、なんとか相手を追い払う。
 貴方はゲームに一度でも乗ったことを懺悔し、僕はそんなあなたを赦す。
 どうでしょうか……これなら貴方があのチームに殺されることはないんじゃないでしょうか?」
「……それだけかい? なにもそんなボランティアのために僕を助けるわけじゃないだだろう? 君が僕に要求することは?」
「僕の手となり足となり働いてもらいます。当面の仕事は……そうですね、『暗殺』ですね」

両手をあげ、天を仰ぐさまはまるで演劇のよう。
それを見つめニヤつく早人はまさに悪徳非道のギャングそのもの。
選択肢のない弱者をいたぶるように、早人は一歩一歩またフーゴを追いつめる。

「おいおい、やけに足元見てくれるじゃないか」
「それだけの価値はありますし、なにより貴方が何か言える立場ですか?
 これでも僕は譲歩しているんですよ? なんならこのままナチスに向かいましょうか?」
「言ってくれるねェ……」

―――降参だ……僕の負けさ。
しばらくの沈黙の後そう言ったフーゴの顔には、爽やかな笑みが浮かんでいた。

状況が状況ならば清々しい勝負の後に言うべきふさわしい言葉だ。
美徳とフェアプレー、両者を称賛する華々しい幕切れ。
だが闇夜に紛れ、死と血の臭いがむせかえるほどの空間では白々しく、虚しい。
貼り付けられた笑みも作られたもの、その裏に隠しているモノは本人しか知りえない。

さっと差し出された手、早人は満足そうな息を漏らす。
散々走り回ってようやく得た力だった。
それも甘ちゃんが口にするような力ではない……確実に相手を葬る手段。

フーゴがいつまでもおとなしい犬でいるとは思えない。
ギャングたちに受け入れられ、早人が用済みになったならばいつ始末されるかはわからない。
後ろ手で弾丸を込めなおした拳銃を握りなおす。
裏切り者には死を―――鉄のおきてに従い、必要ないと判断すればフーゴを処分する。
業火のように燃え上がる殺意。何もかもをのみ込む覚悟が早人には、ある。





138 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:52:33 ID:jsEel50J
支援

139 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:53:14 ID:3SbHyAN6

愛好と親愛、両者の発展のために。
そんな意志を一切持たない、互いの利益のため、互いに相手を出し抜くため。
早人はジョーカーを手に入れたのだ。パンナコッタ・フーゴと言う爆弾を。
フーゴは再び分かれ道に立つことができた。ギャングに信頼されれば、今再び、殺戮者か反逆者かの道を選ぶことができる。
早人は差し出された手を握るため、ゆっくりと腕をあげた。



「―――なんて言うとでも思ったのかい?」


そしてフーゴがその手をとることはなかった。


「がハァッ…………!」


紫色の腕が雄叫びを上げ、早人の体を貫いた。
宙に浮かされた早人の手はがくりと力を失い、垂れさがる。握っていた拳銃が乾いた地面に落ち、跳ねまわった。
パンナコッタ・フーゴは実験マウスを見るような眼で、崩れ落ちた早人を観察する。
己の分身がくりぬいた早人の腹の断面図、そこに靴をさし込み蹴りあげた。

「舐められたものだよ、この僕も……。
 だが感謝はしてるよ。体調は万全じゃなかったからね、武器はどうしたって必要だったんだ」

ありがとう、と感謝の言葉を送り、落ちた拳銃を拾うとグリップに手をなじませる。
川尻早人には知らない事が多すぎた。そして失ったものも多すぎた。
彼はパンナコッタ・フーゴがどんな思いで組織を裏切り、どんな思いで開き直ったのか知らない。
彼がどんな思いで人を殺す決断をし、どんなにその決断をするのに思い悩んだかを知らない。
情報としては知っていただろう。だが理解することはできても、感情をわかろうとは思わなかった。

フーゴはデイバッグからナイフを取り出すと曲芸師のように手の中でもてあそぶ。
興味深いものを発見したのか、しゃがみ込むと少年の体をじっと眺める。
ちぎれた血管、露出した骨、筋肉の断面図。
彼が腕を動かすたびに、鶏が喉を締め付けられたような悲鳴が上がった。

淡々と、感情を交えず、彼はナイフを振るう。
まな板の上に転がされたのは川尻早人。もはや虫の息だというのに、あっさりと逝くことはできなかった。
青年は頭がよかった。スタンドが貫いた場所は致命傷ではあるが、即死はしない個所。
剥き出しになった神経を愛でるようにやさしく、丁寧に。拷問は彼のお得意芸だった。

「僕が君を先に殺さなかった理由はただ一つだ。
 君がスタンド使いじゃないからさ。
 君がただの子供で、僕が殺そうと思えばいつでも殺せるという確信があったからさ」





140 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:53:35 ID:jsEel50J
支援

141 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:53:58 ID:t1CxQKx/
 

142 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:54:15 ID:3SbHyAN6

その囁き声は優しく、やわらかい。
愛しの女性の耳元で言うかのように、思いやりをこめ、感情をこめ、彼は作業を続ける。
口調とはま逆の感情を瞳に込め、彼は解剖実験をやりきった。
それでも少年は逝くことができない。
生物として、最後の最後まで生きようという意志が彼の生命を繋ぎとめていた。
殺意が彼をこの世に引き留めていた。

「殺す……ぶっ殺してやる……」

青年はとびっきりの笑顔を浮かべると、返事代わりに鉛玉をぶち込んだ。
甲高い音が平野にこだまし、少年の体がもんどりうつ。
もう一度、さらにもう一発、駄目押しで一発。

額に穴をあけ、本来ならば眼球があるべき場所に風穴を開けられた少年。
歪んだ表情には殺意しかなかった。
ダイヤモンドの輝きは、真っ赤な血で染まり、もう光を放つことはなかった。

「 Buonanotte・sogni d'oro (素敵な夢を……)」

散らばった荷物を集め、一つのデイバッグに整理すると、とりあえずは地図を広げた。
別にハイキングに行くようなわくわく感はなかったが、青年の中には確固たる意志が出来上がっていた。
殺意、パンナコッタ・フーゴにはそれが足りなかった。
そして彼は川尻早人の姿からそれ学ぶことができた。

だいたいの位置を確かめ、時計をチラリと確認、青年は目的地に向け出発した。
少年とと女性には目をくれることもなく、ずんずんと進んでいく。

恐怖がないわけではない。ただ、受け入れるしかないと思っていた。
弱い自分、状況に流され動揺しがち。激昂すると周りが見えなくなる。考えすぎてしまい、本質が見えなくなる。
ないものはない、できないことはできない。
開き直りに近いかもしれない。だがとりあえず自分の位置を知ることが大切だ。

殺すのに理由はいらない。ただ拳銃を構え、トリガーを引くだけ。
必要なのは殺意と決断。決断はすでにした。足りなかったのは殺意だけだ。

風が吹き抜けていくと、体の節々がズキンと痛んだ。
体調も万全でない。ならば自分がうまく立ち回るにはどうすればいいのか?
簡単だ、相手に自分の事を悟られなければいい。即ち―――暗殺。





143 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:54:24 ID:jsEel50J
支援

144 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:54:48 ID:t1CxQKx/
 

145 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:55:17 ID:3SbHyAN6


さっそく自分の殺意が試される時。
ありすぎても駄目、なさ過ぎても駄目。悟られてはいけないし、いざという時に躊躇ってもいけない。
これは試練なんだろうなァ……、そうぼそりと呟く。
別に誰に対して言ったわけでもない。ただ自分に言い聞かせるためだ。
新しいパンナコッタ・フーゴ。それへの最初の関門が迫る。

「これは『試練』だ。
 過去に打ち勝てという『試練』と、僕は受けとった。
 人の成長は…………未熟な過去に打ち勝つことだとな……」


―――青年が向かう先はナチス研究所。月光に浮かび上がる施設は青白く、怪しく煌めいている。
―――デイバッグの中で、奇妙な仮面が怪しく輝いた。





















頭にきてるわけでもねェし、かと言って冷静になってるかといったら、いや、それはNOだ。
足元に転がる小石をけり続け、気づいたらだいぶ研究所から離れた場所まで来ちまった。
ポケットに突っ込んだ手が冷えてきた。通り抜けてった風は俺の体を震えさせる。
とは言ってもいまさらどんな面して帰ればいいのか……俺にはわからなかった。

「俺はどうすればいいんだよ、兄貴……」

自分でも正直なにがしたいのかわからねェ。
音石の野郎は憎いさ……何度ぶっ殺してやりたいと思ったかもわからねェ。
あいつの相手を小馬鹿にした顔、なめ腐った態度。
顔面に一発ぶち込んだだけじゃこの思いは消えねェ……あいつをおれ自身の、この右手で。





146 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:55:45 ID:t1CxQKx/
 

147 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:55:59 ID:jsEel50J
支援

148 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:56:30 ID:3SbHyAN6

目の前が赤く染まり、奥歯をぐっとかみ締める。
ギリギリと歯が音を立て、俺は右の拳を左の手のひらにたたきつける。
でもよ……頭の奥の、すみっこで控え目な俺の声が聞こえた。
その一方で『もしかしたら』っていう気持ちも俺の中でないわけじゃない。

今でも思い出せる。
バイクに潜んでいたレッド・ホット・チリペッパー、走ってくる仗助たち。
ガオンと削ったのは奴じゃなくて地面、逆に俺の腕が切り飛ばされる。
そして……そして……。

あん時俺はあの野郎をぶち殺せなかった。でも、もしかしたらそれは兄貴がそうさせてくれたのかもしんねェ。
兄貴は何人も殺してきた。兄貴は親父のために、何人もの人を踏みにじってきた。
だけど俺にはぜってーさせなかった。体をはって俺をかばい、汚い仕事は一身に背負ってた。
俺の手が汚れないように。

だから今でもあのときの光景をふと思い返すと、思っちまうんだ。
もしかしたらあれは兄貴の最後の願いなのかもしんねぇって。
俺には全うな道を歩んでほしい、兄貴はそう思ってるかもしんねぇ。

だけど……俺はそれでいいのか?
その兄貴を殺したのは誰でもない、あいつなんだぞ?
どのぐらいあいつのことを考えてきた? あいつの顔を思い浮かべ、夢の中で何度あいつを削り取ってきた?

「教えてくれよ……俺は、一体……」

なぁ、兄貴……兄貴は俺に何をしてほしいんだよ……俺は一体どうすればいいんだよ……。

目をつぶって兄貴のことを思い出す。夢の中で会えたようにいつもどおりの表情。
だけど兄貴は何も言わない。ただ黙って俺を見つめるだけだ。
俺は仕方なく目を開けると、また歩き出す。
蹴りだした小石は大きくはね、ころころと転がっていった。

「ん……?」

転がった小石を追いかけ続けるうちに入った住宅街、後ろから足音が聞こえてきた。
反射した音は場所を教えてはくれねーが、近づいてくることはわかった。
俺は黙ってスタンドを構える。
十字路に飛び出てきたのはテレンス・なんとか・ダービーとあの憎き音石の野郎だった。

「おい」
「ヒィッ!」





149 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:57:17 ID:3SbHyAN6

全力では走ってきたのか、息も絶え絶えの二人に俺は声をかけた。
悲鳴を上げた音石と、それすらできないほど疲れたダービー。
俺だとわかると二人はその場で崩れ落ち、膝を突き、空を仰ぎ、息を整えた。
何が起きたかわかんねーが、とにかくなんかとんでもねェことが起きたってことは俺にでもわかった。

「なんだよ……びっくりさせるんじゃねーよ」
「どうしたってんだ、研究所で何かあったのか?」

ようやく口を利けるようになった音石が文句を言う。
ピクリ、と俺は自分の頭に青筋が立つのがわかった。が、それを無視して俺はダービーに話す。
なんだかわからねェがいやな予感がした。
取り返しのつかない、何かとんでもないことが起きたんじゃねェか……そんな勘が働いた。

「どうもこうもじゃねーよ! 怪物だ……奴はモンスターだ……」
「岸辺露伴が……殺されました」
「何ッ?!」

露伴が……殺された?
顔面をぶん殴られたようなショック。仗助の野郎の一発なんて目じゃねぇ、俺の頭は一瞬で真っ白になる。

さっきまでぴんぴんしてたあの露伴が……?
嫌味ったらしくて皮肉しかいわない、あの漫画馬鹿が……?
勝ちたい、そう言ってガキみたいに目を輝かせた、あいつが……?

白色があっという間に赤く染まる。なんだかわかんねーなにかが俺の体を通り抜ける。
反射的に体が動いた。地面にうずくまってた音石の襟首をつかむと、無理やり立たせる。
やつのわめき声がどこか遠く聞こえた。つばを撒き散らし、俺から離れようとむちゃくちゃに暴れまわる。
ちげーよ……ちげーよな。
どこかでそう冷静な声がする。俺自身の声が囁いていたのだ、これは単なる八つ当たりだと。

「嘘なわけねーだろッ! こんな状況で嘘なんてつけるかッ!」
「音石が言っていることは本当です。エシディシ……やつが岸辺露伴のなかに潜んでいたのです。文字通り、体内にね。
 そのあとはよくわかりません……情けない話ですが恐怖で私は頭がおかしくなりそうだった。
 圧倒的暴力とはああいったものをいうんでしょう……超スピードだとか、超能力だとかそんなんではありません。
 奴が露伴の中から『脱皮』してきたときは、もう…………」
「露伴……」

ウソ、じゃなかった。
やっぱりな、と思う俺とそれでも信じたくない俺。
ドサリという音と、尻を思いっきりぶった音石の悪態。
俺は自分の右手を見つめていた。

「とりあえずもう少し逃げようぜ。あんな奴が相手じゃこんな距離、あってないようなもんだ」
「賛成です。彼らが何もできずに死んでしまうなんてことはないでしょうが……できれば無事を祈りたいところです。
 とは言うものの……あんなものを見せられたあとじゃ……」
「ってうおおおおおッ?!」
「落ち着いてください……なんてことはないです、もう死んでますよ……」
 それにしても……むごい死体ですね。げぇ……」
「人っつーか、肉の塊っつーか……一体どうやって殺されたらこんな風になるんだよ……おえぇえ……」





150 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:57:49 ID:t1CxQKx/
 

151 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:58:21 ID:3SbHyAN6

音石たちはエシディシから少しでも距離をとるため歩くのをやめない。俺はまるで夢遊病者のようにそのあとをふらふらとついていった。
二人は今後の予定を話し合っていた。この後どこに行くべきか、何をすべきなのか。
だが俺は一切口を出さなかった。会話に参加することすらできなかった。
肉の塊のような無残な死体を発見した時も、今の俺にはまるで現実感がない。
目の前で起きてることが全部夢みてーに思えてたんだ……。

仗助も、康一も、露伴も、承太郎さんも……。
しげちーも、トニオさんも、由花子も、早人もッ!
なんだってんだ、畜生……ッ!
どうしてこんなことになってんだよ……ッ!

「貴方はどうするんですか、虹村億泰?」
「俺……? 俺は…………」
「正直私個人としては貴方についてきてほしい。
 私のスタンド能力は戦闘向きでないし、貴方のスタンドが強力な事は知っています。
 貴方が護衛についてくれればこれ以上ないほど心強い。それに……」

結論が出た二人はいつの間にかまた出発の準備をしていた。
地図をしまおうと荷物の整理で手間取る音石から少しはなれ、ダービーが俺に声をかける。
俺は何も考えられない。
頭ん中でぐるぐる回って回って……何から考えればいいのかわからない。

「正直な話、私は音石のやつが信頼できなくてね……あなたがついてればあいつも悪さはできないはずです」

こっそり耳打ちするダービー。
ちょっと前までの俺なら仲間発見、大喜び。
ナチスに向かう当てもなかったし、そのままいってやってもいいぜ、となっていたかもしれない。
だけど今の俺はそんな風に考えれなかった。
テレンスの答えを待つ顔を見ながら、俺の思考は遥かかなたに飛んでいった。

なんでこうも皆いなくなっちまうんだ。
それも俺の手が届かないところで、俺がなにもできないままで。
兄貴が死んだ時が壊れたビデオテープみたいに、何度も何度も頭ん中で思い出される。
俺を突き飛ばす兄貴、コンセントから飛び出すスタンド、叫び声、吸い込まれる体。
それに重なるように響く放送。あの荒木の野郎の声だ。
読み上げられるのは皆の名前、杜王町の仲間たちの名前ばかり。

誰に対して向けられたわけでもない怒り。
心臓をわしづかみにされたような悲しみ。
もう二度と戻ってこないという虚無感。

俺は、後何度こんな気持ちにさせられるんだろうか。
泣けばいいのか怒ればいいのかわかんなかった。
思わず漏れたうめき声は返事にならず、ダービーが怪訝な表情を浮かべた。





152 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:58:52 ID:t1CxQKx/
 


153 ::さようなら、ギャングたち    ◇Y0KPA0n3C.氏代理:2011/01/27(木) 21:59:17 ID:3SbHyAN6

だけど……俺にはわかった。露伴の野郎が死んじまって……俺はようやく気付いた。
本当は前からわかってたのかもしんねー。親父がDIOの野郎におかしくされた時から俺はずっとそう思ってたのかもしれない。

俺は、音石の野郎が気に食わねェ。これは確かな俺の気持ちだ。
兄貴を殺したことは絶対に許せないし、許してやろうなんて思うことはぜっってーない。
一発だけじゃ勿論殴り足りねェ……気が済むまで俺の手でボコボコにしてやりたい。

でもそれだけじゃねェんだよ。俺は……俺は―――


俺は誰も救えない、俺自身が嫌いだったんだ。


親父も、兄貴も。
仗助も康一も承太郎もトニオさんも露伴もしげちーも……!
俺は、あいつらを助けることができなかった俺が嫌いだったんだ。


「おい、どうしたんだよ、ダービー! 早く行こうぜ!」
「ちょっと待って下さい、今行きますよ」

お願いします、ダービーの奴がもう一度俺に頼みこむ。
だが俺は決心していた。ようやく気づいた今、俺は俺自身のために戦いたいという気持ちが強くなっていた。
俺は額をかき口ごもる。
真剣な顔で物事を頼まれると弱いけどよォ……俺は、もう間に合わなかったなんて言いたくねェんだ。

「すまねーけど、俺はナチス研究所へ向かわしてもらう。
 本当にお前にはすまねぇと思ってるぜ? これは本当だ」

信じられない、こいつはいったい何を言ってるんだ。頭がイカれてるのか、命が惜しくないとんだトンチキ野郎だ。
ダービーは何も言わなかったが俺は表情から何が言いたいかわかった。
すまないと思ってるのは本当だ。音石の野郎は確かに、なんだか胡散臭ェ。
ここでダービーを置いて行くってのもなんだか気が引けるってのは確かなんだ。

「早くしようぜッ! 億泰のやつも来んのか、来ねーのかはっきりしてくれよ!」
「今行きますッ! ……あなたがそう言うなら仕方ありません。止めはしませんが充分注意して下さい。
 奴は本物の怪物ですから」

私たちはサンタ・ルチア駅に向かうつもりです、なにかあったらよろしくお願いします。
ダービーのやつは最後にそう付け加えると音石の元に戻り、二人で歩き出した。
悪いな、ダービー。でもやっぱり俺はもうこれ以上、取りこぼしたくないんだよ。

俺の右手は何のためにある?
削る能力しかない能がないスタンドは、戦うためにあるんじゃねーのか?
俺はもうこの右手で誰もつかみ損ねたくない。
もう、後悔したくないんだよ。





154 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:59:37 ID:jsEel50J
支援

155 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 21:59:56 ID:t1CxQKx/
 

156 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:00:16 ID:h+Vl788p


道路の曲がり角で俺と二人は別々の道を選ぶ。
別れ際に遠くなってくダービーと音石に向かって大きく手を振った。
音石の野郎はきょとんとした顔で俺を見、何とも言えない表情をする。

決して許したわけじゃない。色々言いたい事もあるし……やっぱりアイツは気に食わないし、ぶっ飛ばしたい。
中途半端に返されたキザな別れのあいさつを見て、俺はそう思った。
ダービーの仰々しい礼をみるとなおさらそう思えてくる。
だがそんなことに気をとられてる時間はない。俺はデイバッグを担ぎなおすと肩を回し、そして走り出した。
目指すはナチス研究所……もう誰も死なせない……ッ!




―――住宅街に奇妙な発射音が響き渡った。




振り返った俺が見たものは、崩れ落ちるダービーの体。
腰を抜かした音石と転がるデイバッグ。
そして、奇妙に蠢き直立したグロテスクな肉の塊。
怪物(モンスター)がそこにいた。










157 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:00:19 ID:3SbHyAN6
億泰かっけえええええええええ
覚醒シーンktkr 超燃える

158 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:01:18 ID:h+Vl788p





「いよいよだ……いよいよだよォオ―――ッ! 盛り上がってきたねェエエエエ―――ッ!」
「……もう今更何を言ようと遅いとわかったよ。もう君の好きにしな…………」
「そうさせて貰うよ!
 大丈夫、テンションあがりすぎて放送を忘れそうになるなんて、流石に二回もそんなことしないさ!」
「やれやれ……。ところで、要件はそれだけ?」
「いやいやまさか、これからさ」
「ふぅむ、首輪関係かい? それとも鈴美さんに関してかな?」
「いいや、違うよ」
「それじゃあなんだって言うんだい?」
「一人で楽しんだってつまらないじゃないかッ!
 おいでよ、一緒に楽しもうよッ!」
「…………君には呆れたよ」








【岸辺露伴 死亡】
【川尻早人 死亡】
【テレンス・T・ダービー 死亡】
【残り 22名】










159 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:01:34 ID:3SbHyAN6
ってダーびいいいいいいいいいいいいいいい(弟)
兄弟揃ってプランクトンに殺られるってどうなんだよw

160 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:01:49 ID:t1CxQKx/
 

161 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:02:11 ID:jsEel50J
支援

162 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:02:21 ID:3SbHyAN6
支援

163 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:03:04 ID:jsEel50J
支援

164 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:03:05 ID:h+Vl788p

【F-2 ナチス研究所 研究室/1日目 真夜中】
【新生・暗殺護衛チーム(現在メンバー募集中)】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:トリッシュの死に後悔と自責、アバッキオ・ミスタ・ジョージの死を悼む気持ち、リゾットの覚悟に敬意
    頬にかすり傷、身体ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、ジョルノの『探知機』となっている小石
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.エシディシを始末する。
1.ここで首輪解除・打倒荒木の協力者を待つ。
2.フーゴ……。
3.いずれジョナサンを倒す。
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
6.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。納得済みです。
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。


※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービー以外にもいることが確実。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

【以下はリゾットのメモの写し】
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
          『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り


165 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:03:22 ID:3SbHyAN6
支援

166 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:03:33 ID:t1CxQKx/
 

167 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:03:49 ID:jsEel50J
支援

168 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:04:17 ID:3SbHyAN6
支援

169 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:04:36 ID:h+Vl788p


【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式(水と食料なし)、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
    紫外線照射装置、、承太郎のライター
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.エシディシを始末する
1.ブチャラティと共に首輪の解除実験
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※盗聴の可能性に気が付いています。
※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式が【F-2 ナチス研究所】に放置。
※リゾットの情報把握
 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
 F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)


※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

170 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:05:19 ID:t1CxQKx/
 

171 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:05:23 ID:3SbHyAN6
支援

172 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:05:39 ID:h+Vl788p


【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:精神疲労(大)、トリッシュの死に対し自責の念 、リゾットの覚悟に敬意、ジョージの死に衝撃
    内臓へのダメージ(中)、身体ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2(確認済)、ジョージ・ブチャラティ・リゾット・ホルマジオ・グェスの衣服の一部
[思考・状況]
0.エシディシを始末する
1.首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2.『DIO』は吐き気を催す邪悪で、『祖父』は『父』に殺されたのでは?
3.他のジョースター一族が気になる。
[備考]
※リゾットとの情報交換によって暗殺チーム、リゾットの知っている護衛チームの将来を知りました。
※ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※ラバーソウルの記憶DISCを見、全ての情報を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※ディオがスタンド使いになった事を知りました(能力は分かっていません)
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。
※リゾット・ホルマジオ・グェスと詳細な情報交換をしました。
※S&W M19、及びその予備弾薬はジョルノの支給品の一つでした。



【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:精神的疲労(小)、両腕にダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(確認済)、ジョルノの『探知機』となっている小石
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を『ぶっ殺す』!
0:エシディシを始末する
1:首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2:踊ってやるぜ、荒木。てめえの用意した舞台でな。だが最後は必ず俺らが勝つ。
3:リーダーが決めたんなら、ブチャラテイたちとの決着は荒木を殺した後でいい。ペッシのことも勘違いだったし。
4:ボスの正体を暴く!だがその処置は仲間と協議の上決める。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※グェスの持っている情報(ロワイアルに巻き込まれてから現在までの行動、首輪に関する情報など)を聞き出しました。
※リゾット・ブチャラティ(ジョルノ)と詳細な情報交換をしました。


173 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:06:02 ID:t1CxQKx/
 

174 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:06:15 ID:jsEel50J
支援

175 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:06:18 ID:3SbHyAN6


176 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:06:39 ID:h+Vl788p


【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:健康
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×4(食糧をいくらか消費済み)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ
    『ジョースター家とそのルーツ』リスト、ブラックモアの傘、スーパーエイジャ
    首輪探知機、承太郎が徐倫に送ったロケット、青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、潜水艦
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.目の前にいるすべての人間に柱の男の証明を。
1.全てのものに敬意を表する。だが最後に生き残るのはこの俺だ……!
2.参加者をすべて殺す
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。


【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:健康、漆黒の殺意
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
0.エシディシと再戦を。
1.吉良を許すことはできない。
2.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える。
[備考]
※ブチャラティのメモの内容を把握しました。
※サウンドマンと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。







177 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:07:27 ID:3SbHyAN6
支援 大作乙

178 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:07:36 ID:jsEel50J
支援

179 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:07:36 ID:h+Vl788p

【F-2 ナチス研究所北/1日目 真夜中】
【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2(+リゾットの分の食料・水)、音を張り付けた小石や葉っぱ
     荒木に関するメモの複写、首輪に関する手記の写し
【思考・状況】
基本行動方針:元の世界に帰る
1.徐倫と由花子の元へ行く。
2.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
[備考]
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。 。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました。(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)
※盗聴の可能性に気付きました。
※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。







【F-3北西部、マイク・Oとスカーレットの死体前/1日目 真夜中】
【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:継ぎ接ぎの肉体
[装備]:なし
[道具]:名簿、地図、携帯電話(全て体内に所持)
[思考・状況]:
基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.ふ  っ  き  れ  た
2.他の参加者はジョリーンの敵だから殺す
3.余裕が出来たら自分の能力(制限)を把握しておきたい
4. もしも荒木が倒せるならば対主催に益がある方法で死ぬ
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ダービーとアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※アナスイが、脱出は不可能だと知ったときに殺し合いに乗りうるという事を把握しました。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※第三回放送を聞きました。徐倫とアナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。
 禁止エリア及び作動時間を正確に把握できませんでした。
※復活しましたが、現在は人の形をした肉塊の状況です。まともな外見にしようと思えばできると思いますがするかどうかは次の方にお任せします



180 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:07:45 ID:t1CxQKx/
 

181 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:08:50 ID:h+Vl788p



【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊
    スピットファイヤー(プロペラに欠損あり)、スピットファイヤーのコントローラ、バッテリー充電器
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い
0.……は?
1.首輪解除なんて出来んのか? リゾットは失敗したし……
2.サンタナ怖いよサンタナ、でもエシディシはもっと怖い
3.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※音石の情報把握
 ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミュー(ここまでは能力も把握)、ミセス・ロビンスン(スタンド使いと勘違い)
※盗聴の可能性に気がつきました
※サウンドマンとリゾットの情報交換はすべて聞きました。
※スピットファイヤーはプロペラの欠損により動作に安定感がありません。


【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:左肩に『ザ・ハンド』で抉られた跡。胸の中央に銃痕(波紋で治療済み)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:仗助や康一、承太郎の遺志を継ぎ絶対に犠牲者は増やさん! もう誰も死なせないッ!
0.……え?
1.ナチス研究所へ向かう
2.フーゴ嫌い、ジョルノも嫌い、だけど音石はも〜〜っと嫌い!
【備考】
※サンドマンと情報交換をしました。 内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」
 「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「第一回放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。


182 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:09:25 ID:3SbHyAN6
支援

183 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:09:33 ID:t1CxQKx/
 

184 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:09:35 ID:jsEel50J
支援

185 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:10:04 ID:h+Vl788p
【G-2 やや南部/1日目 真夜中】

【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:身体ダメージ(極大)
[装備]:ナランチャのナイフ、S&W M19(3/6)
[道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
    鳩のレターセット、メサイアのDISC、石仮面、ジョルノの『探知機』となっている小石
    S&W M19の予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる
1.ナチス研究所へ向かい、過去に打ち勝つ
2.僕はブチャラティたちに裏切られてしまった
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。
※グェスが持ってきた岸辺露伴、川尻早人、グェスのデイバッグを回収しました。
※S&W M19、及びその予備弾薬はジョルノが護身用にグェスに渡したジョルノの支給品の一つです。




【備考】
※ペッシの死体は研究所の一室に横たえられています。
※現在ナチス研究所の地上側入り口、地下鉄側入り口は封鎖されており、
 「用があるなら声をかけるように」との紙が貼られています。

※ナチス研究所、エシディシと暗殺チームの周りには支給品が散乱しています。
 具体的には以下のものです。
 リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノのデイバッグ及び支給品
 支給品一式、不明支給品残り0〜1(億泰のもの)、支給品一式、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC(テレンスのもの)
ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)(露伴のもの)


※E-4中央部にさまざまな音の張り付いた小石がばらまかれています。
※E-4に放置されていたエルメェスのパンティは誰も発見していません。
※フーゴのヘブンズ・ドアーによる制限は露伴死亡により解除されました。
※ジョルノが作った蔦は射程距離から外れてしまったため、フーゴが蔦をちぎった時に攻撃を反射することができませんでした。




186 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:10:24 ID:3SbHyAN6
支援

187 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:11:13 ID:jsEel50J
支援


188 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 22:11:18 ID:3SbHyAN6
支援


189 :さようなら、ギャングたち    ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/27(木) 22:11:21 ID:h+Vl788p
以上です。
したらばにて指摘、意見を下さったすべての方にありがとうを言いたいです。
またなにかありましたらご意見ください。
代理投下してくださった方、ありがとうございました。

190 :創る名無しに見る名無し:2011/01/27(木) 23:27:29 ID:t1CxQKx/
投下乙です 感想一番乗りゲットー
見どころ満載、しかもどのメンバーも次の展開が面白くなりそう、という豪華な話でした
上手く感想がまとまらなかったw

一気に4人も減って、(ちなみに今回で残り20人になったはずです)仮投下で読んだ時は
本当に言葉が出て来なかった… 初っ端からグェス死んじゃうし…

早人とフーゴがチーム組むのかと思ったら早人が拷問されていた 何を(ry
色んな人に心配されていた早人はここで退場したけど覚醒したフーゴ怖いぜ

そして露伴…! 一人で施設内を見て回るなんて死亡フラグすぎるぞ
あと今回ナチ研に集められた個性溢れるメンバーの中でもリンゴォのマイペースさは異常
扱いにくいとか言われてるけどそれがリンゴォらしい

途中参加のダービーは兄同様FFにやられちゃったビクンビクン
早速FFパート予約入ったみたいなので期待

億泰の行動方針の>だけど音石はも〜〜っと嫌い! に不覚にもカワイイと思ってしまった事は秘密

191 :創る名無しに見る名無し:2011/01/29(土) 19:59:20 ID:PVO7nhKK
ンッnン〜〜投下乙!
一番印象に残ったのはリゾットでした。台詞がカッコヨス
下手をするとブチャよりリーダーの器があるんじゃないか?
エシディシのラスボス感も異常で、怖さが良く伝わってきました。
他のキャラでは音石とホルマジオが良い味が出ていて良かったです。
こうしてみると原作に比べて意外なキャラが活躍したりしてて面白いな。

ただ敢えて注文をつけるなら、戦闘をはじめとした描写は素晴らしいと思うのですが、
ちょっと死に様があっさりしていて、物足りなさを感じたキャラがいたことです。
ですが自分の思い過ごしかもしれませんので、あまり気にしないでいただいた方がいいと思います。

192 :創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 22:55:16 ID:KwTU3UiH
早人が死んで何の能力も持ってない一般人枠(現在DISCついてるのは除く)はこれで全滅……か?

193 :創る名無しに見る名無し:2011/02/02(水) 22:06:05 ID:FlX/HeJy
グェス……誰も悲しむ人がいないだなんて言わないでくれよ…………

俺が泣いてやるからさ…………(´;ω;`)ブワッ

194 : ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:00:28 ID:ftLdi4hm
予定より早くなりましたが、これより投下します。

195 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:02:58 ID:q2MAEfeq
不気味なまでの静けさと、辺りを包む冷たい闇。
生き物の存在が一切感じられないその陰鬱さは、
一見何の変哲もないDIOの館に、まるで悪霊が住み着いた廃墟の如き
邪悪なオーラを纏わせ、えも言われぬ近寄り難さを演出していた。

もし手元の時計を覗きこんだならば、88人がこの殺し合いゲームに巻き込まれてから
もうじき丸一日が経過すると分かるだろう。
時計の針が2周する。たったそれだけの間にこの館で4つの命が散った。
彼らの深き怨念が渦巻くこの建物は、これから更に幾人の血を浴びる事になるのだろうか―――。


◇   ◆   ◇


DIOの館に着いたシーザーとディアボロ。
虹村億泰らと別れてから、何の滞りも無く此処に来たまでは良かった。
だがその幸運は長く続かない。

シーザーの波紋で作る探知機を用い、慎重に探索するも館に人の気配はなく。
危険はないと判断し、二手に分かれて隅々まで調べたが、目ぼしい物は何一つ見付からなかった。
幾つかの部屋に、戦闘があったと思しき家具や壁の破壊、血痕は見られたが、
この殺し合いの場において、そのような光景はさして珍しい物ではない。

「こっちは駄目だ。お前の方はどうだった?」

落胆の表情を滲ませつつ、ディアボロは傍らの青年に呼びかける。
「俺も大して変わらないさ。だがついさっきまで、ここに誰か居たのは確かだ。
あそこのテーブルに置いてあったティーカップ、まだ底が乾いていなかった。」

視線で示した先に置かれていたのは、白いティーカップ。
ご丁寧にソーサーとティースプーンまで付いている。
ディアボロはカップを片手で持ち上げ、中身を調べる。
成程確かに、紅茶の香りがするそのカップを傾けると、水滴がゆらりと底を流れる。
飲み終えて一時間もすれば、底に溜まった茶の成分や砂糖が固まり、茶色くこびり付くだろうに。


196 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:06:29 ID:5qUXpJ9w
「追うか?そこまで遠くには行っていないと思うが。」
「いや、そいつがゲームに乗ってなければ有難いが、ここまで生き延びてきた連中だ。
安易に接触していきなりズドン。じゃあ笑えないだろう?特定人物と分かっているならともかく、
得体の知れない奴に無暗にコンタクトを取るのは考えものだな。」
「先方がやる気なら、とっくに攻撃を受けてるぜ。案外俺達に警戒して、逃げ隠れた非戦闘員かも
分からないぞ。もしそいつがか弱い女の子だったら、俺はこのまま放っておく気は無いね。」
「やる気のある無しや性別は関係ないだろう。お前だったら男二人に後を追われて、大人しく話に応じるか?
俺含め、ここにいる奴らは皆導火線が短くなっている。逃げた奴を下手に刺激するメリットがどこにある?」
「例えの話さ。俺だって関わり合いを避けているのに、深追いするのは気が進まない。
あくまで『選択肢』を提示して、意見を聞きたいだけだ。それにしても、あんた慎重過ぎやしないか?」
「……。とにかくこんな所に長居しても仕方がない。一旦ここを出るぞ。」


◇   ◆   ◇


「正直あてが外れたな…。これからどこに行く?」
「ナチス研究所だな。確かに館にいた奴も気にかかるが、運が良ければいずれ会える。億泰達の安否も確認したい。」
「同感」

念のため波紋の探知機はそのままに、二人はナチス研究所へ歩みを進めた。
これをやり続けるのも楽じゃねぇんだけどなーーッ!と愚痴るシーザーをよそに、ディアボロは考えていた。

不自然だ。もし館に居たのが非力で臆病な奴なら、あんなに目立つ建物に、
まして戦闘の爪痕が残るあの場所で、少なくとものんびり紅茶を飲むほどくつろげるだろうか。
俺だったら入口にバリケードを築くなり、糸か何かで来客を知らせる仕掛けを作るなり、
脱出経路を確保するなりと、突然の襲撃を防ぐ手立てをするだろう。だがそういった形跡は無い。
それにあのティーカップ。俺達にビビって着の身着のままで逃げたとして、ちょっと前までここにいました。
とこれ見よがしな証拠を残すだろうか?逆に考えるんだ、『俺達を恐れる奴』が尻尾を巻いて逃げた、
のではなく『俺達を狙う奴』におびき寄せられている、と考えるんだ―――。

「おい、待てシーザー」
「おい、待てディアボロ。今あそこの茂みで何かが光ったぞ?」

同時に言葉が飛ぶ。お互いが自分の思考に夢中で、相手の言わんとする事を深く考えられない。
微かな二つの輝きの正体を調べようと『何か』に近寄るシーザーに、慌ててディアボロが叫ぶ。

「よせシーザーッ!!そいつに近付くんじゃあないッ!!」


『コッチヲ見ロ』
―――カチリ。



◇   ◆   ◇


197 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:10:04 ID:5qUXpJ9w

館を離れ、徐々に南下。そう提案したのは吉良だ。
あれから2〜4時間は経過した筈だ。だのに彼らが依然、館周辺に身を置くのは何故か?
歩きながら、分配された支給品を確認していた吉良は、一転、DIOの館へ戻ると言い出した。
訝るディオとジョナサンの前に差し出されたのは、黒いプラスチック製の箱数点と配線、それに小さな部品だ。
19世紀を生きる二人には、それが何なのか見当も付かない。いや百年以上先の未来で暮らす吉良ですら、
ここまで高性能な機器をお目にかかった経験は、無いかも知れない。それは一体?

「フム…。スタンド使いを始めて見た時、俺はこいつらが本当に人間なのかと疑ったよ。しかしこういった
現実離れした機械を目の当たりにすると、やはり人間には、等しく優れた潜在能力が秘められているのだと思い知らされる」
「あぁ。素直に感嘆するね。人は成長すれば、こんな魔法みたいな道具を発明するだなんて!」

板チョコレート大のモニターに映し出されるのは、DIOの館の入口付近のカラー映像。
そう、彼が手に入れたのは、遠く離れた場所の様子を探れる『CCDカメラ』であった。
館に戻った彼らは、ここを訪れる人間が必ず通るであろう地点、すなわち入口にカメラを仕込んだ。
消しゴムサイズのカメラのレンズは、観葉植物の植木鉢に隠され、さりげないポイントに設置された。

後はもう分かり切っている。
電波がぎりぎり届く位置の民家に身を潜め、何も知らぬ参加者がのこのことやって来るのを
悠々と監視すればいいだけ。そして『誰もいないじゃないか仕方ない、別を当たろう』と
館を出た所でドカン!だ。入口付近に、爆弾化した小石を置くという案もあった。
しかし第1の爆弾は1つしか作れない。万が一何者かに襲われた場合を考えると心許ないし、
何よりDIOの館内で爆発を起こせば、カメラが壊れたり、その次の来訪者に怪しまれる危険性がある。
確実さより安全性を重視し、外に出た瞬間にシアーハートアタックを放つ事に決定した。
これならば、もしDIOの館を拠点にしようと居座られても、やはり容易に攻撃出来る利点もあった。

「なに、そう焦って動く事もないさ。せめて第4回放送までは体を休めればいい。ここからは
さらにキツくなるだろう。コンディションを整えながら、楽をして参加者を狩れて良い考えだろう?」

誰も異を唱えなかった。殺しに積極的とは言え、やはり今まで受けたダメージは回復させておきたい。
たとえ期待通りに事が運ばずとも、第4回放送までという条件もあるのだから。
そうこうしている内に、吉良の予想は見事的中した。
館に足を踏み入れたのは、イタリア人らしき男2名。金髪の男を目に捉え、ディオはギリっと歯噛みをする。
だがまだ動いてはいけない。彼らが探索を終え建物から出たら、すかさず吉良がスタンドを放つのだ。

「ディオ、こいつらを知っているのかい?」
「フン、黙っていろジョジョ…。確かにヤツには借りがあるが、馬鹿な考えを起こして飛び出しやしないさ。」
「二人ともやる事が無いからと言って無駄口叩くんじゃない。…よし、出たぞ!行け、シアーハートアタックよ!」

三十秒。
一分。
二分。

そして爆発。

「勝った!私の爆弾は熱に反応する。爆発したのなら最低でも一人は始末出来た事になる!」
「案外あっけないな。念のため死体を確認しに行くか?」
「勿論そのつもりだ、片方が生きていたとしても無事では済むまい。シアーハートアタックの回収もしなければ。」


◇   ◆    ◇



198 :創る名無しに見る名無し:2011/02/03(木) 00:10:50 ID:cydu2LEp
支援支援

199 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:15:54 ID:5qUXpJ9w
「『キング・クリムゾン』!過程は消し飛び、爆発したという結果だけが残る。」

危ない所だった。
もしこのスタンドの正体を知らなければ、恐らく咄嗟に正しい判断など出来ず、
今日のシーザー、爆破され哀れ合挽き肉の仲間入り、となっていたに違いない。
いや、目の前の危機は免れたが、退っ引きならない状況は依然変わりなくッ!だ。
ジョセフを殺したあの忌々しい爆弾スタンドは、キング・クリムゾンの発動により
シーザーを通過して、この非常事態で体温の高くなった俺の方へ、真っ直ぐ向かって来たではないか!

「――――ッ!!」
『コッチヲ見ロォ〜〜〜!』

俺の懐に飛び込もうとする爆弾スタンドを、キング・クリムゾンの両手ががっちり受け止める。
押し負けはせずとも、相手は疲れを知らぬ自動操縦スタンド。このままではジリ貧だ。
どうする?また時を飛ばすか?いや、着弾を一度だけ防げても、俺という熱源が消滅せぬ限り
すぐさまクルリとUターンして来るだろう。肝心なのはこいつを破壊する事だ。

「ディアボロォ!そいつをこっちに投げろッ!!」
「何だと!?」
「いいから投げるんだ!但し俺にはぶつけるなよ、足元を狙え!」

このままでは埒が明かない。俺は半信半疑ながらも、爆弾スタンドを奴の足元に放り投げた。
スタンドは引っくり返るもすぐに体制を立て直し、再び俺の元へ……来なかった。

「くっつく波紋を地面に流した!これでこいつはもう動けないッ!」
「でかしたぞシーザー!そのまま爆弾スタンドを足止めしろ!本体は俺が倒す!」
「ああ、敵はいずれ来る!こいつを止めている限り、俺もここを動けない。襲撃に備えろ!」

言われずとももうやっていた。『エピタフ』を発動し、数秒後の未来を予知する。
俺の死角を狙い投擲された、円盤状の何かが頭部に刺さる寸前の映像が脳内に浮かぶが、
まだ直撃の瞬間を見た訳ではない。キング・クリムゾンが難なく円盤を掴み取る。

「どうやら、我が能力を過信しすぎたらしい。何故、『シアーハートアタック』が炸裂したと分かった?
『ドッゴオ ̄ ̄ ̄Z__ォォンッ!!』と爆発した音を聞いた覚えが無いのに?
実に奇妙だがこれが君らの能力か。反省せねばなるまい。」

物陰から姿を現したのはスーツ姿の東洋人と、左手首から先が無い、眼光鋭い男だった。

「やっと姿ァ見せやがったか!『はじく波紋』!」

シーザーの波紋は、爆弾スタンドを敵目がけて弾き返した。俺も持っていた円盤を奴らにブン投げる。
これで連中が、自分の放ったスタンドにより自爆してくれれば万々歳だったが、
期待は外れ、現れた2体のスタンドの手が阻み、どちらも消失してしまった。

「我が『シアーハートアタック』を封じるとは。貴様の様な厄介な男は、この吉良吉影がじきじきにブチのめす。」
「シーザー・アントニオ・ツェペリだったか?その節は世話になったなァ…。ツケはキッチリ返させて貰うぞ?」

二人の男に因縁を付けられたシーザー。だが当の本人は上等だと啖呵を切る事も、
また会ったなディオ・ブランドー、祖父のカタキだ覚悟しやがれと飛びかかろうともしない。
彼は地面を伝う生命の振動を読む事が出来る、ゆえに気付いていた。

「!?ぐわあッ!」



200 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:20:09 ID:5qUXpJ9w
敵は『三人』居た。いつの間に放ったのか、彼の必殺技シャボンランチャーは、
隙を窺い、茂みに潜む襲撃者を見事捕らえ、その姿を白日の元に晒し出した!
その容姿を目の当たりにしたシーザーが受けた衝撃は、如何ほどだっただろうか?
親友JOJOに瓜二つの容貌。殺めた人数を物語る返り血まみれの服。
この2つが意味する事柄は?シーザーは怒りに震え、双眸に冷たい炎が宿る。

「貴様、ジョナサン・ジョースターか……。」

ジョナサンは何も答えない。返事の代わりと言わんばかりに、サブマシンガンをカチャリと構え、
弾道上に自身の仲間が立つのもお構いなしに、迷わず引き金を引いた!
ぱらららららっ。とタイプライターを打つような銃声が鳴り響く。
シーザーは低くしゃがみこんで銃弾を避け、ディアボロも時間を吹き飛ばし身を躱す。
割りを食ったのは吉良とディオだ、何しろ彼らに弾が命中するという結果だけが残ったのだから。

頭パープリンなのか?と言いたくなる彼の愚挙にシーザーは怯まない。座ったままの姿勢で大きくジャンプし、
誰かを思い出したか、目を丸くするジョナサンに、波紋を込めたパンチをお見舞いする。
負けじとジョナサンも拳を振るう。激しい肉弾戦を繰り広げる二人は、いつしか道の奥へ奥へと消えて行った。
罵詈雑言を浴びせつつ、彼らを追おうとする吉良とディオを阻んだのは、ディアボロだ。
言葉を交わさずとも、彼には分かっていた。シーザーには、乗り越えねばならない過去がある。
つけねばならない落とし前がある。ケジメを重んじるギャングの元ボスだからこそ、
彼の『血統』の問題に、無粋な横槍を入れるつもりはなかった。

「行けシーザー、奴と闘うのはお前でなければならない!」


【C-5西部 /1日目 /真夜中 】
【歴代ボス達によるまさかのバトル(カーズはハブ)】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:左頬が殴られて腫れている、掌に軽度の負傷、軽〜中程度の銃創、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2 、ディオの左手
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×7、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜1個、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、CCDカメラの小型モニター
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送るため荒木を含む全員を皆殺し。
0.ジョナサンに対し怒りの感情。ディアボロを倒し二人を追いたい。
1.植物のような平穏な生活を送るため荒木を含む全員を皆殺し。ただし無茶はしない。
2.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.危険からは極力遠ざかる。
4.利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※シアーハートアタックに何らかの制限がかかっているかは不明です。
※サブマシンガンによりダメージを受けました。どの程度の負傷かは次の書き手さんにお任せします。



201 :創る名無しに見る名無し:2011/02/03(木) 00:22:59 ID:cydu2LEp
sien

202 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:23:01 ID:5qUXpJ9w
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽〜中程度の銃創、ジョルノ、シーザー、由花子、吉良(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、基本支給品×2(水全て消費)、ジョージの首輪、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
0.カエルの小便よりも下衆な銃弾なぞをよくもこのおれに!だがまずは貴様(ディアボロ)だ!
1.ジョージ殺しの罪をジョナサンか吉良になすりつける。
2.吉良が憎い憎い。ジョナサンにも殺意。
3.吉良は絶対に殺すが、今は同盟の規約を守る。
4.スタンド使いを『上に立って従わせる』、従わせてみせる。だが信頼などできるか!
5.ジョルノ、由花子に借りを返す
6.ジョナサンには最終的には死んでほしい
7.ジョルノが……俺の息子だと!?
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※サブマシンガンによりダメージを受けました。どの程度の負傷かは次の書き手さんにお任せします。


※CCDカメラ一式はラバーソールのラス1のランダム支給品でした。
※その他のラバーソールの支給品は吉良とディオが持っていると思われますが、どう分けたかは不明です。
※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。


【CCDカメラセット】
現実世界からの出典。探偵や盗撮魔が使ってそうな小型の監視カメラで、
送受信機と小型モニターもセットになっている。ワイヤレス式なので、電池が切れれば動かなくなる。(5〜6時間程度)
どんなに性能が良くても100m以上は離せないらしいが、ちゃんと映像は届いたのか?


◇   ◆    ◇


さて、話は少しだけ逸れる。ここでディアボロについての疑問点に触れようと思う。
読者諸君は、彼のスタンド『キング・クリムゾン』にかけられた制限とは一体何だ?と想像した事はあるだろうか。

ディアボロがシーザーを救うべく時を吹き飛ばした頃、彼は聞きたくもない荒木の言葉を耳にし、
人知れず顔をしかめた。荒木は、いや正確には首輪から発せられた音声は、こう言っていた。
『あと4分』と。
初めて能力を発動した時は『あと10分』だった。だが減りに減って、今や当初の半分以下である。

にわかには信じ難い。消し去った時の中で自由に動けるのは、帝王たるディアボロただ一人の筈だった。
だが荒木は、その無敵の能力にいともたやすく入門し、あまつさえ彼に警告しやがったのだ!
吹き飛んだ時の中で『4分』というのは妙だが、とにかく荒木はディアボロが都合の悪い未来を
消し去る度に、彼にしか聞こえない世界で、一分おきに不愉快極まりないカウントを告げたのである。
驚くべきは、彼の底が見えぬ謎に包まれたスタンド能力だが、それについてはまた機会があれば語ろう。

『あと4分』。では『あと0分』となった時、ディアボロを待ち受ける運命や如何に?
言わずもがな。その瞬間、我らの帝王は彼らにしか知り得ぬ理由を持って、壮絶な死を遂げるのだ。
ディアボロに逆らう術はない。出来る事といえば、一か八か首輪の解除を試みるか、
これも試練と諦め、制限時間に悩まされつつ粛々と殺し合いに参加する。それだけなのである―――。


203 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:26:37 ID:5qUXpJ9w
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:全身の各所に僅かなダメージ(全て波紋で治療済み)。強い決意。強い恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.ここは俺に任せろ、シーザー。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
  無事ジョルノに『伝言』が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンの制限は『吹き飛ばせる時間に限りがある』でした。これを破ると首輪が爆発します。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。
※荒木を倒し全てが終わった後、露伴に『記憶を読ませる』という約束をさせられました。
※ポルナレフのデイパックも確認しました。DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しましたが、DISCの用途はわかっていません。


◇   ◆    ◇


「「コオオオオオオオオ!」」

二つの呼気が入り混じり、鋭い蹴りや打撃が交差する。
一進一退。シーザーとジョナサンのバトルは、いつしかとある広場にて繰り広げられていた。
住民が集まるその憩いのオアシスは、中央に位置する大木を囲むような丸いベンチに、洒落たデザインの外灯、
水飲み場やモニュメントまで設置されている。散歩しながらちょっと休憩する時にでも、と各所に趣向が
凝らされたその場所で、いやはや喧嘩どころか殺し合いが勃発するとは、きっと設計者も予想だにしなかっただろう。

「ズームパンチ!」
「!」

ジョナサンの得意技、関節を外しリーチを伸ばしたパンチが、シーザーに襲いかかる。
だがシーザーは、シャボンランチャーの応用で両手の間に膜を作り、これを防ぐ。
弾け飛んだジョナサンは辛くも着地し、すかさずサブマシンガンの銃撃を放つ。
ぱらららららら。と迫りくる弾幕を、彼は動物を模した像に隠れやり過ごす。
御影石が粉々に砕かれ、土煙が上がる。駄目押しにと像の裏手に回るジョナサンだが、そこに彼の姿はない。
がさっ。という音に頭上を仰ぐも既に遅し。街路樹によじ登り、そして飛び降りる勢いが上乗せされた
シーザーの仙道波蹴は、傷付いたジョナサンの右肩にクリーンヒットし、彼を地面に叩きつける。
サブマシンガンが手からこぼれ、彼らの何mか先に飛んでいった。

シーザーとジョナサン、実際の波紋の強さ自体は同じぐらいであった。
しかしこの戦い、シーザー側に軍配が上がっている。
いくらラグビーの名選手とはいえ、実際のところジョナサンは、温室育ちのお坊ちゃんである。
その点、荒れた青春を過ごし、ローマの貧民街で大人のチンピラヤクザにさえ恐れられる程の
ワルだったシーザーには、そこで培われた喧嘩のセンスがあった。
相手の思考を読み、的確にダメージを与える攻撃を見極める、そんな洞察力に長けていた。

「そういや、まだ俺の名前を教えてなかったな。俺はシーザー。ツェペリ一族の末裔さ。
あんたも知ってるだろう?誇り高き祖父ウィル・A・ツェペリの名を。」
「ふぅん。その波紋、その帽子…道理でね。」



204 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:30:31 ID:5qUXpJ9w
敬愛する師、ウィル・A・ツェペリの子孫だという事実を告げられても、ジョナサンは何の反応も見せない。
その闘い方、正義感溢れる性格。そう、ジョナサンは彼に言われずとも薄々と気付いていた。
だがそれがどうした?ジョナサンの頑なな心に、代々続くジョースターとツェペリの絆など、付け入る隙はない。
優勝の為なら、きっと彼は血縁者だろうが恩人だろうが、戸惑う事なく殺害するだろう。

それがシーザーには許せない。
この殺し合いで、ジョナサンがどんな辛い経験をしたのかは分からない。
シーザーとて同様だ。共に連れて来られた仲間達は、自分一人を残して早々と死んでしまった。
ゲームに優勝すれば、確かに死んだ者達を帰してくれるかも知れない。それは甘い甘い誘惑だ。
だが何十もの命を踏み台にして与えられた、二度目の人生にJOJOは、リサリサは誇りを持つだろうか?
大切な事は、消えていった魂を取り戻すのではない。彼らの遺した意志を受け継ぐ事だ。

だからこそ、全ての原因を作った荒木に、制裁を加えねばならないのだ。
どちらが正義で、どちらが悪かは重要でない。
荒木に与し、殺し合いを加速させる歪んだ思想は、彼が打ち砕かねばならない。
その相手が、かつて誇り高き戦士だった親友の祖先だとしても。

「今の蹴りは効いたよ。でも君はもう勝った気でいるんじゃあないかい?違うんだなァ、それが。」

圧倒的不利に立たされたジョナサン。だのに血の滲んだ唇は、不遜な笑みに歪んでいた。
ハッタリじゃない。奴にはこの戦況をひっくり返せるような『凄み』がある…!
だがシーザーは退かない。どんな隠し玉を持っているかは知らないが、要はそれを出させなければいい。
ダメージが抜け切らず、地に這いつくばるジョナサンに、止めの波紋疾走を喰らわせてやる!
そして、そのシーザーのプライドの高さと気の強さが、彼らの命運を分ける形となった。

「――――ぐはぁぁぁっ!!」

「『プラネット・ウェイブス』…成程。勝つ事への執念と、怒りのエネルギーがスタンドを
発動させるキッカケになった。とディオは言ったけど、ようやく意味が分かりかけてきたよ。」


―――それは、ジョナサン達が民家に身を潜めていた時の事。

「君も頑固な奴だな、ジョジョ。いい加減支給品を確認したらどうなんだ?」
「必要ない、と言ってるだろ。別にそんな物無くたって、困りやしないし。」
「それじゃあ俺達が困るんだ。どれ、俺がやる、貸してみろ…ヌゥ、これは!?」
「ああ、それかい?ちょっと前に殺した参加者から手に入れたんだよ。そんな大げさな。」
「全く君って奴は。こいつの価値を分かっていないのか?…そうだ、こいつを額に差してみろ、ジョジョ!」
「……正気かい?ディオ。」
「良く聞け、これは素質ある者に『スタンド』を与えるDISCだ。俺はこれで今の能力を手に入れた。」
「『スタンド』…。君達の持つ不思議な能力の事か。確かにそれは興味あるね。ちょっと怖いけど是非試させてくれ!」

「はじかれない、か。おめでとうジョジョ、これで君は新たな力に目覚めた。」
「特に何も変わらない気がするんだけど、本当に大丈夫かい?」
「流石の俺も、そいつにどんな能力が秘められているかは分かりかねる。
ただ今は実感出来ずとも、しかるべき時が来れば、きっと君の才能は花開くさ。」
「有難うディオ、でもいいのか?こんな重大な事簡単に教えて貰って?」
「なぁに、気にするな。腕を治療してくれたお礼さ。
(フン、いくら波紋とやらが使えても、所詮非スタンド使いのお前は、俺達より一段低い存在だ。
弱いお前を見て、吉良の気がいつ変わるかも分からない。バランスを保つ必要があった。
それにお前は知らないだろうが、スタンドも記憶も自由に取り出せる俺の方が、有利な事に変わりはない…。)」


205 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 00:33:47 ID:5qUXpJ9w
「ハァ、ハァ…。ぐぅっ!?」

隕石をもろに背中に受けたショックで立ちつくすシーザーに、今度はジョナサンの蹴りが炸裂する。
まだスタンド使いになりたてで、うまくコントロール出来なかった隕石は、シーザーへ命中する前に
砕けてしまい、彼を襲ったのはごくごく小さな破片群。風穴を空けられた訳でもない。
だがそのダメージは、後ろから機関銃を喰らったも同然。頭部を外れたのは不幸中の幸いである。

「これで形勢は逆転だね、シーザー君。」

隕石に抉られた傷と、火傷にのたうち回るシーザーの喉を、ジョナサンは容赦なく踏みにじった。
波紋使いの弱点である喉を押さえられ、彼は波紋を流して抵抗する術を封じられてしまった。
そして再び飛来する隕石。一つ目は大きく外し、左方の外灯をベキッ!とへし折る。
二つ目の隕石は、ジョナサンの真上に降り注ぎ、能力により当たる寸前で燃え尽きる。
三つ目。シーザーの左腕と肩に掛けられたディパックの間辺りに落下し、その衝撃で腕とディパックを破壊する。

「うわああああああああああッ!!」

中々コントロールが難しい。だが次は絶対に外さない。
人間にとって最も大事な器官、心臓に缶詰でも入りそうな大穴を空けてやろう。
息を吐いて気合いを入れる彼の目が何気なく捉えたのは、先程の衝撃で焼き焦げ首だけになった、女の子用の人形。

「(これは、エリナの人形…?どうして、何故ここに!?)」

刹那、ボロボロになった人形にエリナの顔が重なる。
―――ジョナサン。また私を殺したの?一度目はグチャグチャに破裂して、
   今度は首から下を吹っ飛ばしたのね。嗚呼痛い、痛いわどうしてくれるの、この人殺し…!

「(違う、違うんだエリナ。僕はこの男を始末したかっただけ。
そうすれば、殺し合いに優勝すれば、君は生き返る。全部君の為なんだ!!)」

これはただの幻だ、惑わされてはいけない。分かっていながらも、震えは止まらなかった。
スタンドとは即ち精神の力。あと一発、シーザーの急所に隕石を叩き込めば勝ちなのに、
プラネット・ウェイブスは動こうとしない、どうしても動かない…。

銃声と共に、ジョナサンの足に突如激痛が走る。
蹴り飛ばされた時、シーザーは彼のサブマシンガンを、抜け目なく拾っていた。
そしてジョナサンの隙を突いて、後ろ手に隠した銃をブッ放してやったのだ。
足の拘束が緩み、シーザーはよろよろと立ち上がる。



206 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:02:42 ID:5qUXpJ9w
銃はもう必要ない。この男を倒すのは、先祖代々受け継がれてきたツェペリ魂の結晶、波紋でなければならない。
無意識の内に、シーザーの手にはジャイロの鉄球が握られていた。
彼には知る由もないが、その鉄球を得物としていたのは、彼と同じく『シーザー』の名を持つ男である。
時代を越え結び付いた二人のツェペリ。きっとそれは、偶然ではない何かによってもたらされたに違いない。

「行くぜ!ブッ壊すほど………シュートッ!!!」

コオオッ!と深い呼吸で最大級の波紋を練り上げ、体勢を崩したジョナサンに渾身の一撃を叩き込む!
シーザーの体から流れ出した血液は、鉄球にも波紋を伝導させていた。
ドォーーーーーーーーン!!という凄まじい衝撃音と共に、ジョナサンの巨躯は宙を舞う。
勢いのままに数十m先の大木に激突し、地震の如く地を揺らした。
すぐさま追い討ちをかけるべく、駆け寄ったシーザーが見たもの、それは。

「ウッ……ガハッ、ゲホッ!!」

喉を押さえて悶え苦しむジョナサン。両手の隙間から、みるみる血が溢れ出す。
巨木から突き出た太く長い枝は、彼の喉と腹部を貫通し、彼の体を磔にしていた。
ジョナサンのタフな根性はそれでも、シーザーと決着を付けるべく、枝を引き抜こうとする。
喉の枝が半分ほど抜けるのを見たシーザーは、再び戦いの構えを取った。
だがそれも杞憂に終わり、あと少しで喉の枝が外れる所で、彼の力が急に弱弱しくなり、
やがてびくびくと痙攣を始め、ついにガクっと頭を垂れ動かなくなった。


こうして、ジョースターとツェペリの皮肉な巡り合わせによる殺し合いは、終焉を迎えたのである。


◇   ◆   ◇


「あんたの無念は晴らしたぜ、スピードワゴンさん………。」

ぜえぜえと荒い息を吐きながら、シーザーは誰にともなく言い放った。
俺としてはちょいと残酷趣味だが、これが当然の報いだと、血混じりの唾を吐きかける。
実力は五分五分。勝利の女神が味方しなければ、再起不能はシーザーの方だった。
アドレナリンの分泌が収まったか、忘れかけていた痛みと疲労が一気に押し寄せ、強烈な立ち眩みが起こる。

こんなにボロボロになりながら、よくもまぁあんな力が出せたモンだ。
自身が負ったダメージを見遣り、俺は他人事のように驚いた。
左腕はあらぬ方向にネジ曲がっているし、銃で空けられた穴があちこちにある。
最もひどいのは背中だ。あの隕石のおかげで一体何ポンドの肉を失っただろう。燃えるように痛む。

それでもこうして立っていられるのは、波紋エネルギーの恩恵と、自らの鍛え抜いた肉体があってこそか。
なんてったってリサリサ先生や師範代に、散々しごかれたからな。この位でへこたれやしないさ。
ま、怪我は波紋の呼吸で治療するとして、連戦続きは流石に体に堪えたな。
背中の負傷を庇いながら、俺は地面にうつ伏せになって寝転んだ。

10分、いや5分でいい。体を休めてからディアボロを助けに行こう。
本当はひと眠りしたい所なんだが、宿敵ディオをまだ仕留めちゃあいない。
それにいくらディアボロといえど、二対一で闘うのはキツイだろう。
本来なら、すぐにでも駆け付けてやるべきだろうが、大目に見てくれ。ヒーローは遅れてやって来るものさ。
なぁに、じきに行くよ。これが片付いたら、露伴達の所にも行ってやらねーと。
それに、エシディシの野郎もまだ生きてる。奴を倒せるのは、俺みたいな波紋使いだけだ。


207 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:05:07 ID:5qUXpJ9w
不意に、口内に溜まっていた血液が気管に入り、俺はたまらず咽込んだ。
なかなか収まらぬ咳。やがて迫り上がってきた血反吐が、大量に地面に吐き散らされる。
やべえ、波紋の呼吸が乱れちまう。早く怪我を治さなきゃなんねーのに。
しかも瞼が重くなってきた、不味い。こんな所でノンキこいてオネンネか。と呆れ顔のディアボロが目に浮かぶ。

ディア、ボロ…。すぐそっち、に向かうぜ…。死、ぬなよ。
それ、と首洗って待って、やがれ、ディオ。俺のじいさんの仇、と、らせて…もらう、から…な……。

………………………………。




◇   ◆   ◇


どれくらいの時間が経っただろうか。僕は奇跡的に、意識を少しだけ覚醒させた。
ここはどこだろう?なんだかとても気分が悪い。
体中がズキズキ痛むし、頭の中が朦朧とする。
おまけにもの凄く寒い。まるで、ひどい風邪でもこじらせてしまったかのように。

僕は今まで何をしていたんだっけ?
―――思い出せない。

何かにもたれかかり、座っている体勢が段々苦しくなってきて、僕は身じろぎをした。
すると、下腹の辺りに耐え難い痛みを感じる。

痛い!僕は叫ぼうとした。だが声が出ない。こんなに痛いのに、呻き声すら出せない。
どうなってしまったんだ、僕は?満足に動かせぬ体に鞭打ち、僕は目線を精一杯下方に向けた。
―――なんだ、こいつは。

身動きが取れない訳だ。僕の首の後ろと腹部には、血に塗れた杭が突き刺さっていた。
その瞬間、ジグソーパズルのピースが次々嵌まっていくかの如く、あやふやだった記憶が舞い戻った。

少し離れた所に、人が倒れていた。そうだ、彼の名は確かシーザー……ツェペリ。
ツェペリさんの孫にあたる波紋使いの青年で、僕は彼の一撃をもろに喰らって吹き飛んだ。
そして僕の体を受け止めたこの木には、太い枝が何本も突き出ていて…。
ああ、思い出した。それでこんなモズの餌のような間抜けな格好になったんだった。

「(く………はははっ…。)」

そうさ、僕は何て間抜けな男なんだ。誰一人大切な人を守れず、とうとう参加者を皆殺しにして
全て無かった事にしようなどと血迷った決断をして、落ちに落ちて最期はこのざまだ。
何て無様な、滑稽な。そして、哀れな。
そう思うと、むしょうに笑いがこみ上げてくる。潰れた喉からは笑い声なんて出ないけど。

この世界に来る前に、僕はディオという吸血鬼を倒した。
だがこの姿を見ろ、僕はまるで、胸に杭を打たれて殺される吸血鬼そのものじゃあないか。
どうか笑ってくれ、父さん、ブラフォード、スピードワゴン…。

かちん。

僕のポケットから何かが落ちて、金属特有の音を立てた。
目の前をころころと転がって行くそれは、よく見るとエリナの指輪だった。
ふらふらと蛇行し動きを止めたその指輪を、誰かの白い手が拾い上げた。

208 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:08:03 ID:5qUXpJ9w
―――そんな、そんな馬鹿な。だって君は…ッ!
僕は思わず目を見開いた。

エリナだった。
誰よりも逢いたいと願った愛しい人は、息を飲む程に美しく、そしてどこか悲しげな表情を浮かべていた。

―――おお、待ってくれエリナ。僕を置いていかないでくれ。

僕は最後の力を振り絞り、自身の体に食い込む太い枝から、逃れようともがいた。
この世のものとは思えない苦痛に、頭が真っ白になりかけるが、なりふり構っていられなかった。

エリナ、聞いてくれ。僕はどうしても、君に生き返って欲しかった。
もがく。
ドス黒い悪に染まった僕を見て、君がどんなに悲しもうと、拒まれようと
もがく。
二度とこの手に抱き締められなくとも、全世界の人間を敵に回そうとも、
もがく。
―――大切な君が生きてくれさえいれば、それでよかった。

首と腹の傷を一層深くしながらも、僕はついに拘束から抜け出した。
あとほんの少し腕を伸ばせば、彼女に手が届く。
しかし現実は残酷で、全てを使い果たした僕の体は、急速に力を失ってゆく。
前のめりに倒れて、嫌と言うほど顔面をぶつけたが、もはや痛みすら感じない。

ここで終わるのか…。死を覚悟した僕の目に映ったのは

―――ああエリナ。僕を赦してくれるのかい。こんな僕を、君はまだ信じてくれるんだね。

僕を献身的に看病してくれた、あの時の様に優しい笑顔で、差し伸べられた手を

―――愛しているよ、エリナ。

僕はしっかりと握った。


◇   ◆   ◇


「間に合わなかった、か…。」

サンドマンとの情報交換を一旦放棄し、自分達を襲った敵を捜索していた空条徐倫。
その過程で見た、闇を引き裂く灼熱の隕石。その光と燻ぶる煙を頼りに、
どうにか現場に辿り着いた彼女が発見したものは、二人の男の無残な亡骸。

金髪の男の背中は酷く焼け爛れ、大部分が抉られていた。
黒髪の男は血だらけで、首と腹部に大怪我を負っていた。
大方、何らかの理由で二人は戦いましたが、結局相討ちになってしまいました。といった所だろう。

簡単な考察を終えると、あたしは放置された支給品達を確認し、必要な物だけを
自分のディパックに移して、さっさとここから離れることにした。

ここで何があったかなんて、あたしには関係ない。
あの隕石はきっと、元はウエストウッド看守のスタンド能力で、どうやったのか黒髪の男がDISCを奪い、
それが金髪の男に致命傷を与えたんだろうなんて事は、心底どうでもよかった。


209 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:12:20 ID:5qUXpJ9w
ここにあるのは、二人の男が死んだという『結末』だけ。
名前や立場など関係ない。人は死ねばただの肉の塊になるだけだ。
あたしは立ち止まってなんかいられない。成し遂げなければならない事があるのだ。

「…?何かしら。」

ふと、黒髪の男の手元に目が止まる。
丸められた掌の中に、何かが握り締められていた。
ところが、既に死後硬直の始まったその拳は岩のように固まり、
パワーに自信のあるストーンフリーですら、こじ開けるのは不可能だった。

「やれやれだわ。こんな手、本当は使いたくないけれど。」

呟きながら、あたしは手頃な石を拾い集める。
必要な物は、ちょうど旧石器時代の原人が使うような、鋭利に尖った石だ。
以前のあたしは、こんなグロテスクな真似をするくらいなら、いっそ中身なんて諦めていたでしょうね。

徐倫は自嘲気味に笑い、人差し指と中指の辺りに狙いを定め、一気に石を振り下ろした。
至って冷静に、看護婦が静脈に注射針を刺し込むような気持ちでゆっくりと、ジョナサンの指を切断する。
一度、二度、三度……。そしてようやく露わになった手の中から現れたのは…

「指輪?」

まぁ恐らく誰かのボタンか、コインだろうと予想していたが、まさか指輪だったとは。
血糊にまみれ、てらてらと光るそれを右手の薬指にそっとはめると、驚くほどしっくりと指に馴染んだ。
満足げな表情を浮かべると、徐倫はおもむろに立ち上がった。
最期にジョナサンの瞼を閉ざし、ディパックを肩に担ぐ。

―――別に指輪なんて欲しいわけじゃあないわ。この行動に、特に意味なんかない。
   あえて言うなら、貴方の顔が、どことなくあたしの父さんに似ていた。ただそれだけよ。

我ながらクレイジーな事をやってると思う。
だけど、こんな殺戮ゲームに放り込まれて、正常であろうとする方が変じゃない?
キリストじゃあるまいし、未だに倫理とか、正しい人の在り方なんて気にする奴の方がよっぽどクレイジーよ。
二つの遺体を交互に見比べ、踵を返すと足早にこの場を後にする。

―――サヨウナラ。




210 :箱庭の誓い、その果てに ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:16:19 ID:5qUXpJ9w
【C-5南部 /1日目 /真夜中 】
【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(大)、体中縫い傷有り、上半身が切り傷でボロボロ、火傷(小)
【装備】:エリナの指輪
【道具】:基本支給品一式 、サブマシンガン(残り弾数70%)、不明支給品1〜5(確認済)、ジャイロの鉄球、メリケンサック、エリナの首輪、ブラフォードの首輪、
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0. 荒木を屈服させ、すべてを元通りにさせる。
1.そのためならばどんなゲスでも利用してみせる。アナスイももちろん利用する。
2.自分達を襲った敵を見つける。
3.インディアン(サンドマン)と情報交換。
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。


※『プラネット・ウェイブス』のスタンドDISCはジョナサンの死亡と共に消滅しました。
※C-5南部にはディパック、“DARBY'S TICKET”、ダニーについて書かれていた説明書(未開封)、ウィル・A・ツェペリのシルクハット、エリナの人形、中性洗剤、スピードワゴンの帽子が放置されています。


【ジョナサン・ジョースター 死亡】
【シーザー・アントニオ・ツェペリ 死亡】
【残り 18名】


211 : ◆SF.flmxVNo :2011/02/03(木) 01:18:04 ID:5qUXpJ9w
さるさんに引っかかり、ちょっと時間をとられましたが投下は以上です。
本投下は4日以降になるとキッパリ言ったばかりなのに…スマンありゃウソだった。
書いている途中でスタンドに波紋が通用するのかふと疑問に思いましたが、「幽波紋」という位なんで大丈夫ですよねw


212 :創る名無しに見る名無し:2011/02/03(木) 18:22:37 ID:j9HwH8y7
投下乙です
原作でジョセフが隠者の紫に波紋流してたので大丈夫だと思いますよ

ジョナサンとシーザーの熱いバトル堪能させてもらいました
ジョースターVSツェペリなんて原作では見る事が出来なさそうなバトルが見られるのはジョジョロワだけ!
支給品の魅せ方も面白かったです 特にエリナの人形はこうやって絡ませてくるかーって感じでした
最期にエリナの幻を見たジョナサン……マーダー化する前からずっと可哀想だったなあ

そしてボス達のバトルも楽しみ
今回明らかになったディアボロのキンクリ制限がどんな影響を与えるのか

213 :創る名無しに見る名無し:2011/02/03(木) 18:28:44 ID:D08T8hKI
投下乙です

まず!叫ばずにはいられない!
シィィザーァァッ!!

熱い闘いの末に
ジョジョを打ち倒したのが、ツェペリだということに奇妙かつ納得な因縁を感じます
そして、エリナの幻影を見たジョナサンがなんとも物悲しい

楽しませていただきました!

214 :創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 19:18:39 ID:NfVgCdyJ
本日24時より
ディオ・ブランドー、吉良吉影、ディアボロ、空条徐倫の4名が予約解禁です。

215 :創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 19:38:28 ID:nHeMDrlQ
ジョナサンはジョナサンで必死だったんだよなぁ…せつねぇ…
そしてシーザー!最期まで熱くて…最高にカッコよかったぜ!

まさかのボス集結戦はそれぞれ思惑があるから展開がすげー楽しみ。

次の作品も楽しみに待ってます!

216 :創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 19:41:09 ID:XBh5Wlmt
ディオ様が六部のボスも兼任や!
カーズ様は大事だけどプッチなんていらんかったんや!

217 :創る名無しに見る名無し:2011/02/05(土) 01:35:14 ID:BVqDEZOF
展開がノってきたところで、支援絵を描きましたのでよろしければ。
パスはjojoです。

http://a-draw.com/contents/uploader2/src/a-draw1_2503.jpg.html

218 : ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 12:31:22 ID:C/Cyjpq2
すみません
本投下は正午といいましたが、間に合いませんでした。
もうしばらくお待ちください。

219 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 12:54:44 ID:1BD0yr7Z
『全裸で待機する』『支援もする』
両方やらなくっちゃあならないってのが幹部のつらいところだな

220 : ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:38:15 ID:C/Cyjpq2
お待たせしました。
昨夜なかなか修正の時間がとれず、予定より遅れてしまいました。
大変申し訳ございませんでした。
今夜◆Y0氏が来るようですし、急いで投下いたします。

虹村億泰、音石明、F・F、ナルシソ・アナスイ、荒木飛呂彦、杉本鈴美
それでは本投下いたします。

221 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:41:10 ID:C/Cyjpq2


目を離したのは一瞬だった。

ダービーの野郎は未だに名残惜しい様子だったが、俺は億泰がついてこないことに安心していた。
億泰は絶対俺に恨みを持っているし、今すぐで無くとも、いつ気が変わってブッ殺されるかわかったもんじゃあねえ……
億泰は強いスタンド使いだが、一緒にいると俺の方が危なくなりかねん。
俺はダービーを急かすように、奴に背中を向けて歩き出そうとした。
さっさと安全な場所に避難したい、その一心で―――

次の瞬間、背後で奇妙な発射音がした。
今日一日で幾度となく聞いてきた拳銃の銃声とまた違う重苦しい音…
次いで、人間の倒れる音―――背中に感じる不気味な気配――――――
振り返ったそこにいたのは、肉の塊を纏った身の丈2メートルほどの化け物だった。




「なァ――なぁンだァァあいつはァァ!?」

F・F弾の発射音に振り返った億泰が見た物は、さっきまで会話していたテレンス・T・ダービーの崩れゆく姿、腰を抜かしうめき声をあげている音石明、そして肉の塊のような奇妙な容貌をした怪物(モンスター)だった。
その怪物…『フー・ファイターズ』はティッツァーノの生首にマイク・O、スカーレット・ヴァレンタインの遺体から使える『部品』を集め、F・Fの細胞と数時間前の雨によって生まれた水たまりで再生拡大……
5歳の幼稚園児が粘土細工で遊ぶかのように練り上げて作った継ぎ接ぎの肉体である。

太さも違う足が2本――黒人男性の右足に女性の左足―――
同じく、サイズが違う腕が3本――黒人男性の両腕と、そのうち左脇から伸びるもう1本の左腕は女性のものであった。
さらに繋ぎ合わせた胴体には内臓器官が剥き出しになっており、またほとんどの細胞がプランクトンによって無理矢理修復されたもの、さらに全部で6つの眼球が確認された。

おぞましい腐敗臭を放つその悪魔の彫刻のような禍々しい姿をした怪物は傍らで腰を抜かす音石明をその6つの瞳でまじまじと見つめる。
音石は腰を抜かしたまま、蛇に睨まれた蛙のように、麻痺したまま動くことができなかった。



222 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:42:17 ID:C/Cyjpq2

なんだこいつはッ!?
化け物? 誰かのスタンドかッ!?
いや…こんな不気味なかたちのスタンドは見たことがねえッ!!
生身の肉体…? こいつ…生き物なのかッ!?
第一、こいつの肉はさっきそこに散らばっていた死体の肉片じゃあねえのかッ!?
荒木の野郎は、こんな得体の知れない化け物まで殺し合いに参加させていたってのかッ!?

音石の頭を様々な疑問が駆け巡る。
やがてその怪物は3本の腕を銃口を作るように伸ばし、ゆっくりと音石の額に向けて構えた。

―――オイッ!! ちょ…ちょっと待てッ―――!!
こいつ……何する気だ――ッ!?
撃つ……? 撃つ気か………ッ!?
俺はここで死ぬのかッ――――――ッ!?
こんな……こんなところで………こんなわけのわからない奴に――殺されるのかッ!?
いやだ――――ッ!!


「うわあぁぁ来るなあぁぁ!!! やめろおぉぉぉぉぉ!!!!」

音石は動けない。
とっさにラジコン飛行機を掲げ、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』で身を守る。
が、しかし―――――

「だめだッ!!『電力』が足りねえッ!!! この小さな飛行機のバッテリーじゃあ、『弾丸』は止めらねえッ―――」

F・F弾が『チリ・ペッパー』を貫通する―――

終わった、死んだ…………






「音石ィィ――――てめぇそんな腰抜け野郎だったかよォ?
俺を殺そうとしやがった時は……こんなもんじゃあなかっただろぉ〜〜?」

――――その直前、音石の体は地面を転がりまわり、億泰の足元で受け止められた。
『ザ・ハンド』によって削り取られた空間に引き寄せられて………

「もうゴチャゴチャ考えるのはやめだッ! どーせ俺は頭悪りぃんだからよぉ〜
てめえが得体の知れねえ化け物で、俺がてめえをぶっ倒す……それで十分なんだぜ?」



虹村億泰、覚悟完了―――ッ!!!







223 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:45:01 ID:C/Cyjpq2


「に…虹村億泰……ッ!! きさまなぜ俺を助けたッ!? 俺は……きさまの兄貴の…『仇』だろうが………ッ!!?」

「…けッ! 知らねぇよそんなことはよぉッ!! あとで貴様をボコボコにしない自信はねぇがなぁ〜………
今はあいつをぶち殺すのが先だぜ……………?」

事実、億泰はなぜ自分が音石を助けたのか自分でもわかっていなかった。
ただ「音石明が殺される」と思ったとき、億泰の体は無意識に動いていた。
音石明が自分の兄貴の仇だとか、(リゾットが言うには)音石が首輪解除の切り札になるかもしれない事だとか、そんな理屈はどこにもなかった。
これ以上、『目の前で誰かが殺される』―――――――――――――
ただそれだけが許せなかった。


ざまあねえよなあ…… 誰も殺させない―――そう誓った傍から、今度はダービーまで…………
こんな様じゃあ、仗助や康一に…、露伴に顔向けできねえよな………


―――これ以上、誰かを守れないのは許せなかった。



億泰たちは怪物と目が合った。
目の前の標的を失った怪物は、視線を動かし複数の目で億泰たちの姿をまじまじと見ている。

「でよォ音石明……あいつは一体なんなんだ?」
「し……知らねえよ……… 急に起き上がってきやがったんだよッ……!!
スタンドじゃあねえ、さっきの死体がだッ!! 気が付いたらダービーがやられちまっていて、俺も………ハッ……!?」

怪物が億泰・音石たちに向かって猛然と突進してくる。
腕は再び先ほどと同じ銃口を作り、億泰の胴部に狙いを定めた。
動きのノロさを補う正確な射撃が億泰を襲う。

「ヤバいッ! また撃って来やがったッ―――!!! 避けろ億泰ッ!!!」

音石が億泰に警告を促す。
億泰は……いないッ!?
一瞬前まで腰を抜かした音石の背後にいた億泰がいつの間にかどこかへ消えていた。
音石は咄嗟に襲い来るF・F弾の散弾を、身をかがめて回避した。
億泰はどこへ行った―ッッ!?
怪物から弾丸が発射される瞬間、身をかがめて回避をした音石とは対照的に、億泰は空へ飛んでいた。
音石は怪物の頭上に飛び上っている億泰の姿を見た。



224 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:46:50 ID:C/Cyjpq2
「ノロイぜ……化けモンよぉぉぉ……ッ!! 俺はてめえが『ナニモノ』なのかは知らねえが……てめえがダービーを殺し、これからも殺しを続けるクソッタレだってことはわかってんだッ!! 俺には……、それだけで十分なんだよ……ッ!!」

億泰の『ザ・ハンド』は『弧』を描く掌の動きで空間を削り取る能力である。
現世で音石明に散々言われたとおり、その動きは弾丸を削り取るなど不可能な『スロー』な動きではあるが、削り取られた空間に『引き寄せられるスピード』は、音石の『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のスピードをも凌駕する。
特に現在の億泰は先刻のパンナコッタ・フーゴとの戦闘を経験し、対『弾丸』には特別過敏になっていた。
走りくる怪物が銃口(腕)を億泰に構えたときには、先読みした億泰が既に斜め上空の空間を『ザ・ハンド』で削り取っていた。
そして、削り取られた空間が閉じると同時に、億泰自身が瞬間移動して宙に舞い上がったのだ。

「その体……銃撃だけは速いようだが……、素早い身のこなしや回避行動は『ニガテ』と見たぜぇ〜〜ッ!! そのグチャグチャの肉の塊ならよォォ!!!」

そして空中からの勢いに任せ、怪物の後頭部めがけ、『ザ・ハンド』の―――否、『億泰本体』の生身での蹴りが炸裂した。
地面に叩きつけられる怪物…そしてその脇に億泰が着地し、怪物を睨みつけ見下ろす。

「とらえたぜ――ッ!! 『俺の蹴り』が入るってことは……やはりてめえのその肉は『生身』かッ!!
てめえが誰かの『スタンド』ってんなら『本体の奇襲』を警戒するところだが……どうやらその必要は無くなったようだなぁ〜〜……!!」
「GA……GAAAAAAAAA!!!!!」

手痛い一撃を受け、背後を取られた怪物がうめき声をあげながら、億泰に銃口を向けようとする。
しかし、億泰はそれを許さない。

「だァかァらァ…… ノロイぜダボがァァ!! 確かに俺の右手は、音石の『電気』よりはスローかもしれねえが……それでもてめえみてえな鈍重な化け物をとらえきれねえようなアクビが出るスピードじゃあねえんだぜ……
計ったこたあねーがよォ――…… この距離じゃあ時速300q/hは出るぜ……」

『ザ・ハンド』の右腕が怪物から伸びる黒人男性の両腕の手首から先を掴み取り、消滅させるッ!!
さらに連続した動作で左脇から伸びる残る一本の女性の腕を、振り下ろす『ザ・ハンド』の拳で叩きつぶした。

「GU…GURRAAGAAAAAAAAAA!!!!!」
「これで貴様の『妙な銃』は使えなくなったかァ!? だが、こんなもんじゃあ終わらねえぞ化け物ッ!!
今の俺は『とことんまで』やり抜かねえと気が済まねえんだッ!! 中途半端で終わらしちゃあ……貴様が殺したダービーや、露伴たち…守れなかった仲間たちに顔向けできねえんだよッ!!!」

『ザ・ハンド』の掌で怪物の脇腹を掴み取り、消滅させる!
そしてさらにもう一撃、怪物の肩口めがけて渾身の正拳を叩きこんだッ!!
怪物の体は吹き飛ばされ、体中の傷口から血が噴き出し、住宅地脇の民家のコンクリート塀に叩きつけられた。







225 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:48:57 ID:C/Cyjpq2
「す……すげえ………ッ!」

数メートル離れた路地から億泰の猛攻を見ていた音石明が感嘆の声を漏らす。
過去に自分と対峙した時に匹敵する……いや、それすらも超えるかもしれない億泰の怒涛の攻撃。
そのパワーの源にあるのは、『兄の仇』よりも大切な億泰の心の奥深くにある『正義の心』……
自分の大切な仲間たちを守ることのできなかった『自分自身への怒り』であった。

「以前…億泰のことを『精神が未熟』などだと言ったが…そいつは間違いだった……
億泰……奴は『優しい』んだ…… 世界一優しいスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』よりも『優しい』んだ……
奴は『人を殺そう』だとか…『仇を討とう』だとかじゃあなく……『誰かを守ろう』とした時…… 誰よりも強く戦えるんだ………」



「GU……GUGAAAA………」

醜い肉体から血液が噴き出し、苦しそうに呻き声をあげる怪物に、億泰が距離を詰める。

「てめえに対する慈悲の気持ちは全くねえ…… てめえをカワイソーとは全く思わねえぜ……
てめえが何者なのかは分からずじまいになっちまうが…… このままてめえを全身削り取って消滅させるッ!!!」

億泰が怪物に向かって最後の攻撃を仕掛ける。
しかし、その様子を見ていた音石が奇妙な違和感を覚える。


―――あの化け物……、逃げようとしねえ――――――
「おつむ」が足りないわけじゃあないだろう……
向かってくる億泰に対し、反撃も退避もせず、ただ「待っている」ような……?
億泰が距離を詰めるのを待っている……?
あの化け物は反撃の手段をまだ持っているのか……?

音石はその時、怪物の折れた女性の左腕の陰に、押しつぶされたようなペットボトル容器を見たッ!!
そして消滅させたはずの黒人男性の両腕の手首は―――ッ!!
億泰は気が付いていないッ!!!
距離約2メートルッ!!!


「とどめだ!! 削り取ってやるぜッ!!! 化けモ――― 何ィッ!!!!」

億泰の一撃が届くより先に、ジャキンと構えられた怪物の両腕……
削り取ったはずの手首から先は再生し、億泰の額に向けて狙いをつけていた。



――バ……バカなッ!! さっき消滅させたはずッ!! 復活してるだとッ!!!
やべぇッ… 近すぎるぜッ!! 瞬間移動が間に合わねえッ!!!




226 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:50:29 ID:C/Cyjpq2
「『レッド・ホット・チリ・ペッパ――――――』ッ!!!!!」

そのとき、音石がスピットファイヤー(ラジコン飛行機)に『チリ・ペッパー』を乗せ、億泰の救出に向けて飛ばさせた。
『チリ・ペッパー』は怪物の銃撃とほぼ同時に億泰の元に辿り着き、億泰をかばうように押しのける。
銃撃をモロに受けたスピットファイヤーは、もともとプロペラが壊れていたこともあり空中で大破し、地面に叩きつけられた。
そして、もちろん『チリ・ペッパー』も同様に銃撃を喰らっていた。


「ッぐ!! ぐァあああぁぁッッ!!!」

散弾の一部を腹部に受けた『チリ・ペッパー』のダメージが、音石明にフィードバックする。
命にかかわる傷ではないが、それでも浮き出した傷に音石はうめき声をあげる。
生身の肉体から発射される銃弾ではスタンドには攻撃できない。
そう思い込んでいた音石明の誤算であった。



チ……クショウ…… ただの化け物だと思っていたら……
あの弾丸……いや、奴の全身が俺と同じ『一体型スタンド』ッ!!!
億泰の蹴りが当たったにもかかわらず、俺の『チリ・ペッパー』を銃撃できたのはそういう理屈かッ……!!
本体は……遠隔で操っているのか? わからねえ……… いや、今はそんなことより、奴のスタンドの正体…… 奴はッ――!!



「お……音石明ッ! てめえが俺を助けたのか……? 兄貴の仇であるてめえが…この俺を……ッ!!」
「う……うるせえッ!! さっきの借りを返しただけだッ!! 助けられっぱなしが性に合わねえだけだぜッ――!! てめえがやられたら俺も危ねえしよッ!!!
――そんなことより億泰ッ!! 化け物の正体がわかったぜ!! 奴は『水と一体化し死肉を操るスタンド』だ!! そして奴は『水を吸収すること』で肉体を再生・強化することができるスタンドなんだッ!!!」
「な……何だとォ!!?」


怪物の傷口がグジュルグジュルと音を立てて再生していく。
怪物は最初の攻防で億泰に向かってくる前に、散乱した音石のデイパックの中から基本支給品である『水』のペットボトルを拝借し、体内に隠し持っていた。
そしてピンチが訪れたとき容器をぶち壊し、中の水で高速再生回復できる『保険』を作っていたのだ。
億泰が迫ってくるのを待ち、今度は逃げられない距離からF・F弾を叩きこむために、ギリギリのタイミングで手首から先を復活させたのだ。
反撃に失敗した怪物は、いったん体制を立て直すべく、数メートル先にある水たまりに異動するため、体を引きずって移動する。



227 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:51:36 ID:C/Cyjpq2
「まずい! 億泰ッ!! 奴を水たまりに近づけるな!! また再生されるぞ!!!」

音石が叫ぶ。
しかし億泰は立ち上がれない。立ち上がろうとはしているが、足に力が入らない。
『チリ・ペッパー』の救援で致命傷は逃れることができたが、億泰はまだ窮地を脱したわけではない。
散弾の一発を、足にくらっていたのだ。

「…ぉぉおおおオオオオオッッ!!!!」

億泰の足から血が流れ出す。
根性で『ザ・ハンド』を繰り出し、掌で水たまりに向かう怪物を引き寄せようとする。
しかし、足の負傷によるタイムロスで、一手遅れる……
億泰が起き上がる前に怪物は水たまりに辿り着き、腕を突っ込んで水を吸収した。
怪物の体が『ザ・ハンド』に引き寄せられたころには、水たまりの水は干上がり、えぐり取られた脇腹も再生していた。
むしろ、怪物の体は吸収した水分によって前よりもさらに巨大化し、パワーアップしていた。
結果的に億泰は、負傷した自分自身の近くに完全回復した怪物を引きよせることになってしまった。


「GAAAAAAAAAAAA!!!!!」
「うッ!! ヌゥゥうおおおおおおお!!!!!!!!」

こうなってしまった以上、もはや圧倒的優位は怪物である。
いくら怪物の動きが鈍重とはいえ、足を怪我した億泰よりは素早く動ける。
死に物狂いで『ザ・ハンド』の掌を振りかざすが、十分に水分を補給した怪物は、削られても削られてもそこから再生していく。
その姿が、億泰の心をさらに追い詰めていく。


チクショオ…… 化け物め……!!
どれだけ削り取っても削り取っても……いくらでも復活してきやがる……!!
肉粘土みてえなナリに、この再生力…… まるで…まるで……

―――まるで俺の親父とそっくりじゃねえか――――――



自分の命を狙うゲロ以下の臭いがする化け物と自分の父親を重ねてしまい、億泰の動きはどんどん鈍っていく。
億泰は地面を転がりながら逃げていくが、追いつめられるのは時間の問題だ。







228 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:52:46 ID:C/Cyjpq2
「やべえ……億泰がやられちまうッ!! どうすれば……!!!」

一瞬のうちに訪れた形勢逆転を目の前に、音石は腹部の傷を抑えながら打開策を思案する。
音石は本人の気がつかぬうちに、本気で億泰を『助け』ようとしていた。
自分でもわからないうちに、音石の中に大きな心境の変化が起きていた。
しかし、だからといって下手な行動はできない。
なぜなら、音石はこのときすでにスタンドが使えなくなっていた。

『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は電気が存在するところでしか発現することができないスタンドである。
そのスタンドは電気と一体化しパワーを強めるスタンドで、そのパワーは電流の強さに大きく左右される。
町中の電力を集めて発動させればそのパワーはすさまじいが、電力が0に近づけばスタンドが極限まで弱まり命の危険さえあり得る。
音石の持つ唯一の大きな電源であるスピットファイアーも先ほどの銃撃でバッテリーごと大破し漏電してしまっているためもう使えない。
残る所持品で電気を帯びていうものは基本支給品の懐中電灯かランダム支給品のノートパソコンくらいのものだが、そんな小さな電力でこれ以上スタンドを酷使するとそれだけで音石の命が消えてしまうことだってあり得るのだ。



さっきの『チリ・ペッパー』は温泉に落とした10円玉みてぇに黒ずんで弱っていた……
俺の手持ちにはもう大した電源は残っていないし、コロッセオに近いこの場所じゃあ、街中の電気も流れていないと来たッ…!!
今の俺には……億泰は助けられねえッ……!!
『チリ・ペッパー』が使えないと、俺には何も出来ねえ……!!



……ほんとにそうか?


『コロッセオ』の近くのこの場所で……?




音石は目線を上げる。
この道はもともと杜王駅の西側広場に通じる路地。
数百メートル先、杜王駅の位置に見えるのは世界遺産ローマの象徴、『コロッセオ』。

音石は背後に目線を送る。
自分たちがエシディシから逃げるため走ってきたこの長い道のり。
数百メートル先、この道を後ろにたどっていった先にあるのは、『ナチス研究所』。

ここは【F-3エリア 北西部】……
ここはこの殺し合いゲームを象徴する2つの巨大施設、『コロッセオ』と『ナチス研究所』のちょうど中心地点……

音石は今日一日の行動を思い起こす………
ロビンスンたちに出会って、変な怪物に襲われ逃げ出して、億泰と承太郎に見つかりそうになって…
ジョセフのジジイと筋肉質の大男(ディアボロ)の二人と、しばらく行動を共にしたのだ……
そして何者かの襲撃のどさくさに紛れ逃げ出し、リゾットにつかまった後はずっと研究所の見張りをさせられた………

音石はズボンのポケットから二つの道具を取りだす。
一つは基本支給品である懐中時計。
もう一つは、見張りの際にリゾットに手渡された手紙のメモ書き。
現在の時刻は23時30分……
リゾットのメモと見比べる。


行ける…… こいつは行けるぞッ!!!


229 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 15:53:50 ID:C/Cyjpq2
「GYAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
「クソッタレッ……!! ダメだッ!! 殺されるッッ……!!!!」

とうとう塀際に追いつめられた億泰に、怪物が襲いかかる。
振り上げた拳が億泰めがけて、今にも振り下ろされようとしていた……!


「億泰ッ!! 『下』だッッ!!! 地面を『ハンド』で掘り進めッッ!!!」
「何ッ!?」

音石の突然の大声の呼びかけに、億泰が反応する。
億泰はその言葉の真意はわかりかねたが、しかし土壇場に聞こえてきたその一声に従い、地面に穴をあけ、その中に逃げ込む。
怪物の拳が体にかすめるが、地面の下に逃げたぶん深くは刺さらず、億泰を延命させる。

「億泰ッ!! もっとだッ!! もっと掘り進めッ!!! 休むなッ!!!」
「チッ…… 何だかわからねえが…… とにかくやるしかねえッ!!!」

億泰はわけもわからず、しかし音石の指示に従いさらに深く穴を掘る。
しかし、穴を掘って逃げるなど、愚策もいいところだ。
穴の中に入った億泰は逆に逃げ場が無くなり、怪物にしてみればまさに袋の鼠……
億泰のスタンドパワーが尽きれば容易に追いつかれ、殺されてしまうのがオチである。
音石の狙いはどこにあるのか?
そうこうしているうちに、億泰は5メートルほど地下に掘り進み、そこで地面に異変が生じた。

「なッ……!!? これは…空洞ッ……!? 地下にトンネルがあったのか!?」

『ザ・ハンド』が掘り進んだその先には、高さ5〜6メートル、そして長さはとてつもなく長い地下トンネルが通じていた。

「音石の野郎……このトンネルの存在を知ってやがったのか……?
この中に逃げ込めって言うのか…? チクショウ、どのみち無理だ…… この足じゃあ、あの化け物からは逃げ切れねえ……」

いや、そうではない。
音石の狙いは億泰をトンネルの中へ逃がすことなんかではなかった。
音石の狙いは、この地下トンネルと地上との間に小さな穴を開ける……ただそれだけだったのだ。
そして、トンネルの中へ逃げ込もうとする億泰を、トンネルの奥から迫る光と轟音、そして猛スピードで疾走する大質量が起こした強風が抑止した。

「億泰よォ…… 間違ってもトンネルの中に落ちるんじゃあねえぞ…… 『危険ですので白線の内側までお下がりください』……だぜッ!!
でねえと…、そこの化け物みてえに『肉の塊』になっちまうぜぇぇ……!!」



230 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 16:08:18 ID:C/Cyjpq2
「―――それでF・F、お前はこの後どうするつもりだ……?」
「……そうだな………、徐倫には会いたくねえし、エシディシと戦えるくらい強力な身体を探そうかな……?
この身体も、さっきの化け物よりはマシだが、どうもゲームばっかやってた奴らしく肉体が貧弱なんだよ……
『フー・ファイターズ』のパワーを乗せても、せいぜい生身の人間をぶち抜く程度しか………」


「―――俺の身体を使ってみる気は無いか?」


F・Fの漠然とした計画語りをぶった切り、アナスイが予想外の提案を投げかける。
しかしこれは、アナスイがティムを殺害した後、F・Fに再会できたら提案しようと考えていた策であった。
もっとも、こんなに早く実現するとは思っていなかったが……

「どういうことだ? 身体を使う……? お前の身体を乗っ取るってことか?
お前がこの私に命を差し出すってこと……なのか?」
「違う、そうじゃあ無い。それじゃあ俺である意味が無いだろう…… 主導権はあくまで俺が持つ……
お前は俺を『生きたまま寄生する』んだッ!! 宿主である俺を乗っ取らず、『体内で共存するかのように寄生する』んだッ!!
そうすれば、俺や『ダイバー・ダウン』の力を失う事は無く、さらに力を上乗せした最強の『フー・ファイターズ』になれるはずだッ!!
お前ならそれが『できるはず』だッ!!!」

これがアナスイの考えだった。
もうすぐ殺し合いが始まって丸24時間が経過しようとしている。
途中参加者が一人加わったとしても、既にゲームは佳境……
次の放送にもよるが、以前までのペースが続けば、もう既に残りは20人を切っているかもしれない。
さらに、エシディシやDIOのような巨大な敵がまだ生き残っているはずだった。
もしかしたら、徒党を組んだ対・荒木派の集団との戦闘になるかもしれない。
そうなったとき、これ以上戦力を分散するメリットは少ない。
F・Fと出会えたなら、二人の力を一つに集中させ、強力な一人を戦士となった方が、明らかに効率が良い。





231 :代理投下:2011/02/10(木) 16:10:03 ID:1BD0yr7Z
けたたましい轟音はどんどん大きくなり、ついに億泰の掘り進んだ落とし穴の真下を、その巨大の物体が通過した。
そう、その物体の正体は『地下鉄』。
そしてこの地下トンネルの正体は『地下鉄のトンネル』だったのだ。
『コロッセオ』と『ナチス研究所』の間を地下鉄が通っている事はリゾットによって聞かされていた。
そして現在地はその二つの施設のちょうど中心近く…… この真下を地下鉄が通っている事は明確であった。
直前に音石が確認したリゾットのメモには、ナチス研究所に到着する地下鉄の時刻表が記されていた。
リゾットの配下につき見張りをしていた際、彼から渡されたものだった。
ナチス研究所に訪れる者は、何も地上からだけではない。
地下鉄の駅がある以上、そこからの訪問者に備え時刻表を確認しておくのは至極当然のことだ。(もっとも実際に地下鉄の駅を見張っていたのはペッシだったが…)
そしてその時刻表を見れば、研究所のすぐ近くであるこの場所を地下鉄が通る時間もだいたいの見当がついた。
そして運よく、今現在の時刻がその地下鉄の通りすぎる数分前だったのだ。

「来た、来た、来た、来たァァァァッッ!!!!!! こいつを待ってたんだッ!!!
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』……最大出力(フルパワー)だァァァ!!!!!!」

そして、その地下鉄には当然、莫大なエネルギーを携えた電源が備わっている。
本当は地下トンネルに備わっていたはずの送電ケーブルを使う事ができればよかったのだが、コロッセオ付近の為か、ここには地下ですら電力は通っていなかった。
しかし、日中動きまわっている地下鉄になら、いつ、どこであっても必ず巨大な電源が備わっているはずなのだ。
地下鉄が億泰の開けた穴の真下を通る一瞬の間に、音石は『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を発現させ、そのパワーを最大限まで引き上げた。
これは、現世で億泰と戦ったとき、億泰の『ザ・ハンド』に地下の電気のケーブルを掘らせた音石だからこそ……
そして、今日の午前中ジョセフたちと行動を共にし、地下鉄を利用した経験のあった音石だからこそ……
さらに、リゾットたちの仲間になり、地下鉄の動きを把握していた音石だからこそ、辿り着いた唯一の打開策であった。

つい先程は錆びついたよう鉄クズのように黒ずんでいた『チリ・ペッパー』の体が、黄金の輝きを放ち、復活した。
落とし穴の側面に避難した億泰の傍を通り抜け、地上に出た『チリ・ペッパー』が怪物の上空に舞い上がった。



232 :代理投下:2011/02/10(木) 16:12:06 ID:1BD0yr7Z
「GI……GYAAAAAAAAA!!!!」

上空に舞い上がった『チリ・ペッパー』目がけて、こちらもありったけのF・F弾の散弾を乱射する怪物……
しかし、この『チリ・ペッパー』は、さっきまでの『チリ・ペッパー』とはわけが違う。

「俺のスタンドは…… 充電すると強いぜ……!!」

猛烈なスピードで怪物の散弾を全て回避する『チリ・ペッパー』……
その速度は『ザ・ハンド』はおろか、もしかしたら『スター・プラチナ』を超えるかもしれない亜光速の超スピード……ッ!!
ましてや、F・F弾などというチャチな飛び道具をくらうようなアクビが出るスピードでは決してない。
そして――――――


「てめーの正体が『水』だってことはとっくに分かっているんだッ!! そして、俺のスタンドは何だァ…!?
ガキでも知ってるぜ? 特に今年(1999年)に新作が発売予定の『ポケモン』やったことがあるガキならよォ!!!
『水』に『電気』は、『効果はバツグン』なんだぜぇぇぇぇ!!!!!!」

そして猛スピードで怪物に接近する『チリ・ペッパー』のスタンド!!
地下鉄が通り過ぎてしまえばまた電源を失い、『チリ・ペッパー』のエネルギーは小さくなってしまう。
一両編成の地下鉄など、通り過ぎるのは一瞬だ。
だが、その一瞬で事は既に足りた。
『チリ・ペッパー』は一瞬のうちに怪物の体内に侵入し、そして充電したエネルギーを炸裂させた!

「くたばれッ!! 化け物がァァァァ―――――――ッ!!!!!」





パァァァァァ――――――――z___________ン!!!!!!




怪物の肉の塊が四散し、弾け飛んだ。
残ったのは死肉に戻った肉片たちと、体内に隠し持っていたであろう携帯電話や地図や名簿の残骸のみ……
怪物に復活の気配は感じられない。
音石のスタンドが勝ったのだ。



233 :代理投下(改行規制に引っ掛かったので一部”削除”しました):2011/02/10(木) 16:16:35 ID:1BD0yr7Z
「やったのか……音石の野郎………」

『ザ・ハンド』に引きずられ、自らが掘った穴から這い出た億泰が、そこらじゅうに飛び散った肉片という結果をみる。
音石のスタンドが強力なのは把握していたが、これほどまでとは思っていなかった。
そして、さらに複雑な気分である。
自分の兄の仇として忌み嫌っていた音石に命を救われ、さらにはその音石の力によって得体の知れない怪物を討伐するに到ったのだ。

「よぉ億泰、無事かよ……! あの化け物なら…、へへ……、不甲斐ねえお前の代わりに…、俺が『爆殺』してやったぜ……!!」

腹の傷を押さえながら、音石が億泰の元へゆっくりと歩いてきた。
その音石の姿は、すでに自分の忌み嫌っていた『兄貴の仇』ではなかった。
それはまるで、仗助や康一たちみてぇな、俺の守るべき仲間の姿だった。
これからも俺と共に戦っていく、共通の目的を掲げて共に戦う『仲間』のようだった。


『必死で生きてきた俺たちの誇りをッ! ボスの野郎は踏みにじったッ!』
『そんなボスから俺は伝言を預かった。 内容は協力を申し出るものだった。』
『俺たちはアイツの犬じゃないッ!』

今更、別れ際のリゾットの言葉を思い返す。
露伴や早人の話を聞く限り、組織のボスのディアボロとかいう奴はそんな吐き気を催す邪悪じゃあなかった。
恐らく、ディアボロは変わったのだ。
この殺し合いを通じて、変わったのだ。
そして今の音石も同じように、クソ以下のにおいがするゲスではなく、俺たちの仲間に変わりつつあるのだ。
もちろん、だからといって、俺は音石を許しはしない。
多分、リゾットの奴もそうなのだろう。
だが、今は…… 少なくとも今のこいつは、敵じゃあねえ……
音石は…… こいつは味方だ………!!


「フ……、やれやれだぜ………」

億泰は足を庇いながら、音石が差し出した手を取り、立ち上がろうとした。






ドスッ―――





しかし、億泰はその手を受け取ることはできなかった………
億泰の胴体を、背後から忍び寄ったテレンス・T・ダービーの右腕が貫いた。






234 :代理投下:2011/02/10(木) 16:18:37 ID:1BD0yr7Z


「な………んだと……!!!」
「ダ……ダービー………貴様…何故ッ……!!!」

腹から別の腕を生やした億泰は吐血し、その激痛に苦しむ。
何が起こったのか分らない音石をよそに、ダービーは恐るべき怪力で億泰の体を両腕でまっぷたつに引き裂き、億泰は上半身と下半身を分断させられる。
そしてバラバラになった億泰の体は地面に打ち付けられ、ダービーは億泰の血にまみれた両腕を、先ほどの怪物と同じように銃口を作り音石に向けて構える。

「フウ……、やっとまともに会話ができるな…… こいつの記憶によると…貴様の名は音石明…か?
私の名は『フー・ファイターズ』……… いや、既に名前など捨てた只のプランクトンの戦士だ……
さっきの身体……あれは駄目だな…… まるで『知性』が感じられない………
継ぎ接ぎの身体で神経伝達が上手くいかずに動きはノロイし、言葉も話せない…… 脳も死んでいたからまともな思考も行えない……
おかげで、何度も死ぬ思いをした……… いやはや…貴様らは強敵だったよ……」

『チリ・ペッパー』が復活したとき、上空に打ち上げられたF・F弾の散弾……
あれは『チリ・ペッパー』を攻撃するために撃ったものでは無い。
仮初めの怪物の肉体から、『フー・ファイターズ』の『司令塔』を逃がすための撃ち出したもの……
復活した『チリ・ペッパー』が『電気のスタンド』であることを悟り、真っ向勝負で戦っても勝ち目がないと判断したF・Fが、隙をついて反撃するために行ったこと……
『フー・ファイターズ』は何にも寄生していない露出した体でも、30秒から1分ほどなら活動することができる。
それだけの時間があれば辿り着ける……
つい数分前に殺害した、そこいらに転がっているはずの、このテレンス・T・ダービーの死体にまで……


「ま…… 懲罰房でケンゾージジイに電気イスを喰らったっていう『思い出』が活きたってところか……
あれがなけりゃあ、貴様のスタンドが『電気』だっていう発想は生まれなかった……
あと一瞬……司令塔の脱出が遅れていたら、私がやられていたよ………」


こんなことをいまさら言っても仕方ないことではあるが、億泰と音石の二人の心には、どうしようもない決定的な油断が存在していたのだ。
それは、目の前の敵は鈍重で愚かな『怪物』であり、得体の知れない『化け物』であるという認識だった。
これまで『フー・ファイターズ』の事を『怪物』と表現し、億泰たちは彼のことを『化け物』と呼称していた。

しかし、事実はそうではない。
彼…… ――『フー・ファイターズ』―― は、殺すためには策を練り、生き延びるためには自分の身体をも捨て、そして守るべきヒトのためには手段を選ばない……
『フー・ファイターズ』は、怪物でも化け物でもない、『知性』を持った一人の『戦士』なのである。

235 :代理投下:2011/02/10(木) 16:20:42 ID:1BD0yr7Z
「う……うわぁぁぁ!!!『チリ・ペッパー』ァァァァ――――――!!!!!」

銃口を向けられた音石がスタンドを発現させ身を守ろうとする。
しかし、『チリ・ペッパー』は現れない…… 当然である。
『チリ・ペッパー』は強い電源が近くに無ければ発現できないスタンドだ。
地下鉄はとっくの昔に通り過ぎてしまい、二台しかない地下鉄がもう一度近くを通るのは、まだまだ先の話である。
当然、他に強い電気を帯びた物質は存在しない。
音石がこの場所でスタンドが使えたのは、真下を地下鉄が通過する、その一瞬だけだったのだ。


「悪あがきをするな…… いま…『楽』にしてやる……」

ダービーの腕からF・F弾が撃ちだされた。
音石は今度こそ、自分の最期を悟り、目をつぶって覚悟を決めた。




そして、とどめの一発が音石の額に命中――――しない!?


「……行けッ!! 逃げるんだ………音石………ッ!
こいつは……俺が……引き受ける………!」

音石が目を開けると、そこにはダービーの体にしがみつき、抑え込もうとしている『ザ・ハンド』の上半身。
そして、その傍らには最期の力を振り絞りスタンドを操っている、腰から下の無い虹村億泰の姿があった。
傷口からは肝臓や小腸……内臓器官がはみ出し、膨大な量の出血をしていた。


「貴様!! まだ生きていたのかッ!!! チクショウ、離れろッ!!!」

必死に億泰を引っぺがそうとするダービー。
その隙をついて、音石が負傷した腹を押さえながら全力で逃げ出した。
億泰の最期の、本当に最期の根性が、ダービーから音石を逃がすことに成功した。
ダービーに掴みかかっても、その体が削り取られることは無かった。
それだけ、億泰のパワーは弱り切っている。
しかし、それでも、たとえ自分が死んでも、一度喰らいついたスタンドは解除しなかった。


「なんて奴だッ…… こいつ、脳天にトドメの一撃をくらわせてやるぜッ……!!!」

ダービーが億泰の額に銃口を向ける。
億泰はここで死ぬ……しかし、億泰は満足していた。
今まで誰一人助けることができなかった……
しかし、最期の最期で億泰は音石明を……、『仲間』を助けることができた。


悔いはねえ…… これでよかったんだ………
俺なんか死んでも変わりはいる…… だが、音石は違う………
音石は『首輪解除』ができるかもしれない俺たちの切り札だ…………
荒木に抗うためには、音石の命は欠かせない……
ここで俺が死んでも、音石がリゾットにさえ再会できれば……みんな助かるかもしれねえ……
俺は音石を……助けられたんだ………


すでに体は動かない。
億泰は、最期の力を振り絞り、鉄のように重たい瞼を持ち上げた。
そして、音石が走り去って行った方へ、最後の視線を向けた。



236 :代理投下:2011/02/10(木) 16:22:45 ID:1BD0yr7Z
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



億泰が最後に見たものは、逃がしたはずの音石明が頸動脈から血の雨を降らし倒れる姿だった。
億泰が最期に聞いたものは、助けたはずの音石明の無残な断末魔だった。
億泰が最期に感じたのは、音石明の傍に立つもう一つの別の気配だった。
億泰が最期に理解したことは、自分は結局、音石明の命を助けることもできなかったという現実だった。


別の……敵……か………ッ!!
チクショウ……結局、こういう結末かよ………ッ!!
最期まで……俺は誰も守れなかった……情け……ねえぜ………

兄貴……すまねえ………
音石……露伴………、すまねえ………
…康一…………、仗……助……………、………………


――――奇妙な銃声と共に、億泰の脳髄は破壊され、心臓が鼓動を停止した。









237 :代理投下:2011/02/10(木) 16:25:03 ID:1BD0yr7Z



「ようF・F……だいたい8時間ぶりぐらいか? あんな小物を取り逃がしちまうなんて、らしくないな……
前とずいぶん姿が変わったようだが、そのせいでもあるのか?」

音石明を一瞬で仕留めた男、ナルシソ・アナスイが軽口を叩きながらF・Fに語りかける。
音石は間一髪で自分を逃がした億泰の方に意識が偏り、後方を気にしながら逃走していた。
前方不注意の音石明の首筋を『ダイバー・ダウン』で切り裂くなど、正面から不意に現れたアナスイには造作もないことだ。

「そいつの力じゃあない、こっちの不良野郎の『諦めの悪さ』にしてやられただけさ……
それに『変わった』……といっても、こいつは前の俺の身体だった奴の弟らしいぜ……
しかも、ついさっきまで荒木の所にいた『途中参加者』だそうだ……
『途中参加者』がいるなんて聞いてなかったが、どちらにしてもこいつに対した情報は『記憶』に無いみたいだけど……」

そして、億泰にとどめを刺したテレンス・T・ダービーの身体を操る者、F・Fも、アナスイに対し軽口で返す。
それぞれ人を一人ずつ殺した後の会話とはとても思えない。
しかし、彼らにとってはごく当たり前の会話だった。
F・Fは徐倫を優勝させるために修羅となり殺人を繰り返しているが、その徐倫自身には敵視されていた。
このアナスイは今のF・Fにとって、唯一等しい目標を持った『仲間』なのだ。
しかし、それにしても、アナスイの様子は以前と変わっていた。

「……『変わった』……と言うならアナスイ、お前もじゃあないのか?
お前は徐倫の為に人を殺すかという問いに「保留だ」と答えていたと思うが……?」

今、音石明への問答無用の一撃を繰り出したアナスイは、明らかに数時間前の彼とは別人であった。
少なくとも以前の彼は、無差別に殺人を行って回るような存在ではなかった。
そう、自分とは違って………



238 :代理投下:2011/02/10(木) 16:27:10 ID:1BD0yr7Z
「あー、そのことなんだが、考えが変わったんだよ………
俺だって、まだ「荒木を倒す手段が無い」と決め付けたわけじゃあ無いんだがな……
ただ、『確率』の問題なんだ――――――」

徐倫と拳を交えたことや花京院との一件があって、嫌ってほど思い知ったのだ。
この町にいる『徐倫の敵』は、なにも荒木だけじゃあない。
本気で優勝を狙っている凶悪な殺人鬼がいくらでも存在する。
荒木を倒すために行動することは間違っちゃあいない。
まかり間違って、荒木を倒す方法が見つかるかもしれない。
何とかして荒木を倒し、正義を志す人間たちが何人も脱出できることができるかもしれない。

―――だが、その時まで徐倫が生き残っているという保証がどこにある?
もし脱出に成功したとしても、その場に徐倫がいなければ、その大団円は何の意味も為さない。
そこに、アナスイたちの『勝利』は存在しない。

花京院との一件や、ティムを殺してしまったことが引き金になったのは確かだ。
だが、遅かれ早かれアナスイは、同じ結論に達していただろう。
いや、これでも遅すぎるくらいだ。
つまるところ、徐倫はアナスイの全てであり、徐倫が死んでしまってはアナスイは存在する価値が無い。
徐倫が生き残るには、確率の薄い脱出に懸けるより、徐倫を優勝させる方が最善で確実。
たとえそれが自分の死を意味するとしても、アナスイにはなんの後悔も残りはしない。

そして、多くは語らずとも、F・Fはアナスイの決意を理解する。
F・Fもまた、アナスイと同じ考えを持っているからだ。



239 :代理投下:2011/02/10(木) 16:29:17 ID:1BD0yr7Z
「なるほど……。……いいだろう、わかった…………」

F・Fは二つ返事で了承する。
申し出を断る理由はどこにもなかった。

ダービーの身体が力無く倒れ、中から剥き出しの『フー・ファイターズ』が姿を現す。
そしてアナスイを殺さぬよう細心の注意を施しながら、ゆっくりと身体に侵入していく。
アナスイの身体に奇妙な感覚が広がっていく。
それは気味が悪くもあり、また心地よくもある不気味な感覚だった。


―――これでついに、俺も人間をやめちまったってことになるのかな……
だが、そんなことは大して問題にならない………
どうせ俺はあと数時間で死んじまうんだ……………
そう、徐倫以外の人間はすべて……もうすぐ死ぬ運命なんだからな――――――――――


アナスイとF・Fとの『融合』が完了した。
背格好も、肌の色も、見た目は元のアナスイの何も変わっていない。
だが、中身はまるっきり別物……


アナスイは軽く手のひらを何度か握り、首の骨を鳴らしてみる。
さらに軽くダッシュ、ストップ、簡単な動作を繰り返す――――
基本的な動作に問題は無い。
むしろ基本身体能力は飛躍的に向上している。
この身体なら生身でも2メートルの壁を助走なしで飛べそうだ――――


アナスイが指先に力を集中させる―――
すると、指は形を変え、人差し指の先に銃口が生まれる。
2〜3発試射―― コンクリートの塀に穴が開いた――――――
F・F弾、使用可能――――――


水分を補給し、花京院から受けた傷口に力を集中させる―――
体内のF・F細胞が働き、傷口は静かに塞がっていく。
肉体の再生も、可能――――――


スタンド『ダイバー・ダウン』を発現させ、その拳をコンクリートの地面に向けて振り下ろす。
すると衝撃と同時に地面は形を変え、足元には巨大なクレーターのような跡が残った。
『ダイバー・ダウン』、大幅なパワーアップ――――――
『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワー、上乗せ可能――――――



240 :代理投下:2011/02/10(木) 16:31:33 ID:1BD0yr7Z
(すごい……なんてパワーだ………これならあのエシディシとも対等に戦える……)
(これからどう動くべきか……どちらにしろ徐倫に出会うのはマズイ……)
(花京院を探すことにするか? アナスイが『乗っている』事は、現時点では奴しか知らない……)
(いや、それより後数分で放送が始まる…… 安全な場所で放送を聞く準備をした方がいい…… 徐倫の安否も確かめられる……)
(それがいい、コロッセオなんてどうだろうか…… 中は身を隠すところは多いし、俺がさっき覗いた時は無人だった…… ここからの距離も近い……)

まるで自分の脳内で二つの人格が会話をしている、そんな妙な気分だった。
どっちのセリフがアナスイで、どっちのセリフがF・Fなのか、自分でもよくわからない。
アナスイは完全に、人間をやめてしまった。
人間の肉体と、プランクトンの知性と、最強のスタンドを携えた寄生獣に変貌していた。


少し前に、北の空に隕石が落ちるのが見えた。
ウエストウッド看守は死んだはずだから、あれは誰かが奴からDISCを奪ったということだろうか?
あれを見たら、徐倫は北へ向かうだろうか?
向かうだろうな……、彼女はそういう人間だ。
だとしたら、あまり北へは行けないな……
よし、これで放送後の目的地も決まった。
ダービーの記憶に見た、ナチス研究所のエシディシと、決着をつける。
恐らく、この殺し合いで一番の危険人物……
徐倫を殺してしまうかもしれない、最も危険なこの世の悪魔だ……
エシディシさえ始末してしまえば、徐倫が生き残る確率が格段に上昇する。

必ず打ち砕いてみせる………
俺の……私の………
『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』で…………!!



【音石明 死亡】
【虹村億泰 死亡】
【F・F 便宜上死亡?】

【残り 15名】



241 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 16:59:45 ID:C/Cyjpq2
【F-3北西部/1日目 真夜中】

【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:健康、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、
ラング・ラングラーの不明支給品(1〜3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。
0.F・Fと融合し、人間をやめた。もう恐れるものは無い、皆殺しにするだけだ。
1.コロッセオに隠れ、第4回放送で徐倫の安否と残り人数を確認する
2.放送後、ナチス研究所に向かい、エシディシと決着をつける。
3.アナスイがゲームに乗っていることを知る花京院を始末する。
  しかし、どこへ行ったかはわからないので後回し。
4.徐倫には会いたくない。


242 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 17:00:09 ID:C/Cyjpq2
【備考】
融合前のアナスイの情報
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。
※ティム・ヴェルサス二人分の支給品を回収しました。

融合前のF・Fの情報
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ダービー兄とアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※ダービー弟の生前の記憶を見たので、ゲーム前半の荒木の動向、ナチス研究所に集まっているリゾットたちやエシディシの情報を把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※第三回放送を聞きました。徐倫とアナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。

融合後の情報
※アナスイ、F・Fの人格が融合しました。
 基本はアナスイですが、今後どうなっていくかはわかりません。
※F・F弾や肉体再生など、原作でF・Fがエートロの身体を借りてできていたことは大概可能です。
※『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』は二人の『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワーが上乗せされた物です。
基本的な能力や姿は『ダイバー・ダウン』と同様ですが、パワーやスピードが格段に成長しています。
 普通に『ダイバー・ダウン』と表記してもかまいません。
※アナスイ本体自身も、スタンド『フー・ファイターズ』の同等のパワーやスピードを持ちました。
※その他、アナスイとF・Fがどのようなコンボが可能かは後の作者様にお任せします。
※ジョナサンの『プラネット・ウェイブス』による隕石を北の空に目撃しました。
 徐倫が向かっているかもしれないので、しばらくコロッセオの北には向かうつもりはありません。


※【F-3 住宅地】の地面の一角に『ザ・ハンド』によって開けられた人間一人分が通れる穴が開いています。
 穴は真下を通る地下鉄のトンネルにつながっています。
※億泰、音石、テレンスの遺体のそばに、怪物だったものの肉片とF・Fの携帯電話、地図、名簿の残骸が落ちています。





243 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 17:00:23 ID:1BD0yr7Z
支援できるかな?

244 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 17:01:04 ID:C/Cyjpq2




「あぁ……億泰さん……音石さん………っ!!」

何の変哲もない杜王町住宅地の一角で、空へ上っていく魂を見つめ、杉本鈴美は涙を流す。
この数時間は、鈴美にとって地獄のような時間だった。
そんな彼女の悲しみを煽るように、背後から語りかけるのは、荒木飛呂彦。

「ふっふっふ…… 鈴美さん、残念だったねえ………
岸辺露伴に川尻早人、片桐安十郎に山岸由花子、そして今回の虹村億泰に音石明……
君のこの町の住人が立て続けに6人も………
これで杜王町の住人は全滅かな? ……いや、まだ一人残っていたかッ!
君の大好きな、吉良吉影くんがねッ!! ハ――ッハッハッハッハッ!!!!!!」

高笑いする荒木飛呂彦を睨みつけたい衝動を堪え、杉本鈴美は視線をそむける。
荒木は、人が苦しんでいる顔を見ることを楽しんでいる。
自分が荒木に怒りをぶつけても、荒木はそれを喜ぶだけなのだ。

露伴ちゃん、由花子さん、早人くん、億泰さん………
みんな死んでしまった。
これで自分のことを、この『場所』を知る者が誰一人いなくなってしまった。
ここはダービーズ・アイランドと同じ、荒木の隠れ家の一つに過ぎない。
しかし、この場所を知っている人がいれば、逆転の一手につながるかもしれなかったのに……

鈴美が館の中へ戻っていく。
元々自分の家があったそこには、趣味の悪い洋館がそびえ立っている。
どうせこの路地から出ていくことはできない。
しかし、このままここで荒木飛呂彦の雑談に付き合うことだけはご免だった。


「あれ?部屋に帰っちゃうのかい? 外の方が、殺しの空気を生で感じられて心地いいのにな……
それにしても、こんな結末を迎えるとは思わなかったなあ……
首輪のないF・Fをいつまで特例で生かしておくか考えていたが、放置しておいて正解だった。
彼らは自分から、運命をより面白い方向へ動かしていく。いやいや、実に面白いよ。
彼ら二人組が生き残ったあかつきには、二人を優勝者として認めてあげよう。
もっとも、彼らは優勝する気なんてさらさらないみたいだけどね……」

荒木飛呂彦はやんちゃな子供のように腰かけていたポストから飛び降りた。
面白いのは何もF・Fやアナスイたちだけではない。
つい今しがた決着のついたジョースター家とツェペリ家の因縁をかけた最期の戦いも見物だったし、エシディシたちやディオ吉良ディアボロ組だって、面白いことになっている。
もうじき6時間ぶりの放送の仕事もあるし、荒木のテンションは上がる一方であった。

「やべっ 踏むとこだった!」


杜王町の忘れられた一角に、子供のような性格をした、悪魔のような男が一人、笑っていた。

245 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 17:02:36 ID:1BD0yr7Z
 

246 :寄生獣 ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 17:03:07 ID:C/Cyjpq2
【F-4 杉本鈴美の幽霊の小道/1日目 真夜中】

※現在、荒木はここから会場全体を観戦しています。
※侵入不可。脱出不可。
 杉本鈴美はゲーム開始時からこの路地に閉じ込められて、自由に出ることができません。(たとえ振り返らなくとも)
※旧杉本邸のかわりに不気味な洋館がそびえ立っています。
※ここはダービーズ・アイランドと同じで荒木のアジトの一つに過ぎません。
 他にいくつのアジトがあるかはわかりません。
 少なくともここに宮本輝之助(エニグマの少年)はここにはいないようです。
※荒木はF・Fを便宜上死亡とし、放送でも名前を呼ぶつもりです。
 しかし、F・Fの『知性』は文字通りまだ滅んでいません。


247 : ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 17:04:09 ID:C/Cyjpq2
以上、投下終了です。
代理投下の方、支援の方、ありがとうございました。

地下鉄の件はこれで何とか纏まったでしょうか?
修正ついでに、アナスイ本体にもパワーアップさせてみました。
エシディシの対抗馬となったらいいなあと思っています。

余談で、自分自身の感想になるんですが、

メインで書きたかったのは融合だったんですが、そのついでで億泰の熱いバトルを2回も書くことができて、私は幸せです。
以前どこかで書いたかもしれませんが、億泰は私の一番好きなジョジョキャラなので、2回の見せ場とその最期を書くことができてとてもうれしいです。
若干、死に際がアバッキオと被ってしまった気もしますが……
結局負けてしまいましたが、原作の音石戦、The Bookでの蓮見琢馬、前回私が書いたフーゴ戦、今回のF・F戦、これらに共通した『善戦はするが、結果的に負ける → 最終的に敵を倒すのは別の仲間』の流れは億泰の仕様だと思っていますwww

あと、もっと短い話が書けるようになりたいと思いました。
バトル描写を考えると、どうしても逆転、再逆転、再々逆転の流れを作りたくなり、無駄に長くなってしまうんですよね……。

では、感想などお待ちしております。
◆Y0氏も推敲頑張ってください。


248 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 17:39:41 ID:1BD0yr7Z
投下乙です
>>233は名前欄にも書きましたが改行規制のため少し手直し致しました

感想書くために読み直してて思ったんですけど、>>230って本来はもっと後に入るべき文章じゃないでしょうか?
と言う事で感想はもーちょっと待ってて下さい

249 : ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 17:49:11 ID:C/Cyjpq2
>>248
あれ……? ほんとだ……
なぜこんなところにこの文章があるんだ?


すみません……どうやらまたミスやらかしたみたいですorz
>>230は読み飛ばしてください。

250 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 17:59:47 ID:1BD0yr7Z
>>230は本来>>238>>239の間に入るものだったんじゃないかと思います
一次投下スレと見比べてたら気付いたんですけど、
規制で投下できない氏が>>230を本スレに誤爆したのでは…?

251 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 19:38:24 ID:1BD0yr7Z
ということで読み終えたので感想です

億泰の熱いバトル面白かったです! 逆転に次ぐ逆転もドキドキさせられました。
ロワ内でヘタレだった音石の活躍と二人の共闘は胸熱
氏は過去に出てきた情報を活かすの丁寧で、いつも楽しく読ませてもらってます。
最強マーダーの一角が誕生したアナスイとFFの融合もテンション上がりました。
でも鈴美おねえちゃんが泣いてるのはすごく……悲しいです……

252 : ◆vvatO30wn. :2011/02/10(木) 19:43:46 ID:C/Cyjpq2
>>250
たぶんそんな感じでミスしてますね。
ということは、>>230の時点で既に規制解除されていたというとことかッ!?
わざわざ代理投下していただいて申し訳ないです。
感想もありがとうございました。

253 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/10(木) 23:08:17 ID:0EdI0/TT
お待たせいたしました。
今日の投下ですが、23:30ごろから投下を始めます。
支援を下さると助かります。

254 :創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 23:35:33 ID:Q5xFLep9
当方に支援の用意あり

255 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/10(木) 23:37:14 ID:0EdI0/TT
すみませェん、状態表をすっかり忘れてました。
少し手直ししたい部分もあったのでもうすこし遅れるかも……ただ確実に今夜中には投下できるのご安心を。
もうしばらくお待ちください。

256 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:32:16 ID:TZWAkTaj
二週間も時間をいただき感謝いたします。
それでは投下いたします。

257 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:34:58 ID:TZWAkTaj





 いつの日か逃げ去ってしまいたい 暗く深い夜の世界へと
 暗闇が世界を満たし 凍てつくような寒い世界へと
 
 名前を持つ者は誰もいない 生きることはお遊びではない
 そこでならば 私のこの壊れきった心も隠しきれるだろう
 私は 生きたい

 そこでなら私は笑っていられる
 魂の孤独も きっと満たされて行く
 私はきっと見つけられるだろう 優しい安らぎを
 暗く 凍てつくような 世界が 真夜中を迎えるころには







258 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:37:42 ID:L0+pAh5Z
支援

259 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:40:51 ID:TZWAkTaj







窓から射しこんだ月光が舞台を輝かせる。
部屋の床を照らすススポットライトは何処か幻想的で、儚く妖しい。
四人のギャングたちは固唾をのんで二人の『男』が動き出すのを待っていた。

震えは手を伝わり、輝くナイフの切っ先を揺らす。リンゴォの荒い呼吸が部屋に響いた。
対峙するエシディシは構えを取り、身を沈める。怪物の足の裏でジャリ、と力を込める音が鳴った。
ジリジリと肌を焦がすような緊張感。やがて時間の感覚が狂いだす。
何秒経った……いや、何分……何時間だ?
二人の男はそれでも動かない。

リンゴォのナイフがキラリと光を反射する。エシディシの腕輪がじゃらりと音をたてる。
怪物と達人。勝負は長くは続かない―――決まるならば、一瞬だ。

汗が伝う。
リンゴォの額から滲み出た大粒の雫。
額から頬へ、頬から顎へ。
流れ落ちていく水滴は重力に従い下へ、下へ。
顎の先で水滴は大きく、大きく。
大粒の真珠ほどに膨らんだ蕾は重さに耐えきれなくなり―――ぽちゃりと音をたて、落ちた。

風が動いた。
先に動いたのはリンゴォ、先に拳を振り上げたのはエシディシ。

リンゴォの体が大地を蹴り上げた。
直立していた身体はゆらりと陽炎のように消え、地を這うような低さから一瞬で駆けあがる。
疾風のような動きで低い体勢から一気に駆け上り、右手を一閃。
煌めくナイフが狙うは首。
フェンシングのような美しさ、しかしナイフを握った右手には確かな殺意が込められていた。

僅かながらもリンゴォに後れをとった肉体は怪物の名に恥じない超スピード。
達人級のリンゴォの動きを超越し、エシディシは既に拳を振り上げ終えていた。
必要なのは力だ。必要ならば暴力だ。
柱の男、怪物、モンスター。人間とは違う力を証明するために彼は拳を振るった。

「くッ」

怪物と人間の体格差が仇となる。命を刈り取らんと振るわれた腕は空を切る。
沈んだリンゴォはまだ浮かび上がっていなかった。
ガラ空きの胴体、密着した距離、懐に飛び込む男。ここまで深く、どこまでも近く。
エシディシの顔が驚愕に染まる。ゼロ距離―――エシディシの顔めがけ、リンゴォのナイフが天を突く。


260 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:41:58 ID:T0KOW+rk
sienn

261 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:42:53 ID:L0+pAh5Z
 

262 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:43:52 ID:TZWAkTaj

「ッ!」

今度はリンゴォが驚く番であった。変幻自在の肉体を持つことは既に知っていた。
しかし、驚くべきはその速度(スピード)と柔軟性。
首を狙った一撃は皮一枚で逸れる。首を直角と言っていい角度に捻じ曲げたエシディシ。
笑顔を浮かべた怪物は一言。

「残念だったなァ」

唇を釣り上げ、ニヤリと笑う。
空振りに終わった一撃が、今度は外れることなく、リンゴォに叩きつけられた。
男の体は宙を舞い、部屋を横切り、あっという間に、壁に身を沈める。
怪物はふむ、と漏らし自らの拳を見つめた。
直前にリンゴォがガードをとった事、首の関節を外していたため本調子ではなかった事、視線がぶれたことで会心の一撃にならなかった事。
だがそれでもこの一撃だ。それでもこの腕力、迫力、破壊力。
大の男を軽々と、熟練の達人の一撃を避け傷一つ負わず、易々と。

怪物は本物の怪物であった。
リンゴォは身をもって知った。体の震えが警告にも近いものを発している。
コイツは、紛れもない天才だ。
怪物とは何も肉体のことを言ってるのでない。
リンゴォが試練としていくつも潜り抜けてきた殺し合い。それをエシディシは、お遊戯のように何度もこなしてきた。
それこそ、数え切れぬほど、膨大な数を―――。

「むッ」

エシディシは吹き飛ばした男を見、何かに気付き思わずうなった。そして、また笑う。
嘲りでなく、感心したのだ。
リンゴォは確かに一撃でエシディシを仕留める気でいた。しかし、ただやみくもに、何も考えずに突っ込んできたわけではない。
壁に手を突き、リンゴォは立ち上がる。左手にはナイフ、右手には銃を持って。
エシディシに吹き飛ばされることはある意味計算内。
リンゴォは見ていたのだ。床に放り捨てられた銃がキラリと輝いたのを。
ズキリと痛む胸に手をやると、リンゴォは顔をしかめる。
転んでもただでは立ち上がらないのが人間と言うモノ。銃を失ったガンマンはついに獲物を手に入れた。
殺意に染まったナイフと黒光りする銃、その二つをぶら下げるリンゴォの目には―――漆黒の殺意。

二人の戦いはまるでワルツのようだった。
銃を手にしたガンマンにエシディシは迂闊に近づけない。狙いは首元、そうわかっているから銃から目を切ることができない。
流石の怪物も部屋内という狭い空間では、発射されてから弾丸を避けることは難しい。
徐々に、だが確実に生傷がエシディシの体に増え始める。
銃を牽制に、ナイフで切りかかる。
リンゴォは粘り強く待った。戦闘の天才が格下の相手に焦れ、一気に攻め込んでくるところを。
糸を広げた蜘蛛が、蝶を待つようにリンゴォは待った―――!


263 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:47:18 ID:TZWAkTaj


「ふぅむ、気に入らんなァ……気に入らんぞ、リンゴォ」

怪物が呟く。向けられた銃口の延長線上から身をかわし、エシディシはダンスのように体を動かす。

「変わったと言ったな、俺のことを……。だが俺には、お前も変わったように思えるぞ」

エシディシの首元を狙ったナイフは空を切る。背を大きく後ろに反らしかわした怪物は、そのままバク転、その場を離れる。
向けられた銃口から逃れるように、また動き出す。
放たれた銃弾はいまだゼロ。しかし効果的だ。それでもエシディシは動きを止めるわけにはいかないのだから。

「対等な決闘の先にある『男の世界』、漆黒の意志を持った者による神聖なる儀式。試練は自分をさらなる高みに押し上げる」
「…………」
「そう言ったな、リンゴォ……。お前にとって闘いとはそういうモノだと確かに言ったな?」

リンゴォはエシディシを無視した。実際、言葉を返す余裕もなかった。
喋っている時でも怪物には一部の隙もない。それどころかリンゴォの不用意な一撃に、強烈なカウンターをかましてきた。
幸運なことに、男はこれを紙一重で避ける。
通り過ぎた蹴りは、掠めた髭を焦がすような鋭さ。リンゴォはナイフを振り、相手を牽制、一度大きく距離を取り、間を落ち着けた。
氷水をかけられたように全身に鳥肌が立つ。サウナからたった今出てきたかのように、滝のような汗が噴き出た。

「だが今のお前には違う輝きが見える。漆黒の殺意でない、何かがな……。
 何があった、リンゴォ・ロードアゲイン? 何がお前を駆り立てる?」
「…………おしゃべりな奴だ」

互いに向き合ったままジリジリと二人は円を描くように動く。
リンゴォの手がサッと動き銃口が狙いを定める。エシディシは転がるように身をかわし、襲いかかってくるナイフもさける。
縦に振るわれた銀閃を避け、飛び跳ねるとさらに距離を取る。追ってくるリンゴォに向け壊れかけの机を放り投げた。
男は怯まない。逆に加速する! 体を沈め、下を潜り抜け、一直線に怪物の元へ!

エシディシは見た。リンゴォの瞳に宿る炎は色を変え、燃え盛っていた。
全てを塗りつぶすような黒、自らを焼き尽くす漆黒の炎。その色に混じり、滲み出たのは青い炎。
灼熱より高温で、凍りつくような鋭さを持つ秘めたる殺意。
尖らせたその切っ先は仇を前に、さらなる鋭さを得る―――そして、相手の喉元に食らいつく!
『復讐者』の目―――リンゴォの新たな世界をエシディシは見た。

「MOOOOOOOOOOO!」

怪物が捕えられた。
超スピードの戦いの中でエシディシは選択を迫られていた。この体を守るに使用すべきはどちらか?
即ち、柱の男の妙技、関節外しで敵の攻撃をいなすか? 全てを飲み込む強欲な節制、イエローテンパランスで迎え撃つか?
彼は一族のプライドを取った。それに彼は激しい攻防の中で、いまだ完全にはスタンドを使いこなせてなかった。
故にリンゴォの一撃は直にエシディシを捕え、彼の皮膚を引き裂いた。
振り切ったナイフは右頬を切り裂き、部屋の壁に赤い斑点が飛んだ。

「ぐぅおおおお!」
「―――ッ!」


264 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:47:44 ID:L0+pAh5Z
 

265 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:48:49 ID:T0KOW+rk
しえん

266 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:49:35 ID:TZWAkTaj

やみくもに振り回された拳をすり抜け、リンゴォはまた距離を取る。
ナイフでも、怪物を殺すことはできる―――確信は力となり、手段となる。
殺意に身を委ねることはしない。男はもう一度罠を張る。怪物がその手の中に飛び込んでくることを!

怪物が頬を撫でた。べっとりと付いた自らの血、真っ赤に染まった掌を見て彼は呟く。

「復讐か……? お前を駆り立てるのは、新たな道なのか……?」
「道を逸れた訳ではない。俺にはこの遠回りが一番の近道だと思える。
 この遠回り、復讐者の世界にも『男の世界』はある。
 この道を突き進んだ先に『男の世界』、そしてその先の輝ける道があると信じている」

男の返答に怪物は黙りこむ。熱を持った傷跡、そして痛み。人間に傷をつけられたことが新鮮に思えた。
そして彼は笑った。唇をひねりあげ、目には怪しい輝きが灯っていた。
構えるリンゴォに向かい突っ込み、怪物は吠えた。

「SHYAAAAHAAAA!」

笑う、エシディシは笑う。狂気、感情の高ぶり。
リンゴォの返答を聞き、彼の中で何かが変わった。
荒々しい動きにリンゴォは後手に回る。猛攻を押しのける力は、彼にはない。
純粋な身体能力の差が、暴力として形になっていた。

「そうか、リンゴォ! 貴様にとって復讐は男の道かッ!」

手刀が心臓を抉りださんと放たれた。リンゴォは体を横に傾け、最小限のギリギリの動き。
襲いかかってきた追撃はしゃがみ込み、避ける。
それでも怪物は止めない。ガンマンの苦悩を知ってか知らずか、嵐のような猛攻の勢いは途切れない。
一度でも間違えれば死、一瞬でも気を抜けばお終い。

(……手数が違いすぎるッ!)

ワルツは終わり、激しいタンゴに曲目は変わる。
リンゴォは唇を噛みしめる。振るったナイフも恐れずに怪物は拳を、蹴りを、手刀を。
汗が飛び、血が舞い、皮膚が切られる。
それでも致命的な一撃は受けない。だが相手に致命傷を与えることも、叶わない。

「神聖なる果たし合い、そこには復讐者の輝きもある!
 怒りと憎しみ、感情込めた闘いは仇を前にさらなる高みへ自分を押し上げるッ!
 そういうことなのか、リンゴォ!」

肉を切らせて骨を断つ―――多少の傷を覚悟のエシディシの攻勢。
圧倒的身体能力と超回復機能、並はずれな一撃では肌も突き破れぬ強固な肉体、豹をも超える超スピード。
だがリンゴォはそれでも前を向く。ふとすれば折れかねない心が燃え盛る。
微かな勝機……蜘蛛の糸ほどか細いかもしれない。だが、それは確かにある。
潜り抜けてきた試練、自分を高めた果たし合い。
光り輝く男の世界。眩い光を目指し、ずっと歩いてきたこの道。
ならばリンゴォは信じるのみ―――自分の世界を……『男の世界』を!




―――世界が止まったように思えた。


267 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:51:32 ID:L0+pAh5Z
 

268 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:52:22 ID:TZWAkTaj



極限の中で研ぎ澄まされた集中力か? 滾る感情は時を破り、男を新たな世界へと押し上げたのか?
リンゴォにはわからなかった。どちらでも、何でもいいことのように思えた。
ただ全てがゆっくりに、スローモーションのような世界で彼は道を見た。
勝利の先に光り輝く世界を。エシディシが見せた最初にして、最大の隙を!

ゆっくりと右腕をあげた。闇よりも深く、暗い世界が銃口の先から顔を覗かせる。
もう手は震えていない。向けられた先はエシディシの首元。
怪物の左腕が矢を放つ弓のようにしなる。恐怖は湧いてこなかった。ガンマンの中で冷静な声が囁く。

―――貫け、奴よりも早く。

引き金に力が込められる。全てが静止したような世界。音は無く、彼の指先一つで全てがお終い。
リンゴォは躊躇しない。自分の世界を信じ、目指す先があるならば迷うことはない。人差し指に力が込められた。
銃弾は放たれ、エシディシの首輪を打ち砕く!

―――そのはずだった。そうなるはずだった。

世界が色を取り戻しエシディシの言葉がドリルのように、男の耳元からねじこまれるまでは。






269 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:53:52 ID:T0KOW+rk
しえん

270 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 00:54:07 ID:TZWAkTaj

「お前が言う『男の世界』とはその程度だったのか、リンゴォ!」

(乗り越えなくてはならないもの……それは相手か、俺自身か?)

「貴様には失望したぞ……決定的な矛盾をはらんだ貴様ではその世界にいられないッ!」

(『復讐者』の世界……そこには更なる輝きがある。『男の世界』に続く輝きが……)

「男の世界とは神聖なる果たし合い! 漆黒の殺意が行きつく先は相手を飲み込むか、自ら飲まれるかだけだッ!」

(卑劣さのない公正なる戦い。俺はまだ歩ける……この光輝く道を!)

「ならばッ! 一度でも相手を逃し! 自ら死に遅れた『復讐者』にッ!」

(感謝するぞ、エシディシ……対応者でない怪物よ)

「『男の世界』を歩んでいる貴様がッ! なれるわけなかろうがッ!」




ガンマンの手が、震えた。色に染まった瞳が見開かれた。
そして弾丸は、怪物の言葉に反応したのか、ほんの僅かに銃口がずれ、放たれた。
ゼロコンマ一秒、リンゴォの反応が遅れた。

引かれた引き金、放たれた銃弾。
首輪を直撃するはずだった道は横にずれていた。
しかし、それでも首輪は爆破するだろう。中心に当たらずとも、至近距離からの一発は必ずや怪物の頭を吹き飛ばす。
そう思っていた。そうなるはずだった。
怪物が操る黄色のスライムが、首輪を覆っていなければ。

音が返ってきた。時も動きだす。モノクロの世界は色を取り戻した。
そしてリンゴォの世界が急速に動き出す。
弾丸は首輪を爆破することはできなかった。それを確認すると同時に、エシディシの拳が彼を貫いた。








271 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:57:38 ID:ok1hkyRJ
sienn

272 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:58:59 ID:T0KOW+rk
sienn


273 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:00:07 ID:ok1hkyRJ
si

274 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:00:23 ID:TZWAkTaj




静かだった。音が死んだのではないかと疑うほど、部屋は静まりかえっていた。
四人のギャングたちの先に二人はいる。
男は床に倒れ、その体には巨大な穴が開いていた。
どんな治療も間に合わない。致命傷だった。
怪物は何も言わなかった。倒れ伏した男の隣に立ち、ただ黙って彼を見つめていた。

「一体……どこで間違えた?」

リンゴォは苦しそうにそう呟いた。言葉の途中で激しくせき込み、口元を真っ赤に染めながら、それでも言い切った。
エシディシは黙って首を振る。リンゴォは話を続けた。

「首輪だけ……スタンドでガードしていたのか?」
「お前が首輪を狙っていたのは明らかだったからな。だがこの戦いまで、俺はスタンドをうまくコントロールできなかった。
 本来持つ肉体を存分に使うか、少しだけ抑えスタンドを併用するか。そのどちらしかできなかった」
「……そう、だったのか」
「お前の言う『男の世界』は確かに俺を更なる高みに押し上げたぞ、リンゴォ。俺は一段、また高みへと近づいた」
「そう、か……俺は、俺の世界を、信じ切れなかったのか……?」

口から血をまきちらし、内臓をぶら下げ、それでもリンゴォは生きていた。倒れた体を起こそうと自らに鞭を振るう。
震えた手で上半身を起こし、膝をたてる。
誰も何も言わなかった。リンゴォが立ち上がるのを皆が待っていた。

「……お前は何も間違ってなんぞいない。復讐者にも『男の世界』を歩むことはできる。
 いや、復讐者こそが『男の世界』を歩まねばならないのかもしれない」
「…………」
「お前はただ誰よりも気高くあり続けようとしたのだ。
 理不尽さ、効率、結果。それらをすべて超越した世界でお前は『男』であり続けようとした。
 そしてそうしようとたのはほかでもない、お前自身だ。
 例え灰になろうとも、その体が燃え尽きる最後の一瞬まで、誇り高く。漆黒の殺意に燃やしつくされようとも、自分自身を貫く」
「…………」
「お前は少し急ぎすぎただけ、ただそれだけだ、リンゴォ。
 『男の世界』、そこから遠回りして違う道へと向かう必要はなかった。
 ここは誰でもない、お前自身が望み選んだ世界だったのだから」
「…………そう、か」

震える脚はまるで生まれたての動物のように弱弱しい。
だが倒れない。倒れてなるものか。
崩れ落ちそうになる体を気力で支え、リンゴォは前を向いた。

怪物はもう笑っていなかった。
しかし、静かな優しさを込めた頬笑みを浮かべていた。


275 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:00:26 ID:L0+pAh5Z
 

276 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:02:38 ID:ok1hkyRJ


277 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:03:58 ID:T0KOW+rk


278 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:04:19 ID:TZWAkTaj

「ならば……エシディシよ……お前が歩いて見せろ。
 一族を滅ぼした我々人間の『復讐者』として……そして更なる高みを目指す『男』として」

エシディシは静かに首を振る。

「俺には俺の歩むべき世界がある。仲間の『夢』と一族の『誇り』……俺は俺の信じる道を歩きたい」
「そうか……」

リンゴォ・ロードアゲインは最後までガンマンであり続けようとした。
手にしたナイフを失っても、彼が銃を離すことはなかった。
ゆっくりと、鉛のように重い銃を持ち上げた。
エシディシは体を沈める。いつでも相手を殺しにかかれる、本気の構え。

「ならば……その道……必ず歩き続けろ」
「当然だ」

受け継がれるのは『男の世界』―――人間から、人間ではないものへ。
弾丸は今度は逸れなかった。胸のど真ん中を打ち抜かれても、エシディシは怯むことなくリンゴォに向かっていく。
右腕を力強く振りかぶる。うねりをあげた握り拳を、思いきり、振りぬいた。






「さらばだ……『男の世界』よ……」




リンゴォ・ロードアゲイン―――それは誰よりも誇り高く『男』であり続けた男の名。




【リンゴォ・ロードアゲイン 死亡】







279 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:06:45 ID:L0+pAh5Z
 

280 : ◆vvatO30wn. :2011/02/11(金) 01:07:02 ID:I3Jm9RMJ
支援

281 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:08:15 ID:ok1hkyRJ


282 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:08:54 ID:TZWAkTaj





男たちが無意識のうちに取っていたのは「追悼」の姿だった。
涙は流さなかったが、無言の男の詩があった。
言葉は必要なく、思い思いに彼らは敬意を表した。

ブチャラティは胸に手を当て、ジョルノは目を瞑り、祈った。
リゾットはリンゴォの生き様を目に焼き付け、ホルマジオは静かに十字架をきった。

「ブチャラティ」

突然エシディシに名前を呼ばれ、彼は戸惑う。
しかし、察したのだろう、彼は黙って部屋を横切り、能力を発動。地面に一本のジッパーが作られた。
エシディシはリンゴォの遺体をそこに横たえた。
誰もが敬意を表していた。そして、これから起こりうる戦いの中で彼がこれ以上傷つくことを、誰も望んでいなかった。

「僕らは……わかりあえないのでしょうか?」

リンゴォの遺体が消えた後、ジョルノが絞り出すような声で、控え目に言った。しかしその瞳に迷いはない。
射抜くような視線を受け、エシディシは少しの間考え、一語一語を捻りだしていく。

「わからない。もしかしたらわかりあえるのかもしれない。
 全てわかりあうのは不可能かもしれないし、もしかしたら可能かもしれない。
 一部だけは分かり合えるのかもしれないし、やはりできないのかもしれない。
 もしかしたらそのわかりあえた一部分で、俺たちは通じ合えるのかもしれない」

283 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:10:35 ID:L0+pAh5Z
 

284 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:10:56 ID:T0KOW+rk


285 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:11:00 ID:I3Jm9RMJ
 

286 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:12:30 ID:dezmY4ek


287 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:12:55 ID:TZWAkTaj


しかし……、そうぽつりと最後に付け加えた。
そして次に続く言葉は必要なかった。

リゾットは二、三歩下がり、それを庇うようにホルマジオはスタンドを脇に呼び出す。
最も近くにいたブチャラティは即座にその場を飛び退くと、ジョルノの脇に並ぶように立つ。

四人は見た。エシディシの瞳に宿る真っ赤な炎を。
時折色を変え、顔を出すのは復讐と殺意。そして受け継がれた、たくさんの意志。
言葉は必要なかった。わかりあえた、わかりあえる。そんな仮定や願望は、論ずるだけ無駄だった。

「俺の中で囁く声がする。俺の魂が、誰よりも誇り高く、自分は人間でないと吠えるのだ。
 カーズが、ワムウが、一族が! 俺の中で喚きたてる! そしてそれは俺を奮い立たせる!」

彼は道を戻る気も、逸れる気もなかった。
宣言した通りだ。彼は歩き続けるだろう。
それが自分を困難に追い込もうとも、例えどんな壁が立ちふさがろうとも。
その先に光り輝く道があるはずなのだから!

地面に落ちていたナイフを拾い上げると『怪物』は一度だけ目を瞑った。
そしてカッと見開く。彼の顔には迷いなんぞ、一切残っていなかった。

手に持ったナイフを振り上げると思いきり放り投げる。
放たれた刀は銃弾に迫る勢いで飛んでいく。
『怪物』は人間の手を取ることをしなかった。代わりに、彼は人間に牙をむけた。
そして吠え、四人の中に身を踊らさせる。

「覚悟しろ、人間どもォ!」





―――どうして戦わなければならないのか。
なんてことはない、理由は単純なものだ。
誰よりも誇り高い怪物と、誰よりも誇り高いギャングたちの戦い。
彼らが『男』であり続けたいから。意地と意地、どちらも曲げる気がないから。
まったく、とんだ馬鹿げた戦いだ。







288 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:13:56 ID:ok1hkyRJ


289 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:15:37 ID:TZWAkTaj






宙を切り、風を裂き、ナイフは飛ぶ。
標的はリゾット・ネエロ、ただ一人傍に立たないスタンドを持つ者。
近距離型ではない彼のスタンドではこの攻撃は回避不可能、防御不能。
額目掛けてナイフは飛ぶ。加速しグングン、勢いを増していく。

だがナイフが彼を貫くことはなかった。
横っ跳び、リゾットを突き飛ばし、ホルマジオは己のスタンドの右手を振るう。
キィンと甲高い音とともに、ナイフがはじけ飛び、クルクルクルクル宙を舞う。
そのナイフが床に届かぬうちに、怪物は動いていた。
ナイフを追い抜かんとばかりに、彼はリゾットへ猛然と向かっていた。

すかさずジョルノとブチャラティがその場に立ちふさがる。
近距離パワー型のスタンド二体。はたして怪物はどのように対処するのか?
彼が選んだのは至ってシンプル、直進。
走りのスピードを重ねた飛び蹴りを、二人目掛けて解き放つ!

ジョルノはこれを冷静に回避、鼻先をかすめる一撃。
ゴールド・エクスペリエンスの拳が振るわれる。隣でブチャラティも拳を振り上げていた。
だがその時、怪物は既に、既に次の動作へ移っていた。

拳の弾幕、嵐のように迫る二つのスタンド。怪物は動じない。
ジョルノのスタンド、ゴールド・エクスペリエンスの腕を掴むと一本背負いのように放り投げる。
まるで軽々と、丸太のようにふるわれたジョルノの体がブチャラティ目掛けて飛んでいく。
脇に転がり、ブチャラティはこれをやり過ごす。
受け止めることはできたが、敢えてしない。二人まとめて蹴りの餌食にされる、彼はそう判断したのだ。

「スティッキィ・フィンガーズ!」

ボクシングのようなジャブにストレート、そしてアッパー。
エシディシはこのスタンド能力を既に知っている。このジッパーの恐ろしさを知っている!
反撃の隙を伺い、まずはかわす、かわす、かわす。
視界の端で壁に叩きつけたはずのジョルノが見えた。
傷はない。見ると壁一面覆い茂る青々とした植物たち。いつのまに、彼はあんなクッションを用意していたのか?

「くッ」

危うく首と胴体がお別れするところだった。
エシディシは意識を目の前の男に戻す。掠めた一撃が顎にジッパーを作り出していた。
彼は体を沈めると、大きく蹴りを相手目掛けて振るう。ブチャラティはこれを後ろに飛び、回避する。
蹴りの鋭さに起きた風が、フワリと彼の前髪を揺らした。

290 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:15:43 ID:I3Jm9RMJ
うおおおおおおお
熱すぎる!!!リンゴォもエシディシもギャングたちも熱すぎる!!!!!
支援支援ッ!!!!!

291 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:16:36 ID:T0KOW+rk
みんなかっこいい!大好きだぜ、支援!

292 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:16:58 ID:L0+pAh5Z
 

293 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:18:32 ID:ok1hkyRJ


294 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:18:41 ID:TZWAkTaj


二人揃われては厄介だ、そう怪物は思う。
地べたに転がるもの、机や椅子を手当たり次第に放り投げていく。
これにはジョルノもブチャラティも避けるほかない。
近距離型の彼らのスタンドでは間合いの外からの攻撃には、カウンターをぶち当てるのが難しい。
いかにヤツらを近づけないか、いかに一対一に持ち込むか。
エシディシは考える。机をジッパーで切り裂きブチャラティが直撃を避ける。ジョルノは身をかわし、転がり、徐々に距離を詰め始めた。
さて、どうするか―――頭に浮かんだのは亡きガンマンの形見。
部屋に転がる拳銃が一丁、彼が視線をそれに向けた次の瞬間。

「?!」

何の前触れもなく、右足首辺りの黄色のスライムが吹き飛ばされた。
二人ともスタンド能力を発動させたそぶりもない。なにより二人にそんな余裕はないはずだ。
見ればそこにいるのは坊主頭のスタンド使い。小人のようなサイズに縮んだその背格好―――自分の体を小さくするスタンドか!

「やっべ…………!」
「むんッ!」

二人の男たちに気をさきすぎたか、相手は四人のギャングたち。
流石のエシディシもこれほどの猛者たちを一度に相手するのは骨が折れる。
ならば多少のダメージは覚悟しよう―――視界の隅ではブチャラティとジョルノがこちらに向かって猛然と駆けてくる。
しかし間に合わないだろう。彼らが拳を振るうよりも早く、手刀は振り下ろされる!
潰せる内に一人でも多く! 捻りつぶしてくれるわ! エシディシはそう吠えた。

だが、そうはならなかった。
坊主頭が瞬く合間に姿を消し、同時に彼の右腕を突き破る釘に剃刀、そしてハサミ。
皮膚を突き抜け、血が舞い、驚愕に染まるエシディシの顔。

「無敵のスタンドなどない……どうやら、俺のスタンドが……一番有効となり得るようだな」

ゆらり揺れる影、後ろから聞こえた声。弾かれたように怪物は後ろを振り返る。
坊主頭の部下は失敗に頭をかく。リーダーはため息一つで非難はしない。部下の尻拭いが彼の仕事なのだから。
黒の衣装をまとった男、リゾット・ネエロ。
彼のスタンドには相手を打ち砕く腕もなければ、大地を蹴る足もない。
あるのは殺す手段と殺意のみ。そしてその分野ならば、リゾットの右に並ぶ者はいない。

「メタリカ!」
「ゴールド・エクスペリエンス!」
「スティッキィ・フィンガーズ!」
「リトル・フィート!」

前は二人の近距離パワー型スタンド、後ろは謎の能力を持つ二人の暗殺者。
これはあまりに分が悪すぎる―――彼は撤退を選択する。
しかし、ならばどこへ? 挟み撃ちにされた今、こっちを選べばそっちが直撃。そっちを選べばこっちが牙をむく。
板挟みの葛藤と迷いだらけのシンキングタイム。
だが相手は待っちゃくれない。思考は一瞬、判断は一寸。
彼は自分の道を突き進んだ。最後に頼れるべきは、やはり自らの力だ。

295 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:20:05 ID:L0+pAh5Z
 

296 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:20:15 ID:T0KOW+rk
 

297 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:21:06 ID:ok1hkyRJ


298 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:23:11 ID:TZWAkTaj


「WUOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

怪物は拳を大地へと叩きつけた。舞う砂埃、轟く地響き。
足元が揺れるような衝撃に四人は一瞬身が竦む。その一瞬、そのわずかな時間がエシディシには必要だった。
暴走した力は大地を揺らすだけにとどまらない。
蜘蛛の巣のように、裂傷が彼を中心に広がり始める。床板を砕き、大地が割れた。
四人の体勢が崩れる。キラリとエシディシの瞳が輝いた。

四人が聞いたのは地面を強く蹴る怪物の足音、砂埃に紛れ動く影。
ギャングたちが平静を取り戻すのに時間はかからなかった。
ジョルノ、ブチャラティが影に向かい弾丸のごとく突進。
リゾット、ホルマジオは刀を振るい、皮膚を突き破らんと能力を発動。

「なん…………」
「……」
「……」
「だと…………?」

しかし、それぞれが捕えたのは互いの影。
リゾットの目の前で止められたスティッキィ・フィンガーズの拳。ジョルノの首筋にあてられたリトル・フィートの刀。
怪物は消えてしまった。影も形もなく、一瞬であの巨体は消え去ってしまった。
一瞬の沈黙、困惑の表情が四つ並ぶ。奴はいったいどこへ? どうやって?

「―――下だッ!」

いち早く反応したのはブチャラティ。いや、反応できたのがブチャラティだけだった。
横薙ぎに振るわれた腕は容赦なく三人を吹き飛ばす。手加減する余裕もなかった。少しでも遅れたら、やられる。
エシディシは消えたのではない。潜んでいたのだ、彼らの足元に。

叩きつけた拳は目くらましの砂埃だけでなく、絶好の隠れ場所を生んだ。
即ち真下、足元。
衝撃で割れた床板、陥没した大地、生まれたスペースは柱の男にとっては充分すぎるもの。
男たちにとっては一瞬、だがその時間は彼が身を忍ばせるに十分だった。

モグラが飛び出る、そんななまっちょろいものではなかった。
地を砕き、床板を剥ぎ、天を突かんと巨体が飛び出てきた。
鋭く突きのばした拳、その先がブチャラティの体を貫いた。

299 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:23:50 ID:T0KOW+rk
 

300 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:24:07 ID:ok1hkyRJ


301 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:24:41 ID:L0+pAh5Z
 

302 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:25:47 ID:I3Jm9RMJ
まじかよ………

303 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:26:53 ID:T0KOW+rk
第5部完……?対主催的な意味で

304 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:28:07 ID:TZWAkTaj


「ブチャラティイイ――――ッ!」
「何……?」
「大丈夫だ……!」

一瞬、彼の仲間は死を覚悟した。
突き飛ばし、無防備な体に飛び込んできた怪物。その腕がブチャラティの腹部を貫いたように見えたから。
だが実際は違った。手ごたえが感じられない怪物は、平気でしゃべるブチャラティを前に焦りを感じる。
そしてそれは驚愕へと変わる。自分の腕が貫いたのではなく、取り付けられたジッパーを通り抜けただけだったことに。

一転、死から生へ。ピンチをチャンスへ。
ジッパーを上にあげ、腕を固定。ブチャラティの目が沈んでいく。
ギャングが見せる、死を賭しての輝き。
三人は魂で理解した。これはブチャラティが作り出した最大のチャンス。それを逃すわけにはいかない。
例えそれが、ブチャラティを殺すことになっても―――!

腕を固定され、後方からは三人が迫る。
怪物は躊躇わなかった。
もしこの男が自分の命を投げ出すほどの覚悟あるというならば!
仲間を信じ自分の身を危険に晒す覚悟があるというならば!
見せつけるしかない! 彼も、それ以上の覚悟があるということを!

「ふんッ!」

左腕を振り下ろすと、固定された右腕を切り飛ばした。
そして即座にその場を離脱、ぞくりと背中に三人のスタンドが向けられたことを感じながら部屋を転がり、間合いを取った。
そして四人と一人は再び向かい合う。
ジョルノがブチャラティを気遣う。黙って首を振った彼は怪我がないことを示す。
リゾットがホルマジオにこっそりと耳打ちをする。最後まで黙って聞くと、彼は一瞬だけ驚いた顔を浮かべ、そして頷いた。

状況は明白だった。怪物は腕を失い、四人に翻弄され、慣れない多人数のスタンド相手に四苦八苦。
しかし四人のギャングも心中穏やかではない。誰もが皆、ヒヤリとする場面があった。
あのとき少しでもエシディシの攻撃がずれていたら……。
さっきあそこでもう少し前に踏み込んでいたら……。
死は一瞬で訪れる。怪物相手に少しでも隙を見せるわけにはいかない。
両者ともに時間が必要だった。相手を出し抜くため、相手を仕留めるため、作戦を練る時間が―――。

「近距離パワー型スタンドが二人、そして近距離型だがパワーでなくスピードと能力で勝負するタイプが一人。
 さらにもう一人は肉弾戦でなく中距離から能力で戦うタイプ……なかなかいいチームじゃないか」

エシディシが口を開いた。
ホルマジオはブチャラティを軽く小突き、サッと前に出る。
視線を切ることなく、ブチャラティはそろそろと横に動いていく。
唇をなるべく動かさないように話をしてくるリゾット。彼はだまって耳を傾けた。

305 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:29:31 ID:ok1hkyRJ


306 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:30:38 ID:I3Jm9RMJ
だまされたwww
ちくしょうwwwwww

307 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:30:40 ID:T0KOW+rk
わああああ、無事だったか!こえええええ

308 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:30:44 ID:L0+pAh5Z
 

309 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:31:15 ID:TZWAkTaj


「ジョルノとブチャラティのスタンドはだいたいわかっている……。
 と、なると問題はお前たち二人か……。ふぅむ、これは俺の頭ではちと難題だなァ。
 さてさて、どんなスタンドかなァ〜〜〜?」

四人は誰も返事をしなかった。目の前の怪物はいったい何を考えているのか。
気まぐれか、時間稼ぎか、それとも本当にスタンド能力を解明しようとしているのだろうか。
ジョルノはチラリと横目で仲間の姿を確認する。リゾットとブチャラティの話はまだ終わっていない。まだまだ時間を稼ぐ必要があるようだ。

「貴方のスタンドは……身に纏うタイプのスタンド。
 能力はわかりませんが、先ほどのリンゴォとの戦いからみたところ、並大抵の斬撃や打撃ではダメージにすらならない。
 そしてなにより、柔軟性に富んでいる……。なにせあなたがスタンドを纏ったままでもあの隙間に潜り込めるぐらいですから」
「NN? 気になるかァ、ジョルノ・ジョバァ―ナ? 俺のスタンドが、気・に・な・る・の・かァアア〜〜?」
「興味はあります。そもそも貴方がどうやってスタンドを手に入れたか、どんなスタンドを手に入れたか」
「フフフ……口が上手いな、ジョルノ・ジョバァ―ナ……。ならばいいだろう、話してやるとも……公正にだ」

ニヤリと笑った男は表情とは裏腹に真剣な声色で自らのスタンドについて語り始めた。
滲み出てきた黄色のスライム、それを四人の目に焼き付けるように見せつけながら。

「俺の……正確には俺のスタンドではないが、まあいい、俺のスタンドの名は『イエローテンパランス』。
 ただ肉を喰らう強欲なスタンド。それ以上でも、以下でもない。
 俺はこいつを皮膚を覆うように薄く纏っている。これは鎧でも武器でもない。太陽光から俺の肌を守るためだ」
「さきほど首輪を銃で撃たれていましたが……?」
「ふぅむ、それだが、ついさっきまではコントロールに苦戦していてな……ようやく言うことを聞くようになってきたのだ。
 さっきのあれは首輪をスタンドで覆っていたのだ。正直よく生き残れた思う。自分でも感心したぐらいだ。
 だがこのスタンド、元々一族は全身で食事をするし、並大抵の攻撃では傷一つつけれん強固な肉体を持っている。
 そういう意味では適当なスタンドではあるが、俺にとってしてみれば普段とあまり変わりはない。
 日中でも活動できるぐらい……尤もそれが俺にはたまらなくうれしいがな」
「なるほどなァ〜〜……それにしても、ほんとしょうがねぇ〜〜な、コイツ。
 本当に勝てるんだろうな、リゾット?」
「策はある。それこそ、人を殺す手段などいくつも、な」
「おっと、リゾット・ネエロよ……生憎だが俺は『人間』ではなくて『怪物』なんでな……!」

軽快なやり取りの間に、人間たちは策を練り終えていた。
ブチャラティからジョルノへ作戦を伝え終えた。青年は反論しようと口を開きかけたが、ブチャラティの真剣な表情を見て、そのまま言葉を飲み込んだ。

「ところで、俺は公正に話したんだが……お前たちは自分のスタンド能力を教えてくれる気はないのか? ンン〜〜〜?」
「生憎、俺たちは暗殺者……仕事柄、スタンド能力は秘密なんでな……悪いな、怪物」
「そいつは残念だ……まぁいいさ、ならば俺の推測だけでも聞いてはくれんかね?」

どうぞ、とリゾットは返す。
エシディシはニヤリと笑うと人差し指を振り、茶目っ気たっぷりのウィンクをひとつ。
筋肉ばかりが俺の自慢ではないぞ、頭脳もある。そう言わんばかりの表情だ。

310 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:33:07 ID:L0+pAh5Z
 

311 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:33:11 ID:T0KOW+rk
 

312 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:34:08 ID:I3Jm9RMJ
 

313 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:34:10 ID:T0KOW+rk
 

314 :投下ペース上げたほうがイイ? ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:35:24 ID:TZWAkTaj

「ホルマジオのスタンドは自分も小さくなれるが、相手も小さくできるスタンド。
 発動条件は相手を人差し指についた刀で切ること……または傷をつけることだな。
 リゾットのスタンドは透明になるのでなく、周りとの風景に同化することで姿を隠している。
 となると、俺に対しての攻撃手段がわからないが……俺の推測が当たっていれば鉄分操作だ。
 砂鉄で姿をかくし、血液中の鉄から剃刀や釘を作り出す」
「おぅおぅ…………」
「根拠は?」
「まずはホルマジオ。自分だけが小さくなれるのであればあの状況で俺の足元を切りつけることはリスクがでかすぎる。
 命知らずではあるが、お前たちは決して馬鹿ではない。死にたがり屋でもない。
 危険を冒してまで俺に接近する必要があった……それは即ちスタンド能力に関するもの。
 ならば自分が小さくなるぐらいなのだから……相手も小さくできると考えるのはいささか短絡的かな?」
「ほうほう、なるほどなァ〜〜〜俺のスタンドはそんなくだらねーもんか」
「リゾットのスタンドは簡単だ、砂埃が舞った時に影の付き具合が違った。
 つまり透明になるわけでなくあくまで擬態……さすがに舞い落ちる砂の流れまで計算できるやつはいない。
 そして、血液中から釘、剃刀作成だが……後ろを見ろ」

ゆっくりと、目の前の男から警戒心をとぎらせることなく後ろをチラリと見る。
変わり果てた部屋、嵐のような暴力の跡、真中に転がったエシディシの右腕。『エシディシ』の右腕……?

「そいつは借りた腕でなァ……元は人間のものだったのよ。
 俺の血はお前らと少しばかり違う……だからリゾットのスタンドも反応したのは本来人間のものだった右腕だけだってわけだ。
 その差から考えると、結論は血液中の鉄分操作、となるわけだが、どうだ、正解か?」
「ご想像にお任せしよう……」

作戦は考え終えた、後は実行するだけ。
だが、四人は考える。果たして本当に可能なのか……?
こいつ相手に、どこまでできる? 隙は作れるのか? チャンスはあるのか?

話を切り上げようとするリゾット。防御手段を持たない彼は下がり、ホルマジオのスタンドの範囲内に入っていく。
代わりにジョルノが一歩前に出る。対峙する怪物に、彼は疑問を投げかける。

「どうして僕たちにわざわざ言ったのですか……?
 スタンド能力の推測ならまだしも、自らのスタンドについて解説する必要はなかったはずです」
「なぁに、簡単な話……この戦いは力と力の戦いではないからだ。
 心と心、精神をぶつけ合い、折れた方の負け。
 もちろん今の俺たちのように実力は拮抗していなければそんなことは言えないが」

コツコツと、自分の心臓を親指でさす。話を続けるエシディシ。

「だからこそ俺もお前たちの作戦タイムを見逃したわけだ。
 なにもただぼけっと突っ立ってたわけじゃあるまいな? 楽しみだ……お前たちはこの俺に対してどんな手を使ってくる?」
「おいおいおい、やけに余裕なんじゃねーの? いいのかよ、後で吠え面かくことになるかもしれんぜ?」
「なぁに、この俺も何も無策でお前たちに挑もうとしてるわけではない。
 俺は俺なりに考えているのだ……気遣いはありがたいが」

315 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:36:57 ID:L0+pAh5Z
4人も支援しているしペース上げても大丈夫なのでは? 支援

316 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:37:34 ID:ok1hkyRJ
眠いから速度が上がると嬉しいけど、さるさんが怖いんでそこはそちらの裁量にお任せします


317 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:39:29 ID:TZWAkTaj



最後にそう言いきると、深く深く息を吐いて行く一人の男。
息がとまるような圧迫感が舞い戻ってきた。お喋りはお終い、今一度互いの策をめぐらし相手の裏をかく戦いが始まる。
力と力、そして心と心のぶつかり合いが再開される。

「どうする、人間たちよ? 俺に何を見せてくれる? どんな手で俺を殺しにかかる?
 やって見せろ! 殺して見せろ! 俺は真っ向からそれを叩き潰してやるッ!
 慎重に、策に策を重ね、殺った! とお前たちが思ったところを俺は生き抜いて見せる!
 なぜならそれがお前たちの心を折る一番の方法なのだから!
 その時お前たちはどうなる? もう無理だ、諦めよう。やはりコイツは化け物だ。
 そうなってしまうのか? それとも自棄になって特攻してくるのか?
 さぁ、かかってこい、人間よ! 俺は逃げも隠れもしないぞ!」

仁王立ち。腕をなくし、スタンドはばれ、連戦に次ぐ連戦。
多勢に無勢、孤立無援、包囲網に巻かれた一人の怪物。

だが彼が怯むことはない。
ナンバーワンがオンリーワン! 彼が望むものは天に立つ……そしてそれは独りで成し遂げるもの!
これも試練。スタンド相手にどのように挑むか。乗り越えたならば……必ずや高みに近づくことができる!

人間たちが動いた。
暗殺者二人は同時に姿を消し、二人のスタンド使いは躊躇うことなく走ってくる。
真っ向勝負は大歓迎、腕が一本ないところで構うものか。
腕がなければ足を使えばいいじゃない。カウンター気味のハイキックを二人にお見舞いする。
対するは拳のラッシュ、しかし今回は長くは続かない。
つかず離れず、互いをフォローしつつ、前に出たり下がったり。
攻める気持ちがないわけではない。しかしその裏には明らかに別の意図が隠れている。
作戦のための時間稼ぎか? 消えた二人の行方はいったい?

ゴールド・エクスペリエンスの一撃をはたき落とし、ブチャラティの蹴りをさばく。
餌をばら撒くも二人食いついてこない。反対に、攻める隙を作らんと二人は慎重に出方を伺うのみ。
そのまま、何回かの攻防が過ぎる。時間が足早に過ぎ去っていった。

「ジョルノッ!」
「ゴールド・エクスペリエンス!」

前に出たスティッキィ・フィンガーズが怪物の行く手を遮る。
振り下ろされた黄金の拳が生命を生みだす。芽吹きと誕生、部屋中のあちらこちらが緑色に染まっていく。
最後の一撃を合図にブチャラティは大きく後退、そのまま建物の窓へと向かっていく。
窓のそばにはジョルノが準備、二人外に飛び出ると同時に、その周辺が周りより一層濃い緑に覆われた。

318 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:41:01 ID:pTqAhDnl
支援

319 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:41:03 ID:L0+pAh5Z
 

320 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:41:23 ID:ok1hkyRJ
  

321 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:41:50 ID:dezmY4ek
私怨

322 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:44:10 ID:TZWAkTaj


縦横無尽、縦方向、横方向。
木を蹴り、地を蹴り、草を踏みしめ、怪物は飛んだ。
もはやここは狭い人間が生みだした空間ではない。
三次元的な動きができる以上、ここは怪物にとって圧倒的有利なホームグラウンド!

「その音が『逆に』だッ!」

茂みを突き破り、ついに見つけたターゲット。獲物はまさに拳を振り上げたところ。
獰猛な猟犬のように、最後に大きく大地を飛び跳ねる。全身で覆い尽くさんとばかりに飛びかかる。
月が輝く夜、突然できた影に彼は顔をあげた。そして驚愕する。
空を飛ぶ怪物。地べたに座る人間。一瞬視線が交差する。

空中では如何なるものでも身動きは取れない。どれだけ身体能力が高かろうが、それだけ爆発的な筋肉を秘めていようが。
彼は見逃していた。獲物に飛びかかってから、彼は気がついた。
ジョルノの目の前、芝生に覆われ見にくいが、そこには引かれた一本のジッパーに。

「スティッキィ・フィンガーズッ!」
「何ィ!」

大地より飛び出たのは一人の男。研究所で自らが行った記憶がフラッシュバック。
立場は真逆、攻守が反対。
地に潜んでいたのはブローノ・ブチャラティ。モグラもびっくりのスピードで一気に天へと飛び立っていく!
エシディシは獲物をとらえんと振りかざした腕を必死で引き戻す。
これは―――避けきれん!

「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!」
「むおおおおおおおおおおおお!」

捕食者が生む一番の隙を突かれ、怪物はそれでも必死でブチャラティの攻撃をいなしていく。
だが、かわしきれない。右頬に大きなジッパーがつき、左手の指が二本、吹き飛ばされた。
終わりに放たれた蹴りはがら空きだった胴体に直撃、受け身を取ることもなく、みじめに地に膝をつき着地するほかなかった。

「まんまと罠にはまってしまったわけだ……。
 時間稼ぎに見せかけた……いや、あの時はリゾットとホルマジオを逃すのが目的だったはずだ。
 釣りの先にも罠を用意しておくとは……流石だな、ブチャラティ」
「…………」
「ジョルノが地面を派手に叩いていたのは俺を呼び寄せるのもだが、地中に身を潜めたブチャラティを隠すためか?
 なるほど、なるほど、恐れ入った……こいつは俺も手を焼くな」

睨みあいから一瞬、エシディシは姿が霞むスピードで動いた。

「だが!」

脇にそびえたつ木を蹴りでたたき折るエシディシ。
ズシンと音をたて倒れる木と、空か落ちてくる無数の木の葉。
怪物の視線の先で木の葉がぶれ、空間が歪んだ。
彼は聞き逃さなかった。ブチャラティの奇襲の最中でも聞こえた、芝生を踏みしめる音を。
緑の迷彩をとくと、そこにいたのはリゾット・ネエロ。
危うく木の下敷きになるところだったのを寸前で避けると、二人の仲間と合流。
背中のデイバッグを背負いなおすと、ポケットから一丁の拳銃を取り出しながら彼は言った。

323 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:45:22 ID:I3Jm9RMJ
攻撃態勢に入った(生身の相手を攻撃しようとしている)スタンドには、逆に生身の体でも触れる(攻撃する)ことができる。
俺はこういう解釈なんだけど、これでおk?

324 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:45:59 ID:L0+pAh5Z
 

325 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:47:03 ID:ok1hkyRJ
 

326 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:47:48 ID:TZWAkTaj


「ナチス研究所に火をつけられた。ホルマジオに策を託し、俺は支給品の回収に専念。目ぼしいものを集め終えたのでこっちにきた」
「彼一人で大丈夫でしょうか?」
「……時間は予想以上にかかるかもしれない。だがそれ以上に首輪解除になりそうなものを火の海に放置しておくのは不味いと思ってな」
「リゾット、正直俺とジョルノは自分の身を守るのに手一杯だ。
 エシディシがお前に攻撃を仕掛けた時、庇うことは不可能かもしれない……」
「それに関して言えば、問題ない。むしろ戦力になれると思ってきた。
 でなければ俺も今頃研究所内を走り回っているさ」

「作戦は順調なのかね?」

三人の小声の割り込む、大きな声。
会議は中止だ。余所見なんぞはコイツ相手にしていられない。
エシディシは続けて言い放つ。

「俺をうまく罠にはめたことは、素直に敬意を表そう……。
 しかしこの環境は俺にとって圧倒的有利! 人間たちは地べたを這うしかできないが俺は違う!
 三次元的な動きに果たしてお前たちはついてこれるか?
 おっと、姿を隠そうともしたってそうは上手くいかんぞ……俺は音にも敏感なんでな。
 そう、そこにいるお前のこともわかっているぞォ! 出てこい!」

ホルマジオはいない。非戦闘員は逃げるように指示をした。
ならだ誰が、どうして? 第三勢力の介入か?
作戦に影響は出るだろうか、ブチャラティは横目でリゾットの視線を捕える。
唇をかみ、暗殺チームのリーダーはじっと茂みに目を凝らした。
鬼が出るか、蛇が出るか。

エシディシが感づいたのは、殺気でなく純粋な聴力によるもの。
だが来訪者は知らない。ひたすら目標を掲げ、ナチスを目指し歩いてきた彼はエシディシの恐ろしさを知らない。
故に姿を現すしかない。今はまだ、その時じゃない。
自分の目標は最終的に必ず成し遂げる―――だが今は……コイツは、この怪物は。

影が動く。ゆっくりと茂みをかき分け、青年は姿を現す。
ジャングルを覆う木の隙間から差し込む月光が彼の顔を照らす。
ツンツンとあちこちをむく髪の毛、いまだあどけなさを残す表情、年に似合わぬ洒落たスーツ。
パンナコッタ・フーゴの登場に男たちの間に衝撃が走った。
対照的にエシディシは動じない。ただ一言、唸り声を面白そうに漏らしただけだった。

「フーゴ……!!」
「ブチャラティ、こいつは一体どうなってるか……説明してもらっても構いませんね……?」

327 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:49:24 ID:L0+pAh5Z
 

328 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:50:15 ID:TZWAkTaj


青ざめ、表情には不安が浮かぶ。
ゆっくりとギャングたちと合流しようと足を向けるフーゴ。しかし、その前にブチャラティが立ちふさがった。
視線は真っすぐ、彼を射抜くように向けられていた。
その目の輝きは眩しいぐらいで、たまらずフーゴは視線をそらした。

「グェスと早人はどうした?」
「…………」
「二人はお前と一緒に逃げたはずだが」
「…………二人は」

気が気でないのはジョルノだった。
今はそんなことを問い詰めている場合だろうか。今にも襲いかかれることだってあり得るというのに。
だが、意外にもエシディシも興味深そうに二人の会話を見守っている。
リゾットも黙って戦況を見守っていた。エシディシに眼を光らせ、フーゴたちのやり取りに耳を澄ます。

「二人は…………死にました。いえ、正確には……グェスが早人に殺され、早人は、僕が殺しました」
「!!」
「何故?」
「早人が、ナチスに向かおうとし……グェスがそれを止めようとするうちに……。
 僕の目が覚めた時には、早人が拳銃を持って、グェスが倒れていました。
 そして、僕は……早人を殺しました」

死人のようにフーゴの顔は真っ青だった。今にも卒倒してもおかしくない、そんな雰囲気であった。
沈黙が辺りに満ち、暗闇がさらに濃くなったような錯覚に陥る。
ブチャラティは黙ったままだった。一旦目を閉じると、彼は深い溜息を吐く。

「そうか」

たった一言、それだけだった。
それ以上、彼は何も言う必要がないと判断した。そしてそれがフーゴにとってなによりも辛いものだとジョルノには思えた。
信頼と落胆は表裏一体。ブチャラティのようなできた人間にがっかりされるのは尚更心が折れる。
だが切り替えるしか他ないだろう。ここは戦場、躊躇っていては死が訪れる。

「何が起きたのか、どうしてそうな事になってしまったのか、今は詳しく聞かないでおく。
 だが落胆はした。そして疑惑も残っている。
 『今だけ』は長年のお前に対して敬意を示し信頼しよう。しかし、これが終わった後……」

ブローノ・ブチャラティはギャングだ。
仕事となれば人を殺すことに迷いはない。
それは例え相手が女でも、子供でも、そして……昔の仲間であっても。

「覚悟しておけ」
「……わかっています」

拷問、口を割らすための手段をいくつも傍で見てきた。
フーゴは震えあがる。ブローノ・ブチャラティは自分が正しいと思った時、どこまでも冷酷で無感情でいられる。
必要とあれば人を駒のように扱い、損得で命を選ぶのだ。自分の命も、含め。


329 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:51:36 ID:L0+pAh5Z
 

330 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:53:21 ID:ok1hkyRJ
  

331 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:54:50 ID:TZWAkTaj

フーゴはゆっくりと足を動かし、ジョルノの隣に立った。
口早に今の現状を彼が伝える。
見ての通り怪物が暴れて手がつけられない。四人のギャングは策を練り、それに向けて奴を足止めせねばならない。
端的に、とりあえずの情報を飲み込むとフーゴは手にした拳銃を構え、怪物と対峙する。
汗が伝い、自嘲的な笑顔が浮かんだ。
本当に、そんな怪物を、四人のスタンド使いで倒せるのか?

「クックックッ……面白いジョークだな、ブチャラティィイ〜〜〜?」
「…………」
「今聞いておかないで大丈夫か? なんせ終わった後なんぞ言ったが……終わった後に二人ともしゃべれる状態でいられるか怪しいものだからな」
「何が言いたい……?」
「死ぬ前にスッキリしておかないで大丈夫か? ってことだ……。
 『今は詳しく聞かないでおく』『終わった後覚悟しておけ』……。
 まるで自分が生き残れるかのように話を進めやがる! しかし、ンン〜〜、俺相手にいささか大胆すぎやしないかね?」
「貴様こそえらく余裕だな……実質5対1だ。四人でも苦戦していたお前が、果たして俺たちに敵うのか?」
「フフフ……ほざけ、この人間どもが!」

三度、激突する人間と怪物。
場所を変え、人を変え、勝負は加速していく。

「いくぞ、ジョルノッ! フーゴ! 俺の後についてこい!」

終わりは近い。夜はこれからだというのに。
真夜中まで残りわずか―――勝負はそのころには、ついているだろう。
どちらかの死をフィナーレにして。







332 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:56:06 ID:L0+pAh5Z
 

333 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:56:30 ID:ok1hkyRJ
  

334 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:56:41 ID:TZWAkTaj






結果から言おう。エシディシは苦戦していた。

「パープル・ヘイズッ!」
「くッ……! ぬぅん!」

何よりも手数が違う。エシディシがいかに素早かろうと、ギャングたちは4人いる。
一人に狙いを定め、拳を振り上げようとも、その隙に三人ものスタンド使いが自由に動けてしまう。
どれだけ強い力を持っていようが、どれだけ素早く動けたとしても。
数の暴力は圧倒的。しかもそれが歴戦のギャングたちとなれば、尚更だ。

フーゴが戦いに加わり、十数分。戦況は傾き、人間たち有利。
前に出るのは主にブチャラティとフーゴ。ジョルノとリゾットは補助と回復に回り、そしてエシディシが気を抜いた瞬間、鋭い一撃を放つ。
波状攻撃のように、次から次へと、攻撃を途切らせることなく、人間は襲いかかる。
その様は百獣の王、ライオンを追いつめるハイエナの群れのよう。
四面楚歌。まさにその言葉がぴったりであった。

スティッキィ・フィンガーズの拳に触れてはならない。ジッパーは例え黄色のスライムの上からだろうと、致命的な一撃になる可能性があるのだから。
パープル・ヘイズの能力は厄介だ。黄色のスライムをすぐに切りはなさねければならない。地面に巻かれたカプセルにも注意を向ける必要がある。
ジョルノ・ジョバァ―ナは多人数戦における要を担っていた。傷をつけても、回復される。近づこうにも、地から湧き出る植物の根が邪魔をする。
リゾット・ネエロは決して近づかない。自分の射程距離を完全に把握している彼は、闇夜に紛れ、銃を放ち、釘を生成。近距離型の二名をフォローする。

隙を見つけてもそれを必ず誰かが補うように動く。
隙を見せれば畳みかけるように、四人でそこを突く。
押せば引き、引けば押される。流動的なシステムに、一糸乱れぬ連係プレー。
エシディシは改めて実感する。波紋戦士のような肉体相手の戦いではなく、これは彼が最初に言った通りだ。
心が折れてしまわぬか。集中力が途切れてしまわないか。
我慢の戦い、自分との戦い。焦り、諦めを先に見せるのは、どっちだ―――?

「くそォオ!」
「ジョルノッ!」
「了解ッ!」

ただ拳を振りまわしただけの攻撃。容易くかわせる一撃を前にブチャラティはカウンターを狙う。
合図されたジョルノは地を叩く。地面から湧き出た植物がエシディシの足をがんじがらめにせんと伸びていく。
苛立ちを隠さず、エシディシはその場から跳躍。
木を一度クッション代わりに上空から、ブチャラティへと狙いをつけようとする。

「状況を打開しようとする時、角度を変えて攻勢に出るのがお前の癖だ……」
「ぐッ……!」

335 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:56:49 ID:dezmY4ek
 

336 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:57:46 ID:TZWAkTaj


巨体が宙を舞った。二度目……彼がこの手に引っ掛かってしまったのは実に二回目だ。
わざと隙を作り、誘いこまれる。安易な罠にはまってしまったのはそれだけ怪物に余裕がないことを表している。
胸に張り付く一匹の蛙……攻撃の反射。ジョルノは何事もないように立ち上がり、倒れ伏したエシディシを見下ろす。
フーゴが、ブチャラティが追いついた。三人並んだ近距離パワー型のスタンド使い。

「ウバシャアアアアアア―――ッ!」

空ぶった拳の先から飛んできた三つのカプセル。体を転がし、やり過ごす。
圧倒的不利……! 圧倒的危機……! 圧倒的絶望……!
しかし、心を折ってはなるものか。諦めてなるものか。
人間から学んだ、絶望の中で足掻く諦めの悪さ。エシディシはすぐさま立ち上がる。
逃げたっていい……、醜くたっていい……、這いつくばったっていい!
一心不乱、逃げる、逃げる、逃げる。
三人のスタンド使いの嵐のような攻撃をかわし、避け、潜り抜ける。
左の二の腕から血が噴き出した。拳をもろに食らった腹が痛む。ローキックで体制が崩され、追撃に放たれたウィルスカプセルをなんとかスライムでやり過ごす。
惨めだ、恥だ……この柱の男が! 見るがいい、このざまだ!
その中でも決して諦めやしない。それが人間に対する敬意! 感情に任せ喚き散らすようなまねは最大限の失礼!
しかし―――

「油断したな……」

またしても、この男。黒の衣装は死をもたらす死神のようで。
大きく跳躍し、ほっと息を放つその瞬間! 見計らったように背中越しに声をかけられる。
振り向きざまの裏拳は空を切った。彼は決して近づかない。自分の非力さをわかった上で、尤も有効な手を打ってくる。
隙を見せた時、ほっと一息ついた時、一気に畳みかけたい時。
闇夜に紛れた彼は的確に攻撃の芽を潰し、劣勢を更なる酷な状況に悪化させる。
後ろを振り向いたエシディシが見たものは、迷彩を解きたたずむ暗殺者。そして―――!

「紫外線照射装置、発動」
「WONUUUUUUUUUUUUUUU!」

ここ一番! これ以上ない隙をエシディシが見せた!
彼らが尤も嫌悪する太陽光! たとえそれが偽物であろうと不意をつかれたこの一撃に、たまらずエシディシは唸り声をあげ、顔を覆った。
一点! そして一瞬! 人間たちは見逃さない! 怪物を始末するための最大のチャンス!

「ゴールド・エクスペリエンス!」
「スティッキィ・フィンガーズ!」
「パープル・ヘイズ!」
「メタリカ!」

―――二度目……宙を舞う巨体。
大きな放物線を描き、何の抵抗も見せず、怪物は地面にたたきつけられ、そしてピクリとも動かなくなった。
人間たちが奪った初めてのダウン。そして、地に叩きつけられた衝撃で、彼の頭から飛び出るDISC。
円盤はコロコロ転がっていくと、不意に現れた靴にぶつかりコロンと倒れた。屈んで拾い上げるの一人の男。
もはや勝負は決した。怪物は数の暴力の前に屈するしかない。団結力と並はずれた精神力をもつ人間の前にエシディシは惨めにも破れ去る。
五人目の来訪者、ホルマジオはDISCをポケットにしまいこむと、ギャングたちに声をかけた。

337 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 01:59:14 ID:TZWAkTaj


「おいおいおい、これもしかして俺いらない感じか〜〜〜?
 あんだけ張り切って研究所を走り回って、任務成功! さて助太刀だ! って思ってきたのによォ〜〜〜」
「油断するな、ホルマジオ。仕事は最後まで、きっちり終わらせてからだ」

一体どうしろというのだろうか。エシディシの心は完全に折れかけていた。
激昂とした感情が彼の中でふつふつとわき上がる。トチ狂ってしまいそうな感情の高ぶり。
泣けというのか……泣けばいいのか……? 泣きたいのは、俺のほうだ。

身体を起こして自分の状態をチェックする。
右腕、リゾットとフーゴの攻撃で突き破られ、煙をあげ使用不可能。ウィルスの感染もあり、切り捨てる。
左腕、手の半分がジッパーで吹き飛ばされている。拳も握ることもできない。
左足、ジョルノ・ジョバーナの攻撃でマヒあり。動きづらいことこの上ない。
腹部、ダメージは少ないが、何発か直撃を喰らった。この上ない、恥……この俺が、人間に……。
そして精神力……俺の心はボロボロだ。

「念には念を入れてだ……いくぞ!」

リゾットの掛け声を筆頭に、五人が動き出した。
エシディシは立ち上がり、構えを取るも、何をすればいいのかわからなかった。
自分は負けるのか……結局、この一族は、何も残せないまま、滅び去ってしまうのか?

(…………くそったれ)

それだけは、絶対に嫌だった。
体中が傷だらけだったのが逆に利用する。エシディシは周りを包囲せんとする人間どもの中心に自ら飛び込んだ。
全ての傷口から血管を、外へ。
高温に熱せられた血液を五人へとまき散らす!

「怪焔王大車獄の流方!」

足掻けるだけ、足掻いてみよう。
その時エシディシの脳裏をよぎったのは諦めだったのかもしれない。
トチ狂って最後に花を咲かそう、一瞬はそう思った。
だが、できなかった。仲間のことを思い出し、カーズが、ワムウが、一族が……そう考えると不思議と心が落ち着いた。
泣き叫ぶ暇なんてない。こうなってしまった以上、俺は俺ができる最大限の抵抗をしてやろう。
その先で彼が辿り着いた結論は―――


一人でも多く、人間を……、一つでも多く、絶望を……。


338 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 01:59:59 ID:ok1hkyRJ
  

339 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:01:36 ID:TZWAkTaj


彼を支配し始めたのは気高い魂ではなかった。
託された遺産を未来へ残すため、そんな気持ちを彼は最後で放棄してしまった。
だがそれを誰が責めれるというのだろうか? やけくそになってしまった彼が悪いと誰が言えようか?
言えるとしたらそれはたった一人の男。彼に意志を託した髭面のガンマン。
しかしその意志すら彼は捨ててしまった。最後に彼が思ったのは一族であり、彼を支配したのは憎しみだった。

(俺は……負けるのか……人間どもに…………偉大なる生き物であるはずの、この俺が……)

そして、憎しみに支配された彼は『たまたま』可能性を持っていた。
人間たちに死を、そう望んだ彼が引き寄せたミラクル。
   
「あぶねえッ!」

飛び散った血液が一直線にフーゴに向かっていく。
ホルマジオが横から彼を突き飛ばすと、開いたデイバッグから何かが飛びだし……エシディシの足元へと転がっていった。

柱の男が作り出しもの、石仮面。
柱の一族が長らく待ち望んだもの、エイジャの赤石。

彼は躊躇わなかった。一度に起きた奇跡を彼はこう捕えた。


―――そうか、これがお前たちの望みか。


一体彼はどこで間違ったというのか。
このゲームに参加してしまった時? 人間の好意を踏みにじり、更なる進化を求めた時?
化け物を切り捨て、人間に執着した時? 人間を理解し、人間を超えようとしながらその存在を認めれなかった時?
認めた、と言いつつ、どこか自分が特別な存在と思った時? 結局最後に選んだ自分が歩きたいと思った道が間違っていたのだろうか?
いや、そもそも……彼は何か間違いを犯しているのだろうか?
誰にもわからない。いや、今後わかる存在は出てこないだろう。
なぜなら彼は柱の『男』。彼は人間ではない存在でありながら、『男』になった存在。
そして今、彼は『男』であることすらやめようとしている。
そんな彼を理解できる存在など、後にも先にも誰一人いないのだから。


―――ならば叶えよう、人間たちに絶望を……!


ブチャラティが飛びかかる。
ジョルノが拳を振り上げる。
フーゴが遅れながらも襲いかかった。
ホルマジオは走り、刀を煌めかせる。
そしてリゾットは真正面から―――

「紫外線照射装置、発動」

340 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:01:42 ID:dezmY4ek
 

341 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:02:01 ID:ok1hkyRJ
  

342 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:04:46 ID:TZWAkTaj


照らし出された光はエシディシに向かっていく。その光は吸い込まれるように赤石へと向かい―――

まるで生きてるかのように、仮面から生えた針が食い込んだ。
洪水のような生命力の輝きをエシディシが放つ。
燃え盛る研究所よりも、空に輝く月よりも、強烈で眩い光が辺りを包む。
ギャングたちは反射的に眼を覆う。それすら突き抜ける目も眩むような輝き―――





「俺は ■■■■■■ をやめるぞ、リンゴォ…………!」




そして、何もかもが光にのまれた。







343 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:06:31 ID:I3Jm9RMJ
おお・・・・・・

344 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:07:23 ID:TZWAkTaj






「おい…………」

他の四人が飛びかかった中、唯一ホルマジオはタイミングがずれ攻撃に参加することができなかった。
故にそれを真っ先に見たのは彼。
そして彼だけが正確に何が起きたかを見ていた。

「なんだよ……、これ…………」

だというのに、彼は目の前の光景が理解できなかった。
カチカチ、と甲高い音が建物に反射し、聞こえてくる。
ホルマジオは気づかなかった。その音は自らの歯が震えて奏でている音だということに。

「何が起きたっていうんだよ……ッ?!」

燃え続けるナチス研究所、その火をバックに立ちすくむ影が一つ。
戦闘の中で木が折れ、建物が崩れ、出来上がった一つの山。
そこに君臨する男は、その巨体を隠すことなく、ただ立つのみ。
そして飛びかかったはずの四人は吹き飛ばされ四方八方に散らばり、倒れ伏す。
弱者と強者、敗者と勝者、蹂躙するもの、されるもの。
こんな未来を誰が見ることができたというのだろう。こんなことになるのだと誰が予想できたのだろう。

呻き、頭を振り、正気を戻した四人のギャング。
しかし、彼らは本当に自分が正気に戻ったのか疑わしくなる。
もしかしたら今も本当は頭を打ち、目の前のこの光景は幻想でしかないのではないか。

現実は非情である。
どれだけ見直そうとも、何度目をつむり、開こうとも、目の前の光景は変わりやしない。
瓦礫の山の上に立つ男、エシディシ。
身体には傷一つなく、まるで磨きたての彫像のような輝きを放っていた。
恍惚とした表情を浮かべ、天を仰ぎ見る彼は今までの彼とは、違う。
誰かが呟いた。

「神々しい…………」

そして、五人の中で感情が芽生える。
共通した一つの警告は人間が残した防衛本能が喚きたてるもの―――俺達はとんでもないことをしてしまったのかもしれない。


345 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:07:37 ID:ok1hkyRJ
  

346 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:09:07 ID:I3Jm9RMJ
優勝者決定のお知らせ

347 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:10:10 ID:TZWAkTaj

「ハッ!」

エシディシが右腕を真っすぐ空へと掲げる。肘から先がないその腕。
そこに一輪の真っ赤な花が咲く。大きな大きな、花だった。
美しく、しかし、強さを感じさせる花はやがてドクンドクンと鼓動し始める。
そして、信じられないことに……ギャングたちは目の前の光景を疑った。
花が腕へと姿を変えていく。度重なる努力と、いくつもの試練を潜り抜け必死で人間たちが与えたダメージ。
それが、目の前で、一瞬で修復された。
まるで、そんな傷はなかった言わんばかりに。

目の前のものが現実か、はたまた夢なのか。
攻撃してみればわかると言わんばかりに動いたのはリゾット。
彼は冷静だったのだろうか? いや、そうとは言い切れない。
ただ単に彼は願ったのかもしれない。目の前のこの現実が、悪夢であってほしいと。
自分が放つ、この紫外線がやつにダメージを与えることで、この夢から抜け出したい。
そう思ったのかもしれない。

「なん……だと?」

だが、駄目。圧倒的存在感、威圧感は消えない。
いや、むしろ増すばかり。
眩い光を放つ前、エシディシは確かにこの紫外線に対して、抵抗を示していた。
だが、今はどうだ! まるでスポットライトを浴びる大スターかのように! まるでファッションショーに出る女優のように!
笑みを浮かべ、彼は平気で立っているではないか!

「スティッキィ・フィンガーズ!」

ブチャラティのスタンド攻撃が直撃した。カウンター恐れて長くは攻撃できない。
しかし、それでも脚の筋肉を、胸の大事な器官を、余裕で組まれた腕の何箇所かを吹き飛ばした。
それでも目の前の存在は笑みを消さなかった。吹き飛ばされた場所を、興味深そうに眺め、そしてゾッとすることに、笑みが深まった。

「パープル・ヘイズ―――ッ!」

フーゴを突き動かしたのは、追いつめられた鼠の気持ちか。
さっきまで自分たちが追いつめる側の猫だったというのに。
焦りと、その浮かんだ笑みを、なんとかして消し去りたい。あの勝ち誇った顔、浮かぶ余裕をどうにかしたい。
少なくとも彼を突き動かしたのは、勇気ではなかった。恐怖から生まれた行動であった。

しかし訪れたのは絶望。
まるで悪夢だ―――誰もがそう思った。
一連の流れはまるで、ビデオカメラを早回しにしたように起きた。
シューシューと煙をあげる肉体。飛び散った肉、削られた足や腕。
まずフーゴが攻撃した箇所が、誰に触れられていないのに、ボトリと音をたて、そして蠢きだす。
ブチャラティの攻撃で欠けた肉体が10秒もかからぬうちに修復され、筋肉が盛り上がる。
そして、落とされたウィルス。驚くべきことに、そこから生まれ出た一匹の鼠。
毒々しい紫色の体色に、妖しく光る真っ赤な目。
その小ささとは反対に、その鼠が放つ禍々しさと言ったら!

「うわあああああああああああああ!」

348 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:13:26 ID:TZWAkTaj


フーゴが悲鳴を上げる。襲いかかってきた鼠の敏捷な動き。
野生生物の速さではないスピードで鼠がフーゴの左腕を噛み切る。
そして彼は、気づく。噛まれた辺りが煙をあげ始めたことに。
そう、それはまるで―――

「ゴールド・エクスペリエンス!」

ジョルノが感染したフーゴの左腕を切り飛ばした。
間一髪、体まで毒がまわる前に、なんとかフーゴは助かった。
何度か痙攣するような動きを見せ、フーゴはようやく自分が助かったことに気付いた。
しかし、体の震えは止まらなかった。はっきりとした死、それを身をもって体験した彼。
涙すら浮かびそうな顔から、ジョルノはそっと視線をそらした。
唇を噛みしめる、太陽のような少年はそれでも前を向く。
いや、前を向くしかなかった。ふとすれば心が折れてしまいそうなのは、彼も一緒だった。

鼠は主の元へ戻ると、元の場所へと体を沈めていく。
なんでもありだった。何を信じればいいのか、何がやつにとって不可能なのか。
目の前の光景をいちいち確かめ、疑っていては間違いなく殺される。
思考を放棄する。ある点まで、考えずに、自分の本能に従う。
恐怖を麻痺させなければ気が狂いそうだった。それほどまでに、奴は圧倒的で神々しく、敵いそうにない存在だった。

命令に従う。命令を出すのは自分自身、しかしその命令に疑問を感じてはならない。
ただ兵士は従うのみ。目の前の存在を殲滅せよ。
できるのか? そう疑ってはならない。なぜなら自分たちは兵士だ。
命令を遂行し、目の前の存在を抹殺する。今考えるのはそれだけだ。

―――そう思っていられるのはいつまでだろうか?
―――コイツが、本気で俺たちを仕留めにかかったら、俺たちは……どれだけ持ちこたえることができる?

猛攻に次ぐ、猛攻。
後先考えず突っ込む命知らずの兵士たち。
拳を振るう。蹴りを放つ。能力を発動させる。相手を蹂躙する。
狙うのは目の前の存在の抹消、目の前の存在の暗殺―――目の前の存在を殺す。

だが、それは儚い夢だった。
彼らは嫌でも思い知らされた。自分たちが相手にしているのは、もはや存在しないものだといことに。
どんなラッシュだろうが、どんな致命傷だろうが、どんな能力だろうが。
彼らは自分を信じる心を、真っ二つにへし折られた。
自分の精神力、スタンド能力を否定されたのだ。目の前の存在は軽く散歩を楽しむように、歩き、ときどき気まぐれで攻撃をかわした。
ただ、それだけで……彼らは思い知らされた。

「メタリカ……メタリカ…………メタリカァア――――!!」
「リトル・フィートォオオオ―――――ーッ!」

何も起こらない。
それは即ち、己の存在の否定。
己の心の弱さを、事実として突き付けられたようだった。

「馬鹿な…………ッ!」
「フフ……フフフフフフ! フハハハハハハッハハハハッハハアハ―――――!」

349 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:17:14 ID:ok1hkyRJ
  

350 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:17:27 ID:TZWAkTaj


僅か数分! 600秒にも満たないその僅かな時間でエシディシは全てをひっくり返したッ!
そして彼は手に入れた! 究極の力と! 彼の望み、人間たちの絶望を!
地べたに這いつくばるのは人間たち。優しく撫でただけ、軽くスポーツを楽しむように体を動かしただけ。
その程度で人間たちは、踏みつぶされ、ねじ切られ、惨めに下を這いつくばる。
傷を負い、満足に動けるものも少なく、回復手段であるジョルノ・ジョバァ―ナも、もはや虫の息。
気力と根性すら折れかけた人間たちに漂い始めた絶望感はあまりに濃い。

その光景を眺め、エシディシは笑った。腹の底から、喉が張り裂けるんじゃないか、そう思えてしまうほど声をあげて笑った。
ついさっきまで悩んでいた自分が滑稽だった。
何も考える必要などないじゃないか。やはり優れた存在なのは俺たち……いや、『俺』だ。
認める? 認められない? 誰に認めてもらう必要がある? 何故認めてもらう必要がある?
気まぐれに戦った様が目の前の光景だった。真剣に悩んでいたころの自分自身がまるで道化のように馬鹿らしい。
そして何より人間たちが可哀想だった。あんなにも真剣に自分を殺すと決意していた人間たちが! こんなにも惨めになってしまったなんて!

超再生! 超進化! 超知能! 超筋力! 超能力!
スタンド……? スタンドだってぇええーーーー? クソにも劣る、あのションベンカスがなんだというのだ。
今更人間を敬う? 人間に習う? チャンチャラおかしかった。
もはやエシディシは手に入れたのだ。全てを、人間を超越し、精神世界から解き放たれたのだ。
それを超えた力があるというのに……今更彼がそんな古臭い精神論にしがみつく必要がどこにあるというのだろうか?


「か、勝てない……」

膝から崩れ落ちたフーゴは目に涙を浮かべ呻いた。

「勝てるわけがない……ッ! 奴は『神』になったんだ……僕たちは、ここでお終いだ……!」

(…………いや)

だがエシディシはそう思わなかった。
彼は自分の力を甘く見ているわけではない。冷静に、それでもどれだけ悲観的になろうとも、ぶっちぎりの存在になってしまったことは間違いなかった。
だからこそ、その冷静な頭脳と、観察眼が告げていた。
ゴミ虫、人間どもはまだ諦めていない。まだ彼らは諦めていないのだ……!

ブチャラティが立ち上がる。リゾットが立ち上がる。ジョルノが……ホルマジオが!
フーゴはぼんやりと四人を見る。そしてベソをかきながらも、彼は確かに立ち上がった。
それを見ても、彼は何も感じない。
羽虫が足掻くのを見て人間は何を思うだろうか? 可哀想だと止めをさすか、うっとしいとサッサとけりをつけるか。
どっちみち結末は一緒だ。人間たちがたどる終わり―――それは死。早いか、遅いか。痛みがあるか、ないかの違い。
ただそれだけだ。

ただエシディシはうんざりしていた。彼の何処に人間を敬う気持ちが残っているのだろうか?
もう、足掻くな……。なにもそんなに死ぬ間際まで辛く生きることはないだろう……。
そういった気持だった。天から見下ろす軽蔑の眼差し。
早めに息を止めてやろうと思ったのは『たまたま』彼がそう思っただけ。
べつにこれといった特別な感情はなかった。
神は気まぐれなのだ。いつだってその気まぐれに翻弄されるのが、人間の宿命。


351 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:19:32 ID:L0+pAh5Z
 

352 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:19:35 ID:I3Jm9RMJ
 

353 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:22:04 ID:TZWAkTaj

一人、また一人が、じりじりとにじり寄ってくる。
五人の瞳はこれまでとは違った目の輝きがあった。
殺意はいまだに収まらず、いや、今まで以上に燃えあがり、エシディシを焼き尽くさんと熱を持つ。
身体の限界はもうとっくに超えている。ならば彼らを突き動かすものは何か? 精神に裏切られ、無力感に苛まれながらも彼らは何を見ている?
『覚悟』だ。その覚悟とは、諦めることで受け入れることではない。自棄になって観念することでもない。
彼らの足を動かすのは、それでも前を向き歯を食いしばり、困難を受け入れる『覚悟』だ!
困難がやってくるのではない……自分たちで困難に立ち向かっていくのだ!

エシディシの研ぎ澄まされた感覚が反応した。
来る……最後の戦いが。
全てを投げ打ち、全身全霊を込めた、限界のまたその一歩先を行った、正真正銘、本当の本物の最後の戦い―――!

5人は走った。
リゾットとホルマジオは姿を消し、フーゴとジョルノがエシディシへと向かいき、ブチャラティは目的地へと駆けていく!
紫と黄金の瞬き―――このまま気を失ってもいい、指一本動かなくなってもいい!
そんな想いを乗せた二人の拳がエシディシに迫り来る。それも彼を挟み込むように、両方向から!
エシディシは引導を渡してやろうと決心した。もういい、苦しむな。お前たちはよくやったぞ。そう祈りを込め、笑った。

跳躍したエシディシは天まで届くのではないかとぐらい上昇していく。
宙返りを華麗に決め、一度距離を取って二人に襲いかかるつもりでいた。
ところが、そんなエシディシを追撃する影が一つ。パンナコッタ・フーゴ、紫色のスタンドを脇につれた彼が猛然と突っ込んできた。

(可哀想に)

単騎で突っ込んできたフーゴをフォローするかのように、後方でジョルノが蔦を伸ばし、エシディシの行動を縛る。
加速と、最後の力を振り絞ったパープル・ヘイズが吠える。
凶暴さ、狂気、全てを吐きださんと、いつも以上荒々しく暴走する力。
それも虚しいほどに無力。当たったそばから、エシディシの身体は修復を開始。既にパープル・ヘイズの毒の抗体が彼の中で出来上がっているのだ。
拳の弾幕をすべて受け止め、足に絡まる植物を引きちぎり、一歩だけ前に踏み出す。フーゴの顔に恐怖が浮かんだ。
憐みを浮かべ、エシディシは腕を振るう。弱いことはこんなにも、罪なことだったのか。

「ガはああァッ…………」

的確に鳩尾を貫いた一発、フーゴの膝から力が抜ける。
神に抗ったことを懺悔するかのように、彼はその場に崩れ落ちた。エシディシはすぐさま止めを刺そうとした。
これ以上苦しんでは可哀想だ。それが強者の傲慢さであり、権利であり、義務であると彼は思っていた。

「さようならだ」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄―――ッ!」

横やりを入れられたことで彼は少しだけ不満げな顔を浮かべた。
まぁいい、フーゴかジョルノか、順番が少しだけ入れ替わっただけのこと。
体力の限界は目に見えて明らかだった。キレもない、スピードもない。
鬼気迫るものは感じさせるが、所詮それまで。気力だけで保ったラッシュに、向かっていき、沈み込むと足払いをかける。
面白いようにすっ転んだジョルノ。バランスを失い、宙に浮いたその一瞬の間に、エシディシは蹴りを放った。

顎を捕えた一発。足の裏に届いた感触は、骨を砕き歯をも木っ端微塵にしていた。
オモチャのように、ジョルノが飛んでいくのを見る。口から噴き出た血が点々と後をつけ、まるで何かを遠くまで飛ばす競技のようだとエシディシは思った。

「さて……」

354 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:23:43 ID:ok1hkyRJ
   

355 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:23:44 ID:L0+pAh5Z
 

356 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:25:33 ID:TZWAkTaj


後で止めを刺しに行くとしよう。とりあえずは目の前の、パンナコッタ・フーゴから。
痛みに転がり、少し離れた位置にいるフーゴに向かって歩く。一刻も早く彼を『救って』あげなければ。
なるべく一瞬で。さっきは鳩尾で逆に苦しめてしまったから、首でも刎ねるか。
淡々と、病人を見る手術医の気持ちで決断した。手をいつも以上にキレ味が出るような形に変化させる。そして―――

振るった刀が捕えたのはフーゴではなかった。
透明に化けていたリゾット・ネエロが直前でフーゴ助けようと彼の体を持ち上げ、走っていたのだ。
必然的に遅れて振るわれた刀はフーゴでなく、リゾットの体を切り裂き……彼の左腕が吹き飛んだ。

支えを失ったフーゴが放り投げられ、思いきり叩きつけられた。
片手がなくなりバランスを失ったリゾットは、エシディシに向き合おうとするも、そのまま背中から倒れる。
倒れた場所が悪かったのか、ちょうど突き出た岩に頭を激しく打ち付け、フードの端から真っ赤な液体が垂れ落ちた。

3人は動かない、いや、動けない。
もはや立ち上がることさえできない虫の息。絶体絶命、まな板の上に載せられた魚。
エシディシはゆっくりとリゾットに近づいて行った。表面上は笑みを浮かべ、余裕を感じさせながら。
しかし彼は忘れていなかった。耳を澄ませ、見える限りの範囲の闇に眼を凝らす。
残りの二人はどこに行った……? 一体に何を仕掛けてくる?

両手をだらんと投げ出したリゾットを見下ろしてやる。立ったもの、倒れ伏したもの。
それでも諦めが悪いのか、リゾットはエシディシをにらみつける。
気持ちだけはお前に負けてるものか。だがそんな感情は負け惜しみだ、弱者のクソみたいな傷のなめ合い行為だ。
顔を覆い、首を振りながらため息を漏らす。可哀想に、本当に……可哀想に。

「もう苦しむな……楽に逝け、リゾット・ネエロ」
「俺の名を覚えているとは……人間は下等生物じゃなかったのか?」
「なぁに、ちょっとした気まぐれよ……そんな特別な事じゃない……」

ふと、最後ぐらいはかつての自分の流法でけりをつけようかと思った。
なんてことはない、ちょっとしたお楽しみだ。散々悩んでいた自分へのけじめでもあるし、これから来るべき未来に向けての実験でもある。
掌を綺麗に伸ばし、突き出した爪の先から細く、長い血管がするすると音もなく出てくる。
五本の操り糸はリゾットの顔を撫でまわし、ぽとりぽとりと垂れた血管が水膨れを作り出した。
出し抜けにリゾットがエシディシに話しかけた。

「エシディシ……アンタ、こいつだけは絶対に許せねェ―――ッ! って思うやつはいないか?」
「……何?」
「人間的に許せない奴はいないかって聞いてるんだ。
 俺にはたくさんいた……。しかも幸か不幸か、そんな奴らにいつも囲まれて仕事をしないといけなかった。
 話を聞かず、勝手に上げ足を取り、そこら構わずブチキレる奴。職場にピンナップ写真集を持ち込んだり、挙句の果てには女自体を連れ込むやつ。
 与えた任務はさぼり、やっと終わらせたら文句しか言わない奴。仕事もできなければ、愚痴ばかり言っていつも泣きべそばかり浮かべてるやつ。
 まともな奴のほうが少ないぐらい……正直頭を抱えたよ。
 こんなゴミ箱のクソの集まりみたいな集団で、仕事なんてやってられるか、そう思った日は数え切れない。
 全部放り出して、慌てて全員で今回だけは許してくれ、って謝られたこともある」
「昔話か……? フフフ…………! 走馬灯でも見ているのか?」
「だがな、そんな下らねェ野郎どもの集まりでもな、皆骨のある奴ばかりだった。
 俺が半殺しにしようが、路地裏に連れ込んで根性入れなおしてやろうが、次の日にはケロリとした顔でまた来やがる。
 堪らねぇぐらい気に入らねェ連中ばっかだったさ……。
 なにより気に入らねェのがそいつらが俺とまったく同じ信念を持ってたことだ」
「ほぅ、それは何だ?」

357 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:27:12 ID:L0+pAh5Z
 

358 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:28:03 ID:ok1hkyRJ
  

359 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:28:09 ID:TZWAkTaj


返事は期待していなかった。もう人間の戯言につきあうのも少し飽きてきた。
エシディシは力を込めると、血管をリゾットの中へと食い込ませる。
顔面に500℃を超える熱湯を流し込み、熟れたトマトを踏みつぶすように、跡形もなく頭部を吹き飛ばしてやる。

「それはな…………」
「―――いったん食らいついたら腕や脚の一本や二本、失おうとも決して『スタンド能力』は解除しないってことだッ!」
「ハッ?!」

声は背後から聞こえてきた。
エシディシは反射的に腕を振ろうとした。本能的に振り返ろうとした。
だがそんな暇なく、反撃の機会を与えることなく! 暗殺チームの一員、ホルマジのリトル・フィートの刀がエシディシを串刺しにした!
血が飛び、皮膚を突き破り、体の中心を突き抜け、反対側まで飛び出た刀!

暗殺とは一瞬でかたをつけなければならない。暗殺とはターゲットにばれてはならない。
暗殺とは迅速に、かつ確実にせねばならない。暗殺とはできるだけ簡単に行わなければならない。
そういう意味ではこの暗殺はまさに会心の出来! 
殺気を悟られることなく近づいたホルマジオ! ターゲットの注意をそらし続けたリゾット!
阿吽の呼吸に、達人の仕事! それはまさに暗殺チームの名が見せる一番の輝き!
しかし―――

「ククク…………」

プロと言えども、人間以外は専門外。
彼らが暗殺してきたものは心臓を貫けば始末できるものだった。首を跳ね飛ばせばそれでお終いの存在だった。
だが目の間のコイツはどうだ! 貫通した刀を中心に、僅か数秒の間に! 筋肉は盛り上がり、逆に刀を包み込むような鎧ができているではないか!
貫いたはずの武器は逆に、ホルマジオの行動を妨げる鎖に早変わり。
いや、それだけにはとどまらない……。ブジュリ、ブジュリ、不気味な音が二人の耳をつく。
焼きごてを押しつけられたような、針山に腕を叩きつけられているような。
途方もない熱と痛みがホルマジの脳内を揺らす! 自分の腕が食われ始めた……その痛みと恐怖に彼の喉から悲鳴が飛びだした。

それを見せつけるかのように、エシディシは体をくねらせる。
途切れ途切れ、激しさを増し、うねるような悲鳴は塞いだ耳すらも突き抜けるのではないかと思えた。
断末魔―――まるで全ての生命力を絞って、最後に叫んでいるのではないかと思えるほどに。

邪悪な笑みがエシディシの顔に広がっていた。これ以上ないほどの絶望の叫びに彼は酔っていた。
果たして、そんな部下の声を聞いて、リーダー様はどんな表情を浮かべるのか?
無力感に追われ、責任感に押しつぶされ、一瞬でもつかんだ勝利がするりと抜けたその表情は―――?

「言ったはずだ……―――いったん食らいついたら腕や脚の一本や二本、失おうとも決して『スタンド能力』は解除しない、とな」

予想に反してリゾットの顔は平然としていた。今までとなんら変わらず、冷酷で無表情。
気に入らない。エシディシはほんの少しだけ、苛立つ。
何故平気でいられる? 自分の部下が、自分の失態で、目の前で殺されかけているのだぞ?
死んでも解除しない? スタンド能力? 馬鹿らしい……! もっと脅えよ、苦しめ、恐怖せよ!

360 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:29:41 ID:L0+pAh5Z
 

361 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:30:06 ID:ok1hkyRJ
   

362 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:30:32 ID:I3Jm9RMJ
 

363 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:31:21 ID:TZWAkTaj


いつの時代も暴君は刺激を欲しがるものだ。エシディシにとってはそれが人間の絶望であり、恐怖であった。
だというのに目の前のコイツはなにもしない。つまらない……退屈なもの。
いや、それ以上に気に入らない。神の言うとおりに、思い通りにならないものなんぞ、不要なものだ。

エシディシは数歩前に踏み出す。依然悲鳴をあげたホルマジオは既に足に力が入らないのか、ずるずると引きずられていく。
一歩、また一歩踏み出す。ホルマジオの体が揺れる。地面にこすれ、膝から血が吹き出る。
もっと目の前で部下が悲鳴をあげてるの見せつけてやろう。
血がかかるような距離で、その手足を引きちぎり、その肉を味あわせてやろう。
そして最後は死んだ部下の手で、その力を使って惨めに八つ裂きにして、後悔させながらあの世に送ってやる!

「―――そこだ、その位置、その角度……最高だ。これ以上ないってぐらい最高にイイ位置だ」
「…………?」

じっくり時間をかけ、痛みのあまり気を失ったのか、声もなくしたホルマジを引き連れ、エシディシはリゾットの目前に立った。
既に捕食は腕にとどまらず、手も肩も、そして身体自体も少しずつ取り込み始め、まるで奇妙な二人羽織のようだった。
背中にくっつけたホルマジオを、これ以上ないぐらいグロテスクな物体に仕上げよう。
そう思っていたエシディシは、それ故にリゾットの言ってる意味がわからなかった。
まさかこの極限状態に頭がイカれてしまったのか? 直視できない現実に、彼は逃避世界に入り込んだのか?

「何を言って―――」





「「『ブッ殺す』と心の中で思ったなら…………」」」





そう想い、尋ねようとしたエシディシ。
しかし彼は見た。
リゾットの、沈んだ凍るような瞳に輝く、燃えたぎる殺意を!
鏡のように映し出された目の奥底で、自らの背中に張り付くホルマジオにもその輝きがあることに!
そして今まで見た誰のものより、その殺意が根深く、暗いことに!

364 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:32:18 ID:L0+pAh5Z
 

365 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:32:46 ID:5y3MIQ5q


366 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:33:03 ID:I3Jm9RMJ
思えばカーズを倒したのは、暗殺チームのプロシュートだったんだよな……

367 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:34:43 ID:TZWAkTaj






「「その時スデに行動は終わっているんだッ!!」」





「スティッキィ・フィンガーズッ!」
「DDDOOOOOHHHHHHHHHHH!!」

地面が、崩壊していく。
地に潜んでいたブチャラティが張り巡らせたジッパーを、一斉に解放した。積み重なるように均衡を保っていた地層は崩れ落ちていく。
木も草も、鉄も銅も。ジョルノが生んだ植物も、広大な敷地の庭も、燃え盛っていたナチス研究所も。
全てを巻きこみ、全てが深い深い闇へと吸い込まれていく。
エシディシも落ちていく。ホルマジオも落ちていく。
何もかもを巻き込み、終わりが近づいてくる。闇の奥底へ……落ちる、落ちる、落ちていく。

―――バシャンッ!

終点はすべての始まり、生命の誕生、水の中へ。
ナチス研究所という巨大な施設を司る、大きな大きな下水管。
しかし、下水管の中はまるで激流、濁流、大決壊。
これがホルマジオとリゾットが研究所の中を走り回り成し遂げた罠の集大成。
あちこちの水道管をぶち壊し、周りの配管をせき止め、全ての水をこの一本に集中させた。
それこそ川の水も、である!
数時間前に振った豪雨は川の勢いを増し、流れを加速させる。
施設の膨大な水 プラス、川の水!
もはやそれは数の暴力とは言い切れない『災害』! 水の暴力! 大自然が生んだ、決して人間がコントロールしきれない、神の力!

「NUAHHHHHHH! き……貴様らァアア――――ッ!」

激しい流れに負けず、呼吸の出来ない水も負けず。エシディシは流れに逆らい必死で泳ぐ。
身体を変形させ、水中で最も適した形に! 例え潜水艦だろうと、タンカーだろうと潰れてしまう激流でも! このエシディシは、決して負けはせん!
首の脇に、ぽっかりと二つの穴があき、流れるくる水を通し、酸素を頭へ送る。
最適の形、鮫のような抵抗の少ない肌に変化、強靭な肉体から凹凸が減る。
流線形は美しさをもたらし、なめらかさを持たらし、その存在は泳ぐためだけに生まれた形へ。
すべてを切り捨てて、彼は変身した。水の流法、新しいエシディシ―――新生柱の男だ!

だが、それでも切り捨てられないものがあった。いや、『いた』。
ホルマジオが必死で食らいつく。ボロボロの体、半分同化した肉体、ほとんど呼吸のできない状態でそれでも彼は食らいつく。
水の流れはあまりに激しく、細胞でいちいち消化していては流れに押し負けてしまう。
だが消化しなければ、大きく出っ張ったホルマジオは水の抵抗を大いに受け、エシディシの負担は大きくなる。
にっちも、さっちもいかない。しかし、そんな状況でも、エシディシの巨体は少しずつ、また少し前進する。

「なんの…………これしきのォオオ! これしきのことでェエ―――――ッ!」
「だろうと思ってたさ」

368 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:35:53 ID:L0+pAh5Z
 

369 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:36:11 ID:5y3MIQ5q


370 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:36:55 ID:ok1hkyRJ
  

371 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:37:41 ID:TZWAkTaj

「スティッキィ・フィンガーズッ!」

片手のラッシュが今のエシディシにとっては、何百人ものスタンド使いのラッシュより辛いものだった。
こんな、貧弱な攻撃が……! 便所のカスにも満たない非力な人間の……しかも、片腕による攻撃が!
吹きあげる水飛沫の波間を縫い、ブチャラティの拳が襲いかかる。
耳は切り飛ばされ、唇から血しぶきが飛び、大きなジッパーが背中を貫く。
しかし! 驚愕すべきはその男の力! 生命力にして、進化の力! それでもエシディシは進む!
どれだけブチャラティが狙いを定め、ぶちかまそうとも! その眼力は本物!
泳ぎの中でかわし、避け、時には自らの肉体を犠牲にし、それでも彼は激流に押し負けない!
人間たちに死を! 下等な生物たちに絶望を!
恐るべきはその執念! 感情がこの勝負を分けるというならばまさにこの戦いは身を削り合うを超越し、魂を削り落とす戦い!
ぶつかり合うその気迫と気迫! 精神力と精神力!

「残念だったなァアア――――ッ! 俺は死なん、死なんぞ人間どもォオオ―――――ッ!」

ダイヤモンドのような澄んだ輝きではないかもしれない。
両者はともに、あまりにも殺しを重ねてきた。血にまみれ、肉を踏みしめ、築きあげてきた山は互いに膨大な量。
生きるため、食べるため。そこに違いはあるのだろうか?
人間が人間を殺す理由と、人間でないものが人間を殺す理由。
そこに明確な善悪などはない! あるとするならそれは互いの感情のみ!
それは殺す側に立った彼らが抱く感情の差……そして、それは唯一にしてにして最大の差!

「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ――――!」

ブチャラティが、両手を離した―――『同時に』。
宙に浮かんだ身体、自由になった両の腕。存分に振るわれる拳に一瞬、思考が止まった。
戸惑うエシディシの腕を跳ね飛ばしたブチャラティの体は何の支えもない―――彼も、落ちていく。
激流を追い越し、激流を飲み込みかけていたエシディシの体が急速に重くなった。
最大の加速力にして、舵を取っていた腕が吹き飛ばされては流石の究極生命体も流されるしかない。
だが彼は水が口に飛び込んでくることも構わず、自分がなすことに意味がないと知っていても嘲りの意味を込めて吠えた。
また一人、死を……またひとつ絶望を増やすことができた。その歓喜の意味を込めて。

「フハハハ、貴様も道連れだブチャラティィイ――――! 流されて行けェエエ―――!」

頭上に広がる穴が急速に流れていく中、それに構わずエシディシは笑う。
細く暗い配管に笑いが反響する。まるでいくつもの笑い声が狂ったように増幅し、一面を包んでいた。
絶望、死。ブチャラティは死ぬ……水に流されて行く!
だが俺は生き残る! それは俺が究極生命体だからだ! 俺が生き残るのはそうなるべきだからだ!
高笑いはやまない。気が狂いそうになるような、下劣で吐き気を催す笑いだった。

372 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:39:52 ID:I3Jm9RMJ
 

373 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:39:54 ID:ok1hkyRJ
  

374 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:41:03 ID:TZWAkTaj
ただ彼は孤独だった。
一人だった。
助けを求める相手も、ピンチに駆けつける仲間もいなかった。
声に驚き見上げると、月を背にし、一人の男がエシディシの元に。
ゴールド・エクスペリエンスが作り出した蔦が穴の脇から垂れ下がり、そしてそれに捕まりぶら下がる男。

そして、その声は次の瞬間、ピタリとやんだ。

「復讐は蜜よりも甘い」

ブチャラティは川に落ちることなく、『宙に浮いて』いた。
空間が歪む。砂嵐が去ったような現象の終わりとともに、ブチャラティを支える人物が姿を現した。
真っ暗な服を、いつものように風になびかせて。
彼が姿をあらわすときは―――死を運ぶ時。

「だがそんなもののために……『自らの欲望のためだけ』に、俺は一度たりとも手を汚したことはない。
 誇りを捨て去った殺しなんぞは……この世で最も醜く、吐き気を催す邪悪な行為だ。
 そして、その慣れの果てが……今のお前だ、『究極生命体』エシディシ」

その男は誇り高い人間だった。
常に冷酷であり、無表情な仮面を張り付けていたのは、そうしなければならないほど普段の彼が激情家だったからだ。
熱く燃えたぎるマグマのような怒りは、抑えつけなければ漏れ出してしまいそうだからだ。

「そして、この俺がどうしてそんな闇の世界にのまれなかったわかるか?
 気を抜けば殺され、下手したら自らの中に潜む『化け物』に心を喰われる。
 そんな世界で俺が、『俺たち』が誇り高くい続けれたのは何故かわかるか?」

奪う側に立つ彼は死神。人の死に涙を流さなくなったのはどうしてか。
それは彼が背負ってきた命の数々……数え切れないほどの数、量りきれないほどの重み。

「気高くあり続けたい、こいつらに笑われたらかなわねェ。
 そんな、そう思わせてくれる屑が俺の周りにはいたからだ」

立ち止まり振り返っていては潰れてしまう。
足を止め後ろを眺めていれば追い付かれてしまう。
故に彼は前を見、歩き続けてきた。誰よりも先頭に立ち、誰よりも顔をあげ、そして何人もの仲間に囲まれ―――!

殺すことが悪いのか? 殺すことが悪なのか?
自分は死んだら地獄へ行くだろう。それだけは間違いない。それだけは断言できる。
だがそれでも構わない。これも全て自分が選んだ道。
だからこそ、せめて死に行く全ての、自ら手を下す全ての者の顔を、声を、命を。
背負って生きていこう。
なんの意味もない行為かもしれない。
だがそれが暗殺者として……ひとりの悪としての、唯一にして無二の誇り。
それがリゾット・ネエロという『男』なのだから。

375 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:41:13 ID:5y3MIQ5q


376 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:41:46 ID:L0+pAh5Z
 

377 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:42:07 ID:68bEM3ja



378 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:42:33 ID:5y3MIQ5q


379 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:42:52 ID:ok1hkyRJ
  

380 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:44:41 ID:I3Jm9RMJ
 

381 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:44:56 ID:TZWAkTaj



「リゾット…………」

轟々と轟く川の流れの中でも、彼の耳には確かに届いていた。
何度となく聞かされた嫌味、時に度が過ぎる憎まれ口。
かつての面影はなく、部下の呟きは消えてしまいそうになるほどか細かった。いつもの力強さは微塵もなかった。
それでも聞き逃すことはない。聞き逃してはならない。
これが―――きっと彼と最後の部下の、最後の会話になるのだから。


「今度からは……買い物ぐらい、自分でやりやがれ」
「―――悪かった」


そしてその最後の会話は、いつもどおりのホルマジオだった。


エシディシの体に異変が起きた。
シューシューと噴き出す紫色の煙。馬鹿な……そんなはずが……。
究極生命体に不可能はないはず。作り出した抗体に間違いはない。
時間差の毒なのか? いや、まさか。スタンド能力は一人に一つ。
ならば何故……一体どうしてこの俺の体は……毒され……煙をあげているというのだ?!

「ハッ!?」

それは簡単な答え。それは抗体を持たない部分から、体全身へと毒がまわっていたのだから。
即ち、毒が侵入し始めていたのだ。同化したホルマジオの体内から。

「まさか、貴様すでに感染……!」
「ブチャラティ…………こいつを、頼んだぜ」
「任せろ」

全ては計画通りだった。
研究所の水と川の水、ブチャラティのスティッキィ・フィンガーズによる足元の崩壊。
エシディシをつき落とし、大自然の力で押し流す。
やつにはどんな『スタンド』も通じない。やつにはどんな『武器』も通じない。
人間が敵うことがないとわかったならば、人間以外の手段で殺すしかない。
暗殺チーム設立以来、最も大掛かりな暗殺を彼らチームはやりきった。
仲間一人を犠牲にして。

382 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:46:19 ID:TZWAkTaj


「リトル・フィート――――――!」
「VOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

ひょっとしたらホルマジオがせずとも、エシディシは川の流れに押され、帰ってこれなかったのかもしれない。
フーゴからあらかじめカプセルを預かり、自分でそれを叩き割り、感染する必要などなかったのかもしれない。
結果論でしか話はできない。
それでもホルマジオは自分の命と、暗殺の確実性を天秤で量った時……自分の命を投げ捨てることを選んだ。
いや、投げ捨てたのではない。ただ彼もそうありたかっただけだ。
誰よりも誇り高き『男』に。

生命の最後の輝き、それがホルマジのスタンドの力となる。スタンドが振るう刀は自らの体を貫く。
エシディシの体が縮んでいく。紫色の煙をあげ、二メートルを超える大男の体が縮んでいく。
同化した身体はまさに一心同体。
ホルマジオが毒されたならば、エシディシも。ホルマジオが縮んでいくならば、エシディシも!

ブチャラティとリゾットが見つめる中、二人の体が流されていく。
遠く、遠く。小さく、小さく。
そして轟音を響かせ、黒々と流れていく川の流れに二人は飲みこまれ……何も見えなくなった。


―――何も、見えなくなった。








383 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:46:26 ID:5y3MIQ5q


384 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:46:39 ID:ok1hkyRJ
  

385 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:46:42 ID:L0+pAh5Z
 

386 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:48:32 ID:TZWAkTaj







「KWAAAAAAAAAAAAAA!!」

エシディシの耳につくのは水流の音だけではなかった。
ナチス研究所がある場所はF-2。ではこの下水管はどの方向に向かい、流れていくのか?

「か、体の変形を…………! だ、駄目だ! 間に合わん」
『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』

無論これもリゾットたちの計算通り。流される方向も含めての計画。
徐々に音量を増し、鳴り出したのは警告のためのアラーム。
首輪から発せられる甲高い電子音。


「く、この人間……離れん! こいつ、食らいついて……ハッ!!」


―――いったん食らいついたら腕や脚の一本や二本、失おうとも決して『スタンド能力』は解除ねェ


「こ……こいつ…………死んでいる!」






『5秒前、4――3――2――』


「戻れ、戻れェエエエエ―――! クソォオオオオ――――!」



『1――』










「VAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」







387 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:49:46 ID:5y3MIQ5q


388 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:49:53 ID:L0+pAh5Z
 

389 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:50:59 ID:TZWAkTaj
耳につくのは穴の下、轟々と音をたてて流れていく激流。
沈黙。戦いの終わりの証。
ここにはもう、怪物はいない。
俺たちは、勝ったんだ。

「勝った……」

ポツリとそう呟いた。
勝った、勝利した、栄光をつかんだ。
自分に言い聞かせるように、その言葉を再び口にする。
そうだ、俺たちはすごいことを成し遂げたのだ。
やったんだ、やったぞ、俺たちは。



―――だというのに、この俺が感じる虚しさは何だというのだ。
―――この胸を突くやるせない気持ちはいったい何だ。

フーゴとジョルノの声が後ろから聞こえる。
たった今俺が這いあがってきた穴に縫いつけられたように、視線をそらすことができなかった。
静寂と川の音。

「勝った……勝ったんだぞ……」

ホルマジオ、そう呼ぼうとして……その相手はもういない。
ホルマジオも、ペッシも、プロシュートも、ギアッチョも。
もう誰もいない。誰一人、いない。
まただ……また俺は、失った。
どこまでも続きそうな穴。吸い込まれていきそうな闇。
そうか…………この感情は、孤独だ。

俺は勝った。ただ、勝ったのは俺じゃない。
いや……俺は本当に勝ったのか? 俺は……ただ生き残って『しまった』だけじゃないのか?
生き残ったのは、俺独り。

犠牲なしに勝てるとは思っていなかった。
誰一人死なず、勝利を勝ち取れるとは思っていなかった。
皆、覚悟の上だった。それでも誰一人恐れず、俺についてきてくれた。
組織を裏切った時も、このゲームが始まった時も。
だが、それでももっと違った方法があったのではないか?
本当に、生き残るべきは俺だったのか?

「リゾット、治療を……」
「ジョルノ……」

背中越しの声を、俺は無視した。
ジョルノが小さな声で話しているのが聞こえた。フーゴはそれに強い口調で、しかし静かな声で言葉を返していた。

俺は、何をしているんだ。
俺は確かに敵を排除した。困難な道のりではあった。今倒さなければいつ倒す、そういう試練であったことは認める。
しかし、犠牲になったのは誰だ……? 俺の部下だ……ッ!!

部下一人守ることができず……部下を犠牲にしての勝利だと……?
そんなものを……俺は勝利と呼んでいいのか?!
これが、暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロか?!
これがリーダーか?! これが俺の……力か!!

だというのならば……俺は、何のために、誰のために…………勝利を目指し、リーダーになったのだッ!!


390 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:51:50 ID:ok1hkyRJ
  

391 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:52:15 ID:5y3MIQ5q


392 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:52:32 ID:TZWAkTaj

―――俺は…………無力だ。

脱力感と不甲斐なさ、俺は膝をつきそうになる。
誰でもない、俺自身の魂が悲鳴をあげていた。
己の無力さに。荒木に対する怒りに。
もう、俺は、何をすればいいのか、わからなかった。

茫然と立ちすくむ俺の視線の先、ジョルノが作り出した蔦をつたって、ようやくブチャラティが顔を出す。
無惨なものだった。身体中傷だらけに、足りないパーツ、不自然な歩き方に、塞がった視界。
ジョルノが急いで駆け寄ってくる。俺の傍を駆けぬけると、ブチャラティに手を差し出す。

だが、そいつは首を振った。はっきりとした拒否のサイン。
困惑した表情のジョルノ。後から続いたフーゴも理由を尋ねる。
再びブチャラティが首を振った。護衛チームの二人が顔を見合わせる。そんな二人を尻目に、奴は俺に向かって歩いてくる。
仕方なく、二人は黙って後をついて行った。

一歩、また一歩。
体は左右に揺れ、呼吸は荒く、今にも倒れかねない体を引きずりブチャラティは俺の前へと立つ。

「ご苦労だったな……」
「ああ……」
「チームのこと……ホルマジオのことは、残念だったな」
「一人を犠牲にしてあの怪物を倒せたんだ。なにもお前が謝ることじゃない。それにやつも覚悟の上だったはずだ……」

覚悟の、上。
なんとも空虚な言葉だ。笑えてくるぐらい、馬鹿らしい言葉。
一番覚悟が足りなかったのは誰でもない、俺だったはずだというのに。

上の空での会話、思考は飛び、いつもの冷静さなど微塵もない。
もうどうでもよかった。なにもかも、放り出したい気分だった。
ただ少しだけでいい、今は……時間が欲しい。
内なる怒りを、何かに向けさせてくれる時間が。
理不尽さと自分の無能っぷりに、整理を与えてくれる時間が欲しかった。

ブチャラティが黙って俺を見つめてくる。俺の目はさぞかし不抜けたモノだったのだろう。
ひたすら笑いがこみあげてくる。ただ、ただ自分の馬鹿さ加減に嫌気がさした。
それでも奴は、知ってか知らずか、俺を見る。
嫌になるような、真っすぐで、澄んだ目で、俺を見続けた。

フと、一瞬だけ、ブチャラティは視線を外し空を仰ぎ見る。
その美しいこと。満月の輝きが反射し、まるで瞳の中に輝く星を見る様だった。
その目に浮かんでいたのは何か。
俺には分からない。ただ俺はそこに、何か悟りきったような美しさを感じた。

393 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:52:56 ID:L0+pAh5Z
 

394 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:54:03 ID:TZWAkTaj


「フーゴ、ジョルノ」

振り返ると、彼は部下の名前を呼ぶ。
自然と引き締まる二人の顔。良い部下を持っている。信頼できる、長年の仲間。
そしてそれは俺が、失い、二度と得ることができないもの。

「フーゴ、お前はいつも俺たちの中で負い目を感じていなかったか?
 確かな知性と実力を持っていながら、お前はいつも俺たちにどこか遠慮を抱き距離を取ろうとしていたように思える」
「……ブチャラティ…………?」
「俺が謝らなければいけないとすれば、そんなお前に俺は何一つできなかった事だ。
 時間が解決できる問題だと、高を括っていた。俺はお前の気持ちを理解しようしなかった。
 本当に悪いことをしたと思ってる……すまなかった」
「一体、なにを……?」
「ジョルノ、俺はお前をこのチームに入れたことを誇りに思っている。
 お前がいなければ俺はあのまま腐りきっていき、やがて野垂れ死んでいたと思う。
 何もできない自分と、あの組織への絶望を抱えたままな」
「……さっきから何を言っているんですか、ブチャラティ…………?」

戸惑う二人を置き去りにし、そのままもう一度俺に向き直る。
体は限界に近いのか、左半身が痙攣し始める。
それを必死で押さえつけるブチャラティ。まるで動きだそうとする身体と、それに抵抗しているかのように。

「リゾット、お前にはもう誰もいないかもしれない。
 組織を裏切り、部下を失い、残されたのは空虚な勝利と自らへの怒り」
「…………」
「上手いこと踊らされてるよな、俺たちは荒木に……。
 絶望しか感じれないかもしれない。死にゆく仲間、無力感に苛まれ、必死でもがき、苦しみ、掴んだかすかな希望。
 それすらスルリと掌をすり抜けていく。そして、また一からだ」
「何が言いたい……?」
「だが俺たちはまた誰かを犠牲にして、それでも生きている。生きていけるチャンスを与えらている。
 ならば、『生きるしか』ないんじゃないか? 何をするとか、何をすべきとか、そんなことは後で考えればいい。
 それすらできない奴がいる。なら『それだけ』すればいい。そう思えば楽だろ?」

……こんなところをあの世のチームのやつらが見たらなんというだろうか。
腹を抱えて笑いだすだろうか? ニヤニヤしながらビデオ撮影しでもしているだろうか? 案外涙脆い何人かが泣きだすか? 
……いや、それはないか。
俺は今、護衛チームのブローノ・ブチャラティに励まされている。
敵対する相手に、殺すべき相手に、気持ちを悟られ、感情を落ち着けてもらっている。
情けない……。だが、そう思わせてくれたのもコイツだ。
目の前の、このボロボロの男は、俺より傷つきながら、俺より沢山のものを抱え、それでも俺を鼓舞している。
嫌味でもなく、情けでもなく、同情でもなく。
それが、リーダーとしての役目だと、そう思って。

395 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:55:11 ID:TZWAkTaj


「お前は暗殺チーム、俺は護衛チーム。
 本来なら手を取り合うことができる俺たちではない。だがそれをここで喜ぶというのは無粋だろうな。
 なんせそのためにいくつが犠牲になったのか? 何人惨めに散った者がいるのか?
 死んでいった中には子供も、女も、老人も。覚悟がないものも、あった者もいたはずだ。
 全てが犠牲者だ。あの荒木の野郎のな……」
「…………」
「それでもな、そうとわかっていても、リゾット……こんな碌でもない世界でも俺はお前と手を取れたことが嬉しい。
 例え濁りきった泥の中だろうと、閉じ込められた牢の中だろうと、星を見ることはできるのだと」

いつの間か、ジョルノとフーゴが俺の脇に並んでいた。
俺は何と返事すればいいのか、一度口を開け、そして黙りこむ。
静寂の中、風が過ぎ去っていった。
誰も何も言わなかった。ただ黙ってブチャラティの次の言葉を待った。

「だから、リゾット・ネエロ……お前に頼みがある。
 これはお前にしかできない、俺の……最初で最後の頼みだ」

スティッキィ・フィンガーを呼び出すと、己の胸を軽く叩く。
能力が発動、服の前面についたジッパーを下ろし、肩をはだけさせたブチャラティは俺たち三人に胸を見せる。
ジョルノが息をのんだ。隣にいたフーゴの手が、関節を白くするほど拳銃を強く握り締めるのが見えた。

ブチャラティの胸の前、そこにあるはずのない心臓が脈打ち、波打ち、鼓動していた。
巨大な心臓は生きている。力強い生命力を感じさせる血管が、ブチャラティの皮膚の下まで食い込んでいた。
言葉をなくした俺たちを、黙って見つめる瞳。
俺がさっき感じた悟りきったような輝きはこれだったのか?
奴は、最初からこうなることを、知っていたのか……?

「俺は生き返ったんだ。
 フーゴ、お前たち仲間に囲まれ、心を安らげてもらったとき。
 このゲームが始まる前、ジョルノ、お前と故郷ネアポリスと出会ったとき。
 そして、リゾット、お前にナチス研究所で『殺された』とき。
 俺の心を、奮い立たせてくれたのは、お前たちだったんだ……。
 だから後悔はない……俺は自分の信じる道を歩むことができた」

左半身の震えが激しくなる。狂ったように腕が暴れだし、足にぶつかり音をたてた。
抑えきれないのか。それでもブチャラティは顔をゆがませ、必死で体に言い聞かせる。




「だからリゾット・ネエロ、俺を殺せ」



遠く何処かで、何かが聞こえた。
放送だ、放送が始まった。









「俺を殺してくれ」

396 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:55:35 ID:L0+pAh5Z
 

397 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:56:14 ID:TZWAkTaj
【ホルマジオ 死亡】
【残り 14名】













【F-2 ナチス研究所 庭/1日目 真夜中(放送直前)】

【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]: 頬にかすり傷、身体ダメージ(極大)、身体中ボロボロ、エシディシの心臓憑依
[装備]:ジョルノの『探知機』となっている小石、スージーの指輪
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.???
1.首輪解除・打倒荒木の協力者を待つ。
2.フーゴ……。
3.いずれジョナサンを倒す。
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
6.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。

398 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:57:53 ID:TZWAkTaj
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)
[装備]:フーゴのフォーク、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(2/15)
[道具]:デイバッグ&基本支給品(リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノ、億泰、テレンスのもの そのうち一食だけ水と食料なし)
    不明支給品残り0〜1(億泰のもの)、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
    首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
    紫外線照射装置、、承太郎のライター、シャーロットちゃん、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、不明支給品0〜2(確認済:ジョルノのもの)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.???
1.ブチャラティと共に首輪の解除実験
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※リゾットの情報把握
 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
 F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)



※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り


【以下ブチャラティのメモの写し】
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから






399 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 02:58:49 ID:L0+pAh5Z
 

400 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 02:59:28 ID:TZWAkTaj
【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:精神疲労(大)、身体疲労(極大)、身体ダメージ(極大)    
[装備]:ジョージ・ブチャラティ・リゾット・ホルマジオ・グェスの衣服の一部
[道具]:なし
[思考・状況]
0.???
1.首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2.『DIO』は吐き気を催す邪悪で、『祖父』は『父』に殺されたのでは?
3.他のジョースター一族が気になる。
[備考]
※リゾットとの情報交換によって暗殺チーム、リゾットの知っている護衛チームの将来を知りました。
※ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※ラバーソウルの記憶DISCを見、全ての情報を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※ディオがスタンド使いになった事を知りました(能力は分かっていません)


【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:身体ダメージ(極大)
[装備]:ナランチャのナイフ、S&W M19(1/6)
[道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
    鳩のレターセット、メサイアのDISC、ジョルノの『探知機』となっている小石
    S&W M19の予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる
1.???
2.僕はブチャラティたちに裏切られてしまった
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。


【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:心臓のみ、ブチャラティに憑依
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:???
0.???
[備考]
※現在ブチャラティに憑依することで生きています。
 心臓だけの状態での制限や、生存時間などは不明です。次の書き手さんにお任せします。

【備考】
※F-2ナチス研究所の一部が崩壊しました。ブチャラティ達の近くに巨大な穴が開いています。
 残った研究所にも火が付いています。今後、火が鎮火するか、さらに勢いを増すかは次の書き手さんにお任せします。
 またほかの参加者から火事が見えた可能性もあります。

401 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 03:00:09 ID:5y3MIQ5q


402 :BROKEN GLASS SYNDROME ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/11(金) 03:00:49 ID:TZWAkTaj
以上です。
長い間支援を下さった方、ありがとうございました。
また二週間もの間、キャラを予約させていただき本当にありがとうございました。
誤字脱字、矛盾点修正すべき点等ありましたらよろしくお願いします。

403 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 03:03:10 ID:L0+pAh5Z
長丁場の投下乙です 感想はひと眠りしてから書きます…

404 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 03:20:17 ID:I3Jm9RMJ
投下激乙
いやはや………やはりあなたは『格』が違う………
投下中何回も何回も予想を裏切られ、そしてこの結末でしたか………
リンゴォ戦だけでも半端ないのに、あれは序章にも過ぎなかったなんて………
ブチャが貫かれた時も終わったと思った。
究極エシディシになった時はもう完全に終わったと思った。
氏がこの話をどうしても書きたいといったのも頷けます。
2週間もの予約といいますが、私にはこんな作品、一ヶ月あっても書けませんよ。
カーズに続き、エシディシも暗殺チームの前に敗れたか……
他の部もいいですが、やはり2部と5部はいいですね!覚悟の度合いが違う。

タイトルの元ネタはハリファックスですか?
つべで探してBGMにして聞いていました。
http://www.youtube.com/watch?v=SVJMMIPZSRI
よろしければ皆さんもどうぞ いい曲でした。


読みながら気がついた指摘です。
>>359
ホルマジのリトル・フィート
>>363
声もなくしたホルマジを引き連れ
>>382
それがホルマジのスタンドの力となる。
>>397
リンゴォも死んでいるので残りは13人ですね。
F・Fと違い別個体としてまだ生きているのでエシディシは生存判定でいいと思います。

あと、支援中>>323でも述べたのですが、
作中前半、エシディシがスタンドを介さずGEやスティッキーと戦っていましたが、
攻撃態勢に入った(生身の相手を攻撃しようとしている)スタンドには、逆に生身の体でも触れる(攻撃する)ことができる。
俺はこういう解釈なんだけど、これでおkでしょうか?

こんなところです。
では、お休みなさい。
大作を読みきったテンションと深夜のテンションのままの感想でした。

405 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 12:04:31 ID:7ByTJLLZ
投下乙です!
面白かったです!もはや回避不可能の死亡フラグが立ったリンゴォがこんなに格好良く死ぬとは…。
そしてマーダーになるはずだったフーゴがまさかの対主催と共闘。胸が熱くなりました。
しかも究極ACDCが死んだ時点で終わると思っていたのに、こういうオチがあるだなんて。
続きが気になりますね。次も楽しみにしています!

以下、指摘です。
>>363
味あわせる→味わわせる
>>367
振った→降った

リゾットの状態表に身体ダメージについての記載がありません。
リゾット以外は(極大)となっているので、それに準じた怪我を負っていると思われます。

あとは気になった点です。
首輪は死亡確認と同時に機能を停止しますね?ではブチャラティに心臓を憑依させた時点で本体は心停止=死亡も同然で
アナウンスは勿論、爆発もしなくなるのではないでしょうか。心臓のないエシディシが普通に喋っているのも気になります。
それとパープル・ヘイズの能力を詳しく知らないので間違った考えかも知れませんが、
ホルマジオに感染→抗体がある筈のエシディシにも感染の流れがどうしても分かりません。
普通に考えたらエシディシに効果はなく、ホルマジオの部分だけがドロドロに溶けると思います。
ウィルスが変異したのですか?同様に、首輪のアナウンスから見て確実に三十秒以上経過しているのに
ホルマジオの死体が形を保っているのもなんだか不自然です。

406 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 12:14:32 ID:I3Jm9RMJ
すみません。
読み返してもう一つ確認を……
イエテンの能力の概要と入手経路をジョルノが推理するシーンですが、
午前中プッチ&エシディシと仲間だったし、ラバソの記憶も読んでいるジョルノなら推測するまでも無い事のように思えます。
これは時間稼ぎのためにワザと話しているということでよろしいのでしょうか?

イエローテンパランスのDISCの行方は、
ホルマジオとともに激流の彼方でよろしいですか?

407 :創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 22:40:59 ID:L0+pAh5Z
改めて投下乙です
自分もBROKEN GLASS SYNDROMEをBGMにして読んでましたw

とても読み応えがあり、どの登場人物もカッコ良い…
読んでる最中色々思ったけど、エシディシのアルティメット・シイング化に興奮しました
リンゴォとホルマジオ、渋いキャラの最期がホントカッコ良かったです

でも最後にブチャラティ憑依されちゃったよおお! 誰か波紋使い呼んで来てえええ!

408 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 00:31:25 ID:lCTrt5ai
流れぶったぎってしまいますが、
日曜以降PCになかなか触れなくなってしまいそうなので、
『寄生獣』のwiki収録を本日中に行っても宜しいでしょうか?
今のところ新たな指摘は来ていないようですが……

409 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 00:49:00 ID:KuMLmMI7
関係ない 行け

ってDIO様が言ってた。大丈夫だと思います。

410 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 02:16:18 ID:lCTrt5ai
まあいいや
問題あったら訂正すればいいよね
新作ラッシュも迫ってるし、編集してきます。

411 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 03:18:52 ID:lCTrt5ai
編集してきた。
残り人数表示は三行状態表のやつを参考にしました。

412 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 14:05:14 ID:LtW7CuzF
支給品も編集した方がいいですよ

413 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/02/12(土) 17:58:02 ID:elK7FFz0
沢山の指摘、感想ありがとうございました。wiki編集の際、訂正させていただきます。

>>404
エシディシがイエローーテンパランスを薄く纏っていたのでスタンドに触れることができた、というのが私の解釈です
>>405
リゾットの状態表の指摘ありがとうございます。
修正さていただきます。

>>首輪、パープル・ヘイズ
演出上、カットしたのですがエシディシは首輪爆破の『本当に直前に』心臓だけ、禁止エリアから逃げ出したというのが私の中のストーリーです。
そして排水管の壁や天井を伝ってブチャラティに憑依、という感じなのですがそこまで説明してしまうと最後の驚きが薄まってしまうな―と思いカットしてしまいました。
備考の欄にて、説明を付け加えさせていただきます。
パープル・ヘイズに関しても、五部全員の力で勝ったという風にしたかったのでフーゴの見せ場もと思って入れました。
なので時間制限とかは、フーゴの精神がヘタレてたから…… 苦しいわけですみません。
エシディシに感染したのも私の中での勝手なノリです、ハイ……。

>>406
そうです。すみません、もう少しわかりやすいようにwiki編集の際、追記しておきます。
DISCに関しても備考に追記させていただきます。
それと石仮面に関してなのですが、原作でもカーズガ赤石つきのをかぶった時に壊れている描写があったためそうさせていただきます。
エイジャに関しても、地面の崩壊に巻き込まれたという形にします。

>>したらば816
リゾットの描写を訂正させていただきます。
それとブチャラティに関してですが、申し訳ありません、確認したところ、一部抜けがありました。
本スレ367の後、次の五行が抜けていました


ただ彼は孤独だった。
一人だった。
助けを求める相手も、ピンチに駆けつける仲間もいなかった。
声に驚き見上げると、月を背にし、一人の男がエシディシの元に。
ゴールド・エクスペリエンスが作り出した蔦が穴の脇から垂れ下がり、そしてそれに捕まりぶら下がる男。

作品収録の際、訂正させていただきます。


414 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:18:13 ID:EGVPxmmj
花京院典明 本投下します。

415 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:21:46 ID:EGVPxmmj


こうしていて、何時間経ったのだろう。
あるいは数分のことだったのかもしれない。

物音がしたとか、気配を感じたとかそういうことはなかった。
ただ、水面に気泡が浮かぶように『自分はなにをしているんだろう』そんな疑問が頭をもたげて……、
僕はようやく顔を上げた。

ひどく投げやりな気分で辺りを見回す。
『敵が近くにいたなら、僕はとっくに死んでいる』
皮肉っぽく笑うもう一人の自分をどこか頭の隅のほうに押しやって、周囲に誰もいないことを確認する。
人の気配はおろか、鳥の声も虫の音も聞こえない。
自分が死んだんじゃないかと、錯覚してしまうような静けさだった。

夢にありがちな、どこか現実と乖離した不自然さに、そうであって欲しいと願ってしまう。
『血』と『臓物』の匂いに支配されたこの空間が単なる『悪夢』だったなら、どんなに良かっただろう。
あのときのように、誰かが僕を起こして、ひどくうなされていたと言葉をかけてくれたら、どんなに………。



「       」


地面に突っ伏す前に、一度呼んだ名前だ。
反応はない。わかりきっている。

それならばどうしてこんなに喉の奥が痛い。
冷えた夜風に頬が撲たれ、世界はぼんやりと滲む。
僕は風邪でもひいたのか?


「       」


『逃げろ』という声に従って、がむしゃらに走った。
わずかに残った理性と、不安に押しつぶされそうな本心が交錯して、ナチス研究所を目指していたように思う。
禁止エリアに足を踏み込みかけて引き返し、冷静になれと何度も自分に言い聞かせて、
辿り着いたのは目的の場所じゃなかった。


「       」

416 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:24:07 ID:EGVPxmmj


特別な感情を抱いていたわけではなかった。
一緒にいて心がなごむことも、誇らしい気持ちになることもなく、
敵意を持たずに接してくれた一人の女性としか思っていなかった。
それすらも、貴重な存在だったと今は思うけれど。

その『友達』が自分を盾にしたと気付いたときには、心底失望した。

…でも声を聴いたときに心配で、いてもたってもいられなくなったのは事実だった。
誤解を解けばすんだ仲間より彼女を追いかけることを優先したのは僕の意志だ。
その結果また裏切られた形になったけれど、放送でその名が告げられなくて、安堵したのも本心だった。
―守れる可能性のあった人達―、そこに彼女が列せられなくて良かったと確かに思ったんだ。

僕は、小心者の彼女に、自分を重ねていたのかもしれない。
孤独ぶって、他人を信じられず、過ちを犯した自分を。
彼女もそうだと、過ちを犯しても前を向くことができると、信じたかったのかもしれない。
あんなに非力で、不安定な女性に勝手な思い込みを押し付けて、
あてがはずれ彼女に裏切られたなら、それは弱い彼女のせい。僕が罪悪感に苛まれることもない。
そんな都合のいい善意を強要して……、その結果が…………。


「あのときあなたに、命をかけても守るといった……、本当に、そう、思っていたんですよ」


彼女でもいい、誰かに命を奉げて生きていたら、後悔の涙など流さずに死ねただろうか。
こんな風にただ惨めに地面を拳で打ちつけて、その行為に意味などありはしないのに。

彼が、アナスイが羨ましい。悩みも後悔も断ち切った彼が。
それほどに強い意志を持ちえた彼が。


僕はどうだ?


あの時、荒木に喧嘩を売りさえしなければ、
グェスさんは危険な目にあわずに済んだ?
フーゴは涙を見せずに済んだ?

あの時、もっと警戒できていれば、
フェルディナンド博士は謎の死を遂げずに済んだ?
フーゴにトニオさんを殺させずに済んだ?

あの時、ちゃんと立ち回れていれば、
ポルナレフの信頼を失わずに済んだ?

あの時、余計なことをしなければ、
ティムさんは死なずに済んだ?
アナスイは彼を、友を殺さずに済んだ?

自分がもっと、もっと、しっかりしていれば、
アヴドゥルさんも、ジョースターさんも、承太郎も、イギーも、失わずに済んだ?


あの時、信じきることができたなら…………


僕にはもう、なにも……、なにも………、残っていない……
友情も、自分が生きたという証も、なにも………

417 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:26:42 ID:EGVPxmmj


ナチス研究所を目指したのも、フーゴやフェルディナンド博士に演説をぶったのも
誰かに肯定して欲しかったんだ。
あなたは悪くない。正しいことをしたと。
そのおかげで助かったと、言って欲しかったんだ……。

良心に因る行為が、正義に違いないと、
仲間達と共に見た輝く意志は、継いでいくことができると、信じさせて欲しかったんだ。


その結果がこれか。

……なにもできず、誰も傷つけずにいられたなら良かった。

ぜんぶ、僕のせいだ。

僕のせいで死んでしまった人、傷ついた人はもう片手じゃ足りない。
僕の中途半端な行為のせいで二次的な被害を受けた人は、きっと両手でも足りない。


ぜんぶ、ぜんぶ、僕が悪かったんだ………。


何が足りなかったなんて考えたくもない。
すべては遅かった。
起きてしまった事柄はどうあがいても、変えようがない。

笑いがこみあげるほど……、なんて愚かなんだろう。




ヒヤリ、とスタンドの手が首輪の感覚を伝える。




―――これを引き抜こうとしてしまえば、これ以上苦しまずに、誰にも迷惑をかけずにすむ………




そのままスタンドへ命じた。 『力をかけてしまえ』と。

418 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:31:20 ID:EGVPxmmj





















しかし、爆発は起こらなかった。

起こせなかった。


「クソッ……」


噛んでいた唇から血が滴り、地面に黒いドットが描かれる。

わかっている。これは逃げだと。
だから、もう一つの我身は力をかけようとしなかった。

一瞬で苦しまないで死ねる、なんて僕に許された選択肢じゃない。

わかってるんだ。傷つけた人達に償いをしなきゃいけないって。
それが終わるまで、僕はもがき続けなきゃいけない。


「『救い』なんてありませんよ」


守られるべき弱者も、守るべき強者も等しく死んでいく。
そこには正義も悪も存在しない。
ただ、強すぎる意志が絡み合い、もつれ合い、失われていくだけだ。

僕はもう自分が正しい行いをしているという自信がない。
一人の女性に無私の愛を奉げる行為を尊くすら思ってしまう。
『正義』や『道徳』、僕が大切だと思っていたものはすべて僕自身のエゴだったのかと疑ってしまう。
ティムさんとの約束がなければ、この厄介な脳はもう身体から離れていただろう。

アナスイの心の闇を晴らすことを『救い』というのなら、僕になんかできるはずがない。
信頼しあっていたティムさんに不可能だったことを、部外者の僕がどうして行える?

419 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:33:50 ID:EGVPxmmj

かといって、徐倫さんを再び巻き込むつもりはない。
娘を危険な目にあわせたなんて知れたら、承太郎は怒るだろうな。
無神経なように見えて、人一倍優しいから。


「必ず、僕が彼を止めます。 彼の闇がこれ以上誰かを引きずり込まないように」


ティムさんはアナスイがこれ以上人を殺めることを絶対望んでいないから、それだけはやり遂げなければ。
それが一度殺されかけた僕にできるせいいっぱいの行動。
誰もその結末を望んでいないかもしれないけれど。



そして、横たわった二人……。
お互いに傷つけあった末にこうなったとは考えがたく、
確実なのは、どちらかに殺意を向けた人間がいるということ。
どちらが先かはわからないが、相打ちというには少年が甚振られすぎている。
もしも瀕死の少年が彼女を撃ったなら、ここにはその銃がない。

彼女がトチ狂って少年を痛めつけ、駆けつけた第三者が彼女を撃ったのかもしれないが、
それは真実ではないと信じたい。

もしも、生きてアナスイを止めることが出来たなら、銃とナイフを所持した『誰か』を捜そうか。


(けれど、『仇』を討つ、それは正しい『償い』なんだろうか……)


『償い』も自分の心を楽にしたいだけなのかもしれない。
取り返しの付かない失敗が誰に許されるわけもないのに、
『償い』だ『救い』だなんだといって、結局僕は自己保身に躍起になっている。


僕が、これ以上ないというほど苦しんで、血反吐を吐きながら死んでいったら、みんな、満足してくれるだろうか。

420 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:36:03 ID:EGVPxmmj



人目の付かない場所へ、二人の身体を運ぶ。
あまりに惨い状態の少年の身体はハンカチで覆ってやった。
そんなことをしても、彼の傷が癒えたりするはずがないけれど、
それでも自分は人として、気遣いや憐みの感情を捨てはしないと、自分に誓うための行為だった。

人として、生きて、果て、その行為が正しかったと心から思えたならば
正しい方向へ導いてくれた人たちに感謝して、僕はその瞬間にも笑っているだろう。



はるか遠く、死んだ星の光に願った。
ずっと僕を照らしていて欲しい、と。




【G-2 やや南部/1日目 真夜中】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
0.自分のせいで傷ついた人達に『償い』をしたい。けれど『償い』とはなに?
1.アナスイを止める。おそらく殺さざるを得ない。
2.ポルナレフとの再会、誤解を解く。
3.ナチス研究所に行き自分の知る情報を伝えたい。でもそれは自分を肯定して欲しいだけかもしれない。
4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、が正しい行動だと信じたい。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。

※早人とグェスの遺体を人目の付かない場所へ移動させました。

421 : ◆4eLeLFC2bQ :2011/02/12(土) 21:38:16 ID:EGVPxmmj
以上です。
鬱っぽい独白なので短めに短めに……。
誤字脱字・矛盾等ございましたら、引き続きご指摘お願いします。

422 :創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 23:08:10 ID:lCTrt5ai
投下乙
繋ぎ回はとても難しいと思います。
特に問題は見受けられません。


423 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 01:08:23 ID:1Ja8RoxV
投下乙!
花京院、いいなぁ……個人的なイメージだが、こいつは苦悩するのが似合う。
だが今までの境遇を考えると、こうならないほうがおかしいかもだなw

しっかし、人間やめちゃったアナスイとフラグが立った、と思うんだが勝ち目はあるのか。
めっちゃ見たいぞ、その対戦カードw
ハイエロは何かと万能だし、本体も頭いいし。
アナスイ+FFはすんごい脅威だけど、けっこういい勝負になるかもッ!

今までの話を見事に取り入れて活かし切った氏に敬意を表します。
納得の鬱話、堪能させてもらいました。

改めて乙!

424 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 02:10:08 ID:7WFMKoPx
乙です!
長らくロワを離れてて、久しぶりに全部通して読み切ったときにこの投下!なんか嬉しいです!

どうなる花京院…
FF内蔵アナスイを単騎で止められるのか?
できることなら徐倫を含めた三人の心を救って、
それによって花京院自身も救われてほしいなぁ。
頑張れ花京院!

425 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:08:19 ID:CFsYjfuO
(一回10秒――4分なら、16回が限度か。単純に計算すれば)

首輪越しに忠告された、制約。
意味することをおおむね理解し、逆算する。
しかし、6分――同じように概算した場合、36回――も時を飛ばした思えはない。

(『エピタフ』の発動も、含まれているのだろう)

しかし、『時を飛ばす』という原理では、墓碑銘が示す未来予知も同じカテゴリーに当てはまる。
施された呪縛は相当に厳しいものである。
それでも、荒木の囁きはディアボロの心変わりを誘発するものではない。

(だが、それ以前に俺はおそらく――)

懸念は別にあった。

「吉影。お前が前衛、俺は後衛だ」
「偉そうに言うなよ、貴様」
「左手の無い俺を前に出すのか? 正気とは思えんな」

ディオが鼻で笑う。
左手を爆破し、ディオが積極的に出れない原因を作りだしたのは吉影だ。
遠まわしに非難する言い回しなのは明らかだが、吉影は自省などするものかといった含みを持たせてディオを睨み、舌を鳴らす。

「臆病風に吹かれて、途中で逃げるんじゃあないぞ」
「まさか」

激昂して殴りかかりなどすれば、非を認めたことになる。
吉影がディオに強い言葉を投げかけても、どこ吹く風と聞き流す。

奇妙な光景だ。
時代ごとの因縁の発端、その三者が異なる胸の内を秘め、集おうとは。
ディオに継承された、悪意の宿る純白の大蛇を含めれば、四者四様の邪悪の本流が場を同じくすることとなる。
それも奇妙だが、しかし。

それ以上におかしな光景が、ディアボロの目の前にある。
弾丸軌道の『過程』を吹き飛ばして『結果』を残したのだから、死体が二つ出来あがっていてもおかしくないのに。
ジョナサンが掃射した弾丸による傷跡は、いずれも急所を外れ、大した出血もないのだ。

(銃創があると言うのに俄然元気だ。奴らが特別、丈夫だからか? そんなはずはない)

特に痛みに悶えたり、傷口を抑えたりする様子もない。弾丸が当たる『結果』を残したはずなのに。
ディアボロは理解している。

(弾丸が当たるという『結果』は、リゾットの時のように完全に命中した後の『結果』ではなかった。ゆえに、二人に対処する時間が生まれた)

飛ばす時間が、僅かに短かったから。
現前した『結果』は、二人に弾丸が命中する直前だったために、致命傷を与えることはなかった。
無論、ディアボロは能力発動の際、手を抜いていない。

(分かっている。俺には仲間が出来た。早人、露伴、億泰、シーザー、そして、ポルナレフやジョセフ)

従え、意のままに動かす部下と、志を共にし、歩む仲間は違う。
悠久の死罪を迎える以前も最中も、決して得られなかったもの。
永らく孤独と辛苦しか味わえなかった彼の心に、仲間は間違いなく救いをもたらしただろう。




426 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:13:09 ID:CFsYjfuO
(かつてとは、変わりすぎた)

だが、その出会いに、ディアボロは影響され過ぎた。
『キング・クリムゾン』は、真に未来へ突き進むことを恐れるディアボロの本分が生み出したもの。
仲間を手に入れ、前を見ることに対して怖れを無くしたディアボロの変化は、絶大なものだった。

(『キング・クリムゾン』が、俺のか弱い精神から生まれたのであれば……俺はいずれ)

スタンド能力を、変容させるほどに。弱体化させるほどに。
荒木が手を施すまでもなく、『キング・クリムゾン』は、王という不相応なメッキがはがれて行くだろう。
『エピタフ』で都合の悪い未来を読み取れれば。『時を吹き飛ばす能力』で都合の悪い未来をかき消すことができれば。
その望みは、能力云々ではなく、単純に未来を長く見据えた場合に関しては、ディアボロ自身によって否定された。
彼は不都合な未来を恐れなくなってしまったから。仲間を心の拠り所とすることが出来るようになったから。

人の成長は、未熟な過去に打ち勝つことだ。
では、未熟な過去から生まれ出づる『力』は、未熟を克服したときどこへ向かう。
解の一部を、ディアボロは証明した。

(時を、飛ばせなくなるだろうな)

拡声器による少女の叫びを聞きつけてから、ポルナレフとの邂逅から逃走を経た際、何度か時を飛ばした。
その後の疲労は、スタンドの変化の予兆だったのだろう。
行きつく先は、おそらくスタンド能力の喪失。
『シアーハートアタック』の爆発から逃れられたのは、ギリギリで対応できたという運の良さがあったから。
そんな幸運、長く続くはずがない。このままでは、苦戦は避けられまい。

ディアボロは、それを良しとするだろうか。
強さに裏付けられた弱さを、受け入れるだろうか。
あるいは、弱さに裏付けられた強さを、肯定するだろうか。


  ★



427 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:17:08 ID:CFsYjfuO
ラバーソールの支給品は、こと実戦に於いてほとんど役に立たないものばかりだった。
戦術や戦略の構築に貢献するか、という面での評価では、CCDカメラは大いに役立ったと言えるだろう。
しかしあえて、もっと原始的なところに立ち戻ってみる必要もある。

バトル・ロワイアルの最大鉄則として、何より、他人に死傷を与えなければならない。
ラバーソールの支給品にそれが出来るとは、お世辞にも言い難い。

ギャンブルチップ20枚はどうか。小型で、少量なら携帯も余裕。『キラークイーン』の手札に加えることが真っ先に考えられる。
しかし、爆弾にするなら油断を誘えるうえ、ある程度の加工が出来る分、角砂糖の方が利用価値は上だろう。
吉影が所持することになったが、多用することはないだろうと、ほとんどデイパックにしまっている。
アイアンボールボーガンはどうか。当たり所が悪ければ、致命傷は与えられるだろう。
しかし、スタンドを用いなければ反動に悩まされる。ディオに至っては片手で扱わなければならず、取り回しが利かない。
さらに、連射が出来ないというのも痛い。鉄球を爆弾の媒介にするのも、二発限りでは気が引ける。
体格的にはジョナサンに渡すのが最善だったろうが、マシンガンを持っている相手にその提案は通るまい。
吉影に必要性はないと判断し、ボウガン、弾丸ともにディオが所持することに。
剃刀と釘のセットはどうか。刃物と言う面では役に立ちそうではある。
しかし、いかんせんスタンドを超えるメリットがないに等しい。手裏剣のように投げ飛ばすなら、射程距離の面でボウガンに利がある。
ディオが全て所持しているが、この分配はギャンブルチップを総取りした吉良に対する不公平感をなくすための措置でしかない。
二分間睡眠薬はどうか。
もはや論外。吉影の持つ紅茶に混入するのが有効だが、見敵必殺の方針なら呑気にお茶会を開いている場合ではない。
裏切りを警戒してか、吉影が持つことに。

残る武器は。

「ディオ、提案したからには働いてもらうぞ」
「当然だ。武器からしてもそれが順当だからな」

ディオが肩に掛けている、サブマシンガン。
残弾も十分にあり、取り回しは容易。ラバーソールの所有物の中では、間違いなく主力の兵装だ。

「おそらく奴の能力は物質転移に近い何かだ。下手に当てようとするとこちらに返されるかもしれん。足下を狙え」

『シアーハートアタック』の爆発の一件は、認識がぽっかり抜けたために考察が困難。
ジョナサンの銃撃が通り抜けたことから、能力を考察するしかなくなる。
時間を飛ばす、という解釈に至るには、たった一回の時間跳躍では名探偵でもなければとてもじゃあないが辿り着けない。

だが、弾幕を張るという行動は正解だ。
ディオは片手、どう考えたって精密射撃は無理。ならいっそのこと、撒き散らす。
『キング・クリムゾン』は見た目通り、数ある中でもとびきり近距離型のスタンドなのだから、接近しなければロクな攻撃を行えなくなる。
ただばら撒かれただけで、防戦一方、打つ手なしだ。
石やら枝やら投擲しようにも、絶え間ない鉛の雨を掻い潜っての反撃は至難。

回避に専念できるなら、まだいい。サイドに控える吉影が、ただ命令して棒立ち、などということがあるか。
兆弾音が闇夜に響くなか、ディアボロの回避運動を見計らい、吉影が角砂糖を放る。

428 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:21:35 ID:CFsYjfuO


「『キング・クリムゾン』!」

掻い潜るのは無理と見るや、出し惜しまずに、時を飛ばす。

瞬く間に、世界は砂糖菓子のように脆く決壊、王宮への扉が開かれた。
墨を溶かしたように黒く染まる世界にて、あらゆる弾道がスローモーションと化す。
難なくかわし、吉影に側立って挙動を注視する。
ただ角砂糖を投げたとは考え難い。能力の媒介であるとの見方が妥当。
観察を続けていると、吉影がシャープペンシルの芯を出すように、親指をグッと人差し指に押し付けた途端、角砂糖が四散した。

(能力は把握した。奴が投げる物に警戒する必要があるな)

この時間跳躍の成果は大きい。後は、残された時間をどう活かすか。
いかに全ての動きに対応できると言っても、流れゆく時間は、二人を相手にしているという事実は変わらない。
一先ず血の眼つぶしをしてしまうか――そう考えているさなかで、崩れ落ちた世界が復元し始める。

(やはり短くなっている!)

時は再始動。
目と鼻の先にいる以上、そのままというわけにもいかず、咄嗟に吉影を殴る。
だが悪手だ。止めを刺すことなく、吹き飛ばしてしまってはまた攻撃が当てづらくなる。
不完全な不意打ちにより、吉影がガードに成功したのも痛い。

撃ち飛ばされた吉影が、その勢いのままディオにぶつかって両者転げる。
吉影は即座に膝立ち、服に付いた土ぼこりを払って臨戦態勢を整える。
しかしながらディオは、うつ伏せてからというものの、その手に握られた短機関銃を見つめたまま。
吉影が怪訝な顔を向けた頃にむくりと起き上がったディオがディアボロに向けた顔は、勝利が約束されていると物語るかのように、得意げだった。

「時間を飛び越える能力、か?」

その一言でディアボロと吉影、両者の視線が集うのと同時に、ディオはサブマシンガンを空砲のように上方に向ける。
トリガーを二度三度引いて見せたが、銃口からは何も出てこない。

「俺が気づく前に、いつの間にか弾切れしていた。物質転移なら、この現象が説明できない」

マシンガン内の弾丸を転移したと言う結論に達するわけがない。
時間の無駄だ。そんな暇があるならとっとと殴ればいい。ならば弾はどこへ消えた。
消えたのではない、『ある』のだ。掃射していた場所に、全て。熱を保ちながら。

「認識をおいてけぼりにして時間だけ経過させる、ということか?」
「おそらくな」

残弾が都合よく切れたという不運もあったが、ヒントを与え過ぎた。
ことスタンドバトルにおいて、能力が割れているのといないのとでは、雲泥の差がある。
ディアボロも吉影の能力をおおよそ把握し、ディオの方もDISCを投げつけたことから推測材料はある。
それでもなお、ハンディは残る。


429 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:25:13 ID:CFsYjfuO
「再びその能力を使う気か? 一人倒したところで残った一人にやられるのが関の山だろうに」

戦力差は、どうあがいても埋めることができない。
時に干渉する上、連続で発動できないのは『スター・プラチナ』と一緒であると、吉影は経験則から学んでいる。
このタイプ、タイマンならば圧倒的だが、2対1では能力解除後の隙を狙われやすい。

「私の平穏のため、踏み台になる覚悟は出来たか?」

怯えろ、すくめ、絶望せよ。
騒乱が必然と歴史が証明するのなら、弱者の淘汰も、また。

「覚悟とは、諦めの精神ではない」

されど、吉良吉影は『覚悟』を履き違えた。
今こそ言おう。命を安く見ていた頃の自分には見いだせなかった教訓を。
今こそ言おう。彼の誇り高き精神から学んだことを。

「暗闇の荒野に進むべき道を切り開く、その心こそ覚悟なんだ!」

鎮まることのない魂が彷徨う、死と言う名の無限回廊――抜けた先、暗闇の荒野を切り開いて見せたのは、一人の男の覚悟だった。
絶望の淵に立たされようと、犠牲でも、諦めでもない姿勢を貫いた。
彼から託された志、その意味を、履き違えたりなぞするものか。

「無駄口を叩いたな」

ディアボロの高説に賛辞も嘲笑も挟まず、突如、ディオが口を開く。

茂みより飛びかかる、大男の影。
いや、遠隔操作でディオから広く離れた『ホワイトスネイク』だ。
ディアボロを羽交い絞めにしようと、掴みかかるも。

「抑えられるとでも!」

距離が離れれば離れるほどパワーが弱くなる、と言うのはスタンドを扱う上での大前提だ。
吹き飛ばされたという不運があったとはいえ、いかんせん距離が離れすぎた。
更に、左手首を喪失しているのでは拘束は緩くなる。

「抑えてもらうさ!」

それでも、吉影がその僅かな隙を見過ごすわけでもなく、ディアボロ目掛け角砂糖を弾く。
ディアボロは、自身の能力への対策を即席で組み立てた敵の順能力に歯噛みする。
時を飛ばしたところで、身動きできなければ何の意味もない。
いかに縛りがやわなものでも、振りほどくより先に心臓一直線に迫る凶弾がディアボロに到達するだろう。
来るべき『結果』は、三者誰にでも予想できるもの。

「チィッ!」

ディアボロの右足が、股関節を中心に縦の半円を描く。
爆裂音。
白煙発するは、消し飛んだつま先。噴き出す鮮血が地表に染みわたる。

「足を犠牲に!?」
「犠牲ではない!」

振り上げた勢いのまま、元の軌道を辿り、振り子のように足を振り下ろす。
『ホワイトスネイク』のすねに『キング・クリムゾン』の踵が直撃。
ディオがたまらず呻き声上げるも、近距離は『キング・クリムゾン』の独壇場、ここで終わるわけがない。

「勇気だ!」

430 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:29:12 ID:CFsYjfuO
距離の条件が互角だったとしても、その敏捷性は他の追随を許さない。
『キング・クリムゾン』が『ホワイトスネイク』の鳩尾に肘打ち、たたらを踏んだところで追撃の裏拳。
『ホワイトスネイク』がもんどり打つのに合わせ、ディオもまた、馬力の違いに地面に背を滑らせる他なかった。

「何をしているッ! この役立たずが!」

盛大に舌を打ち、癇癪を起した吉影。
腹部を抑えてうずくまるディオは、見返すことさえ出来ずに悶え、地べたを這うのが限界だった。
目論見外れたあげく戦力が減ったとなれば、いかに紳士を演じるのに慣れた吉影でも、ささくれだつのは無理もない。
にもかかわらずディアボロは、先の一言に違和感を払拭できず、間合いを詰められずにいた。
確かに、ロクに拘束を行えなかったのは事実だろう。
焦りがあるなら、射程距離の事情など忘れていてもおかしくはない。

では、相方を罵る割に、唇端が僅かに吊り上っているとはどういうことか。

「ぐッ!」

突如背後から感じた重みに、頭部ががくんと上下に揺れた。ディアボロが膝をつく。
『ホワイトスネイク』の手には、鉄球既に放たれたアイアンボールボウガン。茂みに隠していたもの。
パワー不足で反動をもろに受け、狙いがぶれたため、頭頂部をかすめる程度しか当たらなかったが。

ディアボロは咄嗟に上目遣い、視線の高度を元の位置に戻そうとするも。

(上が……見えないッ!)

ずるりと這い出た弾力ある薄板が、ディアボロの視界を妨げる。

吉影の一言は、フェイク。
頭部からはみ出すスタンドDISCは吉影にも見えており、そこからディオの作戦が見て取れたようだ。
銀板が顔を覗かせていても、パワーでは押しきれず取り出すのはさすがに難儀する。だが、ちょいと衝撃を加えればずり落ちる。
そうなればしめたもの、低い姿勢に持ち込めば帽子のつばを下げたみたいに邪魔になる。
『ホワイトスネイク』はディアボロに触れ続けるため守りの体勢が取れず、ディオは攻撃をもろに食らうことになったが。
アイアンボールボウガンを射るのが精一杯だったが、勝敗は間もなく、決する。

「次の爆弾で終わりにしてやるッ!」


431 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:33:50 ID:CFsYjfuO
スタンドの脚力を借り、吉影がゆうに5メートルはジャンプする。頭上はディアボロにとって完全な死角。
時間がない。取れる行動は限られる。
時を飛ばしたところで、アクティブに動けないのなら動かないのと同じ。爆弾が放たれ、ディアボロに接触すれば終わりだ。

ディアボロは、瞬時にデイパックに手を伸ばし、目当てのものを引き当てた。

「上に跳んだというのならッ!」

天に放つは、電源をつけ、秘めたる輝きを露わにした懐中電灯。
その光輝、暗闇に慣れた目にはつらいものがあり、自然、吉影は怯み角砂糖の投下位置がずれる。
まさに好機。

「くっ、だがしかし! 目を潰したからって、どうなるわけでもないだろう!」

それでも、文字通り上下の構図が入れ替わるわけではない。
このまま吉影が重力に従い馬乗りにでもなれば、勝敗は決する。
ディアボロは自らに近在する半身を格納。

「懐中電灯は、お前の目を潰すためだけに投げたわけじゃあないッ!」

普通、見たいのに遮蔽物によって前が見えないのなら策を弄してでも見ようとするだろう。
敵が肉薄し、対処しなければならないのなら、なおさら視界を取り戻さなければならない。
しかし、ディアボロが見たのは足下。

「俺の『目』にするためだッ!」

ディアボロが見たのは、懐中電灯を通して移る、吉影の影。互いの距離。
吉良吉影は天から泥を見た。ディアボロは泥から星の光を通して天を見た。
影が自分に重なる瞬間。

(「2……メートル」!)

信頼を置いた、元部下の声がした。
二つの声が重なるように、思考が融合したかのように。

(そうだな、ドッピオ……『友』である、お前もいた)

ディアボロは己の右腕で、空切るように天を突く。
その勢いのまま、スタンドヴィジョンを腕のみ発現し、拳から伸ばした。

「届けェェェェェッ!」

自分の身長に、伸長させた腕2メートルを加えることで、ヴィジョンを出したままの吉影の射程を上回る。
その技、ジョナサン・ジョースターがウィル・A・ツェペリから受け継いだ技のように。
その形、文字通り人類を喰い散らかす、吸血鬼という巨悪を打ち砕くため織り成されてきた技のように。

――ズームパンチのように!


432 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:38:19 ID:CFsYjfuO
「グアアァァァッ!」

アッパーカットで不意食らった吉影が、後方にグルンと一回転して地面に叩きつけられる。
歩み寄るディアボロ。しかし、踏み込んだ足下に角砂糖。
策を警戒し、接触型ではなく着弾点火式にしたのが幸いした。
これはチャンスとばかりに、サムズアップするも。

「オラァッ!」

起爆より早く、『キング・クリムゾン』が垂直に拳を振り下ろす。
打突された『キラークイーン』の右手が、脆くなったガラス細工のようにひび割れた。

「うぐぅあっ!」
「スイッチは砕いた……。もう……押させるものか!」

吉影、『キラークイーン』の左手を支えにして起き上がる。
だが、身を起こしたところで地に足は付いた。重力のまま大地に立っているのなら見えている。ディアボロには見えている。

「この……このクソカスがあああああ!」
「『キング・クリムゾン』!」

ディアボロ、再びスタンドの全身像を発現。吉影の胸ぐらをつかんで持ち上げる。
前が見えない? 前には居るのだから、そう深刻に捉える必要はない。
数を撃てば当たるのだ。

「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル」

いざ放たれん、断罪の流星群。
数百、数千、数万と叩きこむ。

「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル」

吉影の右手より溢れる血しぶきがベタリとかかろうとも。
骨が軋み、折れる音が響き渡ろうとも。
タコの吸盤のように、四肢、胴体、顔面各所がボコボコとへこもうとも。
叩いては引き、叩いては引きの連撃はめまぐるしく、途切れることなく。

「ヴァオール・インフェルノ(地獄に行け)」

433 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:42:10 ID:CFsYjfuO
静かなる宣告。最後の一撃で、吉影は宙へ舞い上がる。
それを見届けるディアボロは、仁王立ち。
まだ、倒れるわけにはいかない。背後に控えているであろうスタンドの対処を行わなければならない。

その必要はなかった。
ディオは『ホワイトスネイク』のヴィジョンを既に戻し、吉影をキャッチさせていたのだから。
残る敵の対処に追われるのはディオとて同じ。

「ここは、退け……!」
「怖気づいたか!」
「策なら、ある……」

『ホワイトスネイク』に引き寄せられ、ディオの耳元で囁いた吉影に対し、偉そうに、と悪態付くディオ。
吉影はまだ生きていた。前が見えなかった分、乱打が半分ほどしか当たらなかったと言う僅かばかりの幸運が働いた。
無論、ディアボロにとっては不幸なのだが。

「……なるほどな」

息巻いていたディオは、しかし、暫時を挟んだのち、ぼそりと低語の声で了承しすぐさま退却する。
すぐさまと言っても、ディオ本人の動きは決して速いものとはいえない。未だ癒えぬ内臓の痛みに腹部を抑えている。
重しにしかならないサブマシンガンは投げ捨てたが、全力疾走とはお世辞にも言えず。

ただちに追走すれば、背を向けていることもあり決着はすぐに付くだろう。
そう思いディアボロが前に駆けようとするも、つま先の激痛により立ち止まるほかなくなる。

「足を潰された以上、追撃はさすがに無理……か」

立ち去る二人の背が小さくなったころ、ディアボロが腰を下ろす。
危ないところだった。傍目には華麗なる逆転劇だったかもしれないが、消耗戦ではこちらが不利だったろう。
シーザーの無事を確かめたいが、激戦を終えた今は休む必要がある。動こうにも、足の処置が急務だ。

「いや、こっちが先だ」

頭部から伸びた、ゴム板のような何かに触れる。
何かが頭の中で滑るような感触がしたんだが、と呟くものの、主観ではどうなっているか分からない。
抜け落ちるように滑ったのだから、逆方向に入れてやればいいのか? と、単純な考え方で押し込む。
奇妙な事に、それで元通りになった。擦って、継ぎ目一つない、元の額の丸みを確認する。
視界が開け、ふと、封じられていた反動からか上を向く。

「綺麗な星空だ」

溜息をつく。
一つ一つが煌びやかで、作り物のプラネタリウムとは思えないくらいに。
恒久地獄に心身を削られた記憶しかない頃の夜とは、こうも違う。夜闇の中に光を見いだせるのだから。
暗闇の中にある光明は、得てして人を落ち着けるらしい。天の光は全て星。ディアボロは、その片鱗を見た。

だが、まだ見るべき光がある。

川尻早人は、フーゴに人質として捕らわれた際シーザーに『僕に構わずこいつを倒せ』と言った。
だがディアボロは、フーゴに引導を渡すのに抵抗を感じ、とどめを刺せないまま選択をブチャラティたちに譲る。
ディアボロには足りない。早人のように、善悪を超越した意思が。『漆黒の意思』が。
受け身の対応者であり続ければ、おそらく繰り返される。

己の意志以外全てをなげうってでも遂行すべきことがあるのなら、ディアボロは再び時を飛ばせるようになるだろう。
だが、元通りになることが真の強さとは限らない。取り戻した時、再び悪に堕ちないという保証はない。
本当に力を失うことが本望なら、受け入れるほかないだろう。
力尽きるその時まで。


434 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 17:46:09 ID:CFsYjfuO
  ★


「この私が……なんて無様なッ!」

なんてスピードだったんだ……! 空条承太郎みたいに速すぎるッ!
パワーのあるスタンドのラッシュなんぞ、そう何度も経験したくはなかったと言うのに!
寝転がって楽な体制を取っても体の節々が痛む……ああ、血も出てるし、涙も流れてきた!
どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって! だがあいつは重大なミスを犯したッ!

「しかし、私の勝ちだ! 私の能力をちょっぴり封じ、調子に乗ったようだが、あのクソカスの命運は尽きた!」

触れたものは何であろうと爆弾に変えられる。だが爆弾に出来るのは一度に一つだけ。
だから私は、角砂糖を起爆する前に爆弾化を解除、タコ殴りにされてる間『私の右手から出る血しぶき』を爆弾に変えた!
あの一撃、手加減なんざまるでしなかったんだろうが、出血量が増えてむしろ好都合というもの。
東方仗助……お前は実に厄介な奴だったが、あの時の戦闘で得たものは決して無駄じゃあなかった。
何せ、自分の血液を武器にするという発想はお前譲りのものだからな。
かつてないほどに心の平和を乱した貴様のおかげで、私は勝利する。『命』を『運ぶ』と書いて『運命』とは言ったものだ。
奴の五体が既に爆弾! 接触型だとこちらに被害が出る恐れがあったので、着弾点火式のな!
手首を切断しなかったのがお前の甘さだ! さあ発火してやる。何が起こったのか分からないままあの世に送ってやろう!

「スイッチを……押すんだ。スイッチを……」

せっ……せっ……せっ……押せ……押せ……押せぇっ……!

全神経を集中させても、左手を添えても、かじかんだかのように震えが止まらない……だと?
奴め、手の甲が砕けるぐらいに強く殴りやがってッ! 関節が折れ曲がって、上手く握ることが出来ない!
ただ握りこぶしを作って、親指を人差し指にくっつけるだけで起爆するというのに!
ここまで来て……ここまで来たと……いうのにッ!

「上手く動かないようだな。『右手のスイッチを押せ』と、DISCで命令するか?」

隣に座るディオが提案する。
その声、冗談めかしたり、調子こいて見下したり、嘲る類のもの、いずれでもない。
確かに『参加者を殺して回る、この過程において、我々は絶対に協力し合う』とは言ったが、戦闘前の皮肉と言い、こいつは私を確実に恨んでいる。
いやに協力的なその言葉、信用すべきか?

「貸し借りなど気にするな。邪魔者は減らさなければならないからな。それより、察したあいつがこちらに向かうのは避けたい」
「た、頼む……」

435 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 18:01:15 ID:CFsYjfuO
そうだ。気に食わないが、右手どころか全身こうなってしまった以上、結局は怪我の処置だってこいつに頼らねばならんのだ。
くだらないプライドなんぞ気にしていられるか。平穏を手にする犠牲としては些細なものじゃあないか。
即決。

ぬるりとした感触で、脳に盤が挿入されるのがわかった。

左手が胸元を探る。
無意識下の行動だったが、何をしようとしているか理解した。必要なモノは普段はここに入れているからな。
胸元を離れた左手がズボンのポケットから取り出したのは、角砂糖。無論、甘いのを欲しているわけではない。使うのは、入れ物となっていたハンカチだ。
右手に巻きつけ、左手と口を使って縛る。強引にではあるが、拳の形は出来た。
布が巻かれていなければ直視できないであろうグチャグチャな握り。ハンカチが鮮赤に染まり、溢れ、収まりきらず滴るのがわかる。
DISCなしではきっと悶え苦しんでいただろうが、まるで痛みはない。
来る勝利に向けて鼻歌の一つでも歌ってやりたい気分だ。

「ハハッ……これで、私の平穏は、また一歩、近付く……」

あの日々を、争いの無い日常を取り戻す。
このクソゲーム、深夜からの馬鹿騒ぎで寝つく暇なんぞありゃしなかった。
夜8時には仕事を切り上げ帰宅する、11時には床に就く――平穏どころか、こんな簡単な日々の習慣まで崩されてしまったじゃあないか。
天井を見上げる目が霞む。ああ、日課を語ってしまうほどに、私は眠りを欲している。ここにきて、積もり積もった疲労が一気に圧し掛かってきたのだろう。
睡眠に移るにしてはいつもと違う。何だか体が強張る。そうだった、銃創やらなんやらが痛むのもあるが、寝る前には柔軟体操をするのが日課だったな。
布団で暖まるのも重要だが、人肌に温めたミルクを飲んで、胃を通し内部から体を温めるのも大切な事だ。
しかも、牛乳に含まれるトリプトファンとかいうアミノ酸は、脳内でセロトニンという睡眠物質をつくる材料となるらしい。
そうやって疲労やストレスを残さない安眠を確保していく。日々の細やかな努力が健康を生み出すというのに、何故乱されなければならん。
そうだ、私が何をした? 争いを好まず、あまつさえ健康にも気を配れる、社会人の鏡みたいなもんじゃあないか。
性癖がどうした。秘密の一つや二つ、人間なら持って当たり前だろうに。むしろ、処理の仕方を誤らない私が自制の効かないクズと一緒くたにされてたまるか。
闘争が新たな闘争を生むのは自明なのに、わきまえず、ひたすらに欲を満たそうとしてキリの無い、虚しい行為に身を投じる奴らが私は嫌いだ。
……眠りを欲しているとか何とか言っていたわりに、もうギンギンに目が覚めてしまった。
今現在の就眠を妨げるのはストレス要因だけではない。DISCで命令されても負傷は堪えられないのか、手の震えが止まらない、というのもある。
だが、眠れないのはかえって好都合なのかもしれないな。私はまだ、眠るわけにはいかない。ここでしばらく眠ったってあの朝はやってこない。
頬どころか全身痛むんだ、覚めない以上これは現実、夢じゃあないというのは腹立たしいほど理解している。
……そうは言っても、平和が恋しい。ここで眠って、悪夢が覚めて、昔に帰れればいいのに。
目覚めた先が何一つ変わりないいつも通りの朝なら、朗らかな陽光を浴び心地よくなったところで、しのぶがウェッジウッドのハンディングシーンで朝の紅茶を――

――何故、ここで川尻しのぶが出てくる?

まあ、いいさ。
ここの参加者や、正体を知る早人を始末するのが重要で、川尻家は後から考えればいいし、どうとでもなる。
無事戻ったところで元の世界では騒ぎを起こしてしまったんだし、下手な事は出来ない。川尻しのぶの『手』はしばらく我慢せざるを得ないだろうな。
もう父も母もいない……二人だけ、夫婦揃って仲良く生活、か。

悪くないかもしれない。

こんな掃き溜めみたいな惨めな環境よりは、よっぽどな。

カチリ。


  ★

436 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 18:05:08 ID:CFsYjfuO
ポン、と、誕生日パーティーで鳴らすクラッカーのような破裂音が鳴り響いた。
被害者はきっと、何が起こったか認識することも、反射で認識を超越することも出来ない。痛みは一瞬だ。
命を奪う音にしては静かで、淡白で、それがまた残酷だった。

「俺のように爆発を食らった感想はどんなものなんだろうな?」

ディオは明日の天気を尋ねるぐらいに軽々しく、質問した。
命を奪ったにしては――などとまた続けてしまうと、人の命は重いのかと、哲学的な方面へ持っていくみたいで野暮だ。
ディオにしてみれば命は軽い。ディオの見据える肉塊に、かつて命の重さがあったとしてもだ。

「まあ、聞くだけ無駄か。恨むなよ。規約通り、俺は直接手を下しちゃあいない。それに今のは、参加者を減らすための共同作業だ」

視線の先には、口から赤黒い液体を吐き散らした躯、吉良吉影。

ディオは嘘をついた。DISCに命じたのは『右手のスイッチを押せ』ではない。
下した命令は――『自分の心臓を爆弾に変えて起爆しろ』。

『参加者を殺して回る、この過程において、我々は絶対に協力し合う』――ディオと吉影は、協力して吉影を絶命させた。
『各々、最後まで同盟者には手を出さない』――止めを刺したのは吉影自身。
ディオは、あくまで規約に則り、吉影を不帰の道へと突き落とした。
誰が文句を言えようか。少なくとも、同盟者の誰からも、非難を受けることはない。
吉影が地獄の底から抗議しようと、規約を立てた者自身が規約に殺されたのだと言われたら、返す言葉があるだろうか。

「俺が『参加者を殺して生き残る事を目的としている』、と判断したようだが……ただの思い込みだ。
 ジョージが死に、遺産の継承がほぼ確実となった今、俺から積極的に殺しに行く理由はない。お前が片手を消し飛ばしたこともあるしな。
 なんにせよ、ボロ雑巾のようになったお前なんぞ、数を減らすには一番の邪魔者だ」

吉良吉影は思い出せなかったのか。
止めを刺したのは由花子とはいえ、空条承太郎を殺害する御膳立てをしたのは自分だということを。
敵対する者同士が手を組む、その結果を自身が体現したことに気が付かなかったのか。
吉良吉影はかつて空条承太郎がそうであったように、透き通る薄氷を渡り、踏みぬいた。
前例を知っていながら同じ轍を踏んだのだ、なおさらタチが悪い。

「ジョナサンは離れ、御し難い殺人鬼どもは行方知れず。盾になるものが近くにいなくなった今、同盟のメリットは消え失せる」

意のままに働いてくれる者が必要だった。その点、殺ししか眼中にない彼らはミスマッチ。
自分から探しに行くのは割に合わない。ハイリスク・ローリターンだ。
では、自分の思うままに動くというわがままを聞き届けてくれる慈悲深い人々とはどのような人物か。
ディオは、破裂した吉影の心臓目掛け、支給品の一つ、アイスピックを突き刺す。

「取り入るべきは、荒木に仇為す者どもだ。未来の汚名は懸念されるが、今の俺なら自然に出来る。吉影の死体とジョージの首輪を使えば、な」



437 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 18:06:14 ID:CFsYjfuO
このゲームを脱出しようといきがっている正義のミカタが徒党を組んで襲ってきたらどうすると、吉影は迫ったことがある。
簡単な話だ、最初から敵対しなければいい。
右手を見せしめに脅され、協力せざるを得なかったが、隙を見て心臓を突き刺し、離反したとでも言っておけば争わずに済む。
デイパックにジョージの首輪を入れておけば、なおさら信じ込むだろう。
スタンドを手に入れるまでは襲われる立場だったし、先の戦闘は吉影の同盟のせいにでもしてしまえばいい。
ジョージを除けばディオは、殺しに消極的な者を殺していないのが功を奏した。
唯一であるジョージ殺しさえも、吉影に罪を被せてしまえるのだ。もはや、客観的には未来の罪しか糾弾する要素がない。
しかもディオが知る限り、右手を復元できる能力者はジョルノしかいないのだ。
脱出派である彼の生死が知れない今、殺しに積極的になるのは得策ではない。

「荒木の下に辿り着くには可能性は広げておきたい。いざとなればスタンドで従わせる」

『ホワイトスネイク』の能力は、従える集団がいてこそ威力を発揮する。
最後の一人になろうと野望をぎらつかせる連中より、協力を前提とする者の方が命令は容易。
正義感が邪魔になるのならDISCで上書きすればいいが、優勝狙いは同盟を結んだところで警戒心からそうそう挿入させてはくれないだろう。
能力のアドバンテージを最大限生かすには、闇雲に殺して優勝を狙うのは愚策。
手駒を増やす必要がある。勝負を有利に進めるために。
殺し合いが成立しなくなれば荒木が出向くしかない。いや、集団を形成し、早急に出向かせるのがディオの目的。

「覚悟は諦めではない、とは、実に良い言葉じゃあないか。ああそうだ、ユカコもだが、俺はまだ荒木に何の復讐も果たしちゃあいない!
 俺に不利なルールに流されるまま従って、ただ一人生き残って荒木に許しを請うなどと! 諦めたも同じ!」

荒木の仕打ちは、到底、黙認できそうにない。
参加者のほとんどがスタンド使いの中、貴様はただの人間だと、添え物程度の扱いだと馬鹿にされた。
明らかに不利な状況からのスタート。未来の信望などほとんど頼りにならず、策略に使われることさえあった。
スタンドは何のために受け継がれた? 帝王になるためだ。反目する者どもを根絶やしにし、意のままに従う軍団率いる帝王に。
荒木と決着をつける前にただ一人生き残った、では帝王の名折れ。

「小競り合いはやめだ。俺が上に立つためにも、復讐のためにも、必ずや荒木を引きずりだしてやる!」

しかし、ディオが荒木に勝利しようとする理由は何か。単なる怒りならばいずれは冷めるだろうに。
正義に感化された? 邪悪の化身、百余年に渡る因縁の発端が?
否、否、否。
優勝も脱出も眼中にない。彼の願いは、欲望は、際限なく。



「そしてゆくゆくは……荒木のスタンドを手に入れてみせるッ!」



欲するは、望むは、人が持つには過ぎた力。
ならば問おう。その言葉、人間としての言葉か。人間を止めたものとしての言葉か。



【吉良吉影 死亡】
【残り 13名】




438 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 18:07:49 ID:CFsYjfuO
【C-5 西部/1日目 真夜中】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:右つま先に爆発によるダメージ。頭部に軽い打撲。強い決意。恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.天の光は、こうも美しいものだったのか。
2.別行動を取った露伴たちが心配。無事ジョルノに『伝言』が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンの制限は『吹き飛ばせる時間に限りがある』でした(『エピタフ』含む)。これを破ると首輪が爆発します。
※↑の制限とは関係なく、精神状態の変化から時を飛ばせる時間が少なくなっています。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。
※荒木を倒し全てが終わった後、露伴に『記憶を読ませる』という約束をさせられました。
※ポルナレフのデイパックも確認しました。DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しましたが、DISCの用途に今回の戦闘で気が付いたかは不明です。


【D-5 北部/1日目 真夜中】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽度の銃創、左足負傷、
    ジョルノ、シーザー、由花子(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、アイアンボールボウガンの鉄球、剃刀&釘セット(約20個)、基本支給品×2(水全て消費)、
    不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残って、荒木のスタンドを手に入れる。
0.とりあえず放送まで休む。方針は放送次第で決定。
1.ジョージ殺しの罪を吉良になすりつけることで集団に入りやすくする。
2.吉良を殺せてスッキリ。ジョナサンにも殺意。
3.荒木のスタンドDISC生成の時間稼ぎのために、スタンド使いを『上に立って従わせる』。
4.ジョルノ、由花子に借りを返す
5.ジョナサンには最終的には死んでほしい
6.ジョルノが……俺の息子だと!?
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』、『キング・クリムゾン』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。


※吉良吉影の死体の胸元にアイスピックが突き刺さっています。吉良吉影の最後の支給品でした。
※【C-5西部 民家】吉良吉影の死体の近くに、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、
 クリップ×2 、ディオの左手、 ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×5、
 ポケットサイズの手鏡×2、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、
 CCDカメラの小型モニター、ギャンブルチップ20枚、二分間睡眠薬×1 が放置されています。
※【D-4 北部】に支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)が放置されています。
※【C-5 西部】にサブマシンガン(残弾なし)、巨大なアイアンボールボウガン、ボウガンの鉄球が放置されています。
※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。

439 :天の光は全て星 ◇0ZaALZil.A氏代理:2011/02/13(日) 18:10:09 ID:CFsYjfuO
以上、代理投下完了です
感想は後ほど


396 :天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:57:11 ID:???
以上です。
誤字脱字、矛盾点などあれば指摘お願いします。ないようでしたら規制中のため、どなたか代理投下を。

◆vvatO30wn. 氏へ
連絡のとり方が分からず、ここで聞くのも自分から展開ネタバレしてるみたいな気がしたので、SS中、氏に無断でラッシュの掛け声を使ってしまいました。
さすがに決め手があれだけだと見栄えに欠けるので、つい欲が出ました。事後になりますがお詫び申し上げます。
まずいようでしたら修正しますので、その際はご連絡を。




440 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 20:47:42 ID:0CW+st5o
ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/so/108039
パスはjojorowa2ndです。
仮投下を読んだと思ったら描き終わっていたッ!
「天の光は全て星」の支援絵です。
真夜中の暗さと光が印象的なお話だったのでカラーにしてみました。

441 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 21:31:32 ID:saEWyAhS
皆さん投下乙です!

>花京院の話
タイトルは避難所に書いてあった「何もない明日が来る瞬間は」で良いんですよね? 指摘は特にありません
花京院はグェスと再会しちゃったのか… 鬱だ死のう(俺が)
花京院には救われて欲しいと思いつつ、もっと鬱イベントに遭遇するのがいいんじゃあないか…とも思う
このSSを読んでてイギーもポルナレフも花京院も徐倫を守ろうとしてる(orしてた)事を思いだして奇妙な縁を感じた

>天の光は全て星
冒頭のキンクリ制限は4分=240秒で24回ではないでしょうか? その他の指摘はありません
ディアボロかっけえええええ! と叫ぶのはもう何度目か分かんないけどかっこよかった
超熱い歴代ボス夢の共演楽しませてもらいました…
もちろんディオも吉良(『吉影』って書かれるのは割と新鮮だな、と個人的に思った)の活躍も見応えありまくり
吉良が在りし日の日常を思い出す場面で泣きそうになった これで4部は全滅か…

>支援絵
かっこいいけどディスクが飛び出してるのを絵で見るとなんかシュールw
最近のディアボロの支援絵描かれ率は異常

442 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 22:09:31 ID:1Ja8RoxV
投下乙

もうだめだ、かっこ良すぎてやばい。
ボスはなんなの、なんでこんなかっこいいのw

それにしても、最後しのぶを思い出すなんて……自覚無く彼女を気にしてる吉良が素敵。
原作でもあの夫婦(?)はなんかよかったから、この最後はすごっく心にしみた。
『日常』をテーマにした四部全滅を飾るのにふさわしい、納得の最後だった。

そして同盟が事実上瓦解したわけだが、ディオもジョナサンが死んだの知ったらどう思うのかな……

>>440
かっ……こいいいいい!!(自分の書いた支援絵が若干恥ずかしくなるほどに……)
確かにシュールだが、そこがロワっぽくていいと思ったw
高速支援絵投下乙です!また次回も待ってます!


443 :創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 22:13:22 ID:7WFMKoPx
乙!乙乙!
なにこれなにこれかっこよすぎんだろボス
アツすぎて読んでる間何回叫んだことか

自分の成長に反比例して弱体化する能力!基本支給品で逆転!吉良の残していた反撃の手!あまりにもスケールのでかいディオの野望!
予想だにしない展開の連続で非常に楽しめました!

444 :創る名無しに見る名無し:2011/02/14(月) 02:48:06 ID:yONfgb+E
投下乙です
投下が連続で……しかも大作ばかりで読みごたえたっぷり……僕は幸せですよ
それに加えて支援絵もだなんて……終盤に入ってこの盛り上がりはやばすぎる

>>何もない明日が来る瞬間は
花京院の落ち込み具合がはんぱない件
でもなんだかんだ言いつつ、後ろ向きではなく、前向きには立ち上がったんだよな
こういう情緒溢れるSSは俺は大好きだぜ……!
そして441が言ったことがどう見てもフラグにしか見えないw
というか冷静に考えると徐倫助けたやつみんな死んでるって言うw
まさに死神w

>>天の光は全て星
元ネタはグレンラガンかな? 
とにかくディアボロの、ディアボロによる、ディアボロのためのSSだったなw
いや、吉良もディオも輝いたけどとりあえずボスがカッコよすぎてそれどころじゃなかった
慢心も油断もなく、償いを続けるかのようなボス、マジボス
さりげなく状態表で天の光に感動してることになぜか俺の涙腺崩壊
とにかくカッコよかった……


それにしてもこの後も放送自体の予約も激戦ながら、その後の予約も激戦だろうな……w
ナチス以外は比較的流動的に動きそうだし、誰がどう絡んでくるのかマジwktk
改めて投下乙でした

445 : ◆vvatO30wn. :2011/02/14(月) 21:29:27 ID:KNWZH4l5
>>439
諸事情で返答が遅れてしまいました。
とても面白かったです。
なぜ私がお詫びされるのでしょう。
むしろ一番喜んでいるのは私なんじゃないかと思いますがw
ディオやディアボロが今後どうなっていくか楽しみです。

446 :創る名無しに見る名無し:2011/02/14(月) 23:24:40 ID:2j62PqKf
ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/so/108143
「BROKEN GRASS SYNDROME」支援絵です。
エシディシもリンゴォも難しすぎるでしょう…
最近のディアボロ支援絵の三分の二は私です。カッコイイボスが大好きすぎるんです。
落選キャラ追悼スレ>>66
とても光栄です…!どうぞしちゃって下さい!!

447 :創る名無しに見る名無し:2011/02/14(月) 23:35:10 ID:2j62PqKf
すみません、パスはjojorowa2ndです。

448 :創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 00:43:39 ID:bZ6PXj2e
こいつは恐れ入ったな……
なぜそんなに早く描けるのだし!?
しかもかっこいい!!
絵師さん、乙です。また次も……と催促してみるw

449 :創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 01:04:36 ID:BoOF6Lo5
エシディシとリンゴォかっこいいいいいいいい!!!!!
超乙です

450 :創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 18:00:52 ID:tpIcLUJS
第四部完・・・・!

451 :創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 19:07:11 ID:KNVGfUx+
四部勢が一番生き残り多かったのに、一気に全滅とは

452 :創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 20:31:56 ID:hIZ+EdCd
いや、まだ宮本がだな

453 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 00:23:43 ID:CbTUmvCk
影の功労者の事すっかり忘れてたわw >宮本
でも無理矢理手伝わされてその上死んだら可哀想すぎる

四部勢が多く残ってる→すこし減らそうか
と、多くの書き手さんが同時に考えた結果が真夜中の四部全滅だよ! たぶん

454 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 01:09:52 ID:RKZVJB0h
俺の予想では宮本が2ndにおける影のラスボス

455 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 01:25:34 ID:UjTqtDXH
>真夜中の四部全滅

なんかこれかっこいいなw

456 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 02:10:05 ID:UQvC5gtA
ていうか、
夜&夜中の死亡ペースが遅いな→真夜中では多めに殺そう
と多くの書き手さんが同時に思って、結局18〜24時の死亡人数20人
分母が減ってるにも関わらず、なんと6〜12時の17人よりハイペースていうwww
鈴美でなくても地獄の数時間だったなwww

457 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 02:26:03 ID:UQvC5gtA
ふと気になって纏めてみた
2時間おきの死亡人数ラップ

〜02時 深夜 13人
〜04時 黎明 5人
〜06時 早朝 8人

〜08時 朝  4人
〜10時 午前 8人
〜12時 昼  5人

〜14時 日中 6人
〜16時 午後 8人
〜18時 夕方 0人

〜20時 夜  3人
〜22時 夜中 3人
〜24時真夜中14人

真夜中の死亡ペース過去最速だw
ゲーム開始直後より早いw
エシディシブチャラティも死にかけ出し下手したら16人死亡みたいなもんだぞwww

458 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 03:57:41 ID:7HDkRnaz
>>457
おお、まとめ乙です
数字で見ると、改めてこの異常ともいえる死亡ペースが良くわかる
物語の終盤にこの勢いって、他のロワに比べても凄いの? 比べるものでもないとは思うけどw

あと最近の流れに乗って支援絵投下
どこのロダ使っていいかわからなかったので、>>446さんに習わせていただきました
ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/so/108263
パスはjojoです
「BROKEN GLASS SYNDROME」>>287あたりのイメージ
登場人物の覚悟が素晴らしく格好良かったです

459 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 20:32:36 ID:dbRbkcWl
まとめ&支援絵乙

絵かっこいい!!!
原作では絶対に並んで立つことのない面子、まさしくロワの真骨頂ですね
それぞれの表情がまた……ぐっと来たぜ

そして死亡ペースアップぶりがはんぱないw

ずっと大好きだったけど、ここ最近特にジョジョ2は神がかってる……
うれしいなあ。

460 :創る名無しに見る名無し:2011/02/16(水) 23:19:26 ID:CbTUmvCk
うわああああああまた支援絵きてりゅうううううううう!!!!!
ああ! う…うれしすぎます! みんなかっこいいいいいい

人数も減っていよいよ終盤って感じだけど、本音を言うとジョジョロワが終わっちゃうのはさみしい


461 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 00:55:59 ID:6ENX7PXF
オなんとかバ「大丈夫、3rdがある」

462 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 15:17:14 ID:bjwHaJrb
第三次ジョジョロワが始まる頃には、第七部も終わってるからジョニィやジャイロ参戦、それどころか
二人のディオやシュトロハイムやアヴドゥルの揃い踏みとか夢が広がり過ぎて世界を一巡させてしまいそうだぜ

463 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 16:40:10 ID:2AT7JRtN
>>458
基本的?というか他で多いのはラストは協力して被害減少、最後に味方10VSチートまーだー戦でこっち5人死亡
みたいな感じだから珍しいと思う。

ここまで来たら四部のおくやすとかジョナサンは生き残るだろとか考えてた
時期が私にもですね・・・・

464 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 16:52:55 ID:ApgHJueX
脱出エンド、優勝エンド、全滅エンドもしくは…。
一体どうなるかマジで楽しみだ

465 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 20:17:13 ID:6ENX7PXF
3rdは名前のある、喋ったことのある脇役のみのエントリーになります。

466 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 21:54:44 ID:SosLXE8Z
>>465

ジョジョの奇妙なバトルロワイアル3rd
【第一部】9/9
ダリオ・ブランドー/ポコ/アダムスさん/怪人ドゥービー/ペイジ/ジョーンズ/プラント/ボーンナム/スティクス神父

【第二部】7/7
スモーキー・ブラウン/ブルりん/ドノヴァン/マルク/メッシーナ/ロギンズ/鋼線のベック

【第三部】8/8
空条ホリィ/アラビア・ファッツ/チャカ/カーン/ケニーG/ローゼス/ヌケサク/ウィルソン・フィリップス

【第四部】14/14
東方朋子/東方良平/虹村親父/広瀬綾那/広瀬母/森下一郎/川尻しのぶ/支倉母/吉岡/アケミ/ヨシエ/レイコ/美那子/乙雅三

【第五部】4/4
涙目のルカ/ペリーコロ/カルネ/モニカ・ユルテッロ

【第六部】11/11
トム・クルーズ(仮)/ロメオ/ロッコ・バロッコ/エートロ/ソニー・リキール/グッチョ/ゴッホの自画像/マイク/ミス・ジョーンズ/アイリン/アナキス

【第七部】13/13
オエコモバ(主人公)/スティーブン・スティール/ウルムド・アブドゥル/ロッカ・チェゴ男爵/ミセス・ロビンスン/グレゴリオ・ツェペリ/マルコ/フリッツ・フォン・シュトロハイム/ガウチョ/ドット・ハーン/ニコラス・ジョースター/シュガー・マウンテン/ディ・ス・コ


【66/66人】
思いつく限り並べてみた
意外と面白そうな気がしてきたぜwww
名無しありならジョースター家執事とか家出娘とか靴のムカデ屋の主人とか冬のミミズが好きな人とかも出せるのになあ

467 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 22:16:07 ID:SosLXE8Z
ペルラ・プッチを忘れていた
他にもいるかもしれん
どこまでが脇キャラかも難しいな
3部の敵とか割と微妙な奴多いし……

468 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 22:33:07 ID:2pbE4zP4
センス良すぎるw
家出少女出したいけど名前がなー

469 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 23:18:42 ID:B1TWJttj
俺11人の男結構好きなんだがやっぱ名無しなのは厳しいか…

470 :創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 23:36:16 ID:6ENX7PXF
>>466
マジで面白そうなんだけどwwwww
例えばケニーGとの交流でガウチョが黄金の精神に目覚めて
対主催の先陣を切ったりするんだぜ胸熱すぎるだろ。


名無しありにすると「私のポッキーがァァァ」の人とかまで対象になっちゃってとんでもないことになるんじゃねと思ったが
家出少女はもはや家出少女というのが名称となってるしありなんじゃないかしら

471 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 00:39:37 ID:12ahBVoM
この面子だと、ガチでオエコモバの強さが上から数えた方が早いなwwwwww
てか、ほとんど一般人じゃねーか
誰得だよwwwwww

472 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 01:09:19 ID:B+tz+6q6
一般人だらけだし波紋戦士は二人だけだしこれは吸血鬼無双か?
…と思ったらアラビア・ファッツがいた ペイジ達の事瞬殺して欲しい

オエコさんは一度に多くの爆弾を用意できる点だけは吉良よりすごい

473 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 01:12:37 ID:FB108R+u
三部に
マニッシュボーイ、ズィーズィー、ラバーソウル追加で

474 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 03:24:57 ID:NQI0x9J5
一般人相手なら博士のスケモンがとんでもなく効果発揮する気がする。
普通、恐竜見たら臨戦体制なんか取らずに怯えて逃げるよ。


つうかこのモブロワ、割と本気で避難所で細々とやってみたい

475 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 11:01:04 ID:12ahBVoM
ラバーソールは脇キャラの域を出てる気がするなあ
2ndでもかなり活躍してたし
吉岡とモニカ・ユルテッロとソニー・リキールとマイクが誰だか分からない

476 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 15:09:53 ID:gy3s1O5t
吉岡        ハイウェイ・スター戦で携帯電話パクられた人
モニカ・ユルテッロ レクイエムに突入したボスを解剖した人
ソニー・リキール  ウエストウッドの相方の看守
マイク       ヴェルサスが能力で掘り出した子供

つーか、「ジョジョの奇妙なバトルロワイアル」なのに「ジョジョ」がひとりもいねえwww

477 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 21:04:42 ID:VxIvy0iD
ジョージ二世

478 :創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 23:06:43 ID:12ahBVoM
ホリィさんも忘れるな
ジョウジョウ
空(条聖)子 だぞ


479 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 10:25:07 ID:cLuj3OSw
3rdの主催者は荒木先生じゃなくて先生の奥さんにしてもいいんじゃない?

講演会やったり結構積極的に顔出ししてるみたいだし

480 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 18:04:37 ID:s3sPbxMt
バオーも出そうぜ

481 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 18:10:32 ID:M980xMC7
能力制限とかで出場は難しそうだが、コミック自体は入手しやすいんだよな
2nd始める前は入手困難を理由に、ゴリ押しで不参加に決定しやがったが

482 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 18:24:49 ID:1UAbiPhE
バオー出すと『荒木作品でバトルロワイヤル』になっちゃうだろ

483 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 18:52:41 ID:M980xMC7
で、今度は小説版の方も入手困難を理由にハブると

484 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 20:33:18.36 ID:hsEYyzKp
3rdはいつ頃だろうな
ロワ最終話とSBR最終話が同時期てのもありえるかも?

485 :創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 22:25:48.61 ID:mBVFZ4O1
今日のウルジャンのアオリでは最終章まであと3回って書いてた
休載無しなら4月19日にSBR終了になるから、最終話までいくのはちょっと厳しいか?

486 :創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 07:12:06.14 ID:ojfyefDY
じゃあもう荒木妻主催・参加者は全脇役のジョジョロワ裏2ndでもやって3rd待てばいいんじゃね?

487 :創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 11:28:47.86 ID:mQE01MsJ
現状の書き手さんが、2nd進行中に他の書き手に対して失礼にもなりかねない裏2ndやら3rdやらをやるとは思えないけどね
3rdの妄想もほどほどにしないと

488 :484:2011/02/20(日) 13:31:13.55 ID:0yq5yVst
これは失礼。もちろん2ndが一番ですよ
放送後の予約殺到が楽しみで仕方がない

489 :創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 17:09:27.77 ID:zqVurqA4
ちょっとした遊び心と自分のジョジョ知識自慢で名簿作ったけど、こんなに話が広がるとは思ってなかった。
もちろんギャグで冗談です。
2ndが終わるまで他のジョジョロワは参加しませんし、3rdも真面目な作品を希望しています。
(でも個人的にバオーは賛成)

あと誰にも突っ込まれなかったけど、冬のミミズじゃなくて冬のナマズでしたw


490 :創る名無しに見る名無し:2011/02/21(月) 00:16:44.27 ID:zWCisCS4
test

491 :創る名無しに見る名無し:2011/02/21(月) 14:53:41.11 ID:c/Fs/P9U
>>489
ドジっ子w
しかし自分もミミズとナマズ、一瞬わからなかったw

まあ、今は放送待ちだもんね。いろいろ妄想が膨らむのはよっくわかる。
実現しないからこそ、モブロワは想像力を掻き立てるしw

しっかし、最終回間近か……まじ胸熱だな。
終わるのはさびしいけど、個人的に初めてリアルタイムで完結を見届けるロワになりそうだぜ……

492 :創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 22:36:51.56 ID:nvwqsH91
保守

493 :創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 00:04:13.51 ID:UR5wF7UC
いよいよ人気投票最終日
投票少ないよ 何やってんの?

494 :創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 16:45:39.06 ID:4ZORlb8Z
放送も3月1日に来るんだよな…
予約解禁はいつだっけ?

495 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 01:08:01.01 ID:vYrZYjdR
>>494
予定通りに投下されたら、3月3日の午前0時0分だと思うよー

ほうぼうで言われてるが、また予約合戦か!?wktkッ

496 : ◆0ZaALZil.A :2011/03/01(火) 20:26:06.72 ID:ubtN+oeH
てst

497 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 20:27:02.25 ID:pegvTm5b
キター 支援しよう

498 :第4回放送 ◆0ZaALZil.A :2011/03/01(火) 20:28:34.59 ID:ubtN+oeH
さて、この殺し合いがスタートしてからちょうど24時間、丸一日が経過した。
ほとんどの人にとって、普段より密度の濃い一日だったんじゃあないかな。
職業柄、元々そうだって人もいるんだろうけど、死と隣り合わせだからこそ、より生を実感したことだろうと思う。
本題に入る前に、まずはここまで生存できた君たちに、ひとまずおめでとうと言っておこう。

さあ、今回の曲はドビュッシーのピアノ曲『ベルガマスク組曲』の第3曲『月の光』だ。彼の作品の中では一番有名なんじゃないかな。
せっかく月が綺麗な夜なんだから、あんまり激しい曲調の物を選ぶのもどうかと思ってね。
切なく、そして優雅な旋律、この夜に思いを馳せるにはぴったりだろう?

少し逸れるけど……正直、僕は「ああ、失敗したな」と前の放送で思ったんだ。
だって「そんなに焦らずゆっくりしても僕は一向に構わないのに」って、みんなの頑張りに水を差すようなこと言っちゃったんだから。
真に受けてゆっくりされたらどうしようって。いや、別にゆっくりする分にはいいんだ。
ただ、君たちの頑張りを見ることなく、無駄に時間だけ浪費されるようだと考えものだからね。
とりあえず、それに関してはホントに失敗したなあって思うんだ。人数を聞けばわかると思うんだけど。



この6時間で脱落した参加者は……

J・P・ポルナレフ
ペッシ
ジョージ・ジョースター1世
オインゴ
マウンテン・ティム
ドナテロ・ヴェルサス
片桐安十郎
山岸由花子
岸辺露伴
グェス
川尻早人
テレンス・T・ダービー
ジョナサン・ジョースター
シーザー・アントニオ・ツェペリ
音石明
虹村億泰
F・F
リンゴォ・ロードアゲイン
ホルマジオ
吉良吉影

以上20名ッ!
まさかだよ、ま・さ・か! 君たちがそこまでやる気満々だったとはッ!
『余計な事言ったかな』って思ったこと自体、最高の失敗だったよ! 今更だけど、期待以上の成果だ!
そりゃあ、人数が減るにつれペースが遅れるかもなあとか想像してたけど、杞憂も良いとこだったね!

さて、続いて禁止エリアの発表だ!
流石にもう、うっかり踏み込んで脱落なんて事故はないと思うけど、帰るまでが遠足って言うからね、最後まで気を抜かないように!

499 :第4回放送 ◆0ZaALZil.A :2011/03/01(火) 20:29:23.50 ID:ubtN+oeH
1時から F-2
3時から D-3
5時から C-4



この3つだ。もっとも、わざわざ囲い込まなくても決着はもうすぐ付くかもしれないけどね……。
とにかく、F-2、D-3、C-4の3か所に気を付けることだ。

次の放送は6時間後……もしかしたらもう、する必要ないかもしれないけど。
いよいよ残り12人! 最後の一人と相見える瞬間を、心待ちにしてるよ!


  ★


「ちょっといいかい?」
「どうしたのさ、改まって」
「舞台に降り立たなくっていいのかい?」
「うーん……確かにそうしたくはあるけど、今出てきたところで唐突すぎやしないかい? 『僕も参加するよ』みたいなこと、事前に言ってないし」
「……テレンス・T・ダービーの死亡はこっちでも確認したんだけど」
「急に話変えてくるねえ……と言うか、そんなに不思議だったのかい? 彼の能力を考えれば、当たり前のことだと思うけど」
「それは別にいいんだけど……やっぱり、前の放送で言ったこと忘れてるんだね」
「何が?」
「『約束も支給品もまだ有効だよ。ただ放送の意味をよく考えてくれ』だったっけ?
 約束ってのはつまるところ、テレンスを倒した参加者に、君と戦う権利を与えるってやつだろ?」
「ああ、そんなのあったね」
「テレンスはF・Fが殺したんだし、F・F――今は一体化したアナスイが君と戦う権利を得たと考えていい。舞台に降りる理由としては充分だと思うけど」
「……君さあ」
「……?」
「マジで天才なんじゃあないかい!? うわあああああ、何でもっと早く気付かなかったんだろう!」
「まあ、どうするかは君次第だけど、とりあえず伝えたかったことはそれだけだから」
「どうするかなんて、愚問じゃあないか! 椅子の上でふんぞり返ってる場合じゃあない! 今からでも行ってくる!」
「やっぱり? でも、いくらなんでも決断早すぎ……もしもーし? おーい、通信切ったー?」


  ★

500 :第4回放送 ◆0ZaALZil.A :2011/03/01(火) 20:30:58.31 ID:ubtN+oeH
「……ふう」

溜息からは、僅かばかりの疲労を感じさせる。
通信相手がその場の思いつきで動くのは承知しているが、振り回されている気がしてならない。
ふと、ソファの上で丸まり肩を震わせる少女が目に入り、再度、溜息をつく。

「そんなにビクついて、どうしたんだい。お腹痛いの?」

その語りかけ、慇懃にして無礼。
話し相手には、痛覚などあるはずないのに。分かっているはずなのに、冗談めかして。

「なんなの、一体……。露伴ちゃんだけじゃない。ここ数時間で、たくさんの霊が通り過ぎた」

見上げた顔は、痩せこけて見える。涙も枯れたらしい。
その身も、溢れ出た水分も、概念でしかないのかもしれないが。

「一体、何が起こってるの……!」

洋館を出ようとする『彼』を呼びとめるように、鈴美がしゃがれた声を上げる。
月が二人を照らしても、その心の奥底までは映し出せやしない。
『彼』は振り替えることなく、背を向けたまま。表情は、見えるはずもなく。

「終わりが近いってことさ。誰にとっても……何においてもね」

返答も、実に淡々としたものでしか。





※放送はダービーズアイランドでしか行えないようです。

----------------------------------------------------------------

投下終了です。お時間とらせてしまって申し訳ありませんでした。
禁止エリアは正直あまり考えることなく決めてしまったので、何かありましたら遠慮なくおっしゃってください。

501 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 20:58:56.02 ID:pegvTm5b
投下乙です 支援しようと思っていたら投下終了していた

これが最後の放送になるかも知れないんだよなー
そして荒木参加フラグなのか……?

502 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 21:14:34.42 ID:BalGbXAt
そりゃ荒木もハイになるペースだよな
一回の放送での死者が、生き残りよりもずっと多いなんて
そして参加OKと聞き、流石のはしゃぎっぷりw

503 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 22:26:42.39 ID:u/Ui+7VF
投下乙です
荒木鬼畜、マジ鬼畜
お前の禁止エリアの配置で参加者がやばいw
今後荒木が本当に参加するのか……わくわくするような、ドキドキするようなw

確認だけど、予約開始は3月2日23:59から3月3日に変わるにかけてだよね?

504 :創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 23:00:20.54 ID:X+hif6rz
3月3日0時0分からでいいんじゃないかな

505 :創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 00:48:56.63 ID:b/IKQlW7
投下乙です
ついに荒木が参戦する時がきたか……
そしてDIOの館とナチス研究所という、真夜中の二大爆心地を調度狙ったかのような禁止エリア……
生き残りに五部勢が多い中、ロワ内最終決戦も五部の最終舞台であるコロッセオが中心になるわけですね
なんて胸熱な展開なんだ……!

506 : ◆xrS1C1q/DM :2011/03/05(土) 22:13:28.75 ID:hYYbwLJk
お二方投下おつです

こうしてはいられない ◆hqLsjDR84w

このしろがねはカワイイなぁ本当w
クールなのもいいけど勝のことでおろおろするのも好きだったからこれはイイ!
……チャイナ姿? ママチャリでチャイナドレスってねぇw
色々とやばいんじゃないでしょうか?

ロベルトもロベルトでカッコイイな
植木戦直後だからどっちに転ぶこともできるのか……
ロワの会場だったら今後出会う人次第だな。

上でも出たけどサンデーキャラに自転車が似合うってのは全力で同意


風と煩悩と謎の玉  ◆CFbjQX2oDg

横島wwwww
もうこの話の感想これだけでよくねwww
行動がヤツらしすぎるwww
ヘタレて隠れる→女につられて飛び出す とかwwww
そして文殊の辺りで笑ったww
ですよねーあんなシリアスやられちゃ煩悩パワーどころじゃないですよねー
嫁(参戦時期にもよるが)がいるんだからもうちょい頑張れよww

風子は原作でもロワでもおっぱい要因だなぁw
原作でも揉まれてたぞ確かww

支給品の謎の玉の正体はなんなのだろうか
心当たりがありすぎて何になるか楽しみだぞ

507 : ◆xrS1C1q/DM :2011/03/05(土) 22:16:44.46 ID:hYYbwLJk
誤爆でしたすみません

508 :創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 22:21:56.41 ID:lBXVNfEH
ちょっとワロタwww
ジョジョロワのおっぱい要員(寄せて上げるブラ)は登場話の回想シーンでサンタナの朝ご飯になりました(笑)

509 :創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 03:24:22.80 ID:iV04PSgd
ですが安心してください。
皆さんが愛してやまないあの女性が美しく魅力的な肢体を一糸まとわぬ姿で披露します。
それも序盤で。ああなんというサービスなのでしょう。

510 :創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 03:54:17.65 ID:4h27M/yz
全然嬉しくない!?ふしぎ!!

511 :創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 16:36:34.16 ID:i7teBg0H
ここの住人には萌えより燃えを期待してる人が多そうだけど
『ジョジョロワ的萌えシーン』と言えばどのシーンを挙げるんだろうか

512 :創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 18:54:11.28 ID:pnruiwbu
恐竜あぶどぅる

513 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 09:28:42.76 ID:Pp+ceiPc
たまごクラブひよこクラブこっこクラブ

514 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:29:25.46 ID:09wYJm+r
報告もなく長い間すみませんでした。
これから投下します。

515 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:31:36.69 ID:09wYJm+r
闇を切り裂く音は軽快にして、リズミカル。普段ならば気にもならない小さな音が、真夜中の無人の住宅街に響き渡る。
ダン、ダン、ダンとテンポよく跳ねると最後にジャンプを大きく取る。
勢いそのままに、民家の屋根に飛び移るとルートを高い位置に変え、男は走っていく。
風を伴い走っていくのは、ネイティブ・インディアン、故郷のために走る韋駄天―――サンドマン。

脳内に広げた地図に従い、目指す民家はもうすぐそこ。約束した女性二人の元へと向かい、男は走る。
山岸由花子は立ち直っているのか。空条徐倫は果たして自分を待っていてくれるのか。
ナチスにいる協力者たちの首輪の成果、そしてテレンス・T・ダービーと主催者荒木に関するトップシークレット。
溢れんばかりの情報を彼は握っている。そしてそれを伝える手段と目的も、ひとえに彼の脚故に。

驚異的なタイムで男は目的地へと到着した。
閑静な住宅街、何の変哲もないただの一軒の民家。特徴もなければ目印もない。
彼自身が一度前に来たから知り得る場所、何も知らぬものならば気付くことはない秘密の花園。

サンドマンの脚が止まる。眉間にわずかだけしわを寄せると、辺りを見渡し、そしてゆっくりと目的の民家へと足を踏み入れる。
しかしそうであるべき、目立たぬべき民家が、今はどうだ―――悲惨なものに変わっていた。
窓は銃弾を撃ち込まれたのか、こなごなに砕け散り、蜘蛛の巣状にひびが広がる。
一部ではあるが、壁が吹き飛び、黒く煤けた木片がフローリングに転がる。

何者かに襲撃を受けたのか―――脚の裏を傷つけぬよう、慎重に家に入り込んだ男はあたりを見渡す。
悲惨なあり様、だが眉一つ動かさず、冷静にゆっくりと現状を把握する。そして頭を働かせる。

誰が……十中八九乗った参加者が、殺人鬼が。
空条徐倫は糸状のスタンド使い。焦げや窓ガラスに弾丸の跡をつけるような戦いをするとは思えない。
支給品の重火器類による爆発、その可能性も十分あり得る。
しかしサンドマンには確信があった。この戦闘は少なくとも空条徐倫、そして山岸由花子の間で起きたものではない。
そして、彼女たちが自発的に起こしたものでもない。

床にめり込んだ弾丸を拾い上げると、ガラスに気を払いながら窓へ向かう。
弾丸は確かにここを通り抜けている。しかも、外方向から。
弾丸の数も必要以上にぶち込まれている。仮に女性二人が争ったとしたら……不可解だ。
一人は気絶、一人は軽症ながらも怪我を負っていた。
ならばいざこざがあったとしても……それこそ、骨と肉がぶつかり合う、肉体的なぶつかりではないだろうか?
銃なんぞがあれば部屋内という限られた空間でこうも弾丸が飛び交うのは奇妙に思えた。

そしてなによりも―――二人の姿が見当たらないという事実。
床に広がる血の海。軽症では済まない出血。それなのに死体が見つからないのは何故……?
しゃがみ込み、フローリングに広がる血を触っていたサンドマン。乾き具合からそこまで時間は経っていない、そう結論にたどり着いた彼。


516 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:34:36.45 ID:09wYJm+r

「何か探し物でも……? それとも、ククク……忘れ物でもあるのか?」

それ故に背中越しに変えられた声は彼にとって不意打ちそのもの。
音もなく、気配もなく後ろを取られた。その事実に動きが止まる。
振り向くことはできない。立ち上がることさえできない。額にうっすらん浮かんだ冷や汗、氷のような殺意を前に彼は動きを止めた。

一間置くと呼吸が整った。
しばらく時間はあった。何も言わずに自分を仕留める隙は充分すぎるぐらいであった。
にも関わらず背中越しの男は何もしない。ならば何かしら動きを起こしても、『すぐには』殺されるようなことはないだろう。
サンドマンは立ち上がるとゆっくりと後ろを見た。
だがそこには誰もいない。飛び散ったガラスにため息が出るほどきれいな月光が反射し、キラキラと眩しい。
ドスをきかせた男の声は一体どこから、そしてどこに?

「……誰だ? どこにいる?」
「質問を一度にそう何個も聞かれてもねェ……ククク……。ただここからはお前さんの表情がよく見えてるぜ。
 冷静な野郎だ。血を見て動揺するようなこともなければ、堂々と戦闘の跡を観察ときたもんだからな……。
 おっと、今動揺したか? ポーカーフェイスはそんなに得意じゃねーか? ヒヒヒ……」
「どうして俺に声をかけた? 殺ろうと思えば今、できたはずだ」
「おいおい、物騒な野郎だな? 殺す、殺さないだけじゃ問題は解決できないんだぜ? こういうサバイバルゲームみたいな場合は特に、な」

会話続けながらもサンドマンは極めて自然を装い、ゆっくりと視線を動かした。
相手に悟られないように、顔は固定したまま目線だけで右に、左に、辺りを探る。
少なくとも相手は自分の表情を確認できる位置にいる。それはサンドマンにとって恐怖であり、同時にチャンスでもある。
絶対的優位は相手にある。だがチャンスがないわけではないのだ。
自分の身体能力と、スタンド能力。この二つがあれば相手は充分すぎるほどに―――自分の間合いの中。

「……結局のところ何が言いたい?」
「急かすな、急かすな。今から大事なところなんだよ……。
 お前は約束があってここに戻ってきた。ある人物に会うためだろうな。
 情報収集か、協力者との合流かは知らねーがな。違うか?
 ところが帰ってきてみれば弾丸の跡、飛び散る窓ガラス、焦げ付いた壁ときたもんだ」
「無駄口にいつまでも付き合ってる暇はないんだが」

無謀か、勇気か。サンドマンはその場を立ち去ろうと一歩踏み出す。
アドバンテージは向こうにある。もしもこの局面を乗り切れるとしたならば、向こうの思惑には簡単には乗ってはならない。
流れを掴みに行くのはあくまでこの場を制するために。

「わかったよ……わかった! 待て! 行くな! 戻ってこいよ!
 何もお前を取って食おうとしてるわけじゃねェんだ……俺はお前と取引がしたいだけだ」
「…………」
「俺はここで何が起きたかも知っている。誰が襲われ、誰が襲い、そしてどうなったか。
 スタンド能力なのか。支給品の力なのか。何が窓ガラスを突き破ったのか、何がその焦げ跡を残したのか。
 とはいえ……タダで情報を引き渡すほど俺はお人好しじゃねぇ。とにかく俺が今欲しいのは情報だ。
 お前もそうなんだろ? お互い協力し合わないか?」
「嫌だと言ったら?」
「そしてらお前の首筋にブッ込んで一つ死体を作るだけだ。俺はこれでも譲歩してるんだぜ?
 俺はお前の情報を手に入れ、お前は俺の情報を手に入れる。それが取引だ……」

517 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:37:17.01 ID:09wYJm+r


未だ姿を見せない顔知らぬ声。信用に値するか、否か。
表情から読み取ることもできなければ、そもそも相手が何者か、そしてどこにいるのか、どうやって自分に話しかけているのか。
選択肢はないように思える。正体不明の声の言うとおりだ。
拒否すればあの世行き、応じたならば……少なくとも、さっきも考えた通り『すぐには』処分されることもない。
そして上手くいけば、信用できるかはともかく、情報も手に入る。

サンドマンは正義のヒーローではない。
進んで自らを犠牲にするようなこともないし、誰かのために努力することもない生粋のエゴイスト。
彼が最も大切にするのは確かであること。故郷に帰る、故郷を手にいれるという確信。
躊躇いはなかった。仮にこの声の主がどれだけの外道であろうと、利用できるならば利用する。手を組んで利益になるならば手を組む。
最も最も最も大切なのは―――生きて故郷に帰ること。

沈黙をさき、了承の合図を漏らそうとサンドマンは口を開く。
だがそれより早く、今の状況を変えたものがあった。
甲高いファンファーレ、時刻を知らせる大時計のように鳴り響く音楽と声。
第四回放送が始まり、サンドマンは再び口を閉じる。姿なき声も、黙りこむ。

読み上げられる死者の名前、選ばれた禁止エリア、そして……放送は終わった。
不気味なほどの沈黙が流れ……二人は黙ったまま、互いの腹を探り、考える。

放送が沈黙を破ったのが突然だったように、放送後の沈黙が破られたのも突然だった。
先に口を開いたのはインディアン。姿なき声に向け、ぽつりと、ほとんど独り言かのように、話しかける。

「取引をしよう」
「…………」

姿なき声の持ち主、J・ガイルが取引を急いだのはこの放送があったから。
放送が流れてしまえば目の前の男が欲する最も重要な情報はほとんどわかってしまうから。
死んだのは山岸由花子、生き残ったのは空条徐倫。そこから先は推測と、当事者から話を聞けばいいだけの話。
話のキモである部分を放送でネタばらしされたのならば堪ったものではない。

しかしそれも仕方ない。たまたま不運だっただけ。放送を気にして情報交換を急かせばよかったのか、それは結果論でしかないのだ。
そう思ったからこそ姿なき声は返事をしない。ただ目の前の男の本心を探る。不可解な提案に、乗り気だった彼は慎重に相手のでかたを伺った。
今さらなんの取引だ? 放送で鬼札を切られた彼とインディアンがもつであろう情報とでは到底釣り合わない。
一体何を取引するというのだ? 一体彼は、何を望むというのか?

インディアンは黙って反応を待っている。
表情は影に隠れよく見えない。変わらず無表情のままのようにも思える。

「祖先の地……それが俺の最高にして、最も守るべきもの。キャンキャン喚くのは犬だけでいい。
 必要なのは……力であり、結果だ。いくら自分たちが保有してると叫ぼうと、白人は祖先の問題など気にしやしない」
「……何?」
「大切なのは、俺が『生きて』帰り、そして且つ故郷を買い取る、手に入れることだ。
 途中で野垂れ死んでしまえばそこまでだ……俺の努力も、苦しみも、全て砂漠の砂粒のように何処かへと吹き飛ばされていく、無駄なものだ」
「…………」
「手段は時として変化し、自らで選択しなければならない。
 それは白人の価値観である金であったり、直接的な暴力であったり、さまざまだ。
 問題となるのはスタートであったり、旅の道中ではない。
 己の中の地図をどこまで広げようと、最終的にたどり着くべき地点は……少なくとも俺は、決まってる」
「…………」
「お前がどんな男か……女かもしれないが……とにかくだ、俺はお前がどんな奴だかは知らない。
 だがここまで生き残ってるということは……『そういうこと』なのだろう。
 取引しよう……。お前が提案したものではなく、俺が提案する取引だ。」
「話の流れがつかめねーが……それで、お前の言う取引ってのは何なんだ?」

518 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:38:11.47 ID:09wYJm+r




「チームで参加者を始末する……。俺とお前で、残りの参加者9人を……皆殺しにする」



J・ガイルは生身の自分自身がその場にいないことを安堵した。スタンド越しで会話を続けてよかったと胸をなでおろした。
月光が照らし出したサンドマンの表情、それは紛れもなく狂気に彩られていた。
生身の体でそこにいたならば、その暗く深い瞳に吸い込まれていくのではないか―――そう思えてしまった。

震えが走る。恐怖ではない。興奮だ。
アンジェロのような同業者がもつ根暗さはない。チンピラやゴロツキのような間の抜けた臭いは微かにでも感じられない。
インディアンが醸し出すのは漆黒の殺意。
そしてそれはJ・ガイルが愛してやまない、死の香りをかならずや運んでくれる。
そんな確信と興奮を前に、J・ガイルは笑いを抑えることができなかった。











人を駄目にする三つの要素は、酒、ギャンブル、女だそうだ。
俺からしたらそんなこたーねぇよ。
むしろ逆だ、逆。求めよ、さすれば与えられんってか? 皆が欲しがるものを奪い合う、その中で自分が成長すればいいってわけだ。
それで、一気にこの三つを満たしてくれるのが、俺の大好きな大好きな『殺し』ってわけだ。
酒よりも病みつきで、ギャンブルよりドキドキさせられて、女みたいに繊細で愛情に溢れてんだよ。
脳天を突き抜けるような快感に、生き残った達成感、んでもってボーナスで女の味も楽しめんだよ。
これほど素ン晴らしいものはねぇな…………なら楽しまない手はねぇーよなァ?
ヤりたいやつヤって、殺りたいやつ殺って、それでいいじゃねぇか。何が問題だってンだ?
一度の人生楽しまなきゃ損だぜ?

「ククク……お前もそう思うよな? なぁ、アンジェロ……」

台所の小さな窓を通して、月光が二人の影を作り出す。
一般的なキッチンに、向かい合うように座る二人組。酒瓶を傾けると、J・ガイルはなみなみと自分のグラスに注ぎこむ。
向かいに座ったアンジェロは黙ったままだった。J・ガイルは最初から返事を期待していなかったのか、そのまま話を続ける。
アンジェロの手元のグラスにも酒を注ぐと、お気に入りの甥を眺めるように、グラス越しに笑みを深める。
椅子に座らされていたアンジェロにはもはや人間の面影が僅かしか残されていなかった。
ピン止めされた昆虫の標本のように観賞用にJ・ガイルが丹念に飾り立てを施していた。
J・ガイルお気に入りの死体弄りは今宵も絶好調。ナイフを駆使した解剖は直前の殺しの興奮もあって、いつも以上に冴えわたっていた。

剥き出しになった筋肉にグラスを無理やり持たせると、J・ガイルは満足そうに息を漏らす。
馬鹿丁寧にグラスを持ち上げると乾杯、と一人自分の芸術と趣味の決勝に満足そうに祝杯をあげる。
グラスとグラスがぶつかり合う小気味よい音が、狭い台所に響いた。

「ククク……さっきよりイイ顔してるぜ、アンジェロォオ〜〜〜。
 イカスな顔してる……なんせこの俺が丹念に整形してやったんだからな。
 町を歩けば十人が十人振り向いちゃうような顔、ククク…………!」


519 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:39:18.82 ID:09wYJm+r
一気にグラスを空けると、もう一度自分のグラスを酒で満たしていく。
台所の棚の奥に隠してあった上物の酒。持ち主の秘蔵ッ子を何の惜しげもなく飲み干していく。
上機嫌になることも仕方ないだろう。彼の気分は留まる事を知らない。
邪魔ものであり、気に入らなかったアンジェロは自分の手で仕留めることができた。
懸念していた怪我も支給品を使って治療済み、だいぶ体の不自由にも慣れてきた。
そしてなにより第四回放送の結果! 残りはたったの12人……たったの12人!

「ククク…………!」

手に持ったグラスの中でカラン、と氷が鳴った。興奮で手が震え飛沫が机の上に飛び散った。
あと11人……決戦の時は近い。だがこのJ・ガイル、真っ向勝負なんて馬鹿な真似はしない。
戦う、確かに最後には戦うはめになるだろう。だがそれはほんとの最後の最後……!
魂を削り、骨をぶつけ合うような戦い。そんな野蛮な戦い、無駄な闘争は御免こうむる。
外道は外道らしく―――最後の最後に、掻っ攫う、それがJ・ガイルという男だ。

何杯飲んだのか、途中から数えるのをやめたJ・ガイルはそれでもグラスを煽っていく。
酔いもそろそろいい具合だった。あまり酔いすぎても後が面倒だ。彼は殺し合いの中で分別をなくすほどお気楽でもないし、馬鹿でもない。

―――ただ酔った時に、ヤるってのもイイんんだな、これが。

「お前も一杯飲むかい? サンドマン……?」


こんな時に精が出るね、とせせら笑いと同時に感心する。
台所とつながったリビングでは男が一人、暗がりの中で地図と紙を相手に情報をまとめていた。
ソファーに転がる少女の死体に目もくれず、インディアンは黙々と作業を続ける。
J・ガイルが半ば強引に誘ったところでようやく手を止めると、台所に入りグラスを取った。

表情は淡々としたものだった。強いて言えば自分の作業を邪魔されたことを不満に思っているだけ。
二体の死体に囲まれていようが、目の前の男が死体で遊ぶような猟奇的殺人犯であろうが、それはサンドマンにとってたいした問題ではなさそうだった。




荒木の放送、それはサンドマンに一つの決断を下させた。
この時間でのこりの人数は自分を含め12人……その上対荒木の中心地だったはずのナチス研究所にいた参加者が大量に死亡。
一方もっか最重要警戒人物にあげたはずのエシディシは健在。勿論敵はそれのみにとどまらない。はっきり言っていまや対荒木陣営のほうが少数派なのだ。
そして、仮にだが、乗った参加者全て駆逐したとしよう。その戦力で、傷つき疲れ果てた数少ない対荒木組で、果たしてあの荒木飛呂彦を倒すことが可能なのか?

YESかもしれない。NOかもしれない。
やってみなければわからない。結局行きつく先は出たもの勝負、本番一発。
だがサンドマンには命を賭けてでも守らなければならないものがあった。
利用されようとも、逆に喉元に飛びかかり、食らいつくぐらいに叶えたい夢があった。
そしてその炎は一度死んだとはいえ消えていない。むしろ激しく燃え盛る。

選んだ選択肢はより現実的だからだ。
ナチス研究所では今でも首輪を解除しようと懸命になっている。それを否定する気は全くない。
ただ今のサンドマンと利害が一致しなかっただけ。そびえ立つ荒木に逆らってまでのリスクがないだけ。


520 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:39:50.95 ID:09wYJm+r

荒木は約束を守らないかもしれない。優勝しても何も起こらないかもしれない。
だがそれは結局のところ『かもしれない』だ。
そしてもし優勝したならば、少なくとも荒木と交渉のテーブルにつくことはできる。レースのスタート地点には立つまでは確実に保障されている。
しかし対荒木を選べば……そのルートはつぶれる。スタートすらできない可能性もあるのだ。
ならばより合理的に。より賢く、より可能性が高く。少なくとも自分の手で、自らの選択で決めたいのだ。

そして最悪……いや、最高の間違いだろうか。
仮に優勝路線を目指すとしても、それを知っているのは目の前の男、J・ガイルのみ。
向こうの旗色が悪ければ向こうを処分、コチラの都合が悪ければコイツを処分。

―――何もまだ断言していない。何もまだ決まったわけではない。

レースでいえば給水所みたいなものだ。新しい地図を眺め、どっから攻めるか。
道は多いほうがよい。選択肢は沢山あればよりベター。それだけの話。
サンドマンにとっては、ただのそれだけ。




新しいコンビに乾杯、と仰々しく接するJ・ガイルを無視すると男は杯を煽る。
イイ飲みっぷりだね、とすかさず酒を注がれるがそれも即座に飲み干されていく。
やんややんやの喝采、下品なコールとともにもう一杯、さらに一杯。
文句も言わず、淡々とサンドマンは流しこんでいく。その胃袋、留まる事を知らない。

「なかなかイケる口じゃねぇか、サンドマンよォ……ククク…………!」
「ならばこのスタンドをどかせ、J・ガイル」
「ありゃ、ばれてたか……」

杯に映った包帯巻きだらけの男を見つめインディアンは呟く。
ジョーク、ジョーク、ブラックジョークとけたけた笑う男を横目で眺めながら、サンドマンは酒瓶を持つ。
すかさず差し出された相方のグラスに酒を注ぎこんだ。

「新しいコンビに……ククク…………!」
「乾杯……」

521 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:40:23.66 ID:09wYJm+r

豪快に酒瓶ごと飲み干した新しい相棒に感心、自分もいっちょいいところを見せねば男がすたる。
殺人鬼と言えどそこは男、どこに行っても酒とプライドは隣り合う。
グラスに注がれた量はそこまで多くない。一気に煽るにはちょうどいい具合だ。
瓶を飲み干したインディアンは黙って男を見つめるのみ。いつもは無表情な男の目には好奇心と、見定めるような悪戯っぽい輝き。
ならば見せてやろう、殺人鬼の誇り。一人の男として、男J・ガイル、飲まねばならぬ。
勢いそのまま、一気に最後の一滴まで。そうきめた彼がグラスを持ち上げ、小さく乾杯と呟き、そして―――

「やめとけ」

自分から降っておいてそれはねェだろとばかりにサンドマンをにらみつける。
掴まれた腕を振り払うのもなんだが、今さらもう一度というのも興を削がれた。
確かに飲みすぎだが、意識ははっきりしてる。新しい相棒にこれぐらいで心配されてるようじゃやってはいけない。

盛り上がりに水を差された不満、行き場をなくしたグラスを下ろすとJ・ガイルは苛立しげにサンドマンを見る。
無表情だったサンドマン、ようやく表情を変えた。少し勝ち誇った笑み、そしてちょいちょいと男のグラスの表面を指さす。
グラスの表面、浮いてるのは『ザクザク』『メラメラ』という文字そのもの。暗闇に紛れた文字たちをJ・ガイルは勢いそのままに気付くことができなかった。
胃が縮むような感覚と、背中のうぶ毛が逆立ったのをJ・ガイルは感じた。
もしこの一杯を飲み干していたならば……考えたくもない、胃袋の中で暴れまわる苦痛はいかほどか。

「ジョーク、ジョーク、ブラックジョーク」

そんな男にサンドマンは淡々とそう呟く。そうとは思えないような輝きを目には宿して。






522 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:41:13.76 ID:09wYJm+r











「目的地は?」
「死亡者多数のナチスは混乱必須。殺人鬼のたまり場DIOの館はハイリスク、ハイリターン」


玄関を出た二人、吹きすさぶ風に混じるのは火薬と血の臭い。
運ぶのは砂と音と死。
死神のように影もなく、気付く暇もなく姿を現す二人はその道のエキスパート。

渡された地図を返すとJ・ガイルは意見を促す。サンドマンは顎に手をやるともう一度目的地を考える。
しばらくの間沈黙。決断を任された相棒は考えた末に、一つの場所を指さす。
笑い声を洩らすと殺人鬼はオッケーと二つ返事。尤も場所がどこだろうと、彼『ら』がやるべきことは変わらない。
殺し、殺し、殺され、殺す。それだけだ。

互いに拳を持ち上げると、空中でこつんとぶつけあわせる。
わかっている。酒を飲んだのも、こうやってわざとらしい『絆』を演出したのも、手を組んだという儀式の一つにすぎない。
酒瓶に映ったハングドマンの刀。酒に潜り込まされたイン・ア・サイレントウェイの文字。
気を抜いたら殺されるのは自分だ。用済みになったら真っ先に殺されるのは自分だ。
それでもそれを承知でも、J・ガイルもサンドマンもこの道を選んだ。

サンドマンはゴールにより素早く、確実に飛び込むために。自らの故郷に帰るために。
J・ガイルはより確実に、より多くの参加者に死を運ぶために。殺しを忘れられない自らの性ゆえに。



タロットカード、『吊るされた男(ハングドマン)』が表すは修行、忍耐、奉仕、努力、試練、着実、抑制、妥協。
逆位置が司るは徒労、痩せ我慢、投げやり、自暴自棄、欲望に負ける。

裏切りとギャンブル。判断は一瞬にして、選択権は相手であり、自分である。
男二人はまさに互いに縄と縄を握りあった状態。
耐え忍ばねばらない、勝ちたいならば。試練に打ち勝たなければならない、死にたくないのであれば。
妥協はいったいどこまでできるか。自分の性をどこまで抑えきれるか。
欲望に負けてはならない。徒労に終わらせたくはない。
吊るし、吊るされ、男たちは縄を引っ張り合う。







吊るし上げるのは/されるのは―――誰だ/お前だ。

523 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/03/11(金) 12:42:46.28 ID:09wYJm+r



【E-4とE-5の境目/2日目 深夜】

【サンドマン】
[スタンド]:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
[時間軸]:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
[状態]:健康
[装備]:サヴェジ・ガーデン
[道具]:基本支給品×2(+リゾットの分の食料・水)、音を張り付けた小石や葉っぱ、荒木に関するメモの複写、首輪に関する手記の写し
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る
1.目的地に向かい参加者を殺す。 ただし対荒木組のほうが勝算が高いならばJ・ガイルを始末する。
2.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える?


【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折(治療済み)
[装備]:9mm拳銃 、ディオのナイフ
[道具]:支給品一式×3、死の結婚指輪の解毒剤リング、ライフルの実弾四発、ベアリング三十発
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず殺しを楽しみつつ、自分が死なないよう立ち回る
0.大きな施設を回り、参加者を殺害する。
1.サンドマンは用済みとなったら処分する。
[備考]
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※支給品、チューブ入り傷薬を治療に使い切りました。
※E-4とE-5の境目の民家にアンジェロ、山岸由花子の遺体が放置されています。

524 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 19:28:53.64 ID:54rnsLTM
杜王町在住だが地震やばかった
お前ら無事ですか?特に書き手の皆さん

525 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 21:07:51.48 ID:tnVeEuLV
投下乙です。
>>516
会話続けながらも

会話「を」つづけながらも
の誤字では?その他の指摘はありません。後はタイトルくらいでしょうか

杜王町大丈夫っすか?
こっちは無事ですが、やっぱ心配ですねー
と、これ以上はスレチだから控えましょうか。とにかく無事を祈ります

526 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 21:10:29.15 ID:tnVeEuLV
……と、タイトルはしたらばにありましたか。という事で以下代理


名前: 吊るされた男 / 吊るす男  ◆Y0KPA0n3C
E-mail: sage
内容:
以上です。短い話なのに随分時間をとってしまって申し訳ありません。
誤字脱字、矛盾点、気になる点がありましたら指摘よろしくお願いします。


以上代理

527 : ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:15:16.68 ID:xrBVDTzD
投下します

528 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:16:42.17 ID:xrBVDTzD
「ジョナサン、シーザー、由花子……どいつもこいつもくたばった!」

ディオにとって、放送は吉報だった。
知る限り確実に敵視されている邪魔者があらかた死んだのは僥倖としか言いようがない。
個人的な恨みを晴らせなかったことを捨ておけるほどに、今のディオは平静である。
あまりに広大で、夢物語と捉えられかねない野望を見据え、掴むためにも。

「限りなく最高の条件だ。だが……だがしかしッ! 一手足りない!」

見据えたうえで、理解しているからこそ、乗り越え難い。
シーザーの件からしても、過去の汚名とはいえ何人かには間違いなく敵視されている。
悪評を伝聞した者がいることを考えると、終盤になればなるほどディオは不利だろう。悪意でないからたちが悪い。
確実に『乗っていない』という『示し』を付けなければ。

「予想は、ほぼ合っているはず。だが、俺の方から証明しなければ信用は……!?」

ディオが焦っている理由はそれだ。
殺し合いの最中でなら悪行を重ねることはなかったが、それが真であると誰が言える。
言わせるには、『ホワイトスネイク』による洗脳も選択肢に入るだろう。
だが、駒と言っても、ある程度は自分で動いてくれなければならない。流石に全員DISC頼みは骨が折れる。
それこそDIOに直面し、対立した者さえ納得させてしまえるような強い説得力を持った何かを見せる必要がある。
視界に入った瞬間殴りかかられる可能性も考えれば、言葉を交わすことさえなく、分からせなければならない

この溝を埋めなければ、ディオにとっての勝利は永劫来ない。
やりきれなくなり、ディオはふと、窓越しに夜の闇に溶け込んだ外を見る。
今は無人の城、DIOの館を眺望する。未来の帝王に届くことなく、潰えるのかと苦悶しながら。

「フッ、フフ……」

途端、噴き出した。

「アハハハッハハハッハハッハハハッハハハ」

仰け反って、腹を抱えて、顎が外れるほどに口を開けて。喧しく、けたたましく、品なく。
息を切らしたところで、肺活量の限界まで吸い込み、叫んだ。

「舐めくさりやがってッ!」


  ★


「露伴たちが……くそッ!」

ディアボロにとって、放送は凶報だった。
地下鉄駅内で邂逅し、初めはその瞳に恐れをなしたものの、年端もいかない守るべき存在だった早人。
情報交換の間も、自分の要望を押し通そうとするあたり大人げないが、荒木に怒りを覚える正義の心は見て取れた露伴。
会話はなかったものの、露伴の皮肉交じりの紹介から実直な性格だろうと思われた億泰。
そして、先刻まで行動を共にしていたシーザーまでもが。
細かな砂を掴んだかのように、手にしたと思い込んだものは何もかも零れ落ちていく。

529 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:17:47.51 ID:xrBVDTzD
「時を飛ばせなくなった結果が、このザマか……!」

自ら望み、手放し始めた能力も。
あれば救えたかもしれない。零しても、掬える命があったかもしれない。
だが今更だ。取り戻せば外道に堕ちる。
ならば、背負っていくしかない。零さぬよう、努力していかなければならない。

「貴様ッ……!」

だからこそ、悠然と向かってくるディオを前にして、何もしないわけもなく。
なぜ、単独で現れたかなど気に留めない。出てこれない状況なのは確かだ。
回収したボウガンをディオに向け、構える。

「撃つな」
「いまさら何を!」

スタンドも出さず、ゆったりと近づいてくるだけのディオに違和感を持つ余裕がディアボロにはなかった。
策の布石だとか、油断を誘う罠だとか、悪いようにならいくらでも考えられる。
ディアボロが前後左右、上空さえも警戒しようが、ディオが何かを仕掛けてくる様子はない。

「静かにしろ。俺を見て特に思うことがないのなら、その腐った脳みそはとっとと掻きだした方がいい」

そうこうしているうちに接近を許し、月明かりに照らされて、徐々に明らかになっていくディオの五体。
左手首は断ち切られたものの、とにかく五体だ。
そう、今のディアボロには見えている。
若干引きずりがちな左足も、かすり傷程度の銃創も、包帯で気休めとしか思えない処置を施された左腕も、僅かに乱れた金髪も。
そこまで視認出来ているのだから、『キング・クリムゾン』で鉄槌を下すには十二分な距離。

しかし、ディアボロは構えを解いた。
解かざるを得なかった。

「首輪が……!?」

どんな参加者だろうと等しく課せられた枷が、ディオの首からはまるきり姿を消していたのだから。

証明するかのように、右手の指で滑らかに喉元をいじるディオ。
催眠術、幻覚といったチャチなものではなく、存在がまるでなくなっている。
もはやディオは、誰もが望んだ殺し合いからのドロップアウトを一足早く果たした。
紛れもなく、殺し合いの規則から外れた規格外者の一人。

『声を出すなよ。盗聴されているかもしれないから話すのは俺からだけだ。理不尽かも知れんが』

スタンドによる会話を試みるディオ。
スタンドが話すことさえも盗聴されることはあるまい、超常現象に機械で対抗するのは流石に不可能だろう。

530 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:19:25.06 ID:xrBVDTzD
『俺はさっきの男が提案した殺しの同盟に、参加『させられていた』。だがお前が追い詰めたおかげで隙をつき、造反することができた。
 その点に関しては感謝しなければならないな』

ディオにとって、これだけは外部勢力を持ってしかどうにもならないことだった。
感謝の意は、紛れもなく事実。
しかしながら、ディアボロの疑いの眼差しは晴れない。

『言い訳ととらえてもらって結構だが、俺からお前に直接攻撃するようなことはしなかったろう?
 DISCの投擲はまず当たりはしないし、銃も吉良に言われたからというのもあるが全弾外した』

元々裏切る気でいたディオは、出来る限り敵を作らない立ち回りをしていた。戦闘中でさえも。
そこからディオは、息つく間もなく、たたみかける。

『しかも、先の戦闘で首輪の解除条件が分かったぞ』

そんなおいしい話があるだろうか、と返そうにも、現にディオの首には銀環がないし、言い訳も理には適っている。

『お前の首輪を外すことも出来る……と言うより、勝手に外させてもらう。殺し合いに付き合わされるのは御免なんでな。
 お前とてそうだろう?』

ディオがこの先、殺し合いの果て、最後に立つ一人となったとしても。
首輪を外している以上、荒木の機嫌を損ねる可能性がある。参加者とみなされていないことも考えられる。
そもそもディオに攻撃を仕掛ける理由があるなら、長話をしていないでとっととけりをつければいい。
荒木に辿り着くための障害、首輪を根拠のない猜疑心で外さないという選択を採るはずもなく。

ディアボロが頷き、了承と見たディオは、『ホワイトスネイク』をディアボロの方へと向かわせる。
右手で頭部を鷲掴みにし、数秒たった後、呟いた。

「じゃあ……ここで死ね」


  ★


血の気の引いた、ピクリとも動かないディアボロの額を撫でつつ、ディオは語る。

「盲点だったぞ……装着者の死と首輪の機能停止が連動しているのではなく、装着者の力で首輪が稼働していたとは」

ディオの結論は、リゾットが命を賭して辿り着いたものと同一だった。
『死』を天秤に掛けたから見えた突破口、なぜディオがこうも簡単に。
いや、ディオとて己が身を賭けてこそ知り得たこと。

「お前のスタンドDISCを抜きかけた時、首輪の明かりが弱まった。何か関連性があるんじゃあないかと思ったのさ」

DISCが抜かれかけた時、ディオはちょうど、ディアボロの正面にいた。
射程距離の関係上ディアボロに対しほとんど抵抗できず、やられっぱなし、下手をすれば死傷は免れなかった。
うずくまってなお起き上がろうとして、かろうじて見えただけの、まさしく光明。
首輪の構造、その謎の核心に至る。

「スタンドは生命エネルギーのヴィジョンと聞いた。それが抜かれかけたら明かりが弱まった……だが、弱まった『だけ』だ。
 命を削って初めて首輪が外せるならば、参加者は『死なない限り』決して首輪を外すことが出来ないんじゃあないか?」

531 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:20:44.38 ID:xrBVDTzD
ある種、荒木の悪趣味がまた一つ露見する形となった。
元々外す気がないのではないか、ともとれる仮説。

いや、現実だ。

ディアボロは死んだ。

死んで初めて、首輪を外すことに成功した。

「趣味が悪いぞ」
「荒木に悟られたらおしまいだからな。それにさっきも言ったが、命を賭けなければならないのは事実だ」

むくりと上半身を起き上がらせたディアボロが、呆れ顔でディオに物申す。
しれっと返してのけたディオは、何も殺人犯になったわけではない。だがディアボロは確かに死んでいた。

ディオにとって、死は不可逆ではなかっただけのこと。
『ホワイトススネイク』で記憶DISCとスタンドDISCの両方を抜き取られ、一時的に仮死状態になっただけのこと。

生命エネルギーを増幅させた場合、柱の男のように変圧器代わりの物が無ければ首輪が自壊してしまう。
アナスイとF・Fが証明したように、飽和したエネルギーが首輪に収まらないのだ。
また、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の電力吸収に対し、生命力の過剰吸収によって首輪を無理矢理維持させる機能も存在した。
一件、首輪の機能には弱点となる抜け道がないように思える。

では、生命エネルギーを『減らす』方面に関してはどうだろうか。

ダービーの『オシリス神』、プッチ神父の『ホワイトスネイク』のように、参加者の中には『魂やスタンドを取り除く』能力者がいた。
首輪の稼働と装着者の生存が連動するなら、仮死状態に導くこれらの能力に対し、対策がとれない。
能力を制限することは、実質スタンド能力の喪失に等しく、元々の能力発動の条件の厳しさもあり、手を加えられることもなかったのだ。
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の能力行使に対するカウンターも、エネルギーの減少に弱いからこその機能。
仮に解除の可能性に思い至り、そういった目的でスタンド能力を用いることがあったとしても、それを防ぐために首輪が存在する。
制限を課さずとも、盗聴なりGPSなりで、解除を未然に防ぐことや罰則を与えることは充分に可能だったわけだ。

「ところで、お前はどうやって首輪を外したんだ?」
「……既に壊れていた」

だが、ここでイレギュラーが重なった。

「殺し合いが終わってからちょうど一日だ。そこまでしか『持たない』作りだったんだろう。
 なにせ『元・ただの人間』だ。スタンドの力で動く仕組みは入れるだけ無駄、放っておけば外す前に死んでいる、そう見なされたんじゃあないか?」

ただの人間である参加者には、短期間しか稼働しない首輪が付けられていたことである。

ディオが首輪の機構について理解した時、自身の首輪はエネルギー切れに等しかった。
闇夜のガラスは鏡となり、電球の明滅を示さないディオの首輪を映し出したのだから、そう理解するのも当然。
とは言え、引きちぎるのはいささか愚直だったろう。
首輪なんてどうでもいい、たかが人間だから、と侮辱されたと認識しての激昂。だからこそ『元・ただの人間』と、『元』の部分を強調してみせた。
それでも、そのプライドの高さがかえって功を奏したのも事実。
傍目には分からない、外部の衝撃を認識して自爆するための電力さえ、尽きていたのだから。

首輪を無効化しうる『ホワイトスネイク』が、『ただの人間』ディオ・ブランドーに受け継がれたというイレギュラー。
受け継がれた悪意は、荒木を打倒せんとする参加者に味方する力となった。

532 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:24:03.60 ID:xrBVDTzD
「そんなことはどうでもいい」

効能だけを取り上げるなら、の話ではあるが。

荒木のスタンド能力は計り知れない。
ただ倒すだけならまだいいが、『スタンドをDISC化して奪う』となると難易度が途方もなく高くなる。
ディオは理解している。DISC生成のため、時間稼ぎのための『壁』が必要だと。
殺し合いを止めて荒木を倒して大団円、だけではディオの望むハッピーエンドには届かない。
『ホワイトスネイク』単体でも、ジョースター家の遺産を一人占めするのは容易だろう。だが、彼の飽くなき野望はそれだけでは満たせない。

生まれの悲運にあえいだ彼が、誰よりも上にのし上がるという夢を持つのは当然だ。
だが夢は、方向性がブレた途端に欲望になる。

「どうでもいい……だと? お前の話だと、確証がないまま突き進んだように思えるが」
「その通りだな。失敗してしまったところで、他の策を試せばいい」
「お前ッ……!」

他人を巻き込むことを前提にしてしまえば、それは夢に届かぬ欲望だ。
願うなら、周りを見失ってはいけない。人生における落とし穴を気にするあまり、下を見続けたディアボロがまさしくそうなのだから。
犠牲や諦めを断ち切らんとするディアボロには、ディオがひどく不安定に思えた。
精神が落ち着かない、という意味ではなく――人間と化け物の境界線を跨いでいる、そんな例えがふさわしいと。

「ごちゃごちゃやってる場合じゃあないぞ、早急に事を進めたい。『荒木に従う必要なんかない』と分かりさえすれば」
「……ああ。勝ちの目は、残されている」

しかし、持たざる者が神に祈る他ないように、ディアボロもまた、その不安定な可能性に委ねるしかなかった。
むしろ、実験台になるのが他の誰かでなくて良かったと思うことができる。
殺人狂でもない限り、首輪を外せるという誘いは参加者にとって魅力ばかり。禁止エリアに怯えることもなくなる。
勝手に人を実験台扱いしたことを考慮に入れても、ディオの功績は余りある。

「ディオ・ブランドー。俺はお前のことを良く知らない。だが、お前が荒木に仇為すつもりなら協力したい」
「もとより、そのつもりだ」
「ジョルノ・ジョバァーナのこともある。仮に伝言が伝わってなければお前に橋渡しをしてもらうほか……」
「ジョルノを知っているのか!?」
「……時間がかかりそうだ。場所を変えよう」

ともあれ、情報交換は必要だ。
ディアボロは希望のために。ディオは欲望のために。


  ★

533 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:27:57.12 ID:xrBVDTzD
「やれやれ……誰もいないっていうのは流石にへこむわね」

無人の館を出る少女、空条徐倫が溜息をもらす。
DIOの名が付くだけあって、立ち寄らないわけにいかず。
怨敵との再会か、頼りになる仲間との遭遇か――期待に胸膨らませたのが間違いだった。

だだっ広い施設はもぬけの殻。突貫工事としか思えない地下鉄駅があったものの、いまさらそれが何の役に立つのか。
収穫と言えるものは、武器となるハンマーぐらい。
大型で、取りまわしが利かず、デイパックにしまうのも難儀する。はっきり言って足を引っ張りかねない。
時間を浪費した、という事実を受け入れたくないがために、わざわざ担ぐこととなったのだが。

「禁止エリアになるのもまだ先だから、急ぐ必要もないけど」

必要はないが、だからと言って籠城は上策ではない。
放送でナチス研究所とDIOの館が封じ込められた、つまり、暗に「引き籠るな」と忠告しているのだ。
徐倫が制裁を疑うのも無理はなく、そうまでする必要もなさそうである。

殺し合いのペースがここにきて加速してきた。禁止エリアがさらに拍車をかける。
それでいい、ケリが早く着くというのなら好都合。
荒木が望むまでもなく、徐倫は突き進むつもりだ。

F・Fは死んだ。あの頃のアナスイはもういない。
失うものなんか何もない。
もう、何も怖くない。

ふと、前を見ると。

「……ディオ!」

かつて父親を追い詰めた因縁の根源が。
蹴りだすように駆け、踏み込むと。

『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が――』
「えっ……!?」

憶えのある声での、警告。

「まずいッ!」

ディアボロのタックルで、元の位置へと突き飛ばされる徐倫。
宙を舞い、地を転がり、砂の味を噛みしめる。

「うげぇっ!」
『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』

無事の確認を有難く聞き入れた徐倫は、心境優れない。
今すぐにでもブチのめしたい奴がいるのに、拳を振るえないという苦悩。
手段ならある。石造りの海を乗り越えるためにその名を背負った、『ストーン・フリー』が。
武器もある。メリケンサックも、ハンマーも、鉄球も、もっと手軽なのが良いならサブマシンガンも。
なのに、なのに、なのに。

「近付くな。とりあえず俺たちはお前を襲いはしないし、そうする理由もない。お前が向かってくるつもりなら逃げる」
「あんたに無くても私にはあるのよ」

534 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:32:02.27 ID:xrBVDTzD
勇ましい言葉を浴びせるも、徐倫が再び攻勢に転じることはない。
『ストーン・フリー』でボコろうにも、禁止エリアと告げられた場所へもう一度入るのはリスキーだ。
動きを封じられでもしたら、一分と待たず首が千切れ飛ぶ。
奇襲しようにも、相手が二人となるとそうそう隙をつけるものではない。
サブマシンガンも、相手がパワー型のスタンド使いなら豆鉄砲に等しい。
禁止エリアにいるのに無事であるという怪奇、解明するためにも、待機という消極的な方法を取る他なくなる。

「ディオがどうのこうのと言うなら、誤解だ」
「俺の未来の悪評は知っている。だが、それがどうした。抵抗する気の無い奴ら相手に拳を向けるのが狂気でなくて何だ?」

なぜ徐倫が、ディオとディアボロの首輪が外れているという事実に気付けなかったのか。
隠しているからだ。
ディオが初対面で首輪がないと怪しまれるだろうと提案し、現在は首元に民家で調達した布をマフラー状に巻きつけ、カモフラージュしている。
首輪がない理由を問いただされてしまうと、荒木に悟られうるとしての処置だが、正解だった。
ただでさえ錯乱気味の徐倫に、ポンポンと新しい情報をよこせば混乱するだけ。
まずは戦意がないことをアピールし、平静を取り戻させる。
しかし、理屈で徐倫が立ち止まるだろうか。彼女の元で、理屈で人は救えてきたか。

「狂気に堕ちる気持ちは分からんでもないがな。荒木はお前の母親を殺した」

では、情だ。
ホール内で観察に徹していたディオだからこそわかる。
空条徐倫は、『見せしめ』の死にひときわ反応していたのだから。

「分かった様な事を!」
「分かった様な事……? 違う! 間違っているぞ!」

徐倫の激昂による反論を、ディオは抑え込みにかかる。
ディオは、徐倫に共感『してやれる』のだから。

「俺だって……目の前で、吉良と言う男に父親を殺された。義理だったが、それでも……父親だった! 俺を息子と呼んでくれた!」

それ相応の境遇は持ち合わせている。
多少の嘘は交えたが、徐倫をたきつけるには必要な物。
吉良の立ち上げた同盟のもとでジョージを殺害したのだから、あながち嘘とも言えないかもしれない。
流した涙は偽り以上の何物でもないが。

「信じる、信じないは勝手にしろ。だが、母殺しをした荒木が憎いなら! 俺の父を殺した諸悪の根源が荒木なら!
 俺たちが取るべき行動は決まっているはずだ!」

535 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:33:50.09 ID:xrBVDTzD
ここで、ディオが喉元に巻かれた縛りをひも解く。ディアボロも同様に。

「首輪が……ない!?」

はらりと取れた布の中、荒木が課した拘束具が見当たらず。
タネも仕掛けもありゃしない。されど手品に勝る驚愕の事実を前に、徐倫は二の言葉を続けられずにいた。
だが、それが何を意味しているかぐらい、わかる。

殺し合いの破綻。
ルールに服従する必要性が皆無となったこと。
更には、屈服させるべき荒木に、より近付く機会が増えるだろうことも想像に難くない。

「俺の能力なら、それができる。全員の首輪を外して荒木を引きずりだすのも夢物語ではない!」

ディオは決断を迫る。
徐倫が下に付きさえすれば、自身の謀略のための人員がまた一人増えるのだから。
何より徐倫がディオ側に付けば、同情的な面からも支持を得られる。
母親を失った徐倫を気遣った、という事実は人員が増えた今後響いてくるはずだ。

ディアボロは英断を願う。
ディオがらみの誤解さえ解ければ、荒木を打倒するための戦力がまた一人増えるのだから。
雨降って地固まるように、不和を乗り越えた結束は強いものと信じている。
かつてジョセフに対して、ポルナレフに対してそうであったように。

徐倫は判断を迷う。
誘いに乗れば、わざわざ苦労して利用だのなんだのと策を巡らせる必要もなくなるし、第一に為すべきことは、荒木に対する復讐だ。
ただでさえボロボロの身、荒木を引きずりだすのに優勝を目指すとなれば、立ちはだかる障害はあまりにも多い。
だが、DIOを目の仇としてきた彼女がそう簡単に誘いに乗るだろうか。
誰彼構わず利用するなどと体の良い言い訳をして、利用されるのがオチではと警戒するだろうか。
彼女は憎むべき宿敵、ディオの軍門に下ることを良しとするか、悪しとするか。

「私は……」



【D-5 北西部/1日目 真夜中】

【王s(オーズ)】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:首輪解除済み。内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽度の銃創、左足負傷、
    ジョルノ(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:首に巻く布、ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、アイアンボールボウガンの鉄球、剃刀&釘セット(約20個)、
    基本支給品×2(水全て消費)、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残って、荒木のスタンドを手に入れる。
0.参加者の首輪を解除して、対主催軍団の頂点に。
1.ジョージ殺しの罪を吉良になすりつけることで集団に入りやすくする。
2.荒木のスタンドDISC生成の時間稼ぎのために、スタンド使いを『上に立って従わせる』。
3.ジョルノに借りを返す
4.ジョルノが……俺の息子だと!?
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』、『キング・クリムゾン』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。

536 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 13:36:59.20 ID:xrBVDTzD
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:首輪解除済み。右つま先に爆発によるダメージ(応急処置済み)。頭部に軽い打撲。強い決意。恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は1個)、首に巻く布、
    ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.首輪さえ解除できれば、こっちのものだ!
2.だが、ディオ・ブランドー……信用できるのか?
3.無事ジョルノに『伝言』が伝わっていればいいが……
4.恐怖を自分のものとしたい。
5.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
6.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※精神状態の変化から時を飛ばせる時間が少なくなっています。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。
※DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しました。DISCの用途を知りましたが、記憶DISCか、スタンドDISCかの判別は付かなかったようです。
※ディオとの情報交換は禁止エリア内で行われました。そのため、道中シーザーとジョナサンの死体を目撃しています。



【C-4 南東/1日目 真夜中】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(大)、体中縫い傷有り、上半身が切り傷でボロボロ、火傷(小)
【装備】:エリナの指輪、大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品一式 、サブマシンガン(残り弾数70%)、不明支給品1〜5(確認済)、ジャイロの鉄球、メリケンサック、
     エリナの首輪、ブラフォードの首輪、
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0.荒木を屈服させ、すべてを元通りにさせる。
1.そのためならばどんなゲスでも利用してみせる。アナスイももちろん利用する。だがディオの誘いに乗るべきか?
2.自分達を襲った敵を見つける。
3.インディアン(サンドマン)と情報交換。
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。

537 :ただの人間だ。人間でたくさんだ。 ◆0ZaALZil.A :2011/03/12(土) 14:02:34.12 ID:xrBVDTzD



※【C-5西部 民家】吉良吉影の死体の近くに、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、
 クリップ×2 、ディオの左手、 ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×5、
 ポケットサイズの手鏡×2、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、
 CCDカメラの小型モニター、ギャンブルチップ20枚、二分間睡眠薬×1 が放置されています。
※【D-4 北部】に支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)が放置されています。
※【C-5 西部】にサブマシンガン(残弾なし)が放置されています。
※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。

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投下完了です。停電の可能性など、今後どうなるか分からないのでひとまず投下だけ済ませておきます

538 :創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 22:38:34.05 ID:YcMTWI7I
両氏、投下乙です
サンドマンのマーダー化に帝王同盟と、また激しい超展開でしたね
書き手チャットの予定や震災の影響などがまったく分からない状態なので、
現予約作の投下が終わったらしばらく進行を凍結してもいいかもしれませんね

スレ違いかもしれませんが、仙台市在住の荒木先生の安否って分かります?
被災地ドストライクすぎてとても心配しています
先生の安否が分かるソースをお持ちの方はご一報いただければ安心します

539 :創る名無しに見る名無し:2011/03/14(月) 22:22:47.98 ID:kN5i8x9D
お二方投下乙です
チームを組んだものの綺麗なボス以外皆腹の中ではやる気じゃあないですかー! やだー!
旦那とサンドマンの乾杯シーンが渋くて良かったし、徐倫がどう動くか楽しみだ
初期ディオは「治療させてやってるんだからな!」とか言ってたのに今じゃそんな面影がないな ボスは言わずもがな

 あと明日月報ですよね? もう集計されたかもだけど210話(+11)、12(13)/89(−16)です
 FFがアナスイと合体したので12(13)としています

>>538
それで良いと思います >予約分終わったら凍結
荒木先生の安否は分かりませんが、確か東京在住だったと思います(ソースは広瀬川インタビュー)
一刻も早く多くの人が元通りの生活に戻れる事を心から祈ってます

新スレは立てても投下が無いと落ちちゃうので、新作投下と同時に立てればいいんじゃないでしょうか

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