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【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】

1 :創る名無しに見る名無し:2010/12/18(土) 20:59:06 ID:5M1ss626

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前スレ 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
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本スレ 【心の鬼】萌キャラ『日本鬼子』製作21【募集中】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1292054847/

萌キャラ『日本鬼子』まとめwiki
http://www16.atwiki.jp/hinomotooniko/


86 :本スレ607:2010/12/24(金) 14:57:34 ID:Pkb2wROB
なんか、アニメ映画においてありそうなネタを考えてみたので、
モヤモヤした状態になっている頭の中を整理するため、ここに吐き出させて下さい。
台詞とか細かく考えていないので、かなりヘンテコになりそうですが、
目を瞑って頂けると幸いです。ではまずこれにしか出ないキャラ設定から…。

・金秋社長:人材派遣会社の社長にして、金秋寺の住職。
      引きこもり解消支援の事業を行い、成功している。

・柚子女将:鬼子に助けられてから、下宿として部屋を貸す若女将。
      
・???:鬼子と姿形を同じくする、鬼娘。正体は不明。

・従鬼:全てにおいて、その主の言葉のみを優先してしまう心の鬼。

他は良く出る面々のイメージで…。お目汚し、失礼致します。

87 :本スレ607:2010/12/24(金) 15:09:54 ID:Pkb2wROB
1:鬼の凶暴化
ある晴れた日…轟音と共に、林から土煙が上がる。そこで戦っているのは、
赤い着物に身を包んだ日本鬼子であった。対峙するは鋭い爪を持った、熊の様な鬼。
鬼子「…っつ!こんな心の鬼、見た事が無い…それになんで本体となる人も居ないの?」
薙刀を気丈に構えながらも、深く傷ついたのかその腕からは血が滴り落ちている。
謎の鬼「グギャァー!!!」
雄たけびを上げると共に、更に大きくその腕を振り下ろしてきた鬼を、
どうにか避けて両腕で薙刀を握り直す。狙うはその眉間、飛び上がり打ち下ろす鬼子は、
傷ついたとはいえ、巨大な鬼が身を守る構えを見せるより幾分か早く行動出来ていた。
鬼子「潔く!萌え散りなさい!」
薙刀が深く眉間を突き刺すと、そこから花びらが噴出し、いつもと同様に虚空へと消えていく。
だが、鬼子自身は感じた違和感を否定できず、その様をいつも以上に強く見つめていた。
鬼子「なんでこんな強力な鬼に今まで気づかなかったのかしら?」

88 :本スレ607:2010/12/24(金) 15:30:08 ID:Pkb2wROB
柚子「はい。できましたよ。本当に病院行かなくて大丈夫?」
鬼子「有難うございます。私、これでも一応鬼ですから。人の病院にはちょっと…」
いつもお世話になっている旅館に戻り、女将の手当を受けた鬼子は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
ガシャーン!!「キャアー!!」風呂場の方から大きな音や悲鳴が聞こえてくる。
小日本「ネネさま〜!またヒワイドリ達が…」
鬼子「しょうがないわね…ちょっと待ってて。すぐ行くから」
柚子「体に響くでしょうから、無茶はしないで下さいね」
温泉へヒワイドリ達が侵入するのはいつもの光景である。
人間の三大欲求の一つである彼らに対しては、どれだけ祓おうともまたやってくる。
それは彼らが人の欲望を体現するだけではなく、時には個々人の興味を元にした縁結びや、
子孫繁栄などの役割さえ持っている神々の一部でもあるからだ。
しかし場や時を弁えないならば、出て行って貰う他は無い。
ヒワイドリ「鬼子!今日こそその胸を揉ませて貰うぞ!」
鬼子「煩い!今日は機嫌が悪いのよ…とっとと萌え散りなさい!!」
女性客を避難させつつ、露天風呂へと追いやると、強打者の如く薙刀で一気に打ち上げた。
ヒワイドリ「クッ…また来てやるからなぁ!!」
鬼子「まったく…あんたは下世話な合同お見合いの場にでも行ってりゃ良いのよ」
激戦を終えた疲れに、煩わしい相手をして気が滅入った鬼子は、大きなため息をついた。

89 :本スレ607:2010/12/24(金) 15:40:58 ID:Pkb2wROB
人の離れた女湯では、ヤイカガシが客の下着を漁ろうと手を伸ばしていた。
鬼子は慣れた手付きで薙刀の石突で頭を強く殴る。「グゲッ」っと泣いたヤイカガシは、
半泣きになりながら浴室を出る鬼子について行った…。
小日本「ネネ様早く!早く!ご飯を食べようよ〜!」
食堂で呼ぶ小日本を見て、鬼子の顔にようやく笑顔が戻った。

一方その頃、ある山の地下において…。
…厚いガラスの奥、入り口以外何も無い無機質な部屋で、二人の少女が格闘している。
その手には少女には似合いそうも無い、文字の刻まれた不気味な鎌。
???「どれが残りそうだ?」
研究員「お疲れ様です。恐らく12号かと。体力・霊力共に他を大きく上回っています」
???「うむ。こちらも順調だ。心の鬼のコピーは既に1000体を越え、量産の準備も整った。
   あとは邪魔な他の心の鬼を消せる、こいつの完成を待つだけだ」
―二人が話す間に、少女達の戦いには決着が着いていた。その顔はどちらも同じ。
違うのは冷たく光る首輪についたナンバーだけ。その瞳には感情の色すら見えない。
???「オリジナルの捕獲作戦はどうだ?後から鬼を消されてはかなわん」
研究員「そちらも順調です。先日放った改造体に対し、かなりの苦戦をしているデータが届きました。
    明日にでもオリジナルを上回る心の鬼が出来上がります」
男は聞き終えるのとほぼ同時に、エレベーターで地上へと戻っていった。


90 :本スレ607:2010/12/24(金) 15:59:00 ID:Pkb2wROB
しまった…どうせ本スレで既にネタバレしてるんだし「???」なんて入れなきゃよかった。

朝の支度を終えた鬼子は、窓からカーテンに身を隠しつつ通勤へ向かう人の群れを見ていた。
鬼子「ねぇ、柚子さん…人って不思議ですよね。この会社という場所へ向かう人々は、
   みんなその目的が同じで息が詰まったりはしないのかしら?」
柚子「そうねぇ…中には自分の目標を持って、一人で頑張ろうって人もいるだろうけど、
   みんなに合わせるだけで日々の生活を維持出来るなら、その方が楽なのかもね」
鬼子「楽…なのかぁ」
柚子「そうよ。目標を明確に持つのって大変なのよ。叶わないとなれば、心が折れそうにもなる。
   もし誰かがそれを用意してくれるなら、甘えちゃう人は多いと思うわ。
   それに大きな事をするには、同じ目的の人が沢山居ないと無理だから…持ちつ持たれつね」
鬼子「そっかぁ…でも、私みたいに人から受け入れて貰えない人はどうするの?」
柚子「あら?私は鬼子ちゃんを受け入れてるつもりよ?でも…どうしても人との交流が苦手な人は、
   自分の目標が見つかったり、どうにか人と話せるまで閉じ篭っていたりするそうね。
   …さ!お風呂の準備をするわね。もう他のお客様はみんな出発したから」
鬼子は、どうにも腑に落ちてはいなかった。今他に誰もいない時間に入るのは、
以前角が衣装ではなく本物だと、他のお客にバレて大騒動になったからだ。
柚子さんと入るのは、それはそれで楽しい。でもどうしようも無く受け入れられなかった時、
変わるのは自分側でしかやりようが無いのか、その点の疑問を解決する何かは未だ見つからないのだ…。
鬼子「…この角、取れないのよね」
以前に迫害された時、折ろうとしても折れず、悔しさと寂しさに泣いた事を不意に思い出してしまった。

91 :本スレ607:2010/12/24(金) 16:16:18 ID:Pkb2wROB
鬱々と考えている中で、不意に強い鬼の気配を感じ、辺りを見渡した。
鬼子「どこ??それに…この気配は昨日の奴とすごく似ている…」
窓から身を乗り出してみると、山で樹が突然倒れていく。
薙刀を握り締めた鬼子は、自分が生まれた時から目的とする、
『人を惑わし、傷つける心の鬼を祓うため』に跳躍した。
柚子「…鬼子ちゃん、用意できたわよ〜。??あら出かけたのかしら?」

現場に到着した鬼子は、目を見開いていた。そこに立っているのは昨日とほぼ同じ心の鬼。
やはりその元となる心を宿した人の姿は見えない。違う点は更に動きが俊敏になっている点だ。
鬼子「なんでこんな突然これほど強力な鬼が何度も現れるの?それにまた誰もいない…」
考える暇も、しゃべる暇も与えてくれない猛攻を避けながら、反撃の機会をさぐる。
だが不意に後で扉の開くような音が聞こえて、そこを見てしまった瞬間、鬼の一撃が身を捉えた。
鬼子「痛ッ…あ、あなたは!」
一撃に身をもだえる鬼子であったが、それ以上に物音の正体に驚いていた。
薄れゆく意識の中「もういい。止めろ」と話す男の声を聞き、鬼の動きが止まる。
体が動かない鬼子を、心の鬼は軽々と持ち上げて扉の奥へと消えていった。

92 :本スレ607:2010/12/24(金) 16:20:49 ID:Pkb2wROB
前半部分は以上です。残りは夜中か明日に投下予定…。
皆さんのSSは上手いなぁ。色々参考にさせて下さいませ。
失礼致します。

93 :本スレ607:2010/12/25(土) 00:40:19 ID:MoMxnzH0
【ID変わりつつ続き書きます。イメージは浮かんだけど、流れが浮かばない…。】

鬼子はその日、遅くに旅館へと戻った。そこには待ちに待っていたチチメンチョウが。
チチメン「やい!遅いではないか!鬼子よ、今日こそはこの豊胸吸引カップを身に…」
全ての言葉を言い終わる前に、鬼子の武器がチチメンチョウに刺さる。だが、萌え散りまではしない。
チチメン「い、痛いではないか!突然何をする!そりゃあ私のセクハ…」
怪訝そうにしていた鬼子は、またもや鳥の言葉が紡がれるのを待たずに、
今度は武器を手にチチメンチョウの全身の羽を、盛大に毟り始めた。
チチメン「やぁ…止めて下さい。鬼子さん…鬼子様…鬼子女王!」
何を言おうと止まらない。普段ならば低俗といえ神の一人と見逃されており、
付け上がっていたチチメンチョウだが、その肌はまさに『鳥肌』となり恐怖に震える。
全てを毟り終えた鬼子は「こんな羞恥プレイ…言葉攻めが足りない!」と喚く鳥を無視し、
足を握り逆さ吊りで運ぶと、旅館のオーブンへ放り込んで焼いてしまった。
哀れ丸焼きとなったチチメンチョウは…まぁ巨乳への強い思いが誰かの心にあれば、
いつかは復活するのだが、一度この世界から消え去りご馳走となった。

【というわけで、皆様メリークリスマス!【】内は無視でストーリーはまだ続きます。】

94 :本スレ607:2010/12/25(土) 00:54:42 ID:MoMxnzH0
夜が明けて、食堂へと向かった鬼子は、昨晩と同じく表情も無く言葉も少ない。
「頂きます」と「ご馳走様」以外一言も話さない鬼子を、心配そうに小日本が覗き込む。
小日本「ネネさま?どうしたの?元気ないの?お腹でも痛い?」
普段なら何か言葉を返す鬼子だが、一言だけ「何も無い」と返すだけだった。
女将の柚子も心配そうである。昨日突然消えたと思えば、抜け殻の様になって帰ってきた。
鬼子はそんな周りの心配を他所に、食器を片付けると出かける準備をした。
柚子「どこへ行くの?」
鬼子「心の鬼を、祓いに行きます。私の目的はそれだけだから」
見送るヤイカガシは茶碗を嘗め回しながらふと首をかしげた。
ヤイカガシ「…?あいつの武器って鎌だったっけ?」

95 :本スレ607:2010/12/25(土) 01:11:46 ID:MoMxnzH0
その日も鬼子はすぐに帰らない。帰る頃には着物が目に見えて汚れ、
履物は磨り減っている。空を飛んでいたチチチドリによれば、
普段なら出かけない三つ先の町まで、心の鬼を祓いに出かけていたという。
小日本「ネネさま…大丈夫?ねぇ、絵本を読んでくれない?眠れないのぉ」
眠い目をこすり、ずっと帰りを待っていた小日本に対しても、
朝と変わらず鬼子の視線は澱み、表情は冷たい。
鬼子「私の役目は心の鬼を祓う事。自分で読んで下さい」
小日本「どうしちゃったの?いつもみたいに笑ってよ!いつもみたいに読んでよ!」
半べそになりながら駄々をこねる小日本にも、相変わらず無表情なままである。
鬼子「笑う必要なんてどこにあるの?心の鬼を祓う事、それが私のやるべき事でしょう?」
小日本「違うもん!ネネさまはいつも『皆が笑顔になれる様に』って言ってたでしょ!
    心の鬼で皆が困って、泣いたり怒ったりしない様に頑張るって言ってたでしょ?
    そのネネさまが一番笑えてないなんて変だよ!そんなネネさまなんて…もう嫌いよ!」
怒った小日本は、絵本を鬼子に投げつけて涙を振りまきながら寝床へと走って行った。

96 :本スレ607:2010/12/25(土) 01:28:29 ID:MoMxnzH0
司会者「本日のゲストは金秋社長です!今回は1000人にも及ぶ引き篭もり状態の解決を、
    人材コンサルティングと寺の説法を合わせた新たな手法で成功させたとの事ですが、
    一体どの様な方法をもってすれば、この社会問題解決へ結びつける事が出来たのでしょうか?」
金秋「なに、簡単な事ですよ。若者というのは目標が無い事、協調する事が出来ない事で、
   社会との接点を断ってしまい、閉じこもりがちになってしまうのです。
   それをしっかりと準備してやれば、誰でも自ずと社会へと出る事が出来ます」
司会者「つまりそれは更生の段階での受け皿として、派遣先の斡旋を行うと共に、
    説法における協調性の成長によって、社会復帰を迅速に促しているという事ですね?」
金秋「その通りです。今研修中の1000人についても、既に相手の言葉をしっかりと聞き取り、
   設定課題を目標として、一直線に行える力を既に身に付けつつあり…」
旅館では、珍しく食堂のテレビがご飯時についていた。泣き腫らして赤い目の小日本と、
食卓を包む重い沈黙に耐え切れなくなり『食事中はテレビを見ない事』というルールを破ったのだ。
鬼子はまた食事が終わるとすぐに出かける準備をしている。その時柚子は気づいた。
三日前にあれだけ大きく傷ついた腕が、何の後も残らず治っている。
何かがおかしい…一同は鬼子の後を尾行する事を決め、頬を膨らす小日本も連れていった。

97 :本スレ607:2010/12/25(土) 02:06:41 ID:MoMxnzH0
一方その頃…鬼子はあの無機質な部屋に居た。両手足を鎖で壁に縛られ、
鬼子を一撃で倒れさせた鬼に監視されている。そして彼に指示を出した金秋にも…。
金秋「気分はどうだ?もし協力する気になったと言うなら、外してやっても良いが」
鬼子「ふざけないでよね!あなたは何がやりたいの?どうしてここに鬼が平然と残っているのよ!」
金秋「簡単な事だ。そいつは私の操る式神でもあるからだよ。もっとも、特別製だがね」
鬼子「?!式神?でもどうみてもこれは『心の鬼』よ。人の感情の残渣も感じる…」
にやりと笑った金秋は、懐から一枚の呪符を取り出した。そこには赤い文字で何かが書いてある。
金秋「簡単な方法だよ。心の鬼から特に恨まれている、君の血を餌に使って祓われた心の鬼の思念を、
   この呪符へと呼び寄せたのさ。式神は術者に忠実に従う…心の鬼は人の行動すら操る…。
   組み合わせる事で人間自体を、自在に操る事が可能になったのだ!!」

高笑いする金秋がスイッチを押すと、部屋の奥から無機質な目をした人々が大勢現れた。
恐らくその誰もが、人造の心の鬼を植え付けられているのだろう。表情が全く無い。
鬼子「外道が…!けど、私はおまえに血を与えた覚えなんてないわよ?」
金秋「君もみただろう?同じ姿をした『鬼娘』を!彼女達から分けて頂いたのだよ。
   『クローン技術』と言っても、何も解らないだろうけどね。
   その大きな奴には骨も肉も用いている…まぁどれも君には霊力が及ばぬ失敗作ばかりだが」
鬼子「何言ってるか解んないけど、一つだけ解る事があるわ。
   あなたに憑いた『支配欲の鬼』を祓わないといけないって事!」
鬼子「来い!!鬼切!!」そう叫ぶと部屋の片隅に置かれた薙刀が、
引き寄せられる様に鬼子の元へと動いた…が、巨大な鬼に寸前の所で止められてしまう。
金秋「まぁ、そう吼えずに気が変わったら声をかけてくれ。
   心の鬼を察知できる力は、どうしても計画のためには必要なんだよ」
歯軋りする鬼子を尻目に、金秋は平然と立ち去って行った。

98 :本スレ607:2010/12/25(土) 02:32:42 ID:MoMxnzH0
鬼子(偽)の後をつけていた一同は、ある山の斜面に来ていた。
途中振り向いた鬼子に姿を見られ、ヒワイドリが危うくフライドチキンにされかけたりしつつも…。
ヤイカガシ「確かこっちの方へ来てたでゲスが…」
チチチドリ「おい!ここに通気口みたいなのがあるぜ!」
ヒワイドリ「じゃあ…この中に鬼子が降りていったとか?」
チチチドリ「まぁ、何にせよ入ってみないと解らないだろ」
通気口の網を外すと、ヤイカガシが一番乗りとばかりに滑り降りた。
後続の面々は、そのヤイカガシのヌメヌメを潤滑剤にして一気に下っていく。
途中小日本が鼻を強くつまんでいたのは、いつもながらの光景である。

鬼子(偽)「ご主人様、次の指示を下さい。近辺で見当たる心の鬼は、ほぼ全て祓い終えました」
エレベーターで降りた鬼子(偽)は、金秋に指示を仰いでいた。心の鬼を察知する力を持たないクローンは、
自身すらその鬼に囚われている事など気づくはずも無く、迷う事無く金秋を主人と信じる。

その部屋に向けて長い落下の後、ヤイカガシが落ちてきた。それはまさに指示を待って、
整然と人々が並ぶ鬼子の隣の部屋。金秋達の目の前であった。
ヤイカガシ「痛たたた…みんな酷いでゲス。自分を座布団代わりにするなんて…」
鬼子「みんな!!どうしてここへ?」
チチチドリ「え?なんで鬼子が二人?
      そういえばこっちの変な鬼子はいつもより自分好みの胸だった様な…」
ヒワイドリ「何馬鹿な事言ってるんだ?あの美乳こそ我が至宝、我の鬼子!今その乳揉んでやる!」
繋がれて抵抗できない鬼子に、欲望を隠さないヒワイドリが走りより、小日本がまだ呆然と二人の鬼子を見比べる。
そして…突然の来訪者達に驚いた金秋だったが、すぐに全員へ指示を出した。
金秋「やつらを全員捕らえてしまえ!一人残らずだ!」

99 :本スレ607:2010/12/25(土) 03:05:29 ID:MoMxnzH0
鬼子へ走り寄っていたヒワイドリに、偽鬼子が飛び掛った。
とっさに羽で鎌を押さえ、抵抗するヒワイドリ。しかし徐々に押され始める。
チチメンチョウはヒラヒラと虚ろな目をした人の手を避けてはいるが、
何しろ地下は天井がそう高くない。止まり木も無い空間では既にバテ始めていた。

そして小日本には、何故か意思が残っている様な様相の人々ばかりにじり寄っていた。
男集「鬼っ子…ちびっ子…取り押さえる…羽交い絞め…フヒヒヒヒ!!」
小日本「来ないで…!!来ないでぇ!助けてぇえネネさまぁ!」
恐怖に耐えかねた小日本が泣き叫ぶと、背負った縁切り・縁結びの守り刀『御結』が、
青白い光を放ちつつ鞘から浮かび上がり、直後に鋭い金属音を立てながら鞘へと戻った。
目を覆いたくなる光と、耳を塞ぎたくなるほど大きな音は、部屋中に広がると奇跡を起こしていた。
それぞれの人々から浮かび上がる鉄錆の様な人魂は、まさしく呪符で作られた心の鬼。
『御結』が持つ縁切りの能力によって、どうにか分離させる事に成功したのだ。

人々が徐々に意識を取り戻す中、ヒワイドリは女子更衣室の扉で鍛えた開錠術で、
鬼子の枷を順に外していく。一際大きな人魂が、浮かぶ中今度こそ薙刀を手に取る鬼子。
それを忌々しそうに睨んでいたのは…金秋だった。

100 :本スレ607:2010/12/25(土) 03:27:55 ID:MoMxnzH0
こんな所で句読点の位置変にしちまった…『一際大きな人魂が浮かぶ中、』が正解です。

金秋「何故邪魔をする!こんな屑どもにせっかくチャンスを与えてやったというのに!」
鬼子「チチチドリ!みんなを避難させて!ガラスの向こうに昇降機があるわ!」
怒りに震える金秋が、恨み言を吐きながら近づくその時にも、鬼子は的確に指示を出す。
小日本は涙を拭きながら本物の鬼子へと駆け寄る…その間にも金秋は物々と愚痴を繰り返す。
金秋「どうして理解しようとしない!?愚かな群集を、賢き者が束ね動かすのは人の世の摂理!
   その最も簡単な手法を編み出したこの私に!何故従わないのだ!」
次第に背中から黒い煙の様な気配が漂い始める…そして鉄錆色の人魂が、
その煙にドンドンと引き寄せられていく!モヤはまるで意思を持つように人魂を吸収しだした。
鬼子「いけない!鬼に体ごと食われてしまうわ!」
慌てた鬼子が黒いモヤを払おうと鬼切を振るうが、時既に遅く手によって止められてしまった。
…いまや異形と成り果てた金秋の、その巨大で禍々しい手によって。

支配欲の鬼と化した金秋は、あの鬼子をおも倒した鬼を超える速さで腕を叩きつけてくる。
ヤイカガシは棘で、ヒワイドリはその嘴で関節などを狙って攻撃するが、
あまりに早く動くので掠る程度にしかならない。ヤイカガシの匂いなんて逆にこちらの戦意を削いでいる…。
小日本は今一度『御結』を使おうとするが、以前と同様に鞘からは抜けない。
仕方無しに縁結びの桜吹雪を、目晦ましにと散らすが効果は薄い様子だ…。
鬼子はつい先ほどまで繋がれており、怪我もあって早くは動けず避ける足元さえおぼつかない。

101 :本スレ607:2010/12/25(土) 03:51:25 ID:MoMxnzH0
そんな攻防の中、小日本が重い一撃を食らって吹き飛んでしまう。
ヒワイドリ「危ない!!」
とっさに壁との間に体を挟んだヒワイドリだが、二人共を吹き飛ばすほど攻撃は重い。

そして窮地の中で、偽鬼子すらも立ち上がってきた…。
金秋「よし、12番よまずはその弱った奴らから消してしまえ!!」
弱者をいたぶる愉悦に満ちた支配欲の鬼は、手塩にかけて育てた部下に命じる。
とっさにヤイカガシと鬼子が間へ割って入るが、既に二人も満身創痍だ。
だが…思いがけない事態が起き、まず目を白黒させたのは金秋の方であった。

偽鬼子は支配欲に取り付かれた鬼となりし金秋の足の腱を、心の鬼を狩る力を持った鎌で
一撫でに切り離した!途端に膝を着いてしまう金秋…。
驚いたのは鬼子達も同様である。だがクローンの鬼子が初めて瞳に光を見せて話し始めた。
偽鬼子「その子が教えてくれたのよ。私の本当にやるべき事は『みんなをえあぉヒューヒュ…」



…話し始めてすぐに、小さな爆発音と共に偽鬼子の喉から血飛沫が上がっていた。
その首にあった支配されていた証の首輪は、金秋の押した爆破スイッチにてもう無くなっている。
だが同時に声を出せるだけの力も、そこからは無くなっていた…。
金秋「主人に逆らう道具など、とうに用済みだ」

鬼子「お前は!!なんて事を!!」
憤る鬼子の目が真紅に輝き、角が急激に伸び、鬼切も光に包まれる。
抵抗する鬼が吸収した式神を弾丸の様に飛ばすが、鬼切の光に当たっただけで散っていく。
足が使えず動けぬ金秋に、もはや逃げる場所すらも無く鬼子は静かに切り祓った。

102 :本スレ607:2010/12/25(土) 04:07:05 ID:MoMxnzH0
鬼子が旅館へ戻る頃には、先に逃れた人々に呼ばれ警察が到着していた。
捕まっては何をされるか解らない鬼子は、先にヤイカガシの誘導で隠れ、旅館へと戻る。

研究所の中で多数見つかった角のある少女達の遺体については、
遺伝子操作の産物として処理される様子だ。だがその日以来こんな噂も立つ。
『実は角のある人造人間が一体生き延びていて、まだ街にいるんだって』
走る魚やエロい鶏に加えて、また新たな不可思議な話が増えたようだ。

数日後
…鬼子には、未だに自分の役割や、人との距離の取り方が解らない。
自分のやるべき事は人々を心の鬼から守る事、この街を守る事。
でも一人は寂しいし、もっと仲良くしたくもある。
そういえばあの噂が流れて以降、角をあまり隠さずとも歩けるようになった。
鬼子「私は、あいつみたいに支配するのも、一人閉じこもるのも嫌だな…」
小日本「ネネさま〜!見て〜!綺麗な紫陽花が咲いてるよ〜!」
鬼子「わかったわ。今行くからちょっと待って〜」
少し微笑むと鬼子は歩みだした。
今は自分に仲間が居る。一緒に同じ目的へ動ける仲間が。
鬼子が参っている石の山には、いつも季節外れでさえ紅葉が降り積もっていた。


  おわり

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