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ドラゴンクエスト・バトルロワイアル Lv10

614 :死を賭して5/18 ◆I/xY3somzM :2010/11/24(水) 19:08:46 ID:3gY/d/mr0
「……!!」

かつての恐怖と今の状況に戦慄するマリアを迎えたのは、拍手だった。
徐々に影の輪郭が顕になり、青白い手、そして顔も灯りの下へ照らされる。

「優勝……おめでとう」
「……!!」

紛れもなく、故郷を、民を、父を奪った憎き仇。
そして仲間までもを奪った宿敵の顔が、そこにあった。


─父に、避難すべく地下へと手を引かれた。
その途中、幾度となく届く断末魔に耳を塞ぎたくなる。
端正な顔は涙でぐちゃぐちゃになった。
大事に育てていた花は焼け、美しく澄んだ池は赤く、そしてどす黒く濁る。

(よいか……マリア、お前はここに隠れているのだっ!)

優しかった父がこんな顔をしたのは、最初で最後だった。
こわばる手に、両肩を掴まれる。

(わしの身に何が起こっても、嘆くでないぞ)
(お、お父さま……!!)

マリアは、群がる魔物に必死に抗う父の背を見ていた。
見ていることしか、できなかった。
魔法使いとして持ち始めた杖も、今では震える身体を支える役にしか立たない。
無力さに、そして傷だらけの父の姿に、涙が溢れた。

(……!!)

そして霞む視界の中に、浮かんだ。
冷たい、青白い笑みが。
ハッとなって声をあげる暇も無く、父の身体は炎に包まれていた。

(ぎょえーーーっっ!!)
(お、お父さまーーーっっ!!)

─それから先の記憶は、あまり無い。
気がついたころには、自分は単なる薄汚れた犬となっていた。
腐った肉を食らい、泥水を啜り。
生き延びることだけで、必死だった。
仲間に救われる、その日まで。
あの日、あの時からの悔やむべき悲劇が、マリアの胸を幾度となく貫く。
目の前の顔は、マリアの全てを確かに刺激した。

(……でも)

憎き大神官の歩みは止まらない。
既に、互いの術者としての間合いに、既に入っている。
しかしマリアの頭に浮かんでいたのは、ひとつの疑念だった。

(奴は……自らを破壊神の贄としたはず……)

両の足は、ついている。
姿は実体影もそこに。
大神官ハーゴンは、そこに在る。
─しかし記憶が語る確たる死人、ならば今この光景、これは果たして現か?

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