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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第十部

1 :創る名無しに見る名無し:2010/08/11(水) 00:27:18 ID:CnsTCg0N

前スレが落ちたため再建。スレタイの部数はそのままです。

         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは奴を倒したと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったらいつのまにかジョジョキャラ同士の殺しあいに参加させられていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    死にネタが苦手な人は要注意だとか残酷描写もあるよだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…






ー-ニ _  _ヾV, --、丶、 し-、
ニ-‐'' // ヾソ 、 !ヽ  `ヽ ヽ
_/,.イ / /ミ;j〃゙〉 }U } ハ ヽ、}
..ノ /ハ  〔   ∠ノ乂 {ヽ ヾ丶ヽ    ヽ
 ノノ .>、_\ { j∠=, }、 l \ヽヽ ',  _ノ
ー-=ニ二ニ=一`'´__,.イ<::ヽリ j `、 ) \
{¨丶、___,. イ |{.  |::::ヽ( { 〈 (    〉
'|  |       小, |:::::::|:::l\i ', l   く  詳しくはまとめサイトで
_|  |    `ヾ:フ |::::::::|:::|  } } |   )
、|  |    ∠ニニ} |:::::::::|/ / / /  /-‐-、
トl、 l   {⌒ヽr{ |:::::::::|,///        \/⌒\/⌒丶/´ ̄`
::\丶、   ヾ二ソ |:::::::/∠-''´
/\\.丶、 `''''''′!:::::::レ〈
   〉:: ̄::`'ァ--‐''゙:::::::/::::ヽ
\;/:::::::::::::/::/:::::::::::://:::::〉
::`ヽ:::ー-〇'´::::::::::::::::/-ニ::::(
           /    \

2 :創る名無しに見る名無し:2010/08/11(水) 00:27:59 ID:CnsTCg0N
まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/

前スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第七部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1250743192/


【第一部:ファントムブラッド】11/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/○ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/○ワンチェン/
○ジャック・ザ・リパー


【第二部:戦闘潮流】10/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
○スージーQ/○ドノヴァン/○ストレイツォ/○サンタナ/○ワムウ/○エシディシ/○カーズ


【第三部:スターダストクルセイダース】15/15
○ジョセフ・ジョースター/○モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/○ンドゥール/
○オインゴ/○マライア/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス


【第四部:ダイヤモンドは砕けない】12/12
○東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/○矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影


【第五部:黄金の旋風】15/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/○トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
○ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ


【第六部:ストーンオーシャン】 15/15
○空条徐倫/○エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
○エンポリオ・アルニーニョ/○ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/○ラング・ラングラー/○ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ


【第七部:スティール・ボール・ラン】 10/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/○オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
○ベンジャミン・ブンブーン


【88/88人】


3 :創る名無しに見る名無し:2010/08/11(水) 00:29:32 ID:CnsTCg0N
新規の方のためにネタバレ名簿は貼らないようにお願いします

そして……うあ、間違ってる。横着がばればれorz

前スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第九部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1265890636/l50


4 : ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:40:10 ID:GNJ9sc+8
スレ立て乙です。
では早速投下していきたいと思います。
規制にかかった場合したらばに投下しますのでどなたか代理をお願いいたします。

5 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:43:04 ID:GNJ9sc+8
「……以上だ。君が眠っている間の事は、第三回放送も含めて」

「そう。その、ポルナレフ……さん、は?アタシを直接助けたのは彼なんでしょう?」

「ああ、彼なら今話した事を含めて俺と情報交換をしたあと、『次も“間に合う”ように』と言い残して出て行った。
 具体的な場所は聞いてないが、南西の方に行くと聞いた。ああ、君が起きたらよろしく伝えてくれと」

「そう。確かに今の情報を聞いた限りじゃあアタシ達の向かっていないコロッセオだとか研究所だとかの方にも人がいる可能性は捨てきれないって訳ね」

「ああ――また出会えるといいなと思うよ。彼も君の事をひどく心配していた」


一通りの状況確認が終わったのち、暫くの沈黙が部屋を包む。


第三回放送が終了してからおよそ十分後。空条徐倫が目覚めた時の反応は怒りでも悲しみでもなく、驚くほど淡々としていた。しかし、下を向いている彼女の目には光り輝く星が映っているはずである。
ナルシソ・アナスイはこれが彼女の精神の強さなのだろうと理解していたし、その強さが誤った方向に歩きだすことのないよう、自分が傍で見守る事こそ己の使命だと感じていた。

そんなアナスイの想いがこもった瞳を見る事無く、ベッドの上でうつむいたままの徐倫がふと沈黙を破る。

「プッチも死に……いよいよ大詰めと言ったところね。先の情報によれば危険人物は――」
「ポルナレフの話によれば、彼の仇でもあるJ・ガイルと、君が向かった館にいた人間の数名。いや、大半と言った方が良いかな」
徐倫の口調が荒ぶる前にアナスイが答えを挟む。


徐倫が今までどのような戦いを繰り広げてきたか、それは多少なりポルナレフから聞いている。
それゆえに、彼女がこの事を口にし、再び行動を起こしそうになった時、自分はどう対処すればいいのか。その事ばかりがこの十分間、アナスイの脳内を駆け巡っていた。
そして、その答えを示す時が来た……否、示さなければならない時が来てしまった。

「大事な二人を忘れているわよ、アナスイ。ディオ……そして、全ての元凶である荒木をね。
 そして、そこまで分かっているなら話は早いわ。このアタシ、空条徐倫がこういうシチュエーションの時どう言った行動をとるか……知ってるでしょう?」

6 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:45:46 ID:GNJ9sc+8
ベッドからゆっくりと、しかし力強く降りる徐倫。その目は見つめる、と言うよりは睨みつけるような鋭さでアナスイのそれとかちあった。
一方のアナスイも、こちらはどちらかと言うと力強さの中に戸惑いや悲しみの色が見え隠れする濁った瞳で――徐倫を見据える。

「もちろんだ。だが、俺は君が死んでしまうような真似を見過ごす事は出来ない。共に行き、君を守ろう」

「アタシは死にに行くんじゃあない。ディオが生きていると分かった以上、再びあの館に殴りこみに行き、この血統の因縁にケリをつける。
 そして――何が何でも荒木のところに辿り着いて見せる。これはアタシの目的よ。あなたが口を挟む事じゃあない」

「いや、口を挟ませて貰うよ。俺だって君の強さはよく知っている。だが、この一日の間に何があった?君だって無事では済まない。
 俺はそれを何も知らないところで黙って見ている事は出来ない。君を荒木のもとに導く事は俺だって賛成だ。だが、その時に君の体力はどうなってる?」

決して一触即発と言ったムードではないが、重苦しく耐えがたい空気が部屋に充満する。
お互いがお互いの思う、正しい事を口にしており、それが間違った意見ではない。となればこの状況にも納得がいく。
ポルナレフは――この場にいなくて正解だったかもしれない。あの情熱はここでは空回りし、行き場のない苛立ちを抱えたまま……今後誰かの命の際に間に合う事は決してなくなるだろう。


「アタシはあなたが思うほど弱くない。女だからって守られてばっかりなんてのはゴメンよ」
「それはよく知っている。だがこれから無傷で勝ち残る事が出来るほど甘い世界ではないだろう。今ここに残っている連中が全員ラッキーで生き延びているのか?」

「そうは言ってない。むしろ強者ばかりが残っているならアタシが荒木に辿り着くための障害ばかりだという事。それを乗り越えてこそ辿り着けるものが荒木」
「話がループしてるぞ徐倫。障害が多いという事は君が負う傷はその数以上だってことを言いたいんだ」


重苦しかった空気が今度は一気に膨れ上がる。まるで徐倫の怒りが部屋全体を震わせているかのようだった。


「アタシが戦う事を望んでいないようね」
「厳密に言えば君が傷を負わなければ構わない。そして、それが不可能だと言ってるんだ」
「最強のスタンド使いである父さえもこの世界で死んでいった。傷を負わない戦いなどもう存在しないわ」
「そうして君が傷を負う事を俺は望んでいないし、傷を負えば君自身だって荒木に辿り着く事が不可能に近付くとわかるだろう?」


そして……アナスイが最も望んでいなかった事が徐倫の口から放たれた。

「だったら――力ずくでアタシを止めてみなさいよッ!」

同時に繰り出されるスタンド。その両拳をアナスイは寂しげな目で見つめていた。

「君に殺されるのなら本望だ」

自らの化身とともに唸り声をあげながら突っ込む彼女にアナスイの声は届かない。
もっとも、届いたところで拳を止める気などさらさらなかった。今の彼女にとってアナスイは『荒木打倒への障害物』でしかない。




「……とは、とても言えないな」
徐倫の怒号にかき消されるアナスイの唇が、そう動いた。

7 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:49:07 ID:GNJ9sc+8
「徐倫―――」

迫りくるストーン・フリーの左拳をダイバー・ダウンが右肘を使って受け流す。
同時に、突進力に物を言わせ繰り出される右拳を左掌で抑える。
そして――空いた右手をストーン・フリーの左腿へ、能力を発動。

体内の構造を変えられてしまったストーン・フリーがぐらりと傾く。
それでもなおアッパー気味の左。彼女の精神は肉体がどうなろうとも留まらない。



「いつまでも―――」

彼女の事を想っていた。彼女の強い意志と聖母のような優しさがとても好きだった。
自分の闇が彼女によって晴れていく、そんな気持ちが彼を動かしていた。

バランスが崩れたアッパーカットは空を切り、その拳の慣性によってアナスイに背を向ける体勢となる徐倫。
背後からの攻撃はいささか気が引けたが――今度は右膝に対して能力を。
この時、回転力を利用した裏拳が胴を揺さぶるも、下半身がまともに機能しない今の彼女ではアナスイを昏倒させるほどの力はなかった。



「絶える事無く―――」

彼女の事を想い続けていた。だからこそF・Fと共に懲罰房に向かって彼女を救ったのだし、大金はたいて指輪も買った。
それが彼女に届く事はないと知ってなお、アナスイという男は徐倫という女を愛し続けたのだ。

下半身が利かなくなったと判断した瞬間、徐倫は天井に向けて左手から糸を繰り出し、ターザンロープの要領でなおもアナスイに攻撃を繰り出す。
だがそれもアナスイには届かない。徐倫本人はこの瞬間に気付くのだが、アナスイが変えたのは徐倫の骨格ではなくあくまでもスタンドの骨格。
糸を繰り出せば繰り出すほど、お互いが絡み合い解く事は困難となる。そして、スタンドのダメージは本体に影響する、という訳である。
しかしそれでも、それでもなお、空条徐倫は攻撃を止めなかった。残された右手をブンブンと振りまわし必死にアナスイを狙う。
だがそれも今やハエを叩き落とせるかどうかの頼りないもの。ゆっくりと徐倫のもとへ歩み寄るアナスイ。原形をほとんどとどめなくなった彼女を抱き上げる。



「―――友達で、いよう」

愛している、とは言えなかった。共に歩み続けよう、とも言えなかった。結婚なんて単語はこれっぽっちも出てこなかった。
だが、お互いがお互いを信頼しあい、尊敬しあいっていた。だがきっと、それは恋や愛とは別の何かである。
そしてその正体は、何物にも代えがたい友情であると、アナスイはこの時に確信できた。アナスイの中に浮かんだひとつの答えであった。

徐倫をゆっくりと抱きしめる。決して長い時間ではないが、しっかりと。
その手は彼女を守るための手。そのためには能力の発動を忘れない。徐倫の最後の腕さえもバラバラにし――アナスイが徐倫の身体を引き離した時、彼女は傍目には糸の塊のようにしか映っていなかった。



「今日の日は―――さようなら」

恋人同士とか、親と子でもなく……友人同士でも、教師と生徒とも違う。そんな奇妙な信頼関係が生まれる事はあるのだろうか。
いや、いつの時代とは分らないが、きっとそういう関係も生まれるのだろう。それはどんなに素晴らしい事か。その関係には愛を超えた何かがあるはずである。
徐倫を愛し続けるだけであったこれまでのアナスイには見えなかった道がひとつ浮かび上がったのだ。晴れ晴れとしている訳ではないが、どことなくスッキリした、そんな気分だった。

言葉を発する事さえなくなった徐倫の肉体をそっと抱え、ベッドに向かう。
そして己の分身、ダイバー・ダウンを呼び出しベッドに向けて一発。ぽっかりと空いた穴の中にゆっくりと徐倫を降ろし、そして再度ベッドを……今度は触れた。
もはや肉眼では確認できないが、空条徐倫の身体はベッドの木々にすっぽりとはまり、布団の繊維とも絡み合っており、動く事は出来なくなっていた。



「―――また、会う日まで」

8 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:51:37 ID:GNJ9sc+8
荷物を拾い上げて部屋を出る。徐倫の荷物は『徐倫の下』に隠しておいた。
寂しげな狭い廊下の果て、ドアノブを握ったアナスイは振り返る事無く家を出る。もちろん鍵はスタンドを利用してかけておく。


彼の決意。それはあくまでも『徐倫を守る』事である。
現在の彼女は再起不能だが……決して死ぬ事はない。誰に見つかる事もなく、この殺し合いを『無事に生き延びる』のだ。
彼女が負う傷はかわりに自分が負えば良いだけの話。自分が障害を取り除いていけば彼女が拳を振るう必要も無し。何事も無事に済むのである。
最後まで自分が生き延びて徐倫を救いだし、自決。それで彼女は荒木との決着に全力を注げるという訳だ。


ここで考えられる問題は大きく分けて二つ。この忌々しい首輪が爆発する要因、すなわち禁止エリアの問題。そして、彼女を守る己の死の可能性、である。

前者についてはアナスイ一人ではどうしようもない。首輪をはずす能力のある人間がひょいと目の前に現れるなんて事はまずない。現実は非常である。
さらに言うならば、彼が戦闘中、あるいは負傷又は死亡によって禁止エリアの情報を得られないという事も重々承知できる。
要するに何が必要か、考えるまでもないだろう。仲間、と言うほどの贅沢は出来ないがとにかく人手が欲しいという事である。

一方の後者についても同様。人手があればどうにか間に合わせは出来る。
本体が死んだ場合は同時にスタンドの能力も消滅するという事はスタンド使いなら誰でも知っている。徐倫とて動けずとも能力の消滅はその身体で感じ取れるだろう。
そうなれば、実際には関節が極まっている程度のあの状態から抜け出すのは容易いし、仮にストーン・フリーが糸を伸ばす事無く精密な動作で絡まった糸を解けるのならば一応の復活は可能。
ここまではその気になれば彼女一人でも可能であるものの、アナスイがこれまで治すことを前提に能力を発動した事がないため、どう転ぶかは分からない。
そのための保険に『解き役』の人員が居ればいい、という結論である。


いずれにしても『人間』が必要である。共闘までする気はない。空条徐倫はこれまで孤独にこの殺し合いを乗り越えてきたに違いないからだ。

デイパックから方位磁針を取りだして数秒。彼の足は南を指す。一瞬DIOの館に行くべきか否かと思ったが、第一は彼女の生存確率を上げる事である。

彼には『ここを対荒木飛呂彦戦のために使う拠点とする。何があってもここを『帰る場所』として守っておいてくれ』
……とでも言えば良いだろう。具体的な理由や行動の動機を聞かれた際にどう弁解するかはまだ考えていない。
だが彼とは約束をしてあるし、何より足の回収もある。
意見が対立した時に戦闘にでもなったら厄介だ、それが唯一の心配だったがここで行かない訳にもいかない。


たとえそこで何が起ころうと――向かうべきは、特別懲罰房。



【D-4 南部 民家の玄関先/1日目 夜】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:これまでの負傷は応急手当済、全身が絡まっている(肉体的には関節が極まっている程度)、気絶中
【装備】:なし
【道具】:支給品一式、メローネのバイクはガレージに駐車してある
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0:気絶中
1:DIOの館に向かい、DIOと決着ゥ!つける
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は(どんな事情があろうとも)問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。

9 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:53:47 ID:GNJ9sc+8
【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:右足欠損(膝から下・ダイバーダウンの右足が義足になっている)、それ以外は健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を守り抜き、ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.以下の1〜5を全うするためにも特別懲罰房へ行く
1.マウンテン・ティムに右足を返してもらい、D-4民家を『拠点』として守っておいてもらう。徐倫の事を言うかは未定
2.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
3.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
4.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
5.徐倫に会った時のために、首輪を解析して外せるようにしておきたかったが出来なかった(大して後悔はしてない)

[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
 ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバ、ミスタ、アバッキオ、、チョコラータの姿と能力も把握しましたが彼等は死亡したため重要視はしていません。
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明。)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
 ※以上の事もティッツァーノが死亡し、誰かに伝えるといった目的があまりないため重要視はしていません。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※ダイバーダウンが義足になっています。他の細かい制限は後の書き手さんにお任せします。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。

※以上の事を放送前後にポルナレフに情報として提供し、ポルナレフが得た情報について知りました。
 なお、ポルナレフと荷物の交換等は行っていません。
※以前の思考にあった、
 6.万が一アラキに勝てないと分かればその時は……?
 7.徐倫に会えたら特別懲罰房へ行く…のか?
 に関して、6に関しては完全に思考の外。7に関しては『向かう』と結論付けて思考から除外しました。


[備考]
※【C-4 DIOの館 門前】にヨーロッパ・エクスプレスが、
  【C-4 DIOの館】にラバーソールのデイパック(支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、
  ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1、サブマシンガン(消費 小)、
  巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)、二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個))が放置されています。

※ホル・ホースのデイバッグ一式がD-4 中央に放置されてます。
 ※アナスイは拾っていないようです(発見していないようです)。

※ダイアーの生首はE-5の繁華街の少し東の民家に放置されてます。

10 :ヘンゼルとグレーテル ◆yxYaCUyrzc :2010/08/11(水) 14:56:08 ID:GNJ9sc+8
以上で投下終了です。

一時投下からの修正点
・徐倫の状態表からプッチの名前を削除
・『あの歌』の歌詞を修正
・アナスイが禁止エリアについてどう思っているかを追加し文章を改変。また、懲罰房に行く動機を少々変更
・危険人物の名からエシディシの名前を削除し、該当する会話周辺を修正
・状態表を少々修正

あのトラウマソングを何とかしてSSに取り込んでみたいと思った結果がこれだよ!
一時投下時にも書きましたが、アナスイの愛の方向性について等賛否が分かれそうなのでご意見ありましたらお願いいたします。
タイトルは一時投下スレ904氏の案をいただき、『ヘンゼルとグレーテル』にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

その他、誤字脱字や話の矛盾点がありましたら随時指摘してくださると幸いです。それでは。

11 :創る名無しに見る名無し:2010/08/12(木) 23:34:03 ID:HHbelclL
投下乙です
アナスイの献身さに涙が出そうです…
徐倫が彼の愛情に気づいてくれればいいのですが。

その徐倫が共闘ということを一瞬でも考えなかったのは少し疑問ではあります。
死んだらそれまでだと思っているのか、
実は自分の怒りの矛先を探しているだけなのか

でもこの作品の雰囲気が好きなのでこのままでいいと思います
アナスイの愛がすごく伝わってくる素敵な作品です


12 : ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:20:25 ID:JcfpyydN
修正にお時間いただいてしまって申し訳ありません。
パンナコッタ・フーゴ、ディアボロ、J・P・ポルナレフ投下します。

13 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:21:31 ID:JcfpyydN
絶頂。

 今になって分からなくなる。
 絶頂とは何なのだろう?
 全てが満たされたと思いこんだ、裸の王者の陶酔か。
 築かれた死体の山に足をかけ、一人恍惚と戯れる白昼の夢の事を言うのだろうか。

 そこまで考え、俺の口から小さな笑いが漏れる。
 今、身を潜めている場所はE-4の端に位置する民家。
 日本の一般家庭のリビングは薄暗い影に満たされ、橙色の夕陽がその影を切り取る様に差し込んでいる。
 乾いた唇から洩れた自嘲は、夕闇に吸い込まれた。
 辺りに意識を向ければ、ソファに腰掛けた俺の周りを寂寞が包んでいて。
 空笑いの次に漏れたのは、重いため息だった。

 目下、事態は切迫している。

 少年に書置きを残した後、俺は北へと歩みを進めていた。
 道すがら、第三回目になる放送を落ち着いて聞くため適当な家屋に潜り込んだ。
 この家の中に、家人はおろかネズミ一匹いない事は確認済みではあるが、悠々と休んでなどいられない。
 ポルナレフを追って、すぐにでも北上しなくてはならない。

 それなのに俺は追想を止められず、ひじ掛けに付いた右腕に寄り掛かる。
 折れた肋骨が痛み、顔がゆがむのが自分でもわかった。

 かつての自分は絶えず身辺に死と闇を纏わせ、ただひたすらに盲目で。
 組織の拡大、対外勢力の排除、内部構成の整備。
 日々思い煩うのは、己が絶頂の保持だった。
 片割れと共に俺は頂点にあり、我々以外は全て信ずべからざる敵だと考えていた。
 だが今思えば何の事はない、俺の敵は俺だったのだ。
 その憎むべき本質を理解できなかったが故、私のドッピオは消えた。

 そう、だから今やらねばならぬ事がある。
 『忌むべき過去』を『大切な思い出』に変容させたい。
 ジョセフの様に後悔を力に変え、未練をも抱きしめて先に進みたい。
 失うことから始まるものもあるはずだ。
 取りとめのない思考を弄びながら、手元に広げた参加者名簿に視線を走らせる。


 先刻、放送は聞き終えた。
 禁止エリアと死者の把握、いずれも問題なく終了している。
 ジョセフと共に殺害したチョコラータの名前には、しっかりと線を引いた。
 直属の親衛隊であったティッツァーノが死に、ブチャラティチームのグィード・ミスタも死んだようだ。
 彼らの名にも、死を意味する二重の線を引く。
 
 ブローノ・ブチャラティとジョルノ・ジョバァーナ、パンナコッタ・フーゴは生きているらしい。
 暗殺チームはリゾット・ネエロとペッシ、ホルマジオが生存している。
 音石明もしぶとく残っているとは驚きだ。

 さらに驚く事に、参加者が1人増えるという。
 どのような理由でかは知る由もないが、このタイミングで参加するという事は荒木の息がかかった者なのかもしれない。
 『ダービー』という姓は名簿内で見た。すでに死亡しているダニエル・J・ダービーの家族か、たまたま同じであっただけか。
 考えつつも、名簿の一番下にある余白に『テレンス・T・ダービー』の名を書き添える。

 何にせよ今は大きな懸念事項ではない。
 乗り越えるべき障害となって俺の前に立ち現われるのであれば、打ち砕くだけだ。
 参加者が半分以下になった今、組織の人間達とどこかで出会う確率も跳ね上がるだろう。
 特にジョルノ・ジョバァーナ、鎮魂歌の使用者に出会ったなら、俺はどのように立ち向かうべきなのか。

 ちらついた恐怖を抑え込むように組んでいた足を組み替え、参加者名簿を脇のテーブルに置いた。


14 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:22:45 ID:JcfpyydN
ジョセフの名に線は引かない。
 あの男は、この鉄球の中に生きているから。
 戦闘の最中、痛みと悼みの焔でその身を焦がしたあの男の名を、俺は消さない。
 下らないこだわりであることは理解している。
 だが俺は、決してあいつの名を消すことはしない。

 禁止エリアと発動時刻を書き込んだ地図に目を移す。
 北にある主要施設は『DIOの館』。
 ポルナレフがどこを目指して進んでいるにせよ、この目立つ館にはほぼ必ず、立ち寄ることだろう。
 奴や、先程特別懲罰房へ運んだ青年、更に突然攻撃してきた乱暴な女が忌々しげに口にした、DIOという名も気になる。
 生存者や仲間がここに集っている可能性がある上、『館』と銘打っている以上水や食料の存在が期待できる。
 
 必ず奴を見つけ出し、協力を。

「行かなくては」

 立ち上がり、荷物を担ぐ。
 疲労と怪我で悲鳴を上げる身体に鞭打つ様に無理やり背筋を伸ばし、ふと前を見た。

 紅瑠璃の夕空を映した仄暗い室内。そのガラス窓に、俺の姿が映っている。
 橙の空気の色は、先刻見た夢の中、燃え盛る我が故郷を思い起こさせた。

 あの時の、狂おしいほどに弱い俺はもういない。
 母の口唇を縫い合わせ、生きたまま埋めた。
 穴を掘り起こした時に詰まった土の感触が、爪先に蘇っても。

 俺は窓に映し出された自身を睨み、踵を返す。
 開け放しだったリビングの入り口をくぐり、真直ぐに玄関へと向かう。
 張りぼてじみたアール・ヌーヴォー調の安っぽい扉を押しあけ、外へと踏み出でた。

 相も変わらず、俺の心はざわめいている。
 だが、迷っているわけではない。
 恐怖を乗り越える、この一点が現在の俺の全て。
 それは今の自分には乗り越える事能わざる壁として、目前にある。
 だというのに、この満たされた気分は何なのだろう。
 目指すべき場所が確かに存在するという認識が、俺の魂を満たしているようだ。

「『魂は、苦悩と悲哀とによって鍛錬されねばならない』」

 誰が言った言葉だったか。俺は歩み出しながら、小さくつぶやく。

 刹那、進行方向から小さく足音が聞こえ、稲妻のごとき緊張が俺を襲った。
 道の脇に飛び退き、身構える。
 耳をそばだて、その足音がまだ遠い事、だが確実に、小走りでこちらへ向かって来ている事を確認する。
 俺はゆっくりと近くにあった民家、その門の陰へと身体を滑り込ませた。

 大きくなる足音。
 近付くにつれ、鼓動が大きく心の臓腑を打ち鳴らす。
 唇を噛み締め、門の装飾の隙間から様子を伺う。
 西日の中その影は、俺の潜む家のある通りとは反対側を横切った。
 俺は眼を見開く。
 それは、俺の探していた人物の影だったからだ。

「ポルナレフッ」


15 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:23:36 ID:JcfpyydN

 思わず小さく声を漏らす。
 呼び止めようと身を乗り出しかけた、それなのに。
 ここにきて、ここまできて俺は迷った。
 
 どう説得する?
 奴は俺を、俺なんかを信じるのか?
 何と声をかけるべきか?
 攻撃されたらどうかわす?
 
 気が遠くなりそうだ。
 こうしている間にも俺と彼の距離は広がっていく。
 
 突然、周りの風景が理解できないオブジェの様になり、収縮したかと思えば拡散し、俺は足に根が生えたように動けなくなる。

 まただ。
 また、恐怖が俺の耳元で囁く。

 うまくいかないさと。
 彼は俺を信じないだろうと。
 声をかけるなどと、まどろっこしいまねはするなと。
 後ろから殴り倒して従わせろと。

「黙れ」

 かぶりを振り、纏わりついた声を振り払い。
 俺は額に手を当て、どろどろして嫌なものがいっぱい詰まった思考を断絶させようともがいた。

 足音が小さくなっていく。
 余程火急の用があるのか、彼は高い足音を立てて遠ざかっていく。
 俺は民家の門を掴み、植物をかたどった鉄の装飾に手をかけながら、ふらつく足取りで歩道へと出た。

 追いつけないかもしれない。もう視認できる範囲に影は無い。
 だが俺は追う。
 追わなくてはならない。

 足音はまだ聞こえている。まだ、間に合う。
 俺は間違って無い。そうだろう、ジョセフ。

※   ※   ※
 
 走った距離は大したものではない。だが俺は上がりかけた息を殺す事に苦心している。
 音を頼りに直線の道を追っていると、突然ポルナレフの足音が消えた。

 遠のき過ぎて聞こえなくなった訳では無い。立ち止まったようだ。
 適度な間隔でエピタフを用いて警戒するも、髪の裏側には同じ風景が続く未来しか映し出されない。
 昼間の一件で、エピタフが完全に信用できないかもしれない、という懸念はあった。
 しかし俺は焦っていた。
 はやる心を控えるのに苦心しつつ、駆け足をやめ、大股で早く歩く。

16 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:24:45 ID:JcfpyydN
 ポルナレフが足を止めたのだとすれば、追いついて説得するチャンスではある。
 
 だが、どうやら事はそう簡単には運ばない様だ。
 俺は歩幅を狭める。
 道の脇に佇む建物の壁伝いに、影の間を縫う様に進む。
 
 かすかに話し声が聞こえていた。
 それは未だ不明瞭ながら、語調のニュアンスは穏やかでは無い。
 話し声が近づいた。ここからならばポルナレフと、相対する人物を視認できるだろう。
 
 俺は警戒心を最大限に高め、歩みを止める。
 冷えた壁を背に、気取られぬようゆっくりと顔を覗かせ様子を伺った。
 
 そこにいた人物は2人。
 今まで追いかけていたポルナレフと、ブチャラティ配下のパッショーネ構成員、パンナコッタ・フーゴだった。
 
 俺は唾を飲み込む。
 
 フーゴは、俺が何者か知って居るのだろうか。
 情報ではブチャラティ達がパッショーネを裏切ると決めた時、単身でチームを抜けたと聞く。
 だが、その後も組織内では碌な扱いを受けなかったはずだ。
 裏切り者の元部下、俺の組織が優遇などするはずも無い。
 
 恨まれているだろうか。

 考えかけて首を振る。
 恨まれて当然だ。
 和解や、許しなどという甘い考えは捨てなくてはならない。
 過去を未熟と忌み嫌い、目を逸らし続けたことこそ俺の最大の弱さ。
 向かってくるのならば立ち向かう。
 これだけは、依然変わりなく。
 
 だが、奴が脱出を目指していたとしたら。
 俺の取るべき行動は協力、なのだろうか。
 
 心臓がせり上がる様な感覚に一瞬だけ目を閉じ、胸に刻んだ数々の事柄、大切な物を思い起こす。
 
 怯むな。
 茫漠たる過去を越えたなら。
 未来は、俺が選んで掴み取れる道。

 自らを叱責し、瞼を上げる。
 フーゴに対してどう出るか決めるのは、奴がどういう考えの下行動しているのか把握してからだ。


17 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:26:09 ID:JcfpyydN

 俺は再び視線の先へと注意を向ける。
 ポルナレフは、スタンドヴィジョンを発現させていた。
 対するフーゴは、両腕の力をだらりと抜き顔をうつ向かせており、その表情は伺えない。

「てめえ、準備はできてっか?死ぬ準備はよォ……」

 ポルナレフが噛みしめた歯の奥からくぐもった声で唸る。
 この一言に対して、俺の思考は反射する光の様に駆け巡った。
 二人は初対面ではなく、且つポルナレフとフーゴは敵対している。

「何があってもてめえみてえなやつは許さねえ。ジョースターさんまで死んじまった……。
トニオさんは止めるだろう。だが俺はすでに、てめえを殺すと決めている!」

 そしてポルナレフの言葉の内容から、フーゴがポルナレフ乃至彼の仲間に危害を加えたのであろうということ。
 フーゴは変わらず無反応だったが、ポルナレフのスタンドはレイピアを唸らせ、フーゴに切りかかる。
 
「待て!」
 
 俺はポルナレフの前へと躍り出た。
 彼は驚き、スタンドを制止させる。
 同時にフーゴは、驚愕した様な表情をし呟いた。

「デスマスクの男……ッ」

 この言葉が何を意味するのかは、俺には分からなかった。
 しかし、フーゴのスタンドにポルナレフのスタンドでは相性が悪すぎる。
 フーゴが俺をどのように知っていようとも、咄嗟に飛び出た事を後悔していない。

 組織内部の情報に記載されていた彼のスタンド、「パープル・ヘイズ」。
 手の甲に仕込まれた細菌入りのカプセルを、ポルナレフが突き破ってしまう可能性は甚大だろう。
 ポルナレフを死なせる訳にはいかない。
 場合によっては、フーゴを始末しなくてはならない。 

 フーゴは悔しそうな表情で俺とポルナレフを交互に睨んでいたが、一歩、後ろへと足を引きつつ言った。

「早くけじめをつけたかった。だから地図の中央部に向かって歩いていたんだけれど……どうも分が悪すぎるようですね。1対2は、避けるべき状況」

「邪魔だ!どけ!」

 ポルナレフが俺を押しのけ前に立ちつつ怒鳴る。
 俺は彼のデイバックをつかみ、制止をかけて言い放った。

「俺は、こいつのスタンド能力を知っている。お前では危険だ。能力不明の相手に不用意に切りかかるな」

 俺の言葉をポルナレフが完全に信じたかどうかは分からない。
 しかし会話することで頭に昇った血が降りてきたのか、歯ぎしりをしながらも黙り込んだ。
 
 フーゴは眉をひそめていた。 
 当然だろう、初対面の人間が自分の能力を知ることなどほとんどあり得ない。
 ある程度は俺の立場を推測されてしまうかもしれない。
 
 いや、『以前の立場』か。最早そう重大な事実ではないな。
 
 腹の内で苦笑いをする。
 ますます悪手を打つ事になると思ったのだろう、フーゴはじりと後ずさると、背を向けて走り出した。
 諦めた様子のポルナレフはフーゴに背を向け、後ろに立っていた俺と目を合わせる。そして何か話しかけようと口を開いた。
 俺は奴に何と説明しようか考えあぐね、口を閉ざしていた。
 時間にすれば2秒ほどだろうか。


18 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:27:05 ID:JcfpyydN
 次の瞬間__時の過ぎ去る、ほんの一瞬だった。
 甲高い音が夕闇をつんざく。つんざく、つんざく。

 俺がその3発の銃声を認識するのと、ポルナレフが地面に倒れ伏すのは同時だった。
 
 全身が、総毛立つ。
 
 衝撃で白みかける思考を奮い起し、揺れる視線をフーゴへと移す。
 意外にも、奴も驚いた顔をしていた。
 フーゴの額に浮かんだ汗が、暮れかけた弱々しい夕日に光りながら、こめかみを伝い落ちている。
 見れば、奴が肩に持ったデイバックから小さな紙片が1枚、はみ出していて。
 
 紙?
 いや違う。あれは、写真だ。
 写真紙から立体映像の様に老人が飛び出し、硝煙を上げる拳銃をこちらに向けて構えている。
 俺は混乱した頭でどう動く事も出来ず、何故か震えているフーゴの手を見ていた。

「吉廣さん貴方……何を」  
 
「けじめってのはな、青っちょろい坊主。先送りにはできないんじゃよ。いい加減しびれを切らしたわい。わしが実践してやったんだ」

 写真から飛び出した老人は、俺に銃口を向けながら喋った。
 奴は誰なのか、一体何のスタンドなのか、フーゴとの関係は何なのか、俺には考えが及ばない。
 老人は照準を俺に合わせ、引き金に力を込めかけた。

「キング・クリムゾン」

 その瞬間に、時を飛ばして。
 俺だけが移動できる時の狭間でフーゴに駆け寄り、スタンドを解除。
 彼のデイバックに入った写真を奪い取る。
 いつの間にか近付いた俺に、何が起こったかわからない、といった様子の写真の老人。
 俺はその一瞬のすきを突き、手から拳銃を奪うと素早く自分のスラックスのポケットへとねじ込む。
 
 同時に、拳銃が自動式の物である事に気付く。装弾数も多い。
 動作を見ればわかる、銃の扱いにおいては素人であろう老人。
 そんな人間が、グリップが太い自動式拳銃で正確に撃ち込んで来た事が忌々しかった。
 持ち手部分が太ければ重量も増え操作性が低下し、照準も定めにくいはずなのに。

 どうして3発すべて命中するのだ。なぜ、外れてくれなかった。 
 これを、こんな事を『運命』と、納得しろというのか。

19 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:28:22 ID:JcfpyydN

 消し飛ばした時の先で、自分の視界から写真が消え、俺が接近していた事に驚いたのだろう。
 瞳を見開き、フーゴが俺をその瞳の中に映して。
 覚束ない足取りで後ずさり、俺から距離を取った。

 写真の老人は悲鳴じみたわめき声を上げている。
 ヨシカゲ、皆死ね、と断片的な言葉が俺の耳に残る。
 ヨシカゲ__名簿にあった『吉良吉影』か。

 この老人が何を知っているのだとしても、今、粛清することに変わりはない。
 情報を聞き出すこともできるかもしれない。
 だが今殺すタイミングを失えば、またいつ今の様に不意打たれるかわからない。
 この老人が人間なのかスタンドなのかよくわからないが、方法は実に単純だ。

 キング・クリムゾンで握りつぶす。
 次に、ばらばらに破く。
 
 4度ほど破った頃だろうか。絶叫が消えた。
 フーゴが息をのむ気配がする。
 只の破れた紙切れとなった小さな破片を夕風に散らし、俺は彼を見た。
 その瞳に恐怖は無かった。焦りだけが彼の顔色を青くさせているらしい。
 汗が彼の顎先から落ちた。
 俺と目を合わせたまま少しずつ後退し、俺が手を出さないとわかると背を向けて駆けだす。

 俺は黙って見ていた。
 今、ここでこのままフーゴを殺す事は、間違ったことの様な気がする。
 優先事項はポルナレフの治療だ。フーゴと事を構えていては、彼が死んでしまう。

 足音が完全に遠ざかった事を確認し、俺は地面に伏したままのポルナレフを見た。
 酷い出血だった。すさまじい流血だった。
 撃ち込まれた弾丸は皮膚を裂き肉を吹き飛ばし、彼の身体に赤黒い穴を作り出している。
 銃創の位置を確認すると、背の中央付近に2発、首筋に1発。
 俺はポルナレフの服を破り取り、包帯代わりに首の傷口へと押しつける。
 
「止血をする。動くんじゃない」

「……お前、誰、なんだよ……?」

 俺は答えに窮し、だまったまま布を持つ手に力を込めた。
 この処置にほとんど意味のない事を悟りながら。 


20 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:29:44 ID:JcfpyydN
「……あいつ、あの野郎……トニオさんを殺しやがった。こんなゲームに乗りやがって、くそったれが……」
  
 なんだこれは、この有り様はなんだ。
 こいつをこのまま死なせることしかできないのか。
 俺は、一体なんだ。何もできないまま終わるのか。
 
 傷口に当てた布の端から血液が滴る。
 もう血を吸い過ぎて、この布の量では間に合わない。
 
「なあ、頼む。殺してくれ、J・ガイルを……俺の、仇だ。頼む……」

 民家のカーテンを使おうと離れかけた俺の腕を、ポルナレフが掴む。
 本当に死にかけているのかと思うほどの強い力で。 

「あと、花京院が……もし、わかんねーけど、もしほんとの花京院だったら謝らねえと……『ごめん』って……」

「喋るな、死ぬぞ。おい、離せ!」

 俺が言うと、こいつは笑った。
 死を前に笑った。

「……ふ、はは……いいぜ。女の子一人、助けられたんだ。フランス男、冥利に尽きるってもん、__」

 さっきまで痛いほど俺の腕を掴んでいた手が、血だまりの中に落ちた。 

「おい。ジャン・ピエール・ポルナレフ。……死ぬな」

 こぼれた言葉は、無意味な音となって血溜まりの中へ消えていく。
 
 
※   ※   ※

「俺は夢を見た。愛した女と、燃やした故郷の赤く染め抜かれた空の夢を。過去は恐怖そのものであり、それは今、絶対に乗り越えなくてはならない」

 死んで、死んで、死に続けた。
 今また死に向かいつつあるとしても、俺に後悔は無い。
 だが、やり遂げるべき事はやり遂げなければ。
 ジョセフの鉄球が言っている。
 前へ進めと言っている。

「『J・ガイルを殺す』、『花京院に謝る』どちらもやらなくてはならないのが、真の絶頂を目指す俺の辛いところだな」



21 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:30:29 ID:JcfpyydN

 俺は口の端を上げる。
 弱い俺が、何をするべきなのか。
 
 ああ、やっとわかった。

 足りないのは小手先の策略や思想ではない。
 地に足を着けて悠然と先へ進む意志だ。
 生きて帰りたい、故郷に。彼女に花を供えたい。

 同時に、ジョセフに続いてポルナレフの遺志を継ぐ。

「俺に目的をくれたな。感謝するぞポルナレフ。そしてパンナコッタ・フーゴ……曲がりなりにも俺の部下だった者。
お前がゲームに乗った以上、再び出会ったなら必ず、引導を渡してやる」

 目指す場所はDIOの館。
 『DIO』とは何者なのか、それを調べる。
 情報収集も出来るだろう。
 館に居る者にJ・ガイルや花京院を知る人間がいるかもしれない。
 ポルナレフの死体は、民家の中に安置した。
 だが、死者に敬意を表し、弔うには早い。
 まだ俺には足りない物がたくさんある。 
 
「我々は皆、運命に選ばれた兵士。ドナテラ、ジョセフ、ポルナレフ……ドッピオ。俺が、帝王になるまで待て。」


 今はただ、先へ行く。


【吉良吉廣 消滅】
【J・P・ポルナレフ 死亡】

【残り 31名】

【E-4/1日目 夜】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:右手に負傷(小)。肋骨二本骨折。身体疲労(中)。精神疲労(中)。鼻にダメージ(中)。強い決意。強い恐怖
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ジャイロの鉄球 、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.DIOの館へ
2.ジョルノには絶対殺されたくない。来るなら立ち向かう。 フーゴも同様。
3.恐怖を自分のものとしたい。
4・ 『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
4.自分の顔と過去の二つを知っている人物は立ち向かってくるだろうから始末する。
5.電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)、早人怖いよ。だが乗り越えたい
6.駅にあるデイパックを回収したい
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンになんらかの制限がかかってます。内容は次の書き手さんにお任せします。
※サンドマンのメッセージを聞きました。

22 :霏々として ◆33DEIZ1cds :2010/08/23(月) 23:32:33 ID:JcfpyydN
【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:苦悩と不安、傷心、重度の鬱状態、極度の人間不信、精神消耗(極大)、額に瘤、右腕に中程度のダメージ、服が血まみれ
[装備]:拳銃【リボルバー式】(4/6)
[道具]:支給品一式、ディアボロのデスマスク、予備弾薬42発(リボルバー弾12発、オートマチック30発)閃光弾×?、不明支給品×?
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
0.僕は僕自身の意志で生きたい
1.誰かを『殺す』ことでけじめをつけ、誰にもとらわれない生き方をする。 取り敢えず地図中央部付近の主要施設を回る。
2.デスマスクの男……一体何者?
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※荒木がほかになにか支給品をフーゴに与えたかは次の書き手さんにお任せします。また閃光弾が残りいくつか残ってるかもお任せします。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。


以上です。
ご指摘を受けた部分を修正、細かい部分を加筆しています。
引き続きご指摘、感想ありましたらよろしくお願いします。

23 :創る名無しに見る名無し:2010/08/24(火) 20:37:31 ID:fxREVyXe
ポルナレフ・・・死ぬ時はあっさりと死んでしまうものだ。正に現実は非情。

しかし、これは良い帝王!ディアボロの今後が気になるゥゥ!!

24 :創る名無しに見る名無し:2010/08/31(火) 11:03:56 ID:rbC18Jts
1stのディアボロもよかったが、2ndのディアボロも良いな

しかし、残りの面子は果たしてどうなるか…

25 :創る名無しに見る名無し:2010/09/02(木) 22:33:59 ID:88dbQDVX
◆0ZaALZil.A氏の代理投下を開始します。

26 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:34:59 ID:88dbQDVX
『ダメだ』

綴られる三文字。
否定、不可能、無益を意味する三文字。
綴り手、音石明は、自らのスタンドを体内に収める。

『本当に分からないんだな?』
『今ので分かったのは電気が流れてる、ってことぐらいだぜ。その電源はさっぱりだ』

来訪者、山岸由花子がもたらした『妨害電波発信装置』。
首輪を無力化する要素を求めていたリゾットにとってこの邂逅は僥倖だった。
放送はメモするだけにとどめる。
既にこの世にいない同志の無念を晴らすためにも、感傷を引きずるわけにはいかない。
不可解な禁止エリアや新参者の考察も後回しにスピットファイヤーを回収、リゾット達は実験を開始。

第一の実験として、妨害電波の効用のテスト。
スピットファイヤーのフライトが不成立だったために、リゾットは一応の成功と見た。
第二の実験は、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を用いた電力源の確認。

『そう。それじゃあ、これは宝の持ち腐れってところね』

こちらは前述のとおり、時間を掛けたものの大した結果は得られなかったが。
由花子はペン先で妨害電波発信装置をつつく。
リゾットは悟られまいとしていたが、僅かに落胆の表情を浮かべていた。

『いや、まだわからん。イレギュラーが偶然集った、この機会を逃すわけにはいかない』

と、リゾットは書き連ねるものの、由花子を信頼しているかは怪しい。

女子高生が単独でここまで生き残っているのだ。経緯はどうあれ、一人でここに来るのは不可解。
しかも、悟りでも開いたかのように冷静だ。
音石の報告によれば、焦りを見せることもなく、ここ研究所まで悠々と歩行してのけたとのこと。
死が間近に迫る緊張感、それに伴うストレス、疲労が感じられない。
情報交換そっちのけで実験を行ったのはこれに起因するところもある。
付け加えると、リゾットは由花子にペッシの存在を明かしていない。音石にも口止めする徹底ぶり。

『電気が流れているのなら、全体から電気を吸い取ればいい。効率は落ちるかもしれないが、できないことはないだろう?』
『ここには首輪のサンプルもねえんだぞ』

厳密には、ある。
由花子がその存在を明かしていない空条承太郎の首輪が。
だが由花子は提供しない。自分が疑われていることが何となく分かっていたからだ。
脱出に関する情報は聞かされたが、自分たちの能力に関してはけんもほろろ、自分から晒す理由もない。
装置の存在を早々に明かしたのは、この場にとどまるにはそうせざるを得なかったから。

このような事情から、リゾット陣営と由花子は互いに睨み合い、身動きが取れないと思われていたが。


27 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:35:44 ID:88dbQDVX
『俺の首輪で試してくれ』

リゾットの無謀な提案に、寸刻、皆の筆が止まる。

『正気?』
『理屈を言えば何の問題もない。後は踏み込む度胸だけだ』

その一文は、由花子でさえも目を疑う。
こんなに都合のいい事態だからこそ、もっと疑ってかかるべきだろうに。
度胸だの気合だので命は扱えたものではない。

『首輪が爆発したらどうするんだ?』
『したところでスタンドに影響はないだろう。お前たちは離れていればいい』

それでもリゾットは、自らの死を天秤にかけることを厭わないようだった。
ギャングで暗殺者という身の上がそうさせるのか。

『妨害電波発生装置が壊れたら、ことだぜ? 由花子よお、お前はいいのかよ?』
『装置を貸す分には、反対する理由はないわ』

由花子は止めない。
リゾットの暴挙は、彼女にとって何のデメリットもないのだ。

もし首輪の解除に失敗して首が飛べば、脱出派の人間が労せずして減ることになる。
しかも、自分が手を汚さない形で。音石に罪をなすりつけることも自然にできる。

そして、仮に解除に成功したとしよう。
ゲームが破綻しかねない異常事態を荒木が黙って見過ごすだろうか?
否である。間違いなく何らかの干渉、制裁があると言って良い。
聞けば、首輪には盗聴器のような監視道具が備えられているとのこと。
ならば、山岸由花子が殺し合いの引き立て役と認識されているのは自明。
そんな彼女をみすみす死なせはしないだろうし、懇願すれば武器の一つでも譲ってくれるかもしれない。

『仕方ねえ、あんたの覚悟を無駄には出来ないな』

そして、提案に乗るのにためらいはあるものの、音石も優勝狙いだ。
ここでリゾットが死んでも、懸念事項はペッシの反応ぐらいのもの。
今の『レッド・ホット・チリ・ペッパー』なら、施設のアドバンテージもあり、負けることはない。
万が一首輪が外せたのなら万々歳。首輪解除に不可欠な人物として、それなりの発言力は与えられるだろう。
やはり、音石にとっても、リゾットの妄動は何のデメリットもない。

部屋の隅と隅の位置関係、リゾットから充分に距離をとった音石と由花子。
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』がその体躯を発光させ、リゾットに接近する。
雛鳥に触れるように恐る恐る、リゾットの首輪を、煌びやかな両手の平が包んだ。

『じゃあ、いくぜ』


  ★


28 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:36:50 ID:88dbQDVX
「やれるところまでやる、か」

エシディシは心底、残念そうに呟いた。
右手で目を覆い、溜息まではいている。
スタンドを顕在させ、一挙動も見逃すまいと注視するジョルノとブチャラティとは、対照的だ。
緊張で息がつまりそうな状況に耐えかね、ヴェルサスは隻腕を駆使し必死に後ずさる。

「前回はそうではなかった、と?」

ジョルノは鉄塔付近の乱打戦を思い出す。
プッチの武力介入で決着はつかなかったものの、煮えたぎる血液を考えるとあの場ではジョルノが劣勢だった。
あれを使われると、下手に生物は生み出せない。熱のある環境で生み出せる生物は限られる。
パワー勝負は元より不利だった。

「なぜ、乗ったんです?」
「一族の再興は俺に託された。それだけよ」

説得は無意味。これ以上の会話は不要。
ジョルノが前衛に立つ。
ブチャラティは数発当たれば勝負が決する切り札だ。前に立つには早すぎる。
しかし相手は人外、底なしの持久力の持ち主、長期戦は避けたいところ。

ジャブ、フック、ストレート。直線、曲線織り交ぜた三次元の攻撃。
エシディシは腕を組み、最小限の動きでギリギリのところを避ける。
殴打の散弾には劣るものの、その速度は相対する暴君に引けを取らない。
振るう、避ける。突く、避ける。払う、避ける。武闘と言うより舞踏。
拮抗しているかのように思えるが、違った。

ジョルノの攻撃は、パワーの面ではさほど優れていないというのは前述の通りだ。
手数の多さからエシディシは回避に専念しているが、これでは当たったところで致命傷にならない。
これで背後の男――ブチャラティは傍観しているだけなのか。そんな疑念をエシディシは募らせていく。
エシディシは警戒を置いて間もなく、自らに向けられた援護射撃に気がつく。

道路標識。
投げ槍のように鉄棒を投擲。
ジョルノの脇を掻い潜り、エシディシに襲いかかる。

エシディシは弾こうとしない。
奇妙な事に、さほどスピードがないからだ。避けてくれと言っているようなもの。
刺さったところで波紋も込められていないのでは、大したダメージにはならないはず。

そろそろ当たろうかという寸前で、棒が突然、「く」の字に曲がった。
いや、中央が切り開かれた。ジッパーによって。
引き手が戻る。鉄棒はたちまち鋏と化す。

両腕を挟まれ、上半身一切の動きが取れなくなるエシディシ。
隙ありとばかりに、ジョルノが攻勢に出る。ブチャラティも距離を詰めんとばかりに力走。
顎に、頬にと金色の光弾を叩きこむ。
エシディシもされるがまま、無抵抗のままであるはずもなく。


29 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:45:58 ID:88dbQDVX
「ヌゥン!」

上腕の筋肉を膨張させることで強引に拘束をこじ開け、ブーメラン形に戻ったそれを右手で掴んで横に薙ぐ。
大きく、重く、鋭いそれは命刈り取る死神の鎌と言って差し支えない。
エシディシの図体と相まってかなりのリーチだ、避けきれないし耐え続けるのも限界があるだろう。
ジョルノは身を横にし、当たる面積を最小限にして飛び退く。
一閃。

斬撃音とともにジョルノの左肩が赤く染まるのを見て、ブチャラティは咄嗟にブレーキをかける。
エシディシは結果に満足したのか、遊び飽きたおもちゃを捨てるように標識を放り投げた。
ヴェルサスの数センチ手前に刺さり、ヒィヒィ言いながら彼は更に後ずさる。

ジョルノの回避運動で道が開いた途端、エシディシが前進する。
いかに守りが堅牢であろうと、『スティッキィ・フィンガース』の前では効力がない。
それが明るみになれば、エシディシがブチャラティの対処に追われるのは道理だ。
再びジョルノがエシディシの前に立ちはだかる。

「無駄ァ!」

渾身の右ストレート。
エシディシは圧を掛けられたかのように低姿勢になり、パンチをかわす。
ならばと足をなぎ払おうと振り上げた途端、対象、エシディシを見失う。

「消えた!?」
「ブチャラティ! 上だ!」

エシディシが姿勢を低くしたのは回避行動をとるためではなく、しゃがみを反動とし、跳躍するためだった。
ジョルノを飛び越え、ブチャラティに飛びかかる。
一手遅れた『スティッキィ・フィンガース』の防備は、粗いもの。

「ぐはッ」

スタンドがガードしていない隙間を縫って、鎖骨を刺突するように蹴る。
ミシリと音を立て、刹那、ブチャラティはビル壁面に叩きつけられる。
叩きつけられると言っても、スタンドでのガードには成功したようだが、戦力の分散を図ってのものだから上出来だ。
エシディシは蹴り飛ばした勢いを利用し、ジョルノから離れるように宙を舞う。
着地、2度、3度の後方転回、様子を見る。

その隙は与えられなかった。
目前にジョルノ・ジョバァーナが肉薄。猛打の嵐を織り成す。
そうでなくては、とエシディシも応戦。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

嵐、いや弾幕、というよりもはや障壁。
エシディシはその一つ一つを丁寧に弾き、あるいはいなす。
前回は受け止めたせいで痛い目を見た、同じ轍は踏まない。
その駆け引き、まるで彗星を弄ぶ超高速のお手玉。


30 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:47:36 ID:88dbQDVX
無論、エシディシは人間を、吸血鬼を超越した生命体。並はずれた身体能力は動体視力にまで及ぶ。
常人なら残像に惑わされがちだが、お互い腕は二本しか生えていないという条件は変わらない。
スピードが互角で、動きが捉えられるのなら捌くのは苦労しないはず。
まして、腕を生やすなんて芸当はジョルノはもちろんエシディシにだって無理だ。


否、増えた。


ジョルノが身につける服、開かれた胸元。
そこからエシディシを標的として真っ直ぐ伸びる、三本目の拳。

「甘いな」

エシディシは迎撃を止め、スウェーバックで正拳を避けた。
顎にかすり、一線ジッパーが引かれ、割れる。
ジョルノはバックステップで距離を置き、荒れた呼吸を整えにかかる。

その胸部は、パックリとガマ口のように開いていた。
そこから伸びた、『スティッキィ・フィンガーズ』の前腕。ブチャラティが引き戻し、回収する。
死角からの奇襲を狙ったのだが。

「見抜いていましたか」
「勘だ。ブッ飛ばした相方をちらとも見ないからには、何かあると思ったまでよ」

エシディシはあえて明かさなかったが、もう一つ理由があった。

ジョルノは突きの応酬の際、一点集中では無く拡散的に打撃を繰り出していた。
隙があったわけではないが、広範囲にする理由が特に見られない。
あるとすれば――エシディシの視界の制限。そこからの不意打ち。

次の手を練る二人を前に――

「時間の無駄だ」

――エシディシは構えを解く。
更に額に青筋を浮かべ、顔面を紅潮させた。
血液が凝縮するのに伴い熱を帯び、空気を歪める錯覚を起こすほど。

「何が『やれるところまでやる』だ。いや、静観決め込もうとしていた奴に期待した俺が馬鹿だったか。
 貴様ら、何故全力を尽くさない。何故死にもの狂いで抵抗しない。何故必死こいて立ち向かおうとしない。
 俺が闘争に身をやつす理由など、どうでもよかろう! 荒木を倒すと豪語するなら、今ここで俺を追い詰めぬ道理はない、違うか!?
 答えろ! ジョルノ・ジョバァーナ!」

偶然見つかったから『仕方なく』戦うなどという姿勢、まさしく指示待ちの対応者でしかない。
しかも、ジョルノの乱打は手を抜かなかったとはいえ、決め手を他人に譲った以上、何が何でもブチのめすという闘志に欠けるもの。
被害を最小限に食い止めようと、策に溺れるばかりで、自ら戦う意思に劣る者とどう死合えというのか。
牙無き犬は畜生に劣る。


31 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:49:17 ID:88dbQDVX
「堅実さを捨てきれないか。所詮、貴様らは腑抜けよ」

だがジョルノも、ブチャラティも、正義感あれどスーパーヒーローではない。
ヴェルサスを救い、エシディシをも討ち取る、それは単なる高望み。
非情だけれども、腑抜けているけれども、でなければ無意味に命散らすことに。

「その手に乗るものか」

ブチャラティの反論が、それを如実に表している。
二人の行動は、ヴェルサスを除けば誰からも咎められるべきものではない。
覚悟と無謀は違う。無謀を持ち合わせていないからといって、何故非難されようか。
挑発に乗せられ、策にからめとられようものならこれ以上ない愚行。

「ジョルノ……まだ脱出の道を諦めていないと見える。だが俺にとってそれは厄介な事だ」

エシディシは、進化を、成長を求める。
そして、生き抜いて最後の一人になろうともしている。
矛盾なくこの二つの命題を遂行するために、当初の案通り、対峙する人間を追い詰める事を忘れない。

「そこでだ。貴様らにとって最も不利益な行動を考えてみたぞ」

ポルナレフやオインゴ、早人の場合は、気まぐれなどもあるが、その場で追い詰め、全力を引き出す手段がこれと言ってなかった。
しかしエシディシは、ジョルノの全力を引き出す方法が分かっている。
行動理念、過去の発言、そこからの推定は容易。

「これからナチス研究所を破壊しに行く」

シーザーが友人を奪われ、憤怒したように。
大事なものを壊してやれば、手を抜いている余裕などない。
いや、この場合ほのめかすだけでも有効だろう。

「あそこには地下に駅があったからなあ。そこから攻めるとしよう」

不敵な笑みを見せる。
ハッタリを疑おうにも、実現性を問えば決して不可能ではないはず。
いかに立派な建築物でも、エシディシにかかれば砂のお城だ。
だからこその笑み。付いていかざるを得ないという、確信に満ちた笑み。

「ドナテロ・ヴェルサスよ。ティッツァーノからお前あての遺言だ。『お前は裏切りものなのか?』だそうだ」

正真正銘の腑抜けに用はなくなった。
真価に期待したものの――期待値が高すぎたせいでもあるが――結果には落胆させられた。
圧倒的武力もなければ策もない、遺言から察するに徒党を組むのも難儀するだろう。
今のエシディシにとってヴェルサスは、路上の小石に等しい。

言い放った直後、エシディシは己が拳で垂直に地面を打突する。
爆音、煙幕、世界が揺れるかのような錯覚。
それらを経て視界が晴れた時には、怪物の姿はなく。
穿たれた穴は、拳一つで空けたにしてはあまりにも大きく、深い。




32 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:50:37 ID:88dbQDVX
「ブチャラティ!」
「分かっている!」

叫びは、ほぼ同時に発せられた。
ジッパーで地面を切開、飛び降りるブチャラティ。

「腕はそこに作っておきました! じきに形になります!」

ジョルノは、振り向きざまヴェルサスに言い放つ。
いい終えるや否や、ジッパーが生み出した穴へと駆け込み、消えた。

フラフラと立ち上がり、地面を観察するヴェルサス。
そう遠くないところに、芋虫のように蠢く五指が生えた石があった。
グロテスクな様相に吐き気を催したのか、ヴェルサスは口元を押さえる。
だがそれも、彼が生きているという証。

「今度こそ助かった、のか?」


――お前は裏切りものなのか?


「助かってねーよ……まるで」

バレていた。

「あれは……仕方が、ねーじゃんかよ……」

呟けど、呟けど。

「どうせ俺は、胸張って生きることなんか、出来やしねえ……」

贖罪の言葉は出てこない。

体験してきた逆境は、彼の心を歪め、卑屈にし、容赦なく叩き潰した。
ティッツァーノが疑念を感じる間もなく一瞬で死んでいれば、心はこうも痛まなかったはずだとヴェルサスは考える。
いや、真実を知ることなく死ねばよかった、などと思うのも身勝手で最低なわがままだ。
あの時ティッツァーノだけでも助けられた? いや、どっちみちティムの恨みを買うのは必然。
全員助かる術なんてない、だから逃げ出した――見殺しにした。
どうすればよかったか、何が最善だったか。答えが出ない。恐るべき無限ループ。

幸せになりたいという思い、その心の命ずるまま動いたことによる恨みをティッツァーノは募らせた。
その恨みはヴェルサスにこびりつき、汚染させ、ついには腐らせる。
腕になりかけている石も、拾い上げた彼からすれば相棒の死を連想させる忌まわしい呪いにさえ感じる。
こんな風にあいつもバラバラになるまで痛めつけられたのか、などと想像を巡らせて。
この手が自分を向こう側へ連れて行ってしまうのではないか、とさえ。

「くそッ……!」

頭のなかに圧し掛かるものを、振り切るように歩みを進める。
彼に残されたものは、たったそれ一つだけしかないというのに。

運命か、はたまた偶然か。
ヴェルサスの進路は、無自覚ながらも、ある地点を明確に目指していた。
不安を抱える者は、『そこ』を頼りにするのかもしれない。
いや、場所が、と言うより、冠する名がそうさせるのか。

歩む先は、DIOの館。彼もまた、安心を求める。

  ★

33 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:52:39 ID:88dbQDVX
空気配給管からずるりと、軟体生物のように這い出てきたエシディシ。
新体操ならば満点であろう整った着地。
暫し周辺を見回す。
そうやってただ立っているだけでも、筋肉が描く曲線美に目を引かれる。

「どうした? 向かってこないのか?」

ペッシはエシディシの観察に精一杯。
僅かな空間から人が出てきたという事実、それが桁外れの豪傑だという事実。
あまりに非常識、あまりに超常的。ペッシの頭では、情報の処理が追い付かない。

「ならば上に行くとするか」

その言葉でようやく、ペッシは弾かれたように竿を拾い上げる。
雄大な背中を向け、いかにも隙だらけなエシディシ目掛け、振るう。

――メキョッ

腰から上を、切り離されたと錯覚するほどにスライド。
針は標的を失い、虚空を舞う。

「!? 体が、曲がっ」
「とろいなァ」

耳元で羽音を立てる虫を追い払う程度に軽く、エシディシは背後に腕を振るう。
たったそれだけで、ペッシは壁面に吹き飛ぶ。
後頭部を強打し、ぐったりとのびてしまった。

「下らん。あまり失望させるな」

ペッシには目もくれず階段へ向かうエシディシ。
潰した虫に興味がわかないのと同じように、踏みつけた蟻を認識しないのと同じように。
だからこそ、エシディシがふと動きを止めた理由に、ペッシとの因果関係はない。気まぐれからでもない。

鉄が擦れ合い、赤熱しそうなほどの摩擦音。徐々に、近付いていく。
音源を探るうち、ふと線路を見やれば、地下鉄の軌条、その一つを伝うジッパーのエレメント。
やがて見えた、スライダーの超特急。引き手に捕まるジョルノとブチャラティ。
到着、施設の構造的に二人はエシディシを見上げる形に。

「待っていた、とでも言いたげですね」
「さあな。さて、これで必死こいて戦う気になったか?」

スタンドの脚力で、両者跳ね上がる。
エシディシの頭上からスタンドの腕を振るう。
近距離型の中でも優秀な部類に入るスピードを誇るスタンド、それが同時に襲いかかる。




34 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 22:53:32 ID:88dbQDVX
だが、見切られる。手首を掴まれた。

「MUN!」

駒のように一回転し、握りを解く。
遠心力に乗せ二人を投げ飛ばすさまは、まるでハンマー投げをしているよう。
受け身を取る間もなく、磨かれた床に叩きつけられ、着弾点に亀裂が走る。
ペッシのいる方向へ転がっていったのは、偶然か作為か。

「もっとだ! もっと! 命燃やすほどに、この俺を追い詰めてみせろ!」

殺気を滾らせ、悪鬼が吠える。
ここは地下鉄駅と言う名の、閉鎖空間。
狂気溢れる地獄の釜――そんな例えがふさわしい。


  ★


(やべえ……目が、うまく開かねえ)

ペッシは、かろうじて意識を保っていた。
ブチャラティとジョルノによって生じた地響き、それが無ければ未だ夢の中だったろう。
だが、保つのに精一杯で立ち上がること叶わない。

(兄貴んとこ、行けるかな?)

曲がりなりにも、同業者が近くにいるというのに。
死後に思いをはせるその姿は、まさしく死人。
動くことを諦めたのか、ずるりと力なく座り込む。

――チャリン

ポケットから零れ落ちたのは、小さくも眩しい白銅貨。
円形のそれは僅かに転がり、裏面を向いて倒れ制止した。

(あ……あのコイン、重ちー、から……)

――あ、そうだ。これあげるど、ペッシ。友達の証だど。

友情を、結束を、そしてロワイアルの打破を。
誓った彼は、もういない。

(わりい、重ちー。約束、嘘になりそうだ……)

生意気であったが、どこか憎めなかった彼。
出会いは命掛けのやり取りだった。
なのにその後は緊張感もなく、アイスを舐めながら談話して。

殺し合いに乗った仗助の襲撃。早すぎた別れ。
死力を尽くした殺し合い。初めての殺人。
死の間際まで、彼の目はこの硬貨のように輝きを失うことなかった。

何故だろう。あの時を思い出す。

友人が過ちを犯すという悲劇を前に、心折れること無く。
死にかけの、消えかけの状態で、ボーガンの鉄球を奪い取った『ハーヴェスト』。
尊敬に値する姿勢、年下なのに憧れに近い感情さえ湧きあがる。


35 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:03:41 ID:88dbQDVX
(ああ、どっかで聞いた気がするな、ああいうの……)

思い起こすは、兄貴分。
ギャングとして、暗殺チームとして、ペッシの教育に当たっていた。
スタンドの扱い方、特性、そして――心意気。
言葉でなら忘れていない、だが、体得する前に実戦投入させられた。
今なら、分かる気がする。

――あともうちょっとで

(そうだな、兄貴。ずっと、忘れてたよ)

―――ノドに食らいつけるって『スタンド』を

(言葉だけでしか、聞いてなかったから。あいつが、重ちーが教えてくれたのを忘れてた)

――――決して解除したりはしねえッ!


「立ち上がるか。お前は俺に何を見せてくれる?」

ペッシは踏ん張って仁王立ちする。
竿の末端を蹴りあげ、天に放たれたそれを掴むと同時に素振り。
空を切り裂く小気味いい音が響く。
目つきは、以前のような怯えや恐れを持たない、澄んだものだ。

「ずっと、考えずにいたけど……受け入れるよ。兄貴は死んだ。重ちーもだ」

慕った姿はすぐ側にいた。
けれども、兄の背を追うだけの彼は気付けなかった。
それは、知らず友人を侮辱することにもつながる。

「でも! 二人の『教え』を! 『覚悟』を! 俺はこの心に刻まなきゃダメなんだ!
 でなきゃ……でなきゃ! 兄貴も重ちーも、死んだままだ!」

プロシュートを、重ちーを、死なせたままにしていたのはペッシ自身。
死んだ人間は蘇らない。だから、今を生きる人の心の中で生き続けなければならない。
生き様を。覚悟を。彼らが生きた証を共にして繋いでいく。

「これ以上兄貴を、重ちーを死なせない! 分かったよ、兄貴、重ちー! 二人の覚悟が!」

それこそが、残された人々の、或いは、人間の強さ。

「『ビーチ・ボーイ』ッ!」

ペッシは竿を振り被らなかった。
いや、スタンドのスピードが予備動作を必要としないほどに卓越したものになっていた。
針は一直線にエシディシに飛来する。
前回を上回る速度にはエシディシも手を焼いたのか、脇にかすって血飛沫上がる。
だが、瞬時にUターン、針は羽を得たかのように飛び回る。

「針がジャンプした!?」
「全て動きは読んでやるぜッ!」

巧みな竿捌き。『ビーチ・ボーイ』の糸は、獲物をつけ狙う蛇のように、エシディシを追尾する。
避けたと思いきや、針は勢いを増し執拗に追いかける。
動きをみるに、ターゲットは心臓。しかもだんだんと動きが精密になってきている。
三対一だ、本体を叩くにも、回避にも制約がある。
限界を感じたのか、とうとうエシディシは針を弾くため右手の甲で触れてしまう。刺さり、手首からから肩へ向け糸が昇る。
腕を振り回し、抜けないと判断するや否や本体、ペッシに向かう。

36 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:05:27 ID:88dbQDVX
「ブチャラティ! 糸を殴れ!」

ジョルノから『ビーチ・ボーイ』の特性と、本体の外見を聞かされていたブチャラティ。
故に、ペッシの意図をすぐさま汲み取り、エシディシがそれに追随する形に。

「ヌゥッ!」

ブチャラティのラッシュ始動から一拍置いて、エシディシの豪脚が振るわれた。
一発、糸を殴りつけるのには成功したブチャラティ、だが二撃目はエシディシが攻撃という名の防御で阻止。
腹部を蹴り上げされ、背面を天井に叩きつけられるブチャラティ。
それと同時に、エシディシの右腕が、シャンパンのコルクのように吹き飛んだ。

「たかが片腕をもぎ取ったところで!」

今までのエシディシなら、ここで泣きわめいていただろう。
だが、人間に出し抜かれるわけがない、と慢心していたころとは違う。
肘から先を失おうとも、取りみだす気配なし。
重力に従い降ってくるブチャラティに、追撃を加えんと迫る。

「俺が攻撃を止めるとでも」
「『ゴールド・エクスペリエンス』!」

黄金色の閃光に見紛う、一突き。
矛先はエシディシではなく、切り離された腕。
駅ホームの床がひび割れるほど力強く拳を撃ちつけ、エネルギーを注ぎこむ。

「あなたみたいなのでも、腕は切り離されれば『ただの物質』のようですね」

黒光りする密な筋組織は、やがて青みを帯びていき。
それを土壌としてシュルシュルと根を張り茎を伸ばす。

「そして、根を張った植物なら吸収しきれない!」

鉄塔で、肉体を取り込む能力は把握済み。では植物はどうか? 
仮に取り込めたとしても、接触部は巻きついた植物のほんの一部だから、同じことだ。

植物の根は、アスファルトを持ち上げ岩をも砕く生命力がある。
それがエシディシの足に、砕けたコンクリートの中に、知恵の輪の如く絡み合う。
やがて、小さな木となった。
エシディシを束縛。踏み込みが足りず、射程外。手刀は誰も捉えることなく弧を描く。

「この程度、燃やせば……ッ!」

腿部からミミズの様に這い出た血管。
そこから垂らした血液が幹にかかると同時に、エシディシの皮膚が焦げる。
灸でもしているかのような煙が双肩から昇ってくると同時に、エシディシは呻き怯んで血管をしまう。
この隙にとばかりに、ブチャラティを回収するジョルノ。
既に針は胴体に到達、大目標の獲物をとらえた。

「心臓に食らいついたッ! ブッ殺してやる!」

全ては、この一撃のため。
全ては、必殺の布石。

リールを高速回転。折れんばかりに竿をしならせる。

ブツリという音とともに、鮮血がエシディシの唇端から漏れた。


37 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:06:25 ID:88dbQDVX
「やっ……やった!」
「まだだ……! まだ……この心臓、くれてやるわけには……いかないな!」

それでもなお眼光鋭く、ペッシを睨む。
残された左腕で、『ビーチ・ボーイ』の糸を力強く握る。

「糸を引く、その瞬間! それこそ……貴様を引き寄せる、チャンスよ!」

糸をリールで巻き寄せた時ならば、それ以上糸が体内に侵入することはない。
致命傷を負わせたのだから、意地でも竿は手放さないだろう。
それを逆手にとっての作戦だ。
釣り師は釣られ、首根っこを掴まれる。

「俺の心臓に傷をつけたことに敬意を表し……」

竿独特の弾性でエシディシが疲労し、なお且つ心臓が傷付いたなかでこのような行動に出たのは賭けだった。
しかし、時間稼ぎのため生やした木がエシディシを固定、結果として賭けに味方する形となってしまったのだ。

エシディシは、ペッシを引き寄せた勢いを殺さぬまま。
左半身側に、思い切り抱きしめた。

「貴様の肉体で、傷を癒すとしよう」

霊体のように通り抜けたペッシは――

「うう……あ……」

――顔も、胴も、腕も足も、左半分を瞬時に削り取られた。
正確には、喰われ取り込まれた。

足という支えがなければ、倒れ伏すしかない。
地面を舐めることになっても、ペッシはギリギリではあるが、スタンドを発現している。
砂のようにボロボロと、竿が崩れていようとも、ペッシは己が分身を、信念の形を握り続けていた。
腕が無いから何だとばかりに、歯でリールを回している。
エシディシは抵抗するでもなくペッシを見つめる。見下す。
そこからは、憐みのような視線が感じられた。

ゆっくり且つおぼろげながら、針はエシディシの胴体から首筋へ、こめかみまで昇って行き、昇って行き――


――消えた。


ジョルノも、ブチャラティも、その光景を前に微塵も動けない。
ペッシの見るも無残な姿――それもあるが、二人の脳裏は、ある疑問が支配していた。

『なぜ、エシディシは自分からスタンドに触れられた?』

即、氷解した。最悪の形で。

「足も抜けられた。一時はどうなる事かと思ったが、これで気兼ねなく続きが出来るな」

手袋のように左腕を包む、黄色いスライム。
ラバーソールのものと同一のスタンド。
DIOの館にて、プッチ神父を殺したのはこのためだったとすれば線はつながる。


38 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:07:09 ID:88dbQDVX
「考えられなくは、無かった……! だが、そんな……!」

可能性でしかない話、断定には程遠い推測。ところがどっこいこれが現実。
最強の矛に無敵の盾、そんな言葉が良く似合う。
隠された切り札。もはや禁じ手に等しい奥の手。

グニャグニャになった足に力を込めて、彫刻のように磨かれた形に戻し、迫る。

どうあがいても絶望。

――バチッ

蛍光灯に、突然電流走る。
三者の視線が一点に集う。

「上にも誰かいるようだな。全力を出すまでもなかった貴様らを相手にするよりは、ましかもな」

エシディシは速足で、それこそ待ちきれないとばかりに階段を駆け上がる。

難を逃れた。
だが、再び一難降りかかった時、彼らに何が出来るだろう。
覚悟と無謀は違う。だが、無謀さえ持ち合わせていないなら死んだのと同じではないか。
残されたのは、己が無力を悔やむ、ひたすらに惨めな敗者の姿。

  ★


「一体何が起こったの!? 説明しなさいッ!」
「さっきから言ってるだろ、俺にだってわかんねえよ! 少なくとも、俺はリゾットの奴には何もしちゃいねえ!」

『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は、リゾットの首輪からエネルギーを吸収した。
強力に、ではないが、全エネルギーを吸い取ることを前提に。
だというのに、首輪は明滅をやめていない。
それどころか、いや、それ以上に謎なのは。

リゾットが気絶したことだ。

電力を吸収して間もなく、リゾットは棒きれのように倒れ伏した。
息はしているし、鼓動もある。だが、なぜかその表情は血の気の引いたもので、力ない。
これではまるで――

「お前は何か!? 俺がリゾットを攻撃したって言いてえのか!?」
「だから、何が起こったって聞いてるの!」

――だが、音石自身はその可能性を全力で否定する。
由花子からすれば、音石はこの場で襲いかかるような奴ではない、そんな目論見が外れたとさえ思える現状。
眼輪筋を痙攣させ、ヒステリックな口調で音石を追い詰める。
そんな中で僅かに残された理性が命令し、スタンドの行使だけはギリギリ押さえていたのは称賛に値するだろう。

「……下が騒がしいわね。スタンドで様子を見てちょうだい」
「チッ、わーったよ」

追求しても進展がないなら仕方がない。
取り合えず自分に不利益はないのだからと、由花子は開き直る。
疑いが晴れないことに舌打って憤りを呈する音石だったが、確かに階下の騒音は気になっていた。
目に付いた機材に『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を飛びこませる。

口論の間にも耳に入る音量――本来なら、注意しても、し足りないはず。

「ジョルノ・ジョバァーナに……ブローノ・ブチャラティ!? 何が起こって……」

39 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:08:17 ID:88dbQDVX
なのに、互いに自分のことばかり。
リゾットの敵対者まで近づけてしまうはめに。

そしてもう一人、いた。

いたはずなのに、瞬く間に消えた。

馬鹿な、一体どこに。
足下から伝わってくる振動。
階段? アスリート並みのテンポでそれが伝わってくるというのに階段からなどと。
心臓の鼓動が、警鐘を鳴らすかの如く増幅。

振り向くと。

「ひえぇっ……!」
「貴様らにも死んでもらう」

瞬間で理解する。奴は、怪物を上回る怪物。

音石は、腰を抜かすことさえできない。
サンタナを超える畏怖をエシディシから直に感じ取り、全身が硬直してしまっていた。
毛穴が引き締まるのを実感するほど総毛立ち、口は砂漠のようにカラカラに乾き、舌を飲み込んだと思うほどに息が詰まる。
とてもじゃないが抵抗しようなんて出過ぎた真似は思いつかない。

「優勝を目指しているんでしょう? 参加者が増えた今、一人じゃあ限界があると思わない?」

しかし由香子は果敢にも、エシディシを見上げ説得を始めた。
しなやかな手足を振るわせ、五体に焦りを見せていても。
物言わぬ躯になる前に、やれることがある。

「協力を持ちかけるか? フン、大した肝っ玉よ」

鼻を鳴らすエシディシ。
しかしすぐに面持ち険しくなり、ずい、と顔を近づけ由花子の顎を摘む。

「もっとほかの命乞いを考えるべきだったな、小娘。今の俺に障害となり得る者など、いるはずなかろう」
「どうかしら。どんなスタンドにだって弱点や短所はつきものよ」
「だとしても、だ。怯え竦んでいる貴様にそいつが倒せるとは、大言壮語じゃあないか?」

それが、最大の問題だ。
かつて早人が言ったように、エシディシを倒せるスタンド使いは存在する可能性は否定しきれない。
だがこの場合、理屈の問題ではなく、由花子がその弱点を補う形にならなければ、お話にならない。
もはや交渉でさえない、命乞いと揶揄されてしかるべき戯言。

「そうだな……あくまでも、俺のスタンドとの相性という意味で厄介な奴を挙げるとしたら……」

『ラブ・デラックス』は決して非力なスタンドではない。
それでも、エシディシの言う強者を打ち破る能力かと問われれば、限りなくノーだ。
由花子の額から首筋に向かって一筋、汗が流れ落ちる。
でっち上げたところで、処刑が早いか遅いかの違い。
交渉紛いの足掻きは神経を逆撫でるだけに終わり、自分が生き残る可能性が見いだせないのを理解した。

諦めるしか、ない。

「ディオ・ブランドーぐらいのものよ」


  ★


40 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:09:21 ID:88dbQDVX
「聞いて、くれよ……。あの、筋肉野郎のことだ」

どうしても伝えなくっちゃあならねえ。
ブッ殺すはずだった奴らに、こんなことすんのは本当は癪なんだけどな。

「しゃべるな、傷に触るぞ」

馬鹿言うんじゃあねえ。
もう、どうやったって助からねえんだよ。自分の体だから良く分かる。
痛みがないのが恐ろしいけど、半身もぎ取られたらもう、生きられねえ。

「ジョルノ……」
「損失した部位が……あまりにも、多すぎます」

新入り、ジョルノが悲壮感漂う面持ちで首を横に振る。
見届けてくれる奴がいるのは悪くないしむしろ有難いがそれどころじゃあない。
黙祷よりも大事な事があるんだ!

「首輪から、脳に……向かって、配線が、延びてん、のが、わかっ……たんだ。頭に、変な塊、もあった」

チーム間の闘争どうこうなんて、体裁保ってる場合じゃあねえ。
あいつを止めなきゃ、リーダーは、いや、ホルマジオだってやられちまうかもしれねえ。
手段はどうだっていい、確実に勝たなきゃいけねえんだ。

「重さから、して、おそらく、機……械だ。そこを、狙え……!」

心臓貫いても駄目なら、脳をえぐろうと針を巡らして分かったことだ。
わざわざ配線が繋がってたんだ、重要な意味があるんだろ。

「行け……! 奴を、追うん、だ……!」

伝えるだけ伝えたんだ。もう急がなきゃマズイ。
埋葬だとかは後でいい。今は俺の無念を晴らしてくれ、その方が弔いにならあ。
階段を急いで駆けあがっていく二人を、俺は見届けることしかできねえけどな。
ハハッ……情けねえったらねえ。半分しかない顔が引きつってきやがる。

結局、覚悟が分かったなんて言っときながらこのザマさ。
誰かに頼りっぱなしで、自分じゃロクに戦えなくって。
兄貴のように……重ちーのように、最後までスタンドを解除しなけりゃ、もしかしたら、勝てていたかもしれないのに。
栄光を、掴めたかもしれないのに。
重ちーに兄貴面しといてこれだもんな。俺なんかよりあいつの方が立派だった。
悪いことしたぜ、向こうで会ったら詫びの一つでも入れなきゃ。

「兄貴ィ……やっぱ、オレ……」

マンモーニみてぇだ。
兄貴のようには、いかなかったよ。


  ★


41 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:11:46 ID:88dbQDVX
「研究所がちょいとばかし遠いってえのはな、俺だって分かってんだよ。だからこその地下鉄だ」
「確かに……アタシたちが小さくなれば、急に襲われることもない」
「閉所だから、されようもんならむしろ仕返してやれるぜ」

男女一組、電車に揺られ土の中。
二人は、大豪邸のベットにも勝る大きさの椅子に座っている。
『リトル・フィート』の能力で小さくなり、椅子が相対的にそれだけのサイズになっただけの話だが。

「よし、着いた」
「丁重な歓迎は避けたいとこだがな」

ホルマジオ以外が小さくなる分には徐々に変化するが、解除して元に戻るとなると一瞬だ。
必然、椅子を踏みつける形になるものの、文句を言う誰かがいるはずもなく。
下車し、駅ホームで来訪者を迎え入れたのは。

「うっ……げぇっ!」

ギロチンで両断されたかのように綺麗な断面を覗かせる、縦真っ二つの死体。

グェスは180度振り返って、こみ上げる胃液を必死に押し戻す。
果樹園の死体にしたって、臓器が露わになるほどひどいものではなかった。
耐性はあるものの、ホルマジオも良い気分はしないらしく、眉間を歪ませている。
以前、同僚が輪切りにされたが、こちらは鼻をやられそうな血液臭と腐臭と相まって、五感のインパクトは比にならない。

「流石に、これは刺激が強すぎる……!?」

死因の確認と、デイパックの回収を行おうと接近したその時。
ふと、違和感。
パイナップルの針葉のように反り立つ頭髪には、見覚えがあった。
いや、違う。ホルマジオは知っている。この死体が誰だったかを知っている。

「ペッシ……!」

駆け寄り、削り取られた頭部を持ち上げる。
見知った顔が、そこにあった。

「おいグェス! 急ぐぞ!」
「ちょ……待ってよ!」

脇目も振らず階段を疾走するホルマジオを、グェスはやや遅れて追いかける。

奇しくも、同僚二人の死体と対面しようとは。
こんな再会があってたまるか、これ以上誰も犠牲にしてなるか。
上にペッシを殺めたものがいるなら、タダでは済まさないと、呪詛のようにつぶやきながら昇る。
彼を突き動かすのは、かつて栄光を掴むと誓った、結束力。

その主流となった男が、階上で窮地に立たされていた。

「ブチャラティ……! てめえ!」

病に冒されたかのように地に伏せる、チームの首領。
それに迫るも、チームの首領。
有利不利、考慮する時間など与えられなくても分かる。


42 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:12:29 ID:88dbQDVX
「ホル、マジオ」

場を包まんばかりの憎悪、罵声。
それによるものか、覚醒し、首だけ動かしてホルマジオを見上げるリゾット。
懸命ゆえ、ジョルノとブチャラティの存在には気付かない。

「来たのか……」

リゾットは呼気荒く、たどたどしい口調で話し始める。
声量は決して大きなものではなく、だからこそであるが、ホルマジオは注意深く耳を傾ける。
その場に居合わせた者たち全員が、息を飲む。

「聞、け……。首輪の動、力は……俺、たち、……」

再び、双眼は閉ざされた。
ならば、もういい。
理解できないのなら、何も言わなかったのと同じ。
グェスがそこで追いついた、だがホルマジオの眼中には映らない。
背中に目が付いていないから、というわけではなく、討つべき敵を捉えて離さないから。

「何だか知らねえが、やっぱり俺たちの敵だったってことだな。ええ、ブチャラティ!」

アバッキオの事は、ホルマジオの頭から完全に吹き飛んでいた。
大事なのは、ブチャラティとその仲間がリーダーを気絶にまで追いやったという状況。
部屋の隅で震えている日系の男に殺しが出来るとは思えず、むしろ犠牲者にしか映らない。
となれば消去法、ペッシも二人の毒牙にかかったのだろうと判断するには事足りた。

「てめえらはペッシをあんな風にしやがった……。次はリーダーか?」

大切なのは決意だ。
荒木の手の上で踊らされようが何されようが最後は自分たちが勝つという固い決意。
目の前に敵がいる、だから仲間とともに脱出するという決意が力を与えてくれる。

「ギャングらしくねえ台詞だと馬鹿にされようがな……てめえらだけは『ブッ殺す』!」

それが、思い込みでしかないとしても。
心の力で成り立っていることに変わりあるまい。


  ★


「興味深いなァ、ディオ・ブランドーを倒せる力とは」

凄まじい幸運。
由花子は偶然にも、射程内に入りさえすればディオ・ブランドーを殺すことが出来た。
正確には、『偽早人が変装したディオ・ブランドー』ではあるが。
偽物のディオ・ブランドーの首輪に髪の毛を纏わせていなかったら、そう遠くないうちミンチになっていただろう。

(DIOのことを言っているのかしら。それとも、あの偽早人が何かしでかしたとか)

他人から又聞きしたのなら、『ディオ』が『DIO』だと誤解しているのもうなずける。
変装して世渡りしていくだけの偽早人に苦戦した、という答えより、こちらの方が妥当な線だ。

(一命は取りとめたけど……こいつと同行し続けるのはちょっと、ねえ)

見るからに危険人物。見るからに殺意の塊。
そんなエシディシと隣り合って歩いていれば、山岸由花子はどのような人物に捉えられるか。
およそ美女と野獣などという言葉は出てくるまい。

43 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:13:12 ID:88dbQDVX

「先に腕を回収するもよし。急いで貴様の力を見るもよし。どちらにせよ楽しみだな!」

しかも、戦闘狂であるということは、『ディオ・ブランドーを倒した強者、山岸由花子』に勝負を挑まないとも言い切れない。
どの道、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようなもの、一刻も早く離脱しなければ危険だ。
気まぐれで戦闘をし始めた隙に逃げるのが最善か。
催促するなどして、早急に手を打たなければならない。
得体のしれない大男と一緒にいると、評判が流布した時点で今までの苦労は泡と化す。

(やれやれ。本当に……やれやれね)

だが、由花子は知らない。
変装者、ラバーソールが既に死んでいることも。
そのスタンドは既にエシディシに受け継がれていることも。
本物のディオが晴れて自由の身になり、スタンド使いになったことも。
そしてディオが、由花子への復讐に燃えていることも。

真に不幸なのは、無知だ。


  ★
「許してくれ、二人とも……いや、卑怯だと罵ってくれても構わん」

いくら警戒したところでし足りない。
単独行動はほぼ初体験だ。
武器もなければ地図もない、半日孤島に引きこもっていたのだから、知り合いもほとんどいないときている。

だが、あてはある。
あるのに向かわないのは、息子を想う者のすることだろうか。
息子たちの所業、その真意。知らず過ごせと言うのか。

「私は、脱出を目指す者である以前に、父親なのだ」

必要以上に怒ったりもした、厳しい罰も与えた。すべては愛ゆえに。
彼らがそんな少年時代を過ごした未来から来たのであれば、責は自分にあるのかもしれない。
教育者としての務めを、果たさねば。

ジョージ・ジョースター1世。ジョナサン・ジョースターの、ディオ・ブランドーの父親。
彼もまた、DIOの館へ。





44 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/02(木) 23:17:15 ID:88dbQDVX
【F-2 ナチス研究所 研究室/1日目 夜】

【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:背中にダメージ(中)、鎖骨骨折、内臓に痛み、トリッシュの死に後悔と自責、アバッキオとミスタの死を悼む気持ち
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪、ワンチェンの首輪、包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
1.エシディシはどこに? そしてこの場をどう切り抜ける?
2.いずれジョナサンを倒す。(殺害か、無力化かは後の書き手さんにお任せします)
3.フーゴと合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
6.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービー以外にもいる可能性があるかもしれない。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから




45 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:01:10 ID:ldjn/+vQ
【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:左肩に切り傷、背中にダメージ(小)、精神疲労(中)、トリッシュの死に対し自責の念
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3、ジョージの服の一部
[思考・状況]
0.エシディシはどこに? そしてこの場をどう切り抜ける?
1.『DIO』は吐き気を催す邪悪なのでは?今のディオをその事で責めるのは間違いだとは思うが…
2.トリッシュ……アバッキオ…ミスタ…!
3.ディオが自分の父親、か…→未来のDIOには不信感。
4.エシディシと吉良と山岸由花子をかなり警戒
[備考]
※ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
※ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
 (他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
※ラバーソウルの記憶DISCを見、全ての情報を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※ディオがスタンド使いになった事を知りました(能力は分かっていません)
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。


【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷、銃創(『メタリカ』による応急処置済み)、気絶(命に別状はない)
[装備]:フーゴのフォーク、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
1.気絶中。
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる(バレた後はケースバイケース)。
3.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
4.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※盗聴の可能性に気が付いています。
※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式が【F-2 ナチス研究所】に放置。
※リゾットの情報把握
承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)

※サウンドマンに伝えた情報↓
[主催者:荒木飛呂彦について] のメモ、盗聴の可能性、電気伝達の謎、
スピードワゴン、ツェペリ、タルカス、ディオ、ワムウ、ポルナレフ、ラバーソール、エンヤ婆、ンドゥール、康一、億泰、トニオ、由花子、吉良、
ジョルノ、マックイィーン、プッチ、リンゴォのおおまかな人相、名前、能力、危険度。

※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り


46 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:02:16 ID:ldjn/+vQ

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊、スピットファイヤー(プロペラに欠損あり)、
    スピットファイヤーのコントローラ、バッテリー充電器、妨害電波発信装置
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
1.ヤバいことが重なりすぎだ!
2.首輪解除なんて出来んのか? リゾットは失敗したし……
3.サンタナ怖いよサンタナ、でもエシディシはもっと怖い
4.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!


[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※音石の情報把握
 ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミュー(ここまでは能力も把握)、ミセス・ロビンスン(スタンド使いと勘違い)、ホルマジオ(容姿のみ)
※早人とジョセフとディアボロが駅を出た理由を知りません。
※盗聴の可能性に気がつきました
※サウンドマンとリゾットの情報交換はすべて聞きました。
※スピットファイヤーはプロペラの欠損により動作に安定感がありません。

※暗殺チーム全体の行動方針は以下のとおりです。
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する


【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(中程度まで回復)、頬の腫れ(引いてきた)、両腕・右手指にダメージ(応急手当済。右手指の具体的症状(骨折?脱臼?)は不明)
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】基本行動方針:ゲームに乗った? → 生きたい、生きていたい
0.こいつら敵なの!?
1.なんでこの男はアタシの事を怒ってくれたんだろう……?
【備考】
※フーゴが花京院に話した話を一部始終を聞きました。
※ダービーズアイランドを見ましたが、そこに何かがあるとは思ってません。→ダービーズアイランドが遠巻きに見た島だとは分かっていません。
※馬はE-5繁華街を彷徨っていると思われます。
※悲しみによる錯乱が随分と落ち着き、今のところ『ゲームに乗る』と言う発想は消えています。が……今後どうなるかは不明です。
※ホルマジオの持っている情報(チームの存在、行動の目的など)を聞きました。

47 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:21:11 ID:Zltl+DZu

【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:カビに食われた傷(応急処置済)、精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を『ぶっ殺す』!
0:ブチャラティ……お前たちチームはやっぱり敵だ!
1:踊ってやるぜ、荒木。てめえの用意した舞台でな。だが最後は必ず俺らが勝つ。
2:仲間達と合流できたはいいものの……。
3:とりあえずグェスから情報を引き出したのでグェスの同行も許すつもりである。
4:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
5:ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
6:もしも仲間を攻撃するやつがいれば容赦はしない。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。
※チョコラータの能力をかなり細かい部分まで把握しました。
※グェスの持っている情報(ロワイアルに巻き込まれてから現在までの行動、首輪に関する情報など)を聞き出しました。


【E-4 コロッセオ前/1日目 夜】

【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:健康、憂鬱
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの説得
0.ディオとジョナサンを探す。単独でも一向に構わん。とりあえずディオがいるであろうDIOの館方面へ。
1.尊い命が散っていく…
2.ディオが、ジョナサンが…私の息子たちに一体何があったというのだッ…!
3.首輪解除のため、ナチス研究所へ。
4.孫に会えてうれしい
[備考]
※第一、第二放送内容を把握しました。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)
※参加者が時を越えて集められているという話を聞きました。

48 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:24:16 ID:Zltl+DZu

【E-4 中央/1日目 夜】

【ドナテロ・ヴェルサス】
[時間軸]:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、服は乾いた、頭部にかすり傷、右腕欠損
[スタンド]:アンダー・ワールド
[装備]:なし
[道具]:テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、右腕になりかけの石、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に死にたくない、幸せになる。
0.助かったところで、こんな気持ちを抱えたまま生きろっていうのかよ……。
1.どんな事をしてでも生き残って、幸せを得る。その方針は依然変わりなくッ! でも今は幸せなんかじゃあねえ。
2.ティッツァーノへの罪悪感が増大。ティムを警戒
[備考]
※ティッツァーノ以外のマフィア、ブチャラティ達の事、パッショーネの事を聞きました。
(ブローノ・ブチャラティ、グイード・ミスタ、レオーネ・アバッキオ、パンナコッタ・フーゴ
 ジョルノ・ジョバァーナ、チョコラータ) 。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
 ・『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
 ・ただし、物理的に地中を掘り進むことは今まで通り出来ます。
※アンジェロ、Jガイルの容姿と『アクア・ネックレス』のスタンドビジョンを知りました。
※星型の痣を持つ相手(ジョナサン、ジョルノ、徐倫)の位置が大体わかります ただし、誰が誰かまでは判別出来ません。
※無意識に北上し、DIOの館方面に進んでいます。



【F-3 西/1日目 夜】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた。右腕の肘から先を欠損
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.DIOの館に向かうか? 代わりの腕を探すか?
1.億泰には感謝せねばなるまい。
2.常識は捨てる必要があると認識
3.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝えるつもりだったが、奴は既に死んだようなものだ。
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※この後どこに向かうかは次の書き手にお任せします。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。

49 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:27:24 ID:Zltl+DZu

【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.やれやれね。今DIOの館に行く必要もないのだけれど。
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
3.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
4.一応ディオの手下を集める
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。
※スピードワゴンの名前と顔を知りました。
※リゾットのメモを見ました。


  ★


「う〜ん、気づいたか……」

心のなかで呟いたはずなんだけど、どうやら声に出ていたらしい。
成仏できない哀れな地縛霊、杉本鈴美がハッとしてこちらを向いたからだ。
僕は、何でもないから君は空でも眺めてなよ、と彼女を突っぱねる。
これだとまるで照れ隠しか何かのようだけど、僕が目を離せない以上、注意を向けて欲しいのはあながち間違いじゃあない。
慌てて天を仰ぐ彼女の様は、なんだか滑稽だった。

しかし、それにしてもちょっと焦ってしまった。
リゾット・ネェロ――彼の考察はほぼ正解と言って良い。

首輪に多くの機能を抱えさせるのは、僕にとっては難題だった。
多少欠陥が生じても問題ないけど、抑止力にならない首輪じゃあお話にならない。
強度、盗聴の精密性、爆発の火力――様々あったけど、これらは元々及第点レベルはクリアしていた。
けれども、過酷な状況下でも安定して起動し続けるエネルギー。それが最大の課題だった。
今まで開発した首輪は短期決戦を前提としていたので、『最低三日間持つように』という路線変更は文字通り頭を抱えたよ。

50 :Resolution ◇0ZaALZil.A氏代理投下:2010/09/03(金) 00:30:29 ID:Zltl+DZu
首輪に新しく機器を取り付けるのは、不可能に等しい。

そこで発想を逆にし、動力を外部から引っ張ることにした。

波紋使い、スタンド使い、吸血鬼、柱の男。
方向性は違えど、このバトル・ロワイアルにおいてほとんどの参加者が『強い生命エネルギー』を持っている。
これを利用すれば、参加者の死と首輪の機能停止がリンクし、生死判別の機能をつけずに済むというメリットもある。
エネルギーを首輪内部の装置に頼らない結果、中身のほとんどを爆薬に割くことに成功したのも進歩だった。
首が吹き飛ぶ以上の威力という、無茶なオーダーに応えられたのだから。

しかし、あまりに強い生命エネルギーに手を焼いた参加者もいた。
カーズらに代表される柱の男、吸血鬼でありながらスタンド使いのヴァニラ・アイス。
かたや一万年近く生きたモンスター。かたや二種類のエネルギーを伏せ持つハイブリット。
普通に首輪をつけようものなら、供給過多ですぐにいかれてしまう。

そこで思い付いた。『別のエネルギー供給先をつくり、そちらに余剰分を回せばいいんじゃあないか』と。
別の供給先を検討した結果、頭部に爆弾を埋め込むのが妥当な案だった。
これなら、強すぎる生命力に対するハンディキャップも設定できる。

以上の点から、過去のそれに比べてかなりの改良に成功したと言って良い。
あらゆる問題を解消できたため、ほとんどの参加者の首輪がこのシステムでできている。
解析が容易ではないという自負もあった。
正直、こちらに関する予想を外しまくっていたリゾットに正解が導き出せるとは思わなんだ。
それでも……解除の道はまだ開かれていない。これならわざわざ報告する必要もないだろう。
下手すれば潰し合ってリゾットの努力が水泡、というのもあり得る話。
そして、首輪のシステムの根幹を知ったところで、そこから先、解除に至るには飛躍が必要。
箱庭を這いずりまわる彼らに、それが出来るかな?


期待してるところはあるんだけどね。


そんな、ささやかな理想が声になったかどうかは、分からず仕舞いだった。


【ペッシ 死亡】
【残り 30名】


※ペッシのデイパックがF-2 ナチス研究所地下鉄駅ホームに放置されています。
 ペッシのランダム支給品はスピットファイヤーwithバッテリー充電器、ダービーズ・チケットのみでした。


※リゾットは、首輪の動力が参加者自身であることを知りました。


【首輪の構造について】
首輪の動力源は、装着者の生命エネルギーを電力に変換したもの。装着者の死亡=エネルギー供給が断たれる=機能の停止。
波紋使い、スタンド使いは首輪を動作させるのに十分なエネルギーをもつ。
吸血鬼+スタンド使い、柱の男は首と頭部の爆弾を同時に稼働させるほど強い生命エネルギーをもつ。
(頭部の爆弾という別の供給源を作ってやらないと、供給過多で首輪が壊れる)
ただし、屍生人と一般人は首輪を作動させるに足る生命エネルギーを持っているか不明。そのため、彼らの首輪は若干構造が違う可能性がある。

51 :創る名無しに見る名無し:2010/09/06(月) 11:22:42 ID:AWfTa3n+
投下乙!

これは……首輪の謎の解明もそうだが、ペッシの最後がもう……!
そして暗チと護衛はやっぱり相容れないのか、歯がゆいぜ。
首輪の動力や構造、火力がばれ出して、また荒木がなんかし出さないか心配だ……
良展開にwktkしっぱなしで読ませてもらいました、あらためて乙!

52 :創る名無しに見る名無し:2010/09/10(金) 06:47:24 ID:JwMnDw3D
ペッシペッシペッシよぉ……

実はジョルノとブチャって原作で一回も(ブチャボロ状態除く)共闘したことがないんだよな
だからこの話は新鮮だったわ



53 :創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 22:19:19 ID:zZ7se/pT
乙。 ペッシ、、、期待してたんだが・・・

54 :創る名無しに見る名無し:2010/10/01(金) 02:45:35 ID:s/xkE0ZY
だれもいない

55 :創る名無しに見る名無し:2010/10/04(月) 20:39:12 ID:IEyB9Asa
新手のスタンド攻撃かっ

56 : ◆yxYaCUyrzc :2010/10/05(火) 22:31:06 ID:HmZ7Nulw
投下開始します。
規制がかかった場合一時投下スレに投下しますのでどなたか代理をお願いいたします。

57 :三年寝太郎 ◆yxYaCUyrzc :2010/10/05(火) 22:33:01 ID:HmZ7Nulw
花京院典明とマウンテンティムは、第三回定時放送を挟みつつお互いの持っている情報を交換し合った。


―――と、これだけ聞くと、『なんだ。何も行動していないじゃあないか』と思う読者の方も多いだろう。
しかしこれは大きな誤りである。
情報を交換するにはそれなりの時間と体力及び精神力、そして何よりも信頼関係が必要である。
知り合い同士でさえ、この会場に呼ばれた時間軸の違いや行動経路等々によって疑心暗鬼を生みだすバトル・ロワイアル。
それを理解したうえで行動しようとするならば目の前に現れた人物はまず疑う、というのが鉄則である。
もちろん、主催者に対抗しようと同盟を組む場合も同様。裏切り者が紛れ込むといった問題だけでなく、どう言う手段で主催者を出し抜くかという点でさえ、議論一つでチームが解散という可能性もゼロではない。
まして花京院から見れば目の前の男に気を失っている間の無防備な状態を晒していた事になる。それでいて己が無事であることが何を意味するのか。それを知らねば手放しで安心できる事はない。当然と言えば当然である。

だがそれでも、それでもなお、花京院、そしてマウンテン・ティムはお互いの事を信頼し、情報を提供し合ったのだ。
これは二人がそれぞれ行動を共にした人間との信頼関係のもつれ、そんな馬鹿な真似を二度と繰り返すまいと誓った事が大きな要因と言える。もちろんこの事も包み隠さず話すつもりだろう。


互いに自己紹介をした後に改めて書き置きに目を通す。
情報は三つ。脱出の可能性、強大な敵の存在、そしてこれを書いたのがディアボロという男である、という事。
花京院は先ほどまで自分が対峙していた人間がディアボロであるという事は知る由もなく、ティムも顔は見ていない。
となれば名前しか分からぬ男の扱いよりも書き置きの情報を含む互いの情報交換を優先すべきである。

自分がここに呼ばれる前、そしてここに来てからの仲間、逆に敵だと断定した人物の紹介。
ここでも花京院の口から“ピンクの髪で時を操る男”としてディアボロの話題が上がる。
今、彼の頭の中にはDIOに関係する男と自分を気絶させた存在、そしてディアボロの三者が存在しており、それぞれがどういった人物なのかという事で少々混乱している。
決して熱くはならないが少々焦りを見せる声色で話す花京院をティムは手で制す。第三回の定時放送の時間だった。

58 :三年寝太郎 ◆yxYaCUyrzc :2010/10/05(火) 22:35:30 ID:HmZ7Nulw
天から?地中から?どこからともなく聞こえる荒木の声。死亡者の名に目を伏せ、しかし情報は一言たりとも聞き逃すことのないようにと耳を澄ます。
ティッツァーノ、ジョセフの死には驚きを隠せない。だが彼らが望んでいるのは自分の死に驚いてもらう事でも悲しんでもらう事でもなくその遺志を継いでもらう事。
それを十分に理解している二人は放送の後にたっぷり五分ほどの黙祷を捧ぐ。その眼が開けられた時、二人の瞳は濁る事無く目の前の相手に向けられていた。
放送を聞いて考える事はもう一つ、新たな参加者について。二人とも知らない名である。どんな人間がどこに出現したのか、これが分からない以上火急の要件では無いと判断。十分に警戒しつつ保留と決定された。

ここまでのやり取りが終われば、改めて今まで己がどうやってこの会場で過ごしてきたか、これから何をしたいのかを語り合う。
ティムが伝えた言葉、それが書き置きの内容と一致することから情報は十分に動き始めたと言って構わないだろう。
そして新たに得た首輪の解除の可能性というメッセージ、持っている支給品その他の道具、互いのスタンド能力の相性。
エトセトラ、エトセトラ。


全ての情報が共有されたなら次に議論するのは当然、今後の行動方針である。
花京院はすぐにでも友のもとへ行き、過ちを正したいと主張。
それと同時にナチス研究所へ向かう事も提案した。

しかし、ティムはこれに反対。理由は単純――それはあまりに無謀である、ただそれだけ。
友人達は、放送による死亡者情報を鵜呑みにするなら(これを疑う理由は最早ないが)いまだ健在である。しかし彼らが現在どこにいるか、そのアテがない。
研究所へ向かうのもおそらくは“仲間とともに”行くことを前提としているのだろうから、それが見つからなければ話題に挙げるまでもない。
もちろん反対する大きな要因は花京院自身の心身の負傷のせいもある。これがばっちり健康ならば気をつけろの一言で送りだしていたかもしれない。だがIFを語るのはあまりにも無意味。
ティムがアナスイとの約束がある事も先の情報交換の際に当然ながら説明してある。現状でチームを分けるには余りにもリスクが多すぎる。
そして、仮に今研究所についたところで自分たちには何が出来るのか?というティムのダメ押しで花京院は黙り込んだ。
自分が行動しても間に合わなかった自責の念と、行動しなければ後悔するだろうという彼自身の正義をティムが理解していない訳ではない。
むしろ良く理解していた。彼女を守ろうと命をかけた過去の自分を見ているようだった。仲間のためなら命さえ惜しくないという光り輝く精神である。
だが、それゆえに間違った行動は起こしてほしくない。今いる世界は行動を誤れば己だけでなく、助けようとした――あるいは助ける事に成功した仲間の命さえも落としかねないのだから。

逆にティムが提案したのは自分が出会った怪物の撃退。
しかし――花京院の反論を待つ前に自分からこれを却下する。
仲間探しすら不可能な自分たちが戦闘を出来る訳がないし、花京院の案を否定しながら自分の意見を通すほど我儘なティムではない。
いずれ必ずヤツを倒してみせる、という強い決意を二人の心に宿したところで話題が尽きた。


その後は暫く沈黙。ただし険悪な雰囲気ではない。
動く事が出来ないならば、しかるべき時にちゃんと行動を起こせるようにしなければ、と花京院が休息を提案したのだ。
さっきまで気絶していた僕が言えた事ではありませんが、と申し訳なさそうに付け加えて。
これはティムも反対する理由がない。むしろ提案されずともそうするつもりだったと言って良いだろう。
両者とも疲労及び負傷がある現状、完治とはならずともそれをどうにかしない事には互いの提案を実行に移す事は不可能なのだから。
二人きりでは考察も主観的なものになってしまい、大した意味を持たないであろう事も重々承知している。
ゆえに彼等は“あえて動かない”のではなく“休まざるを得ない”という状況であり、さらに言うならば“選択肢は休む以外には無かった”のだ。

いつでも行動を起こせるように準備をしつつ、交代で見張りをすることを取り決め、まずはティムが仮眠に入る。
花京院は自分が、皆が後悔しないための行動方針はどのようなものかを――無論周囲に気を配る事を忘れずに――考え始めた。





そして、おそらくこの状況を見た読者の方は、次にこういうセリフを言うだろう。
―――『なんだ。何も行動していないじゃあないか』と。

59 :三年寝太郎 ◆yxYaCUyrzc :2010/10/05(火) 22:40:30 ID:HmZ7Nulw
【F-5 特別懲罰房内/1日目 夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(中程度まで回復)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、身体ダメージ(ほぼ回復)
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!
1.特別懲罰房内で休息を取る。まずは見張り
2.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
3.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?(そこで自分に何が出来る?という不安)
4.甘さを捨てるべきなのか……?
5.巻き込まれた参加者の保護
6.荒木の能力を推測する
[備考]
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。


【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:睡眠(仮眠)中
    左肩・腹部裂傷痕は完治。左足に切り傷(ほぼ完治)、服に血の染み。右足が裸足。ずぶ濡れ状態は回復
    肋骨骨折(行動への支障は不明)、右肩切断(スタンドにより縫合)、体力消耗(中程度まで回復)
    貧血(目眩はしない程度まで回復したが血液そのものが不足しているため行動に支障が出る可能性あり)
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)、アナスイの右足(膝から下)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3。把握済)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
1.仮眠をとりしかるべき時のために体力回復
2.アナスイを待つために花京院とここで待機
3.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
[備考]
※第二回放送の内容はティッツァーノから聞きました。
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。
※花京院と情報を交換しました。お互いの支給品およびラング・ラングラーの支給品を把握しました。

60 : ◆yxYaCUyrzc :2010/10/05(火) 22:42:58 ID:HmZ7Nulw
以上で投下終了です。
動かない人間の繋ぎはなかなか長く書けません……勘弁してやってください。
指摘された死者及び書き置きに関する二人の考え方、ティムの状態についてを多少追加及び変更しました。細かいところを『エトセトラ』でズルしようと思った俺がアホだったorz
タイトルは一時投下スレ971氏の意見を参考に『三年寝太郎』でいきます。ご意見ありがとうございました。
個人的にはラングラーの支給品を書かなかった事を少々気にしていますが主催突破フラグも外れアイテムもなかなか浮かばなかったのでカットしました。
このこと以外にも矛盾や気になる点、誤字脱字その他ありましたらご指摘をお願いします。
別の話になりますが、時間があったらこの作品をwikiに掲載する際に(もちろん通ればの話ですが)今まで書いてきた作品の誤字や表現方法等の総点検をしたいと思ってます。

なかなか皆さんの期待にこたえられたとは言えませんが今後もロワ活性化のために書いていきたいと思います。それでは。

61 :創る名無しに見る名無し:2010/10/11(月) 09:01:11 ID:jPK6InYy
>>60
おつおつ
二人とも正義感が強いから、はらはらせずに見ていられるな
これからどう動くか楽しみだ

62 : ◆yxYaCUyrzc :2010/10/12(火) 12:41:52 ID:7tGoy/AQ
三年寝太郎をwikiに追加しました。
一時投下スレ974氏には申し訳ありませんが、一時投下の際に三年寝太郎の案をいただいていましたので、今回はこちらでいかせていただきます。

同時に、60で宣言してあった通り他の自作SSを多少編集しました。
改行の位置や語尾の調整だけですので設定等々はいじっていませんのでご安心を。

何かご指摘ありましたらお願いいたします

63 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 10:15:18 ID:aM3l+Y1y
なんだ。何も行動していないじゃあないか  ……ハッ!?

この二人には頑張って欲しいなー

64 :創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 00:34:04 ID:G8ZCxTCF
test

65 :創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 14:18:39 ID:r/jx1ZaI
予約来たあああああああああああ

66 :創る名無しに見る名無し:2010/10/26(火) 19:25:08 ID:7heVfIBT
予約がたくさん……!本気でうれしい!ありがとう!

67 : ◆33DEIZ1cds :2010/10/26(火) 23:51:34 ID:7heVfIBT
遅くなって申し訳ありません。
リゾット・ネエロ、ホルマジオ、グェス、音石明、ブローノ・ブチャラティ、ジョルノ・ジョバァーナ投下します。


68 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/26(火) 23:54:11 ID:7heVfIBT

 意識は明滅する淡いネオン。

 瞼は重く、身じろぎをすれば頬骨の上に銀色の髪がかかる。
 目の下のうすい皮膚をその刺激に震わせ、リゾット・ネエロは床に伏している自分を漠然と認識した。
 
 ともすれば掻き消えそうな意識の中、閉じた上下の瞼を強引に引き剥がし。
 鈍痛が消えない頭を冷えたリノリウムの床から起こすと、普段決して脱がない帽子が滑り落ちる。
 彼は額に這わせた片手を髪の中に突き入れ、地肌に爪を立てて呻き声を上げた。

 辺りは静かだった。
 日は暮れて久しいらしく、室内を満たしているのは湿り気を帯びた藍色だ。
 時刻は夕方と夜の狭間だろうか。

「あっ。えっと……だ、大丈夫か?」

 暗闇に目が慣れるよりも早く、少し離れた場所から女の声が聞こえる。
 一瞬身構えるが、かけられた言葉と気遣わしげな声色は、相手を今のところ敵では無いと判断するのに十分だった。
 衣擦れの音がして、女が自分に近寄るために体を動かしたのだとわかる。
 無言でうつむく彼の心情を図りかねているのか、女は顔を覗き込んできた。
 リゾットが目元に当てた指の隙間から見たのは、下まぶたに点状の墨を彫った特徴的な顔。

「あのさ、えーと……あ!あたしの名前はグェスよ。ホルマジオから伝言があるんだ。あー……『ブチャラティチームをつぶす。ぺッシが死んだ。目が覚めたら来てほしい』だってよ」
 
 リゾットは記憶を手繰る。
 まずは目の前の女――グェスが信頼に足る人物か見極めるべく。
 鈍る思考を奮い起こし、吟味する。
 
 驚きと怒りに目を見開き、自分に駆け寄るホルマジオ。
 首輪の動力源を伝えようと腐心する自分。
 薄くなる意識の中、それが完全に消え去る寸前。ホルマジオの背後のドアから駆け込んで来た女。
 その女の顔にも、同じタトゥーが施されていた。
 
 ほんの一秒にも満たない間だったが、リゾットの観察眼は常に獣のそれ。
 ホルマジオの『背後』から駆け寄ったところを考えても、彼が信頼した人間なのだろう。
 そしてこのグェスの挙動……慌てふためいた様子、こめかみを伝う汗、落着きの無さ、すべて演技では無い。

「あ!あ!疑うなよ?あたしはあんたに危害を加えるつもりは無ぇし、証明しろって言われても困るけど、あー……つまりだな……」

 小心そうな女だと思った。
 あたふたと手を動かし、必死に訴えてくる。
 リゾットは手を額から離し、そばに落ちた帽子を拾い上げると被り直した。
 初めて女の目を見ると、話の先を促している意図に気付いたらしい。いくらか控えめな手振りで、拙く説明を続ける。
 
「伝言は、別れ際にあいつが『そいつが目ぇ覚ましたら伝えろ!』って怒鳴ったから……あたしとあいつはあんたに会うために当てずっぽうでここに来て、と思ったら人が死んでて、
やったのかやってないのかはよくわかんないけど、ホルマジオがブチャラティとかいう犯人っぽいやつらに食って掛かって、なんかヤバそうで」
 
 あたしはあんたをここまで運んだんだ、と消え入るように言い終わる。
 つかの間の沈黙の間、女は不安そうに目をあちこちへと動かし、忙しなく姿勢を変える。
 
 見回せば、今いるのは乱雑な置き方をされた計器やそれらをつなぐコード類で満たされた、何かの実験室のようだった。
 役に立ちそうな薬品や器具があるかもしれないが、荒木の手が加わっているかもしれないことを考えると迂闊には使えない。
 
 ここまで考え、ようやく整いだした思考。
 ホルマジオからの伝言、その内容。
 ――今、何と言った。
 
 『ペッシが死んだ』

 ――……

69 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/26(火) 23:56:32 ID:7heVfIBT

 別れ際に見た、彼の丸めた背中の残像が見える。
 
 途端に、臓腑が熱くうずいてたまらなくなった。
 黒い目を一瞬見開き、眉間に皺を寄せる。
 その様子を見て何を思っているのか、驚愕した表情でグェスはじりじりと後ずさった。
 
 腹の内で爆発した感情は、どこへ向うでもなくリゾットを苛む。
 この高ぶりを今までどれほどこらえてきたのだろうと、考えるのもむなしい。

 本懐を遂げさせてやりたかった。
 
 栄光を掴むのならばチームの全員でと思っていた。
 そう、あの『2人』の死に対する復讐を。
 そして金と栄誉によってのみ、自分たちは報われるのだ。
 我々の力を、ボスに思い知らせなくてはならないのだ。
 2年かけて、やっとボスの娘の情報を手に入れた。
 ここまで来るのにどれほどの辛酸をなめたか。
 
 死ぬのは問題ではない、全員がそう理解していたとリゾットはわかっている。

 これは悲しみではない。ただ――

「そうか」 

 返答し、思考を切る。立ち上がる。
 表情は鉄面皮を貫きたい。それがあいつらにとっての『リーダー』だと、理解している。
 
 どういう状況で、誰によってペッシは死に至ったのか。わからないことが多すぎる。
 そう、何もかも、わからないことが多すぎる。
 首輪の動力源が分かったところで、この様はどうだ。

 ――俺たちは、終わりか?

 疲労を感じていた。久しく感じたことのない種類の疲労だった。
 チームとしての機能を、完全に失った。
 全滅と引き換えにボスを殺した後で、何を得られるのだろう。いつも目を逸らして来た懸念が、再び頭をもたげる。
 
 しかし真におぞましいのは、手足に充満した疲労感をも凌駕する激情。
 憎悪すら情熱の糧とし、どこへ向かうのか。リゾットは答えが欲しいと思う。

「……ホルマジオはどこにいる」

 リゾットの表情が戻ったことに、グェスは胸をなでおろしため息をついていた。
 立ち上がったリゾットを追うように腰を上げ、ショートパンツについたほこりを払う。

「こ、この部屋の下だよ。地下は危ねえからさ、死体とかあるし……二階まで運んだのよ」

 グェスは階下を示す。
 危険だから、というのはわかる。だが、どうやって女の腕力で自分をここまで運んだのか訝しい。
 リゾットは腕を組み、三たび黙り込んだ。
 しかし考えるまでもなく、思い当たる要素は一つ。
 問題は、相手が自ら申告してくるか否か。

70 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/26(火) 23:58:47 ID:7heVfIBT
「ああ……スタンドだぜ。能力は何の因果か、ホルマジオとほとんど同じ……って言やあ大体わかる?」 

 グェスは、なぜ相手がまた口をつぐんだのか一瞬わかりかねた様子だったが、すぐさまその意図を察していた。
 リゾットは頷いた。今のところ、この女を疑う理由はない。
 もたらされた情報は正しいものなのだろう。
 
「では、下の状況を知る限り教えろ」 

「あー、ブチャラティっていうやつと、黒い服にテントウムシのブローチを付けた金髪のガキがいる。あとロン毛の、チンピラっぽいやつは窓から出ていくのを見た」

「日本人の少女がいたはずだが」

「さあ……見てないな」

 音石と由花子は逃げたらしい。
 さながら波風の激しい海域から滑り出る船のように、命からがら立ち去ったのだろう。
 情報を持って行かれたが、彼らに対して失ったものはさほど多くない。
 思考を次へと展開させる。
 
 ポルポ配下のブチャラティとその部下の新入り。
 おそらく脱出を目指し、機材と情報目当てにここへ来たのだ。
 奴らがペッシを仕留めたのか。
 少なくともホルマジオはそう判断しているようだ。
 
 ボスの娘を護衛するという任務を与えられながらも、組織を裏切ったやつら。
 同じ事をしていながら、決して交わらない自分たちの理念。
 
 まとまらない思考を千切るように踵を返し、背後のドアへと向かう。
 グェスの慌てた足音が後を追ってくる。
 歩み出た廊下に漂う、うつろな濃紺はすでに夜の香りを含んで。
 
 足音を全く立てずに進みながら、リゾットはホル・ホースとサウンドマンとの会話を思い出していた。

『いいや、前だ。活路はいつだって、前に見出すのよ』

 ――活路を得た果てに何があるのか、お前は知っていたのか。

『その者達に対するお前の執着、まるで尖り過ぎた針のようだ。折れるまでそのままでいるつもりか?』

 ――暗殺者である我々に、他に何ができるという。
 


71 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:06:25 ID:d10eOpim
※   ※   ※


「その『気絶している男』……今なんと言った?首輪の動力と言わなかったか!?」
 
「話を逸らしてんじゃあねぇぇえーッ!グェス!どっかにリーダーを運べ!」

「お、おうッ」

「んで、そいつが目ぇ覚ましたら伝えろ!」

ホルマジオは力無く倒れ伏すリゾットの体をグェスへと渡す。
そして敵二人を睨みつけながら、メッセージを口走った。
小さくなったリゾットを人形の様に抱きかかえ、グーグー・ドールズを肩に乗せたグェスは出口へと向かいつつ頷く。

「わかったよ!け、けど」

「無駄口は後だ!しっかりやれよォ、リトル・フィートッ!」

 言いよどむグェスを制し、ホルマジオはがなる。
 
 同時に長く尖らせた一本の針がブチャラティの鼻先をかすめた。
 回避したタイミングの際どさ、その危機感は流れる冷や汗となって彼の額ににじむ。
 後ろにのけぞるように避けた体の流れをそのままに身を翻し、地面に片手をついて態勢を低くとった。
 『スティッキィ・フィンガーズ』を発現、応戦するため間合いを読もうと試みるが。
 
 男は、視線を投げかけた時にはすでに消えていた。
 
「くっ」

 後ろに控えていたはずのジョルノが小さく声をあげる。
 振り向けば、彼の左のくるぶしは鋭く横真っ二つに切られていた。
 一瞬の間をおいて血液が滴り、破れた学生服へと染み込んでいく。

「そして次はてめぇだ」

 どこからともなくそう聞こえた瞬間、ブチャラティは手をついていた床板をめくり上げた。
 軌を一にして、そこに走る亀裂。左右と上辺にジッパーがついた床板を盾に、初撃は回避できた。

 小さく舌打ちが聞こえる。
 それでも、猛攻はとどまるところを知らない。
 壁際に追い詰めようとしているのか。正面から押すように何度も、長い爪が目前の空を切る。
 スタンドの素早さはスティッキィ・フィンガーズが上。
 しかしブチャラティは攻勢に出ない。
 現状が把握できないから。

 彼は思考する。
 ジョルノから聞いていた容貌と、先ほどの『リーダー』と呼ばれていた男が口走った名から、彼が暗殺チームの『ホルマジオ』であることはわかっている。
 その彼が『リーダー』と呼んだ人間――そこで倒れ伏していた黒ずくめの男が、暗殺チームのリーダーか。
 加えて、相手は自分とジョルノが『リーダー』に危害を加えたと勘違いしている。
 ペッシに関しても『次は』という表現から考えるに、自分たちはいわれのない誤解を受けているようだ。


72 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:07:48 ID:d10eOpim

 つい今しがたこの建物の地下で無残な死を遂げ、しかし自分たちにエシディシについての情報を確かに伝えてくれたペッシ。 
 彼のためにも誤解を解きたい。しかし。
  
(さすがは『暗殺者』……)
 
 付け入る隙も、説得の機会も与えずに殺意をぶつけてくる。

 ジョルノに視線を向ける。何か言いたそうにしている。
 しかし、この状態では言葉を交わせない。
 彼もそれをわかっているのだろう、足から血を流しながらこちらへ駆け寄る。

 だが右脇から突如ホルマジオが現れ、腹に蹴りを食らわせた。
 転がったジョルノを二度三度と踏みつけ、蹴り尽くす。

「てめえは後でゆっくり踏み潰してやるから待ってろ。すでに俺の能力は発動してるからよ」

 壁際に吹き飛んだジョルノを見たブチャラティは、彼の体のサイズに違和感を抱く。

(『小さい』……?)

 こめかみを汗が伝う。

 スタンドは『小さくする能力』。ただし徐々に効果が現れるようだ。
 突然消えたり現れたりするのは自分だけ素早くサイズを調節できるからだろう。
 撹乱しながら攻撃の機会を伺うのには便利な能力だ。

 状況は悪い。
 思考が途切れる事なく頭の中を飛び交う。
 誤解を解いて説得にかかるか、止むを得ないなら、殺害する事も視野に入れるべきかもしれない。
 焦りは確実にブチャラティの思考を蝕んでいる。
 痛みに体を震わせながら起き上がったジョルノに、機を待てとアイコンタクトを取るのが精いっぱいだった。
 
 一瞬でも気を逸らせば、やられる。
 
「どこだ……ッ?!」
 
 突くような一撃をいなした後、スタンドヴィジョンの脇をすり抜けて背後に立ったと思った。しかし、敵はまたしても消えている。 
 舌打ちをしつつ、ジョルノに話しかけようと口を開くが。

「よそ見してていいのか?」
 
 耳元から薄笑いを含んだ声が聞こえ。
 
 ブチャラティはすぐに身を引き距離を取ろうと後ずさったが、遅かった。
 リトルフィートの爪が彼の右腕を貫通する。
 その衝撃と痛みからか、腕を貫かれたまま床へ膝をつく。

 ホルマジオは勝ち誇った。
 この場を終わらせるべく、彼はブチャラティの背後に現れた。
 手にはメス。
 リゾットに駆け寄った時、コートの中に仕込まれていた物を一本拝借してきたもの。

 座り込んで荒い呼吸を繰り返すブチャラティの首筋にそれを当て。
 復讐の過程を楽しむように、力を込めながら笑う。
 幕の引き時がやって来たと笑う。

「ちょろいな」


73 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:11:34 ID:d10eOpim

 ――しかし、ブチャラティも笑った。

「そうか?で、その手に抱いてるのはなんだ?」

 今更何をと、彼はブチャラティの目線の先、自分の手元を見た――


 彼は、メスを持っていたはずの手に小さな子猫を掴んでいた。


 驚愕と沈黙。
 その様をよそに、手の中で居心地が悪そうに身をよじる猫。
 緩やかな動作で手から抜け出すと、優雅に床に着地した。

「……あなたに蹴られた時、ポケットのメスに触っておきました。まあ、スリの経験がある事は否定しません」

 元のサイズからずいぶん縮んでいても、不遜な態度はそのままに。
 ジョルノが服のほこりを払いながら立ち上がっていた。
 蹴られ続けるジョルノをブチャラティがただ傍観していたのは、手の動きからその目的に気づいたから。

「ついでに、靴を植物にしておきました。そろそろ根が張り終る頃です」

 促されるままに見れば、うごめく蔦状の草花がタイルの隙間を縫って伸び、ホルマジオの足を固定していた。
 全てを理解し、額に青筋を浮かべながらホルマジオは怒鳴る。

「コソ泥の真似して勝ち誇ってんじゃねえ……まだこいつの腕にはリトルフィートの爪が刺さってんだぜ?このまま小さくなる前に腕ごと抉り取り、拷問してやるッ!」

「いや、そんなことは出来ない」

 ブチャラティも立ち上がる。
 リトルフィートに貫かれたはずの腕を見れば、そこには。

「『スティッキー・フィンガーズ』。お前の攻撃は完成していない。ジッパーの間を通り抜けただけだ」

 腕に穿たれたジッパーからリトルフィートの爪を引き抜き、悠然とした態度で佇む。

「さあ……覚悟してもらおう」

 まずホルマジオの動きを封じ、説得にかかるつもりだ。
 
 しかし、暗殺者である彼は完全に死ぬつもりでいた。
 舌でもなんでも噛み切って、せめてリゾットに迷惑をかけないように。

「へっ……ちくしょう」

 スティッキー・フィンガーズとゴールド・エクスペリエンスが、ホルマジオに迫る。
 彼が双眸を閉じた時。

 ブチャラティとジョルノに向かって無数のメスが飛来した。
 同時に響く、激情を含んだ静かなリゾットの声。

「死ね」

74 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:13:48 ID:d10eOpim

 それはあまりにも重い呟き。
 同時に、更に密度の高いメスの弾幕がブチャラティたちを襲う。

 虚を突かれた彼等に、逃げる事はかなわない。
 飛び交う凶器に二人は肩や頬を切り付けられつつも、致命傷を負う事はなく。
 スタンドで弾き、あるいは掴んでメスの攻撃を受け切った。

 にも関わらず。
 ジョルノとブチャラティは無言のままに崩れ落ちる。
 二人が床へと身を投げ出した音に混じって、軽く高い金属音が響いた。

 静まり返った室内で、リゾットは闇から溶け出しその姿を現す。

 寝転がって呻吟する彼等の口からは、赤黒く彩られた剃刀がばら撒かれ。
 自らが吐き出した刃物の血貯まりに身を沈めた彼等を、リゾットが無表情で見下ろす。

 ――後ろ向きでいるから、俺は前を恐れずにいられた。

「俺たちとお前たちで一体何が違った?思想か?職務か?……運命か?」

 ――折れる前に刺す。

「これで決着としよう」

 ――それが暗殺者だ。

 リゾットは笑う。
 2本のメスが、失血にあえぐ二人の頭部へ向けてまっすぐに飛んだ。

75 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:19:25 ID:d10eOpim
※   ※   ※


 ペッシはダイイングメッセージを残していた。

『怪物を倒せ』

 筆談に用いていたペンと紙で書かれた、血の混じったインク。
 意識も絶え絶えの中、震えた腕で書かれたのだろう、ひどく判読しづらい文字だった。
 その紙をリゾットに突き付けられ、ホルマジオは頭を掻く。

 ペッシはプロシュートのように生きられなくても、彼の言葉を忠実に守り、食らいついたら離さない執念を貫いた。

「わざわざこんなことを書き残す以上、犯人はブチャラティ達ではない」

 自分を殺した存在、リゾット達の知らない『怪物』という存在を知らせるために、ペッシが書き残したのだ。
  
 リゾットはグェスとともにいた部屋を出るとすぐに、ホルマジオ達のいる一階を通過し地下へと向かった。
 そこに存在したのは伝言の通り事切れたペッシと、血と臓物のにおい。
 遺言となったメモは、ペッシの真横に置き去りにされたデイバックの下から発見された。
 ペッシが隠したのだろう、リゾットがここに来て荷物を調べることを予想して。

 全ての状況を把握するために取った行動だった。

 ホルマジオの判断が信頼に値しなかったわけではない。
 しかし、彼が逆上していたであろうことは容易に想像できた。
 グェスに聞けば、地下鉄からやってきた彼女たちは、まずペッシの死体を目の当たりにし、驚いて階上に駆け込んだという。

「どうぞ、動かしてみてください。傷は塞がったはずです」

 リゾットが左肩に負った傷口を治療していたのは、ジョルノだった。
 ブチャラティは少し離れたところに座り込み、リゾットたちのメモの内容を自分のメモに写している。
 グェスも全員のメモの書き写しを手伝っていた。

 すぐ傍らは先程まで二人が倒れこんでいた場所。生々しい血だまりが残っている。
 彼らの頭部があったところから少し位置をずらして、メスがそれぞれ刺さっていた。
 
 リゾットは、彼らを殺さなかったのだ。
 
 あの時。
 床にメスが突き刺さり、何が起こったのかわからず絶句するジョルノとブチャラティを見下ろすリゾット。
  
「今日、俺はお前たちを殺せた。しかし殺さなかった。この意味が分かるか」

「……いいえ」

 彼と目を合わせ、放心したようにつぶやいたジョルノは息が上手くできなかった。
 驚きのためや、命が助かったからという安堵感からなどではない。
 
 宵闇の中で光る彼の瞳が、あまりにも峻烈だったから。
 感情を殺した声とは裏腹に、その眼は何か――たぎるような感情を、渦巻かせていたから。
 
 リゾットは抗議のために駆け寄ってきたホルマジオを片手で制し、言う。

76 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:27:00 ID:d10eOpim
 
「折れる前に刺した。これで俺は、『暗殺者』のまま、『活路を前に見出せる』。このバトルロワイアルが終わるまで」

 殺せたという事実だけを、手に入れた。
 高ぶった感情をごまかすための一瞬だけのガス抜きにすぎないと、笑われるだろう。
 リゾット個人は本気で死ねとつぶやき、本気で攻撃を仕掛けた。
 しかし、チームのリーダーとして。
 
「俺たちはお前たちとは未だ戦火を交えない。だが覚えておくがいい。全てが終われば……」

 ゲームを脱出すること。
 ボスを倒すこと。
 ブチャラティチームに対する因縁を、今はここで捨て去ること。
 チームの人間には罵られるだろうか。しかし、リゾットの心はこれで結構清らかだった。

「俺たちは将来、お前たちを仕留めるだろう。その時まで恐怖するがいい、安堵するがいい。俺たちが荒木に向けて仕組む『暗殺』の手腕を見て。」

 怪物と荒木を始末し、ネアポリスへ戻る。
 そこでもう一度、パッショーネのアサシンとしてボスに反逆し、ブチャラティたちを仕留めよう。
 
 付いてくるかと、後ろに佇むホルマジオに低く問う。
 背中からは、しょうがねぇなと気怠そうな答え。しかし声が笑っていた。

※   ※   ※

 これが、事の顛末。
 そして徒党を組む以上、情報の共有を行うのが最も重要であると場の意見がまとめられた。

 会話は筆談を交え、主にリゾットとブチャラティが行う。
 ジョルノは全員の傷を治療しつつ、会話を聞いていた。
 グェスは胡坐をかいて座り込み、メモを取りながら聞きに徹している。
 抜かりなく、細部まで行われる情報交換。

 同時に、四人はホルマジオを待っていた。
 彼はジョルノに頼まれ、ジョージ・ジョースターを迎えに行っている。
 襲撃を受けにくいその能力がまさに適任だったのだ。

 しばらくたったころ、予め決めておいた特殊なノック音がし、四人のいる部屋のドアが開かれたが。
 ジョルノは、一人で入ってきたホルマジオを見て目を見開く。
 いやな汗が、彼の首筋を伝う。
 
 それを見たホルマジオは少し困った顔をし、言った。

「ジョージとかいうおっさん、いなかったぜ」


77 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:28:29 ID:d10eOpim

【F-2 ナチス研究所 研究室/1日目 夜】

【新生・暗殺護衛チーム(現在メンバー募集中)】

【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:リッシュの死に後悔と自責、アバッキオとミスタの死を悼む気持ち、リゾットの覚悟に敬意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪、ワンチェンの首輪、包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.何……だと……
1.ジョージを探す。
2.いずれジョナサンを倒す。(殺害か、無力化かは後の書き手さんにお任せします)
3.フーゴと合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
6.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービー以外にもいる可能性があるかもしれない。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

【以下はリゾットのメモの写し】

[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

78 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 00:31:53 ID:d10eOpim
【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:背中にダメージ(小)、精神疲労(中)、トリッシュの死に対し自責の念 、リゾットの覚悟に敬意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3、ジョージの服の一部
[思考・状況]
0.何……だと……
1.ジョージを探す。
2.『DIO』は吐き気を催す邪悪なのでは?今のディオをその事で責めるのは間違いだとは思うが…
3.トリッシュ……アバッキオ…ミスタ…!
4.ディオが自分の父親、か…→未来のDIOには不信感。
5.エシディシと吉良と山岸由花子をかなり警戒
[備考]
※ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
※ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
 (他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
※ラバーソウルの記憶DISCを見、全ての情報を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※ディオがスタンド使いになった事を知りました(能力は分かっていません)
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。



【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷
[装備]:フーゴのフォーク、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.殺し屋として、前を向いて歩く
1.探しに行くのは構わないが、ナチス研究所を無人にする気はない
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる(バレた後はケースバイケース)。
3.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
4.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※盗聴の可能性に気が付いています。
※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式が【F-2 ナチス研究所】に放置。
※リゾットの情報把握
承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)


79 :創る名無しに見る名無し:2010/10/27(水) 00:53:46 ID:FoKCiu+a
支援

80 :創る名無しに見る名無し:2010/10/27(水) 00:57:09 ID:NEAJjAB/
sien

81 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 01:15:08 ID:d10eOpim
規制が解けたので再開。お手数おかけしました。



※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】

@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービー以外にもいる可能性があるかもしれない。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから


【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(中程度まで回復)、頬の腫れ(引いてきた
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】基本行動方針:ゲームに乗った? → 生きたい、生きていたい
0.いない?あらら……どうすんの?
1.なんでこの男はアタシの事を怒ってくれたんだろう……?
【備考】
※フーゴが花京院に話した話を一部始終を聞きました。
※ダービーズアイランドを見ましたが、そこに何かがあるとは思ってません。→ダービーズアイランドが遠巻きに見た島だとは分かっていません。
※悲しみによる錯乱が随分と落ち着き、今のところ『ゲームに乗る』と言う発想は消えています。が……今後どうなるかは不明です。
※ホルマジオの持っている情報(チームの存在、行動の目的など)を聞きました。


82 :暗殺者達は笑う ◆33DEIZ1cds :2010/10/27(水) 01:17:33 ID:d10eOpim

【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:カビに食われた傷(応急処置済)、精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を『ぶっ殺す』!
0:どーすんだ?
1:踊ってやるぜ、荒木。てめえの用意した舞台でな。だが最後は必ず俺らが勝つ。
2:リーダーが決めたんなら、ブチャラテイたちとの決着は荒木を殺した後でいい。ペッシのことも勘違いだったし。
3:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
4:ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
5:もしも仲間を攻撃するやつがいれば容赦はしない。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。
※チョコラータの能力をかなり細かい部分まで把握しました。
※グェスの持っている情報(ロワイアルに巻き込まれてから現在までの行動、首輪に関する情報など)を聞き出しました。


【F-2 ???/1日目 夜】

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊、スピットファイヤー(プロペラに欠損あり)、
    スピットファイヤーのコントローラ、バッテリー充電器
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
0.逃げてますが何か
1.ヤバいことが重なりすぎだ!
2.首輪解除なんて出来んのか? リゾットは失敗したし……
3.サンタナ怖いよサンタナ、でもエシディシはもっと怖い
4.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※音石の情報把握
 ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミュー(ここまでは能力も把握)、ミセス・ロビンスン(スタンド使いと勘違い)、ホルマジオ(容姿のみ)
※早人とジョセフとディアボロが駅を出た理由を知りません。
※盗聴の可能性に気がつきました
※サウンドマンとリゾットの情報交換はすべて聞きました。
※スピットファイヤーはプロペラの欠損により動作に安定感がありません。

※どこに向かっているかは次の書き手さんにお任せします。


以上です。
したらばにも書きましたが、誤字脱字矛盾など、ご指摘をお願いいたします。

そして続々と予約!お前ら最高だぜ!

83 :創る名無しに見る名無し:2010/10/27(水) 02:09:41 ID:KJIjKZ9N
うおおおおおおおおおおおおおお乙!乙!

暗殺チームと護衛チームのコラボ来たーー!
原作じゃ絶対に見れない組み合わせって意味では夢のタッグマッチですね
リーダーが冷静になってくれて本当によかった、メス飛ばした時点で絶対に終わったと思いましたから


ただ、このチームは磐石過ぎて逆に怖いw

84 :創る名無しに見る名無し:2010/10/28(木) 22:53:48 ID:Nsou+ZOe
乙です!!
実現しそうでしてこなかった最強チーム!
リゾットかっこえー

もう他のチームは考察しなくていんじゃねって勢いww

85 : ◆NBcrH.TZe9gD :2010/10/31(日) 23:25:28 ID:MNwzMc/T
花京院典明、空条徐倫、ナルシソ・アナスイ、ドナテロ・ヴェルサス、マウンテン・ティム
投下します。

86 : ◆NBcrH.TZe9gD :2010/10/31(日) 23:28:49 ID:MNwzMc/T
ん!? またトリで失敗したので、ちょっと他で試してきます
これで2回目…本当に申し訳ありません…
◆4eLeLFC2bQ

87 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:41:17 ID:MNwzMc/T

「やはり、俺の知る特別懲罰房か」

空条徐倫の眠り続ける民家に別れを告げ、ナルシソ・アナスイは特別懲罰房を訪れていた。
マウンテン・ティムと約束をしたということもあるが、
彼の目的は目下のところ右足の回収と、徐倫の安全の確保。
だが、徐倫のことをどこまで、どのように伝えるべきか
ここに至るまでの道のりで結論は出ていなかった。

「ティム、いるか!?」

懲罰房の入り口から声をかける。
ティムがいない可能性、敵が待ち伏せをしている可能性があるためだった。

「あぁ」

返事はすぐに帰ってきた。
壁に反射し、くぐもって聞こえたが、それはまぎれもなく友人の声。

ティムの無事にほっとしながらも、同時に彼がいなければ良かったのだが、と落胆している自分を意識する。
それでは右足の回収も出来ないが、彼に『後ろめたい』説明をせずにすむ。


――徐倫のためならば


とうの昔に決めた心がなぜ揺らぐ?
自分も、化け物に成り果てたF・Fとなんら変わりはないのに?

自嘲的な笑みを一瞬浮かべ、アナスイは特別懲罰房へと潜る。


   *  *  *  *  *   

88 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:42:42 ID:MNwzMc/T


あらわれた人物が見知った友人であることを認め、ティムは安堵の表情を浮かべる。
しかし彼の後ろに続く人物がいないことに気付き眉を顰めた。

『空条徐倫には会えなかったのか?』

口先まで出かかった言葉をかろうじて飲み込んだ。
アナスイがここを訪れるとき、その横には必ず徐倫がいるだろう、とティムは考えていた。
最悪の場合、その『徐倫』はすでに生命を終えた物体であるかもしれなかったが。
だがアナスイは一人でここへやってきた。
自分の片足を捨て、必ず彼女を見つけ出すと決意した男が、一人でここへやってきた。
もしや、徐倫は肉体も残らない悲惨な死を迎えたのでは……
アナスイの狂気を目の当たりにしていたティムにとってこの状況は想定外だった。

いや、足の回収だけが目的という可能性もある。スタンドを出し続けているのは堪えるからな。

そうして改めてアナスイを検分する。
アナスイは落ち着いているように見えた。
一人走り去って行ったときの焦燥は治まり、清々しくさっぱりしたようにさえ思える。
大穴の側で別れた時、彼は苦しいほどまっすぐな瞳でこちらを見つめていた。
その必死さに、ひとつの正義を見出して、自分は彼を見送ったのだ。
いま目の前にいる男は、あの時のアナスイとは違う。
自分の感覚がそう告げるが『なにが』違うのかすら明確に捕らえられず『どうして』など思いもよらない。

(なにかあったのか、アナスイ……)

「ティム、彼は?」

ティムの逡巡を遮るかのようにアナスイが問いかけた。
アナスイの視線はまっすぐに房の奥へと注がれている。
やってくる人物がアナスイのふりをした危険人物かもしれないと考え、彼には自分と距離をとり待機をしてもらっていた。



89 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:44:29 ID:MNwzMc/T
「彼は……
「花京院典明です
 ティムさんとは第三回放送の前にここで会いました」

紹介を待たずに花京院が自ら名乗る。
その視線は睨み付けているとまではいわないが、『見つめている』という表現にはそぐわない険の入ったものだった。

(まずいな……)

花京院が不信がるのもわからなくはない。彼は自分と同じような推理をしたのだろう。
アナスイがいかに徐倫を大切に思っているか、花京院に説明したのが裏目に出たといえる。
あの時は『解体癖のある殺人鬼』をいかに『信頼できる仲間』と思ってもらえるかが重要だった。
参加者が残り30人余りとなった状況で、あとから誤解を招くような嘘や、意図的な情報隠蔽は選択肢になく、
アナスイの解体癖、殺人罪、スタンド能力、知りうる限りは説明していた。
それに対し、彼も同じように自身や仲間についての情報を、確かな好意をもって説明してくれた。

だが、アナスイはたった一人でここへやってきた。
『大切な徐倫』には会えず?
それでもやたらと落ち着き払った様子で?
自分が戸惑うのだから、彼の警戒は当然だろう。

「花京院君、彼が俺の『仲間』のナルシソ・アナスイだ」

少し警戒を解いてもらえないかと期待して『仲間』と強調してみたが、あまり効果はなかったようだ。

――やれやれだな

マウンテン・ティムの口からそれとわからないほど小さなため息が漏れる。

今、徐倫についてアナスイに尋ねればおそらく地雷を踏むこととなる。
アナスイがどのような返答をするのか、想定ができないうえ、彼が疑わしい返答を返せば、花京院は不信を強くするだろう。
アナスイに対してだけではなく、せっかく得ることが出来た自分への信頼も失いかねない。
俺は、地雷を避けつつこれからの共同目的をまとめなければならないのか。

「ふたりとも、早速だがこれからのことを話し合わないか?」
「ティム、それに花京院
 急で悪いが、移動してから今後のことを話し合ってもかまわないだろうか?」

自分が切り出さなければこの場は永遠にまとまることはないだろうと思っていた矢先のアナスイの提案。
ティムにとっては意外だった。
『自分は構いませんよ』と花京院が視線で答える。

「あ、あぁ、構わないが……」

施設の厳重さ、双眼鏡の優位性、それらを勘案して特別懲罰房を拠点にと決めていただけに、
アナスイの提案は不可解なものに思えたが、『話をする前に』場所を変えたいというのだから議論のしようがない。

(焦り? あるいは?)

そこにアナスイの真意を見つけた気がしたが、その場で問いつめることはしない。
場所を変えて、落ち着いて話ができるのなら構わない。
アナスイの狂気が罪のない誰かに降り懸からなければそれでいい。それがベスト。

(この状態で戦闘にでもなればちょっと難儀だがな)

おそらく貧血のせいだろう、ぼうっとなりかける頭を振りつつ、マウンテン・ティムは出発の準備をはじめる。


   *  *  *  *  *

90 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:46:28 ID:MNwzMc/T


日本では一般的な民家の居間で、三人の男がテーブルを囲んでいた。
特別懲罰房から移動してきたナルシソ・アナスイ、マウンテン・ティム、花京院典明の三人だった。
三人の内の一人ナルシソ・アナスイにとって、この民家は『一般的』などではない。
彼が愛する女性、空条徐倫を閉じこめた特別な家屋だった。
『深遠なる目的の砦』……そう形容してもおかしくないほど特別な。
もちろん、彼に連れられ訪れた二人はそんなこと知る由もないが。

アナスイが『俺の話は最後にしてくれ』と願い出たために、先ほどからマウンテン・ティムはひとり話し続けていた。
『アナスイと別れてからの動向』『2メートルを超える残虐なモンスター』『ディアボロという人物』『第三回放送の内容』『花京院の持っていた情報』
第三回放送の内容について言及した際、ティッツァーノの死にも触れたが、
アナスイは『俺も放送で知った』と言ったきり黙りこみ、ティムは少し感傷的な思いに駆られる。
確かに悲しんでいる暇はない、それに心から信頼できる相手というわけではなかったがな。
それでも自分は彼の死を悼んだ。
彼の死だけでなく、こんな理不尽なゲームに参加させられて命を落とす羽目になったすべての参加者の死を……。

ティムの説明中、花京院は説明を補足するように言葉を挟んでいたが、
事実の確認に重きを置いているのか、個人的な希望、邪推になる部分は決して言い出さなかった。
自分の感情は隙を作るだけだといわんばかりの態度だったが、それはアナスイへの警戒感からだとティムは理解する。
そしてその警戒感は自分がいくらアナスイを弁護したところで払拭できないだろうことも。

花京院がそんな調子だったのでティムの説明は早々に終わり、アナスイの説明へ。

「あんたと別れてから俺は、北へと向かっていた
 コロッセオ、繁華街を訪れてみたが、碌な情報は得られなかった」

ポルナレフと出会ったことを話せば、そのときの状況を追求される可能性があったため黙っておく。
彼とはその後別れたという事実を語っても、彼と徐倫が組んでいるという嘘を語っても、
花京院はポルナレフとの合流を提案するだろう。
ひどい怪我を負っているティムひとりにこの場所を託していくのは不安だが、
ティムのことを信頼している花京院にも協力を頼めればこの民家は、徐倫は安全だ。
俺は心おきなく彼女の障害を排除してまわれる。
そのためにもポルナレフが徐倫を救ってくれたこと、彼が南西へ向かったことは話せない。

「結局徐倫の行き先はつかめず、適当に走り回るしかなかったんだが
 第三回の放送の後に、奇跡が起きた
 本当に、偶然でしかなかったんだが、俺は徐倫に逢うことができた」

二人が徐倫を伴わず特別懲罰房を訪れた俺を疑っていることは明白だ。
確かに徐倫と出会えるまで特別懲罰房を訪れる気はなかった。
俺はそれを言葉ではなく、行動でティムに説明しすぎている。
だとすれば『徐倫と出会えた』という事実だけは伝えなければならない。

91 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:47:39 ID:MNwzMc/T
「彼女は両親の死にもぶれることなく、このゲームを潰すため奔走していた
 ともに行動することを提案した俺に彼女は言った『大丈夫』と
 『このふざけたゲームをぶっ潰して脱出を目指すなら、分散して戦った方が効率がいい』と
 あの燃えるような瞳を見て、どうして俺が反対できる?」

これは、すべて嘘だ。
徐倫はポルナレフに抱えられ、死にかけていた。
そして目を覚ましたとき、あの美しいグリーンの瞳に、燃えるような星の輝きはなかった……。

「彼女とは、荒木との対峙まで互いの無事を祈って別れた」

遠い元の世界、水族館で垣間見た徐倫の瞳を思い出す。
ただ前を向く彼女の瞳が宿す、強さ、ひたむきさ、優しさ、その美しさ――すべてを光そのものであるかのように、自分は愛した。

「マーダーの掃討、首輪の解除、どれを優先させても良かった
 だから特別懲罰房へと向かった、あんたとの約束もあったしな」

徐倫について語れることはこれだけだ。

「それで、この民家にはなにが?」

ティムが保安官の面差しで先を促す。
疑われるのは仕方がない。
だがここを守ることだけは約束させなければならない。
その確約が得られなければ特別懲罰房へ出向いたことも、多少の嘘をついたことも、意味を失う。


――ここが……山場……


心臓の底の方が凍り付いていくように感じる。

「……今、明かすことはできない
 だが後々このゲームを打破する鍵になる場所だと俺は思っている
 だから説明を後回しにしてここに来た
 そして、二人にここを守ってもらいたいとも、俺は思っている」
「この『民家』を、か?」
「あぁ」
「彼女のためか?」
「あぁ、徐倫のためだ」
「彼女がそう望んだのか?」
「いや、これは俺の個人的な要望だ
 あんたにその怪我で動いてもらいたくないという気持ちもある」
「……お前はどうする」
「ナチス研究所へ向かおうかと思っている」
「……そうか」

それきり会話は途絶え、場は沈黙に支配される。

「……………」
「……………」
「……………」

重い沈黙を破ったのはティムの方だった。

「花京院君、少し、席を外してもらえるか?」


   *  *  *  *  *

92 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:48:56 ID:MNwzMc/T


「アナスイ、単刀直入にいう」

花京院に退室してもらったのは、アナスイに自ら問いつめるためだった。

花京院はそこいらの大人より誠実で、冷静であると思う。
だが自身も後悔させた若者らしい頑なさは、不和を生む可能性の方が高かった。
二人でアナスイを責めれば、正義と悪の対立構造になりかねない。
一方的な糾弾は、会話とはいえない。
だから二人きりになった今、核心に触れる。

「俺は、お前が嘘をついていると思う」

できればアナスイが語ったこと、すべてが本当であってほしいと思った。
だが、ほかのどんな怪しい説明に目を瞑っても、
徐倫が無事だったために別れた、というそれだけは、信じることができなかった。
あれほどまで徐倫のことを気にかけていたアナスイが、やっと再会できた彼女を黙って見送るだろうか。
この殺し合いの場で、どんな敵がいるか定かでないのに?
徐倫を守るべき対象と思ってきたからこそ、今までの行動があったはずだ。
それを曲げてしまうことは、アナスイという人間の根本を変えてしまうような気がしている。
だから、真意を知りたい。

まっすぐに見つめたその先、アナスイは仮面を被ったかのように無表情だった。
身じろぎすらせず、無表情のままこちらを見返している。

「俺が、あんたに嘘をついて何の得になる?
 あんたの信用を失った時、損をするのは俺なんだ」

確かに、とティムは思案する。
アナスイにとって仲間などどうでもよく、足の回収だけが目的だったなら、話は特別懲罰房で済んでいたはずだ。
移動に際して俺から足を受け取った時、走って逃げていれば俺も花京院も追えなかった。
そもそもダイバーダウンがある限りアナスイにとって足の回収は必須ではない。

そして、件の要望。これはアナスイにとって弱みにしかならない。
互いの信用がなければ、後を任すなどということは不可能。
協力など必要ないと思っていれば、提案してみせること自体が無意味。
俺や花京院をこのどう考えても一般的な民家に勾留させることが目的なら話は別だが。

「だいたい、『ここを守ってほしい』という要望
 あんな説明で了解を、信頼を得られると、本当に思っているのか?」
「今は明かせない
 それ以上の説明は、俺には不可能だ」

こう言われてしまえば、自分はここに残らざるをえない。
それを見越しての曖昧な表現なのか。

徐倫は無事だった。分散したほうが効率が良かった。この民家は特別な場所だった。他の説明が出来ないからそのように頼んだ。

それで筋は一応通る。
筋は通るが、『納得』は出来ない。


93 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:51:51 ID:MNwzMc/T

「アナスイ、俺はお前が徐倫と再会できるまで特別懲罰房を訪れないと思っていた」
「俺もそのつもりだった
 徐倫に会えたから、特別懲罰房に向かったと説明したはずだ」
「いいから聞いてくれ
 そして特別懲罰房を訪れるときは徐倫と一緒だろうと思っていた」

彼を突き動かすものは徐倫ただひとりへの愛情だという確信がティムにはある。
そこをはぐらかされたままで、この話し合いに結論を出すつもりはない。

「お前がどれだけ彼女のことを大切に思っているか、理解しているつもりだ
 だからこそ、彼女を放っておいてこの民家を守れというお前がわからない
 俺の怪我を理由にしてまで、この民家に執着するのは何故だ」
「………………」

感情的な言い方に辟易したのか、アナスイは黙っている。確かに論理ではなく、直感と憶測にすぎない。
けれど『納得』は全てに優先する。


――何故だ、何故だ……

  『徐倫のためだ』


ふと、アナスイの言葉が蘇る。
そうだ……、最初から答えは出ていた。


「ティム?」

アナスイが珍しく動揺混じりの声を発したのは、うつむいたティムが嗚咽をこらえているように見えたからだった。

「アナスイ、お前のダイバーダウンは物体や生物も潜行させることが出来るんだったな」

ティムは、自分が痛ましげなものをみる瞳をしているだろうな、と思いながらも言葉を紡ぐ。

「なぜ、いまさら……」

アナスイの掠れた声が、直感を肯定させた。
涙と、吐き気が同時にこみ上げてきたように感じる。

「お前は、この民家に、愛する女性を閉じこめている……違うか?」

「………………」

二人の視線が交錯する。


――わずか一瞬の、長い時間


しかし大穴の側で信念をぶつけ合ったときの凶暴な強さが、今のアナスイにはなかった。
喜んでいるようにも見える苦笑がアナスイの顔に浮かんだ。

94 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/10/31(日) 23:52:47 ID:MNwzMc/T

「まさか、そこまで推理されるなんてな」

カウボーイってのは皆そんななのか?
そういってアナスイはおどけてみせた。

「アナスイ、冗談はともかく理由を言ってくれ」

ティムの口調は相変わらず、法と正義に準ずる保安官のそれだったが、雰囲気はすでに穏やかなものに変わっている。

「先に教えてほしい、なぜ……、わかったのか」
「お前にとって彼女以上に大切なものなどないと考えただけだ
 あからさまな嘘をついたのも、俺の心配をしてくれたのも
 すべて彼女のためだというなら『納得』がいった
 まぁ、この民家に閉じこめたってところは確信がなかったがな」
「人の心配なんて、するもんじゃないな……」

不思議な感覚ではあったが、このときアナスイは確かに安堵していた。
手負いのティムと争わずに済んだこと、彼の信頼が自分の思っていた以上に大きかったこと。
徐倫に対する無償の愛を理解したときとはまた別の穏やかな感覚だった。
彼なら、真実を話しても、徐倫を守ってくれるだろうか。

「俺が、徐倫に再会できたとき、彼女は大怪我を負って気を失っていた……」


それから5分――
とても悲しい、あるいはとても幸福な愛の叙事はベッドルームにて終着を迎えた。


「俺はベッドに彼女を閉じこめた
 彼女が傷つかずにいられるように
 俺が露を払い、彼女が本懐を遂げられるように」

ゆっくりと、ベッドルームの扉を開く。


「ッ!!!!!!!?」


ベッドを認めたアナスイが絶句する。

「アナスイ、どうした!?」

慌ててティムも部屋に入り、ベッドを確認する。


そこに、徐倫の痕跡はなかった。


「徐倫ッ!!!!」




95 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:03:38 ID:FkHbCTAG
【D-4 南部 民家のベッドルーム/1日目 夜】

【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康、徐倫の失踪に動揺
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を守り抜き、ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.徐倫はどこに!?
1.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
2.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
3.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
4.徐倫に会った時のために、首輪を解析して外せるようにしておきたかったが出来なかった(大して後悔はしてない)

[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
 ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバ、ミスタ、アバッキオ、、チョコラータの姿と能力も把握しましたが彼等は死亡したため重要視はしていません。
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明。)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
 ※以上の事もティッツァーノが死亡し、誰かに伝えるといった目的があまりないため重要視はしていません。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※以上の事を放送前後にポルナレフに情報として提供し、ポルナレフが得た情報について知りました。
 なお、ポルナレフと荷物の交換等は行っていません。

※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。



96 :創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 00:04:04 ID:Ql0bVKyB
もうさるさん解けたと思いますよ
支援

97 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:05:22 ID:FkHbCTAG
【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:左肩・腹部裂傷痕は完治。左足に切り傷(ほぼ完治)、服に血の染み。右足が裸足。ずぶ濡れ状態は回復
    肋骨骨折(戦闘になれば辛いが動けなくはない)、右肩切断(スタンドにより縫合)、体力消耗(ほぼ回復)
    貧血(目眩はしない程度まで回復したが血液そのものが不足しているため行動に支障が出る可能性あり)
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3。把握済)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.徐倫はどこに!?
1.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
2.アナスイが正直に話してくれて少し嬉しい
[備考]
※第二回放送の内容はティッツァーノから聞きました。
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。
※花京院と情報を交換しました。お互いの支給品およびラング・ラングラーの支給品を把握しました。

※アナスイと徐倫の事の顛末を聞きました。


   *  *  *  *  *


98 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:06:53 ID:FkHbCTAG

「これで、良かったのかな……」

D-4の民家を離れ、少年が逃げるように駆けていた。
その腕に抱くのは真っ白なシーツ……否、シーツと一体化した空条徐倫。

(ティムさんには申し訳ないけれど)

『こうなった』理由をひとつだけあげるとするなら、自分がアナスイという青年を信じきれなかったから、ただそれに尽きる。

解体癖のある殺人鬼
ただひとりの女性への狂的な愛情

ティムさんから情報を与えられた時点では、むしろ好意的に評価していたと思う。
彼が守ろうとしている相手が「空条」の姓を持つ女性だったから、尚更だった。

けれど特別懲罰房で、現れた彼を見たとき
脳裏をよぎったのは圧倒的に深い闇を漂わせていたDIOの姿だった。
あの、自分の目的のためならば人の命を奪うことも辞さない『漆黒の意志』を宿した瞳。
正確にはDIOとも異なる、善悪を超越した強すぎる眼光。

自分には理解できない。

本能的に拒絶してしまった相手を信頼することは、どうしてもできなかった。
説明を前になんの特徴もない民家へ案内され、不信感はさらに募った。
彼のスタンドで鍵をかけられた、なんの異常も見られない民家。
幸か不幸か、自分のスタンドは探索に便利なスタンドで、スタンド使いの目も欺ける利点があった。
ティムさんに説明を任せきりにし、罪悪感を覚えつつも、スタンドは細く長く各部屋へ。
そう、罠でもあるんじゃあないかと思っていたんだ。

けれど見つけたのは罠ではなかった。
ベッドルームで見つけたのは、奇妙なことにベッドとシーツと一体化した『人』だった。
『見つけた』というには語弊がある。スタンドに話しかけられるまで僕はその『人』にまったく気付かなかったのだから。

その人はハイエロファントグリーンの触脚に気付くと、スタンドで話しかけてきた。
『助けて』と。
その時点ではどうすれば助けられるのか、検討もつかなかったが、
ティムさんに居間を追い出され、一人でいられる自由な時間ができてしまった。
僕は覚悟を決めなければならなかった。
居間に残った二人の様子から、その人が空条徐倫であると予感しながらも、放っておくことはできなかった。

どうにかベッドの木枠とシーツを分離させると、その人は言った。
『彼から、アナスイから、離れて……』と。
それを最後に言葉は途切れ、気を失ったようだった。

どうしてその人があのような状態になっていたのか、アナスイさんに問い詰めることもできた。
彼が案内した民家にあんな状態の人がいたんだ、知らなかったとは思えない。
むしろ彼がやったのではないかと、自分は疑い始めている。

結局、僕は彼から離れることを選んだ。
ひとまずこの人を解き、話を聞きたい。

「彼に見つかったら殺されるかもな」

冗談のつもりで呟いたが、心底笑えなかった。




99 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:08:17 ID:FkHbCTAG
【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(小程度まで回復)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、身体ダメージ(ほぼ回復)
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式×2
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!
0.この人を解いて、話をするためにも落ち着ける場所が欲しい
1.この人は空条徐倫?
2.ティムには申し訳なく思っているが、アナスイには警戒感
3.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
4.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?(そこで自分に何が出来る?という不安)
5.甘さを捨てるべきなのか……?
6.巻き込まれた参加者の保護
7.荒木の能力を推測する
[備考]
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。

※空条徐倫の支給品一式を所持しています。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。



   *  *  *  *  *

100 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:10:14 ID:FkHbCTAG


(とりあえず、この人に解いてもらうしかないかしら)

シーツと一体となった状態で揺られながら、空条徐倫は考える。
彼女は気を失っていたわけではなかった。

スタンドの接近に気付いたとき、どうやって言葉を発したのか覚えていない。
自力で解こうと努力すればするほど絡まっていく身体に絶望しかけていたとき、
部屋を詮索する紐のようなスタンドに気付いた。
アナスイ以外の誰か。
その人を逃せば、元に戻るチャンスは永遠に失われてしまうような気がした。
『スタンド使いはスタンドで会話ができる』なんてすっかり忘れ、ただ『助けて』とあらぬ口で叫ぶほかなかった。

できれば誰の力も借りたくない。
けれど、このままでは荒木を倒すどころか自力で動くことさえままならない。
助ける気があったからこの人は自分を運んでくれているのだろう。
恩着せがましいことをいったり、自分の行く手を阻むのなら
一方的に『利用』することになるかもしれないが、それでも胸は痛まない。

それにしても……
どうしてアナスイは私を殺さなかったのかしら……
傷つける覚悟も、傷つく覚悟もして、私は殺す気で殴りかかった。
なのに、彼は、私を動けないようにして、そのままいなくなった。
殺さない努力をするほうが、彼にとっては大変なんじゃないかしら。
どうして私を殺さなかったの……
どうしてあんなに優しく私を抱きしめたの………

どうして、どうして、と反芻する内に睡魔に襲われた。
それが心労によるものだと理解できるほどの英気が今の徐倫にはない。



――父さん、父さん……

大きな背中を追いかける。
これは『夢』だと自覚する自分を遠くに感じる。

――父さん、父さん……

追いつけないのは私が小さいから?

寂しかったのよ、父さん。
遠くで必死に守ってくれていたなんて、気付かなかったの。

そんな愛し方、私は知らなかったの。

泣き出した声が届いたのか父親がゆっくりと振り返る。
穏やかな、滅多に見せたことのない表情で、父親は私の後ろを指差していた。

私は振り向かない。
父さんから目を離すことができない。
けれど後ろで暖かく見守ってくれている人を私はもうわかっている。


アナスイ…………




101 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:11:15 ID:FkHbCTAG
【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:これまでの負傷は応急手当済、全身がシーツと絡まっている(肉体的には関節が極まっている程度)、夢うつつ
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0.この状態から元に戻りたい
1.助けてくれた人は誰?
2.アナスイの愛情をなんとなく理解、けれど再会はできない
3.DIOの館に向かい、DIOと決着ゥ!つける
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は(どんな事情があろうとも)問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。

※徐倫の道具一式は花京院が所持しています。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。



   *  *  *  *  *

102 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:12:35 ID:FkHbCTAG


「あいつ、ジョースターの一族か?
 むしろあの服装は神父のヤローに似ているような……」

夜目に眩しい真っ白なシーツを抱えて少年が駆けていくさまを青年が見つめていた。
行き場を失い、なんとなしにDIOの館へと向かっていたドナテロ・ヴェルサスだった。
その右腕はすでに何事もなかったかのように彼の肩からぶらさがっているが、彼の表情は冴えない。

右腕が欠損した状態では、これからなにをするにも支障が出る。
そう納得した上でジョルノが残した腕を付けたはずだった。
あんなに強大な敵を物ともせず追っていった輝かしいジョースターの血統、ジョルノ。
お前とは違う、と右腕に戒められているような気さえする。

俺には無理だった、仕方がなかったと自分を慰めながら北上し
気付けば、別の星型の痣の気配が近づいていた。
相手も星型の痣を持つならば、自分の居場所はばれていそうなものだが
向こうがこちらに気付いた様子はない。

(どうせ、もう誰も頼れねーんだけど、どうする……)

彼はよもやシーツが人であるという了見など持ち合わせておらず
スータンに似た衣装が、日本の学生服であるという認識も持ち合わせてはいない。




103 :夜の三者会談SOS ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:13:35 ID:FkHbCTAG
【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【ドナテロ・ヴェルサス】
[時間軸]:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、服は乾いた、頭部にかすり傷
[スタンド]:アンダー・ワールド
[装備]:なし
[道具]:テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に死にたくない、幸せになる。
0.少年は気になるが、どうする?
1.助かったところで、こんな気持ちを抱えたまま生きろっていうのかよ……。
2.どんな事をしてでも生き残って、幸せを得る。その方針は依然変わりなくッ! でも今は幸せなんかじゃあねえ。
3.ティッツァーノへの罪悪感が増大。ティムを警戒
[備考]
※ティッツァーノ以外のマフィア、ブチャラティ達の事、パッショーネの事を聞きました。
(ブローノ・ブチャラティ、グイード・ミスタ、レオーネ・アバッキオ、パンナコッタ・フーゴ
 ジョルノ・ジョバァーナ、チョコラータ) 。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
 ・『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
 ・ただし、物理的に地中を掘り進むことは今まで通り出来ます。
※アンジェロ、Jガイルの容姿と『アクア・ネックレス』のスタンドビジョンを知りました。
※星型の痣を持つ相手(ジョナサン、ジョルノ、徐倫)の位置が大体わかります ただし、誰が誰かまでは判別出来ません。

※接触するか、無視をするかは次の書き手さんにおまかせします。


[備考]
※ホル・ホースのデイバッグ一式がD-4 中央に放置されてます。

※特別懲罰房から民家への移動時、誰かに見られていた可能性があります。
※アナスイとティムは、花京院がいなくなったことにまだ気付いていません。


104 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/01(月) 00:17:41 ID:FkHbCTAG
以上で投下完了です。
トリ間違い、さるさんと四苦八苦でしたが、
支援してくださった方ありがとうございました。

105 :創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 18:22:14 ID:JBgyPkWM
投下乙!

106 :創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 19:26:33 ID:OHYtNCFX
アナスイとティムの信頼が見ていて気持ち良い・・・が花京院なにをするだぁー!ま、空条だからしかたないか
投下乙!

107 : ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 19:44:27 ID:482miD5B
遅れましたが投下乙です。
花京院……厄介なことをしてしまったな。今の状態でアナスイにあったら大変だぞこれ

予約分のSSですが、思ったより早く書きあげられたので、推敲の時間をおいて今日10時ごろに投下予定です。

108 : ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:14:44 ID:482miD5B
投下します

109 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:15:36 ID:482miD5B
「何故です……!」

テーブルに拳をダンと叩きつけ、我が名を捨てたジョナサン・ジョースターは、正面に座す吉良に対し息巻いた。
優雅に紅茶をすする当人とは対照的だ。

「聞いていなかったのか?」
「そうじゃあない……納得できないと言ってるんだ」

隣に位置するディオが煽るも、ジョナサンの視線は吉良に釘付けだ。
テーブルを振動させた結果、供えられた二つのカップから紅茶が僅かに零れたのも気にせず。
差し出された二人とも、全く手をつけていないからどうでもいいのかもしれないが。

「館に正義面して向かってきた輩を一網打尽、誰も来ないことも考えて徐々に南下。これのどこが不満なんだ?
 他の二人が出向いてくれる以上、我々が無理に中央に行くこともあるまい」

露払いは他に任せ、自分たちは安全な策をとる。吉良の作戦は大方そんなところだ。
DIOの館は、名の知名度ゆえか非常に人が集まりやすかった。それゆえ施設の構造を知る者、対策を練る者もいるだろう。
そんなところにとどまって拠点にしていたら大丈夫なはずがない、大問題だ。
近くの民家に潜んで隙を窺い、奇襲をかける方が効率がいい。

「三人なんです、攻めにいったって」
「俺もお前も万全じゃあない。治療済みとはいえ無茶は出来ないだろう。道具も分け合えていない」

館に放置されていたデイパックの中身の分配が済んでいないのも、理由の一つだった。
中身があまりにも多いため、館を離れ、休憩を挟んでから中身を確認しようとした。
ちなみにディオは自身の不明支給品の確認は済ませたのだが、ジョナサンは荷物がこれ以上かさばるのを嫌がってか手をつけていない。
ついでに言うなら、馬は集団行動の枷になるので館付近に放置したままだ。
閑話休題。

休み休みの消極的攻め、ジョナサンにはそれが我慢ならなかった。
全てを取り戻そうという義務感、責任感が膨れ上がるにつれ、闘争心が比例する。
だからこの待機という選択が、ディオに宣言したことを嘘にしてしまいそうで苛立つ。
一方、ろくに対案も出ない癖に駄々をこねるのかと、ディオは頬杖をついて呆れを表した。
吉良も抗議をものとせず、紅茶を飲み干し、静かにカップを受け皿に戻して拒否の意を示す。
ジョナサンを戦いに駆り立てる感情に、いちいち付き合っていられないのだから。
勝手に出て行こうとしても、御せない以上は引き留める甲斐がない。
ジョナサンがすっくと立ち上がってみせても、依然として何のアクションも見せなかった。

「あれは……父さん!?」

この一言を聞くまでは。


  ★

110 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:17:07 ID:482miD5B
血縁の絆によって位置を感じ取れても、探知機のように正確なものではない。
何故、ジョージはジョナサンの存在に気付いたか。
一言で言うなら偶発的なものだ。

「息子たちと話をさせてもらえないかね」

立ち上がったその時、窓越しにジョナサンと目が合ってしまったからという不運に他ならない。
これでは、不意打ちも何も出来たものではない。
三対一の構図になるのに堂々と侵入したこともあり、嫌がおうにも警戒する。
ジョージに目線を合わせず吐息を荒々しくするジョナサン、じっと見つめるだけで他の挙動を見せないディオ。
一人は対応不可、一人は出方を窺うための待機。
自然、面倒な役割を背負わされ溜息つく吉良だが、返事をしなければ始まらない。

「したければ、すればいいじゃあないか」
「プライベートな事なのでね」
「別の場所までご足労願う、ということか?」
「そうなるな」

二度目の溜息が部屋中に響き渡る。

「……ボケているのか知らないが、一応これは殺し合いだ。貴方にその気がなくても、一人でこの場にとどまるのが心細いのは分かるでしょう」

吉良は申し出を却下する。
平穏を求め保身に走り続けた彼が、この訪問を罠、策略の布石と考えるには充分過ぎた。
と言うより、要求だけ突き付けるのは常識で考えてもわがままが過ぎる。

「一人ならいいのだろう?」

吉良にしてみれば、ディオのこの提案は軽率だったろう。

「わかっているのか?」
「悪いようにはしない」

小声で、当たり障りのない会話が行われた。
角度からしてジョージから吉良の顔は見えていないが、その眼、鬼さえ怯む剣幕。

ディオが持つ生来のプライドの高さは有り余るほどに見せつけられた。
そんな彼が片腕を奪われた仇敵に、牙を向けぬ道理はない。
急ごしらえの同盟など頑丈な一枚岩ではなく、踏めば砕ける薄氷も同然。
ジョージの望み通りディオが吉良の眼に入らないところへ行けば、裏で何をされるか分かったものではない。

「第一、ジョナサンのフォローをわたしにしろと?」
「姿さえ見えなければ、動揺は収まるだろう。もう一度言うが、悪いようにはしない」

再度、念を押す。
悪いようにはしない――同盟の目的には反しない、という解釈でいいのか。
どうあれ、先方が策を用意していたとしてもこれで斥候になるし、知り合いとの邂逅による安堵も手伝って油断が生まれるかもしれない。
最悪、飼いならせないディオは犠牲になってもらうという見方もある。ジョナサンは従順ではないが同盟の利を捨てる真似はしないだろう。
その言葉忘れるなよ、と吉良は呟いて、元通り紅茶を嗜む。
迷子になった幼児のようにおろおろするジョナサンを尻目に、ディオはジョージを引っ張り外へ連れ出した。

111 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:18:24 ID:482miD5B
舞台は、湖のほとりに移る。
奇襲を防ぐためにも、視界が開けたところでの対話が良好だった。
『ホワイトスネイク』の視聴覚を駆使し、外敵や伏兵がいないのも確認。
もしや無策でここまで来たのかと、ディオは半ば呆れる。
どうしてこんな調子で今の今まで生き残れてきたのだろう。馬車の事故で生き残った強運は本物だったということかと思いながら。

ジョージは湖をじっと見つめる我が子の異変に気が付いた。
自分ではない、本来の親から授かったものが無くなっているではないか。

「ディオ……おお、ディオ。腕は平気か?」
「自分の心配をしてください。あんな無茶をして……僕が出なければ、どうなっていたことか」

愛息子は冷たく切り返す。
しかし冷たさの中にも気遣いが感じられ、己が無謀を反省したのか、ジョージは罪悪感を目くばせする。
スタンド、性格、習性――どれをとっても他に類を見ない危険人物がいたのはジョージも理解していたのに、行動を優先したことを後悔して。

「吉良吉影、だったか。ジョルノ君から聞いた話では」
「ジョルノに会ったんですか?」
「うむ。警戒すべき人物とも聞いている」

分かっていたのにか、となおさら呆れる。
ハッタリが効いたからいいものの、吉良がジョージの特徴を把握していたら死体が一つ出来あがっていただろうに。
いや、用心深さを逆手にとっての行動だろうか。

「それに、ジョナサンも同様に、殺人に手を染めたと」
「……それは、初耳です」

表向き、沈痛な面相を作るディオ。
ジョナサン本人が、殺しをチェスの駒を減らす感覚で言ってのけたのだから、いまさら驚愕に値しない。
ああそうだったのか道理でなあ、ぐらいの感想か。

「ディオ、教えてくれ。ジョナサンに何があったのだ? なぜ、お前たちは吉良吉影と同行している?」

歪んだ表情の裏で画策する。
ここからの応対が、いわゆる分水嶺。
何としても信頼を勝ち取らねばならない。味方にならなければならない。
だが、おそらくジョージはどんな現実を突き付けられてもジョナサンを擁護する。
ジョルノに話した時みたいに、悪行を捏造してあいつはとんでもない悪党だから懲らしめてやろう、という説得は効率的でない。
ゆっくりと顔を上げ、悄然とした声色で説明する。

「詳しいことは分からないですが、ジョナサンは今も殺し合いに積極的です」

淡々と事実を、事実に近いことを突き付けて行った方が効果的だ。
下手に勘ぐられて、追求されても困らないのがいい。
一切の個人的感情を挟まず、傍観者として語る。

112 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:20:13 ID:482miD5B
「吉影が提案した、人数減らしの協定。ジョナサンは真っ先に参加の意を表明しました。
 その場にいたのは僕含め5人。全員乗り気で、腕も吉影に吹き飛ばされた状況、僕だけ同盟結成に反抗するわけにもいきませんでした」
「そんな、事が……」
「話を聞くにジョナサンは、殺し合いをなかったことにしたいようなのです」
「……最後の一人になったあとで、荒木にそれを懇願するということかね?」
「おそらく」

ほとんど嘘は言っていないながらも、あくまで自分は乗っていないということを強くアピール。
吉良吉影の名を利用し、悪印象をジョナサンに集中させる。
ジョルノがディオをどう評したかは分からないが、露骨に煙たがるような様子は今まで無かったはず。
この場でジョージに味方するのはディオだけと思わせる。

ジョージはしばし眉間にしわ寄せ苦悩する。
しかし腹は決まっていたのかもしれない。ディオに顔を向けるまでの時間はそう長くなかった。

「経緯はどうあれ、私はジョナサンを諭さねばならん。紳士以前に、人の道を外れている」

堂々たる宣言。血統に恥じぬその態度。
それはジョージ・ジョースター1世の意志であり、誇りだ。

「僕も、そう思います」

望み通り。思い通り。
ディオは、笑いそうになるのを必死でこらえる。

これといった能力を持たないジョージ相手に、ジョナサンを止めるよう懇願すべきではない。親が子を案じるように、子も親を案じる。
自然なのは『説得』ではなく『誘導』。ジョナサンに対しては実父なのだから責務を感じずにはいられまい。
その感情を引き出させるために、徹底して感情を排したが、功を奏したようだ。
かくしてディオの望みどおり、ジョージから理想的な決断を下させることができた。
あとは、その正義感に乗っかって、共感してみせればいい。
それに、それほどディオは自分の気持ちに反していない。ジョージの言葉には同意できる。
人の道を外れている、という部分に限定すれば。

「同盟に加わるふりをしてください。一先ず僕が執り成して、上手く仕向けてみます」
「大丈夫かね?」
「昔のディオより成長したんです。やってみせますよ。それより」

少年期の間だけとはいえ、それなりの付き合いだ。
ジョージは、続く言葉を察したらしい。

「心配は有難いがね。私は、お前たちの親だ。二人とも、今はもうそんな年ではないかもしれないが、私は親としての責任を果たしたいのだ」
「分かっています、お父さん。ですがもう無茶はしないでください」

ディオの言葉に、ジョージは目を見開いてひどく驚いていた。
何かミスがあったかとディオは内心焦ったが、自らの一言を反芻しすぐに思い出す。
両者にある歳月差を考慮に入れ忘れていたことに。

「お父さん、か……。君の口からその言葉が聞けて、私は幸せだよ」
「……そういえば、正式な養子になるまではジョースター卿と呼んでいましたね」
「未来――君にとっては過去なのだろう、その間堅苦しい思いをさせたかもしれないが……立派に成長してくれたようだね」

理由は別だが緊張が緩和され、お互い笑みがこぼれる。
悲劇の中にあるちょっとした喜劇、ジョージは時代の差がもたらした恩恵に僅かだが感謝することとなった。
しかし、教育者としての本分を忘れたわけではない。

「感慨にふけっている暇はないな。ジョナサンの元へ行かなければ」
「いえ、あなたが望むなら言ってあげますよ」

踵を返し、背を向け、愛するもう一人の息子の元へ向かうジョージにディオが言う。
言葉の意味を分かりかねたジョージが振り返る――

113 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:23:02 ID:482miD5B








「さよなら、お父さん」








――より早く、『ホワイトスネイク』の手刀がジョージの首元に振るわれる。
うつろな瞳を携えた頭蓋が大地を転がる音は、やけに重たく聞こえた。


  ★


説明するまでもないかもしれない。

だが、このままで終わらせるのも無粋だ。

何故、ディオ・ブランドーはジョージ・ジョースター1世を殺害したか。

当初ディオは、ジョージを見つけることがあれば保護、利用することを考えていた。
利用とは、当然ながら、こちら側にメリットがなければならない。
ではここで、ジョージにそれがあったか振り返ってみよう。

武器、道具は全くなく、スタンドのような超越能力の類もない。
敵対していないジョルノにさえ会えば、ジョージの持っていた情報は手に入る。
そのくせ、息子を案じるだけで説得の策さえ立てられないただのお人好し。

他の参加者に勝る要素がどこにあるか――まるでない。全くの足手まとい。
ディオがそう判断するに足る根拠がそれである。

そしてディオは、更に先を見据えてジョージを殺めたのだ。

ディオは殺し合い以前、ジョースター家の遺産を相続するために暗躍していた。
あくまで合法的に遺産を奪い取る、そのつもりで。

『ホワイトスネイク』を手に入れ、その力を把握した途端、ディオの思考は一変する。

記憶の操作、思考の改ざん、命令――証拠隠滅に使えそうなものが、これでもかと揃っているスタンド。
資産を奪い取るどころか、執事召使い全てに至るまで自分の思うまま。
スタンドは法で裁けないのだから、もはやここで合法だの違法だのを問うのは馬鹿らしい。
ちょうど、人間をやめ、吸血鬼になったころと同じ思考にディオは行き着いた。

利用価値がない。
遺産の相続にも、必要無くなった。
脱出をするという観点でさえも、ただの人間ジョージ・ジョースター1世は不要で無能で役立たず。
ジョージの信頼を欲したのは、背中を見せる隙を作るためで、それ以上の意味はない。
犯人が自分であるという証拠を一切残させないように、一瞬で殺すため。
『ホワイトスネイク』の完全発現からそう経っていないこともあり、大きな隙を作りだすことで保険を掛けた。
それだけ。

114 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:25:41 ID:482miD5B
ここまで書いたのなら、質問するまでもないかもしれない。
だが、分からず家のためにあえて聞こう。

『ディオ・ブランドーがジョージ・ジョースター1世を殺害しない理由がどこにある?』

解が何であれ、決着はついている。
ジョージ・ジョースター1世は、愛を注いだ息子たちから必要とされず、その生を終えたという決着が。


  ★


「父さんは?」
「死んだよ」

日がな一日行われる挨拶の一つのように、えげつない一言が交わされた。
誰一人、眉一つ動かさない。
それもそのはず、彼らにとっては、同じ立場ならいともたやすく行ったであろう行動でしかない。

「そうだね。元あるべきところに帰ったんだ。父さんはそうなるべきだったところへ、戻っただけなんだよ。ただ……元に」

ジョナサンの狂言を気に掛けず、ディオは思索を巡らせる。

『参加者を殺して回る、この過程において、我々は絶対に協力し合う』
『他の参加者が全滅したのち、最後に残った同盟者同士で殺し合う』
『各々、最後まで同盟者には手を出さない』

吉良が挙げた同盟の規約、三箇条。実は決定的な穴があった。

同盟者同士を守る必要がない。

他の参加者が全滅するまでこの同盟が勝ち残る――全参加者の6分の1では、自信はあるもののいささか夢想ではないかとディオは考える。
優勝を目指す立場に同席している以上、徒党に襲われる可能性が高いのは吉良が言った通り。
不利だからといって簡単に寝返れるわけでもなし、数の暴力に追い込まれる可能性は否めない。
それに、吉良とジョナサン、二人に参加者を減らしたい事情があるのだから、重要なのは『いかにして殺すか』ではなく『いかにして自分の傷を減らすか』である。
と言っても役立たずを減らしたい気持ちはあり、交戦回避ではなく、攻撃が自分に集中しない手段を必要としていた。

攻撃を逸らすには、矛先を自分以外の誰かに向ければいい。
つまり、ジョージ・ジョースター1世殺害の罪を、ジョナサンか吉良になすりつけるということ。
これで同盟者に手を出すことなく、同盟者を攻撃することが可能。
うまくいけば目の上のたんこぶである吉良を誰かが始末してくれるかもしれない。

「だって、父さんを殺したのは僕だからね」

ジョナサンがこうなのだから、彼の方に罪をなすりつけるのは簡単だろう。
二人の間に何があったかは知らないが、ジョナサンはジョージを殺したと思い込もうとしているようだ。
ならば、その妄想を後押ししてやることに何ら抵抗はない。

115 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:30:28 ID:482miD5B
「わざわざ別の場所へ移る必要もなかったと思うが」
「証拠の隠滅をしたかっただけだ。帰り血も浴びたくなかった。これも役に立ちそうだしな」

吉良はジョージ殺害を疑わなかった。
ディオが手にする銀色の輪、ジョージに課せられた首輪がその証左なのだから。
それも、ディオが罪を被せるための一手段であることも知らず。

「死体なら今頃、手錠に掛けた重りと一緒に湖の底だろう。気になるなら泳いで確認しろ」
「……何か隠し事をしているわけじゃあないよな?」
「死体が見つかるのは俺としてもまずいんでな。ああ、それに奴の記憶を見てもろくな情報はなかったと思うぞ。
 もっとも記憶を奪ったところで、貴様にそのDISCを挿す勇気があるか?」
「……チッ」

我が子に盲目な父親、ただそれだけの存在でしかなかった。
役に立つ情報を得たなら規約に則って明かしているだろうし、どうせ数は減らさなければならないのだから吉良としても未練はないだろう。
ディオ・ブランドーは吉良の望み通り、同盟の規約に従っただけだ。
従うまま、吉良の掌で踊らされるままのつもりはないのだろうが。

(誰が素直に従ってやるものか。繋いだ手が消し飛ばない保証がないというのに)

毒殺という回りくどい手段でなく、直接的な殺害に及んだディオ・ブランドー。
罪悪感はわかない、どの道こうするつもりだったのだから。
しかし、心の中のどこかが曇る。

(……だがこうまですれば、未来の俺と、今の俺、さして変わらないだろうな)

本来の未来、夜の支配者になった自分が絶対的な力を持つ存在だとは察しがついていた。
こすずるい変装男、ラバーソウルが畏怖するほどに悪逆非道の限りを尽くし、かの城に君臨していたのだろう。
そして今。質は異なるものの、超常の能力――側に立つ者を従えた彼は、容赦なくジョージの首を刎ねた。
事態が事態だ、表立って殺人を犯すのに、もはや抵抗はない。

もやのかかったような気分の原因は別にあった。
自分は、吸血鬼ではなくとも、その思考、人間ではなくなっていくのではないかという懸念。

当初、スタンドを持たない"人間"として、普通の"人間"よりも徹底的にあがいてやろう、と粋がったはいいものの。
リンゴォ・ロードアゲインに、訳も分からぬまま殺されかけたことに端を発し。
祖父の敵と、見知らぬ男に未来の因縁を押し付けられ。
あげくラバーソウルと由花子に、謀略の一ピースとして扱われるという人生最大の屈辱を味わった。
その過程で、どれほど力に焦がれたものだろう。
どれほど己の、人間の能力の限界を思い知らされただろう。

116 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:37:58 ID:482miD5B
――どれほど『人間を超越したい』と考えただろう。

スタンドを使いこなすたび、精神に馴染むたび、新たに得た能力に魅せられ酔いしれ、人間であることのアイデンティティーが失われていった気がする。
完全に、ではない。ただ、人として本来あるべきものが知らず抜け落ちていったのを今回の件で実感する。
思い起こせばスタンドの剛腕を振るうたび、自らの無力による苦い経験が洗い流されるような気がした。
スタンドは従えるものなのに、段々と自分がスタンドに従っているみたいになっていく。
ひとたびタガを外せば、別の何かになれてしまいそう。
人間の超越――それが何を意味するかは今のディオにはよく分からない。

(人の道を外れて、人を超える……それもいいかもしれないな)

だがディオは、遥か昔から求めてきたような、待ちかねたような感触を噛みしめるのに今は夢中だった。
果たしてディオ・ブランドーは今後、何者になるのか。なろうとするのか。
もしかしたらその思想、完全に『人間をやめて』しまうかもしれない。『やめてしまえる』かもしれない。
ひとたびタガを外せば、その先はいともたやすく――



【ジョージ・ジョースター1世 死亡】
【残り 30名】

【D-4 北部/1日目 夜】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:左頬が殴られて腫れている、掌に軽度の負傷、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2 、ディオの左手
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×7、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜2個、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送るため荒木を含む全員を皆殺し。
0.少しずつ南下。中心地へいきなり飛びこむことはしない。
1.植物のような平穏な生活を送るため荒木を含む全員を皆殺し。ただし無茶はしない。
2.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.危険からは極力遠ざかる。
4.利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※シアーハートアタックに何らかの制限がかかっているかは不明です。


【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、ジョルノ、シーザー、由花子、吉良(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、基本支給品×2(水全て消費)、ジョージの首輪、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
0.未来の俺と今の俺、さして変わりないな。
1.ジョージ殺しの罪をジョナサンか吉良になすりつける。
2.吉良が憎い憎い。ジョナサンの様子が気になる。
3.吉良は絶対に殺すが、今は同盟の規約を守る。
4.スタンド使いを『上に立って従わせる』、従わせてみせる。だが信頼などできるか!
5.ジョルノ、由花子に借りを返す
6.ジョナサンには最終的には死んでほしい
7.ジョルノが……俺の息子だと!?

117 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 22:40:56 ID:482miD5B
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。


【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:波紋の呼吸、唇と右手から少量の出血、鼻の骨折、右肩と左ももに隕石による負傷、額に切り傷
    頬がはれてる、内臓にダメージ(中)、身体ダメージ(大)(いずれも波紋の呼吸で治療中)、ブチャラティの眼光に恐怖
[装備]:“DARBY'S TICKET”、サブマシンガン(残り弾数80%)
[道具]:デイパック*3、不明支給品1〜5(全て未確認)、メリケンサック、エリナの首輪、エリナの指輪、ブラフォードの首輪、
    ダニーについて書かれていた説明書(未開封)、『プラネット・ウェイブス』のスタンドDISC
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、荒木に全部なかったことにして貰った後、荒木を殺す
0.――――ただ、全て打ち砕くだけだ、勿論ディオ、君も。
1.同盟の規約を守る。
2.父さんはそうなるべきだったところに戻っただけなんだ。
【備考】
※ジョージ・ジョースター一世を殺したと思い込もうとしてます。
※参加者が時間を超えて集められた説を聞きましたが、今は深く考えていません。人間のディオを懐かしがっている程度です



※ジョージ・ジョースター1世の死体は手錠、冷蔵庫と共に【C-3】の湖に沈められました。頭部は湖の近くに埋葬しました。
 支給品は両方ともプッチ神父のものでした。
※【C-4 DIOの館 門前】にヨーロッパ・エクスプレスが放置されています。
※三人はラバーソールのデイパック (支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1、
 サブマシンガン(消費 小)、 巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)、二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個))
 を共同で所持しています。



【冷蔵庫】
3部からの出展。呪いのデーボが出てきたアレ。人が一人入れるんだからそれなりの大きさがあるんだと思う。
ちなみに中身はない。出して片付けてないということもない。

118 :いともたやすく行われる―― ◆0ZaALZil.A :2010/11/02(火) 23:00:19 ID:482miD5B
投下完了。誤字脱字矛盾点など指摘ありましたらなんなりと。

119 :創る名無しに見る名無し:2010/11/03(水) 09:48:11 ID:YNpuroAO
投下乙です!

120 :創る名無しに見る名無し:2010/11/03(水) 10:55:34 ID:+4rHSl7t
投下おつかれさまです!

うう、ジョージ…1st再来はやはりならずか…
ディオがある意味、人間らしく共感できるのでこれからも期待

ペッシの死亡時点で残り30名だったので
残りは29人でしょうか

121 : ◆0ZaALZil.A :2010/11/03(水) 11:10:05 ID:Awyh2QHi
>>120
あーしまった……何という凡ミス
Wikiに載せる際、訂正しておきます

122 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:52:19 ID:bbYXhIYh
シーザー・アントニオ・ツェペリ、虹村億泰、岸辺露伴、川尻早人、パンナコッタ・フーゴ、ディアボロ、投下します

123 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:53:42 ID:bbYXhIYh


「まちがいねえ…スピードワゴンさんだ…」

無数の銃創を受け朽ち果てた男の傍ら、シーザー・ツェペリは自分の知る老人の名を静かに告げた。
『老人』と呼ばれるには似つかわしくない若者の姿の遺体。
自分と出会う遥か昔の若い姿。
その姿に、シーザーはこの時代を超越した奇妙な世界を実感した。
否、時代を超越した現実を認めざるを得なくなった。
うな垂れるシーザーとは対照的に、車椅子に座らされたまま冷やかな目で沈黙するのは岸辺露伴。
目線の先には別にもう一体、ヴィヴィアーノ・ウエストウッドの遺体が転がっている。
岸辺露伴の『命令』を忠実に守り、岸辺露伴に『見捨てられてしまった』哀れな男である。

先刻の情報交換と第三回放送の内容を照らし合わせても、この二人がすでに殺害されてしまったことは明確だった。
しかし、自分の目で見て確認するまで納得できないと、コロッセオを後にした3人が相談して決めた目的地が、コロッセオの真北、戦いがあったと予測されたここ「D-3」エリアだった。
結果は……この有様だ。

そして、下手人の正体も、すでに推測されている。
露伴が襲われたときに見た若い男の人相。
ジョルノと共にいたというスピードワゴンが加勢に走ったという事実。
ブチャラティから得た情報。
そして、『得物がサブマシンガンである』という点……。

加勢に入ったスピードワゴンがウエストウッドに殺され、激昂した彼がウエストウッドを殺害した、という展開の説も考えられた。
だが、この状況では明らかに違う。

この二人を殺害したのは、紛れもなくジョナサン・ジョースターその人だった。

「ジョジョの祖父さんがこれを……そんな……まさか……」

猛禽類に心臓を鷲掴みにされた気分だった。
シーザーにとって最もこたえたのはその事実である。
ジョナサン・ジョースターの狂気をブチャラティに聞かされたとき、無関係のジョルノや事情を既に知っていたジョージはすんなり受け入れていたかもしれないが、彼だけは簡単に信じきれずにいた。
孫であるジョジョの誇り高き生き様をこの目で見てきていたし、己の尊敬している自分の祖父が命を掛けて守るに値した人物だと聞いていたからだ。
しかし、これではまるで違う。
ジョナサン・ジョースターはディオや柱の男たちと同じ…、まるで吐き気を催すほどの『悪』じゃあないか…!



124 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:54:36 ID:bbYXhIYh

「露伴ッッッ!! てめえ一体何考えてやがるんだ!!!」

不意に叫ばれた大声に、シーザーは顔を上げ振り返る。
彼のもう一人の同行者、虹村億泰が車椅子に座っていた岸辺露伴の首元を強引に掴み上げていた。

「何をって……見てわからないのか? スケッチを取っているんだよ…
君も知っているだろ? 僕は『リアリティを追及する漫画家』なんだぜ?
サブマシンガンで蜂の巣にされた死体なんてスナッフムービー(殺人ビデオ)でしか見たことが無いからね…」
「……! て、てめえ……!」

露伴の手には、初期基本支給品の紙と鉛筆が握られていた。
そこには、朽ち果てたウエストウッドの生々しいスケッチが描かれている。
体に全く力が入っていない状態で、億泰に強引に立たされている露伴は開き直る。
言葉には全く覇気が無い。

「銃創の大きさから見るに45口径…イングラムM10あたりかな? こんな猟奇的死体は日本ではまず見られないだろうな… ピンクダーク第5部ではギャングアクションでも描こうと思っているし、こういう『画』も役に立つかもしれんな… これはいい物が見られた…
そうだ、もう50人以上死んでいることだし、これからもっとすごい死体が見られるかも……」
「露伴てめえ……!!!!」

言葉を遮り、億泰は露伴を思いきり殴り飛ばした。
スタンド抜きのガチ喧嘩なら仗助ともタメを張れる億泰に吹っ飛ばされ、露伴は血反吐を吐きながら答える。

「…フン、さっきから『てめえ』しか言ってないぞ? 語彙が少ないな、『アホの億泰』?」
「オラァ!!」

挑発する露伴に、さらにもう一発。
吹っ飛ばされた露伴に、さらに掴みかかりお互いの顔を近づけてさらに大声で怒鳴る。

「露伴ッ! てめえ正気で言ってんのかこのクソ野郎!!
そこの男は…、そこの男はてめえを助けるために死んじまったんじゃあねえのかよ!!
仗助も…康一も…、承太郎さんまで死んじまったってのに…それなのにてめえは……」
「…」

億泰だって本当はわかっている。
露伴が本気でこんな事を思っているわけが無い。
漫画のためにならどんなわけのわからないことだってするし、普段は何を考えているのか分からない気難しい男であるが、杉本鈴美と杜王町の為に殺人鬼・吉良吉影と戦った正義の心は本物であった。

「フン、そんなこと…貴様に言われずともわかっているさ…!」

露伴はこの殺し合いをなめていた。
放っておいても、どうせ仗助や承太郎が解決してくれるのだろうと……
自分は自分の好きなように行動して、好きなように『取材』でもしていれば、勝手に戦いは終わっていると……
だが、自分が何もしていない間に、頭に来るクソッタレ仗助も、無敵だと思っていた空条承太郎も、自分の一番の友人であったかもしれない康一までもが死んでしまった。
その上、プッツン由花子は殺し合いに乗ってしまっているらしいし、吉良吉影も未だ健在だという。
挙句の果てに自分がヘブンズ・ドアーの能力で安易に書き込んだ『命令』によって、一人の男を死に至らしめてしまったのだ。



125 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:55:49 ID:bbYXhIYh
億泰なんぞに諭されずとも、そんなことはわかっている……

露伴は描きかけのウエストウッドのスケッチをその手で握りつした。
言葉には出さないが、目が語っている。
どうやら吹っ切れたようだ。

確かに、好き勝手やるのはここまでだ。

しかし、基本的なスタンスは変えない。
岸辺露伴は漫画家、取材は生き様、やめられない。
しかし、これからは……

荒木を倒す。
そのために取材をする。
それがこの岸辺露伴のこれからの行動方針だ。



「気が済んだか? 露伴、億泰」

頃合いを見計らって、シーザーは2人に声をかけた。
こんなところでいつまでも仲間割れしている場合ではない。
口内に溜まった血を吐き捨て、体に付いた土埃を払いながら露伴は立ち上がった。

「……全く、本気で殴りやがって…、冗談に決まっているだろうが…!」
「ケッ、俺は謝んねえからな!? 今のは絶対ェてめえが悪い!!」

悪態を吐きながらも、先ほどとは明らかに空気が違っていた。
無言の和解が成立したことに安堵したシーザーは、改めて今後の行動方針を提案した。


「DIOの館か…」

シーザーの指差した地図上の一点を見て億泰は声を漏らした。
以前から気になっていた地名ではある。
俺の父親をあんな姿にした仇であり、俺と兄貴の仇の名前だ。
ジョルノによれば、昼前頃はディオや吉良、由花子などを含め、かなりの人数がDIOの館を拠点に動いていたようだ。
そして、DIOの館に向かうと言っていたサンドマンと別れたのも、昼前頃の話である。
未だ健在のようだが、現在どのような状態にいるのか全く分からない。

「話に上がった連中が未だ『館』にいるかどうかは分からんが、行ってみる価値はある。
それに、ただの俺の予想ではあるが、おそらく…ジョナサン・ジョースターもそこへ向かったはずだ!」

スピードワゴンたちの遺体をチラリと見る。
ここでの一悶着が終わった後、ジョナサンならどこへ向かうだろうか、考えてみる。
DIOの館ならそう遠い距離ではない。
狂気に落ちたとはいえ、ディオはジョナサンにとって宿敵…。
優勝以外の目的が無いとしたら、向かわない理由は無い。
誰だってそーする、俺もそーする。


「DIOねえ…、僕はDIOなんか別に興味ないが、この館の『場所』には非常に興味がある。
今まで面倒で地図なんか見ちゃあいなかったから気づかなかったが畜生……
この『DIOの館』とやら、あろうことか元の世界の『僕の家』と同じところに建ってやがるじゃあないか!
コレクションの『るろうに剣心』や『セーラームーンのフィギュア』が無くなっていたらどうしてくれようか、まったく…」


126 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:56:30 ID:bbYXhIYh


目的地は決まった。
億泰たちの目的の一つでもある川尻早人の行方も気になったが、何も情報の無い今はとりあえずDIOの館を目的地とするのが最良だと判断された。
地図をデイパックにしまい、シーザーたちは立ち上がった。

「さてと、悪いが僕はもうしばらく車椅子で失礼させて貰うからね。
ケガも治っていないというのに、億泰にタコ殴りにされて体がいう事を聞かないんだよ」
「てめえまだ言うか?」

当然のように車椅子に座る露伴に文句を言いながらも、億泰はしぶしぶ従う。
露伴の目が「押せ」と言っていた。
ため息を吐きながら立ち上がった億泰が車椅子の後に回ろうとして、ふと露伴の後方の茂みがわずかに揺れるのを見た。

茂みの影では億泰よりもやや小柄な少年が、自分と露伴に黒光りのする金属をこちらに向け、狙っていた。

「露伴ッ!! 危ねえッ!!!」

町外れの夕暮れの草むらに、甲高い音が響いた。








畜生、なぜ僕ばかりこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
あのデスマスクの男はいったい何者なんだ…?
自分自身の意志を貫き通すと決めたばかりなのに、どうして僕の邪魔ばかりするんだ?


吉廣を失いディアボロから死に物狂いで逃げてきたフーゴは、コロッセオ北の住宅街を走りぬけていた。
相手が追いかけてきていないことは既に分かっていたが、それでも足は休められなかった。
走りながら、頭の中を巡るのはつい先ほどの出来事。


あのデスマスクの男…。
少し前にノリアキを背負って歩いている姿を見た。
そして今度はポルナレフを庇って僕の目の前に現れた。
ノリアキとポルナレフは仲間同士だ。
デスマスクの男も彼らの仲間なのか?
だとしたら、あの男はノリアキや鋼田一吉廣の言っていた『空条承太郎』という男ではないか?

承太郎もポルナレフと同じくノリアキの仲間だといっていた。
吉廣は承太郎のスタンド能力は『時を止める』ものだと言っていた。
さっきの戦いで吉廣の写真を奪われたとき、僕は何をされたのか分からなかった。
頭がどうにかなりそうだった。
超スピードだとか催眠術だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分だった。
今思えば、あれは『時を止める能力』だったのではないか?
そう考えれば、瞬間移動のように、いつの間にか距離がつめられていたことにも説明がつく。

いや、しかし、それはありえない、はずだ…。
空条承太郎は死亡したと、確かに放送で告げられていたはずだ。
それに、ポルナレフ自身もあのデスマスクの男を知らない感じだったような気もする。
くそう、吉廣さえ殺されていなければ……
彼が何かを知っていたかもしれないのに…


127 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:57:13 ID:bbYXhIYh

わからない…
第一、あいつが僕のスタンド能力を知っていたのは何故だ?
僕は自分のスタンドがいかに危険なものか自覚している。
普段僕はめったにスタンドを使わないし、能力を知っているのはチームの仲間くらいのはずだ。
チームの誰かが僕の能力を喋ったのか?
ブチャラティか、ミスタか、それともアバッキオか、新入りのジョルノの奴か…?
なぜ喋った?
スタンド使いにとって、スタンド能力がばれることは死活問題だとわからないはずがない……
ブチャラティたちと決別した僕は、もう仲間じゃないからか…?
勝手に裏切っていったのは、あいつらの方なのに……?

わからない、わからない……
何が真実かわからないまま、疑心暗鬼は深まるばかりだ。



そんなフーゴが突然全力疾走の足を止め、思考を休め、歩幅を縮める。
住宅街に転がる、一人の男の遺体を見つけたからだ。

「…ミ……ミスタ……!」

殺し合いが始まって早19時間。
彼が『この世界』に来てから初めて再会した仲間は、すでに遺体となったグイード・ミスタだった。
いや、正確には『元』仲間か。
いずれにしても、この遭遇は彼をさらに精神的に追い詰めることにしかならなかった


こいつは…なんて安らかな顔で逝ってやがるんだ……
全身に無数の傷を負いボロボロになっているにもかかわらず、その表情はまるで満足し、安心しきって逝ったみたいじゃないか……
これじゃあ、ミスタがこれまでの時間をどう生き、ここでどう死んでいったのか、何もわからないじゃないか。




128 : ◆vvatO30wn. :2010/11/04(木) 23:58:40 ID:bbYXhIYh

脇には、ミスタの物と思われる支給品も転がっていた。
元仲間の死を目の当たりにした直後であるという負い目を感じつつも、生き残るため、フーゴはデイパックやミスタの身につけている装備をあさり始めた。
見つけたのは2つの手榴弾……そして―――

「これは……ナランチャのナイフ……」

なぜこんなものがここにあるのか、そんなことを考える余裕はフーゴには無かった。
ナランチャとケンカをしては彼にフォークをブッ刺し、仕返しにこのナイフを喉元に突き付けられたりした。
今となっては全てが懐かしい日々だ。
ミスタの遺体、ナランチャのナイフ。
この二つを発見したことが、何故かフーゴに楽しかったその日々が二度と戻らないものであると確信させたのだった。


なあミスタ…… お前は… お前たちは僕を売ったりしない……
そうだよな? 僕たちは仲間だったよな……?


ミスタは答えない。
孤独は死に至る病とはよく言ったものだ。
もはやフーゴの心は極限状態まで追い詰められてしまった。


「――――――露伴! てめえ――――――!!!」

その時、誰かのどなり声のようなものが聞こえ、フーゴはノロノロと起き上がる。
音源の場所はそう遠くは無いようだ。
あえて作業的にナイフと2発の手榴弾を懐に忍び込み、フーゴはミスタに無言の別れを告げ、走り去る。
あえて無関心を装うとこで、自分の中で整理をつけようとしていた。

住宅街を北に抜け、草原のような広場に出ると、さらに声のした方へ茂みの中を移動する。
しばらく進んだところで、言い争いをしている二人の日本人と、二人の仲間と思われる長身(アバッキオと同じくらいか)のラテン系の男を発見した。
向こうはこちらの存在には気づいていない。
しばらく様子を伺っていたら、じきに口論は収まり、三人で集まって何やら話し合いを始めた。



129 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:00:26 ID:bbYXhIYh

さて、これからどうするか…?
いや、どうするもなにも、選択肢はたった一つじゃないか。
殺すんだ、三人とも。
ブチャラティたちも、デスマスクの男も関係ない。
結局のところ、ポルナレフを殺したのだって僕ではなく吉廣だった。
僕は見ず知らずのあの三人を『殺す』ことで、けじめをつける。
そして、誰にも囚われない、僕自身の生き方を見つける。

懐から拳銃を取り出す。
このリボルバー式拳銃の装弾数は6発だが、今装填されているのは4発だ。
予備弾薬を持っていないわけじゃあない。
今はこれが『ベスト』なんだ。
先ほど別れを告げてきたこの銃の『元』所有者は、何故か知らないが病的に『4』という数字を嫌う男だった。
あえて残り『4』発にしておくことは、これが既に僕自身の銃であるという証明だ。
僕と、かつて仲間だった男との、決別の証しだ。


3人に動きがあった。
出発するようだ。
まずい、今を逃しては、チャンスは無い。

車椅子に座ったバンダナの男の後頭部に照準を合わせた。
そして、引き金を引こうとしたその時、もう1人の男と目があった。
気付かれたッ――!!

「露伴ッ!! 危ねえッ!!!」

僕は咄嗟に、引き金を引いた。





130 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:01:36 ID:hg53+JnL




「ぐわァァ!!」
「なッ―! お…億泰ッ!!」

轟音とともに撃ち出された鉛弾は、車椅子ごと露伴を突き飛ばした億泰の左肩を貫通した。
億泰の肩から血が溢れ出す。

「お…億泰ッ!! おいッ!! 億泰ッ!!」

車椅子から投げ出された露伴が億泰に駆け寄り声をかける。
肩を押さえて苦しむ億泰……急所は外れているようだが、この様子ではもう戦えそうもない。
その様子を見て、フーゴは舌打ちしながら茂みから姿を現した。
拳銃の扱いに慣れていないフーゴは、相手に気づかれてしまった以上、この距離では外すかもしれない。
走って距離を詰めながら、更に拳銃を構える。
露伴は咄嗟に億泰の体を背中に回し、フーゴからの盾になる。
フーゴにとってそれはむしろ好都合、狙いは今度こそ岸辺露伴。

「やばいッ!! 露伴ッ――――――!!!」

このままでは露伴が撃たれてしまう。
少し離れたところにいたシーザーだったが、2度目の銃撃を察知するや否や、無意識に走り出していた。

(――――岸辺露伴を守る――――)

そう、自分の意思とは関係なく、無意識に……。

(――――岸辺露伴を守る――――岸辺露伴を守る―――――)

ヘブンズ・ドアーの『命令』からは、何者であろうと逃れることはできない。
看守ウエストウッドがそうであったように……

(―――――守る――――守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る――――――――岸辺露伴を守る――――)


「…おおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!」

先ほどと同じ轟音が、今度は続けざまに3発。
間一髪、露伴たちの前に躍り出たシーザーの背中に3つの風穴が創られた。

「がふッ……」

身を呈して露伴たちの盾となったシーザーが、力なくその場に倒れる。
3発のうち1発は、確実に心臓直撃の軌道を描いていた。

思わず、フーゴは口元が邪悪に歪む。
初弾を撃ち込む前に気づかれてしまったのは誤算だったが、大したことじゃあない。
一瞬にして3人中2人をいとも簡単に戦闘不能に追い込んだのだ。



131 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:02:37 ID:hg53+JnL

時間にしてみれば、ほんの数秒。
たったそれだけの間に、億泰は撃たれ、さらにはシーザーまでもが撃たれてしまった。
二人とも、露伴の身代わりになったためだ。
それも、シーザーに至っては、ウエストウッドとまったく同じ。
自らが書き込んだ安易な命令の所為で、犠牲となってしまったのである。

愕然とする露伴を前にして、フーゴは冷静に弾倉を開くとポケットから4発だけ取り出した予備弾薬を装填し直し、あくまで冷酷な姿勢を崩さず、再び露伴の額に銃口を向ける。

「あっけなかったな、日本人。ま、君たちは運が無かったと思ってあきらめてくれ。
俺は君たちを乗り越えて、成長しなくちゃあならないんだ。悪く思うなよ…」
「ぐッ……!!」

ここで終わりなのか?
そんな考えが露伴の頭をよぎった。
フーゴは冷酷な態度を保ったまま、人差し指に力を込める。

「バカ野郎!! 露伴ッ!! どいてろオッ!!」
「何ッ!?」

露伴の体が大きく横方向に吹っ飛ぶ。
その影から、左肩を銃撃され重傷を負っているはずの億泰が露伴の体を払いのけ、スタンドを発現させた。

「『ザ・ハンド』ォォ!!!」
「な…! 貴様ッ!! スタンド使いかッ!!!」

ギャオン!という金属が抉れるような甲高い音と共に、億泰の繰り出したスタンド、『ザ・ハンド』の右手が、相対する二人の目の前の空間を掴み取った。
空間と、同時にフーゴの持っていた拳銃の銃身部分をごっそり削り落とし、そして―――

「な…何だこいつは…? 体が…吸い寄せられて……」
「くだばれやァァッ!!!」

億泰の目の前まで吸い寄せられたフーゴに、空間を削り取った『ザ・ハンド』右手の返しの裏拳が炸裂した。



132 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:04:08 ID:hg53+JnL

「おい…お、億泰… 貴様、あの傷でどうやって……!?」

フーゴを吹き飛ばした後、苦しそうに顔を歪ませながらも立ち上がった億泰の姿を見て、露伴は絶句した。
銃で撃ち抜かれたはずの億泰の左肩は、溶接された金属のように奇妙な形に抉れ固まっていた。
「『ハンド』でよォ……撃たれた部分を…削り取ったッ!! 俺の『ハンド』で削り取られた部分は……『接合』するッ! あの状況で肩の出血を止める方法はこれしか思いつかなかった…! 俺…、頭悪ィからよォ…」
「億泰……貴様、本当に馬鹿じゃあないのか…?」

ニカッと笑う億泰に、露伴はやれやれとため息をついた。

「……そうだ! シーザーの奴は大丈夫なのか!? ジョルノの野郎なんかに頼るのは癪だが、この際しようがねえ! 急いで連れてって手当てしないとやばいんじゃねえのか?」
「……いや、恐らく…… 手遅れだ…… シーザーは……」

声のトーンを落として、露伴が答えに詰まる。
露伴はシーザーの撃たれるのを目の前で見ていた。
3発の弾丸…そのうちの1つが心臓のちょうど裏側に銃創を作っていた。
あの銃撃の位置は…、急所だ……




「……『空間を削り取る』スタンド使い、か…… なるほど、油断していた……」


突然、むくりと影が起き上がり、声を発した。
億泰たちが驚いて振り返ると、そこには『ザ・ハンド』の一撃によって吹っ飛ばされたはずのフーゴが立ち上がり、再びこちらに殺気を放っている。

「馬鹿な……『ハンド』の一撃を肉体で受け…立っていられるわけが…… ハッ!」

そして、フーゴの後方に佇むもう一つの影。
フーゴのスタンド、『パープル・ヘイズ』。
『ザ・ハンド』の一撃が決まる瞬間、フーゴは間一髪でスタンドを繰り出し、防御に成功していたのだ。

「この短期間で拳銃を二挺とも失ってしまうとは流石に計算外だったが、まあ仕方がない。
そして、オクヤスにロハンと言ったな? 貴様らを僕が成長するための『試練』であり、『敵』であると改めて認識しよう…」
『うばぁしゃぁぁぁぁぁあああ!!!』

フーゴの『パープル・ヘイズ』の拳から3発のカプセルが二人を目がけて撃ち出される。
対する億泰も、応戦すべく『ザ・ハンド』を繰り出した。が――


「まて億泰ッ!! 不用意に応戦するなッ!! こいつはやばい!! 何だかわからんが、とにかく『普通じゃあない』ッ!!!」

露伴の言葉に、億泰たちは身を翻してカプセル群を回避した。
目標を外した3発のカプセルは偶然にも直線状にあったウエストウッドの遺体に着弾、途端に大量発生したウイルスに浸食され、ウエストウッドの体は腐った果物のようにドロドロに溶かされてしまった。
ウイルスは室内灯程の光にあたると死滅するほど光に弱いものだが、既に日は落ちている。
暗闇とはまではいかなくとも、ウイルスの感染力は昼間の数十倍であった。

「なッ…!? なんてえげつねえスタンド能力ッ!! 露伴、こいつひょっとして…」
「ああ、間違いない。猛毒カプセルのスタンド使い……ジョルノやブチャラティが言っていた『パンナコッタ・フーゴ』だ……!!」
「なッ!!!」





133 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:04:51 ID:hg53+JnL
こいつらッ!? 僕の名前を知っている!? いや、名前だけじゃあない!
スタンド能力を知っていた!? しかも…ジョルノやブチャラティに聞いただとッ!?
そういえば…さっきも奴ら『ジョルノの野郎』がどーのとか言っていた気がする。
こいつらはジョルノたちから僕のスタンドの秘密を聞いていた!?
……あのデスマスクの男と同じように―――


先刻のコロッセオでの情報交換にて、ジョルノたちはフーゴのスタンド能力についての情報を彼らに与えていた。
しかし、それは『パープル・ヘイズ』が味方にも被害が及びかねない危険なスタンドであること、そして、一刻も早くフーゴとの合流を行うためには能力を知るものがいた方がよいとブチャラティが判断しただけのことであり、他意は無かった。
そもそも、ボスへの裏切りやフーゴとの決別のことはジョルノ・ブチャラティの両名にとっては未知の出来事であり、信頼を置いているフーゴを警戒する道理はなかった。


―――そうか……やはりあのデスマスクの男が僕のスタンド能力を知っていたことも、こいつら同様、ブチャラティたちがあちこちで言いふらしていたということか……
もうチームでも仲間でもない僕が、この殺し合いの中でどんどん不利になるように……
そうか……そういうことなのか……


しかし、ミスタの死、ナランチャのナイフを見せつけられ心身ともにボロボロになり、さらに彼らに対し一度疑いを持ってしまった。
人間とは一度間違った結論に達してしまうと、それ以降に別の思考を続けることは難しい。
今のフーゴにとって、露伴の一言は勘違いを起こさせるには十分だった。
精神的に追い詰められていたフーゴの最後の心の拠り所は、木っ端微塵に砕かれてしまった。


「クク……フッハッハッハッハッハッ!!!!!! フハハハハハハハハ!!!!」

突然の高笑いに、億泰たちは背筋が凍る。
人間が壊れていく様を見せつけられたようだった。

ブチャラティ…ジョルノ……
君たちが僕のことを仲間じゃないというのなら、もうそれでいい。
この殺し合いは『乗る』ことが正解だったんだ。
ブチャラティもコロス。
ジョルノもコロス。
ノリアキもコロス。
デスマスクの男もコロス。
こいつらも、どいつもこいつもみんなコロス。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。


「どいつもこいつも皆殺しだァァァァァァッ!!!」




134 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:05:39 ID:hg53+JnL


完全に吹っ切れたフーゴは、さらに新しいカプセルを生み出し、億泰たちに攻撃を開始した。

「こいつはマジでやべえ! 露伴ッ! お前は引っ込んでろッ!! こいつの相手は俺がやるッ!!!」
「な、何だとッ!? 貴様、この岸辺露伴に尻尾を巻いて逃げろと言うのかッ!?」
「そう言ってんだよボケッ!? お前のスタンドで何ができるッ!? 足手纏いになる前にとっとと行きやがれッ!!」

『ザ・ハンド』を出現させると、億泰はそのまま露伴の元を離れ、フーゴに向かって駆け出した。

「畜生ッ!! この岸辺露伴が…ブザマだッ!!」

結局、無力な露伴は引き下がるほか無かった。






向かい来るウイルスのカプセルを、ある時は回避し、ある時は『ザ・ハンド』で削り取る。
とくに着弾コースのカプセルだけは確実に消滅させなければならない。
一発でも喰らってしまえば、敗北は確定、死に直結する。

「しぶとい野郎だッ!! バターのようにドロドロに溶かしてやるよッ!! この腐れ脳味噌がァァ!!!」
「ほざけッ!! てめえこそ、今度こそそのハラワタ抉り取ってやるぜ!! 虹村億泰をなめるなよッ!!!」

一方のフーゴも、先ほど『ザ・ハンド』になめてかかり、痛い目を見ている。
『ザ・ハンド』の射程距離(=『ザ・ハンド』に引き寄せられる範囲)にまで近づけば、今度はフーゴのわき腹が先ほどの拳銃と同じようにえぐり取られてしまうかもしれない。
向かい来る億泰と『ザ・ハンド』に対し、カプセルを射出しながらも一定以上の間合いを保ち、逃げ回りながらの攻防を続けていた。


僕のウイルスをここまで無効化してくるスタンド使いは初めてだ…
スタンド同士の接近戦に持ち込めれば手っ取り早いのだが、そんな単純な攻め方だとさっきのように吸い寄せられて反撃を喰らってしまう。
スタンドのパワー自体は(防御が成功したことから考えて)負けてはいないハズだが、空間を削り吸い寄せる力を考えると、相対的なスピードでは奴のスタンドの方が上だろう。
さて、どうしてやろうかな……


一進一退の攻防を続ける中で、僅かに有利な立場にいたのは億泰である。
フーゴのスタンド『パープル・ヘイズ』のウイルスの殺傷能力はかなりのものだが、拳からカプセルを射出する速度は対して速くない。
カプセルが割れてしまう前に『ザ・ハンド』で消してしまえば、決定打とは成り得なかった。
くわえて戦況的に『追いかけながら戦う』かたちの彼は、『追われながら戦う』かたちであるフーゴと比べ、いつでもこの戦いを放棄することができる。
あの『ジョースター家の伝統』のように、突然攻撃をやめ逆方向に逃走すれば、恐らく逃げ切ることだって可能だろう。
だが―――



135 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:06:28 ID:hg53+JnL

んなことできっかよォ!
この野郎は有無を言わさず俺たちを殺す気で攻撃してきやがった。
ジョルノやブチャラティは『仲間』だと言っていたが、こいつはもう『こっち側』じゃあねえようだ!
こいつをここで逃がしちまったら、こいつはまた別の参加者を殺して回る。
……早人も、殺されちまうかもしれねえ………
そんなことは絶対ェさせねえ!!
こいつはッ! 今ここでッ! 俺が必ず叩きのめすッ!!

逃げるフーゴのスタンドからカプセルが飛来する。


1発目ッ!!
『ハンド』ッ! 消すッ!!!

つづけて2発目ッ!!
こいつも消すッ!!!

足元に3発目ッ!!
スタンドで地面を蹴って避けるッ!!!

さらに距離を詰めて4発目ッ!!
消すッ!!

5発目のカプセルもさらに距離を詰めながら消し―――
ついにフーゴが億泰のスタンドの射程距離に入った。


勝ったッ!!
次の6発目のカプセルを消すと同時に、削り取った空間でフーゴの野郎を引き寄せる。
さらに次の一撃で、今度こそフーゴのどてっ腹をそぎ落とす。
それで、すべて終わりだッ――――

撃ち出された6発目のカプセルに向かって、『ザ・ハンド』の掌を振りかざす。
億泰が勝利を確信した瞬間、宙を舞う手のひらサイズの球状の黒い物体が目に映った。




手榴弾ッ!! まずいッ――――――ッ!!



6発目のカプセルと同時に放たれた、カプセルとは異なる放物線軌道。
『ザ・ハンド』で消すことはできないッ!
防御することも間に合わないッ!!

「スマンなオクヤスッ!! 俺の勝ちだッ!!!」


手榴弾の爆音が辺りに響き渡った。




136 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:07:17 ID:hg53+JnL



迎えうって出た億泰に対し、フーゴは逃げながら戦うという戦法を取った。
二人は戦いながら徐々に距離が離れていき、やがて姿が見えなくなる。
億泰たちが走り去ってから、露伴は途方に暮れていた。

一発目の奇襲の時…
接近してきたフーゴに拳銃を向けられた時…
そして今…

3回…… 3回だぞ……
この露伴が…… あの億泰に…… あの…『億泰なんぞ』にッ―――!!!
この短時間にッ―――

3回も助けられた―――だと―――――

なんてザマだ……岸辺露伴………
こんな惨めな気分は初めてだ………

僕のスタンド、『ヘブンズ・ドアー』はスタンドで敵本体に触れられるほど接近しないと攻撃することはできない。
億泰の『ザ・ハンド』とは違い、『パープル・ヘイズ』は僕にとって最も相性の悪いスタンド使いと言えるだろう。
康一君の『エコーズACT3』なら、ウイルスのカプセルを奴の足元に落としてやることもできるだろう。
もしくは、あのウイルスは感染前なら光で殺菌できると(ジョルノたちから)聞いているが、『ACT2』で「ピカー」とでも発現させれば殺菌も可能ではないだろうか?
仗助の『クレイジー・D』で飛来するカプセルを殴れば、カプセルは『ヘイズ』の拳に戻すことができるかもしれないし、承太郎の『スター・プラチナ』で時を止めればカプセルを炸裂させる前に倒しきれるだろう。

ならば、僕には何ができる?
『ヘブンズ・ドアー』では、一体何ができる?


ウエストウッドの遺体に目をやる。
先ほどのウイルスにやられ、遺体は既に元の形を失っていた。
これ以上近づくとウイルスに感染してしまうかもしれない。
次にシーザーに目をやる。
僕を庇って、銃弾の盾となってしまった。
二人とも、僕の身勝手な『命令』の所為で死んだようなものだ。
貴様らを犠牲にして生き残った僕に……一体何ができる?


「…………っ……!」
「―――――――ッ!!?」


露伴の無言の問いかけに、ごく僅かなうめき声が答えた。


まさかッ!? そんなッ!?
目の前で心臓を撃ち抜かれていたんだ!!
生きているはずがないッ!!

そう思いながらも、うつ伏せに倒れるシーザーに駆け寄る。
左背中から心臓を撃ち抜かれたはずのシーザーが、僅かながらまだ呼吸をしていた。

シーザーはまだ生きていた。




137 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:08:10 ID:bbYXhIYh



「ヤ…ヤバかった! 今のはマジでヤバかったッ!」


上方から迫る手榴弾を察知した億泰は、既に6発目のカプセルに掴みかかっている『ザ・ハンド』の肩を踏み台にして、本体自らが手榴弾を空中キャッチ、爆発前にそのまま中空に投げ捨てることで間一髪の回避をしていた。
億泰を仕留めそこなったことで、あからさまな舌打ちをするフーゴ。
バックステップで再び『ザ・ハンド』の射程距離外まで間合いを広げると、懐からもう一発の手榴弾を取り出し、億泰に見せつけるように右手に握りしめる。


「まったく本当にしぶとい男だな、君は……。
まあいい、手榴弾は『まだ』ある…… 次こそは間違いなく仕留めてやるよ……
行けッ! 『ヘイズ』ッ!!!」
『うごあォァ――――――――ッ!!』

フーゴは手榴弾のピンに指をかけたまま、『パープル・ヘイズ』の拳から再びカプセルを射出させた。



――――わかった―――――6発だ―――――

一方、億泰は今の攻防を観察して、『パープル・ヘイズ』の弱点を一つ発見していた。


奴のスタンドはウイルスのカプセルを1発ずつしか撃ってきていない。
もし大量に何発も撃ってこられるのだとしたら、『ハンド』で捌ききれないほどの連射をすればいいからだ。
それができないということは、カプセルを一つ生み出すにはそれなりの時間がかかる。
『スター・プラチナ』が連続して時を止められないのと同じように、奴の『パープル・ヘイズ』もカプセルを一つ使えば、新しいカプセルを作るのに僅かな時間がかかる。
1発ずつ撃つことで、作り出すカプセルに時間差が生まれ、弾切れを防いでいるということだ。
問題は、カプセルの数……
さっきは右拳からのカプセルを3発さばき、次に左拳からの3発目のカプセルと同時に手榴弾を放ってきやがった。
俺が手榴弾を回避した直後に7発目のカプセルを撃たれていたら、今度こそ回避しきれずにウイルスを浴びていただろう。
奴は7発目を撃たなかったんじゃあなく、撃てなかったんだ。
『パープル・ヘイズ』は右拳に3発、左拳にも3発、計6発のカプセルしか同時に作り出すことはできない、そういうことか!




138 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 00:09:44 ID:hg53+JnL

それさえわかればこっちのものだ、と、いつになく聡明な億泰は再びフーゴとの距離を詰めにかかる。
『パープル・ヘイズ』が右腕をかざす。

1発目ッ!!
2発目ッ!!
3発目ッ!!

先ほどと同じように、向かい来るカプセルを『ザ・ハンド』で華麗に処理していく。
右のカプセルを3発とも撃ち終えた『パープル・ヘイズ』が次に左腕の拳を億泰に向ける。
そして、左拳から4発目のカプセルが射出されようとする直前―――


「今だァァッ!! 『ザ・ハンド』ッ!!!」

突き出された『ヘイズ』の左拳の目の前の空間を『ザ・ハンド』の右腕が空振る。
そして、削り取られた空間に吸い寄せられるように、『ヘイズ』の左拳に備えられた3つのカプセルをすべて吸い寄せる。
そして、『ハンド』の掌をひるがえし、3つのカプセルすべてを消し去った。

「なァ―――」


よしッ!! フーゴの攻撃のリズムが狂ったッ!!
左拳を掲げた瞬間にカプセルを引き寄せ、すべて消滅させる。
1発ずつ撃ちこんでくる予定だったフーゴは5発目、6発目のカプセルで俺を足止めすることができなくなった。
右手の1発目のカプセルが復活するまでにはまだ数秒かかる。
カプセル2発分の時間の猶予が、フーゴを丸裸にした。

『パープル・ヘイズ』のウイルスを使いきってしまったフーゴは、焦ったような手つきでその手に握る手榴弾を投げつける。
今度は山なりの放物線ではなく、億泰に向かって直球だ。
だが――


「どらァァ!!!」

カプセルを失ったフーゴが苦し紛れに手榴弾を放ってくることなど予想の範囲内。
さっきみたいに『カプセルと同時』でない限り、爆発前に俺の『ザ・ハンド』でカンタンにかき消すことができる。
そしてこの距離なら手榴弾を消すと同時にフーゴ本体を『ハンド』の射程内に引きずりこめる。





139 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:15:01 ID:2TAvHDaX
さるさん? 支援

140 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:20:17 ID:2TAvHDaX
かつて億泰の頭がここまで冴えていたことがあっただろうか?
『ザ・ハンド』の掌が投げつけられた手榴弾を消滅させる。
そして、引き寄せられたフーゴ本体に向かって、再び『ザ・ハンド』の掌を振りかざす。

「今度こそ終わりだッ!! くたばれッ!! フー――」






問題があったとすれば――――


「ゴッ―― ふッ………」


億泰の胸に、小さな鉛の弾が貫通した。
何をされたかもわからぬまま、膝を付きそのまま地面に倒れる億泰。
スタンドを発現させることもままならず、そのまま気を失ってしまった…。


「―――――ァァんてなァッ!!!」

戦いに勝利したフーゴが、邪悪な笑みを浮かべる。
億泰の胸元を貫いたのは、フーゴのポケットにまだ残っていたリボルバー式拳銃の予備弾薬。
撃ち出したのは、いまだ新しいカプセルを精製しきれていない『パープル・ヘイズ』の右腕。
かつて承太郎と仗助の二人が『虫食い』と呼ばれるスタンド使いの鼠を『狩り(ハンティング)』したときに用いたものと同じ攻撃方法である。
『ザ・ハンド』の掌が手榴弾を消し去った直後、手榴弾と同じ軌道に弾丸がはじき飛ばされる。
スタンドの破壊力Aを誇る『パープル・ヘイズ』から撃ち出された弾丸。
それが『ザ・ハンド』によって削り取られた空間によりさらに加速度的にスピードを増し、億泰の胸を貫いた。
『スター・プラチナ』でもない限り、この超スピードを受け止めることは不可能である。



一つ目の手榴弾で仕留めきれなかったときから、次の攻撃方法は『これ』と決めていた。
どんなド低能だろうと、僕のウイルスカプセルの数に限界があることはそのうち気づく。
最後の手榴弾をあらかじめ見せつけておいたのも、一つ目がばれた以上、隠し持って変に警戒されるより相手の動きが読みやすくなるから。
また、カプセルを使いきらされてしまったことと手榴弾を投げつけることで、オクヤスの注意は『パープル・ヘイズ』のヴィジョンから『僕本体』へと移る。
そして丸裸になったように見せることで、精密動作の苦手な『ヘイズ』でも弾を外さない距離まで接近してきてくれる。

ウイルスカプセルは囮……
手榴弾も囮……


すべてフーゴの計算通り。

億泰に問題があったとすれば、フーゴがそれ以上に頭の切れるIQ152の天才であったことだ。

141 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:21:21 ID:2TAvHDaX
「さて……即死は免れたようだな…… 心臓を撃ち抜けば一撃だったんだが、まあ『ヘイズ』にしちゃあ上出来か」

気絶した億泰に歩み寄り、『パープル・ヘイズ』の拳を振り上げる。
当然、ウイルスカプセルはすべて復活済みだ。


「とどめだッ! オクヤスッ!!!」


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!!」


『パープル・ヘイズ』の拳が振り下ろさせるより早く、突然現れた大男の金色に光る右腕がフーゴに炸裂した。
波紋による呼吸と鍛え抜かれた身体によって驚異的な速さでの全力疾走。
フーゴを殴りとばしたその男は気絶している億泰に声をかけた。


「待たせたなッ!!」

シーザー・アントニオ・ツェペリが助けに来た!!





露伴が目撃していた通り、銃創は確かにシーザーの背中、心臓の位置に作られていた。
だがよく観察してみると、心臓を撃ち抜かれたにしてはシーザーの出血量は比較的少なかった。
銃弾は心臓に達していなかった。
皮膚を貫いた数ミリの地点…心臓の手前で銃弾は止まっていた。
『くっつく波紋』と『はじく波紋』……
以前に見たシーザーの記憶を思い出す……
撃たれる瞬間、シーザーは咄嗟に波紋で防御をしていた。
『はじく波紋』の力は間一髪のところでシーザーの致命傷を防いでいたのである。

とはいえ、シーザーが重傷であることには変わりない。
すぐに治療をしなければならないが、露伴に傷を治す能力は無い。
だが――――


「『ヘブンズ・ドアー』ッ――――ッ!!」

―――――『波紋の呼吸で傷を治療する』―――――


露伴は以前、シーザーから波紋での治療を受けていた。
露伴に波紋は使えない。
ならば、シーザー自身に自分の治療をさせればいい。

僅かながら呼吸ができているということは、波紋の呼吸に必要な『肺』は無事であるということ。
シーザーは気を失ってはいたが、『ヘブンズ・ドアー』に『命令』されたのなら『無意識的に』でも波紋の呼吸を行うことは可能だ。


じきに目を覚ましたシーザーは露伴に事情を聞かされ、すぐさま億泰の加勢へと走った。
治療の『命令』を書き込んだ時、同時に露伴は以前の命令を取り消していた。
これでシーザーは露伴の命を第一に考える必要が無くなり、億泰の助けに向かう事が出来た。

この時すでに億泰とはかなりの距離があり、正確な位置は分からなかったが、手榴弾の爆発音がシーザーを導いた。
そして、すんでのところで何とか億泰を助けることができたのだ。

142 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:22:07 ID:2TAvHDaX



「弾は貫通しているが、重要な臓器は外れている。命に別状はないな……」

シーザーは億泰の傷口に手を添え波紋を送り込む。
傷口は光を帯び、やがて塞がっていった。
しばらくすれば意識も取り戻すだろう。


「チッ……死に損ないめ…… 確かに心臓を撃ち抜いたはずなのに!!」


殺したはずの男が目の前に現れた。
それに、今見せたこいつの光る能力……強力な治癒能力でも持っていたのか?
……まあいい、どのみちオクヤスはしばらく目を覚まさないだろう。
あの『空間を削り取る能力』さえなければ、『パープル・ヘイズ』の敵ではない。

「勝つのはこのパンナコッタ・フーゴだッ!! 依然変わりなくッ!!」
『ぐああるルォァァアアア!!!!』

体勢を立て直したフーゴが『パープル・ヘイズ』でシーザーを攻撃する。
迎え撃とうとするシーザーに迫るその拳を―――――


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!」


―――素手で払い除けるッ!!!
カプセルが炸裂し飛び出したウイルスは、シーザーの体に触れた瞬間―――
蒸発するように消えてしまった。


「なッ!!! 何だと――――――ッ!!!!」
「ずああぁぁぁッ!!!」

シーザーの拳がフーゴの顔面に炸裂する。
吹き飛ばされかなりのダメージを受けたフーゴだったが、それでも何とか立ち上がる。

「バ…馬鹿なッ!! 『ヘイズ』ッ!! こいつを殺せェッ!!!」

スタンドパワーを振りしきり、『パープル・ヘイズ』はカプセルを射出する。
そのカプセルをシーザーは素手で受け止め、握りつぶす。
ウイルスは、再びきれいさっぱり無くなってしまった。

「何故だッ!! 何故効かないッ!! 何故感染しないんだァ――ッ!!」

「残念ながらフーゴ…… シーザーにきみの能力は通用しないよ」

激昂するフーゴの問いの答えたのは、いつの間に現れたのか、シーザーに遅れて現場にかけつけた岸辺露伴だった。

「きみの『パープル・ヘイズ』のウイルスは光に弱いそうだね。ジョルノによれば、室内ライトの光ですら数十秒で殺菌されてしまうと……
その話を思い出し、そして思いついたんだよ…… 室内ライトですらそれなら、仮に『太陽に匹敵する光エネルギー』を与えてやれば、ウイルスを完全に無効化できるんじゃあないかってね……
『太陽と同等のエネルギー』をもつ、『波紋』の力ならね!」

露伴の仮説は当たっていた。
全身に『波紋エネルギー』を帯びたシーザーの体は『パープル・ヘイズ』のウイルスのパワーをはるかに凌駕していた。
『波紋』の前に、『パープル・ヘイズ』のウイルスは全くの無力!
無論、波紋でウイルスを無効化できることは、ここに来る前にウエストウッドの遺体に残ったウイルスで検証を終えている。

143 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:23:21 ID:2TAvHDaX
「クソッ……そんな馬鹿な…… チクショオォォ――――!!!」

もはやただの我武者羅。
ウイルスが効かないならスタンドでの格闘だ、と、フーゴは『パープル・ヘイズ』で攻撃を仕掛ける。
しかし、そんなもの所詮は悪足掻きでしかない。

「遅えよッ! 『シャボンランチャ―――』ッ!!!」

中性洗剤を利用した、シーザーの必殺技に込められた『波紋』のスパークが炸裂する。
直撃受けたフーゴは火傷するような熱と強い電流を同時に浴びせられたような痛みを全身に受け、倒れる。
もはや敗北は確定的だった。



なんて奴だッ――― 『パープル・ヘイズ』のウイルスを無効化できる奴がいるなんて……
『波紋』だとッ? 『空間を削り取る能力』なんか比ではない。
この『波紋』は『ヘイズ』にとって天敵中の天敵ッ!!
100%勝ち目がないじゃあないかッ―――ッ


「シーザー! 気をつけろよッ!! まだ手榴弾を隠し持っているかもしれんッ」

僕にとどめを刺そうとするシーザーに、ロハンが注意を促す。
やはり、さっきの一つ目の手榴弾の爆発音を聞いていたか……
残念だな、二つで打ち止めだ、生憎もう持ってないよ……
苦しみながらも何とか立ち上がった僕とにらみ合ったまま、シーザーはジリジリと距離を詰めてくる。
どうにかして逃げるしかない。
僕が懐に手を突っ込むと、シーザーの表情に警戒の色が強まる。
手榴弾はもう無いが、『こいつ』でなんとか隙を作ることができれば……
そんなことを考えながらシーザーとのにらみ合いが続き、しばらくしたところ……


「露伴さん……? それに…… 億泰さん………?」


僕の背後から、少年の物と思われる声と、その気配が感じられた。

「来るな早人ッ!! 逃げろ――ッ!!!」

ロハンが叫ぶと同時に、僕は目を閉じて、懐で握りしめていた『それ』を地面に叩きつけた。
一瞬でもシーザーに、『それ』が手榴弾であると思わせればよかった。
『それ』は地面に達した瞬間、小さな炸裂音と激しい光を発生させた。

144 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:25:07 ID:2TAvHDaX



川尻早人はエシディシに逃げられた後、吉良吉影を探し出し利用するため、住宅地を中心に当てもなく彷徨っていた。
そしてコロッセオの北部の住宅地のはずれに行き着き、そこで何かの爆発音が聞こえた。
フーゴが投げた一発目の手榴弾の音だ。
それを、吉良吉影の『キラー・クイーン』の爆発音だと勘違いした早人は、その音が聞こえた方角へ走った。
辿り着いた先にいたのは、向かい合う二人の外国人。
そして、自分の知り合いである岸辺露伴、倒れているのは虹村億泰だ。
とっさに露伴たちに声をかけたら、露伴から帰ってきたのは「逃げろ」という叫び声……
次の瞬間、激しい光が目を襲い、そして……




「来るなァ!! 誰も来るなァァァァ――――!!!!」

視力が回復したシーザーたちが目にしたのは、川尻早人を羽交い絞めするように抱きかかえ、喉元にナイフを押し付けているフーゴの姿だった。
フーゴが炸裂させたのは、手榴弾ではなく閃光弾。
半日ほど前に二挺の拳銃と同時に荒木から特別支給されたものの最後の一発だ。
フーゴがまだ手榴弾を隠し持っているかもしれないという先入観があったシーザーは、炸裂する閃光弾にやや身をたじろがせた。
その僅かな隙をついて、フーゴはナランチャのナイフを取り出し、早人を人質に取ったのだ。


「動くなッ!! 全員動くなよッ!! 一歩でも近づきやがったら、この子供を殺すッ!!!」

まさに追い詰められた極悪人の姿。
フーゴに残された選択肢は、見ず知らずの小さな少年を盾にして逃げることだけだった。

「早人ォ――――ッ!!」
「貴様! その子を離せッ!! このクソったれの外道がァッ!!!」

ロハンとシーザーが叫んでいる。
『クソったれの外道』か…… まさに今の俺にお似合いの言葉だな。
見ず知らずの三人を奇襲し、皆殺しにすることで『けじめ』をつけるつもりだった。
そして、他の参加者たちをもすべて殺し、優勝するつもりだった。
それが、結局一人も殺せないまま返り討ちにあった。
ブチャラティたちにも見捨てられちまったみたいだし、挙句の果てには親友のナイフを武器にして、無力な子供を人質にして逃げようとしている。
こんな惨めな姿は無い。

「お兄さんッ!! 僕にかまわないでッ!! こいつを倒すんだッ!!」

拘束された早人が、依然フーゴとの睨み合いを続けるシーザーに向かって叫んだ。
焦ったフーゴは早人の首に回した左腕にさらに力を込め、声が出ないように締めつけた。
しかし、早人の勇気ある言葉は、逆にシーザーの動きを封じさせる結果となる。
この少年をこんなところで死なせてはいけない。
シーザーの心にそんな思いがよぎり、動きを完全に止められてしまった。
逃げ切れる、フーゴはそう確信した。

145 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:26:57 ID:2TAvHDaX

「早人から手を離せ……」

その時、フーゴの背後からさらに別の人物の声が聞こえた。
悪魔のような、しかしどこか優しさを帯びた低音。
その声が聞こえたと同時に、フーゴはナイフを持っていた右手首が、いつの間にか関節の逆方向に折り曲げられている事に気がついた。

「無事か、早人…… そして… ずいぶん早い再会になったな、フーゴ……」
「きッ―貴様はッ―――!!!」

そして次の瞬間、早人を拘束していた左腕も、肘のところから逆方向に折り曲げられていた。

「ぐわァァァァァァッッッ――――――」
「ディアボロさんッッ!!」

痛みに絶叫するフーゴ。
そして、フーゴの腕から解放された早人が、その男の名を呼んだ。
手榴弾の爆音、加えて閃光弾の激しい光……
それらに導かれたのは早人だけではなかった。
ポルナレフの埋葬を終え、DIOの館を目指して北上していたこの男……
ディアボロもまた、この戦いの場に駆けつけたのだった。


こいつはッ――デスマスクの男ッ―――
ディアボロだと……!?
聞いたことのない名だ――!
やはり時を止める『空条承太郎』では無かったのか?
いや、さっき見せたこいつの能力は……
吉廣を奪われた時と同じだが… あの時は気が付かなかったが……
『時を止める』というより、『時を飛ばす』能力と言った方がしっくりくる。

「フーゴ…… 俺は貴様を逃がしはしない…… 貴様の引導は、必ず俺が渡してやると決めていた………」





『時を飛ばす』……そうだ、その表現が一番しっくりくる。
そして、この感覚…… 覚えがある……

『ジョルノ… すまないが水を取ってくれないか?』

そう、あの時だ。
この世界に連れてこられる直前。

『礼言ったっけ? ジョルノ… 言ってないよな。水取ってもらって……』

護衛の任務を終えて、ヴェネチアのマジョーレ島でブチャラティの帰りを待っていた時。

『何か…! 奇妙だ!! 何かわからないが…! 奇妙な雰囲気だッ!』

そして、このデスマスクの男は、僕のスタンド能力を知っていた。
ブチャラティたち、チームの仲間以外で僕の能力を知っている可能性がある者が、もう一人いたじゃあないか……!!

『たった今! 俺が『ボス』を『裏切った』からだッ!』

146 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:28:56 ID:2TAvHDaX
「ポルナレフの報いを受けろ―――」
「貴様ッ!! 組織のッ――――――」

『バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル……』

言い切ることなく、フーゴの意識はそこで途切れた。
すでに『パープル・ヘイズ』を発現させる力も残っていなかったフーゴに、ディアボロの『キング・クリムゾン』による怒涛のラッシュを防ぐ手立ては無かった。

「ヴァオールインフェルノ!!!(地獄に行け!!)」

突然の奇襲から始まった億泰・露伴・シーザーたちとフーゴの戦いは、激戦の末、早人・ディアボロの介入をもって、ここに終結した。







「億泰、ジョルノ、そして早人が出会ったという『エシディシ』という男……、やはり俺がサウンドマンから聞いた『民族衣装を纏った2メートル程の怪人』と同一人物だと思うか?」
「ああ、間違いない。エシディシは俺の時代…、西暦1939年に俺やジョジョの敵だった男の一人だ。『柱の男』と呼ばれている… 人間や吸血鬼を超えた、最強の生物だ」
「人間の可能性…… 人間と他の動物の違いを探しているとも言っていた……
目的はわからないけど、自分に向かってくる人間を迎え撃つことを楽しんでいるみたいだったよ」
「残る波紋使いがお前とジョナサンの二人しかいないとなると、お前がエシディシ討伐の切り札ということになりそうだな。
それにそのサウンドマンとかいうインディアン… 億泰の奴も一度会ったと言っていた。
どうにか見つけて取材……いや、話を聞いてみたいものだ」


フーゴを倒した彼ら四人は、気絶した億泰をディアボロが抱え、一番近くの民家へ移動した。
自分のもといた時代や元々の仲間のことから、この世界に来てからであった人物や自分の行動など、事細かな情報交換と今後の作戦会議が行われた。
その中でも主な内容が、柱の男『エシディシ』について、殺人鬼『吉良吉影』について、やたら悪評ばかりを聞くジョースター家の宿敵『ディオ・ブランドー』について、
そして―――

「ジョセフの祖父が狂気に走っている… というのが未だに信じられない。まさか、あのジョセフの……」
「ああ、俺もそれだけが一番の不安なんだ… だが、現場の状況を見るに、ほぼ間違いない……
ブチャラティの部下のミスタという男、ウエストウッド、そしてスピードワゴンさん……
少なくともこの三人を殺したのはジョナサン・ジョースターだと思われる」

ジョセフの祖父・ジョナサンは自分の親友であるはずのスピードワゴンまでをも殺している。
自分はジョルノに「DIOの息子など信用できない」と言ったが、今となっては、血縁など信用とは無関係な物のようにも思えてきた。
ジョルノに対する考えを改める必要があるかもしれない。
そして、やはりジョナサンとは直接会って確かめてみる必要がある。

「だから俺たちはこれから『DIOの館』に行くところだったんだ。ジョナサンがそこへ向かった可能性は高いと思われる。
それに、DIOの友人だとかいう『プッチ神父』とやらが何故死んでしまったのかも気になるしな」
「僕はもう遠慮しておくよ。自宅がどうなっちまったかは気になるが、さっきの戦いで少し疲れた。
それに早人をそんな危険な所へ連れていくわけにもいかないだろう? 行くなら君たち二人で行ってくれよ」

もとより、シーザーはそのつもりだった。
言っちゃあ悪いが露伴のスタンドは戦闘向きとは言い難く、今回のように足手纏いになってしまうと不利になる。
億泰もまだ気を失っているし、治療したとはいえ銃弾で胸を貫かれているのだ。
さらに『ハンド』で強引に左肩の傷の接合を行ったことや、連続したスタンド能力の酷使で体力を消耗している。
対するディアボロの戦闘能力の高さは先ほどの戦闘で証明済みだし、早人を露伴たちに任せて二人で行くのが妥当であると考えていた。

147 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:30:36 ID:2TAvHDaX
「それと最後に、早人が出会ったという露伴の『ニセモノ』というのも気になる。
もしかしたら姿を自由に変えられるスタンド使いかもしれん…… 見知った顔に出会っても、全員油断はするなよ……」

そうディアボロが締めくくり、会議が終わった。
いつまでもこんなところに留まっていても仕方がない。
ディアボロとシーザーが立ち上がり、出発の準備をした。


「よし、では俺たちはそろそろDIOの館へ向かうことにする。お前たちは億泰が起きるまでここに隠れていろ。
そして、億泰が目を覚ましたら、頃合いを見計らって『ナチス研究所』に向かうんだ。サウンドマンによればそこで脱出を目指す人間が仲間を募っているようだし、ジョルノたちもそこへ向かうと言っていたのだろう?
露伴、もしジョルノたちに会えたらそのときは、頼んだぞ……」
「ああ、『ボスからの伝言』だろ? 覚えているぜ。
『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
………どうだ?」
「完璧だ。かいつまんで要点を伝えてくれればいいと思っていたが、すごい記憶力だな」


ディアボロは、できる限りジョルノたちとの戦いを望んではいなかった。
ジョルノたちが『裏切る以前の時間』から連れて来られたことは露伴の話から推測がついたが、直接接触してしまえばあらぬ誤解から説得前に戦闘になってしまう可能性があった。
ジョルノたちを説得するのは、ジョルノを知るこの岸辺露伴に『伝言役(メッセンジャー)』をさせるのがベストだと考えた。
そして、伝言を文章と紙に残してしまうと、露伴の身にもしもがあったとき、ディアボロの情報が第三者に漏れてしまう危険もある。
記憶力の高い露伴に、『伝言役』はまさに適任だった。

148 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:32:16 ID:2TAvHDaX
「じゃあ、行ってくる。伝言と…『あいつ』の事もな。よろしく頼む……」
「頼み事はいいが、この露伴にそんな面倒を押し付けているんだ。例の『約束』は必ず守れよ」
「わかっている…… すべてが終わってからな…… 行くぞ、シーザー」
「ああッ」

二人は建物を出て行った。
ディアボロに『あいつ』と指を指されたのは、部屋の隅で車椅子に縛りつけられ気絶しているパンナコッタ・フーゴだ。
ディアボロはフーゴを殺してはいなかった。
『伝言』とは別に、ディアボロは露伴にもう一つ頼みごとをしていた。
それは、拘束したフーゴをリーダーであるブチャラティに引き渡すというもの。

本当に俺がフーゴを裁いてしまっていいのか?
そんな思いが頭をよぎり、最後の猛ラッシュのとき、ディアボロは僅かに力を抜いていたのだ。
フーゴは確かに狂っていた。
殺し合いに乗り、無力な少年を人質にとり、そしてポルナレフを殺していた。
だが、俺も元いた世界でアバッキオやナランチャ…そしてフーゴ以上に多くの人間を殺してきた男だ。
いまさら改心し、打倒・荒木を目指す、などと虫のいい事を言っている男に、フーゴを裁く権利などありはしない。
フーゴを裁けるとしたら、それは俺ではない。
それは、フーゴの直属の上司であるブチャラティだけだ、そう考えたのだ。

無論、そんな面倒事を易々と従う露伴ではなかった。
交換条件として、露伴はディアボロにある『取引』を持ちかけていた。
それは、すべてが終わった後、露伴に『ディアボロの記憶』を見せること。
ネアポリスを中心にイタリア全土を支配したギャングのボスの人生。
その壮大な人生の全てを見せることを、露伴はディアボロに約束させていた。

「正直、ディアボロの都合なんざどうでもいいし、こいつを生かしておくっていうのは癇に障るが、奴の『記憶』の為だ、仕方ない。すでに『ヘブンズ・ドアー』で『殺人不可』と『ブチャラティに会うまで気絶する』を書き込んでいるし、危険は無いだろう。
億泰が目を覚ますまで、フーゴの記憶を眺めて時間をつぶすとするか」

文句を言いながらも『ヘブンズ・ドアー』で楽しそうに記憶を読み始めた露伴の姿を見て、「相変わらずだな」とため息をつく早人あった。

149 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 00:44:28 ID:KSSzVWEE
支援かなぁ

150 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:03:23 ID:hg53+JnL
【D-3 住宅街 民家/1日目 夜中】

【第4部生き残りトリオ+1】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に怪我(車椅子が不要な程度には回復)、多少の疲労感
[装備]:ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)
[道具]:基本支給品×2、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒すために『取材』をして回る。
0.フーゴの記憶が楽しみ。何が書かれているのだろう。
1.億泰の目が覚めたらナチス研究所へ向かう。
2.ジョルノたちに再会し、『ボスの伝言』と伝え、『フーゴ』を引き渡す。
3.荒木に取材を申し込むため、テレンスを探す(ナチス研究所優先)。
4.ウエストウッド…すまなかった。
5.隕石を回収……ああ、そんなのあったね

[備考]
※これからは荒木を討伐するために自分勝手な行動を控えることにしました。
※気は進まないようですが、時の情報についての考察にも助力をするようです。
※名簿と地図をやっと確認しました。
※傷はかなり回復しました。車椅子は現在フーゴの拘束に利用しています。
※第一放送、第二放送の内容を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※シーザーに書き込んだ『露伴の身を守る』という命令はキャンセルされました。今後そういった内容の『命令』は二度と書かないつもりです。
※本人は認めたくないようですが、億泰に対し、かなりの信頼を持ちました。
※ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用にディアボロから渡されました。
※ディアボロに依頼された、ジョルノ・ブチャラティへの『ボスからの伝言』は以下の通りです。
 『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
※荒木を倒し全てが終わった後、ディアボロに『記憶を読ませる』という約束をさせました。



151 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:04:34 ID:hg53+JnL

【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:気絶中。左肩に『ザ・ハンド』で抉られた跡。胸の中央に銃痕(波紋で治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
0.気絶中
1.露伴たちと行動を共にする。
3.エシディシも仲間を失ったのか……。こっちに危害は加えないらしいが。
4.仗助や康一、承太郎の遺志を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
5.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
6.吉良と協力なんて出来るか
【備考】
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。
※サンドマンと情報交換をしました。 内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」
 「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「第一回放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。
 (急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※本人は認めたくないようですが、露伴に対し、かなりの信頼を持ちました。


【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(小)、身体疲労(小)、上半身全体にダメージ(波紋で治療済み)、右手人差し指欠損、
    漆黒の意思、殺意の炎
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
0.ディアボロや露伴たちと再会することができてよかった。
1.とりあえず露伴たちと行動をともにする。
2.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず思考1を優先
3.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも…
4.荒木の能力を解明したい。

[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報とディアボロたちとの情報交換を経てディオ、ジョナサン、エシディシ、由花子も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※第二回放送の内容を把握しました。



152 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:06:12 ID:hg53+JnL
【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:気絶中、右手首と左肘に骨折、その他全身に打撲と大ダメージ。ヘブンズ・ドアーによる洗脳。
[装備]:ポルナレフの車椅子(ディアボロに縛りつけられ、身動きが取れない)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
0.気絶中
1.僕はクソったれの外道野郎だ…
2.僕はブチャラティたちに裏切られてしまった…
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※装備していたミスタの拳銃は壊されました。
※荒木がをフーゴに与えた支給品は拳銃2挺と閃光弾3つだけでした。
 拳銃は2つとも紛失(一方は大破、もう一方は現在露伴が所持)、閃光弾も使い切りました。
※D-3地点で手榴弾2個を入手しましたが、使い切りました。
同じく入手したナランチャのナイフも奪われました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『ブチャラティに出会うまで気絶する』
※ミスタの拳銃の残骸は【D-3】に放置されています。
 銃身部分がごっそり削られており、使い物になりません。



153 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:07:31 ID:hg53+JnL

「シーザー…なんだ? その帽子は?」

民家を出たシーザーは、デイパックにしまってあったシルクハットを取り出し、頭に身に付けた。
お世辞にもシーザーに似合っているとは思えないそのデザインに、ディアボロが疑問を投げかける。
歩を進めながら、シーザーは呟くように話し始めた。

「さあな… 俺の祖父さんの友人…スピードワゴンさんの遺体のそばで拾ったんだ。
何故かはわからないが…、これは俺が持っていなければいけないもののような気がして……」

シーザーは知らなかった。
それが自分の祖父、ウィル・A・ツェペリの遺品であることを……
そして、巡り巡ってそれは偶然にも誇り高き彼の孫の元に届けられた。
奇妙な運命の物語が、その帽子にあった。

そうか…、と、深く詮索することなく、落ち着いた声でディアボロは返事をする。
そんなディアボロに対し、今度はシーザーが質問を投げかけた。

「ディアボロさん…、教えてくれ。ジョジョは… ジョセフ・ジョースターは、何と言って死んでいった?」

ディアボロは自分の親友の最期を看取ったと言っていた。
ジョジョは俺の知らぬ七十前のジジイだったというが、それでもまだ誇り高く戦い、そして死んでいったのだと……

「『『恐怖を自分のものとする』事と、『恐怖を力に変える』事は違う。それを忘れるな……』そして、俺に『間違うな』……と……」

ジョセフに出会ってから、ディアボロは救われてばかりであった。
彼はずっと、ディアボロを励まし続けていた。
無限に続く死の恐怖を乗り越え、自分に『活きる』目標を与えてくれた。
彼の命を掛けた戦いにより、邪悪なるチョコラータに打ち勝つことができた。
ジョセフ・ジョースターの人生が、ディアボロを突き動かしたのだ。

「シーザー・ツェペリ…… ジョセフ・ジョースターの生き様は見事なものだった……
ジョセフの友人であるお前に巡り合えたことを、神に感謝する……」
「スタンド使いでジジイのジョジョとはなッ!! 一度会ってみたかったぜ」

シーザーは笑った。
その目には涙が浮かんでいた。
俺はジョジョの遺志を継ぐ。
ディオを、エシディシを……荒木を倒す。
そして、ジョナサンを……止める。

そんなシーザーに、ディアボロはデイパックから出した『ある物』を差し出した。
それはジョセフの形見。ジャイロ・ツェペリの鉄球である。

「ジョセフが波紋を込めて武器にしていた物だ。これはお前が持っておけ……
その方が、きっと奴も喜ぶだろう……」

シーザーは頷き、躊躇わず受け取った。
その鉄球はシルクハットの持ち主、ウィルとはまた違うツェペリ家の魂。
別の世界に生きた、ジャイロ・ツェペリの技術の結晶。
奇跡に近い運命の巡りあわせが、3つのツェペリ魂をここに集結させた。


「よし… 行こう…… DIOの館はすぐそこだ……」

ディアボロの呼びかけに答え、二人は走った。
闇夜の中、ふたつの強い意志が、殺し合いの終結に向け進みだした。



154 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:08:35 ID:hg53+JnL
【D-3 住宅街/1日目 夜中】

【ジョジョロワ1stでは宿命の敵同士だった2人の夢のタッグ】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:全身の各所に僅かなダメージ(全て波紋で治療済み)。強い決意。強い恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.シーザーとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
無事ジョルノに『伝言』が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.自分の顔と過去の二つを知っている人物は立ち向かってくるだろうから始末する。
6.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンになんらかの制限がかかっています。内容は次の書き手さんにお任せします。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※ポルナレフのデイバックは、ディアボロが持って行きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は本文のとおりです。
※ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用に露伴へ渡しました。
※ジャイロの鉄球は、ジョセフの遺志を継ぐべきであるシーザーに託しました。
※荒木を倒し全てが終わった後、露伴に『記憶を読ませる』という約束をさせられました。
※ポルナレフのデイパックも確認しました。DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しましたが、DISCの用途はわかっていません。

【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:全身に疲労感(小)
[装備]:ウィル・A・ツェペリのシルクハット、ジャイロの鉄球。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤、スピードワゴンの帽子。
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、荒木、ディオ、エシディシらを倒す。ジョナサンを止める。
1.ディアボロとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
3.テレンスをブチのめしたい。
4.荒木の能力について知っている人物を探す。
5.女の子はできれば助けたい。
[備考]
※第一、第二放送内容を把握しました。
※『岸辺露伴の身を守る』というヘブンズ・ドアーの命令は解除されました。
現在は『波紋の呼吸で傷を治療する』という命令のみが書き込まれています。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※ウィル・ツェペリのシルクハットを被りました。スピードワゴンの帽子はデイパックにしまわれたようです。



155 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:09:51 ID:hg53+JnL
以上です。
代理投下してくださっている方、ありがとうございます。
規制解除につき、残りは自分で投下しました。
タイトルは「迷える奴隷」です。

仮投下時に書き忘れていた内容を追加しました。
大きくは、作戦会議の場面での
・シーザーのジョナサンに対する考察、ジョルノに対する心境の変化
・露伴とディアボロの『取引』(=約束)
の二つです。
シーザーとディアボロのラストシーンも多少加筆しています。

その他は、
誤字、ミス等を修正し、また見栄えを良くするよう、
漢字→平仮名や、平仮名→漢字の修正、接続詞、助詞、助動詞、
その他単語を選んでの表現の見直しなどを行いましたが、大幅な変更はありません。

それでは、感想などお待ちしています。

156 : ◆vvatO30wn. :2010/11/05(金) 01:13:14 ID:hg53+JnL
しまった、状態表に一つ書き足し忘れた。
フーゴに不明支給品はありませんでした。
フーゴの支給品はすべて露伴が所持しています。
wiki収録時に編集しておきます。

157 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 18:23:55 ID:kRHjP6TU
投下乙!

158 :創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 22:52:32 ID:ZKtgQjor
投下乙です!

後半だから容易にキャラを減らしにくい、という懸念を『始末は上司に委ねる』と言う手法で描いた氏は素晴らしいです。
作品に矛盾もなく、かつ今後の展開を確実にしたという点で、書き手として氏のような技術を習得したいものです。

読みごたえのある大作をありがとうございました!

159 :創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 00:33:41 ID:tAwEVyKH
投下乙です。

激しいバトルがありながらも、各所にちりばめられた小ネタににやりとさせられました。
2作目でこの大人数をまとめる力量はすごいとしか言いようがないです。
改めて乙!

160 :創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 01:50:45 ID:1Wfrf1il
三つのツェペリ魂が集結だと・・・投下乙!!!

161 :創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 12:27:29 ID:zt7fclZ7
投下乙です!

しかしフーゴは自分勝手だなwww自分だって花京院とフェルディナンドに仲間の姿・能力教えてるくせにwww

162 :創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 22:35:57 ID:RQu99+FQ
乙です。シーザーかっこよすぎて泣いた。

163 :創る名無しに見る名無し:2010/11/07(日) 01:21:08 ID:wWHW9pK6
投下乙です。
受け継がれるのはツェペリの魂ッ!! 熱いッ!! 熱い展開ッ!!

164 :創る名無しに見る名無し:2010/11/07(日) 07:14:02 ID:tTzO7rq8
丁々発止の展開ッ!ツェペリ魂の結集に、億泰の出来る子ぶりに感動致しましたッ!ボスも熱いッ!
投下乙です!

165 : ◆vvatO30wn. :2010/11/08(月) 00:41:03 ID:bezbLqRr
たくさんの感想ありがとうございます
これを励みに今後もまた新作を投下していきたいと思います。
wiki編集完了しました。
問題があればお申し付けください。

166 :創る名無しに見る名無し:2010/11/08(月) 19:31:14 ID:Fmnozyhs
投下乙!
宿命コンビには頑張って生き延びてほしいぜ・・・

167 :創る名無しに見る名無し:2010/11/19(金) 06:37:49 ID:y2z3+RR6
予約きたー!!

168 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:10:58 ID:ZGeJZE2T
エシディシ、山岸由花子、サンドマン、リンゴォ・ロードアゲイン、テレンス・T・ダービー投下します

169 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:12:48 ID:ZGeJZE2T

切り取られ、不自然に固められた歪な世界。
虫も住まわぬ地面を踏みしめ、張り付けられたような月に照らし出される不揃いな蠢くモノ達。

その影は二つ。

一人は男。
どんな彫刻師も彼を目にしては自らの作品を砕くだろう、完璧な肉体美を持った恐るべき怪物。

一人は女。
どんな絵師も彼女の黒曜の瞳を描くに能わず自ら筆を折るだろう、美しい漆黒の瞳に漆黒の意志を宿した少女。

歪な熱意と歪な愛情。
狂ったものはなぜこれほどまでに美しいのか。

この世界に、彼らほど似付かわしいモノはなかった。



少女の数メートル先を凄まじい歩幅で歩くのは、スタンドを得た怪物エシディシ。

彼は同族をすべて失い、彼らの希望をその双肩に託された。
その割に彼が心底愉しそうに笑みさえ浮かべているのは、太陽を克服する術をその身に宿したからだけではない。
彼の後ろをチマチマと時間を稼ぐように歩く少女、なんともいえない高揚感の原因が彼女にある。
この見るからにひ弱な、軽くひねりつぶせそうな少女が『DIO』を追い詰めることができたという。
「デマカセ」か「事実」か、真実は秘されている時が最も面白い。

――どちらにせよ、このエシディシにとって愉快な展開にしかなり得まい。

隠そうともしない笑い声が口元から零れ、空気を揺らす。



170 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:15:41 ID:nU+IY8pv
 

171 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:16:09 ID:ZGeJZE2T
――さて、この厄介な同行者、どうにかならないものかしらね。

黙っていれば男を引きつけずにおれない美貌を曇らせ、山岸由花子は考える。

クツクツと笑う背中は無防備そうに見えるけれど、手を出そうとすれば自分は一瞬で肉塊に変わる。
エシディシの『能力』は不明でも、そう確信できるほど圧倒的プレッシャー……!!
だけどこのまま連れ立って歩き続けるのも危険。
DIOの館へ赴き偽早人を殺すとしても『DIO』を慕う人間が側にいれば、無傷でいられない。
前回のようなディオを人質に取る作戦もエシディシの前では無意味。
DIOの館へ到着する前になんとかしないと……。

隙を見て逃げ出す?
いえ、この男が隙を作ったとして、すぐにばれる。
一瞬で追いつかれ、きっと………

「足が疲れたようなら背負ってやってもいいんだぞ ユカコォ?」

「ありがたい申し出だけど、結構よ」

時間を稼いでいることは見抜かれている。
次は本気で催促してくるかもしれない。

――参ったわね、いま殺されないだけマシかしら。

下手に希望が見えた分、絶望が訪れる瞬間が恐ろしかった。
自分のおかげで音石明は無傷で永らえたのかと思うと、彼に対する憎悪は深い。

――でも、康一君のためよ、すべては、すべては、愛する彼のため………。

愛する人のため、山岸由花子は思考を止めない。


  *  *  *  *  *


荒木は『君だって18時間命をかけて戦ってきた』といった。
それは本人も自負するところであり、絶対的な庇護者の盾がいつ自分を貫く矛へと替わるか恐怖しながら、彼はこの18時間戦い抜いてきた。
しかし、彼は『不運』であった。


172 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:17:35 ID:ZGeJZE2T

「私には気付かずに行ったようだな……」

大柄な男と年端もいかぬ少女という、珍妙だが危険な香りを漂わせた二人を物陰から見送り、テレンス・T・ダービーは溜息をついた。
支給品を確認した時には、その情報量の多さに思わず頬が緩んだが、
見通しの悪い宵闇の中、15分も歩いた頃には緊張感で足がすくんでしまっていた。

夜目に利く殺人鬼がそばにいたとしたら?
地面に爆発物でもしかけてあったら?
最初に説得を考えたオインゴが、私に恨みを抱き私がこの舞台に降りることを望んでいたとしたら?

 『すでに私以外のすべての人間が問答無用の殺し合いを肯定していたら?』

心理戦に強い能力など、絶対的な『暴力』の前ではなんの役に立つだろう。
私に劣っていたとはいえ、優秀なギャンブラーとして名を馳せた兄はあのように無様な最期を迎えたのだ。
質問することなしに心を読めぬ『アトゥム神』をこれほど恨めしく思ったことはなかった。
ギャンブルや会話など意に介さない奴と対峙した時点で私の生は終わる。

動かないで、使えそうな奴が通りかかるのを待つのが得策か?
拠点となりうる施設に出向いて、大勢を利用したほうが賢明か?

結局、彼は自らの方針を定めることなく、現状の対処に追われる破目になった。

「おまえに、尋ねたいことがある」

彼の『不運』は、ただ一人『感覚』を尖らせる経験を積めずこの場に降り立ったこと。
彼が得意とするテレビゲームで例えるとするなら、
敵も味方もレベル30に育ったゲームの中盤、レベル1で放り込まれたようなもの。

「スーツを着た、爆弾のスタンド使いを……見なかったか」

見えぬ敵に警戒を怠らず、18時間生き残ってきたプレイヤーと、
その間、荒木と対戦者のみに警戒をするしかなかったプレイヤー。
両者の差は画然としていた。


 *  *  *  *  *

173 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:18:12 ID:TZUnR3Fv
 

174 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:18:25 ID:nU+IY8pv
 

175 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:19:24 ID:ZGeJZE2T


――身の丈2メートルを越すモンスター、奴のことだろうな。

彼はコロッセオの頂上部から北東へ向かう男女を見下ろしていた。
電気など通っていない広い荒野に生きてきた身、人よりは目が利く自信があった。
昼間は人が集まりすぎる危険性を考えて近付かなかったが、日が沈んでしまえば自分には有利。
彼の背には羽など生えておらず、特別な道具を保持していたわけでもないが、
常人にはない『脚力』が、コロッセオの頂上部という高所に彼を鎮座させていた。

彼の名は“サウンドマン” 音をかなでる者。

彼は鳩のメッセージを受けとるや、即座にDIOの館へと向かった。
放送直前に到着した彼を待っていたものは、生臭い血の匂いと、殺人鬼達の暗い嗤い声。
1.2.3…声を数えてみれば5人もの殺人鬼がその館に集結していた。

密約を交わした相手の本名も、声も、顔も知らない。知っていたのは『早人』という偽名のみ。
本性を現した奴が5人の内の誰かで、俺を始末しようと鳩をよこした可能性は大いにある。
それとも血の匂いは『早人だったモノ』が漂わせているのかもしれない。

――わざわざ殺人鬼の間に割って入ってお前を助けてやる義理はない。

所詮信頼に足る人物ではなかった。『早人』を救えなかったとして、心に負うものはない。
殺人鬼達の同盟が結ばれる様子を音に聞き、彼らが動き出そうとしたところで、サウンドマンはひっそりとDIOの館を離れた。
この殺人鬼集団の情報も、伝えてまわらねばなるまい。
念のため北のタイガーバームガーデン、豪華客船、倒壊したジョースター邸を早足で駆け抜け、
コロッセオに辿り着いたのは今から数十分ほど前。
億泰が『コロッセオへ向かう』といっていたが、それは半日ほど前の話だ。彼の不在を疑問に思うことはない。
しかし、まさか誰もいないとは……。

地図を広げ、次の行き先を思案する。
未踏の東側施設へ向かうか、ナチス研究所へ向かうか、ここに留まり通りかかる人を待ち受けるか。
東側へ向かう案は第一に破棄した。
そこに至るまでに禁止エリアが多く、誰かが留まっているという確信もないため。

この舞台からの脱出を志す者たちが集まっているだろうF-2ナチス研究所。
殺人鬼共が揃い踏みしていたC-4DIOの館。
この2施設を結ぶ線上にコロッセオは存在している。

――禁止エリアの増えた今、人は必ずこのコロッセオ周辺を通る。

情報は出来るだけ早く、確実に伝えなければならない。
今まで遭遇していない人物、一人で戦ってきた人間に伝えられればなお良い。

周囲への配慮は怠らず、彼はただ待った。
そして、見つけた。
警戒を促されたモンスターと、その後ろを黒光りする美しい髪を揺らして歩く少女の姿。

彼はそのモンスターに既視感を覚える。
殺し合いが始まってまもなく出遭った、風を操るモンスター『ワムウ』。
盲目の友人を、自分と同じ能力を持つ少年を、誇り高き男を殺害したあの怪物。
奴の敏速かつ蛮勇な動作、スタンドとは異なる妙技。
マウンテン・ティムをあのような状態にせしめたのも、奴と同種のモンスターというなら納得がいく。
後ろの少女は昼間DIOの館に居た少女だと思うが、奴の仲間だろうか。

176 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:20:54 ID:ZGeJZE2T

先ほど見た5人の同盟に加え、2人がDIOの館へ向かおうとしている。
殺人鬼共の中にも自分と同じようなメッセンジャーがいて、DIOの館へと殺人鬼を導いているのかもしれない。
だとすれば事態は想定したよりも悪い方向へ傾き始めている。
奴らをやり過ごしたらナチス研究所へ向かったほうがいい。

メッセンジャーには、メッセンジャーなりの戦い方がある。


  *  *  *  *  *


「ひっ……」

悲鳴をあげずにいられたのは、我ながらよくできたほうだと思う。
二人組みに集中するあまり、背後しかもほんの1メートルほどの距離に人が寄ることを許してしまった。

がっしりした長身に、荒く刈り込まれた頭髪、口元にはドクロを象ったような奇妙な鬚、
そしてなにより目を引くのが、月を映しテラテラと輝く抜身のナイフ。
『スーツ』がどうのといっていたが、私を油断させようという魂胆だろう。
そんな大層な武器を見せつけて、情報交換だと? 馬鹿げているにもほどがある。

こういう場合、私が取るべき行動は一つ! 逃げる!!
やりすごした大男とは逆の方向へ、敵の急襲も考えられ全速力というわけにはいかないが、ともかく逃げる。

……200メートルは走っただろうか。
息があがってきたところで、追っ手がいるか確認するため、振り向いた。

「………!!!!?!!????」

ドクロ鬚の男は、私からほんの10メートルの距離に立っていた。
ハァハァと肩で息をつく私に対し、男は1ミリも動いていないかのように悠然としている。
いや、事実、動いていない。
男は私に話しかけた位置から全く動いていない。
そして私も10メートルほどしか走っていないことになっている。
私には確かに100メートルほど走ったという実感がある。しかし実際には10メートルほどしか進んでいない……。
まさかッ!! DIO様と同じ能力……!!??


177 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:22:36 ID:nU+IY8pv
 

178 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:22:56 ID:ZGeJZE2T
「驚かせたようですまないが、おまえはオレから逃げることはできない
 オレのスタンド『マンダム』はきっかり6秒時を戻す
 走ったという結果は消え去り、おまえには走ったという記憶だけが残る
 繰り返すだけ無駄だ」

「――――ッ!!!!」

顎から汗をたらす私に対して、男は淡々と語る。
その一連の口上はすでに何百回と発してきたのではないかというほど流暢だ。

「居場所を知っているなら教えて欲しい
 この殺し合いの場においてすかしたスーツを纏った男だ、『キラヨシカゲ』という」

「す、スーツを纏った男、だとぉ……」

ひとまず男に自分を襲う気がないことを認め、ようやく私は冷静になる。

この男、情報交換が目的のようだな。
たとえ嘘でもそれを餌にすれば、この『6秒時間を巻き戻す』とかいう強力なスタンド使いを、
とりあえずの味方として引き入れることができるのではないか。

「ォホン、知っているとして、どうするつもりだ」

テレンスに渡された「参加者詳細データ集」に掲載されているのはあくまでゲームが始まった時点での情報。
吉良吉影の現在地など知っているはずがない。
“キラヨシカゲ”が名簿にある“吉良吉影”と同一人物であるかも実は自信がない。
だが、自分の引きが良いように見せかけるのは、ギャンブルの基本的手法。
そしてギャンブルなら、私が負ける道理はない。

「どうすればその情報を教えてもらえる?」
「そうですね、賭け事はどうでしょう?」

そうはずだったが……

「オレに交渉の術はない
 あるのは、『公正』なる果し合いのみ」

テレンスがもしもそのまま「知らない」と答えていれば、リンゴォは去っていただろう。
交渉の余地があるのならばと欲目を出したのは仕方ないが、今回は相手が悪かった。

「オレの武器はこのボウィーナイフのみ……」

リンゴォが説明を始め、その手の内にあるナイフがギロリとテレンスの方を向いたとき、
彼は己が論理の敗北を悟った。


(誰でもいい、助けてくれ……)



179 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:24:06 ID:nU+IY8pv
 

180 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:24:11 ID:ZGeJZE2T
「割り込んで申し訳ないが」


どこからか声が降ってくる。

「俺はその男の居場所を知っていると思う」

あらわれたのはインディアンのような格好をした精悍な顔つきの男。
メッセンジャー、サウンドマン。


  *  *  *  *  *


「そうか、あの男、再びDIOの館に……」
「ああ、能力まではわからないが、『吉良』と呼ばれているのを聞いた
 加えて下手に出ているようで上から見下しているような話し方、あいつで間違いないだろう」

ドクロ髭の男とインディアン風の男は先ほどからテレンスなどいないかのように情報交換に勤しんでいた。
自分への関心が全く向けられないことに対して、ほっとしながらも苛立ちを隠せない。

(なんなんだ、この男共。私を完全に無視して仲良く内緒話だなんて)

しかしタダで情報が得られるチャンスを自ら放棄することはできず、二人から数歩離れた位置でじっと聞き耳を立てている。
知った名も混じるマーダー共の居場所、脱出を志す者たちが集うナチス研究所、そしてやはり危険人物だった先ほどの大男。
現況がなんとなく理解できてしまう、素晴らしい情報量だった。

「俺はこれからナチス研究所へ向かう
 おまえに協力してやることはできない」
「神聖な決闘を汚した、あの男との決着はオレ自身がつけねばならないもの」

助けを借りるつもりはない、そういってリンゴォが立ち上がった。
その長身を見上げ、サウンドマンは彼にしては珍しくひとつの疑問をぶつける。

「DIOの館へ向かうのならば、どこかで例のモンスターと遭遇するだろう
 『男の世界』とやらがなんなのか、俺にはどうでもいい話だ
 だが、あからさまな強敵には目を瞑り、決闘の邪魔をされたからという理由で下衆な男を追い続ける行為
 オレには『男の世界』とは真逆の受身の対応、おまえの嫌悪した吉良となんら変わりない行動のように思える
 たきつけるつもりはないが、このまま避け続けるのか? 真に強い敵を」
「…………………」

リンゴォは怒りも驚きもなく、無表情のままサウンドマンの言を聞いていたが、
ふいに視線を外し、北へと歩を進め始める。

「情報感謝しよう……サウンドマン……」

そしてそのまま夜の闇へと吸い込まれていった。
あとに残されたのはサウンドマンと、とうとうリンゴォと会話することのなかったテレンス。

181 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 22:25:12 ID:ZGeJZE2T

「おまえ、「わ、私はお前に助けを求めた覚えはない」

テレンスにとってサウンドマンは危うい場面を救ってくれたヒーローといえた。
しかしそれを契機にホイホイ信用するような単純な精神をテレンスは持ち合わせていない。
弱みを握られるようなことがあれば、スタンドにも影響が出る可能性がある。
恩を売られるなんてまっぴらだ。

「違いないな」

サウンドマンにとって会話に割り込んだ目的は、危険人物吉良に敵対心を持つと思われたリンゴォとの接触。
もとよりテレンスに期待をしていたわけでもなく、その言い分に憤慨することもない。

「それより、メッセンジャーとして情報を伝えてまわっているといっていたな
 お前は『荒木』に勝てると、本気で思っているのか?」

荒木の下でゲームをしていたときも、打倒荒木を志す者は見てきた。
しかしこの殺し合いの場に立ってみて、改めて理解した。
こんな状況に我々全員を落とせしめた荒木、彼を打ち倒そうなどと妄言も甚だしいことを。
理知的に『脱出を目指す』と語ったサウンドマンが不思議で仕方がない。

「……?
 俺は、俺自身の目的のために、できる限りのことをする
 それだけだ」

サウンドマンは言い切った。
『勝てる』『勝てない』ではない。
それは『どう生きるか』という命題に対する彼の答えのようにも感じられた。

「もう、いいだろうか? 時間が惜しいんでな」

――突然『荒木』の名を口にするから、今まで会った奴とは違うのかと思ったが、時間を無駄にしたな。

この男から得られるものはないと判断し、サウンドマンはすぐにもその場を去ろうとする。


そのとき



きゃあああああ―――――っ



闇夜を切り裂いたのは少女の叫び声。
両名即座に身構えるも、次にとった行動は全く正反対のものだった。
声の発生源へ駆け出そうとするサウンドマン、それに対してテレンスは逃げ出そうと反対側を向いていた。
自然、距離のあいた背中合わせになり、居心地の悪い空気が場に流れる。

フン、と息をつきサウンドマンはやや侮蔑的な表情をテレンスに向けた。
だがそれも一瞬のこと、サウンドマンは北へと視線を移す。


182 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 22:25:42 ID:/jbiJJFA


183 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:09:11 ID:ZGeJZE2T
「お前が注意を促したモンスターだぞッ!!!?? なぜ向かおうとするッ」
「先ほどは少女も奴の仲間だと判断した
 しかし、敵の敵は『味方』の可能性が高い」
「本気か……」

『YES』『YES』『YES』

テレンスが躊躇した瞬間に、サウンドマンはもう走り出していた。

――あの少女を助け出すことも、『荒木』を倒し故郷へ帰ることも、奴は本気で成し遂げようとしているのか……。

なんともいえない諦念のような、感動のようなものが胸の底から湧き出し、その奔流はプライドや目論見を易々となぎ倒す。
凄まじい勢いで遠ざかる後姿に向かって声を張り上げた。しっかりと届くように。

「サウンドマン、私が渡せるものは情報しかない!!
 それでもかまわないというなら、半刻後コロッセオの外部西側で待っている
 5分は待たない。それで貸し借りなしだ!!」

サウンドマンが片手を挙げる。了解のサインだろう。

荒木に勝てるとはこれっぽっちも思っていない。
しかしそれと荒木に関する情報を漏らすのは別問題だ。
もしも、ありえない話だが、もし荒木に勝てる人間がいるのだとしたら、ここで恩を売っておくのは悪くない。
それに『荒木に勝てる』という幻想をちらつかせておけば、『対主催』がこぞって『優勝狙い』に転ぶ危険性も低くなるだろう。
非力な私のスタンドでは、うまく他人を利用していく他ない。

「悪くない話だ…、対主催の信頼を得て、安全を確保すること…」

あくまでも、優勝するためのプロセス。
そう自分を納得させたわりに、胸にこもった熱は引いていくことをしらない。
大声を張り上げた、目立つ施設を合流場所に指定した、そもそも自分はあの男のことをよく知らない。
自らを窘めるミスやリスクは後からいくつも浮かんだが、不思議と後悔は感じなかった。


  *  *  *  *  *

184 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:10:25 ID:ZGeJZE2T


山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。
自分が他人の目にどう映るか、相手とどれほどの実力差があるのか、
正しく判断を下せる知性が『身体能力』『攻撃範囲』というハンデを埋め、彼女をここまで生かしてきた。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば………


「コロッセオ、誰もいないようだなァ……」

怪物の残念そうな呟きに、山岸由花子は胸をなでおろした。

“ディオが現在も同じ場所留まっているかわからない”
時間稼ぎが見え見えでも、正論をぶつけコロッセオに立ち寄ることを許可させたのはつい先ほど。
しかもコロッセオを過ぎてしばらくしてからの提案。
さすがに怒るかしら、と内心ヒヤヒヤしたがエシディシは自分のその態度をも楽しんでいるようだった。
コロッセオに本当にディオがいたら、という別の不安もあったが、
偽早人にしろ本物のディオにしろこんな目立つ建物は拠点にしない、と思いたかった。
結果的にはそれで合っていたのだから大丈夫、問題ない。

――でも、もう時間を引き延ばす方法がない……。

死ぬよりマシと考えて、エシディシの後ろに従ってきたが、正義のヒーローにも頭の悪いマーダーにも遭遇することはなかった。
再び歩き出し、一路DIOの館へ。
チンピラ風情の男やホル・ホースを利用してすんなり通ったのが、夢だったかのように思える。
日差しの中、これが康一君とのピクニックなら最高だった、なんて思ってたわね。

そう、死ぬわけにはいかない。
DIOの館に着く前に、やれるだけの時間稼ぎはすべてやってみせる。

「ねぇ、その腕、そのままで大丈夫なのかしら?」

出血はないようだが、本人が口に出していたくらいだからそこそこの怪我なのだろう。
怪我を負っていたほうが隙に繋がるかと思い放っておいたが、これから隙が訪れるチャンスは多分ない。

数秒遅れて振り返ったエシディシ。
由花子を正視するその顔に感情はない。
無表情。黙り込む。
彼女の次の言葉を待っているかのように。


185 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:13:34 ID:ZGeJZE2T
「手当てが必要なんじゃない?」

「そう……だな……… そう、『手』当てがな……!!」

目にも留まらぬ速さで由花子に接近するエシディシ。
何が起きているのか理解できぬまま、本能で後退する由花子。



音もなく――、一閃



遅れて吹いた風に、髪がゆれる。
身体が理解するより先に、頭が理解した。


腕が、私の腕が……!!!!



「き、きゃあああああああああああああああああああ」



山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば


彼女は右腕を失わずに済んでいただろう。


  *  *  *  *  *


走る、走る、走る。
家々をすり抜け、リンゴォを追い越し、馬よりも早く、風よりも早く。

少女と怪物、目標の二人を確認するや、勢いを殺さず飛び上がる。

スピードと重力を存分に活かした飛び蹴り。
それだけでも並みの大人なら頭蓋骨を陥没させそうな威力だが、そこにさらに「ドヒュウ」の音を重ねる。

サウンドマンとエシディシが触れ合ったのは一瞬。

エシディシの動体視力にも勝る高速の蹴りと、それ以上のなにか。
肉体を摂り込もうと考える間もなく、彼の巨躯は50メートルほど吹っ飛んでいた。

186 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:15:31 ID:ZGeJZE2T

ワムウのように異常な身体能力で戻ってくる可能性を考え、サウンドマンが足元に音を宿した小石をばら撒く。
山岸由花子は立ち尽くしたままその様子を見ていた。

「こう、いち……くん………?」

呆然と少女が呟く。サウンドマンはその名に聞き覚えがある。
自分と同じ能力を持った少年、億泰の友人、広瀬康一。
この少女も彼の知り合いだったとは……。

「走れるか? とりあえず逃げるぞ」

腕を失ったショックか、永遠に失われたはずの能力に再びまみえた驚きのためか、
依然、目をむいたままの少女を強引に引きよせ走り出す。
幸い彼女に腕以外の怪我はないようだ。

――うまく奴を撒ければいいが……。



「ぐっ、ユカコォォォオ、まさか朋輩を控えさせていたとは……」

圧倒的有利に胡坐をかき、山岸由花子の人間性を愉しんでいたエシディシは、
ダメージこそないが“吹っ飛ばされた”という事実に対して驚き苛立っていた。
腕を千切ったのも、結合させるためというよりは、彼女の『必死』を見るための行為。
それを誰かに邪魔され、山岸由花子は恐らく逃げた。

「あの女、どのような能力を持っていようとかまわん 捻り潰すッ」

自分が吹っ飛ばされた方向を憎々しげに睨み付けるエシディシ。
猛り狂う獣の姿態。

その視界に入り込む影ひとつ。

「オレの名はリンゴォ・ロードアゲイン」

足音が近付く。

「オレの武器は、このボウィーナイフのみ」

長い手足が露わになる。

「オレの能力名は『マンダム』
 ほんの『6秒』
 それ以上長くもなく短くもなく
 キッカリ『6秒』だけ『時』を戻す事が出来る
 それが『能力』」

月が彼の面貌を照らし出す。
その瞳に宿るは、紛れもない『漆黒の殺意』。
彼には「光」が見えていた。
あの時と同じ、進むべき「光り輝く道」が………


「よろしくお願い申し上げます」





187 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:17:24 ID:ZGeJZE2T
【E-4 中央より北西/1日目 夜中】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた。右腕の肘から先を欠損
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.誰だ?ユカコの仲間か?
1.ユカコとその仲間、殺してやる
2.億泰には感謝せねばなるまい。
3.常識は捨てる必要があると認識
4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝えるつもりだったが、奴は既に死んだようなものだ。
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。

※千切った由花子の腕は吹っ飛ばされた時に落下し、現在も周辺に落ちています。


【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:身体疲労(中)
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
0.エシディシから逃げていた自分に決着をつけ、『公正』なる果し合いを。
1.エシディシに勝てたのならDIOの館へ。吉良を許すことはできない。
2.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える。
[備考]
※怪我はゴールド・エクスペリエンスで治療されました。
※ブチャラティのメモの内容を把握しました。
※参加者が時を越えて集められているという話を聞きましたが、自分の目的には関係ないと思っています。

※サウンドマンと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。



188 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:19:29 ID:ZGeJZE2T
【E-4 中央より西/1日目 夜中】

【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.少女を連れてエシディシから逃げる
1.少女にツェペリ(≒康一)の遺言を伝える
2.出来ればテレンスとの約束の場所へ向かいたい
3.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
4.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
5.荒木の言葉の信憑性に疑問。
6.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
7.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※ティムからはエシディシについては体格しか教わっていません

※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。
※北のエリアをまわってきた際、アイテムや情報は得ていません。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。


【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕の二の腕から先を欠損、精神的に不安定
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.あの能力は、康一君……?
1.エシディシ、どうやって私の腕を? 怖い。何が起きたか理解できない。
2.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
3.他にも利用できそうな人がいるなら利用する。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。
※スピードワゴンの名前と顔を知りました。
※リゾットのメモを見ました。

※エシディシが近くにいるため走っていますが、腕の怪我は止血が必要な重傷です。



189 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:21:47 ID:ZGeJZE2T
【E-4 南/1日目 夜中】

【テレンス・T・ダービー】
[スタンド]:『アトゥム神』
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康、覚悟を決めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
[思考・状況]
0.荒木に対する恐れ…この男には勝てない…
1.優勝して生き残る、そのために利用できそうな奴を探す
2.サウンドマンはたぶん信用できる。再会できたなら『荒木』の情報を教えてもいい。
3.エシディシとか殺人鬼集団とか怖いから、対主催に恩を売っておくべき?
4.DISCについての考察はあとまわし
5.F・Fは兄の敵…? 実際会ったときにどうするかは自分でもわからない。

[備考]
※荒木に科せられていた行動制限はすべて解除されました。
※積極的に参加者を殺して回るつもりはありませんが、最終的には優勝するつもりです。
 なぜなら、荒木を倒すことは何人(なんぴと)にも不可能であると考えているからです。
※利用相手の候補は オインゴ>ジョージ>露伴たち>その他 です
※支給品が元々テレンスに勝ったときの景品である、という仮説は概ね当たっているようです。
※参加者詳細データ集には以下のことが書かれています。
 ・名前
 ・顔写真
 ・種族(人間、犬、吸血鬼、屍生人、柱の男など)
  また、波紋使いやスタンド使いであること。
  スタンド使いならスタンド名まで載っていますが、スタンドの能力までは載っていません。
 ・参戦時期(wikiの参戦時期まとめをより一般化したものです。参戦年月日が載っているようです)
 ・初期支給品(wikiの支給品情報>初期支給品一覧と同一の情報です。未だ不明の支給品も全て載っているようです)
 また、情報はすべてゲーム開始前のものです。
 ディオやエシディシがスタンド使いになったことなどは載っていません。
※テレンスはスタンドDISCの使い方を知りません。
 『ザ・ワールド』のスタンドヴィジョンも見たことが無いようで、関連には気づいていません。
 何か秘密があるとは思っているようですが、少なくとも『頭に刺し込む』という発想は今のところありません。
 テレンスに『ザ・ワールド』のスタンドが使いこなせるかどうかは不明です。
※アトゥム神の右足首から先は回収しました。
※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません)
※ダービー兄、ティッツァーノの死体を発見しました。
 生首がティッツァーノの物であることは確認していません。
 また、F・Fがティッツァーノに寄生していることにも気づいていません。
※DIOへの忠誠心は無くなりました。

※サウンドマンとリンゴォ・ロードアゲインの会話を聞いていました。
 両名の名前・目的を把握し、DIOの館に危険人物が集っていること、ナチス研究所に脱出を志す人々が集っていることを気に留めています。


[備考]
※E-4中央部にさまざまな音の張り付いた小石がばらまかれています。(リンゴォは引っかかっていません)
※E-4に放置されていたエルメェスのパンティは誰も発見していません。


190 :不帰ノ道 ◆4eLeLFC2bQ :2010/11/22(月) 23:24:51 ID:ZGeJZE2T
以上です。解除されたようので自力で投下。
途中支援してくださった方ありがとうございました!

191 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 23:39:22 ID:/jbiJJFA
投下乙です! 
支援が遅くて申し訳ないです。

由花子ーーー康一くん違うーー てか『柱の男』やべーーー
リンゴォが行ったーーー 
お願いします!!
なんというかすっごい痺れました! 
投下乙でした!

192 :創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 23:49:52 ID:eIy2epBk
リンゴォ対ワムウとか超燃えるぜ!
そして、同じ音使いと出会った由花子
随分とごっつい康一くんやでぇw

193 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 00:08:19 ID:DMk3khIR
投下乙です
リンゴォ対ワムゥ まだ始まっていないのに感じるこの『凄み』は一体ッ!?
こういうヒキ方大好きですw気になる〜
ダービーは実質初めてロワ会場にきたようなもので怖いでしょうねぇ 
メンタル強いけど折れたら中々立ち直れないし。ただ、サウンドマンとの交渉で少しメンタル強化か?
由花子の右腕がーー 吉良涙目ww いや、一番涙目は本人だけどねw

改めて投下乙でした!!

194 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 00:12:26 ID:fQtKemVt
投下乙です

意外ッ!それは男の世界ッ!
圧倒的強者を相手に怯まず決闘を挑むリンゴォがかっこよすぎ

>>192-193
ワムウじゃない……エシディシなんだよォォォッー!

195 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 00:15:12 ID:DMk3khIR
いやん つい釣られたぜぇ 書き手の方には本当に失礼しました!
作品は仮投下のときに読ませていただいて興奮したのを覚えていたのですが…
申し訳ない! 

196 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 00:16:29 ID:g/KbzgEb
>>192-193
エシディシファンの俺を怒らせるには十分すぎる理由だ
死者スレにブチ込んでやる

197 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 01:48:00 ID:h3C9/+e0
すまなかった、ワムウとエシディシごっちゃになってた
前回ワムウ結構生き残ったし…

エシディシファンの少年少女のみなさん、どうもすみませんでした
大人は嘘つきではありません。間違いをするだけなのです。

198 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 17:42:38 ID:ThYwHF7N
リンゴォさん・・・どうやって勝つつもりなんだ・・・


199 :創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 17:55:33 ID:XcCrYzNy
いや、リンゴォは勝つつもりはないだろ、負けるつもりもない
勝負する事が大事なんだろ

200 :創る名無しに見る名無し:2010/11/27(土) 17:45:22 ID:gzG5b8XR
いつのまにか俺の一番好きなキャラのサーレーが死んでたwww

201 :創る名無しに見る名無し:2010/11/27(土) 18:06:52 ID:G7J35hTF
>>200
いつの間にってかいつの話だよwww
サーレー死んだのは確か一年半くらい前だぞwww

202 :創る名無しに見る名無し:2010/11/27(土) 18:19:11 ID:em5MWAO/
時がふっとんだのだ…

203 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 20:57:46 ID:Tx8JbQgA
<D-4南部の民家:保安官―マウンテン・ティム>


話は至ってシンプルだ。
いたはずの徐倫がいない。席をはずしていた花京院君の姿が見えない。
この状況から予想できるのは、子供だって簡単に思いつく一つの可能性―――。

保安官である俺は察した。
徐倫がここにいないのは、花京院君が関係しているの違いない、と―――。

「離せッ、ティムッ!」
「落ち着け、アナスイッ!」

そして、それはアナスイも同じこと。
俺と同時に結論に達したアナスイはわき目も振らず玄関へと突進する。
俺はそんな彼を必死で止める。

愛する彼女のことになるとこの男は目の色が変わる。
普段の冷静さを失い、感情的に行動してしまう。
自らのスタンドを行使することさえ、判断できないほどに。
ダイバー・ダウンを使えば羽交い絞めにしてる俺の腕など簡単に『分解』できるというのに。

それをしないのはどうしてか?
彼がそれだけ冷静さを失っているのだろうか。それとも俺に気でも使ってるのだろうか。
とにかく、今はアナスイを落ち着けることが第一だ。
俺は必死でもがくアナスイの耳元で怒鳴った。

「いいか、徐倫を連れ去っていったのは間違いなく、花京院君だッ!
 だがそうだとしてもお前はどうする気だッ?! 当てもなくさまようのか?
 今はここで彼を待つのが一番だ! 彼だって何も考えずには徐倫を開放したりするまいッ!」
「徐倫……徐倫ィィーーーーン!」

そのまま取っ組み合うこと、どれぐらいだろうか。
大の男が、それもスタンド使いが取っ組み合いの喧嘩なんて滑稽だ。

アナスイが暴れるのをやめたのを合図に俺は腕の力を緩める。
お互い肩で息をしながら呼吸を整えると、俺はチラリと視線をアナスイに向けた。
膝に手を置き俯いていた彼は体を起こすと、手近な椅子に身を投げる。
なんとも言えない、本当の無表情だ。不安と焦りに染められていた瞳も、今はなにも宿さない。

俺は外の様子を窺うため窓際に立った。

時間にして、10分ぐらいだろうか。
庭に人影が浮かび上がり、コンクリートを踏みしめると音が聞こえてきた。
部屋の中の緊張感が増す。俺は何も言わない。アナスイも黙ったままだ。
来訪者はそのまま立ち止まることなく、玄関の扉を開いた。

204 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 20:58:52 ID:Tx8JbQgA

「……………徐倫はどうした」
「アナスイさん、貴方と彼女は一体どんな関係なんですか……?」

質問に対して質問で返す。
そんな挑発行為とも言える行動に、アナスイの表情が僅かに変化する。
ゆっくりと立ち上がると彼はそのまま玄関へと向かう。
殺気はない。スタンドも出現させていない。

脇を通り抜けようとしたアナスイの前に花京院君が立ちふさがる。
二人はにらみ合ったまま、会話を再開する。

「……徐倫はどこにいる」
「……気持ちが通じ合わせるってことは難しいことです。それが短時間なら尚更です」
「徐倫は無事なのか」
「友情と愛情を比べるなんてことは愚かしいかもしれない。
 まして、僕にはどちらもわからないことですから。
 でもそれが一時の感情かもしれないと疑うのは愚かでしょうか?」
「徐倫をどうした」
「僕は、貴方が理解できない」

瞬間、二人が同時に動く。
ダイバー・ダウンが花京院君の心臓を抉りだそうと右腕を振るった。
民家の窓をたたき割りながら、四方八方より緑の宝石がアナスイに迫る。

そしてまるで自動車に跳ね飛ばされたように、二人は吹き飛ぶ。
アナスイが俺の脇を通り抜け、玄関の反対に壁に叩きつけられた。
花京院君が宙を舞い、玄関前のアスファルトに体を激しく打ち付ける。

お互いの攻撃は五分と五分。
致命傷を負うことなく、だが二人とも軽症とは言えないダメージを負った。

それでも、戦いは始まったばかりだ。不屈の闘志を持って二人は体を起こす。
そして扉が吹き飛んだ玄関を挟んで、再びにらみ合う。

「貴方は徐倫さんが大切なんじゃない……。貴方は感情を押しつけて自分に酔っているだけだ。
 自分を必要として欲しい、自分を肯定してほしい。一種の洗脳を徐倫さんに施そうとしているッ!」

花京院君の叫びが向かいの民家に反響する。
一人の叫び声なのに、まるで何人もが同時にアナスイを批判しているようだった。
ゆっくりと身を起こしたアナスイは玄関を通り、道路に出る。
俺はそのあとについていく。

見上げると、星がよく見えるきれいな夜だった。
1890年、俺が知っている夜空と、今俺が見ている夜空は同じだった。
月が明るく、辺りを照らしだすほどだった。


205 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 20:59:56 ID:Tx8JbQgA

花京院君の叫びは続いた。
アナスイの行為はただの感情の押しつけだ。本当に大切なのは徐倫じゃない。
自己満足だ、欺瞞だ、偽善だ、うそつきのくそったれ野郎だ。
だいたいそんなところだった。アナスイは黙ったまま、静かに耳を傾けていた。

そして花京院君が黙ったのを見て、口を開く。

「一目見た時、その時から俺は徐倫しかいない、そう思えたんだ。
 今だってそうだ……俺の中には徐倫しかいない。でも俺は変わったさ。彼女の中に俺がいなくてもいい、そう思えたんだ」

アナスイの声が叫び声へと変わる。

「俺は、徐倫が俺のことをどう思うともッ! たとえ徐倫の『目』に俺が映らなくともッ!
 彼女だけはッ! 彼女だけは守って見せるッ!
 ああ、そうさッ! これは俺の自己満足だッ! 感情の押しつけだ、俺個人の自分勝手さッ!
 それでもッ! 俺は彼女を守りたいッ!」

そして再び辺りが静寂に包まれる。住宅街と闇と無音。
俺はやはり黙ったままだ。二人も何も言わなかった。

だが三人ともわかっていた。
「正しい」と思ったから二人は「そう」した。
こんな殺し合いなんて腐りきった世界だからこそッ! 彼らは自分の『信じる道』を歩くのだッ!
善でも、悪でも、最後まで貫き通した信念に偽りなどは何一つないッ!
ならば、その信念がぶつかり合った時……もはや言葉は必要ないッ!

カウボーイハットを右手に持つと俺はそいつを空高く放り投げる。
……今の俺に出来ること、それはこの『決闘』を見届けることだ。
この決闘が卑怯者の行為になること、そして二人をゲス以下の『殺人者』になることを防ぐのが俺の役目だ。

風に舞った帽子がゆらりゆらりと流されていく。二人のちょうど真ん中、帽子は気ままに舞っている。

だが、はたして俺にそれが可能なのか? はたしてそれをするのは俺にとって「信じた道」を歩くことになるのか?

二人の視線が帽子へ移る。帽子はもう一度だけ、ふわりと舞うと、地面にゆっくりと着地する。

お互い納得ずくの『決闘』。
意志と意志とのぶつかり合い。
漆黒の『殺意』をもった男たちの神聖なる儀式。
何者にも邪魔されない世界、法や道徳や倫理、それを超えた世界。
人はこんな世界をこう呼ぶのだ。

『男の世界』、と――――――。


206 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:01:58 ID:Tx8JbQgA



【D-4 南部 /1日目 夜中】
【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:身体ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を守り抜き、ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.花京院をぶちのめし、徐倫の居場所を吐かせる、
1.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
2.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
3.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。

【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:服に血の染み。右足が裸足
    肋骨骨折(戦闘になれば辛いが動けなくはない)、右肩切断(スタンドにより縫合)
    貧血(目眩はしない程度まで回復したが血液そのものが不足しているため行動に支障が出る可能性あり)
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3。把握済)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.二人の決闘を見届ける
1.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
2.アナスイが正直に話してくれて少し嬉しい
[備考]
※第二回放送の内容はティッツァーノから聞きました。
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。
※花京院と情報を交換しました。お互いの支給品およびラング・ラングラーの支給品を把握しました。
※アナスイと徐倫の事の顛末を聞きました。


207 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:12:31 ID:Tx8JbQgA

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(小)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!
0.アナスイの無力化
1.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
2.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?
3.巻き込まれた参加者の保護
4.荒木の能力を推測する
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。


208 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:13:41 ID:Tx8JbQgA

<E-4中央:復讐者―空条徐倫>


机の上にあるペンや地図、紙切れを片づけながら私は視線を目の前の青年に向ける。
難しそうな顔をした彼は踏ん切りがつかなそうに見えた。

……それも当り前のことよね。
いくら友人の娘、と言っても私たちは赤の他人。
それも時代超えた、本当に実在しているのかさえ分からない人物だもの。
信頼されなくても当然のことだし、私もそれを前提で話をした。

花京院は正直に情報交換をしてくれたように思えた。
この環境の中でナーバスになってるようにも見えたけど、話の中で不審な点はなかった。
けど私は全部が全部、そのまま正直に話をしたわけではなかった。

『なにが正しいのか……僕にはわかりません。
 ただ……僕は貴方をそんな風にしたアナスイさんを許すことはできません』
『そう……』

アナスイと私の関係、私はそこをでっちあげた。
DIOの館へ向かった。そこで混戦中に気を失った。
そして気がついたら私はアナスイに分解され、あんな姿になっていた。
アナスイと私は元々の知り合い。
だけどあんな風に『分解』される理由は見当もつかない。
これが私がついた嘘。


『彼を止めに行ってきます。勿論説得できればそれに越したことはありませんが……。
 どうもそう簡単にはいきそうにないですし。徐倫さんはどうしますか?』
『貴方がアナスイを止めたいと思うように私にもやりたいと思うことがある。
 残念だけどここでお別れだわ。助けてくれたことは本当に感謝してる、ありがとう』


少し可哀想だけどこれも私の目的のため。
花京院にはアナスイの足止めをしてもらおう。
私は去り際に言葉を残すと、振り向くことなくその場を後にした。


―――――――――――――――


209 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:14:56 ID:Tx8JbQgA




リハビリがてら、夜の街を私は一人歩く。
体は思ったより軽い。怪我も大したことないし、多少の傷はストーン・フリーで縫うことでカバーした。

シーツと一体化していた体は強引に元に戻した。
もとはと言えば、シーツと一体化できたのは私のスタンドが糸のスタンドだから。
花京院に手伝ってもらいながら、重要な器官や関節は守りつつ、余分な糸を引きちぎる。
そうすることで傷は負いながらも、無事こうして自由になれた。

久しぶりの開放感に体を伸ばし、私はゆっくりと歩く。
調子は上々、結果的に良い休憩となったのかもしれない。

けどあまりのんびりもしてられない。
こうしてる間にもアイツは、『荒木』のやつはのうのうと生きてるのだから。

やつを思い出すだけで私の頭は憎しみで一杯になる。
憎しみ、という言葉じゃ表現しきれない。
これほど人を憎めるのかと思うぐらい、私はあいつが憎い。
私から大切な人を奪っていったアイツを、私は許せない。

いなくなってしまった大切な人たちが頭の中に思い浮かんでくる。
母さんも、エルメェスも、エンポリオも、ウェザーも、そして父さんも。
もう誰も私の中に残っていない。

―――今は忘れよう。
悲しいとか、もう会えないとか、苦しむのは全部終わってからでいい。
迷いを消すように頭を振る。靄がかかったような気分が少しだけすっきりする。

それでも、どうしても消えない人がいた。
ナルシソ・アナスイ。
私を『分解』してまで、私を止めようとした人。

「アナスイ……」

彼のことを考えると罪悪感が湧き上がる。
なぜだろう、ほかの人を利用することには躊躇わないと思ってたのに。
私にとって今考えるべきことは、荒木への復讐だけであって、それ以外はどうでもいいと思っていたのに。

『いつまでも絶えることなく、友達でいよう』

それは貴方が私の中の大切な人のうちの一人だから。
彼が私を守ろうとしてくれたから。
傷つけまいと私を庇ってくれたから。

210 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:16:10 ID:Tx8JbQgA

『今日の日は――――さようなら』

それでも……それでも、私には成し遂げたい目的がある。
アナスイの気持ちを裏切ってでも成し遂げたい目的が。

だから、ただ見守っていてほしい。
アナスイが私を見てくれてる、そう思うだけで勇気がわいてくる。
貴方が私のことをどう思っていようと、私も貴方を失いたくない。

私も貴方を守りたい。
もう誰もいなくならないでほしい。


「私は私の道を行くわ、アナスイ」


ビュウとひときわ強い風が頬をなでる。
握りこぶしを作り、向かい風の中を私は歩いていく。

心は決まってる。
打倒荒木、それが私のやるべきことだ。
そこに迷いはない。




歩き始めてどれぐらいだろうか、そろそろ調子も戻ってきた。
足であるバイクを失くしたのは痛いけどいまさら言っても仕方ない。
とりあえず目差すべき場所は……そうね、やっぱりDIOの館かしら。
そう考えて私が地図を取り出そうとした時だった。

「!」
「…………!」

少女を腕に抱えたインディアンの男がこちらに猛スピードで迫っていた。
屈強な肉体、人間を超えたスピード、そして腕の中にはぐったりとした少女。
それは即ち―――



「ストーン・フリー!」

このくそったれな殺し合いにのった参加者!

「オラッ!」


211 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:18:53 ID:Tx8JbQgA



すれ違いざまに拳をぶつけようとした瞬間、男の姿が消える。
同時に私が影に覆われる。今日は満月、つまりやつは……上!

「オラオラオラッ!」

跳躍し、私を飛び越え逃げようとするインディアンに拳の雨をお見舞いする。
当然のようにスタンドを繰り出し、私の拳をガードするインディアン。
空中で身動きが取れない今が叩くとき。私はさらに拳を振るう。が―――

「?!」

ふわりと舞い降りてきた木の葉に小石。
拳で触れた瞬間、電撃が走ったかのような衝撃を受け、たまらず私の手が止まる。
その隙にインディアンは私を飛び越え、すこし距離をとり、止まった。
そして言う。

「……俺に戦いの意志はない。とりあえず話を聞け。
 俺が今お前にしたことは『正当防衛』であって『攻撃』ではない。
 とにかく話がしたい。それに怪我人の治療もしたい……」

そう言って脇に抱えた少女へ目を向ける。
右腕を失った彼女はぐったりとしていて、動かない。
出血を止めなければならない、極めて危険な状態だと言える。

怪しい。状況的に見たらこの男は疑わしいというのが正直な感想だ。
この男が言ってることをそのまま信じてしまってもいいのだろうか……?
少しの間私は考え込んでいたが、ゆっくりと口を開いた。

「……わかったわ。今回は私が早合点してしまった。
 幸い私のスタンドは治療にも使える。ついでに情報交換、ってのはどうかしら?」
「……いいだろう」

まだ、わからない。果たしてこのインディアンは本当に『善』なのだろうか。
けれども構わないわ。今の私に必要なのは『足』と『情報』。
そしてこの男はその両方を持ってる。
利用できるなら利用させてもらう。駄目だったらその時は……。


212 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:20:06 ID:Tx8JbQgA
近くの民家に入ると、まずは少女(と言っても私と同じぐらいの年に見えたけど)の治療に取り掛かる。
怖いぐらいきれいな切り口だった。一体何を使えばこんな綺麗に切れるのかしら。
傷口をストーン・フリーの糸で縫い、心臓より高い位置で固定する。
お粗末かもしれないけど、とりあえずの治療は終わった。

ソファーに彼女を寝かしつけると、私はあらためて男と向かい合う。
男は黙ったままわたしの動きを見ていた。まるで見張るかのように。
腕の断面図を見ても眉一つ動かさず、私のスタンドを見ても動じない。
つかめない男、私は彼のことをそう思った。

「意識は戻りそうにないか?」
「今のところは、ね。こればっかりはわたしもわからないわ」
「そうか」
「それじゃ、情報交換といきましょうか?」

私が口を開くと彼はそれを予期していたようにこう返してきた。

「……構わないがその前に一つだけ条件がある」
「……?」

条件という言葉に身構える。
彼は相変わらず何を考えているかわからない目で私をじっと見つめる。

「俺は情報を提供する。だが今は緊急事態、とてもじゃないがゆっくり話している暇はない」
「どういうことよ?」
「俺は今敵から逃げていた途中だった。
 その敵は俺の足をもってしても、振りきれるかどうかは微妙なところだった。
 だが実際、俺は追い付かれていない。つまり誰かがやつを足止めしてるのだろう……」
「それで?」

嫌な予感がする。立ち上がったインディアンを追うように私も立ち上がる。

「俺は今からそいつの元へ向かう……。
 勝てるようだったら加勢すればいいし、駄目だったら逃げる。
 お荷物もいない俺なら逃げ切れる可能性は高いだろう……」
「でも、あんた情報交換は!?」
「……俺が帰ってきたらその時にしてやる。それに、まずはその女から情報交換すればいい」
「ちょっと!」

引き留めようと出した手をスルリとかわし、インディアンは足早に玄関へと向かう。
あわてた私が外に出るころには、彼は隣の民家の屋根に上っていた。

「しばらく経っても俺が返ってこないようならナチス研究所へ迎え。
 そこに行けば充分な情報も手に入るだろう……」
「ちょっ……!」
「それと、彼女が目を覚ましたら伝えてくれ
 『広瀬康一は打倒荒木のもとに死んだ、その意志はまだ消えていない』と」

213 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:22:27 ID:Tx8JbQgA



そして返事を待つこともなく、彼は去っていった。
その場に取り残された私はさぞかし間抜けな顔をしていただろう。
少しすると、悔しさと怒りがわいてきた。
悔し紛れに近くのゴミ箱を蹴りあげてみたけど気分は晴れない。

まったく、やれやれだわ……! 利用しようとした相手に逆に利用されるなんて!
仕方なくリビングに戻ってみたはいいけど、正直一刻も早くここを出ていきたい。

当初の目的地、DIOの館に向かいたい。
さっきの男を追って『敵』とやらをぶちのめすのもいい。
あるいはナチス研究所に向かうのもいいかもしれない。

「……やれやれだわ」

けど、この少女を放っておくってのも心苦しい。
放っておいたらあのインディアンから情報も貰えなくなってしまうし……。
頭が痛い問題だわ……。たまらずため息を吐いた。

「こうなった以上、この子から情報をもらうのがベター」

危険人物の可能性もあるし、まあ故障明けというのもある。
ソファーにどさりと座り、私は無理矢理自分に言い聞かせる。
焦る気持ちもある。荒木に対する憎しみがじわじわと込み上げてくる。

けど、今は仕方ない。
とりあえずはこの子が目を覚ますまでは―――

「……………ん」

言ったそばから、だ。
机を挟んだ向こう側のソファーで彼女が意識を取り戻したみたい。

私は立ち上がると彼女の脇にしゃがみ込む。
焦点の定まらない目でぼんやりと彼女は私を見る。
どうやらまだまだ全快とはいかないようだ。

「気分はどう?」
「康一……君は?」
「え?」
「エコーズ……音の能力……さっき康一君がいたの。
 死んだはずの康一君……。
 でも、やっぱり、彼は生きてるのよ…………」


214 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:23:44 ID:Tx8JbQgA
康一君。それはさっきのインディアンが私に伝えた名前だ。
うわ言のように彼女は康一君、と繰り返す。
私は何も言えない。机の上にあったデイバッグから名簿を出すとその名前を探してみた。
広瀬康一、その名前には棒線が引いてあった。

「康一君……私の、私の大切な人。もう会えないと思ってた……。
 死んでしまったと信じ込んでた。でもやっぱり康一君なのよ。
 会いたい、会いたいわ。どこに行ったの……? どうして、いないの?」

彼女は呟き続ける。意識はまだはっきりとしていないのかもしれない。
けど、それだから、彼女は涙を流し、呟いている。

もう会えないと思ってた人に会える嬉しさ。
やはり会えないとわかった悲しさ。
その二つがせめぎ合い、現実と妄想の中で彼女はさまよっている。
私はそんな彼女を見て、何も言えなかった。

この子は、私と一緒だ。
この子は……大切な人をこのくそったれなゲームで失った。
私が父さんを失ったみたいに……母さんを見殺しにしてしまったように……。

失った、失った……。
母親も、父親も……友達も、親友も共に戦ってくれる仲間も、失った。
同じだわ……。
この子と私は、『似てる』……。

次第に意識がはっきりし始めたのか、彼女の眼に光が宿り始める。
同時に彼女の中で悲しみが押し寄せる。
一瞬でも希望を持ってしまった彼女。けど、やっぱり違った。
現実が彼女へと襲いかかってくる。やっぱり彼女の大切な人は、いないんだと。

呟きはすすり泣きへと変わっていく。
涙が頬を伝い、雫となって床へ落ちる。
顔を覆おうにも彼女は今、片腕しかない。
すり抜けた水滴が次から次へと零れ落ち、あふれ出る。

私は何も言えなかった。私はただそんな彼女を見ていることしかできなかった。
ただ私の中で何かが込み上げてきた。
母さんが死んで、イギ―と出会って、アバッキオが隣にいて……。
第一回放送でエルメェスとエンポリオの死を知って、二人が励ましてくれて……。
そして、第二回放送で、友が、父さんが……。

もう話すことができない人たちが現れては消え、浮かんでは沈んでいく。
取りとめのない思い出、大切な記憶。
思いっきり笑ったこと、大声で泣いたこと。
私の頭の中が、たくさんの人たちで埋め尽くされていく。

215 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 21:24:58 ID:Tx8JbQgA


そして――

『君に殺されるのなら本望だ』
『いつまでも絶えることなく、友達でいよう』
『今日の日は――――さようなら』

例え私と闘うことになろうとも、私を止めようとしてくれたアナスイ。
なにがあろうとも、守ると誓ってくれたアナスイ。

『いつだって……想っていた』
『いつだって……愛していた』

危険に巻き込まないよう遠くで私を見守ってくれていた父さん。
いつだって私のことを大切に思っていてくれた父さん。



開け放たれた窓からやわらかい風が吹き込んでくる。
温かく、優しく私を包み込んでくれる風。



私は何も言わなかった。
ただ彼女が泣きやむまで待とう、そう強く心に誓った。


216 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 22:05:18 ID:Tx8JbQgA


【E-4とE-5の境目 /1日目 夜中】

【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】
基本行動方針:元の世界に帰る
0.とりあえずエシディシとリンゴォの元へ向かう。そこでどうするかはついてから考える。
1.出来ればテレンスとの約束の場所へ向かいたい
2.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
3.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
4.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。
※ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。 。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。


217 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 22:07:48 ID:Tx8JbQgA

【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕の二の腕から先を欠損(重症:止血済み)、精神不安定(大)、貧血(重症)
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.康一君……
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2.他にも利用できそうな人がいるなら利用する。
3.正直知り合いにはなるべくあいたくない。
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。 。
※リゾットのメモを見ました。

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(小)、体中縫い傷有り
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0. この子と私は、『似てる』……。
1.危険人物排除、そして荒木打倒へ。
2.アナスイの愛情をなんとなく理解、けれど自分は自分の道を進む
3.DIOの館に向かい、DIOと決着ゥ!つける
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。
※花京院と情報交換しました。

218 :◇Y0KPA0n3C.氏代理:2010/11/27(土) 22:09:31 ID:Tx8JbQgA
代理投下完了
入れ忘れましたがタイトルは「男の世界/女の世界」です。

219 :創る名無しに見る名無し:2010/11/27(土) 23:16:04 ID:G7J35hTF
由花子サンドマンの連作乙です
第1回放送より快進撃を続けてきた由花子さんですが、ここらで一旦クールダウンでしょうか?
サンドマンは相変わらず好調ですね
元々の知り合いがほとんどいないのに、現時点で持ってる情報量はロワ内トップですね
テレンスと情報交換が成立したら凄い事になりそうだ

そして、エシディシさんの声が何故かブロリーで再生されるw
やはりあのマッチョボディとふてぶてしい喋り方のせいか?

220 :創る名無しに見る名無し:2010/11/28(日) 00:51:06 ID:XVSkjBKK
投下乙ー
あっちこっちで「男の戦い」が巻き起こるッ!! ティムとアナスイのコンビはなんか好きだなぁ。互いになんとも言えない感情を抱いているってのが好みですわ
徐倫…似てる!? その女。あんたの父さんを殺しましたからーー!!!
首輪も持っているし、錯乱した状態の由花子がもしポロッっと承太郎のことを話をしたらと思うと…


221 :創る名無しに見る名無し:2010/11/28(日) 10:56:14 ID:QZ9brFlM
乙です
花京院VSアナスイはちょっと誤解も入ってるんだけど、
それが解けても、仲悪そうだな。全体主義VS一点主義みたいな。
220の言うように、由花子と徐倫の同居は怖い。
由花子が弱り目だけに、所持品を調べられたら一発アウトなんじゃ…

222 :創る名無しに見る名無し:2010/11/29(月) 12:16:15 ID:OCwcnqmA
>>221
首輪を所持してるのは確かにやばいが、承太郎のものとまではわからないだろうし言い逃れはできる気がする
それよりサンドマンの所持品が気になるな

エイジャの赤石+紫外線照射装置を持ってる奴がエシディシに接触する
嫌な予感しかしねえ

223 :創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 23:35:51 ID:rjzADCoH
問題無い様なのでwiki編集しても大丈夫だと思いますよ

224 :創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 14:20:18 ID:GWVoKDgz
最新投下『男の世界/女の世界』のラスト、徐倫と由花子がいる場面を
一枚絵にしました。3日ほどうpろだに残しておきます。

ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0037.gif
(PASSは設定してません。直接画像につながってます)

この二人も次がどうなるか分かったもんじゃないですが、◆Y0KPA0n3C.氏の書く
徐倫は随所で強さと脆さを魅せてくれるなぁと思うことしきり。
色塗りしようとしたら久々すぎて失敗したのでモノクロとしましたが、楽しんで
描かせていただきました。SSの雰囲気が少しでも出てれば幸いです。

225 :創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 21:26:36 ID:/RzZulDx
他板でやってるジョジョ系リレー小説スレの参加者なんすけど
ここで告知とかさせてもらうわけにはいかないですよね
いや参加者少なくて困ってるもんで…やっぱダメですかねぇ
wikiだけでも貼らしてもらうわけにはいかないっすか


226 :創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 22:13:54 ID:vdZKufux
支援絵来てる! すげえ!
この話も、徐倫も由花子さんも好きだから嬉しすぎるぜ!

227 :創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 23:07:43 ID:lynkfky3
>>225
ハッキリ言わせていただくと『絶対に駄目』です。
確かにここの住人はJOJO好きが多いのですが、
ここはバトルロワイアルという暴力的で不健全なジャンルのSSを扱う場所です。
よって、バトルロワイアル系列のスレ以外とは全く交流を持ちません。

いかなる形でも、関わりを持たぬべきです。

228 :創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 01:06:23 ID:oRU/d+7J
>>227
了解しました。スレ汚してすんませんでした
ROM専に戻ります
コテの方引き続き頑張って下さい


229 :創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 16:14:57 ID:j9xhlN3X
投下も絵も乙
徐倫と由花子はどうなるんだろうか…

230 :創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 21:14:08 ID:9TCw39rR
>>225
>>227
そこまで頭ごなしに拒否するものではないと思うが・・・
少なくとも俺は内容を把握してから判断したいな
別作品のロワならともかく、ジョジョなんてもとから暴力的で不健全だろ
他の人の意見も聞いてみたい

231 :創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 21:24:55 ID:e/ZZFghb
暴力的だけど不健全ではないぞ
むしろ前向きで健康的

232 :創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 23:20:14 ID:SVSJv7m7
SBRは微妙なところだが、他は一貫して勧善懲悪じゃないか
敵側であっても吐き気を催すゲス野郎が出てきたら不健全だっていうのか?

233 :創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 23:43:39 ID:xpGLHRHY
何にせよ、ロワスレに宣伝はやめとけ

234 :創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 23:50:16 ID:+ZxZbCM0
ロワが創作界隈で嫌われてる事を知らない奴が居るのか

235 :創る名無しに見る名無し:2010/12/07(火) 00:21:19 ID:gbOHFaSA
ロワが嫌われているかとか、ジョジョが不健全かどうかは別の問題として、
ここはジョジョロワ以外のリレー小説の話題はスレ違いってわけだな
どうしても気になるなら自分でググッて探してみたらどうですか?

236 :創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 00:10:11 ID:hHrkhDB+
したらばより転載させていただきます。

明日、12月8日にパロロワ毒吐き別館の企画交流スレでジョジョロワ2語りがあるよ
みんなで色々と話題を振って盛り上げていこう

みんなで楽しい語りにしましょう!

237 :創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 00:16:18 ID:hHrkhDB+
明日じゃない、今日だったorz
失礼しました。

238 :創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 12:01:19 ID:rA/f1OGE
毒吐き…

239 :創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 21:03:27 ID:hA3071iC
>>237
IDがドラゴンボール

240 :創る名無しに見る名無し:2010/12/09(木) 00:06:44 ID:llLln2Tg
日付が変わったら本当に予約来てたwww
やっぱり◆Y0KPA0n3C. の兄貴ィはスゲェーやッ!

241 :創る名無しに見る名無し:2010/12/09(木) 00:43:03 ID:GosrFH2X
さっそく予約が来たッ!!!
書き手さん……いつだって応援するさ

242 : ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:40:49 ID:bK3LoBLE
期限オーバーし、誠に申し訳ありませんでした。
音石明、エシディシ、リンゴォ・ロードアゲイン、テレンス・T・ダービー、オインゴ、サンドマン、投下いたします。

243 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:47:07 ID:bK3LoBLE
 


 戦いに勇気なんて必要ない。
 生きる事にこそ勇気が必要なんだ




※   ※   ※
 
 
 男は駆けた。

 手元にはぬめるように光るナイフ。男は、リンゴォ・ロードアゲインという名のガンマンだった。
 しかし、彼の手元に銃はない。あるのはボウィーナイフのみ。
 
 彼の手は震えている。切っ先もそれに合わせてわなないていた。
 手を口許へ当て、手袋越しに噛み付く。震えを押さえ込む為だ。
 震えの原因は恐怖だったかもしれない。しかしだからこそ彼は向かって行った。
 この震えを克服する道筋に、いつも光を見ていたから。

 駆けた先には、妙なる巨躯にその激情を持て余す、人の形をした獣。柱の男、名をエシディシといった。
 濃い陰影を映すその面貌には、深い深い笑みが浮かび。
 彼は、ナイフを持った敵が己めがけて接近しているにもかかわらず、動かなかった。

 だが、リンゴォが強く握りこんでいたその凶器を振り上げるよりも早く、彼の体は宙を舞い、民家の壁へと無残に叩きつけられる。
 いつのまにか位置を大きく変えているエシディシの躰。
 彼は、残像すら残さない素早さでリンゴォを殴り飛ばしたのだった。
 そしてそう認識するが早いか、次の瞬間にはリンゴォは何事もなく『殴り飛ばされる前の状態で』ナイフを構えて、またエシディシへと駆け寄っている。

 まさしく奇妙としか表現し得ない有様だった。
 瞬時に巻き戻される情景、それが『マンダム』の能力。
 リンゴォが望む限り、永遠に続く巻き戻し。
 
「HUM……時を6秒戻す能力……時などという概念をさほど重視したこともないが、こいつは面白い。殴れども殴れども――」

 エシディシは独白し、跳躍した。
 リンゴォは後ろへと飛び退りながら手首の時計に手を当て、思考する。
 
 最初は、おそらく様子見だったのだろう。この怪物が本気を出せば、か弱い人間の体など千切れ飛んでいたはず。
 壁に叩きつけられ血反吐を吐く程度、まだ軽傷だったのだ。
 次に来るのはおそらく、渾身の一撃。食らえば、能力発動などできないままあの世の門をくぐる羽目になる。

 豪胆な拳が自分に届くよりも早く、スイッチをひねる。眼前に立ち現われるのは、6秒前の世界。
 縮められぬ距離にエシディシは大きく嘆息し、しかし楽しそうに問う。 

「埒が明かんな。何を狙っている?時間稼ぎか?お前はユカコの仲間か?」

 矢継ぎ早に提起される質問に、リンゴォはよどみなく答える。

「俺に仲間はいない。よって時間稼ぎは俺の目的ではない。狙っているのはお前の命――対等な決闘の先にある『男の世界』」

 対峙した二人は、お互いを見やる。
 にらむでもなく見据えるでもない。緩やかなほどに自然な態度で向かい合っていた。 

「男の世界?意味が分からんな」


244 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:49:04 ID:e4QWqxFb
支援

245 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:50:24 ID:bK3LoBLE
一転、殺気が場を満たす。
 エシディシの血液が燃え盛る、狂おしい彼の心情を代弁するかのように。  
 同時にうごめく黄色い粘液のような『イエロー・テンパランス』。 
 山岸由花子との間に横やりを入れた不届きものに、容赦など不要。
 そして『決闘』という単語を使ってきたということは、それ相応の覚悟があるということなのだとエシディシは思った。
  
「しかし、俺に決闘を申し込むとは……ンッン〜、なかなか良い度胸ではないか。宣言通り見せつけてみろ、人間の生き様!貴様の戦い!」

「言われるまでもなく」

 かくて、ボールはネット上へと弾かれた。

 リンゴォはひるまない。相手がスタンド使いで、人間ではなく、圧倒的身体能力を持っていると分かっていてもひるまない。
 エシディシは止まらない。男の世界という未知の単語。それにすら気を払えないほどに高揚した彼の意識は、すべてを食らい尽くすまで止まらない。

 付加された条件において、エシディシは有利と言えよう、リンゴォは不利と言えよう。
 しかしそれは大した問題ではない。

 最も重要なのは、その意志が漆黒に塗り固めれられているかどうかなのだから。
 弾かれたボールをこちら側へ引き寄せんとする意志こそが、重要なのだから。
 それが「異能」であるスタンドを生み出すエネルギーなのであり、「生きる意志」なのだから。
  
 エシディシの拳が再び、リンゴォの胴体へと向けて迫りくる。回避など不可能な疾風迅雷の一打。
 リンゴォは意識と無意識の狭間で、手を動かした。エシディシの拳に、ナイフが深く深く突き刺さる。
 直接食らうことは何とか免れたが、骨を震わせるような衝撃が腕に響いた。
 しかし怪物は、己の拳に鞘の根元付近まで食い込んだ鋭利な刃物を見もしない。
 おもちゃに等しいナイフが刺さったところで、ダメージのうちにも入りはしないのだ。

 お互い接近した状態で動かず、にらみ合いの形になる。
 エシディシは拳にナイフを刺されたまま、それを握りしめるリンゴォの目を覗き込むと、不思議そうに言う。
 
「お前はナイフ一本で、本当に俺に勝てると思うのか?時を戻すだけでは、少しのダメージにもならないというのに」

「それは問題ではない。『立ち向かうこと』が重要なのだ」

 ナイフを引き抜き、再び振るわれたエシディシの打突をリンゴォはかろうじて避ける。
 追撃を恐れて身構えるが、エシディシは顎に手を当てて考え込むそぶりを見せた。

「立ち向かう……『Stand up』。――貴様の言う『男の世界』とは、一体何だ?」

 投げられた疑問に、リンゴォは答える。すでに何十回も繰り返してきた信念を。

「それは神聖なる修行のこと。卑劣さはどこにもなく……公正なる果し合いは、人として未熟なこの俺を聖なる領域へと高めてくれる」

「人として……貴様はどこに向かおうとする」


246 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:51:11 ID:bK3LoBLE
 エシディシはさらに深い思考へと沈む。
 ぎらつく瞳の奥は、不可解な言葉をかみ砕くために揺れている。

「俺が向かうのは『光輝ける道』。社会的価値観を凌駕する男の価値を得ることで、その道を見ることができるのだ」

「ならば俺にも見えるのか?貴様を殺しにかかれば、その光輝ける道が」

「それは今はまだわからない。ただ殺しあうだけでは動物と変わらないからな」

「お前には人間と動物の違いが判るのか」

 リンゴォはいまだ震える手に視線を落とし、ナイフを持っていない方で反対の手首を握りしめる。
 一筋の沈黙が流れ、彼は顔を上げる。言葉を探しながら、相手をじっと見つめた。 

「人間は……『受け身の対応者になるか、そうではないか』自らの意志で選ぶことができる」

「俺は人間ではない」

 そうつぶやいたエシディシの表情を、かすかな悲哀が横ぎった。
 しかしそれも一瞬の出来事。
 次の瞬間には、エシディシは決心したように顔を上げた。

「いいだろう、いいだろう……どの道、俺が戦い続けていればわかるだろう事柄よ。やることは同じ。望み通り俺は、貴様を殺しにかかってやる」

 自ら手を下したプッチより受け取った『イエロー・テンパランス』がうごめき、リンゴォを捕えようと覆いかぶさってくる。
 しかしその動きは正確性を欠いていた。ぎこちない動きは、スタンドがエシディシの精神と馴染んでいないためだ。
 リンゴォは難なくテンパランスを避けきり、バックステップを取って距離を開ける。
 エシディシは思うように動かないスタンドヴィジョンを忌々しげに見やった。歯ぎしりが静かなコロッセオに響く。

「俺は闘い続ける……一族のため。憎むべき波紋使いをはじめとした人間どもに、もう煩わされたくはない。食糧以下の存在に、なぜこうも気を乱される必要があるッ」

 『イエローテンパランス』は、ラバーソールのものだった。
 しかし、彼の力はホワイトスネイクの能力によってディスクにされた。それは精神の結晶だった。
 「節制」と銘打たれながら、彼の邪悪な精神を反映した、まるで逆位置の意味における暗示のような能力。
 食らい、取り込む能力。人間という異種族を食らい続けてきたエシディシには似合いの能力。
 
 だがそれは「力の内容」であって、「力を行使する精神」のことではない。

 他者を踏みにじってでも己の欲望を満たさんとするラバーソールの人間らしさ。
 その善悪はここでは問わないとして、「それでこそ」彼は人間だったと言えるだろう。
 
 対するエシディシはどうか?
 彼には何があるのか?
 一万年以上も共に生き続けた同胞たちは死に絶え、大きな夢は崩れて消え去った。
 太陽を克服『してしまった』今、最早彼は過去の夢を追い続けるしかなくなった。

「俺は知りたいのだ……なぜ人間は人間なのか?!なぜ人間は、滅びることなく立ち向かい続けることができたのか!」 

 彼は怪物だ。
 人間を食らう吸血鬼を食らう柱の男だ。
 そして彼は、戦闘を求めずにはいられない性分だ。
 何もかもが消えてなくなるまで戦い続ける幽鬼なのだ。

 今の彼には何もない。目先の欲望はあっても、その先の希望はない。

「俺は全てにおいて優れている。人間より、圧倒的に!だからなおさら許せない!貴様のその、恐れを持たない小生意気な目がなァァアア!!」

 手近かなコンクリートの壁にに拳をぶつける。あっさりと崩れ落ちる、薄い民家の壁。

247 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:51:18 ID:7QlcFair
支援

248 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:51:19 ID:e4QWqxFb
支援

249 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:51:41 ID:3r3Hxhxo
支援

250 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:55:02 ID:bK3LoBLE
今のエシディシにはわからないだろう。人間が戦う理由と、自分が戦う理由の、その決定的な差が。
 戦うために闘うエシディシと、勝つために克つ人間と。

 だからスタンドディスクは彼に馴染まない。
 血や遺伝子ではなく、彼が真の意味で『人間ではないから』。

「『傲慢』であること。それが、お前が望むものを手に入れることができない理由だ」

 生を捨てる傲慢さ。戦いだけをただ望み、奪い、捨て続けるだけの命は、いつも大切なものを得ることができない。

「あらゆる闘志に敬意と謙譲を。克服することを目的としたときに生まれるのが『力』。お前には理解できまい」

「俺が、理解できないィイ?」

 リンゴォは再び構えの姿勢を取る。
 しかし、相手に迷いがありすぎる。リンゴォの考える決闘の透明な空気感が、ここにはなかった。
 しかしここで引くわけにはいかない。サウンドマンの言葉が、思考を乱してたまらないのだ。
 これを乗り越えなければ、吉良に向かって行ったとて男の価値を得ることはできないと考えていた。

「力ならばもっている!お前の首を千切り飛ばす力、大地を穿つ俺の拳が、俺が欲したもの――柱の一族の再興を与えてくれるのよ!」

 エシディシは傲然と駆け出す。狙いは腕時計。
 時が戻る前、リンゴォは必ずそれに触れていた
 腕をピンポイントで狙い、時計だけをはじき落とす。エシディシのすさまじいスピードに、相手は接近を認識することもままならない。

「さあ、五体は満足なままで俺に立ち向かわせてやる。――来い!」

 一部の無駄もなく、密に鍛え抜かれたその腕を上げ。
 ただまっすぐに、リンゴォに向かって振りかぶる。期待と怒りを込めて。

「敬意?謙譲?そんなものが戦闘においてなんの役に立つ?!口先だけで語らず、行為で示すがいい!」
 
 リンゴォに選択の余地はなかった。弾丸ならば『点』の攻撃ゆえ、致命傷となりうる場所を回避しさえすれば即死は免れる。
 しかし、相手の拳は当たれば広範囲をえぐり取られるであろう『面』の攻撃。
 低く頭を下げ、やり過ごす。エシディシから漏れる侮蔑の笑い声。

「今分かった……貴様は赤ん坊のようなものなのだと。人間を理解できずに苦悶する、哀れな子供なのだと」

 そう言って憐みの表情を浮かべたリンゴォ。その言葉と顔を、信じられない思いでエシディシは見た。

「理解できないから、軽蔑するしかない。苦痛を伴う思考を止め、弱いと蔑むのはひどく簡単だからな。なるほどお前は強い。だが、ただ圧倒的な力を奮うだけでは、いずれその空虚に取り込まれてしまう」

 追い打ちをかけるような言葉。
 エシディシはこめかみに血管を浮かび上がらせ、能力とは関係のない感情の高ぶりによって血液が沸騰するような錯覚に陥る。
 耐え難い憤怒の情が、エシディシの臓腑を焼き焦がし。
 それはとめどなく流れ落ちる涙と叫びによって、体外へと発散された。 

 「HEEEYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

 突然の絶叫にも、リンゴォは眉一つ動かさなかった。異常な事態を気にも留めず、相手に攻撃するチャンスを伺い続けている。
 しかし制御の利かなくなった機関車のように暴れ狂う相手に、接近すらできずにいた。
 弾き飛ばされた腕時計を目で探すが、エシディシの遥か後方に落ちていた。脇をすり抜けて取りに行くのは至難の業。
 精神的なスイッチを経ずに発動させる能力は、その動作において不安を残す。

 思考を巡らせるうちに相手は、糸が切れたように動きを止めた。
 両手をだらりと下げ、顔には無表情を張り付けて。
 頬にまとわりつく涙を、乱暴にぬぐい取った。

251 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:55:56 ID:e4QWqxFb
支援

252 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:56:52 ID:bK3LoBLE
※             ※              ※

 ああ……マジにやべえ。

 なるべく足音を立てないように歩く。暗い中で歩くのは別にどうってことない。
 ナチス研究所から命からがら逃げだして、俺は何も考えずに地図中央に向かって歩いている。
 いつだれが襲ってくるかわからないことなんてわかってた。でも、じゃあ、どうしろってんだ?

 このまま当てもなく歩いて……なんになるんだ。
 オイ、音石明……意気地なしの甘ちゃんめ。
 
 このまま進めばコロッセオだ。――イタリアのコロッセオ、写真で見た感じは、なかなかいい歴史の重みってやつを感じたぜぇ。
 だが今そんなものは感じねえ!
 俺が今感じるのは、不安と、恐怖と、焦りと、ちょっとだけ、後悔。

 あのまま研究所にとどまっても、危険はやってくるんだと分かった。
 だが外に出たって同じことだ。甘かった、ドゥ・マゴのチョコレートパフェ並みに、激甘だった。
 
 いったいどうすりゃいい?俺は死ぬわけにはいかねえ。

 石造りの壁が見えてきた。イタリアに行かないと拝めないはずの世界遺産が、目の前にそびえている。
 中へ入ろうか。誰もいないんなら、ちょっとだけ……見物がしたいぜ。
 こんな時に、ホントにこんな時に自分でもバカなこと考えてるって思うけどよォ、ちょっと、俺、落ち着きてーんだわ。
 
 適当な入口らしいところから中に入る。きっと現地で見たりしたら入場料を取られるうえに観光客でごった返してるんだろうな。
 本日は貸し切りサービスデイだぜ。

 下らないことを考える。
 ひんやりとした空気の中で、俺は天井を見上げて立ち止まった。

 俺は……そもそも、リゾットたちを見捨てて逃げ出したのは最高に最低な判断だった。
 きっともう俺の名前は「間抜けな裏切り者」としてあいつらの辞書に収まっちまったに違いない。
 くそ、おれのロック魂は、そんダセェ『レッテル』に我慢できないッ!だが、俺がいつまでも逃げてる臆病者って事実は真実ッ!

 ――いや、まだ諦められねえ。
 
 とにかくコロッセオに誰かいないかを確認するんだ。なるべく目立たねえように、周りの状況を伺うぞ。
 
 で、何か有力な情報を持っていけば……研究所にまた入れてもらえるかもしれない。
 確かに俺はビビッて逃げ出したが、『首輪の内部構造図』をあいつらに渡したって経歴があるんだ!
 まあ……あれはジョセフのだけどな。細けえことはいいんだよ!
 何かもう一個役に立つことをすれば、またあそこに入れてもらえるかもしんねえ。

 よし、と拳を握りしめた瞬間。建物が壊れる時の、あの独特の音が聞こえた。
 しかも、なんと、コロッセオの近くからだ。どうもどっかの道端で、おっぱじまっているらしい。
 俺は手のひらを握りしめたままで固まる。じっとりとした汗がにじんだ。
 
「貸切じゃ、なかった……」

 逃げようか、と足に力を込める。しかし、どこに?

 きっと、そこではスタンド使いか化け物どもかが殺し合ってるに違いない。 
 怖え、まじに。今は自分一人しかいねえんだ。ゲームが始まってからは、結構いつも誰かしらと一緒にいた気がする。
 けど、一人だからって――このまま何もしないでは、やっぱり、だめだ。
 
 震える足を拳で殴りつけて、俺は音のした方向へと向かうことに決めた。



253 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:57:43 ID:7QlcFair
 

254 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 00:58:08 ID:bK3LoBLE

※             ※               ※


 私は息をひそめて見ていた。
 二メートルほどもある怪物――柱の男エシディシに、ナイフ一本で挑みかかる人間を。
 

 先ほど情報交換を約束したサウンドマンを待つため、私はコロッセオの外部西側、その石壁の陰に隠れていた。
 息をひそめ、ただ時間が来るのを待っていた私の耳を襲ったのは、何かが崩れ落ちる音。
 驚いて背を預けていた壁から飛びのき、あたりを見回した。

 どうやら近くで争いごとのようだ。できれば一切関わり合いを持ちたくはない。
 私の存在に気づかれる前に、早々と逃げるのが得策。

 しかし、サウンドマンとの約束を反故にすれば、私は一生後悔するだろうという妙な確信があった。
 それゆえに、私はその場を離れ、状況を確認するため音のする方向へと向かった。
 逃げるのならば必要のないことだが、留まる以上は場の把握が必要不可欠だ。
 約束の時間は半刻後。まだ時間的な心配はいらないだろう。

 何が起こっているのかくらいは知っておかなくては、チャンスを逃すかもしれないし、危機に気付くこともなく、気が付いた時にはすでに死んでいた……などということもあり得る。
 襲いかかる恐怖のためにひどく動悸する胸を必死で抑えながら、音の鳴った場所へと到達した。

 そこにいたのが、エシディシという怪物と、先ほど私を襲おうとしたリンゴォ・ロードアゲインというスタンド使いだった。
 私はてっきりリンゴォがすぐ殺されてしまうか、逃げ出すか、命乞いをするのだと思っていた。
 
 しかし、どうだろう。
 リンゴォはエシディシに向かって行き、あまつさえ奴を『哀れな子供』とまで言ってのけた。  
 当然のごとく激昂するエシディシ。しかし泣き出すとは私も予想だにしなかった。あまりの泣き声に、こちらまで悲鳴を上げそうになってしまう。 

 そしてエシディシ――化け物がリンゴォにとどめを刺さんと迫ったその時、私の横を影が通り抜けた。
 一瞬びくついて身構えたが、私になど目もくれずに跳躍するその影は、先ほど女性の悲鳴がした場所へ向かっていったはずのサウンドマンだった。

 なんということだろう。彼は悲鳴の主を助けたのだろうか。そのうえに、このコロッセオにまた戻ってきたのだ。
 リンゴォといい、サウンドマンといい、こいつらはそろいもそろって頭のリミッターが吹っ切れている。いかれているのだ、この状況で。

 「なんてやつらだ……馬鹿げてる……」

 口では罵りながらも私は、リンゴォの言葉とサウンドマンの言葉を何度も何度も頭の中でなぞらえる。
 この感覚は何だろう。胸が熱く、恍惚とするような。

 『俺は、俺自身の目的のために、できる限りのことをする 』、とサウンドマンは言った。
 荒木に勝てなくても、抗うだけ、と。
 『オレに交渉の術はない。あるのは、『公正』なる果し合いのみ』とリンゴォは言った。
 それが輝ける道なのだと。
 
 ああ、私は……

 ――ええい、認めてしまえ。

 私の魂に瞬き始めた光の名は……「男の世界」。
 私は、その光を拒めない。


※             ※               ※


255 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:58:30 ID:7QlcFair
   

256 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:58:41 ID:3r3Hxhxo
        

257 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 00:58:41 ID:e4QWqxFb
支援

258 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:00:06 ID:7QlcFair
 

259 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:00:15 ID:bK3LoBLE

「仲間がいないと謀ったか?いや、お前はそんなことはしないだろうな。公正さを信条とするお前ならば」  

 嫌な音と匂いを放ちながら焼ける足を気遣いもせず、エシディシは笑う。

 引きずり出されたリンゴォの腕はボロ布のような有様で、所々に食いついたままのスタンドが貪欲に彼の肉を食い続けている。
 
 サウンドマンはリンゴォの前に立ち、エシディシと向かい合った。
 手にはライターが握られている。何度も火をつけたり、消したりを繰り返して響いた音を固定し、自らの周りに並べる。
 彼の周りを、熱を持ち実体化した擬音たちが取り巻いていく。
 ライターは、彼のもともとの支給品の一つ、【空条承太郎がイエロー・テンパランスを焼くときに使ったライター】。

 リンゴォは怒りに顔をゆがめた。

「サウンドマン、なぜ来た?手を出すな」

 腕をかばい、成す術もなく地面へと膝をついて荒い息を吐きながらも、協力者を遠ざけんと吐き捨てる。
 リンゴォの意思は、怪我などで萎えるようなものではなかった。

「俺が説明しなければわからないか?この怪物はお前がいくら『男の世界』を心から訴えようと、その言葉の意味するところすら理解しない。」

 白人が俺たちの土地の崇高さを理解しないのと同じように、と心の中で付け加える。

 サウンドマンは、リンゴォの思想を理解していないわけではないが、その考え方につきあう気もなかった。
 『たきつけるつもりはないが』と前置きはしたが、結果的には自分の一言が相手を闘争へと向かわせた。その責は免れること能わざる自分のもの。
 一対一の死闘を望む彼の意を無視したのは、現状ではあの怪物を殺し切る手立てがないと判断したため。
 どう考えても勝てない相手に、リンゴォを無謀にも立ち向かわせてしまった自分の一言に対し、サウンドマンは生真面目にも助けを買って出たのだった。

「決闘を『汚された』とおまえが感じるなら、俺は謝罪しよう。お前の意思は、堅固にして高貴だった」

「……」

「納得できないか?ならばこう考えろ。『ネズミが視線の端でうろついているが、俺には関係ない』と。そしてネズミが誰に噛みつこうが、そんなものは気紛れだ。気にするな」

「詭弁を言うんじゃあない……」

 二人はエシディシを注視したまま、会話を続ける。
 エシディシはつい先刻、自分を吹っ飛ばした相手がのこのこと戻ってきたことに驚き、また何か考え込んでいる様子だった。
 そして、最早自分にとって最大の命題となった質問を、これまでと同じく投げかける。

「貴様は……何のために闘う?」

 巨大なモンスターと対峙しても、サウンドマンは恐れる様子など微塵も見せない。
 エシディシの情熱――その狂気を受け止めて、毅然とした態度で対峙する。

「俺は戦闘そのものには興味がない。闘わずに済むのならそれに越したことはない。俺の目的はただ一つ。――故郷へ帰ること」

「またしても俺にはない感覚よ。故郷はカーズ達と捨ててきた。郷愁の念など、最早跡形もない」

 エシディシは腕を組み、見定めるようにサウンドマンを見やる。
 先ほどまで沸騰していた怒りは影を潜め、再び笑いながら。

260 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:01:49 ID:e4QWqxFb
支援

261 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:02:48 ID:bK3LoBLE
「一族を再興すれば、味わえるかもしれんな」

 ふと呟かれた言葉を、サウンドマンが拾い、投げ返す。

「一族の再興……それは、本当にお前の目的なのか?ならば、はっきりとお前の行動は『間違っている』。それは荒木を倒し、全て終わらせてから行うべきことだろう。このゲームに駒として組み込まれている限り、我々は奴の傀儡なのだから」

「その小賢しい口を閉じろ!荒木など取るに足らん存在よ!」

 叫び、再開された攻撃は『怪焔王大車獄』。
 飛び散った灼熱の血管針が、サンドマンを襲う。
 とっさにリンゴォを抱え、無差別に迫りくる攻撃を避ける彼の瞬発力は素晴らしいものだった。
 しかし、肩に背負うデイバックに血の一滴が付着し、繊維を溶かす。できたのは小石程度の小さな穴。

 そこから何かの塊が、そっと転がり出た。

 それは赤く輝く石。

 エシディシは瞠目する。その石こそは、亡き同胞が焦がれ追い求めていたもの。
 この人間が元から持っていたのか、ゲーム開始時に配給された物なのか。そんなことはどうだっていい。

 何千年も、何万年も探し続けた、霊妙なる力の源。

『エイジャの赤石』

 ついに。

 やっと。

 おお、目の前に!


「……はは、HAHAHAHAHA!!これは!『赤石』!?なんと……なんとッ!素晴らしいじゃあないかァァ?!!」

 かつての同胞たちの姿が、エシディシの脳裏をよぎった。

 カーズ達は、喜んでくれるだろうか!?これで、我々の悲願は――
 
 そこまで考えて、思い直す。
 もう誰もいないのだった。自分と思想を共にし、歩んできた者たちは、一人残らず。
 
 (そうだ。この石を今手に入れたとて、何になる……)
 
 エシディシの顔が悲痛にゆがんだ。こんな気持ちは初めてだった。
 赤い石を拾い上げ、じっと見つめる。その中で何億回も光の反射を繰り返し、外へと解き放つ石。やはり美しかった。

「……場が白けた。貴様らとのこの饗宴も、そろそろ切り上げようではないか」

 エシディシは背を向ける。背後からの攻撃など問題にもならないとでもいうように、大胆に、あっさりと。 
 その行動をサウンドマンは無表情に見る。
 リンゴォは、去っていく怪物の背に何か言おうと口を開きかけた。
 が、同時に襲ってきたらしい激しい痛みに咳き込み、その言葉は彼の胸の内に飲み込まれてしまう。

262 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:03:54 ID:DgcbeOC4
しぇん

263 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:06:36 ID:bK3LoBLE
「俺は、一端退こう……人間――いや、リンゴォとサウンドマン。貴様らにはまだまだ聞きたいことがある」

 エシディシは撤退を選択した。殺すことなどいつでもできる、しかし、今のままでは『何一つ納得できない』。
 
 なぜ自分はこのような弱い存在に憐憫の情を向けられたのか。
 その理由を探さなくては、自分は精神的な意味と命の有無において、勝負に負けて試合に勝った状態になってしまうだろう。

「今は見逃す。しかし、次は貴様に俺を認めさせてやる。そして絶対に――殺してやる」

 

※   ※   ※

「お待ちしておりました……サウンドマン、リンゴォ・ロードアゲイン」

 約束通り、テレンスとの待ち合わせ場所へとサウンドマンは現れた。
 リンゴォに肩を貸し、二人分のディバックを持って歩いている。
 彼はテレンスの表情を見ておやと思った。
 決闘の間に割って入る直前に、すぐ横を通り抜けた時とは全く違う表情をしていたからだ。

「てっきり逃げたのかと思ったぞ」

「ぐ……、ま、まあいい。お約束をはたしますよ。言い忘れていましたが、私はテレンス・T・ダービーと申します」

「お前が途中参加者のダービー、か」

 どういういきさつか、突如このゲームに投入された新たなる参加者。
 彼は、最初荒木をひどく恐れている様子だった。
 しかし、今は迷いが薄れて、その顔には光る何かがある気がした。
 じっと己の顔を見続けるサウンドマンには気づかず、テレンスは彼がリンゴォを座らせるのを横から手伝いながら話を続ける。

「ええ……その前にサウンドマン、悲鳴の女性はどうされました?助けたんでしょう?」

「民家に女の参加者がいたので預けてきた。女同士のほうが何かといいだろうと思う……後でそこへ行き、その二人とも情報を交換する予定だ」

 言いながら、情報を書き留めるために紙とペンを取り出す。
 テレンスもそれに続き、手近かな場所に座り込んだ。

「俺は、お前と話が済み次第そこへ向かう。その後はナチス研究所だ」

「ではリンゴォは私がお預かりしましょう、この怪我では歩けませんから」

「治療ができるスタンド能力を持っている者がいれば、負傷したものがいる事を伝えよう。ここでは治療のしようがない。そしてできるなら、少しずつでもいい、ナチス研究所へ向かえ」

 その言葉にテレンスが頷く。リンゴォは短い呼吸を繰り返し、何も言わなかった。
 サウンドマンはその様子を目にとめ、少し沈黙をした。
 そして意を決したようにため息をつくと膝を折ってかがみ、地面に座り込む傷ついた戦士を直視した。

264 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:07:21 ID:bK3LoBLE
「あの怪物に向かって行った行為――それが、お前が先刻俺の言ったような受け身の対応者では無いことを証明している。だからこそ、俺が手を出した理由も成立するというもの」

 リンゴォはサウンドマンの意を汲んでいた。
 自分の望むとおりに、すべてが進むわけはないともわかっていた。
 そして、再戦の機会を切望しつつ、今は休まなければならない。
 自分の目的は、シンプルなものからより複雑に、移りつつある。

「現状……あのまま闘っていたら俺は吉良にたどり着く前に死んでいた。復讐もまた俺にとって越えなければならない新たなる世界。口惜しいが、俺とて状況を判断する能力くらいはある。咎めはしない」

 復讐と、決闘。2つの目的は、なかなか両立が困難だ。
 しかし、復讐心と闘争心がせめぎ合うリンゴォの胸の内はかつてないほどに充実していた。
 光輝ける道は、そこかしこにあるのだ。自分の意識次第で、乗り越えるべき道を見ることができる。
 リンゴォは知らず知らずのうちに、小さく、笑った。しかし、その笑みに気付いた者はいない。

「また機会が巡ってくる。我々はおそらく、惹かれ合う。その時にはお前の求める『世界』にたどり着けることを祈っている」

 リンゴォは頷く。サウンドマンはその様子を認めてテレンスへと視線を向け、口を開きかけた。

 が、その時、コロッセオの乾いた石畳が鳴った。足音だ。
 全員が気付き、音のする方向へと振り向く。
 サウンドマンは身構え、すぐにでも動き出せるように片足を後ろへと引いた。
 テレンスはじっとりとした脂汗を感じながら、いまだ恐怖に足がすくんでしまっている自分を情けないと感じつつ、全く動けずにいた。

 そして暗闇の中から這い出るように、こっそりと姿を現したのは、革のライダース・ジャケットを着こんだ長髪の青年。

「お、おい。攻撃するなよ……」

 青年は頭の横に両手を上げ、攻撃の意思がないことを示しながら少しづつ近づいてくる。

「俺は、音石っつーんだが……何つーか、俺も入れてくんね?――あんたらが戦ってるの、見たんだよ」

 名を名乗り、目的を告げた音石。その顔を確認したサウンドマンは両眉を跳ね上げた。

「お前は……」

「あー……どうも」

 音石は、ナチス研究所の時のような態度を取らなかった。
 彼はテレンスとは全く別の場所で、三人の戦士たちの生き様を目の当たりにしていたのだ。

 そしてエシディシに向かっていったサウンドマンの姿が、その胸の内に焼き付いて離れない。
 自分は腰を抜かさないように立っているのがやっとだった。
 「甘ったれの間抜け」な自分はあんなふうには、サウンドマンやリンゴォのようにはなれないのだろうかと思うと、彼らと話がしてみたくなったのだった。 

 サウンドマンは音石がナチス研究所の外にいることを言及しなかった。
 聞いたところで、この男が言っている言葉の真意を確認することができない。
 リゾット達はよほどのことがない限りナチス研究所から出ていくことはないだろう。まだ生きていればの話だが。


265 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:08:57 ID:bK3LoBLE
俺もそいつを介抱してやっからよ、二人より三人のほうがいいじゃん?ちょっとだけど、情報も持ってるぜ。」

「エ〜……オホン、サウンドマンのお知り合いですか?では、信頼はできる、と」

「……」

 サウンドマンは何も言わない。疑うことを知らない者ならば、これは肯定と取れるかもしれない。
 しかし、テレンスはこの沈黙を肯定とは取らなかった。
 ギャンブラーは観察する生き物。サウンドマンの表情に、テレンスは音石の人格を垣間見た。
 
(彼の表情から察するに……『信頼には足らない人物、ただしゲームに乗っていない』、というところか)

「好きにすればいい」

「サンキュー」

 音石は軽い調子でそう返すと、三人の輪の中に入り、荷物を広げる。
 サウンドマンはディバックから水を取り出し、疲れを流すようにのどを潤す。
 リンゴォは来たるべき復讐と、再び会うであろうエシディシとの戦いにに胸を躍らせながら目を閉じ、沈黙した。
 テレンスは、いまだ荒木に対する不安をぬぐいきれずにいる。
 しかし、どうしようもなくサウンドマンたちに期待をしている自分もいることをわかっていた。
 そして、自分が『男の世界』に憧れ始めていることも。






 不安定な場所でも、光が見えている。


 その光を掴みとれるかどうか、そこから先は神と意志の領域。
 

 ネットに引っかかったボールは――まだ、落ちていない。






266 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:11:14 ID:bK3LoBLE


※   ※   ※

「さて、そこの物陰にいる貴様。いつからかはわからんが、潜んでいることはわかっているぞ」

 コロッセオに外壁に沿って黙々と歩いていたエシディシは、一本の目立たない柱の前で立ち止まった。
 柱からは何の応答もない。
 気が短いエシディシは指の関節をぱき、と鳴らす。

「出てこなければ吹き飛ばす」

 おびえる小動物のように、柱の陰にあった影がぎくりと震えた。
 そろそろと顔を現わしたのは、高名な日本の漫画家、岸部露伴――の顔をした、オインゴ。
 エシディシは、ほうと息をついた。

「貴様は先刻の小生意気な小僧と一緒にいた男か……」

「うわあ!オ、俺は……ッ」

 なりふり構わず逃げ出そうとしたオインゴの襟首をつかんで、乱暴に引き止める。
 長身を緩やかに折り曲げて目線を合わせ、鋭く睨み付け。

「逃げるな」

「あ、あ……」 

 今までの一部始終を見て、エシディシの恐ろしさを骨身に染みて分かっていたいたオインゴ。彼は、枯れた野菜のように縮こまった。

 すさまじい殺気で威圧され、腰を抜かす。
 クヌム神による変装は、気が付かないうちに解除してしまっていた。
 現れたオインゴの素顔にエシディシは片眉を跳ね上げると、くだらない能力だとでもいうように鼻を鳴らした。
 攻撃をしないことが逆に、変身以外の能力がないということをエシディシに悟らせてしまったのだ。

 即刻、殺すだけ。エシディシは意識を注入し、テンパランスを動かしかけた。
 が、すぐに思い出したように押し黙ると、オインゴを見据えて問う。

「貴様は言ったな。俺よりも強い、いや、ぶっちぎりに強い、だったか?者が存在すると。お前はそいつのために生きながらえているのか?」

「ヒィ……い、いや、違うぜ……とか言ったら殺されっかもしんねーが……こ、これは譲れねえことだから、言うぜ……俺はこんなくそゲームからさっさと抜けて、弟を守らなくちゃなんねえのさ」

「血縁者のため、お前は命を懸けることができるのか」

「できるだろ、そりゃあ。大事な弟だからな」

 オインゴは掴まれた襟で締まる首元を何とか支えながら、逃げる手立てはないかとあたりを見回す。

267 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:12:57 ID:e4QWqxFb
支援

268 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:13:05 ID:bK3LoBLE
 エシディシが自分の潜んでいる柱の方向へと歩いてきたときに、今までの行動を心底呪った。
 コロッセオ付近には人がいることを期待して立ち寄り、その期待通りに人はいた。

 しかし、そこにいたのは殺し合いにおびえる自分のような者ではなく、戦いにおののく戦鬼の徒たちだった。

 あまりにも現実離れした三人の戦闘を、つい見入ってしまっていたのだ。
 スタンドだけではない異能力と、人間を超越したその戦闘方法。驚くなというほうが無理だった。

「……話が済んだなら、行かせてもらいましょうか、ね……とか思っちゃったりして」

「そうはいかんな、人間」

「なんだよ、もう……怖えぇよ……」

「そのぶっちぎりに強いやつのところへ案内しろ」

 突然の注文内容に、オインゴは呆ける。
 その間が抜けた顔に、エシディシはため息をつくと、ぐいと己の顔を近づけて言った。

「そいつの、ところへ、案内を、しろ。今、すぐに、だ」

「お、おおお、俺だってどこにいるのかしらねーよ!館にいるかもしんねーけど、そうとは限らねえし」

 クローズアップされた怪物の面貌に目を逸らすことも許されず。
 オインゴは必死に言い返す。無理な注文を実行できなかったという理由で、殺されたりしてはたまらない。
 放してくれと必死に懇願するオインゴをよそに、エシディシは思考を巡らせていた。

「館?DIOの館、か?」

「そ、そ、そーだよ、DIO様の館だよ!」

 激しくどもりながらも訴えるオインゴに、彼は冷淡な笑いを持って答えた。

「お前が言った主とは、ディオのことか。フフン、おそらく未来のDIO……だな」

 少し思案した後、彼はオインゴの襟首をつかんだまま引きずり出した。
 何が起こったかわからず暴れる彼は、襟首に手を当て、窒息をようやっと免れている状態だ。

「……気が変わった。貴様、俺についてくる栄誉を与えてやろう。俺は少し休んだ後、DIOの館へと行くつもりよ。それまで、貴様は俺が退屈しないように、弟の話でも聞かせろ」

 人間のことが知りたいと思った。
 そしてリンゴォに再びまみえたならば、最早子供などといういわれのない侮辱を受けずに済むように。

 なによりもこの小男は、出会った時自分にあそこまですがすがしく啖呵を切った。
 その時も考えたように、『激情に身を任せて殺すのは簡単』ではあるが、『激昂してトチ狂ったところでなんにもおもしろくない』。
 見込みがある、と評価したうちの一人を観察し、こいつから学べることを吸収するのだ。

「そして、それでこそ俺は人間どもを後腐れなくぶち殺すことができるというものよ!」

「イカれてる……」

269 :生きることって、闘うことでしょう? ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 01:16:08 ID:bK3LoBLE

 抵抗をあきらめ、ぐったりとしたオインゴは呟く。
 彼は、エシディシに何かをもたらすのか?それとも、ただの暇つぶしの相手として、飽きたら捨てられる運命なのか?
 
 エシディシは握りしめていた赤石を見つめる。瞬くプリズムは、まさしく神秘の結晶。

 スーパーエイジャは、誰の手の内にあっても変わらず輝いている。
 屈折し、繰り返す光の進む先に、同族たちの姿を再び見た。

 なぜか心臓をそっと握られたような感覚を覚え、エシディシはいつまでも不思議そうに、その石を眼前にかざしていた。

【E-3 コロッセオ内部/1日目 夜中】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた。右腕の肘から先を欠損
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘、スーパーエイジャ
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.オインゴの話を暇つぶしに聞く。いらなくなったら殺す。
1.ユカコとその仲間、殺してやる。リンゴォとサウンドマンには自分を認めさせてから殺す
2.億泰には感謝せねばなるまい。
3.常識は捨てる必要があると認識
4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝えるつもりだったが、奴は既に死んだようなものだ。
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。

【オインゴ】
[スタンド]:『クヌム神』
[時間軸]:JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後
[状態]:身体的疲労(小)、精神的疲労(小)
[装備]:首輪探知機、承太郎が徐倫に送ったロケット
[道具]:基本支給品×2(食糧をいくらか消費:残りはペットボトルの水1本、パン1個)
    青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、潜水艦
[思考・状況] 基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。
0.怖えぇぇぇ……
1.エシディシに従いつつ、逃げる隙を伺う。
2.他人の顔を使って悪評を振り撒こうかなぁ〜。できれば青酸カリで集団に不和を起こしたい。
3.潜水艦はある程度使うが、引きこもる事は危険なのでもうしない。


[備考]
※顔さえ知っていれば誰にでも変身できます。スタンドの制限は特にありません。
※承太郎、億泰、露伴、ウェストウッド、テレンス、シーザー、ジョージ、グェス、ホルマジオの顔は再現できます。
※エルメェス、マライア、ンドゥール、ツェペリ、康一、ワムウ、リサリサの死体を発見しました。
 しかし死体の状態が結構ひどいので顔や姿形をを完全に再現できるかどうかは不明です。
※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。

270 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:17:01 ID:eKxVRAy9
 

271 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:22:00 ID:e4QWqxFb
支援

272 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:24:50 ID:flc37nrA
  

273 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:25:32 ID:flc37nrA
 

274 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:26:12 ID:flc37nrA
   

275 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:26:53 ID:flc37nrA
    

276 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:27:38 ID:flc37nrA
      

277 :代理投下:2010/12/11(土) 01:28:13 ID:e4QWqxFb
【E-3 コロッセオの外部西側/1日目 夜中】

【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:身体疲労(中)、両足の膝から下の部分を骨折
[装備]:なし
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
0.休息する。
1.怪我を治し、DIOの館へorエシディシと再戦を。吉良を許すことはできない。
2.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える。
[備考]
※ブチャラティのメモの内容を把握しました。
※参加者が時を越えて集められているという話を聞きましたが、自分の目的には関係ないと思っています。


※サウンドマンと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。




【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.情報交換
1.徐倫と由花子の下へ行く。
2.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
3.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
4.荒木の言葉の信憑性に疑問。
5.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
6.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※ティムからはエシディシについては体格しか教わっていません


※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。
※北のエリアをまわってきた際、アイテムや情報は得ていません。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。



278 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:28:19 ID:flc37nrA
          

279 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:29:05 ID:flc37nrA
 

280 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:29:08 ID:eKxVRAy9
 

281 :代理投下:2010/12/11(土) 01:30:44 ID:e4QWqxFb
【テレンス・T・ダービー】
[スタンド]:『アトゥム神』
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康、覚悟を決めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
[思考・状況]
0.荒木に対する恐れ…この男には勝てない… しかし、こいつらなら何とかしてくれる か も
1.男の世界に憧れ。しかし恐怖は以前変わりなく。
2.サウンドマンはたぶん信用できる。音石は信用できない気がする
3.エシディシとか殺人鬼集団とか怖いから、対主催に恩を売っておくべき?
4.DISCについての考察はあとまわし
5.F・Fは兄の敵…? 実際会ったときにどうするかは自分でもわからない。

[備考]
※荒木に科せられていた行動制限はすべて解除されました。
※積極的に参加者を殺して回るつもりはありませんが、最終的には優勝するつもりです。
 なぜなら、荒木を倒すことは何人(なんぴと)にも不可能であると考えているからです。
※利用相手の候補は オインゴ>ジョージ>露伴たち>その他 です
※支給品が元々テレンスに勝ったときの景品である、という仮説は概ね当たっているようです。
※参加者詳細データ集には以下のことが書かれています。
 ・名前
 ・顔写真
 ・種族(人間、犬、吸血鬼、屍生人、柱の男など)
  また、波紋使いやスタンド使いであること。
  スタンド使いならスタンド名まで載っていますが、スタンドの能力までは載っていません。
 ・参戦時期(wikiの参戦時期まとめをより一般化したものです。参戦年月日が載っているようです)
 ・初期支給品(wikiの支給品情報>初期支給品一覧と同一の情報です。未だ不明の支給品も全て載っているようです)
 また、情報はすべてゲーム開始前のものです。
 ディオやエシディシがスタンド使いになったことなどは載っていません。
※テレンスはスタンドDISCの使い方を知りません。
 『ザ・ワールド』のスタンドヴィジョンも見たことが無いようで、関連には気づいていません。
 何か秘密があるとは思っているようですが、少なくとも『頭に刺し込む』という発想は今のところありません。
 テレンスに『ザ・ワールド』のスタンドが使いこなせるかどうかは不明です。
※アトゥム神の右足首から先は回収しました。
※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません)
※ダービー兄、ティッツァーノの死体を発見しました。
 生首がティッツァーノの物であることは確認していません。
 また、F・Fがティッツァーノに寄生していることにも気づいていません。
※DIOへの忠誠心は無くなりました。
※サウンドマンとリンゴォ・ロードアゲインの会話を聞いていました。
 両名の名前・目的を把握し、DIOの館に危険人物が集っていること、ナチス研究所に脱出を志す人々が集っていることを気に留めています。

[備考]
※E-4中央部にさまざまな音の張り付いた小石がばらまかれています。(リンゴォは引っかかっていません)
※E-4に放置されていたエルメェスのパンティは誰も発見していません。

サンドマンの不明支給品→三部15巻で、承太郎がテンパランスを焼き殺そうとしたときに使ったライター。普通、高校生はライター持ってない。

以上です。期限オーバーについて、重ね重ね申し訳ありませんでした。
そして投下した瞬間に誤字に気付く……orz

夜遅くに支援してくださった方、ありがとうございました。
矛盾点のご指摘があればお願いします。

282 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:39:07 ID:e4QWqxFb
代理投下終了です
改行規制に引っ掛かったので多少改行箇所を右手で削り取りました

そして投下乙です
今回人死にまくるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしてたけど
男の世界を堪能できて良かったです
オインゴはどうなるのか……

283 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:40:47 ID:DgcbeOC4
投下激乙です
林檎△
砂男もイケメンだ!
しかしエシディシさんも何だかんだで結構見逃すよなw
ティッツァーノ以降、結局ひとりも殺していない件
案外調子ぶっこきすぎてどっかでさらっと死んじゃうかもな
DIOの館に向かうのはいいが、
天敵、波紋の戦士のジョナサン
スタンドDISCを抜き去るホワイトスネイクのディオ
炎系の相手に相性最高なシアーハートアタックを持つ吉良
流石のACDCさんでもヘヴィだと思うぜ・・・

以下は指摘です
「エ〜……オホン、サウンドマンのお知り合いですか?では、信頼はできる、と」
このセリフでアトゥムが発動するので、顔色を伺うまでもなく音石が信用できないことが確定すると思われます。

オインゴの変身できる人リストに今回であった人の追加(暗くて顔の確認できてない?)

音なんとかさんの状態表がない(笑)
依然エシディシと並んで最多登場キャラなのにこの存在感のなさは軌跡wwww

あと、気づいてるっぽいですが、>>266
岸部じゃn(ry

284 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:53:05 ID:ZDzG+uOA
>>283
右半分のペッシがそっち見てるぞ

285 :創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 01:56:23 ID:DgcbeOC4
>>284
マジ怖い
ペッシさんごめんなさい
寝れなくなるから勘弁してください

286 : ◆33DEIZ1cds :2010/12/11(土) 22:51:22 ID:bK3LoBLE
皆様支援とご指摘ありがとうございます。
したらばでも書きましたが……とんでもないミスをしてしまいましたorz
>>250-252の間の部分がまるっきり抜けておりました。以下のパートになります。

 ――もはや理解不能か?自分の何がいけない?何が足りない? 

「……もういい、終わらせる」

 跳躍し、三度殴りかかる。
 リンゴォは幾度かエシディシの動きをかわした経験を活かし、辛くもその豪速の拳の下をすり抜け、懐に潜り込んだ。
 間髪入れずに、ナイフを顔面めがけて振るう。狙いは、怪物の眼。
 
 しかしそれは黄色い粘質の物体によって阻まれる。エシディシ本体に近い距離ゆえに、スタンドはかなりの精度で動いていた。
 テンパランスはナイフを取り込むと、そのままリンゴォの腕へと伸びてくる。
 エシディシは、後退しようと力を入れた相手の両足を片足で薙ぐように払う。たったそれだけで、あっけなく骨が砕けた。

 走る激痛に、リンゴォは息を漏らす。崩れ落ちて膝を付こうにも、腕を取り込んでいるテンパランスがそれを許さない。
 中途半端に足を地につけたまま、折れた部分をぐらつかせるたび、骨同士が擦れ合う。
 それは虚空を掴むような激しい熱をおこし――痛みとなって体中を駆け巡った。

 そのまま無力に捕食される敵の苦悶の表情を見てやろうと、エシディシは冷笑を浮かべて直接攻撃に移ろうとしない。
 
 リンゴォの足の痛みなど構いもせずに、腕が徐々に浸食され始める。
 引き抜こうとあがくほど、さらに深く食い込んでくるのだ。

「ぐ、――ッ!」

 肩口まで広がったテンパランスが、リンゴォの頭を覆い隠さんとうごめいた時、走り寄るかすかな足音が二人の耳に届いた。

 一瞬早くその音を認識したエシディシが、背後より忍び寄る音に対応せんと振り向いた。
 相手の意識が他に向いた一瞬のすきに、リンゴォは渾身の力を込めて思い切り腕を引き、無理矢理に抜き出すことに成功した。
 スタンド操作に慣れないエシディシは、足音によって集中力を途切れさせてしまい、拘束を緩めてしまったのだった。
 
 エシディシは盛大に舌打ちをした。同時に素早く、刺すような蹴りを繰り出す。最後のとどめを迅速に行おうと、確実に仕留めようと。

 光速の一閃。目で追うことすらかなわない。
 リンゴォに避けることができるような類の攻撃では、なかった。



 ――構わない。受け入れる。この怪物は哀れな奴だが、強かった。これが、俺の道の果てだとしても……感謝いたします。



 頭を垂れて、闘う喜びを噛みしめた。
 しかし彼の意に反し、その生はここでは終わらなかったのだ。

「『イン・ア・サイレントウェイ』」

 蹴りだされたエシディシの足が、音によって生まれた熱に、朦々とした煙を上げ燃え盛る。

以上にです。
非常に申し訳ありませんでした。今後このようなことがないように注意いたします。
もうすこし様子を見てご指摘がないようでしたら、今上がっているミス部分を修正し、wikiに編集いたします。

287 :創る名無しに見る名無し:2010/12/12(日) 00:39:52 ID:8J6EulAF
wiki収録前にあの人の状態表だけこっちに投下しなおした方がいいかも?
ほら、あの、何だっけ?
音何とかとかいうひと

288 : ◆33DEIZ1cds :2010/12/12(日) 01:29:11 ID:gHahARqQ
>>287
おうふ……どれだけ抜けてれば気が済むのだ、私orz
指摘ありがとうございます。



【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊、スピットファイヤー(プロペラに欠損あり)、
    スピットファイヤーのコントローラ、バッテリー充電器
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い、逃げ続ける自分に嫌悪感
0.情報交換する。サウンドマンとリンゴォはすげえ奴だ ……
1.何とかしていい土産を手に入れ、再びリゾットたちの元へ
2.首輪解除なんて出来んのか? リゾットは失敗したし……
3.サンタナ怖いよサンタナ、でもエシディシはもっと怖い
4.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※音石の情報把握
 ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミュー(ここまでは能力も把握)、ミセス・ロビンスン(スタンド使いと勘違い)、ホルマジオ(容姿のみ)
※早人とジョセフとディアボロが駅を出た理由を知りません。
※盗聴の可能性に気がつきました
※サウンドマンとリゾットの情報交換はすべて聞きました。
※スピットファイヤーはプロペラの欠損により動作に安定感がありません。

以上です。おかしなところがあれば指摘をお願いします。



289 :創る名無しに見る名無し:2010/12/13(月) 20:26:16 ID:k71lBscq
乙です
上記の指摘以外は問題ないと思います

290 : ◆33DEIZ1cds :2010/12/16(木) 11:42:47 ID:Hbg6Th9m
したらばにも書きましたが、wiki編集終了しました。
いろいろとヘマをしてしまいへこみますが、皆様申し訳ありません&ありがとうございます。
指摘をくれた方々にも重ねてお礼を申し上げます、ありがとうございました!

291 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 21:42:07 ID:Q7mCIecw
遅くなりました。
ジョルノ・ジョバァーナ、ブローノ・ブチャラティ、ホルマジオ、リゾット・ネエロ、グェス
投下します。

292 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 21:45:06 ID:J1/QARZ9
支援

293 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 21:49:04 ID:Q7mCIecw
「ジョルノ、それは俺が認めない」
「ブチャラティ!?」


ジョージの所在不明をホルマジオによって告げられると、
ジョルノは所持していた布片に能力を発動させた。
てんとう虫に姿を変えたそれは北を目指し、研究室の壁に遮られても一直線に前進を繰り返す。

すぐにでも出立しようとしたジョルノを引き止めたのは、ブチャラティだった。



「ジョージさんを心配するお前の気持ちは理解しているが、俺達は『チーム』だ
 脱出の目的とほぼ関係のないあの人を迎えに行かせてくれた時点で
 二人が俺達に譲歩してくれたと俺は思っている」

別にそんなつもりは、と言いかけたホルマジオを制し、ブチャラティは続ける。

「俺はあの人に待っているようにと言った
 そこを離れたならば、それは『覚悟』あってのことだ
 俺達にはそれを自分勝手な行為だと否定する権利がある」

「あの人は、なんの対抗手段も持たないんですよ!
 敵に襲われてその場から逃げたのかもしれない」

エシディシ以外にも敵がいる可能性はあった。
ジョルノの意見は当然のこと。

「それならなおさら、だ」

ブチャラティにはその反論さえも予想の範囲内。
むしろ待ち構えていたかのような落ち着きぶりは、ジョルノと対照を為す。

「どういう意味です?」

294 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 21:55:45 ID:Q7mCIecw

「リンゴォは、ディオがスタンド使いになったと言っていたな
 俺は卿が、誰かに襲われたのではないとしたら、DIOの館へ向かったと考える
 あの時点では『気配』がジョナサンのものか不明だった上、そちらへは俺達が向かっていた
 俺達の後をついてきて、途中ではぐれたという可能性は低いだろう」

「…………」

「卿は自らの意志で、DIOの館へ、スタンド使いとなった息子の元へと向かった」

断定はできないが。
そう言ってジョルノを見据える瞳は冷え冷えとしている。
反感を恐れぬ、覚悟の瞳。
上に立つものとして鍛え上げられた冷静さは、時に冷徹にすら映った。

「……つまり、ジョースター卿は死んでいる可能性が高い、と言いたいんですね」

エシディシ以外の誰かに襲われたのだとしても、DIOの館へ向かったのだとしても。
ブチャラティの無言は肯定の証だった。

論議の時間は無駄と悟り、てんとう虫への命を変更するジョルノ。


飛び回るそれを見た彼の瞳が、徐々に色を失った。



  *  *  *  *  *

295 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 21:59:36 ID:J1/QARZ9
sien

296 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 22:00:06 ID:i3GLAEc7
sien

297 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:01:58 ID:Q7mCIecw



「あたしの知ってる情報はこんなもんかな
 ホルマジオとも結構かぶっちゃってたけど……」

グェスが喋りつかれたのか水をグイとあおる。

ジョージ・ジョースターの『死』が確定的になり、彼らが行ったものは
もちろん死体の捜索、犯人の洗い出しなどではない。
仲間内での情報の共有、整理。時間はかかるが手を抜けば必ず綻びの生じる作業だった。
ジョルノの表情がいかに強張っていたとしても、それを拒絶する権利はない。
彼らはチームなのだから。

「あぁ、ありがとう、グェス」

ホルマジオとグェスの語った情報、意外にも核心に触れるものが多い。
それが聞き手側の率直な感想であった。
特にグェス。荒木との接触、謎の日記の存在、首輪の解体実験。
小心を絵に描いたような彼女が、結果的にそうなっただけかもしれないが、これほど情報を得ているとは。

どの話題から話し合うべきか、二人のリーダーは思案したが先に口火を切ったのはリゾットだった。

「案外、荒木と接触した人物は多いようだな」

直接対峙した際にも、荒木は手を下そうとしなかった。
その事実からリゾット達は荒木に関して、こうして『会話』によって議論している。
まだ核心に触れることはできていないという事実の裏返しでもあったが。

「最初に舞台で姿を現して以降、
 グェス、花京院、フーゴ、ジョルノ、岸辺、一応シーザー、ジョージ
 加えて、参加者になったというテレンス
 他にもいる可能性があるが、これだけで計8人だな」

同じように思っていたブチャラティも言葉を繋いだ。
ここが舞台であるなら荒木は司会者。
ここが牢獄であるなら荒木は監視者。
それらの認識を覆すほど、奴は積極的に介入をしている。


298 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:05:12 ID:Q7mCIecw
「この中で気になるのは、支給品から接触に繋がった二組と異なる……」

コツコツと筆記具を打ち、リゾットが名簿を指し示す。
ジョルノ、ブチャラティと同列に並ぶ彼の名。
どちらに傾くこともできず彷徨っていたところ武器を支給されたという“パンナコッタ・フーゴ”の名を。

ホルマジオとグェスから話を聞いていた時点で苦い顔をしていたブチャラティが自らの部下を名指しにされ、はっきりと当惑の表情を浮かべた。

将来の自分はフーゴを一人残し組織を離反したと、グェスは告げた。
リゾットの肯定もあり、理解した。それは将来の『事実』なのだろう。
組織のあり方、自らの正義に対する疑念は元よりあった。
もしも「きっかけ」となるなにかが起きたなら……、想像することは容易い。
その話が本当だとして、ついてこなかったフーゴを責める気持ちはブチャラティにはない。
むしろ彼に『自分だけがついていけなかった』という禍根を残しただろうことを心苦しくも思う。

だが、大勢の人間を傷つけたこと、それを庇う理由にはならない。

荒木にそそのかされ、二人を撃とうとした。
疑わしきを許せず、料理人を殺害した。
その後も再びグェスが撃たれそうになったという。
今まさに他の誰かが傷を負わされている最中かもしれない。

「フーゴに会ったとき、お前はどうするつもりだ?」

リゾットは問うている。
殺してもかまわないのかと。
それは、一度は優勝を目指したホルマジオを許したからこその問い。
本来の彼ならば、問おうとすらしなかった。

『裏切り者には死を』

それが彼らの生きてきた世界。自らに、他人に敷く掟。
そこに護衛チーム、暗殺チームという違いはない。
ならば、ブチャラティの答えは……。


「……できれば、対話によって解決したい」



299 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:10:35 ID:Q7mCIecw
不可能ならば、手にかけることもやむなし。
チームを背負う者が仲間を進んで傷つけるわけにはいかない。
今、仲間はこのゲームからの脱出を共に目指す者達。

「と、いうわけらしい、ホルマジオ」

話をふられた彼はしょうがねぇなーとぼやいたが、自身への後悔もあるのだろう、概ね賛成のようだった。


「“日記”の存在は奴の隙となりうるだろうか」

荒木のフーゴへの接触がイレギュラーだということは疑いようがない。
支給品による『お遊び』とも、所在を見破られたことによる『種明かし』とも違う。
しかしその目的は、日記の奪還か、殺し合いの加速か、あるいはその両方だったのか。

「“日記”とはいっても白紙だったのだろう?」

うんうんとグェスが頷く。

「けれどわざわざ取り返すために動いたということは、荒木にとって大事なものなんでしょう
 まぁ、二度も取られるような馬鹿な真似をするとは思えませんが」
「そうだろうな……」

自分達をただ殺すためにここへ集めたわけではない。
その違和感はここへ来てから誰もがずっと感じている。

殺し合いを強要する首輪の存在・禁止エリア。
ばらばらの時間から集められた参加者達。
圧倒的な力を持ちつつも、『駒がゲームの中で死ぬ』ことを望む荒木。

「荒木の『目的』…か……」

すべての疑問は荒木に通ず、とでもいうべきか。
巨悪の思想は参加者達に状況の断定を許さず、その思考さえも殺させる。

「……僕は、ここで出会った露伴さんが荒木に少し似ていると感じました
 もちろんあの人にはあの人なりの正義やこだわりがあって、荒木なんかとは比較したくないんですが
 すべてに興味を持ち、すべてを愉しむ姿勢というんでしょうか
 許しがたい、吐き気を催す邪悪であると同時に、
 損得を考えない純真さのようなものを奴には感じたんです」

グェスさんはどう思います?
そう尋ねられたグェスは自分への質問を予想していなかったらしく、あたふたと答えた。

「そ、そういわれたらそうかもしれないけど、あたしはほとんど話してないし
 必死だったし、よく覚えてないかも……」


300 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 22:11:16 ID:J1/QARZ9
しえーん

301 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:15:12 ID:Q7mCIecw
予想通りといえば予想通りの反応にリゾットは溜息を漏らした。
あくまでチームの和を乱すことのないよう、ひっそりと。
ブチャラティもジョルノもその様子に気付かなかったが、付き合いの長いホルマジオは
リーダーの思うところを鋭く察知し、グェスに助け舟を出す。

「とりあえず、テレンス・T・ダービーの拉致…っあー保護っつー方がいいか
 それが先決じゃねえか?」

グェスが同じ能力だからとか、女だからとかいう理由で贔屓してやるつもりはない。
だが彼女をここへ連れてきたのは自分。
そうしたからには彼女の発言、彼女の行動に対して自分が責任を持つ。

「賛成です。彼が死んでしまえば『勝負』を挑むことすらできなくなりますからね」


こうして当面の目標が打ち立てられた。

1、テレンス・T・ダービーの保護
2、首輪無力化の情報・技術を持っている者との協力
3、荒木と直接接触した人物との情報交換

そして、組織と関わりがある可能性の高いディアボロとの接触。

「テレンスと面識のある3人に捜索を頼みたい
 入り口を封鎖し合図によって判別するから見張りはいい」
「ジョルノを介して追跡、生死の判別はできるが、次の放送を目安に戻ってきて欲しい」

不測の事態に備え、ジョルノが『探知機』に変えた小石がそれぞれに配され、
さらに保険として各人の衣服の一部がジョルノに集められる。
所持品をすべて失っていたグェスにはペッシのデイパックが手渡された。
黒くシミの残るそれを正視できずに受け取ったグェスだったが、やがて神妙そうな顔でそれを背負い込む。
自分のものと交換してやろうかと準備をしていたブチャラティの好意は無用だったようだ。


「では、次の放送前に、また」




302 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 22:17:46 ID:i3GLAEc7
支援

303 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:20:10 ID:Q7mCIecw
急に人が減り、静かになったナチス研究所で、向かい合う二人。

「協力者はここへ集うと思うか?」

3人の出ていった方向を見つめていたブチャラティはリゾットの深い瞳へ向き直った。
全く別の意志を持っているかのように右手が紙片へ文字を綴る。


『俺のスタンドで首輪の解除を試したい』


「信頼できるやつに情報拡散を頼んだ
 そろそろ効果が出てくる頃とは思うが……」

『了解』と答えるリゾットにとって、どちらも本心には違いない。
音石明も山岸由花子も乱入者を恐れて、あるいは実験が失敗したと見て、逃げ出したらしいが
首輪の設計図と妨害電波発信装置はまだここにある。
まだ首輪に関して不確定の事項が多く、音石を手放したくはなかったが、あの実験は決して無駄でなかった。

「いまは待ちか……」

「だろうな」

その後も荒木について、テレンスについて、それとない会話をしながらも
二人が見据えているものは次なる標的。超えるべき壁。

ほどなくして2人の眼前には、実験用工具と3つの銀環が並んだ。
スージー・Q、ワンチェン、そしてペッシを縛っていた首輪。


…ペッシ、側にいながらお前を死に追いやったのはエシディシという怪物でも荒木でもない、この俺だ。
『責任を取る』などと宣言するつもりはない、すべてが終わった後、報告してやる。
だからそこで心待ちにしているがいい、『俺達』の勝利を……!!



  *  *  *  *  *

304 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 22:23:40 ID:J1/QARZ9
しえん

305 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:25:22 ID:Q7mCIecw



ナチス研究所を発ち、5分余り。
ジョルノの横には、別の方向へ向かったはずのグェスが並んでいた。

「どうして僕についてきたんです?」

出発の直前、グェスはブチャラティに耳打ちされていた。
『ジョルノについてやって欲しい』と。

 俺は上司として自分の意見を通した。
 けれどジョルノには結果的に酷い仕打ちをしてしまっただろうな、
 あいつは大人びていて、表には決して出さないが。
 君のような下手に事情を知らない人間の方が一緒にいて楽だろうと思う。
 それに、君もその方が安全だと思うが。

「えっ…と、あたしホルマジオみたいに自分のこと小さくしたりとか、できないし
 でもリゾットのいるところであんたについていきたいっていったら
 効率が悪いとかなんとかいわれて絶対反対されそうだったから…その……
 ホルマジオとは能力が同じだから、一緒にいても、あれだし……」

ブチャラティの配慮をジョルノに悟られぬよう必死で考えた『ジョルノについてきた理由』。
緊張した自分の様子は、能力不足を不安がる一般女性に見えるだろうか。

「あそこでブチャラティ達と一緒に待機していたほうがいいんじゃないですか?
 先ほど話に出たように、エシディシが今どこにいるかはわからないんです
 奴とはブチャラティと二人がかりでも優勢にはならなかった
 あなたを庇いながら戦って、『絶対』を約束することはできません」

ジョルノは自分の傷心をおくびにも出さずに言う。
どんな痛みも彼を止めることなど、不可能であるかのように。

「覚悟はできてる……とは言えないかな……
 やっぱり、死ぬのは怖いし……」

別々の目的を持っていた二つのチームが、強大な敵を前にして意志を一つにした。
その様子には奮い立たされるものがあったし尊敬したけど、自分もそこに肩を並べられるとは思ってない。
あたしなんかが決心したところで、ジョルノの持ってる能力に比べたら
ほんっと悲しいくらいに役立たず。でも……。

「ホルマジオに怒られたんだよね、『“死にたくない”じゃなくて“生きたい”だろう』って
 で、その後、ペッシって人が死んでるのを見つけて、
 あたし思わず考えたんだよね、あの人は“死にたくなかった”のかなって
 そりゃ死にたかったはずないよね。すごく悔しそうな顔してた
 でも自分が死ぬってわかったとき、仲間に、敵だったあんたたちにも言葉を遺した……
 それって“死にたくない”じゃなくて“生きたい”ってことなんじゃないかなって思って」


306 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:31:25 ID:Q7mCIecw

「………………」

「あー…、いや、何言ってるのかわかんないってのは自分でわかってるんだけど
 ともかくっ、自分が大切だと思う誰かのために頑張ってみるってのが“生きたい”ってことかなって…
 死にたくないだけだったら地図の端っこの方にいれば済む話だし
 最後にはやっぱり、死んじゃうかもしれないけど……
 だから死にたくはないんだけど、なんの役に立てないのも嫌で……」

言ってるうちに訳がわからなくなってきて、尻切れ蜻蛉になってしまう。
ジョルノの反応が気になって見てみると、彼は寂しそうに微笑んでいた。

「『意志』は届くと、僕も信じていますよ」

ジョルノの意志は届くことなく、ジョージは亡くなった。
ドキリとする同行許可の意志表示だった。

「あっ、あたしが気にしてるのは別に花京院とか、徐倫のことだけじゃなくて
 このチーム、あんたとか、ホルマジオとかの役にも立てればいいなって思ってるし
 …その……、フーゴのことも、助けてあげられたらいいなって、思ってる」

フーゴは泣いていた。
誰のことも信用できず、自分自身を憎悪する。
彼と同じ感情を、自分も抱いたことがある。
正直、怖い。二度も撃たれた。(幸か不幸か、当たってないけど)
でもブチャラティやジョルノがフーゴを殺すしかなくなったら……。
その場面は、見たくない。
仲間を失う辛さは、もうどちらにも体験して欲しくない。


「行きましょうか、グェスさん」



彼女は小さな希望にすがりついて、恐怖する本心を押さえつけている。
並んで歩くグェスを横目に、ジョルノ・ジョバァーナは考える。
裏切られ、頼れるものなどなにもなかった彼女を奮い立たせる希望。
再会を望む意志。
それを自分は、眩しく思っている……。

ジョージ・ジョースターの死を知って以来、胸にできた『しこり』が消えない。

生まれてこのかた、両親からの愛情を覚えた日はなきに等しい。
母親も義父も人の親として最底辺の人間だった。
名も知らぬギャングに憧れ、心を救われてからは『親』のことなど気にもかけなかった。
それなのに、ここへ来てから『ディオの血統』に翻弄され続けている。


307 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:36:14 ID:Q7mCIecw
ある人は神を愛するかのように全幅の信頼を預けた。
ある人はDIOの息子と協力は出来ないと吐き捨てた。
ある人はディオの息子ならば自分の孫だと慈愛の視線を向けた。

それに……、とジョルノは左肩に意識を集中させる。

この肩にある『星型の痣』はジョースターの血統の証だとプッチ神父は言った。
実の父親を写真でしか見たことのなかった自分の前に、突然現れた大勢の『祖先』達。
『気配』を発したドナテロ・ヴェルサスも、グェスの話した空条徐倫も自分の血族なのだろうか。

結局、プッチ神父はすべてを語らず亡くなった。
なぜ自分の父親である写真の『DIO』に痣があり、現在のディオにはそれがないのか。
ディオはジョースター卿を義父だと言っていた。
ジョースター卿も血の繋がった孫だとは思っていなかった。
その謎について聞いておいたほうがよかったのだろうか。

ジョースター卿は『北』でどのようにして亡くなったのだろう……。

『気配』を一瞬でも感じなかったのは、苦しみを感じる間もなく亡くなったからだろうか。
『敵』だと認識できなかった誰か、凄まじい能力を持つ殺人鬼。
可能性はいくらでも考えられるが、ブチャラティの言った仮説が頭を離れない。
DIOの館へ、スタンド使いとなった息子の元へと向かったと。

『これから知ればいいさ』と言われて、あの人のことも知っていければいいと、
期待してしまった自分を待っていたのは、その『祖父』を『父』が殺したのではないかという疑惑。


もし、そうだったとしたら、僕は…、僕は………!!


荒木の居場所をも見破った黄金の精神は、――若干15歳の少年の張り詰めた心は――、意外にも、脆い。





308 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:40:51 ID:Q7mCIecw
【F-2 ナチス研究所 研究室/1日目 夜中】

【新生・暗殺護衛チーム(現在メンバー募集中)】

【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:トリッシュの死に後悔と自責、アバッキオ・ミスタ・ジョージの死を悼む気持ち、リゾットの覚悟に敬意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、ジョルノの『探知機』となっている小石
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.スティッキー・フィンガーズを用いて首輪の無力化実験。
1.ここで首輪解除・打倒荒木の協力者を待つ。
2.フーゴ……。
3.いずれジョナサンを倒す。(殺害か、無力化かは後の書き手さんにお任せします)
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
6.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す→ジョルノの父親…?
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。納得済みです。
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。
※リゾット・ホルマジオ・グェスと詳細な情報交換をしました。
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。
@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービー以外にもいることが確実。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

【以下はリゾットのメモの写し】

[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り



309 :創る名無しに見る名無し:2010/12/19(日) 22:41:38 ID:i3GLAEc7
しえん

310 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 22:45:24 ID:Q7mCIecw
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.殺し屋として、前を向いて歩く
1.ブチャラティと共に首輪の解除実験
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる(バレた後はケースバイケース)。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※盗聴の可能性に気が付いています。
※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式が【F-2 ナチス研究所】に放置。
※リゾットの情報把握
承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)
※ブチャラティ(ジョルノ)・ホルマジオ・グェスと詳細な情報交換をしました。
※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】

@荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
A首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから




311 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 23:01:10 ID:Q7mCIecw
【F-2 ナチス研究所を出たところ/1日目 夜中】

【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:背中にダメージ(小)、精神疲労(大)、トリッシュの死に対し自責の念 、リゾットの覚悟に敬意、ジョージの死に衝撃
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(確認済)、ブチャラティ・リゾット・ホルマジオ・グェスの衣服の一部
[思考・状況]
0.グェスと共にテレンスを見つける。
1.首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2.『DIO』は吐き気を催す邪悪で、『祖父』は『父』に殺されたのでは?
3.フーゴ……。
4.トリッシュ……アバッキオ…ミスタ…!
5.他のジョースター一族が気になる。
6.エシディシと吉良と山岸由花子とジョナサンとF・Fをかなり警戒
[備考]
※ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
 →リゾットとの情報交換によって暗殺チーム、リゾットの知っている護衛チームの将来を知りました。
※ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
 (他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
※ラバーソウルの記憶DISCを見、全ての情報を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※ディオがスタンド使いになった事を知りました(能力は分かっていません)
※エシディシの頭部に『何か』があると知りました。
※リゾット・ホルマジオ・グェスと詳細な情報交換をしました。
※どこへ向かうかは次の書き手さんにおまかせしますが、ホルマジオとは別の方向です。



312 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 23:05:54 ID:Q7mCIecw
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(中程度まで回復)、頬の腫れ(引いてきた)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品(デイパックにペッシの血のシミ)、ジョルノの『探知機』となっている小石
【思考・状況】基本行動方針:ゲームに乗った? → 生きたい、生きていたい
0.ジョルノと共にテレンスを見つける。けどちょっとジョルノが心配。
1.首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2.花京院・徐倫(会話可能ならフーゴも)に再会したら、関係を築いていく努力をしたい。
【備考】
※フーゴが花京院に話した話を一部始終を聞きました。
※ダービーズアイランドを見ましたが、そこに何かがあるとは思ってません。→ダービーズアイランドが遠巻きに見た島だとは分かっていません。
※ホルマジオの持っている情報(チームの存在、行動の目的など)を聞きました。
※リゾット・ブチャラティ(ジョルノ)と詳細な情報交換をしました。
※役に立ちたい、頑張ってみたいと思っていますが、本心では再び裏切られること、死ぬことを恐れています。


【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(確認済)、ジョルノの『探知機』となっている小石
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を『ぶっ殺す』!
0:テレンスを見つける。
1:首輪解除・打倒荒木の協力者を捜す。
2:踊ってやるぜ、荒木。てめえの用意した舞台でな。だが最後は必ず俺らが勝つ。
3:リーダーが決めたんなら、ブチャラテイたちとの決着は荒木を殺した後でいい。ペッシのことも勘違いだったし。
4:ボスの正体を暴く!だがその処置は仲間と協議の上決める。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。→時間軸のずれについては納得しました。
※チョコラータの能力をかなり細かい部分まで把握しました。
※グェスの持っている情報(ロワイアルに巻き込まれてから現在までの行動、首輪に関する情報など)を聞き出しました。
※リゾット・ブチャラティ(ジョルノ)と詳細な情報交換をしました。
※どこへ向かうかは次の書き手さんにおまかせしますが、ジョルノ達とは別の方向です。


【備考】
※ペッシの死体は研究所の一室に横たえられています。
※現在ナチス研究所の地上側入り口、地下鉄側入り口は封鎖されており、
 「用があるなら声をかけるように」との紙が貼られています。

313 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/19(日) 23:09:05 ID:Q7mCIecw
以上で投下完了です。

仮投下の修正で、結果はあまり変わりませんでしたが
その過程が割合変わっているので問題点等お気づきの点、ご指摘お願いします。

タイトルは「一条の光、一条の闇」です。

314 :創る名無しに見る名無し:2010/12/20(月) 00:29:43 ID:0395kUtg
投下乙です

ブチャラティマジ気が利く上司 二人のリーダーの安定感はばつぐんだ!
ジョルノは立ち直れるんだろうか

気になった点は特にありません

315 : ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:13:19 ID:758FBHfz
F・Fの本投下開始します。

316 : ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:14:29 ID:758FBHfz
突然だが、読者の皆様は『決着をつける』とか『ケジメをつける』とか、そういった事を経験した事はあるだろうか?

延長十二回裏二死三塁での左中間。間違いなく『決着がついた』と言ってよい。
二ヵ月以上音信不通のガールフレンドに電話をかける。これも『ケジメをつける』と言って差し支えないだろう。
つまり、筆者が思うにこれらの『決着』や『ケジメ』とは対人、あるいは対物の場合には日常に起こりうる些細な事柄なのだ。
では、この些細な事がどうしても出来なくなる、そんなことがあるのか?あるとすればどんな時なのか?これは先の考えを逆転させれば容易に答えがわかるだろう。
要するに『対自分』の場合にはこれらの心理的又は肉体的な駆け引きは非常に難しいものになる。
なぜ?なんて質問はここまで来ると愚問に聞こえる。それでも一応答えておくならば、結果を設定できないから困難なのだ。
たとえば上記の二つの例。これは試合の勝敗やガールフレンドとの別れあるいは復縁といった『結果』が明確である。
だが対象を自分に置き換えた時その『結果』、言い換えるならば『勝利の条件』の線引きが曖昧になる。
もちろんこれはその時々の心理状態等々によって変わる場合もあるし、周囲の環境に合わせて随時変化させなければならない場合もあるが、重要であることには変わりない。
まして、このバトル・ロワイアルというゲームにおいては『勝利』とは『生きる事』だと皆に共通する答えが明確である。つまり『如何にして生きたのか』が『条件』となるのだ。
過程や方法などどうでもよい?そんな者は早々にこのゲームを離脱していくだろう……多少の例外を除いては。
もっとも、自分の正義を明確にさえしていれば、この線引きも対人の時となんら変わらないし、それこそ過程や方法を無視しても差し支えないのだが。

さて――前置きが長くなったが、今回はこの『ケジメ』をテーマに話をさせていただこう。
登場人物は……いや、そもそも人物と表現していいのかも曖昧だが……ここでは便宜上『彼女』としよう。
彼女は先の理屈で言えば、自分の正義を見つけられず勝利の条件を曖昧にしたまま周囲を、何よりも自分自身を騙し騙ししながらここまで生きてきた。
結果として生き延びてはいるが、それは決して勝利と呼べるものではなかっただろう。
はたして彼女はこれからのバトル・ロワイアルの中で勝利を掴む事が出来るのか?そんな話――

* * * * *

317 :朧車 ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:16:52 ID:758FBHfz
彼女は現在、ティッツァーノの頭部に残ったわずかな水分だけを頼りに生きている。
言うまでもないが死亡した人間の記憶やら知性やらは取り込むことが出来ず、彼女は今の宿がどんな戦いを経てこうなったのかを知らない。
まあ、知ったところで今更彼女の何が変わる訳でもないのだが。
そして、テレンス・T・ダービー(彼女は彼の名前どころか顔さえも知らないけれども)をやり過ごして現在に至る。

……と、ここまではまぎれもない事実である。

さて、ここで恐縮だが少々違う話をしよう。
彼女は攻撃の際に自分の指先を銃身の様に変化させられるのはご存じだろうか。物品の収納のために胸を大きくしたこともあるがそちらは今は置いておこう。
かつては指の先端に切込みを入れてそこから己を射出させるだけだったが、後に彼女が成長したためか指先をオートマチック拳銃の様に変化させて戦っていた。
それにより射撃の精度や威力を向上させていると考えられる。もっとも、真相は彼女の弾丸を受けたものにしか証言できないが。

さて、何が言いたいかというと、彼女は自身の能力を向上あるいは補うために肉体の形状を変える事が出来る訳だ……おっと、十中八九は出来る筈である。出来ると断言すべきではないだろう。
とにかく、知性の素晴らしさを友人達に話すような彼女がそれをこの場で応用しない手はない。誰だってそーする、かどうかは分からないが少なくとも筆者はそーする。
もちろん自動車のような複雑なものになる事は不可能だが車輪が四つ、いや三つあれば十分。自分の肉体だから駆動も旋回も自由に行える。

――そんな訳で現在の彼女は長髪の青年の首から小さな車輪を三つ生やした、マンガだかアニメだかのキャラクターの様になっている。

しかし、先に話した彼女の身体ではそんな状態、いや形態と呼ぶべきか――に変化するだけの肉体が、つまり水分がとてもあるとは言えない。では、なぜ?
この問題を解決させるためには、彼女が決して手ぶらで怪人と戦闘を行っていた訳ではない、という事を思い出していただければ良いだろう。
三度目の放送が空から聞こえてきた時、彼女は反射的に目を泳がせていた。視界に入ったのは先程まで自分の肩にかかっていたデイパック。ここまで話せばその後の展開を予想する事は簡単だろう。
ダービーをやり過ごした後(彼がデイパックを奪わなかったのは本当に幸いだった)必死の思いでボトルを開け、かぶりつくように口から、首からありったけの水を飲んだ。
残っていた三本のボトルを空にし、名簿と地図、そして携帯電話だけを体内に収納して『F・Fカー』が完成したのである。
加湿器はあると便利だろうが持っていけない。サイズが大きすぎるし、自分の弱点である電気を使わねば使用不可能と来ている。他のハズレ支給品と共に置いていくことにした。

さてこの『F・Fカー』、見た目は最悪だが移動の速度はそれまでの這う動きより数倍速い。接地する面も少ないから水分が地面に奪われる心配も格段に減った。
身体への負担は未だにあるが以前の比では無い。むしろ問題なのは精神への負担だろう。
思い人の生存(と宿敵の死)は把握できたが安否までは話してくれない。聞いたところでそれを信用できるかと聞かれれば、もちろんNOであるが。
そして重要なのは禁止エリア。D、F、Gという英単語、10、3、6、5という数字こそ聞こえたものの朦朧とした意識とデイパックを見つけた事による動揺では正確ななエリア、及び時間までは把握できなかったのだ。
首輪がない現状も頭をよぎったが荒木が何もしてこない訳がないと一蹴。
多くの人間を一堂に集める事が出来るようなスタンド使いがその生死を把握できない訳がない。エリアを横切れば容赦なく殺されるだろう――多分。
あるいは彼の気まぐれで生かされる?なんてことも考える事は出来るが、それは時間の無駄。今すべきは考察ではなく移動なのだと彼女自身が良くわかっている。

英単語と数字の組み合わせから目的地である湿地帯は無事だと考えて移動を開始するまでにはそう時間をかけなかった。
移動速度が速くなったとはいえ時速にすればせいぜい2キロから3キロ程度。禁止エリア作動の時間を考えればいくら安全といえど急ぐに越したことはない。

* * * * *

318 :朧車 ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:19:06 ID:758FBHfz
さて、ここまでお話ししたが、聡明な読者諸君なら気付くのではなかろうか。
そう――彼女の『ケジメ』に一切触れていないのだ。これではただの奇天烈な車の誕生秘話でしかない。
だが慌てないでもらいたい。問題はここからである。

彼女が湿地帯に辿り着くまでに何も考えていない、なんてことは有り得ないだろう。と言うよりも彼女に限らず多くの参加者はその胸の内に不安や心配事がある筈である。

誰にも会えないまま何事もなく湿地帯に辿り着いてしまうのではないか?下手をしたらそのまま一人ひっそりとゲームを終えるのではなかろうか?
確かにこんな状況になってからはダービーを除いて生きた参加者と遭遇しなかった。
つまり『ケジメ』に対するきっかけを掴めないままでいたのだ。
他者を殺すこと?友人と話をすること?彼女のケジメのつけ方は彼女自身にしか分からないが、いずれにしても一人では考えがループするばかり。
乾いた大地に身を預けて寂しく命を終えようと考えたことも一度や二度ではない。だがその選択にも納得が出来ぬまま結局生きてきた。

……そんな苦悩が終始彼女を支配していたが、それでも湿地帯に行かなければならない。そこに『辿り着くこと』を『ケジメ』だと自分に言い聞かせて必死に走り続けた。

そして――ついに出会った。参加者に。しかも二人。エリア範囲を考えて南西に一直線ではなく迂回するルートを選択した結果である。
しかし、生きた参加者ではなかった。今の宿主の様にこの場に来て死んでいった人間。現在の彼女のような首だけ、という状態ではないがひどい有様だった。
まるで何者かに『食われた』かの様な――あの怪物を連想させる死体だった。
これも何かの因果なのだろうか、などと考えたのはほんの一瞬だった。重要なのはこの二人分の死体をどうするか?である。
彼女ならば二つの『食べ残し』を繋ぎ合わせて一人分の肉体を生み出すことは問題なく行えるだろう。
どうしても足りない部分は仕方がない。本来の肉体が露出されることにはなるが消耗は限りなくゼロに近付く筈であるし、二足歩行というのは移動にせよ戦闘にせよ便利なものである。

ここでも問題となるのは彼女自身の心理面。
車となった現状、このままでも湿地帯に行く事は出来るだろう。
その方が『化け物』らしいし、何よりも最初に考えていたケジメのつけ方に限りなく近い。
その事が彼女に選択を躊躇わせていた。

再び『人間』になって湿地帯を離れて誰かと接触するべきか。
『化け物』として湿地帯にて誰かが来るのを待つべきか。
あるいは『人間として湿地帯に行くべきか』という第三の選択肢もある。
化け物として湿地帯を離れるのは賢い行いではないが、そうせざるを得なくなる可能性も無いとは言えない。

参加者と接触すればケジメをつけるきっかけにもなる。
しかし『湿地帯に行くこと』をケジメとしておきながらその選択は如何なものか。またしても自分に嘘をつくことになるのではなかろうか。
いや、そもそもここでの決断さえも『ケジメ』の一つなのではないか?ここでの選択が後々の人生(今やそんな言葉も信用ならないが)に左右するのではないか。

目の前の死体が巻いている首輪の事もある。自身の能力の制限の事も考えねばならない。彼女の苦悩は増えるばかりである。
しかしのんびりと考え込む時間がある訳でもない。この場には参加者が近付いてくる訳がないなんて断定は出来る訳がないのだ。


路上に落ちる三人分の肉片が再び動き出すのは、はたして何時のことか。

319 :朧車 ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:20:42 ID:758FBHfz
【F-3北西部、マイク・Oとスカーレットの死体前/1日目 夜】


【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:身体ダメージ大(生首状態)、精神状態不安定(極大→大程度まで落ち着く)、F・Fカー状態
[装備]:なし
[道具]:名簿、地図、携帯電話(全て体内に所持)
[思考・状況]:
基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
0.目の前の死体に対しどう行動するか?あと水が(もっと)欲しい
1.湿地帯へ向かい、ケジメをつける
2.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
3.ブチャラティ一行を始末できなかった事を後悔
4.余裕が出来たら自分の能力(制限)を把握しておきたい
5. もしも荒木が倒せるならば対主催に益がある方法で死ぬ
6.無力感と虚無感で打ちひしがれている(時間経過により少し和らいだ)
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※ダービーとアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※参加者の時間のズレを何となく理解しました。
※アナスイが、脱出は不可能だと知ったときに殺し合いに乗りうるという事を把握しました。
※ティッツアーノとダービーのものであった肉片がF-3に散らばっています。
※ダービーの肉体は大半が焼失しました。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※テレンスの顔は見ていません。
※ティッツアーノの生首の中で生存しています。首の付け根から車輪を生成して移動しています。
※第三回放送を聞きましたが、意識が朦朧としているので内容を把握しているかは微妙です。
 徐倫、アナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。
 →禁止エリア及び作動時間を正確に把握できませんでした。
※スカーレット、マイク・Oの死体の前にいます。二人ともほとんどラバーソールに食われた状態ですが二人の身体をくっつけて新たな一人として誕生することが出来そうです。
 また、首輪は二人の死亡により停止していますが首に巻かれたまま存在しています。また、彼らの支給品はラバーソールが持っていったため存在しません。

320 :朧車 ◆yxYaCUyrzc :2010/12/27(月) 11:23:12 ID:758FBHfz
以上で投下終了です。
空気化の回避と新しい身体の提供、というだけで内容のない話になってしまったorz
没ネタスレでFFに誰の肉体を与えるか議論していたようだが……意外!それは残飯(ラバソの)!
タイトルは仮投下時にスレ>>153氏が書いてくださった「朧車」を採用させていただきました。というかいつも他力本願で申し訳ないorzそして1レス目にタイトル忘れたorz
仮投下時にはFFカーという独自の設定等余り否定的な意見はありませんでしたが、問題あるようでしたらどんどん書いてやってください。
その他、ご意見もお待ちしております。それでは、少し早いですがよいお年をッ!

321 :創る名無しに見る名無し:2010/12/28(火) 18:30:21 ID:Wn/8gLDb
たまたまスレ覗いてみたら来てた!投下乙です
プランクトンだしFFカーになるくらいの事は出来そう
空気化の回避と新しい身体の提供、だなんて十分内容があるよう
湿地帯に行くとすれば途中でリゾットと再会、なんてこともあるかも知れないな

322 : ◆4eLeLFC2bQ :2010/12/29(水) 11:46:31 ID:LeD6jxe2
遅れがちなキャラクターを優先するその心意気!
いつも尊敬しております。

掲示板にて議論していた『一条の光、一条の闇』ですが、wikiに修正版を掲載いたしました。
こちらへ投下したものとは序盤の内容が大きく変更となっておりますので
目を通していただければ幸いです。
それでは皆様よいお年をお迎えくださいませ。

323 : ◆yxYaCUyrzc :2011/01/03(月) 00:15:17 ID:nzEnK6ys
遅くなりましたが朧車をwikiに追加しました。不足があったら言ってください。
新しい予約もwktk

324 :創る名無しに見る名無し:2011/01/07(金) 19:53:44 ID:LytsgGON
遅くなりました。
したらばにも書きましたが、ジョジョ2新年会チャットはこちらにてお願いします。
大体9時くらいから――ですが、人がいるならもうはじめちゃってもいいんじゃあないかな……w

http://love0228.chatx2.whocares.jp/

10桁トリップ対応ですが、トリを付ける方は適当なもので試してから、自分のを入力したほうがトリばれのリスクを避けられると思います。
まあ、トリップは必要ないかなーとも思っておりますがw

入室者がゼロになりますとログはクリアされますのであしからずご了承ください。

書き手だろうが読み手だろうが、これから読む予定だろうが――当ロワは入室するすべての方の新年を祝福いたしますッ。
誰でもお気軽にどうぞ!

325 :創る名無しに見る名無し:2011/01/08(土) 02:26:18 ID:Y9bvClIS
今日のチャット内で貼られたディアボロ支援絵です
作者さんに許可取れてませんが、掲載させていただきます
http://res.love0228.chatx2.whocares.jp/attach/1154.jpg

326 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 16:10:10 ID:cfZ8TSVk
みれねえええええ
と思ったらしたらばで見れた!
ボスかっけええwwwww
チャット参加できてないんだけど、内容はどんな感じだったんだ?

327 : ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:39:47 ID:Bf6juOhO
ずいぶんと遅れてしまって申し訳ないです
では、これより予約分を投下します

328 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:44:23 ID:Bf6juOhO
 
 乾いていく体と共に失せていく思考力、このままこうしているわけにはいかない。死神の鎌は既に首元に当てられていて、私の命を刈り取るためにはほんの少しだけ腕を動かせばいい、そんな段階に入ってしまっている。
 だから私はすぐにでも決断を下さねばならない。命綱は目の前に落ちている。もし、私が望むのならば十数秒もしないうちに瀕死であるはずの私の体はすぐにでも元通りとなるのだ。
 けれども私には決めなければいけないことがあまりにも多く、迷いばかりが私の目の前に立ちはだかっている状況だ。私は一体どうすればいいんだろうか? 思わず友の名を呟いてしまった、私が守らなくてはいけなく、私の苦悩の中心にいるはずの彼女の名を。

「ジョリーン……」



☆  ★  ☆



329 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 17:46:45 ID:1GkU7y87
 

330 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 17:47:32 ID:1GkU7y87
 

331 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:52:56 ID:Bf6juOhO
「……このことは億泰には黙っておくか。トニオ・トラサルディーの下手人を前にしてアイツが冷静になれるわけがないしな」

 驚くほどのスピードでパンナコッタ・フーゴの半生に目を通し、岸辺露伴は小さくぼやきつつ紙の擦れる音と共に本を閉じた。すると、まるで皮膚の下に溶け込むかのように本は消えてゆき、その場には傷一つない少年の白い肌が残る。
 露伴は記憶を読むために前に屈みこんでいた上体を椅子の背もたれに預け、小さくため息を吐いた。この場では考えさせられることがあまりにも多く、安易な行動一つが人の死へと即座に結びつく。
 痛い授業料と共に教えられた露伴はむやみに火種を増やさない事を決めた。

「露伴さん、彼がこの殺し合いで殺す側に回った理由は分かったんですか?」

 人の記憶を丸裸にしてしまうのをよしとせず、黙って露伴を見せてただけだった川尻早人が始めて口を開いた。"彼”と言いつつフーゴに向けた視線には殺気すらこもっているようだ。
 この少年がいかにしてこのような殺気を発するようになったのか、図らずも露伴の興味をかってしまったものの、露伴は溢れる好奇心をぐっとこらえつつ質問へと答える。

「まず、彼は根っこから腐ってるってわけじゃないみたいだ。ただ、負けたんだよ。恐怖ってヤツにね」
「恐怖ですか?」

 椅子がわずかに軋み早人の目の鋭さが更に増した。自分がいなければこの子供はフーゴを殺す、露伴の頭にそのような憶測が湧き起こり、確信へと形を変えていく。
 少年のあまりの変貌に多少驚きはしたものの、それを表面に出したり怯えたりすることはなく露伴は小さく頷いて話を続けた。
 ギャングになった後、組織の力に怯えブチャラティを裏切ったこと。この殺し合いの場でフーゴの精神を追い込んでいく孤独。荒木飛呂彦の甘い誘い。
 そのどれもがフーゴをここまで追い詰める理由になり得たと露伴は理解している。
 理解して尚、怒りがこみ上げないわけでもないが、殺し合いに乗ってしまった理由としては納得できたし、彼の記憶と億泰やシーザーとの戦闘中に盛んにつぶやいていた"儀式”という言葉を照らし合わせれば、完全に踏ん切りが付いたわけでもないということも分かる。
 されども、早人は納得すること無く顔をさらに険しくさせるだけだ。

「露伴さん、死ぬのが怖いのは誰でも一緒だと思います。けれども僕たちはそれを覚悟でこの殺し合いを何とかしようとしているんじゃないですか。だったら折れたこの人は敵です。僕達が目指している勝利を妨げる障害なんです」

 一片の躊躇いもなく放たれた言葉。それは只の小学生に出せる声でも、吉良吉影にたった一人で立ち向かった勇者の声でもない。
 岸辺露伴は分かってしまった、分からざるを得なかった。目の前にいる少年は川尻早人の名を持ち、川尻早人の姿をしている人間。しかし、この殺し合いに連れてこられて一日にも満たぬこの時間で彼の内面はそっくりそのまま変わってしまっているのだ。
 スタンド能力を持たず、身体能力も普通の成人男性に比べてはるかに劣り、更に言ってしまえば全身に怪我を負っている。そんな少年相手に露伴は己の死を見た。敵に回せば万が一、その万が一が起こりかねない、そう思わせられてしまった。
 先刻の情報交換の際に明かさなかった何かが早人にはある。その何かへと先程以上の好奇心が湧き上がるものの、今はそれを先送りにした。

「別にこいつをかばって言うわけじゃないぜ。今から言うことはただ僕がそう思ったから言いたいから言わせてもらうんだ。
 なぁ、早人。僕は勝ちたいんだ。勝ちたいからこそ僕はコイツを殺さない」

 早人は露伴の言い分には完全に納得していない。
 勝利というセリフに込められている意味を『恐怖で怯えた、ある意味では犠牲者である人間を殺してまで荒木を打倒することにこだわるのは勝利じゃない。人を殺してやつの思惑に乗った時点で負けなんだ』と露伴が言いたいのではないか解釈した。
 しかし、そんな偽善者ぶった言葉などには興味がない。元より完全な勝利などは求めてはいない。吉良吉影を殺し、荒木飛呂彦を殺し、殺し合いを完全に破壊する。それさえできるのならば過程や方法に拘る気は一切ないのだ。
 反論をしようとわずかに身を乗り出し、口を開こうとする。しかし、その口から言葉が出てくることはなかった。
 
「テメェ! あ、あり。敵はどこに行きやがった?」

332 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 17:54:41 ID:3kJ1H/hp
支援

333 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:54:58 ID:Bf6juOhO
 純白のシーツの下より、漆黒の学ランを着た男、虹村億泰が立ち上がった事により二人の関心は完全にそっちへと移り、この場で起こりかけた問答は未遂のまま終わることとなる。
 気絶より覚めたばかりの頭では現状を即座に理解できず、自分が戦っていたはずの敵の姿を探したものの、すぐに現状を把握し、傍に座っていた露伴へと事情を聞くことにした。

「えっと、状況がいまいち飲み込めないんだけどよ。あの後どうなったんだ?」

 早人に視線を向けながらベッドに腰掛けた億泰の表情は暗い。スタンドを持たぬただの小学生である早人が戦力になると思っていなかった上、シーザーが助かっていたことを知らぬ彼は、自分が気絶した後に露伴が機転を利かせて敵から逃げ出したのだと思い込んでいた。
 つまりは圧倒的な敗北。己等は仲間をひとり失い、敵にはおめおめと逃げさせた、そう思ってしまえば明るい気分になれるはずなど無い。
 億泰が何を考えているかを朧気ながらに理解した露伴は、鼻を鳴らしながら億泰が気絶した後にどうなったかを伝える。

「襲ってきたヤツは無事に撃退したよ。シーザーともう一人助っ人が来てね」
「シーザーは生きてたのか。あの弾丸は間違いなく心臓に当たってたはずだったからもうだめだと思ったぜぇ」
「ああ、波紋使いってやつの凄さを思い知らされたよ。記録としては知っていたけど、こればっかりは体験してみないと分からないもんだ。
 でだ、話を戻そう。その後、シーザーと助っ人、ディアボロって名前なんだが、その二人はDIOの館へ向かった。
 そして僕たちは気絶してるお前たちのお守りをずっとしていたってわけさ」
「お前たち? 俺の他にだれかいたってのかよ」

口をポカンと開けた億泰に対し、露伴は無言で親指を部屋の角へと向けた。そこには車椅子の上で項垂れるフーゴの姿。それを確認するやいなや、億泰は靴もはかずにベッドから立ち上がり、スタンドを傍らに発現させて戦闘に備える。部屋の気温が急激に下がった。

「落ち着けよ億泰」

 フーゴのもとへと歩み寄る億泰の肩を露伴が押す。フーゴに視線をやっていた億泰の顔がわずかに上がった。露伴の瞳を見据える双眸はこれ以上はない怒りで染め上がっている。
 が、露伴が視線ごときでひるむわけもなく、構わずに進もうとする億泰の肩を更に強い力で押した。

「どいてくれねぇかよぉ、露伴」
「僕は落ち着けって言ってるんだぜ億泰」
「俺はどけって言ってるんだぜぇ露伴」

 視線と視線が交錯した。どちらも引くつもりはなく、早人も二人の問答に介入するつもりはない。

「じゃあ聞かせてもらおうか。僕がどいたらお前はコイツをどうする気だ?」
「決まってるだろぉ。俺の右手で削りとってやるんだ。コイツはどう考えても殺しに乗った。ならば俺だって容赦する気はねぇぜ」

 スタンドの右手を開閉させつつ、骨を鳴らすことで敵意をより一層高めた。

「コイツを裁くのは僕達の権利じゃない。もっとふさわしい相手がいる」
「誰なんだ、その相手ってのはよぉ」
「ブチャラティだ、コイツの元上司である彼にコイツを引渡しに行く」
「つまりはナチス研究所に行くってことか? 俺はまっぴらゴメンだぜぇ。ジョルノとは会いたくねぇし、こいつをわざわざ運んでやる義理もねぇしよぉ」

 肩を抑えているヘブンズ・ドアーを乱暴に振り払い、再び億泰は腰をおろす。急にかかった体重によってベッドが大きく軋んだ。あからさまに怒りを顕にする億泰に、呆れた様子も隠そうとせずに露伴は大きくため息を吐いた。

「バカだったのは知っていたがここまで底抜けだとは思わなかったよ。
 殺し合いに乗ったヤツがみんながみんな吉良吉影みたいなヤツだと思ってないかい君は?
 僕も納得はしてないが、彼には彼の事情がある。だからこそ彼のことを詳しく知らない僕達に彼を裁く権利はないっていっているんだ」
「ずいぶんコイツに肩入れしてるみてぇじゃねぇかよ露伴。
 お前はそんなやつじゃなかったじゃねぇか、おい。まさかコイツに惚れちまったとか言わねぇよなぁ」

 億泰はそう吐き捨てると、露伴から目を逸らした。
 そして、静まり返った室内に響く靴が床を叩く音。億泰の肩に露伴の両手が置かれる。

「勝ちたいんだよ僕は」

 早人の目に明らかな落胆の色が克明に浮かび上がる。

334 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:57:08 ID:Bf6juOhO
「ハッキリ言うなら、僕はこいつが気にくわない。自分を殺しに来たヤツをそうそう好きになれるわけはないからね。
 けれどももしかしたらコイツが仲間になるかもしれない。コイツのスタンドは僕達にとってもかなりの戦力になる、そうだろ?
 だから僕は殺さない。勝率が僅かでも上がるならそっちを選ぶんだよ」

 億泰と早人が同時に露伴の顔を見た。その瞳は少年のように輝き、そして二人が今までに見たことがないくらいに本気であった。

「ら、らしくねぇじゃねぇか露伴。お前ならなぁ、気に食わないヤツとは絶対に組みたくない、組むくらいなら負けてやるって言うもんかと思ったんだけどよぉ」
「いつもならそう言ってるところなんだけな、今回は事情が違うからしょうがないんだよ。
 僕は人を殺してしまったからね、何がなんでも勝たなくっちゃいけないのさ」

 露伴の言った"人を殺した”という言葉の意味を早人ははかりかねていた。文字通り自分の手で人を殺してしまったのか、それとも事故で誰かを死なせてしまったのだろうか。しかし、露伴の様子からして後者が濃厚であろうと判断し、事情を聞いてみようかと考える。
 だが、早人が口を開く前に、露伴の言葉の真意を知っている億泰が言葉を発した。

「お前がそう言うならしょうがねぇ、俺もジョルノのとこへ行くのは我慢してやる。だけどよぉ、一緒に行動するのは御免だからな。
 じゃあさっさと向かおうぜ露伴。連中がいつまでもナチス研究所に留まってるとは限んねぇしよ」

 言い切るやいなや億泰は立ち上がり、ドアへと向かってズンズンと歩みを進める。

「億泰、フーゴは君が運んでくれよ。僕はこの体だし、早人は小学生なんだぜ」

 後ろからかけられた声に億泰は振り返り、嫌そうな表情を露骨に出してフーゴを見下ろす。けれども、露伴からも早人からも助け舟が出ることはない。
 結局、嫌々ながら気絶したフーゴの乗った車椅子を押し、次に僅かにおぼつかない足取りで露伴が退出し、最後に早人が家から出た。


☆  ★  ☆


335 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:58:29 ID:Bf6juOhO
「って感じだな。俺が言って役に立ちそうな情報はそれくらいだぜぇ」
「ありがとうございます億泰さん。あの怪物――エシディシが凶行に走る前の情報を聞けるのは非常に助かります」
「しっかしよぉ、エシディシが殺し合いに乗ったのもびっくりだけど、一番びっくりしたのはおめーだぜ早人。しばらく見ねぇうちにずいぶんと雰囲気が変わったんじゃねぇの?」
「それは僕も気になってたね。情報交換も簡単にしかしてなかったし、君がこの場に来て何を聞いたのか軽く教えてくれないかい?」

 三人揃って歩いているせいで、ここが本当の杜王町じゃないのだろうかと思いつつ、億泰はその思考を早々と振り払った。
 こんな偽物の街ではなく、本当の杜王町に仲間を連れて帰ってやらなくてはならない。ついつい重くなってしまいがちな彼にとって、会話で気を紛らわせることができたのはありがたかった。
しかし、根っこに引っかかるのは早人の周りを纏う空気。小学生離れしている少年だということは知っていたが、最後に会った時と致命的に何かが違う。その何かが心にどうしても引っかかるのだ。
 それは露伴にとっても同様であり、億泰に同意する形で早人の口から聞き出そうとする。 

「そうですね、まずこの殺し合いに呼ばれたときの話からしましょうか――」

 早人の口から紡がれていくここ一日での出来事。この少年が何を見て何を思ったのか、億泰と露伴は口をはさむこと無く黙々と聴き続けた。
 駅で会った殺し合いに乗った者たち、とりわけリーダー格であったヴァニラ・アイスの話になると今まで低かった越えのトーンが更に下がり、露伴が先刻感じた殺気を再び放ち始める。
 そして戦いの詳細が語られるにつれ、億泰と露伴の二人はますます話のへと引き寄せられていく。
 聞く限りでは無敵のスタンド使い、それに対して少年は己の知恵と勇気だけで立ち向かった。しかし二人の興味は、一種の英雄譚の様な中身よりも、自分が死にかけたことをあたかも他人ごと家のように話す早人へと向く。

「――そして僕はヴァニラ・アイスを殺したんです」

 場に沈黙が訪れた。

「俺はバカだからよぉ、こんな時なんて言っていいか分からねぇけどさ、大変だったな早人」

 おずおずと、どこか遠慮した様子で億泰は口を開く。億泰の心情を察したのか、小さく笑いを漏らしながら早人が返す。

「僕は大丈夫ですよ。ヤツを殺したことは気にしていません」
「一応聞かせてもらいたいんだ、君が殺しを躊躇わなくなった理由は何なんだい早人? 吉良を殺そうとしたときは、少なくとも恐怖は感じてたはずだろ?
 それに、この話を聞く限りだと、君は自分の命に無頓着すぎるんじゃないかい?」」

 きっぱりと自分の心配を否定され、億泰は口を挟もうとするも、その前に岸辺露伴が問いを投げかける。
 そして早人はそれが当たり前であるかのよう、それが世界の真実であるかのような口ぶりで答える。



336 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 17:59:32 ID:Bf6juOhO

「簡単ですよ、ヤツが僕達の敵だからです。敵を殺すのに躊躇してはいけない。この場に来て嫌ってほどに思い知らされたんです。
 そしてもう一つの質問の答えも簡単です。命なんかに執着してては勝てるものもかてなくなってしまうじゃないですか」
「おい、早人」

 億泰の声にトゲが混じった。早人の言っていることは間違っていない。冷静な部分はそう叫んでいるが、感情的な部分がそれを認めることを許さない。"杜王町の仲間”の変貌を心の根っこの部分が否定する。
 だが、二の句を継ぐ前に億泰の言葉はまたしても露伴に遮られた。

「なぁ、血の匂いがしないかい? 億泰、悪いがスタンドの肩を貸してくれないか。
 情けなくてあまり気がすすまないんだが、今の僕たちは危険を避けたほうが賢明だしな」

 話の腰を折られた億泰はいら立ちを隠す様子を見せようとしなかったが、おとなしく露伴に従い、スタンドを発現させて露伴を無理矢理背負う。

「おい、誰が僕のことをおんぶしろって言ったんだ」
「うるせぇなあ、こっちのほうが早いんだから文句言うんじゃねぇ」

 不満を述べる露伴を無視して先程よりも速度を出して歩き出す億泰。
 しばらくは背中で文句を言っていたいた露伴であったが、急にスタンドを発現させると、ザ・ハンドの耳へと顔をよせた。
 
「早人とここで言い争うのは得策じゃない。このことに関しては後でじっくりと話すことにしよう」

 早人にぎりぎり聞こえない声量で露伴はボソリと呟いた。
 億泰は完全には納得していないものの、血の匂いがするのを自身の鼻でもしっかりと捉えたので、渋々納得し、歩みを早めていく。
 ここで、岸辺露伴と虹村億泰は、一つの懸念と不安を抱いた。







――川尻早人はもう元には戻れないのではないだろうか。


337 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 18:02:22 ID:Bf6juOhO
【E-3南西部 路上/1日目 真夜中】

【第4部生き残りトリオ+1】

【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に怪我(車椅子が不要な程度には回復)、多少の疲労感
[装備]:ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)
[道具]:基本支給品×2、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒すために『取材』をして回る。
1.ナチス研究所へ向かう。
2.ジョルノたちに再会し、『ボスの伝言』と伝え、『フーゴ』を引き渡す。
3.荒木に取材を申し込むため、テレンスを探す(ナチス研究所優先)。
4.ウエストウッド…すまなかった。
5.隕石を回収……ああ、そんなのあったね
6.フーゴがトニオを殺したことは黙っていよう
[備考]
※これからは荒木を討伐するために自分勝手な行動を控えることにしました。
※気は進まないようですが、時の情報についての考察にも助力をするようです。
※名簿と地図をやっと確認しました。
※傷はかなり回復しました。車椅子は現在フーゴの拘束に利用しています。
※第一放送、第二放送の内容を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※シーザーに書き込んだ『露伴の身を守る』という命令はキャンセルされました。今後そういった内容の『命令』は二度と書かないつもりです。
※本人は認めたくないようですが、億泰に対し、かなりの信頼を持ちました。
※ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用にディアボロから渡されました。
※フーゴの支給品はすべて露伴が所持しています。不明支給品はもうありませんでした。
※ディアボロに依頼された、ジョルノ・ブチャラティへの『ボスからの伝言』は以下の通りです。
 『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
※荒木を倒し全てが終わった後、ディアボロに『記憶を読ませる』という約束をさせました。
※フーゴの記憶をあらかた読みました

【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:左肩に『ザ・ハンド』で抉られた跡。胸の中央に銃痕(波紋で治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
1.露伴たちと行動を共にする。
2.エシディシも仲間を失ったのか……。暴れたのはそれが原因か。
3.仗助や康一、承太郎の遺志を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
4.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
5.吉良と協力なんて出来るか
6.フーゴ嫌い、ジョルノも嫌い、だけど今回は露伴に免じて協力しよう
【備考】
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。
※サンドマンと情報交換をしました。 内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」
 「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「第一回放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。
 (急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※本人は認めたくないようですが、露伴に対し、かなりの信頼を持ちました。

338 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 18:02:44 ID:1GkU7y87
 

339 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 18:04:08 ID:Bf6juOhO
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(小)、身体疲労(小)、上半身全体にダメージ(波紋で治療済み)、右手人差し指欠損、
    漆黒の意思、殺意の炎
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.とりあえず露伴たちと行動をともにする。
2.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず思考1を優先
3.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも…
4.荒木の能力を解明したい。


[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報とディアボロたちとの情報交換を経てディオ、ジョナサン、エシディシ、由花子も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※第二回放送の内容を把握しました。



【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:気絶中、右手首と左肘に骨折、その他全身に打撲と大ダメージ。ヘブンズ・ドアーによる洗脳。
[装備]:ポルナレフの車椅子(ディアボロに縛りつけられ、身動きが取れない)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
0.気絶中
1.僕はクソったれの外道野郎だ…
2.僕はブチャラティたちに裏切られてしまった…
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※装備していたミスタの拳銃は壊されました。
※荒木がをフーゴに与えた支給品は拳銃2挺と閃光弾3つだけでした。
 拳銃は2つとも紛失(一方は大破、もう一方は現在露伴が所持)、閃光弾も使い切りました。
※D-3地点で手榴弾2個を入手しましたが、使い切りました。
同じく入手したナランチャのナイフも奪われました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。
※フーゴの支給品はすべて露伴が所持しています。不明支給品はもうありませんでした。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『ブチャラティに出会うまで気絶する』
※ミスタの拳銃の残骸は【D-3】に放置されています。
 銃身部分がごっそり削られており、使い物になりません。

340 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 18:05:41 ID:Bf6juOhO
 ☆  ★  ☆



 三人が遠ざかり、しばらくの間続いていた静寂の中、ふいに笑い声が漏れ出した。狂気じみた音色の中に嘲りを多分に含んだ、それでいて愉快で仕方ないと言わんばかりの笑声。
 発生源となっているのは青年の生首。死体にしか見えない物体が、これまた無残な姿となった人間の残骸を見ながら声をあげて笑う。シチュエーションが狂っているのならば、彼の口から漏れ出す音からも狂気がにじみでている。
 もしも彼に首から下の肉体があったならば、背を丸め、両腕を腹に当てていただろう。そう確信させるほど激しい笑いであった。
 彼には笑う余力など残っているはずがなかった。あと少しすればその生命を失ってしまうであろうという極限状況、そんな絶体絶命な状況。
 そんな中でも彼は笑わずにはいられなかった。あまりにも滑稽なものを見つけてしまったのだ。あまりにも阿呆なものを見つけてしまったのだ。笑うしか、笑ってしまうしかなかったのだ。

「一体何をしていたんだ私は、本当に何をしていたんだろうか私は」

生首が飛び散った肉片を寄せ集め、道路に落ちていた無数の影が闇夜の中でゆっくりと混ざり合っていく。

「此処に来る前にDアンGを殺した。一片の後悔もなく、一切の躊躇なく」

出来上がった肉塊の中に生首が沈んでも、その笑い声は絶えること無く響き続ける。

「どうしてそれができたかって? 簡単だ、アイツがジョリーンの敵だったからさ」

ドーム状であった塊が重力に逆らいながら上へと伸び円柱へと姿を変えた。

「そうだ、ここでもそうだった。今まで殺してきた奴らが敵じゃないって思ってたから余計な心労を負ってしまったんだ。
 でも違う。他の連中が生きてたらジョリーンは生きられない。つまり……敵ってわけだ」

上端から顔が生え、後に手足が生えてくる。

「敵ならば殺せばいい。こんなシンプルな答えが落ちてたなんてな」

生えてきた手足の先が枝分かれしてゆき、指を創りだした。

「自分を捨てるだのケジメを付けるだの、ずいぶん瑣末なことに時間と精神力を図分と浪費させられたもんだ」

形は人のものであろう。しかし、人の肉を継ぎ接ぎにして生まれたその姿。

「ジョリーンはまだ他の連中が敵だって思ってないからな、事情を分かってないなら彼女に嫌われてってしょうがない」

月明かりに照らされる、ドロドロに溶けていた肉の塊。

「さぁ、彼女の代わりに敵を皆殺しにしに行こうじゃないか」


――――怪物が産声を上げた。

341 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 18:07:03 ID:Bf6juOhO
【F-3北西部、マイク・Oとスカーレットの死体前/1日目 真夜中】



【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:継ぎ接ぎの肉体
[装備]:なし
[道具]:名簿、地図、携帯電話(全て体内に所持)
[思考・状況]:
基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.ふ  っ  き  れ  た
2.ケジメを付ける必要も自分を捨てる必要もなかったんだ
3.他の参加者はジョリーンの敵だから殺す
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
5.余裕が出来たら自分の能力(制限)を把握しておきたい
6. もしも荒木が倒せるならば対主催に益がある方法で死ぬ
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※ダービーとアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※参加者の時間のズレを何となく理解しました。
※アナスイが、脱出は不可能だと知ったときに殺し合いに乗りうるという事を把握しました。
※ティッツアーノとダービーのものであった肉片がF-3に散らばっています。
※ダービーの肉体は大半が焼失しました。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※テレンスの顔は見ていません。
※ティッツアーノの生首の中で生存しています。首の付け根から車輪を生成して移動しています。
※第三回放送を聞きましたが、意識が朦朧としているので内容を把握しているかは微妙です。
 徐倫、アナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。
 →禁止エリア及び作動時間を正確に把握できませんでした。
※復活しましたが、現在は人の形をした肉塊の状況です。まともな外見にしようと思えばできると思いますがするかどうかは次の方にお任せします



342 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/09(日) 18:08:20 ID:Bf6juOhO
投下完了です
期限を過ぎた挙句、更に音沙汰なしでこんな時間になってしまい本当にすみません


343 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 19:04:01 ID:CBXw/Gw8
いつでも 徐倫 love you. 君に Take sacrifice me.
捨てられないから 私の大事なメモリー
カイブツは対主催になれない
ならば優勝させちゃえば 私の思い通り
水分からから乾かないで乾かないで
うるおい逃げないでまだ距離は
たっぷりあるからあと5分いや10分待たせて


死んだわけでもマーダーになったわけでもないのに早人の御葬式ムードかわいそす
漆黒の殺意って本当に恐いな。気がふれたわけでもないのに仲間にビビられてるぜ
それもそのはずこのロワ実質最強マーダーを一人で倒してるんだからな

344 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 21:21:18 ID:cfZ8TSVk
投下乙です
早人こええwww
乗ってる参加者以上にぶっ壊れちゃってるw
ディアボロたちについて行った方がよかったんじゃないの?w
露伴たちにとってはフーゴやその他のマーダー以上に爆弾になるかもしれませんね

指摘としては、
>>331 傷一つない少年の白い肌が残る。
とありますが、支援絵のとおりフルボッコにされていますので、傷一つないことはないと思いますがw

あと、>>326
全部参加したわけではありませんが、私の居た時間帯は全体的にまったりとしたジョジョの雑談トークがメインでした。
たまにはこういう場を設けて、書き手間、読み手間の交流をするのもいいものですね
あと一番の収穫は、「眠れる奴隷」でお馴染みのクールな印象があったvv氏の意外な一面が見れたことでしょうかw

345 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 22:00:18 ID:cfZ8TSVk
>>344
「眠れる奴隷」ではなく、「迷える奴隷」でしたorz

346 :創る名無しに見る名無し:2011/01/09(日) 22:27:51 ID:eu+aBycD
投下乙です。
億泰と露伴はこの不安定さが癖になるw
早人は小学生とは思えない貫禄、そこにしびあこだな。
FFもいい感じに成熟してきていて胸熱。
こいつらの向うナチス研修所とDIOの館がやばすぎてwktkが止まらないッ

改めて乙でした。お忙しそうですが、次作もお待ちしております!

>>326
>>344の言ってくれている通りの、まったりかつ熱いジョジョトークだったよー
なんといっても読み手さんが何人も駆け付けてくれて、ホープの二人も来てくれたから個人的にはかなりテンションハイってやつだった
また何かの節目にやりたいよなあ……

347 :創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 17:49:47 ID:eUX+0zqV
投下乙です

これはブルっちまう早人
そしてふ っ き れ たFFの今後の活躍にも期待

あと、三行状態表の人も乙
いつも仕事が早いぜ!ひそかに楽しみにしてます

>>326
自分は読み専の一人でしたがホイホイと誘われるまま男の世界にINしました
個人的にはSSの裏話が聞けたのが面白かったです
ジョジョロワは素晴らしい書き手さん達に支えられているんだな、と改めて感じました

348 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:34:06 ID:LRxBqihd
投下します。

349 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:35:50 ID:LRxBqihd
今夜は満月だった。
月はイイ、太陽と違って月は俺たちを受け入れてくれる。
所詮俺たちは闇に生きる生物、そう言う俺たち一族を慰めてくれているようだ。
そんなあいつは今夜も絶好調……いつも以上に美しく、可憐で、そして儚い。

掌の中の赤石をそっと掲げてみる。
光が何重にも反射し、その美しさは際立つ。思わず溜息が出るほどだ。
一族の悲願がこの手の中に、そういう感動もあるが純粋に美しさだけでもこの赤石は素晴らしい。

赤石と一族の野望。
そう、正確には『俺たち』の目的だったはずだ。

俺はカーズに黄金の意志を見た。
克服できない最大の敵、最大の弱点、太陽を超越する。
俺はそんなやつを尊敬していた。誰もが超えることを諦めていた壁に挑むあいつは、誰よりも眩しかった。
だから一緒に出てきた。やつが一族を皆殺しにしようと何も言わなかった。
やつのどでかい夢は、いつのまにか俺の夢にもなっていた。

俺はワムウのやつを気に入っていた。
やつは俺より遥かに若いがそんなのことはどうでもよかった。
やつの戦士としてのストイックさ、自分の肉体を極限まで痛めつけてまで何かを求めるあいつの姿に敬意を表していた。
俺も闘うことは好きだ。だがアイツはその闘いの中で何かを常に掴み取ろうとしていた。
俺にはそれができなかった。だから俺はそんなワムウが好きだった。

「今更何を思い出している……」

思わず口をついて出た言葉に自分自身驚く。
だがこれはまぎれもなく俺の本音だ。
俺は、迷っている。

人間とは……一体何だ?
そして俺たち一族とは……一体何なのだろうか?

人間、人間、人間……ここ数時間そのことばかり考えている。
人間の強さ、人間の存在、人間の素晴らしさ。
会う人間、会う人間皆そうだ。俺に訳知り顔でそんなことばかり言ってくる。

川尻早人、リンゴォ・ロードアゲイン、そしてオインゴ。

俺は視線をチラリと下に向ける。
風が心地いいと俺はコロッセオの外壁を登っていた。
俺を楽しませようとしているのか、それともただ単に話を聞いてほしいのか。
オインゴは必死に俺についてこようと脆くなったコロッセオの壁をよじ登っている。
震える体に鞭をうちながら、だ。

350 :伝染 ◆xrS1C1q/DM :2011/01/11(火) 01:37:13 ID:fxPsEdGQ
支援

351 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:38:18 ID:fxPsEdGQ
   

352 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:38:56 ID:LRxBqihd
俺への恐怖か、はたまたただ単に高所に脅えているだけなのか。
ただ最終的に、こやつが脅えてるもの、それは『死への恐怖』だ。
数時間前にはこの俺を驚かせるほどの啖呵を切った男が、である。

わからない……人間とは、理解できない。
どうしてお前たちはそんなにも脆い? どうしてお前たちはそんなにも弱い?
どうしてお前たちはそんなにも強い? どうしてお前たちは……立ち向かうのだ、抗うのだ?

カーズだったらこんなことで悩まないだろう。
やつは人間は下等生物、と割り切っている。あくまでやつにとって人間は食糧の食料。
それ以下でも以上でもない。
だから闘いにおぼれることはない。どれだけ人間に挑発されようともやつは淡々と、ただ殺すだけだ。

ワムウだったらどうするだろうか。
これも簡単な話だ。やつは嬉々として闘うだろう。柱の男、我々一族の誇りを胸に全力でぶつかっていくだけだ。
強さこそが正義、強さこそが真理。
戦士と勇者は友であり尊敬するもの。ワムウは常々そう言っていた。



だが俺は違う。
俺は……そう簡単に割り切ることはできない。
戦士だとか、闘いだとか、食料だとか、屑だとか。
そんな一方的に決めつけるのは『納得』ができない。

俺は知りたいんだ。
どうして神は俺たちに『スタンド』を授けなかった?
どうして俺たちは太陽の元で暮らせない?
どうして俺たちは闇とともに歩まなければならない?

何故『人間』なのだ? 何故俺達でない? 何故俺たちは……滅ばなければならなかったのか?


『今分かった……貴様は赤ん坊のようなものなのだと。人間を理解できずに苦悶する、哀れな子供なのだと』

リンゴォ、お前はそう言ってたな。
ああ、そうだ。俺は人間が理解できない。
理解できなくて苦しんでいるだろうな。まったくもってお前の言うとおりだ。
俺はお前たちとは違う生物だ。お前たちとは到底分かり合えないのだ。

だってそうだろう?
豚や牛、鶏が口をきき、人間に反乱をおこしたらお前たちはどう思う?
魚がお前たちに反旗を翻したらどうする?
どうだ……? 理解できるわけがないだろう。
お前たちはそれでも変わらず肉を食らい、植物を食べ、そうやって生きていくだろう。

353 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:39:32 ID:fxPsEdGQ
 

354 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:40:45 ID:fxPsEdGQ
 

355 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:41:35 ID:LRxBqihd
お前たちが人間であることを誇りに思ってるように、俺も自分自身の存在を誇りに思っている。
カーズ、ワムウ、そして死んでしまった一族全員。
俺は自分が人間ではない生物であることを誇りに思っている。

俺は……見せつけてやることしかできない。
いや、『見せつける』ことが今の俺の義務なのかもしれない。
伝えさせる、受け継がせる相手はもう存在しない。
その相手が人間しかいないというならば……人間『しか』いないとしても……俺が取るべき道はもう一つしかない。


「俺は……」


俺は一族全員のために戦いたい。
一族全員がこの地球上に存在していた、そのことを証明したい……残したい!

誰にも知られず、何も残せず消えていく。
それはあまりに寂しすぎるではないだろうか。
永久にも思える間、俺たちは生きてきた。
そこに意味を見いだせないのは、あまりにむなしすぎないだろうか。

『あらゆる闘志に敬意を示せ』

リンゴォ、お前には感謝しよう。
わかりあうことはできないかもしれない。
だが理解した。『魂』で、俺は人間を『理解』することができたのかもしれない。
『男の世界』が柱の”男”と人間との架け橋になった……そういったらお前は笑うだろうがな。

「オインゴ」
「はひぃ!?」

一族のため、俺の納得のため。
俺は生きる。




『柱の一族、そう言われた存在が生きている』ということを示すために!




「死ぬ前に何か言い残したことはないか?」
「…………それって……」

356 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:41:51 ID:fxPsEdGQ
 

357 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:43:12 ID:LRxBqihd
俺は腰掛けていた壁から飛び降りると、後ろに座る人間に話しかける。
振り向くこともなく俺は無造作に言い放った。

やつの顔から血の気が引き、動悸が早くなったのが見なくてもわかった。
僅かな温度の違いから、やつの心が移り変わっていくのが手に取るようにわかった。
沈黙、唇を震わせ、再びかみしめる。
そのわずかな間にいくつもの感情がやつの心を、魂を駆け巡ったのだろう。

諦め、諦めきれない。
達観、呆然、覚悟、犠牲、怒り、悲しみ。
不安、焦り、安心、恐怖。

しばらく経った後、オインゴはゆっくりと口を開いた。

「弟に……」
「…………」
「いや、あんたに言っても意味はないかかもしれねェけどよォ……。
 そもそも俺としては……いや、やっぱりいい。
 ……一思いに、殺してくれ」

前まではなにも感じなかった。
心変わりは臆病風に吹かれたからだろうな、と鼻で笑って一蹴していただろう。
それが今はわかるのだ。この男が覚悟を決めた上で決断したのだと。

弟、という存在は俺の一族にかける思いと同じぐらいに大切なものなのだろう。
弟に言葉を残す、それは即ち俺が弟に会うことを意味してる。
俺が約束を守るにしても、言葉を伝えた後に弟の命を保証する約束はしていない。
兄として言葉を残すべきなのか。それを諦めてまで俺と弟を接触させないほうが賢明なのか。

やつは弟の安全を選んだ。
それはなんと苦しいことなのだろうか。
自分を『殺して』でも守りたかった存在なのだろうか。

「……約束しよう」
「あぁ?」
「貴様の弟は殺しはしない、と」

俺はそんな『勇気』に敬意を表そう。
ちっぽけなプライドかもしれない、羽虫の足掻きかもしれない。
それでもそこに敬意を表することに意味はあるのだろう。


358 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:43:17 ID:fxPsEdGQ
 

359 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:44:46 ID:LRxBqihd




またしても沈黙。
そして男は顔をあげると俺に向かって言った。
体はガタガタと気の毒になるほど震えていた。
顔は今にも倒れるんじゃないかと思えるほど真っ青だった。

「お前はやればできる子なんだ。
 最後に決めるのは俺じゃねェ、お前なんだ。
 勇気を持て、一人で歩く勇気を持て。
 お前はもう一人で生きていけ。
 それから……兄ちゃんみたいには絶対なるな、そう伝えてくれ」
「わかった」

それでもやつは言い切った。
俺は静かに、だがはっきりと返事をした。
そしてやつの首に手をかける。

「死にたくねェ……死にたくねェんだよォオ。
 まだ生きてェ……したいこともたくさんある。
 やり残したことだってたくさんある、やりたいことだってたくさん、たくさん……」

情けないと言えるだろうか。
カッコ悪いと馬鹿に出来るだろうか。
必死に生きようとする、無駄だとわかっていても抗う。
その姿は人間そのものだ。
愛おしく思えるほどに、狂わしいと思えるほどに。

俺は最後まで聞かずに、男の首元から俺の血液を流し込んだ。
沸騰した液体が頭部に流れ込み、まるでつぶれたトマトのように頭部がはじけ飛ぶ。
鈍い爆発音とともに、空気中に真っ赤な花が咲いた。

「―――綺麗な花火だ」

人が死ぬ、今までは当たり前だったが今の俺には不思議と違うモノが見えた。
オインゴが死んだ瞬間、なにか目には見えないエネルギーがそこから溢れ出ている様だった。
それは美しく、可憐で……儚かった。

残りカスのような肉体を地面に横たえると、俺はオインゴだったものの右肘辺りを優しく撫でる。
さっきから文字通り『手ぶら』な右腕を元に戻すためだ。
太さはだいぶ違うが……まぁそのうち慣れるだろう。もっといい腕があれば付け替えればいい。

360 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:44:49 ID:fxPsEdGQ
 

361 : ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:45:26 ID:LRxBqihd




……風が吹き始めた。
そろそろコロッセオを後にしようか。
向かう先はDIOの館か、はたまたナチス研究所か。
人の強さはひとまず後に置いておいても構わない。
ディオ・ブランドーが本物の強者ならば必ずや死合うことになるのだから。
ナチス研究所に向かのも悪くない。
そこにいけば何人もの人間に会えるだろう。この俺の、一族の強さを示すには絶好の場だ。

「……よし」

一瞬の考えの後、俺はゆっくりと歩き始めた。
向かう先はどちらだろうと一緒だ。
目的はあくまで変わらない。それの途中に俺の納得がついてこれば。

「全生物の頂点に……!」

カーズの夢をかなえ、ワムウに敬意を表し、俺の納得のために戦う。
悪名だろうが構わない。
俺の、俺たちの存在を伝えよう。


人間たちよ、覚悟はいいか?
―――俺はできてるぞ


その時きっとおれは笑っていただろう。
皮肉でもなく、嘲笑でもなく、俺は心の底から笑っていただろう。










【オインゴ 死亡】
【残り28人】

362 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:45:45 ID:fxPsEdGQ
 

363 :怪物は消えてしまった   ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:46:20 ID:LRxBqihd


【E-3 コロッセオ/1日目 夜中】


【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:健康
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×4(食糧をいくらか消費)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ
    『ジョースター家とそのルーツ』リスト、ブラックモアの傘、スーパーエイジャ
    首輪探知機、承太郎が徐倫に送ったロケット、青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、潜水艦
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.DIOの館 or ナチス研究所へ向かう。
1.全てのものに敬意を表する。だが最後に生き残るのはこの俺だ……!
2.参加者をすべて殺す
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。


364 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:48:42 ID:fxPsEdGQ
  

365 :怪物は消えてしまった   ◆Y0KPA0n3C. :2011/01/11(火) 01:50:15 ID:LRxBqihd
以上で投下終了です。
支援を下さった方、一時投下の際に指摘してくださった方ありがとうございました。
なにか変な点があれば指摘をお願いします。

>>342
投下お疲れ様です。
露伴がいかにも彼らしく、独自の信念を貫いてるのはかっこいいなァ……
億泰も戦力的には頼りになるしナチス研究所が今熱い!
そしてそのナチス付近で吹っ切れたFF
この後FFがどう動くかでだいぶロワ全体の流れが動くかもと思うとゴクリ……
改めて乙です。次回作も期待してます。

366 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 01:57:22 ID:LAfm0dbC
投下乙です

感想一番乗りだァーヒャッハー
オインゴはロワに参加してないボインゴの事ずっと気にかけてたよな
ヘタレだけど良い兄ちゃんだったぜ

覚悟完了したエシディシがナチ研に行く可能性もあるのか…
ていうかDIOの館に行くのもヤバいし道中で誰かに合うかも知れないのもヤバい

367 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 02:07:33 ID:fxPsEdGQ
さるさん食らってたw

投下おつです
ヘタレだけど一本芯がオインゴに黙祷、情け無いけど最後までかっこ良かったよアンタ
もしもボインゴもロワに出てたら熱血対主催になったんだろうな、そう思わせるような話でした

そして人物として一皮むけたエシディシのこれからにも期待
仲間たちのためにというスタンスは変わってませんが、その内容がこのSS内で大分変わりましたね
迷いがなくなったから今まで以上に怖いぞこいつ

それと容量がそろそろヤバイんで次スレを立てたいと思います
今日か明日、どんなに遅くなっても現在の予約の投下前には建てるんでよろしくお願いします

368 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 19:28:29 ID:IupIdH0b
投下おつです
正直このロワでの動きだけ見ればオインゴは全然活躍しなかった
それでも最初から最後まで弟の事を考えてたんだよな、弱いけどすげー立派な誇れる兄貴だわ
そしてふっきれたエシディシもやべぇ!ラストに向けて次々と迷いをふっきる連中が増えているっ!
まだ迷ってる連中もいい加減色々決めなきゃならん時期なんだね

369 :創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 21:39:25 ID:VoPDhd5/
投下乙です。
誇り、夢、うちのロワにはそんなことを語るキャラは皆無に等しくなってしまった。
それを存分に書ける書き手さんが、とてもうらやましいと思えるSSでした。

370 :創る名無しに見る名無し:2011/01/12(水) 18:49:16 ID:jiZD+pgS
潜水艦ってオインゴ所持になってたけど実際あるのは川だよね
存在を知らないエシディシの所持品に加えるのはおかしくないか?

371 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 00:16:36 ID:zClWO8ey
鍵かなにかなんじゃない?

そもそもACDCが鍵がどういうものかを知ってるかとか
そもそも体を変形できる彼に鍵が必要かとか

そういう色々なモヤモヤはあるけども

372 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 00:31:56 ID:XLKhloxD
エシディシはロケットを持っている=潜水艦を持っている
って事だろ

373 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 15:20:30 ID:0/cBeAsp
月報は199話(+7)、28/89 (- 1)
だけど、予約あるからなア…

374 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 20:05:53 ID:VWH9rDFq
てか次200話か! めでてえ!

375 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 21:55:11 ID:fm0Q//fl
新スレ立ててきたよ〜
そして次が200話か、こんなに進んでる実感がいまいちないですw

ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1294923083/

376 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 22:44:24 ID:CG4YAsiX
スレ立て乙です

ジョージwww

377 :創る名無しに見る名無し:2011/01/13(木) 23:40:57 ID:zClWO8ey
新スレ立ったし…雑談しちゃってもいいッスよねェ〜?

もし次回ジョジョロワがあるとしたら、時代縛りしない?
複数の部に跨って登場しているキャラは、まだ出ていない部の枠から出場する事とかどう?
ジョセフは1stで2部、2ndで3部だったので、3rdがあったら4部の時代から参戦する。
後は承太郎とDIO(回想中だが)が6部、康一が5部、エリナとスピードワゴンが2部とか。

問題はリサリサが赤子になってしまう事と、1st枠が大いに余る事だが。

378 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 00:45:39 ID:JKoAEn20
実はスト様は連続で2部から出演している

エリナやSPWが2部から出るなら1部からペイジ・ジョーンズ・プラント・ボーンナムが
出られるじゃないですかー! やったー!

379 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 01:51:10 ID:VkwLQk6Q
>>378
その発想はなかった

ランダム配置の筈なのにセットで出てきてガオンされる様子しか思い浮かばない。

380 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 02:00:44 ID:uoFOYpLS
個人的、未出で出てほしいキャラ
ポコ、トンペティ、家出少女(名無しは厳しいか?)、呪いのデーボ、ポルポ、ペリーコロ、七部メインキャラ勢

あと、旧ジャンプノベルのキャラはともかく、The Bookのキャラあたりはそろそろ解禁して欲しい
蓮見琢馬とか双葉千帆とか書いてみたい

6部の承りもいいが、時を止められない3部中盤以前の承太郎もいいな

381 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 02:26:46 ID:aab62Me/
琢磨は個人的にすごい書きたい。
The Bookだと、メモリーオブジェットはあまりにもロワ向きじゃないからあれかもだけど

七部もウェカピポとマジェントがすごく書いてみたいなあ。

ペイジ・ジョーンズ・プラント・ボーンナムは誰得レベルww
でもジョジョロワ民なら参戦には全く問題ないんだろうな……w
もちろん自分も一向に構わんがね

382 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 07:38:55 ID:sY4i/2/K
次回は七部完全解禁になりそうだからキャラ増えるだろうなぁ

383 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 14:21:05 ID:VkwLQk6Q
>>380
ポルポは動けないから(ryみたいな話があったけど、参加させるべきなのかね?

ウェカピポって首輪の爆発も防げるんだよな、理論上…
てことは最終的に考えるのをやめ(ry

仮に大統領が出るとして、大統領のD4Cで行ける並行世界はロワ世界なのか…?
死者を復活させたりできるキャラだし、ニュー神父同様に出場禁止が妥当かな?

384 :創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 21:10:59 ID:uoFOYpLS
>>383
ポルポだが、部屋の隅から冷蔵庫まで移動することはできた=まったく動けないわけではない
最低限、放送を聞いてから2時間以内に禁止エリアから脱出することができれば参加してもいいんじゃないかな?
ブラック・サバスもあるし、ジョジョロワの書き手なら十分捌ききれるキャラだと思う

大統領も、「基本世界ですでに死んでいる人間を連れてくることができない」の能力制限があれば余裕
せっかく7部の目玉でもある大統領を出場禁止にするのはあまりにももったいないと思うぜ


385 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 04:00:18 ID:mDdGQ83W
大統領に付け加えるなら別の平行世界は禁止エリアと同等って所じゃない?
少しの間なら平行世界に避難できるけど長くいると首輪が爆発する的な
まぁ、これにすると大統領は誰かと戦う場合『挟めば勝ち』状態になっちゃうんだけどね…

386 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 11:28:09 ID:LdnsFRd2
他ロワに先越されたけどデッドマンズキラとか
あとフリゲーから不思議なダンジョンのディアボロとか
七人目のスタンド使いからオリジナルのスタンド使い達は
参戦出来るのだろうか?

387 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 11:46:15 ID:+3KcQqpT
不思議なダンジョンは二次創作だからぶっちゃけアウトだろうけど
色々なDiscを使えるのはいいよなぁ…大冒険やってない筆者にかける負担がおおきいからダメだが
今回参戦しているディアボロは事実上、大冒険のディアボロなんだよね

388 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 16:30:06 ID:dW3mqBM5
>>385
実際挟めば勝ちってのはほぼ原作どおりなんだけどね

>>386
フリゲー要素は流石にダメだろ
そんなのOKにするくらいなら公式の旧ジャンプノベルやバオーや太臓を参戦させた方がマシ

>>387
『大冒険のディアボロ』が、事実上今回参戦しているディアボロと同じなだけ
あくまで大前提は原作のディアボロが基準です

389 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 22:39:25 ID:9pPAxvK+
最近になって2ndやってるの知ったw
1stのストーリー好きだったが短かったから今回ボリューム凄くて読むの楽しいな
承太郎と仗助の活躍もうちょい見たかったが2はジョルノが出番的な意味でも頑張ってるし
ディオやジョナサンのW父親との物語があるのかと合わせてどうなるのか期待したいなぁ

390 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 23:12:21 ID:6b7Hb/hr
ようこそ……ジョジョロワ2ndの世界へ……

391 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 23:53:11 ID:pRQZWQiG
新しい人が来たと思うとテンションあがるわ

392 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 23:53:58 ID:pRQZWQiG
t

393 :創る名無しに見る名無し:2011/01/15(土) 23:54:41 ID:pRQZWQiG
おお書き込めてた。一瞬固まってさ
スタンド攻撃だと思っとく

394 :創る名無しに見る名無し:2011/01/16(日) 00:02:12 ID:wHXxfD4N
7部で出られなさそうなのはアクセルと11人の男ぐらいか?
後ぽルポはブラックサバスを自分の意思で出せるかわかんないのはつらいかもしれん

395 :創る名無しに見る名無し:2011/01/16(日) 00:03:34 ID:KuwLc6rR
>>389
自分勝手な予想だけどジョルノはそろそろ「歴代ジョジョいじめ」のターゲットに
なるんじゃないかと思ってる

・荒木にDIOの息子だとバラされたせいで大人数対主催グループが出来そうだったのに分裂
・上記の件を励ましてくれた祖父が(おそらく)父親のせいで死んだと知る

どちらも読んでいて良い意味で鬱になる話だったが、今も予約入ってるしこれからどうなることやら

母によるネグレクトと義父による虐待で家庭環境は良いとは言えなかったが
ギャングに出会い黄金の精神を心に宿したジョルノ
ロワでは登場話でディオを助けたり、ジョージに出会ったり、原作では希薄だった家族との触れ合いが描かれている
三行状態表にもあったけど「弱点もまた血統ゆえに」ってことなるんだろうか

ごちゃごちゃ書いたけど、投下……楽しみに待ってます……

396 :創る名無しに見る名無し:2011/01/16(日) 01:16:39 ID:7/j/f0Ir
ジョルノいじめと聞いて、アバッキオがお茶を用意するそうです

397 :創る名無しに見る名無し:2011/01/16(日) 01:39:28 ID:lt+e2k6c
新読み手さんチャオ!
支援や感想をレスしてくれるだけで書き手は狂い悶えるのだ喜びでなッ!
そのまま書き手になってくれたりするともっとうれしい か も?

ジョルノが虐められるプロットなら無いことも無い
が、これが使えるかどうかは今の予約がどうなるかによりますねw

398 :創る名無しに見る名無し:2011/01/16(日) 07:12:24 ID:8RdD/4Gv
歴代ジョジョでポジティブに行動してるのがジョルノくらいだし
このまま活躍してほしいけど…い、いじめ方向に行ってしまうの怖いなw
ジョナサンも帰ってきてほしいがそこはブチャラティ達に期待になるか
幹部の辛いところだな

>>396
アバティストレートは勘弁してやってください

399 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:50:43 ID:UQhlaj6i



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ぃヘ          ∨ー '´      `ヽニ--‐,.-<ハ
ヘ ヘ         |          /三. ミ/,.ヘ | ヽ           いいかペッシ『埋め立てる』…そんな言葉は使う必要がねーんだ。
、ヘ ヘ          |、        _,. ⌒ヽノ )ソ |              
ぃヘヘヘヽ        ヽミヽ、  __r∠ニ,.     /
``    `ヽ、     マ互)  └^‐'′    |`´             なぜならオレやオレたちの仲間は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
     /´`ヽ`ヽ, r::::ヘ |          /   ,.-::
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     ヽ、__)  u  l、::::::::ヽ、__,/`ヽ、:::ヽ:::::::::::;
         u    r〈::;-/ `ヽ      7へ::/
             ⌒) /  ハ−::7  /                だから使った事がねェーッ!
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400 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:52:01 ID:UQhlaj6i




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 ./    ./"゛ : : :         i′         /          / ,!
./     .,'              !         : "          i':-,゙´  /             『埋め立てた』なら使ってもいいッ!
     ′             !                   |” '/゙''゙ヽ
     l     i           ,'                   l,へ
     `     .l          │               、__,,,,_、    .l
./゛           ',.-、                    ゙'-、 .´.__._,,,./
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、            /    \               `''ー.,゙゙'‐.,゙‐''゙‐'゙
:\,       .',  、     ヽ           `'-..,_   `゛ .,!'´
::.::.: \      .|  .ヽ、  : ヽ             : `''-... ノ
:::.::.   \   /     `'-、:: : :::ヽ.       : ::.::./
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     .,..‐'', /: .;:゙''、.    : ;:;:;:.フ'-..ヽ   ._,, '"
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401 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:53:32 ID:gq4TjxTZ
       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「埋めちゃってもいいさ」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ


402 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:54:20 ID:gq4TjxTZ
                      _
                   /-‐-\
                    ノ ,=u=、ヽ、        __人__人__人__
        /~ト=.   //      \\      )         (
       /ヽ_ノノ三  〈 ,/ o二〔咒〕二o `、 〉   )  場 埋  (
      , く   _/三.__   \_ト、_______,.イ_/    )   合 め   (
    /   ./三./ ノ }三 ハ|テェェv:レェェラレ.、      )   か と   (
    /、__ /=/`ー' /三..ヾ〈   「|_|〉   〉ソ     )   | る   (
   /   ,/丶 /三三三. |  l'ニミ!  |'l      )    ッ    (
   /  /ヽ、 /三三三. - .」\`==-'/i|       )       (
  /,/ _,∠ -┬―‐┬┬‐=="'' ‐<..,,_|_|"'''‐-、  ⌒Y⌒Y⌒Y⌒
,.-:「  ;:'''       !   :! L..ノノ三- 、_  ハ.  iヘヽ、
 /|:! ,!   ::::-=二王 ̄三 ̄ ̄        `'′入oヽ ´‐\
 |:|:! | i'''"""    !  ̄ !丁 ヽ三.  ト、 ̄o ̄]ニヽ ヽ'''""ヽ
 || ! ! ,|   ,;:::-┬―――三'三.   |  ̄ ̄ lニヽoヽ__,,,...`、
 || !| |    ::::  l三|=  |三.      |     ノ_,ヽ. ヽ_,,,.|
 ヽ|l,l|l___;;;;;__ノ三!=  /三三      ̄ ̄_,,.. -ヽ. ヽ
    ̄ ̄::::三三/= /三三三    """ ̄


403 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:54:51 ID:UQhlaj6i
                こ
                の
                埋
           う    め
        ふ  し    立
     お  り  ろ    て
     ま  向   を    を
 /l⌒l え  い        見
 l::: ̄l ら  た        て
 |:::  | は 時


404 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:56:10 ID:gq4TjxTZ
   _      }            ┐ !   次  お
  〃   `ヽ  |   こ  わ 埋 な  l.   ス   ま
  !  と   l |    の   か め ん  !  セレ  え
 j        ! |    野   っ .立 .で   !  リ で  の
 !   い   | |   郎  た て       ! フ の
 !       l ヽ.  !   ん の     ゝ は
 !   う    l } └    だ こ     `ー' ̄)_,. 、_
 l        ヽ|        と         j j
  ヽ  !    lヽ                ノ/1/イ
   !       j }                  //〃 〃
   `ー- 、 r-'`  7ヽ_   __    _, -- 彡ノ / /!
      ヽ!  、_j 彡イ 彡ィ  `F Tヽトヘく三ィ7_, /1
          rY彡彡<彡ノ ノリ リ彳!ヽヽゝ' > ノィ
          ヽ-彡`‐, 、` くノノハ リ リゝ'∠ヽ l  ヽ
           ヽ- 斤i ィ'F_テ、ヽ、_ク_ィ_ケゝl jハll!ヽ!
            Yl ト|ハ ヽ- ',ィ  |ヽ、ー´ !リ {ノ
           トヽヽ.ヘ |  彡'  ; | 三  |jノヽ_ ,
          ト ミ ヘ ヽゝ-、    !,ー'j −  | | (_,´
            ヽヽレ'´   }   _, _==_‐ィ   l !  ト
_ ..  -┬--,_ _ ノ´`´ト、_  ノ、  ´二_-,   /  | リ
 ィニ /  / ヽ、ヽ 、ー_ rィ1  l\   彡   / !  |_´
 彡/r ーノ、    ヽ- ' | {  ヽ ヽ、_  ィ   !  |ハ
  // ヽ  ヽ    li,  ィ`ヽ、, _ヽ 三三    l  jハ、


405 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:56:57 ID:gq4TjxTZ
>>404(自分)

               /
  イ   す  だ   i'゙
              ~i~‐ッ_, r‐‐' ' ‐ 、
   l   る  れ    フ;,;,;,;,;,;,;i, ,,,,,,,,,,,~゙''‐、 .rッ- rツ
              i';;;;;;;ツ,;r‐,'''''''''''''''''''''''''''''゙''゙/
  だ   か  が  /;;;;;/ノ, ノ /.,i ,. l ̄l ト、 ト、
             l;;;;;;;;;r ''゙ノ  ' ノiノl .l N i i, .l 'i,
  !   !     .l~''i,  /' i'゙~゙''''゙´ノノ   'i l.l  '
             l l;;;i .'゙  r━-、  r━ツ ゙
           /ヽrニ         i, i
‐、 ,‐、   ,,,,,,,, i''゙ ,;r''゙ ̄l         -' .l
  ~ , , ,>‐-゙  ゙''゙r''゙   i'l,    i ''‐‐-‐ (r--- , _
゙ ̄~゙'‐-、    l~´    .l  ~\  '‐、二二t゙'‐‐--、 .l
,    ,;;;;\   i     l;;,,,i  ~''‐、  ‐‐ ,i' ,r‐‐''゙  l
,r-''''''''',;;;;;;;;\  ゙‐、   ゙゙ ,,,,r''゙~~ i ~'' - ‐'  .(' ' ゚ ~  l


406 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:57:30 ID:UQhlaj6i
>>403

        /´〉,、     | ̄|rヘ
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
  /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
  '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>
                                `ー-、__,|     ''


407 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:58:51 ID:UQhlaj6i
  __________,,,iiiiii,,,      .゙゙゙゙!llllii,
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     ,,llllll,,,,,,,,,iiii,,, llllll   .,,,iiii,,、   .liii,,,,,,,,,,,lllllilllli,,,iiill!!゙゙゙ ̄"゙゙!lllli,、
    ,illlll゙゙゙゙゙゙゙lllllll!! llllll  ,,,iiilll!!!!!″   ゙゙!!!!!!゙゙゙llllllllill!!゙°     .゙llllli、
   .,llllll゙   .illlll゙ .lllllliiiil!!!゙゙′            ,illllll!!゙゜        lllllli、
  .,,illll゙!!lliiii,,,,lllll!′.llllll゙″              ,,illllllll          llllll
 .,iil!l゙′ '゙llllllllll!゙  llllll|              ,iilll!゙゚llll|     ,,,,,,,,,  .llllll
 .゙°   .,,illllll°  .llllll      ,,ii    ,,,illllll゙ lllll   .,iiil!l゙゙゙゙゙゙!!llilllllll,_
    .,,,iillll!゙`   .llllll      llll   .lllllll゙゙!lii,,lllll   '!lli,,__,,,,iilll!!lllllliii,
  .,,,,iilll!!゙°    .lllllliiiiiiiiiiiiiiiiiiilllllii   '゙!!° ゙!llllllll    ゙゙゙゙゙!!!!゙゙゙゙゙’ ゙゙!!!l
  ll!!゙゙゙゜          ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙°      ゙!!!゙

408 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 22:59:30 ID:gq4TjxTZ
          _   _
      ┌lニ「└冂 7^>┐
     ,rくV冂ー厂Y^ト/´/7
     )‐二ニ=-=二三ニ二(
      YこjW{;二=-‐<二〈   占い師の私をさしおいて
        ヒp}  トニpブ ̄`!ニヽ
      |フ|  | ド、~  } 'Fリ   埋め立てするなど 10年早い
.      |゙=_'_'゙  ヽ / rく
       |〈.-―ヽ  V /´交ヽ
.       |`⌒`  ,//ヽ立ソ^ヽ
       /'ァ---‐''" /.交ヽ/  ,ハー、
      r「//__ /'交ヾ立ソ  /  /  \
   _,ィイ//4O) ヾ立ゾ/ / ノ     ̄`ー、_
  // / |卩 lフノ-‐''"  '" /       /   \
     / />rr<‐'´__,,.. ‐'''"
      |〃ル厂フ


409 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:00:24 ID:UQhlaj6i
      __∧/|/  ヽ//
      \   埋  勝 ∠、
        >  立   っ   >
      <   て  た    ゝ
       .>  完  ッ    二=-
       .. ̄>.!  !   >
        .. ∧/〜\  /\|     ./
     ..,,_,_/,|.~|    \/   ,,___,.  /
 . ,__,-/;(|,__,)'~)~" .,_______、  /,,  "'/ ;i
,/,,,, |;;;;(,:::_,-~",)..'~,-'''''''' ~~'-/.;;",,,,  / :;;ii
(  ""\;;;(  ;;-~,')"   .   ;i;'''" "/ .;:;;iii
ヾ;;;;;;:""\ヾ,_;,-~;;;;;      .;i   /  ;:;;iii
  ヾ,,___;;;;;二"ノ;;;;;;;;;;;;,,,,,,   ,,,,,;;,,/ i::::;;;iii/
   ~''-,____,-'~'-,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,_,-;;/,,,  ;;;ii/
                  /;; ''''';;;;i/
                 /i;;,,,:::::::;;;/


410 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:01:01 ID:gq4TjxTZ
       _,,,...-==ニ==-、          オレ… 変な「夢」を見たぜ…
     巛ミ==''''"i-―''''~~ヽ
        ! へ、l  く――===.|         『どこへ埋めるんだ億秦』…って…
      ! l__   ヽニr 、―.|         兄貴が オレに聞くんだ
     〈 .p_ノ  /   |ぅl―-|         オレは『第十部を埋めに行くよ』って言った…
     /  \ |   !イ‐-、.レヘ       そしたら兄貴は…
     `‐、    `|、  /  ,,.-┴、        『おまえが埋めろ』って言うんだよ…
       'っ     / /:::::::::::::\
       !、__,∠_ /::::::::::::::::::::;;;::ヽ_     オレはちょっと考えてよォー
            /$,,..-―'''''~~::::::::::::\
            〉''~::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  『piza2に行く』って答えたら
          /  ̄ ̄ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::l、 目が醒めたんだ……


411 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:02:16 ID:UQhlaj6i
     /::::::::::ヽ::::ヽ:::ヽ:::::ヽ::ヽヽヽ
    /|::::::::/⌒)::::::ヽヽヽヽヽ::::ヽヽヽ
   ./ /::::::(⌒//:::ヽヽヽヽヽヽ::::ヽ::::ヽ`/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   ||/:::ヽ:::`-' '::、/入ヽヽヽヽ::::ヽヽ/.          .|
   |:::; ::  ヽ;//'/ヽ,| ::ヽヽヽ:ヽヽ/   ⌒ デ ア   .|
   |::: ::::ヽ/ :/|(`'ノ ::. ヽヽヽヽ/.    さ ル リ   .|
   ',::::: ヽ:'  | ::::~:: :::  :::ヽヽヽ|    よ チ |   |
.   ;;;;:::ヽ/:::: __ ::  : :   ヽ/.    な ! ヴ   .|
    ヽ,‐,.v;',-,| ,,,,,,,,,、     .'---┐   ら   ェ   .|
.    /7''' .);'''ソ :  ,-i ,,,,,,,,   ; ;;;;;|   だ       .|
.   / /:: l `~:::: ‐--┘;‐'' .)    l;;;\.  、_,       .|
  /‐,'./ .,| .`ヽヽ::::::::'-'、/:'    |;;;;;;;;;\        /
 /:::/,,/` l    ヽヽ、::''''::::    ノ '''''''''''''' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


412 :創る名無しに見る名無し:2011/01/19(水) 23:02:29 ID:gq4TjxTZ
                /l",>‐- 、__ _
              (二匸)つ() /ヽヽヽ"\
               l_//,>()〈.〇〉 ! レヽ \
               (___l/レ''().ヽ/ l/〇〉 ∧
                 (つ/()  / ヽ/ ∧|
                  ⊂イー'"      lノ| o
             o     |l  \       __/
                 U    >ー=ニニイ  〇
    /ヽ    __            |     _,|
    |ノ |   /ノl _____,,-''"   _,ノ/|
    |~'l  /-,/< -、   `ヽ、/ ̄`ヽ、  \V|
  /,>ト''ヽ/-,/~'/、.人    (\     ヽ. /|ト、
 ト く.ノ〇.〇//、/  \    ) ヽ<(_)>V U |l
  ! ./ __  .〇/〜 、  \ (  ∧    |   ||
  Vく(_)\ 〇匸匸)つ \. V/l:::lく(),>/(  /|
  !/ヽ、__/ ,く、__|___,ノ"::l_ハl  / /,"〉 し
  人__,/∠ヽ\ ⊂⊃ |\ ___l / / /ス
  `ー'''~イ |、__) l  \_〈  L._/^''}l// /l" |
  (_入  |  \/  ∧~''- ,,_|{__ジ´/ / ヽイ
   ー` ヽ⌒`ヽ、. 〈O〉 _/,ニニニ"" `ー'|
    、__ノ |    l  V/ /`ヽ /   ,-‐'|
     r‐'|    /―' ̄l 八_,ノ/  /  |
    ,/ / _/__.人 'ー‐''''" __//⌒ト〉
 (`ー'' _/''''" l:::::::::  ヽ.  ̄ ̄ ̄ノ 八_ノ/l
  |∪|      \::::: 〃 ̄|| ̄ ̄{ /___/ | 〇
  ヽ ヽ      )  《,  {{   〃 o }}  ヽ、__, -‐'ニつ
   ヽ\    / /\ヾ、 `、  }  (;;;__    < ̄o
     \    | |__)l lト、 し- \_,リ   ̄'''、_ \ 〇
    O  ヽ、  \ヽ,/ `ヽ⊃‐-っ __`ー- 、,__>ヽ
        `==.、 ̄ ̄`''''''''" ̄`く:::::::::: ̄::::::\   |
           `<二)        \)く〇>::::| l  |
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            | l     ∩  〇 / //::::    :::::;l .リ
           ヽヽ    | |   /,ノ/::::ソ   :::::/ /   ,.っ
            ) \_ノ し´ / //\  ::::::/./∩ 〃
        ⊂ー'~ "  "〃_ノ__/ |〇 l ::::::/ /ノ///
        _つ   _,.-‐'' ̄/   / \/ノ::::/ //~ン′〇
         ̄'')  ノ  :::/::  /フ   ::://  (
         S/  ::::/:::::::   |"  ::/ /vー、ヽヽ
         ,,,ィ===彡ィ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     、、、ィ彡///ノノノ三彡,     |いい気になってるジョジョロワ第十部のスレッドは……
    ヾ》l||彡'"  "ヾ彡三三    |
      | ::  ,,,:::"  彡ニニ三   | オレのスタンドをのみ込んで
     / ;;;;;:'''" /ヽ '彡イヽニ  < くたばりやがれッ!
     L,,_""_,イ‐。ラ    タノニ、  \_____________
  _  ヽ|,,, :::''" ̄"" イ  l::  \
'' ̄\\ |_,"    :::!  |:   \        /
    ヽ l、 \-=''ヽ   .:/    ヽ=―-< ̄ヽ
  ヽ  \\ t一''  :::/     \\::\ヽ\  `ー'
   |    |ヽ!、__,,..-'',,,..=''''ヽ    l    ||; \
         l; .;l-,,""    \   |_,,,ノ |; ;|
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