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【とらドラ!】大河×竜児【ゴロゴロ妄想】Vol24

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 06:48:58.39 ID:9BDhQ+ix0
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
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  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
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  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Y: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
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  ,'            |            /. : : : :|:///∧ : ∨///: : : : : : : : : . \

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
  【とらドラ!】大河×竜児【フニャフニャ妄想】Vol23
  http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1292507029/


2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 06:50:01.58 ID:9BDhQ+ix0
過去スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1231122796/
【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/
【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/
【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/
【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1238865504/
【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240317270/
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1241386432/
【とらドラ!】大河×竜児【アツアツ妄想】Vol8
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1242374673/
【とらドラ!】大河×竜児【フワフワ妄想】Vol9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1243354181/
【とらドラ!】大河×竜児【クネクネ妄想】Vol10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244280781/
【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol11
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1245146459/
【とらドラ!】大河×竜児【モフモフ妄想】Vol12
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1246704738/
【とらドラ!】大河×竜児【ナツナツ妄想】Vol13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1248388647/
【とらドラ!】大河×竜児【ユラユラ妄想】Vol14
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1249487623/
【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1251296860/
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol16
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253001418/
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/
【とらドラ!】大河×竜児【モジモジ妄想】Vol18
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1258620217/
【とらドラ!】大河×竜児【ニコニコ妄想】Vol19
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1262338222/
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol20
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1268576015/
【とらドラ!】大河×竜児【キラキラ妄想】Vol21
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1278256303/
【とらドラ!】大河×竜児【ウトウト妄想】vol.22
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1283692777/
  【とらドラ!】大河×竜児【フニャフニャ妄想】Vol23
  http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1292507029/


3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 06:51:04.87 ID:9BDhQ+ix0
【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは新避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

★関連スレ
竹宮ゆゆこ109
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1287872857/
【竹宮ゆゆこ】とらドラ4!【絶叫】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1277527895/
【フラゲ】とらドラ!総合ネタバレスレ 3版目
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1236595750/
【間島淳司】とらドラジオ!【喜多村英梨】
http://atlanta.2ch.net/test/read.cgi/netradio/1229772543/
【PSP】とらドラP!part10【ポータブル】
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1254273765/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 33皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285397615/

★キャラスレ
【とらドラ!】キャラ総合スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222905488/
とらドラ! 手乗りタイガー255匹目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1291557692/
【とらドラ】逢坂大河は手乗りタイガー可愛い 8匹目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1280756770/
【とらドラ!】櫛枝実乃梨はホームランかわいい13
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1279588944/
【とらドラ!】川嶋亜美はモデルかわいい Part.10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1265360375/
【とらドラ!】竜児×亜美【私もいれてよ】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1273070058/
■とらドラ! 総合スレッド Part.1■
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1215959570/


4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 06:51:55.78 ID:9BDhQ+ix0
まとめサイトより

Q、1話の机が吹っ飛ぶシーンどういうこと?超能力?
A、ちがいます。ラブレターを鞄に入れてたら人が来たので、ロッカー隠れようとして凄い勢いで移動したんです。

Q、とらドラ!ってどんな作品なの?
A、とらドラ!は高校生特有の『思春期』という限られたひとときの中、
 友達と過ごしながら楽しいと感じたり、ある時は落ち込んだり、
 またある時は恋に悩んだりしながら、毎日を過ごしていくという作品です。
 (雑誌インタビューより)

Q、何クールですか?
A、2クール25話(DVD8巻構成)です。

Q、会長とあーみんの区別がつきません。
A、川嶋亜美(あーみん・ばかちー):前髪が朝倉風、ややたれ目、胸がおおきい、モデル
  http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/toradora/images/chara/ami.gif
  狩野すみれ(会長・兄貴):前髪ストレート、ややつり目
  http://www1.atwiki.jp/toradora?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=up49532.jpg

【一目でわかるとらドラ!一話】
@猛獣が襲い掛かってきた
Aお腹がすいていたのでご飯をあげた
B「気に入った。これからも飯つくってくれ、毛づくろいとかも頼むわ」
C襲われそうだし、ほっといたら死にそうなので、しぶしぶ飼うことに
Dご飯あげたら、ちょっと尻尾ふった
Eいろいろあって付き合うことになっておしまい ←今ここ

実際は竜児を犬扱いしている大河こそが飼われている側っていうのが面白い

とらドラ! まとめwiki
http://www1.atwiki.jp/toradora/
とらドラ! AA保管庫(仮)
http://monabase.net/toradora


5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 06:52:55.15 ID:9BDhQ+ix0
この板の設定

1レスあたり最大4096バイトで改行は60行まで可能
半角で4096文字・全角で2048文字です

Samba24規制は40秒です
一度書き込んだら40秒は書き込めません

バイバイさるさん規制は40秒以上開けて投稿しても
スレッドに同時に書き込む人数が少ないと発動します
ROMってる人は割り込みを遠慮せずむしろ支援する方向で応援よろしくお願いします

●を持っていると上記の規制は無効化されます
ただし調子に乗ってSamba24規制無視して連投しているとバーボンハウスに飛ばされます
たっぷり二時間は2ちゃんねる自体にアクセス出来なくなるので注意

●売り場
http://2ch.tora3.net/

年間33$(だいたい3500円〜4200円前後 円高だと安く買えます)
登録メルアドはプロバイダのメールアカウントのみ フリーメールや携帯メールは使用不可

携帯もってんならこの方法で簡単なんじゃないか?

1:http://get.ula.cc/pc/ こっから携帯で新規口座作って12000狐PをGET
2:http://bainin.ula.cc/sale/maru/ ここから●二週間お試し券を買う
3:http://maru14.ula.cc/ ここでお試し券を交換
4:完了メールきたら専ブラのログイン設定にIDとパスいれる
5:今までと同じように書き込める

2週間過ぎたらまた同じ手順やればいいだけ。数回分あるし一月半規制続いても安心
iPhoneだったりしたらクレクレするしかないんだろうけどさ

お試し●の交換・利用について
1つの●をPC+携帯で共有可
同じメアドで試用期間内に重複登録はできない。14日経過後、期限切れメールが届いてからであれば、同じメアドで交

換可
同一アカウントから期間が重複した交換をするには、メアドを複数用意すれば可能
ちょっと間使えなくてもいいという人は期限切れのメールがきてから再申請してください

栄光のニダーラン @ wiki
http://www36.atwiki.jp/nida-run/pages/1.html


6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 07:57:12.79 ID:ZtQx/ynx0
>>1

乙です!

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 09:22:16.42 ID:IjVOSVta0
>>1
乙だぜ!

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 12:35:22.78 ID:weBSUYjmO
>>1乙!
家に来てヤス画集見ていいぞ!

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 19:01:30.73 ID:KdTa1BB+0

【タイトル】逢坂大河のLyrics・夏

新作投下します。
アニメ8話と9話の間ぐらいのオーバーラン状態。
人によっては微エロかと思います。28KB

↓10レス程度いただきます。

10 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:02:50.80 ID:KdTa1BB+0

夏休み初日の朝。

誰も触るんじゃない。泣きながら怒鳴ってしまった。
言った言葉に嘘はない。その結果どんなに冷やかされようと後悔もない。なにひとつ偽りなく、
本当の気持ちで竜児は私だけのものと思う。

大きくて優しくて人の気持ちに敏感で面倒見が良くて面倒を見る能力抜群のかっこいい竜児が
私に言ったんだから。俺は竜だ、竜は虎の傍らに立つんだ。って。
竜児がそんなことを言ったのは私しかいない。だから、竜児の優しさが私以外の誰かにもたら
されるなんてあり得ない事が存在して良いわけがない。絶対にない。……ないのよ。

昨夜から一睡もせずごろごろごろごろしながらここまで考えて何十回目かのループにまた入り
込む。矛盾はなかった。けれどもそれを主張できるかとなると全然違う。言えそうな相手を誰
ひとり――当の竜児に対しては無論のこと――思いつけない。こんなのまるで告白だ。

自然に新学期の出会いを経てここに至ったのならそれもいい。
私はそんなことでグズグズしない。ひと晩も要しない。1分であんたが好きだと伝えてビクビ
クしながらも最高の笑顔で答えを待つ。……かも知れない。たぶん。……お……おそらく。
それが出来ないのは。
竜児はみのりんに恋して、私は北村くんに恋して、それを偶然知ってしまって。相身互いで協
力すると始めた関係だから。もっとも、偶然と言うのはうそで。私が勘違いから北村くんへの
ラブレターを竜児の鞄に入れてしまったからだけど。

ベットの上でひざを抱えて丸まってるとなんか熱くなる。たぶん
暑いんでしょうよ、外は。


リモコンで設定温度一杯に下げてみた。熱いのはきっと自分の体温がもわっと上がっているか
らだろう。ちびで痩せっぽちなのにどうなってるのか。私の体温はぎゅっと上がる事がよくあ
る。エアコンはガンガンに効いてるというのに暑いとか、それしか説明のしようがない。


あのあと驚いたことにとんでもない変化が訪れた。「私のだぁ」を宣言してから、私は隣家で
以前のように過ごせなくなってしまった。

からかいはしないけど妙に竜児は機嫌がいい。文句をいう筋合いもないけど、そんなのを見る
たび気になってイライラしてしまう。そのうち言う事やる事いちいちそこを遠回しに突っつい
てくるように思えてきて、気が休まらない。ぜんぜん居心地よくない。

夜遅くまでウダウダゴロゴロして、たまぁ〜に竜児にじゃれついて、作ってくれるご飯を堪能
して、お腹いっぱいになったらナマコのようにぐにゃっと寝落ちする。
大切な文化的生活が「私のだぁ」いっぱつでどこかへ飛んでった。なんてこと!

しばらく距離をとって頭冷やさなくちゃ遺憾だわとご飯を断ったら、今度は竜児が美味しいお
重を提げてこっちへ通ってくるようになった。
だぁ〜っ!私の気も知らないでウロチョロすんじゃないっ!というのもあるにはあったけど、
なんだか申し訳ないなと。こんな私でもちょっとは思うのよ。態度は逆でもね。

期末試験の準備も手伝ってくれた。「どうせなにもやってないんだろ?」とまで言われるとは
心外だったけど。その通りだけど。厚意はありがたく受け取った。
竜児がこっちに通って来てくれて、苦手かつ全く準備してなかった物理と数学のヤマ教えても
らって無事に試験をクリアできたのは事実。
お礼に得意の英語と古文を世話してやるわと提案したけど、教える事はなんにもなかった。竜
児って家事の他にも満遍なくデキるんだよね。ていうか、プールびらきからこっち私はそれど
ころじゃなかったのにいつ勉強してたんだろう?

11 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:04:11.18 ID:KdTa1BB+0

試験が終わるまではなんとか集中できたんだけど、終わって夏休みを待つだけになったらまた
意識しはじめた。前より酷くなってて。おまけに竜児と一緒にいる時間は増える一方でこのま
ま夏休みに入ったらさらに倍!そんなこと考えてると、いろいろな混乱をすっ飛ばしてとんで
もない事まで言い出しそうで。もう限界だった。
だから私は、バカチワワの別荘に行く旅行の日程を犬の主人然として打ち合わせた帰り道で竜
児に言ったんだ。
夏休み初日の明日から三日間は、親元に帰ってるから来なくていい、と。
つまりは嘘をついて引きこもり暮らしに突入したのだった。


パジャマのまま、大河は昼近くまでゴロ寝をした。
裏側には木刀が隠してある。春に竜児を襲撃した武器だけど、お前は女の子なんだからこんな
物騒なものを使うなとうるさいので隠してある。掃除中に見つかって勝手に処分されないよう
隠し場所も時々変えて。独り暮らしのか弱い女なんだから護身用のエモノくらい持つっての。

ともあれ、緊急避難で竜児が来るのを止める事はできたのだけど、実は困っていた。……ご飯
がないのであった。なにも面倒なだけじゃなくもっと切実な理由で。
帰省、と言ったんだから買い出しに出かけるわけにいかなかった。なにしろ留守ということに
なっている。真夏でもエアコンをあんまり使わない高須家は窓全開。コンビニ弁当なんか提げ
て出入りすると目撃される危険がある。そもそも休みだと竜児が外出する頃合いが読めず、バ
ッタリ会ってしまう可能性もそれなりに高い。なんとか備蓄食料で三日間をやり過ごす他にな
かった。

いいかげんお腹がすいたので大河はふらふらリビングに移動。冷蔵庫を開けてプリンと牛乳を
出して独り用のソファに腰掛け、1分で栄養補給を済ます。プリンとアイスと牛乳とジュース
しか入っていない備蓄状況が恨めしかった。竜児に頼った暮らしに慣れ切っているうちにこん
な有様。
ああ白いごはんをお腹いっぱい食べたい。ブタミソとかショウガ焼きとか角煮などがおかずな
らなお良い。フンッ!無い物ねだりは女子供の言うことよ。と、女であり尚且つ子供のくせに
図々しく断ずる。
この引きこもる三日間のうちになんとか自分の心理状況を旧に復さないと生活の危機。とかな
んとか思ってるうちにソファで居眠りを決め込んでしまう。血糖値が上がれば代謝のよさで体
温がもわっと上がる。上がれば眠くなる。……理にかなっていた。


目が覚めたらもう日没だった。あんまり惜しくはなかったが、夏休み初日を無駄に消費したわ
けだ。仕方ないから二度寝しようと寝室に戻ろうとして気が付いた。ここは竜児に対しては留
守宅なのだから、寝室の明かりを、いや、寝室を通してもれるリビングの明かりすら北側に漏
らすわけにいかない。

竜児は私をいつも気にかけてくれてる。不審だと思えば確かめに訪れる可能性が高い。なにし
ろいつでも来て良いと……ていうか世話しに来いと合鍵を渡してある。顔を合わせないで平静
を取り戻すためについた嘘なのに、つまらないドジで台無しになっては元も子もない。
そう考えれば夜間に寝室に出入りするのはまず不可能だろうと思う。うっかり寝室の灯りをつ
けるか、うっかりリビングが煌煌としたまま扉を開けてしまいそうだ。しかもそのまんま北側
の窓開けて竜児を呼んでしまうかもしれない。習慣だから。
寝室ってのは夜間にいるべき部屋なのになんて理不尽?

そうか!昼間眠って、夜起きていればいいのよ!

幸いにして今日一日がたまたま昼夜逆転だったおかげでそのリズムに移行するのは簡単。今夜
はリビングで起きていて夜明けになったら寝室に行って眠ればいい。
そう決めて、夕食がわりにジュースで糖分補給。元のソファに埋まってぼんやり考える。

12 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:05:21.75 ID:KdTa1BB+0

そもそも……私は北村くんに恋して。憧れて。告白した。いい友だちになれると言われたし、
私もそんな気がしてはいる。ん?なんか全部済んでる?
でも、恋しい気持ちはまだ確かにあるし、あきらめたくはない。
じゃあ、竜児が私ので誰にも渡したくないというのはどうなの?これも本当の気持ち。
それは竜児が私に仕える犬だから。公表した理由としてそうなってるし、竜児も否定はしてい
ない。……でも嘘。最初からわりと嘘。竜児もそんなの知っているはず。

りゅうじが気遣って、そういうバカみたいな言い訳に乗って私を助けてくれているだけなのよ。
ああなんて優しいのあいつ。こんなに態度わるい私に。ずっとそばにいてほしい。
えっ?なんだ今の。私なに言った?!
もしかして私、同時にふたりの男の子が好きになってる?……の?
……そんなのって遺憾ってやつだわ。ひどいわ。ママじゃないんだから。

大河の眉がきゅっと釣り上がり奥歯をぎりと噛む。
自分と父親を棄ててよそに男つくって出て行った母を思い出すといつもいつも不快になる。
パパと愛し合ったから私を産んだくせに、他所に好きな男見つけるなんて。
そんな汚らしい事は自分は絶対にしたくない。考えたくもない。なのに。
なんだろう?あのママの仔だからそうなるの?嫌だ。いやだいやだいやだ、そんなの。

でも、北村くんを思うと切なくなる。
でも、りゅうじを思うと熱くなる。

熱を冷まそうと、嫌悪を流そうとシャワーを浴びにいく。
のぼせた頭から水を浴びる。大きな鏡に映った自分を見てまた気落ちする。
かつて誰かに哀れと評された。こんな姿ではふたりを同時に好きとか思う以前に、最初から女
として見られてないのかも。竜児が自分ちでゴロゴロさせていたのも。水着を選ばせても、水
着でふたりきりになってそんなそぶりを見せなかったのも。
ちくしょう。
私はそんな竜児に偽乳パッドを作ってもらってすごく感謝した。今だって嬉しい。モノがモノ
でなければみのりんにもすごいでしょ!と自慢したいくらいに。
盛夏とはいえ水道水の温度で冷え切ってしまえば、あとで体温が上昇するのもまた理であった。
ほかほかしてきた大河は、お腹にワンプッシュ仕込んだ香りが立ってきたのに包まれ、リビン
グのソファで寝込んでしまう。

時折り眠りが浅くなって夢のように思い出した。
竜児のうちに入り浸り始めた当初も最近も、お招ばれというつもりだけはあったから、いつも
身綺麗にして通っていた。態度が図々しくて台無しだっただけだ。
いつだったかの夕食どき、あまりにお腹が減っていて台所に立つ竜児の周りをウロウロしなが
ら催促していたらなんかニヤついてこう言われたのだ。

「お菓子の匂いがするなあ」

お気に入りのコロンだった。バニラの甘い香りがほんのわずかに立つと少し元気づけられるの
が好きで、その頃はよく付けていた。

「まあね。景気づけってやつ?」

うまいことを言ったつもりか、と笑われて。そのあとで妙に気恥しくなった。
別に文句を言われたわけではなかったのに、なんとなくよそ行きの顔で入り浸るのは変なよう
な気がしたんだ。それで、食事しに訪れてるのに香りを付けてるのはマナー違反だったという
ことにしてゴロゴロタイムには付けないようになっていった。
あの頃は竜児にそういうふうに見られるのは恥ずかしかったのにね。

13 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:06:28.09 ID:KdTa1BB+0


はっと涎を垂らして目を覚ませばもう二日目の夜明けが来ていた。
しまった、起きているつもりの時間に眠ってしまった。どんだけ寝てるんだ私。充分睡眠がと
れたとみえて、もう眠れない。急に腹が減って冷蔵庫を開ける。う〜ん。プリンもアイスも今
日でなくなる。明日は水か紅茶だけで耐えるのか。むー。砂糖も切らしているし栄養どころか
カロリーも摂れない。もちろん買い物には出られない。
やる事もなく、敷いたラグの上でゴロゴロしていたら突然に市民プールでのやりとりがフラッ
シュバックする。

『まだその話をするの!?』

『お前、いったい何が気に入らねえんだよっ!?』

『……何がって?』
『あたしはっ他人が私の心の中を、勝手に想像して分かったような顔をする!
 それが嫌なのっ!むかつくのっ!何で分かってくれないのっ!?』

どん、と自分で胸を突いた衝撃を覚えている。
つかみ出して、目の前に見せてやりたかった。

『……分かってほしいのかほしくないのか、どっちなんだよ?』

『分かんないっ!』

『はあ!?』

『私がどう思ってるかなんて誰にも分かるはずないっ!だって……だって。
 ……自分だって知らないもん!』

竜児があんな企画に乗る気なんか、本当はこれっぽっちもなかった。私わかってる。
あいつは私がそんなのでイライラムカムカするって知って、どこかで喜んでいた。
私の気を引けたら嬉しいんだ。……なんて。そんなことを分かってしまったら、どんなに下ら
ないと思っていても無視なんかできるわけない。

それなのに。怒らせて、他を全然見えなくさせたくせに。
北村くんのためとか。世話するやつがいなくなるからとか。なんだこの期に及んで変な方向に
退きやがって。ちくしょうヘタレ。鈍感犬。思い出すとまだ涙出てくる……。

後は思考にならなかった。二週間ずっとループしたまま。大河はまたふて寝。
昼過ぎに起きて、最後のアイスを食べて、ノンカロリーのジュースを飲んで。
南向きの窓から見えた外に真っ白く立ち上がった入道雲と空の眩しいコントラスト。
ベランダの向こうに誰一人いない公園も。
こどもが初めて見るような気持ちで夏景色を眺める。見上げて、見下ろす。
引きこもりなんかやめたくなったけど。でもそれは一瞬。
また眠い。眠る。ラグに転がって。猫のように。

夕方に寒くなって起きた。
眠りは浅くて、悲しかったり嬉しかったり切なかったりな夢。
ぼーーーーっっとして、無意識で食べ物を探すがすでに何もない。
せめて温かいものをとシュガー抜きの紅茶を飲んで暖を取る。すこしは胃が温まってもカロリ
ーを断ってしまえば代謝良しでも体温は上がらない。寒くて寒くて。ぼーーーーっっとして寝
室に入り、灯りをつけ、夏掛けに包まって半ば気を失ってしまった。

14 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:07:37.40 ID:KdTa1BB+0


高須竜児は自室にいた。
左側2mは隣家の高級マンション。大河の寝室。ぱっとついたカーテン越しの灯りを見逃すこ
とはなかった。なんだよ、やっぱり居たんじゃねえか。

「私のだぁ」が嬉しくてたまらなかった竜児は、帰省と聞いていても連日気にかけていた。
外に出るときにはちゃあんと隣家をチェックしていた。だって親と折り合いが良くないらしい
大河がいきなり憮然として帰ってくるかもしれない。そんなときは買い物とか忘れて手ぶらで
なにもない部屋に帰って来て腹を減らして暴れるかもしれない。暴れるならまだいい方で、再
度出かける意欲を削り取られていて、空腹をかかえて丸まっているかもしれない。
そんな時はうちにも来ないかもしれない。
そんな時にでも支えてやるために、自分は存在しているのだから。

リビングに灯りが点きっぱなしだなと昨夜には既に気づいていた。
消し忘れて出かけたと思ったし、もったいないから消しに行ってやることもできた。朝起こす
ための合鍵を預かっていたから。
ただ、消し忘れの照明を消すために留守宅に侵入するのもなにか変じゃないかと思い留まって
いただけだ。帰宅が夜になる予定で寂しいからわざと点けて行ったかも知れないし。

でも寝室の灯りがいま点いたとなれば話は全然別だ。虚偽申告をしてずっと引きこもっていた
事になる。それは心配するに値する。
大河はその態度のデカさとは裏腹に、世間的にはつまらない事でもクヨクヨ悩むような繊細な
女だ。とはいえメシも食わずにまる2日も引きこもるなら相当な事があったのだろう。
また繊細なくせにタフなところもあるから、とりあえず血糖値を上げてやればなんとかなるこ
とも竜児は知っている。
腹を満たしてやってから、ゆっくりと話を聞いて、ポジティブな面を引き出してやればいい。
そして明日からまたうちに来てゴロゴロすればいい。

竜児は、夕食を持って行ってやろうと決めた。
珍しくかのう屋で牛ハラミを仕入れていた。手に入るなら安い。安いうえに旨い。適度な歯ご
たえがたまらない。大河が帰ってきたら肉祭りを開催してやろうと買い込んだものだ。
この艶めかしい肉を特製ガーリックステーキにして食わしてやる。
まるまる2日間、大河の世話ができずにストレスをため込んでいた凶眼がギラついていた。


竜児がため込んだストレスを夕食のしたくにぶつけていると知らない大河は、そのころ寝室の
ベッドでまた眠りも浅く夢を見ていた。

失敗作のクッキーを全部食べてしまった。私がどうしようもなく落ち込んでるのを救うために、
嘘までついて。めちゃくちゃな私の傍らに。

非常階段の脇で
北村に告白していた。好きだと。恋人になってくれと。勇気を奮って。
でも自分がこの勇気を持てたのはりゅうじのおかげと、支えて元気づけてくれたからと伝えず
にいられなかった。これを言わないでおいたらもしかして北村が受け入れてくれたんじゃない
かと夢の中でさえ思ったことはない。

プールで竜児をかかえて懸命に顔を水面に引き揚げた。沈めたら死んじゃう。私のりゅうじが。
大切なやつなんだ。ちくしょう、誰も分かってくれないの?こんなに大切に思ってるって知っ
てほしいのに。

りゅうじ。りゅうじりゅうじりゅうじ。
りゅうじの手が触れる。あ!や、やだ!そんなこと思われたくない。つまんないって思われた
くない!見んな!喋んな!……なにも持ってないのに……。さ、触んなああ!

15 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:08:46.25 ID:KdTa1BB+0

「……が、たいが。おい」

目を開けると、りゅうじ。りゅうじ?
ひっ!!
なななな!!

「なっ!どこから!!ふ、不法侵入っ」

にっと笑ってりゅうじは……この顔は笑ってんの。……メシにすっか?


パジャマのままふらふらリビングに出て、ローテーブル脇のラグに崩れるように座る。頭もは
っきりしてないし、相変わらず寒い。
でもりゅうじだ。りゅうじが目の前にいる。夢のようだけど夢じゃない。
煮詰まってたらちょうど現れてくれた。でも、どうにも嬉しい顔ができてない。意地張って、
無愛想じゃなく身体の自由が本当に効いてない。ガス欠で仏頂面。

おう……夏バテか?食欲あるか?と心配そうに訊くのでこくんと頷く。さっきからうっすらと
にんにくの匂いもする。唾が湧いてお腹が歌ってる。俺も今日はこっちでメシ食っていくぞ、
いいだろ?というのでまたこくっと頷く。返事をするのもけだるいよ。
向かいに座ったりゅうじがタッパに漬け込んだなにか肉を見せて楽しそう。これを焼いてやる
からなー。
にく……。にく……!

大河は今さらながらに思い当った。竜児が間違いなく寝ている深夜にコンビニへ買い出しに行
けば見つからずに済んだのだ。何年もそんな暮らしをするわけじゃなし、たかが三日間。
つまりこう思っていた。来てくれるだろう、来てくれればいい、とっとと来い、私を助けに。
何て甘ったれなんだ。恥ずかしい。

ふらぁっと「んじゃお茶いれてやるぅ」とか言って立つ。紅茶しかないし食前だし、後から考
えればなに間抜けなこと言ってんだろと思うけど。この時はりゅうじの厚意にお茶ぐらい入れ
てあげないと、と思ってた。
一歩、二歩、三歩めに私は足許をしくじって。

竜児の向かいで立ちあがった大河はテーブルを回り込んで三歩目に膝から崩れた。
ぺたん!と女の子座りに垂直に落ちて、そのまま前にぶっ倒れる。
危ねえ!!と膝立ちで迎えに行った竜児はスローモーションで倒れる肩を抱きとめ、テーブル
への激突を回避させた。おい大丈夫か?と言いかけて竜児は固まってしまう。大河がのろのろ
と……抱きついてきたから。

大河は鳩尾のあたりに頭を預け……微妙な位置に胸が当たりそうなこの体勢は拙いと、膝立ち
をやめて自分も座る。それでうっかり、肩だけ抱きとめていた手を背中に回してしまった。


なんて小さくできているのだろう!?
座りこんで床まで届く柔らかい髪に両の手を差し込んで抱けば、そのまま自らの肘をつかめそ
うなくらいの輪に大河の薄い身体はすっぽりはまり込む。
水着騒動のときに見た事はあっても、触れるのはこれがほぼ初めてだった。
背中のかたちが腕に記憶されていくのを感じた。倒れるのを抱きとめただけなのだから、ゆっ
くりと寝かせてやればいいものをそれができずに、腕に力が込もってくる。

16 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:10:12.30 ID:KdTa1BB+0

なにも声をかけられず、それでも欲望のままきつく抱きしめる事はできなくて。行き場のなく
なった思いでつい、目の前のつむじに顔を埋めてしまう。なんてことを。
うっすら立ついつものシャンプーと混じって微かにコロンの甘い匂いものぼってくる。まるで
大河がお菓子であるかのような感覚が心地よく、竜児を半ば狂わせる。
それでも介抱の姿勢から崩れないでいられたのは冷んやりしていたから。

……背中を撫でているうちに気づく。ふつうなら手に触るであろう布地の感触がない。必然と
して自分の腹にはふたっつ妙に「ほわん」と当たるもの。誰だよ哀れとか言った嘘つきは!?
こんな、ちゃんと……じゃ……ねえか。


倒れ込むときに一瞬だけ飛ばした意識は、抱きとめられたときには大河に戻っていた。
払いのける事もできたけれどもしなかった。
触れてみたかったから。どんな思いがするのか知りたかったから。

背を撫でる大きな手の感触。それは伝わってきて、頬をつけて体重を預けた胸から大きく速く
鼓動が聞こえてきて、まさかそんなことがと思った。髪に突っ込まれている鼻先の感触が確信
を引き出した。これは介抱じゃない、欲望を向けられてる。

経験などないからそれで何か湧き起こったとしても、感じ取れるセンサーなど持ち合わせては
いない。それでも、いやではなかった。安心とくつろぎを感じた。ここに居てくれと乞われて
いる気がした。隣家の2DKの居心地によく似てもいた。しばらく感じる事がなかったものが
あった。こんなところに。

ぐるぐる回っていたループが解けて、新しい場所へと運んでくれた。どこへ、なのかは分かり
はしなかったけど。燃料がなくそんなに長時間は無理だろうが、心臓がしっかりと鼓動を打ち
始め、体温が回復していくめぐりを感じ始めた。


身体に温みが戻ってきて竜児はほっとするのと同時に、大河の顔立ちを好ましいと思っていた
自分に気がつく。こんな状況で目にしたらとんでもない事をしそうだ。
あとでエロ犬と罵倒されようがそれよりはましだ。背中に回していた右手で大河の後頭部を抱
え込む。そして自分の中の罪悪感を見つけて、仲裁を願い出る。
こんなことをしてはいけない。こんな気持ちを大河に向けてはいけない。少なくとも、体調が
おかしくて倒れた女にそんなことを許されはしまい。

懐から途切れがちに小さく声が聞こえた。

「やっぱり……怖い……けど」
「……ん?」

大河は要らぬ火つけをしてしまって悪かったと思い始めて、呟いた。
竜児がこの身に対してエロ心を見せた事なんか一度たりともなかった。無いのだろうで片付け
るほどめでたく出来ているつもりはない。いけないと禁忌を課しているか、この身に興味が湧
かないかだ。なんだ普通じゃないわたし。りゅうじも。

「いやじゃ……ない」

許可の言葉にも聞こえてしまうが、大河にそんなつもりはない。
けどそうなるのなら、竜児がそうしたいのなら、拒否するつもりもない。自分が竜児に負担を
かけたのだから償うのは当たり前と思う。
思う……のだけど。寒くはないのに、どうしようもなく起きた震えは隠せない。

17 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:11:36.40 ID:KdTa1BB+0

「お前は……」

竜児としては、体調が悪くて倒れたのだから、そもそもリアリティがなかった。求められた答
えを返せずに逃走すると思わなくて済み、やっぱり大河がどこか不安定なのだと思っていた。


ただ行動は伴わなかった。相変わらず大河の重さを受けとめて背中を撫でていた。
しょうがねえだろ?だって可愛いんだから。誰に対してか言い訳。
普段から酷い暴言を吐かれて無理難題を押し付けられて理不尽に怒られたり泣かれたりの毎日
であっても、本当のところでは好きだから傍らにいるし、いさせているのだから。
いろいろ一時棚上げにして、今だけ心のまま抱きしめていたい。
もう少しだけ。

竜児が答えないのを聞こえてないのかと思っていた。
顔を上げて、もう一度訊こうか迷っていたら無言のまま頬を合わせてうしろ頭を撫でられる。
撫でおろされているうち竜児がだんだん落ち着いていくのが伝わってきて、肩の震えもおさま
っていく。しないならそれもいい。訊けないし、りゅうじも言いたくないだろう。でもそんな
理屈より。ただ撫でられるのが心地よく、今だけ僅かに猫のような声ももれてしまう。
もう少しだけ。

「落ち着いたか?」
「……うん」

上から目線が偉そう。あんただって同じようにどきどきしたくせに。
でも、優しいあんたがどうしようもない私を仕方なしに傍らに置いてやってるという事にして
も構わない。そうじゃないともう分かったから。
もう少し、もう少しだけと。
30分近く抱きあっていてキスのひとつもしなかったなんてどうかとも思うけど、気持ちと行
動はぴったり合っていた。……と思う。誰にも言えはしなくても恥ずべき事はなにもない。

「メシ、食えるか?特製のガーリックステーキ」
「おぉ……」

肉だぁ。マイ箸をつかんで猫足模様のマイ茶碗をチン!と叩いて行儀悪!と叱られる。
焼きたての肉で、向かい合って夕食をすませた。ハラミの焼肉旨い!!
二日ぶりの竜児の料理は最高だった。


夏休み三日目。
竜児は朝食のしたくをしていた。昨夜あんなことをしたから、もう来なくなっちゃうかもしれ
ねえと不安に思いながらも大河の分のおかずも作った。切り身は焼くばかり。味噌汁は味噌を
溶くばかりで止めてある。直前に熱々で出してやる。いつもより丁寧かもしれない。
今日も暑くなりそうだが、暑い時ほど熱い食べ物が身を養うのだ。

ガンガンガンガン!と若い力が真っ赤に燃えてるのか、外階段をかけ上がってくる足音が突然
に響いた。カチャカチャと陶器の音も連れて。
バァンと高須家の扉を力一杯開く。

「竜児ーっ!おはよーっ!!……うぁお腹すいたーっ」

18 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:12:58.04 ID:KdTa1BB+0

朝っぱらからジリジリ照りつける日射しに対抗して、つばの広いキャペリンをかぶってノース
リーブの白ワンピ。まさに夏まっ盛りの装いだ。こどもっぽくはあるけど。
はいこれ昨日の食器。さあ盛れ。見ればちゃんと洗って水気も切ってある。
おう。じゃあ魚焼くから座って待ってろよ。
今日はなにぃ?
鱈の西京漬け。具だくさん味噌汁。なめこおろし。きゅうりの糠漬け。
えーーっもう肉ないの肉!
お前が昨日全部食っちまっただろうが。

「そう言えば……あんたちょっとにんにくくさいよ」
「お前もだろ。くさくないのは泰子だけ」
「やっちゃんは?ステーキ作らなかったの?」
「あれで客商売だからな。にんにく抜きだ」
「そうなんだ?あーー、にんにくおいしいけどやだやだ」
でもさ、それはやっちゃんだけが被害者ってことだよね?くっくく……。
早く起きてこないかな。
……お前って意外と、案外と酷い性格だよな?
うっさいっ!もう家族みたいなもんなんだから。このぐらいはいいのっ!
「家族ねえ……ああ、そうかな」

家族みたいなもんなら、何があったってメシの時間には帰ってくるんだもんな。
大河に大根をおろさせて、家宝のぬか床からきゅうりを出し、焼き上がった切り身に熱々味噌
汁の朝ご飯。肉がないと文句タラタラのくせしてもちろん大河は三杯飯。三杯目でも臆せずに
ビッと真っすぐに茶碗を突き出す。

「ぅおかわりっ!」
「おうっ!」

メシが済んだらゴロっと横に。これで全くのもとどおり?


食休みが終わったのか、ゴロ寝大河がむくっと起き上がり、ベランダで洗濯物を干している竜
児にアイスを要求する。ねえ、アイス食べたい。アイスないの?アイス。言いながら勝手に冷
蔵庫を開けたりしている。そんなに自由に振る舞うんならなにも呼ぶこたねえだろと思いなが
ら、買い置きがないようなら干し終わったら買ってきてやる、となだめた。

「よし買ってくるのよ。待ってる……ううんいっしょに行く。行こう」

ほら日射しすごいんだから、とかなんとか。竜児を白っぽいTシャツに着替えさせ、キャップ
をかぶらせていっしょに出かける。一番近いコンビニなんだから別にいいじゃねえかとは思っ
たが言いなり。

ケースの底から固めに冷えているのを選ぶ。わたしは基本バニラ一本やり、乳及び乳製品の成
分規格等に関する省令に基づくラクトアイスやアイスミルク区分の商品に興味なし。乳固形分
15%以上(うち乳脂肪分8%以上)のアイスクリームだけと決めている。
という得意げな話を聞きながら同じものを2コ買う。

行きにショートカットで通った南側の児童公園に差しかかったとき、大河はここで食べようと
言う。なるほど、帽子をかぶらせたのは最初からこれが狙いだったか。日陰は外周部の一段高
くなったテラスにパーゴラふうの場所がある。木製のベンチもテーブルもあったはず。そこが
いいだろう。
既に昼近くで日は高く、遮るものもなく照りつけている。この時期は朝夕しか公園で過ごす者
はおらず俺たちだけ。ていうか、外を出歩くやつがそもそもいない。かといって静まり返って
いるかと言うとそんな事もなく。時おり通りすぎるクルマの音と蝉の声でわりと賑やかだ。

19 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:18:53.79 ID:ZaGku5Zu0

「やっぱアイスはこういう日に外で食べるのがいちばん」
「こだわりってやつか」

そうそう、もったいないけどあんたにもこの楽しみを教えてやるわと言いながら。ぱかんと蓋
を外すと、周縁がもう溶け始めて中心はまだ固い。まわりにたっぷり付いていた水滴がワンピ
に飛沫となって飛ぶ。ほっといても水だし汚れは残らない。

「これこれ。部屋で食べるアイスにはない楽しみ」
「うん。悪くねえな」

おせじ抜きでなかなかいい。暑いけど日陰ならなんとか過ごせて、蝉の声がして、誰もいなく
て、アイスクリームの冷たさが喉を滑り降りていく。せいぜい10分くらいで暑さに負けて逃
げ帰るのだろうが、涼をとっているという気分はちょっと贅沢。

でも、いいと思えるのは傍らにこいつがいるからだ。独りでやってもつまらない。
溶けた周りをすくっては口に運び、カップの中にドームを作ってるこいつ。他に誰もいない公
園を眺めては何やらもの思い。昼飯は何にしようとか考えてるのかもしれない。

大河は自分の脳内画像フォルダを開けて眺めている。
1年以上も前に告白してくれた北村の顔はやっぱり思い出せない。たくさん画像を集めたつも
りでいたのに。あの時がもう一度ほしいと思うようになって恋をした。そう思えるようになれ
たのは、みのりんと友だちになったから。誰かを思うのは素敵なことと教えてもらえた。去年
の夏も暑い日にここでみのりんといっしょにアイスを食べた。そのうち、北村くんを緊張しな
いで思えるようになりたい。りゅうじみたいに。

竜児のフォルダを開けてみたら画像の量が比べようもないほど増えていた。いつも一緒にいる
のだから当たり前かと呆れてもみる。これも分類して整理しよう。学校、スーパー、河原、フ
ァミレス、商店街、駅ビル、台所……はあっちとこっちのふたつ、八畳間、あっちのリビング、
寝室、そしてこの公園も。ああ学校も細かく分けなきゃだわ。いったいいくつフォルダ作った
ら整理つくんだろう?
ふ……と可笑しくなる。

キャペリンのつばに隠れて時々しか見えないが、こういう穏やかな大河の顔はなんだか久しぶ
りだとそれを竜児が見下ろしている。服にしみた飛沫も僅かな間ですっかり乾いていた。

ん?と目線に気づいたか大河も顔を上げる。

「なに見てんの?」

ゆうべの事、やっぱり惜しかったとか?さいってー。ジロジロ眺めてなにやら人に言えないよ
うな妄想を……。穏やかそうに見えてこんな台詞が出るところがやはり大河というやつか。で
も言葉には調子というものがあって、聞いた竜児はやっぱり嬉しくてたまらない。

「なんでそうなるんだ。家族みたいなもんなんだろ?俺たち」

家族にそんな事思わねえよ。

だってあんた結構ハァハァ……あ、それはいいや。
あんたが思わないって言うんならいいの。私の問題だからあんたを巻き込まないようにする。
昨日はふたつの気持ちを持っているのが汚らしく思えてすごく嫌だった。今日になったら持っ
ていたいと思った。どういうふうになっていくのか……見てみたい。

20 :逢坂大河のLyrics・夏:2011/04/15(金) 19:22:59.53 ID:ZaGku5Zu0

そんな思いも知らずに。まあ……あれは……済まねえな。具合悪かったのにな。とかなんとか
ばつ悪そうな言い訳も続けて聞こえた。いま思わないって言ったばっかりじゃんよ。
私に誰も知らない混乱があるように、あんたにもあるのかな。

ふーーーっ、ちょっと暑くなってきちゃった。
アイスクリームを食べ終わって片づけて、帽子でぱたぱた扇ぐ。
ねえあれ?と大河。
土の地面より舗装の上の方が熱いからだろうな、と竜児。
公園から見たうちの方向は揺らめいていて。そこに陽炎が立っているのを見た。

そして竜児は淡色の髪の隙間から生えぎわに少し汗が光っているのを眺める。あんたまた見て
る。どうせ行儀悪よ。ほっときなさいよ。相変わらず扇ぎながら大河はしかめっ面。
いやあそんなことは突っ込まねえ。そのカッコ可愛いなって思ってる。へえ?ほんとに?おう
ほんと。そのキャペリン似合ってるし北村も惚れ直すんじゃねえか?そうかな?と疑いのまな
ざし。子供っぽくない?

「子供っぽく可愛いのもお前のいいとこじゃねえの?旅行にもかぶっていけよ」

ふうん。別になだめようとしているわけじゃなさそうだし。そっか。こういうふうに言われる
と子供っぽく見られるのもそんなには悪くないかな。りゅうじが可愛いって思うのならちょっ
とぐらいそうしてみてもいい。

「じゃそうする」

おう。それがいい。暑くなってきたし戻るか。こんどホームメイドでアイスクリーム作ってや
るよ。ほんと?それいい!ああ、乳成分濃い目なやつが安く作れる。クッキーの欠片なんかも
入れて。

「おお〜!やったぁーっ!!よし竜児、さっそく牛乳とクリーム買いに行こうっ!」
「午後なっ、午後!まずは昼メシが先だろ!」

大河はちょっと満たされ感に包まれて笑顔が綻ぶ。竜児といっしょにベンチから立って、この
夏休みはきっと楽しいだろうと、ふと思いながら後をついてほんの僅かの家路につく。時間は
たっぷりとあるし、旅行もなんだか楽しみに思えてくる。そうだ。可愛い水着買いにいこう。
子供用でもいい。選ばせてやる。

帽子をかぶり直して。街路にゆらゆらと立った陽炎へと足を踏み入れた。




――continues to 『逢坂大河のLyrics・冬』




21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 21:58:22.14 ID:1GB6cyU80
>>1
竜児×大河は永遠!

>>20
早速投下が…乙です!嬉しい
読むの楽しみだぜ

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:08:01.29 ID:c6Uvkbhr0
>>20
いい感じですね
この二人見てるとそれだけで幸せな気分

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 08:41:41.81 ID:CmoQEUvW0
>>20

いいねいいね。微エロ云々はこの程度なら気にしなくていいよ。ルールはガチエロするなってだけだから。
境界云々の話はあるんだけど、探りながらでかまわないとおもう。

視点の変更に気をつけるとぐっと良くなると思う。原作は竜児視点の竜児の横にいる神の視点の切り替えが
天才的にうまいから、まねするのはちょっと難しいね。

夏の頃の大河が竜児をどう思っているのか考えるのは本当におもしろいね。

24 :20:2011/04/16(土) 10:46:59.45 ID:ssAcGr6P0
読んで下さりありがとうございます。
素人なんで改善は難しいですが批評まで戴けるほどとは甲斐がありました。
仰る通り、夏の大河の心理はおもしろいですよね。
作品語りは程ほどにしますが、後半で提示しますのでまたお願いします。

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:08:06.42 ID:O+Vh+h+D0

【タイトル】逢坂大河のLyrics・冬

続編を投下します。
アニメ22話のラストシーン前後を中心に書いてみました。
大河の両親に関して好意的に記述してある点と、エロ描写は一切ありませんが、人によっては
ガチより許せんと思われるかも知れない記述を含む点を予めお断りします。
う〜ん、なんかゴロゴロ妄想から遠くてすみません。24KB

↓10レスほどいただきます


26 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:09:45.97 ID:O+Vh+h+D0

2月11日(月)

帰宅ラッシュ前の電車で逢坂大河は座っていた。寒がりではあったけど車内は暖かく、コート
を着たままマフラーだけを外し膝の上でもてあそぶ。夕日が台地の端に隠れるまではまだ少し
あり、それまでは頭越しの窓から差し込む光が床をくっきりと照らすだろう。
コートと同じこのアンゴラ素材のマフラーは年明けにカタログギフトで買ったもの。いつまで
も竜児のマフラーに頼るわけにいかないと思っていたし、年が明けての風はいっそう冷たく、
身を暖めねばならなかったから。

カタログは去年の秋も深まった頃に父親が贈り付けてきた。

どうせなら合うと思うものを選んでくれればいいのにと思い、でも好きなものを選べというの
も気遣いだと思う。いずれにせよ、アレはこれでお詫びを済ませたつもりでいるだろう。
色は彼が着けていたものと同じ印象のピンクを選んだ。ウールは肌に合わないので一昨年のク
リスマスプレゼントにもらった純白のコートと同じアンゴラにした。憎んでも憎み足りないか
らカタログをほっといたのだし、すがりたいから買っただけのこと。

高架に差しかかった電車の中で、つかみあげたマフラーに鼻先を突っ込む。当たり前だが自分
の匂いしか付いてはいない。都内のホテルで一週間。自分と父を棄てて出て行った母に囚われ
ていた。今日、やっと解放され帰宅するところだった。

その、囚われの一週間で、修学旅行にも持って行ったこのマフラーの意味が大河にとっては大
きく変わっていた。

もう愛憎の代用ではなく自分が何者なのかを主張するための装いとなった。たとえどんな目に
遭わされていようと、価値を持たない棄て子だと認めるつもりは、諦めるつもりはもうなかっ
た。そうでなければ顔向けできないと思うほど大切な人が自分にはいるのだから。

みのりん。

北村くん。

ばかちー。


――竜児。


電車が大きく金属の音を響かせて鉄橋を越えていることを知らせる。大河はマフラーを巻いて
停まるまで待たずに足元の荷物を持って立つ。決意の瞳で、見慣れた景色が車窓を流れて行く
のを眺める。次が、大橋。ここがホームタウン。

改札を抜けて、階段を降りる。半年前にこの駅舎を出た時の大河は耐えがたい孤独を感じてい
た。春から夏、幸運にも膨らんでいった思いは、まるで世界の決めごとがあらかじめ決まって
いたように奪われていくと感じた。何度も何度もそうだったように、また。
悔しい。
いつそう思い始めたのだろう?背中に受けようと胸に受けようと傷は傷。どうしたって生きて
る限り受けるのなら。それなら戦って胸に受ければ望みがかなうかも知れない。かなえば報わ
れるかも知れない。

荷物を小脇にかかえて走り出した。人の多い駅前を華麗とは言えないサイドステップで走り抜
けて、足を止めさせようと点滅する信号を認めると、ガードレールの支柱にばんと手をついて
跳び越える。そのままショートカットに駆け抜ける。

27 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:11:15.92 ID:O+Vh+h+D0

――りゅうじ

厳しい寒気に白い息が弾んで、マフラーが解けかけてくる。
これは逢坂の娘だと主張し自らを鼓舞する大事なものだから、落とすわけにはいかない。走り
ながら巻き直してぎゅっと結ぶ。大通りから住宅街に入れば人通りが減って、走る速度がいち
だんと上がる。
今日まで棄てられず胸に持ち続けた思いのたけが迸る。


どうでもいいことばかり喋り続けてきた
言わなきゃいけないことだけが分かんなかったから
だから言わなくちゃ

今日か明日か、もっと先になっちゃうかもしれないけど
びくびくしながらでも、どうしても言わなくちゃ
『あんたがほしい』って

気持ち、受け入れて……
受け入れてよ!
あと何日かで行ってしまうんだ わたし


言われるまでもなくめちゃくちゃなはんぱものよ
だけどつまづいて、転んで
少しずつ生き方を覚えていく

言ったら……続けて言って
わたしたち、兄妹じゃないんだよ

わたしを受け止めて……
受け止めてよ!
あと少ししかここに居られない


逢いたい。逢いたいよ。逢ったら言いたい。時間がもうないの。このままで離れて行くわけに
いかないんだ。腿があがらない、荷物が重い、喉が苦しい、暑い。熱い。はあっ、はあっ、は
あ、はあ、はあ。すれ違った主婦が買い物袋を提げた手を上げてなにか訊ねかけようとする。
大丈夫……の素振りで応えやり過ごす。だんだん速度が落ちて。ヨレヨレになりながらもよう
やくたどり着いた。一週間も離れていた。

日没前。自宅マンションの南側にある児童公園に足を踏み入れた。外周部の一段高くなったテ
ラスにパーゴラふうの場所がある。木製のベンチに腰を下ろして息を整えた。熱すぎて外すわ
けにいかないマフラーを外してしまったけど仕方ない。

はあ……はあ……はあ……はあ……はあ。肩で息をし口も利けぬままマンション東側の路地を
見やる。そこにいた!遠いけど見間違えるわけがない。エコバックを提げ鞄を肩掛けにした学
ランの男の子。公園の方には気づかずマンションの2階を見上げて佇んでいた。

――りゅう、じ。

息が整うまでは、まだ。竜児は高須家へと帰る外階段を登って行った。。

28 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:12:58.31 ID:O+Vh+h+D0


修学旅行の雪山で怪我をした娘を実の母親が迎えに来て、都内のホテルで大河の言う『囚われ
の一週間』を過ごした。そこで自分の身の上が大きく変わる事を伝えられた。

父親が事業に失敗し、夜逃げして行方は知れない。
大河が暮らすマンションは今月中に引き渡さねばならない。
この街で転居して暮らすのは認めない。無責任な父親が触れる所には置けないから。
つまりこのまま退学、引っ越し、編入転校、というのが母の書いたシナリオだった。

理屈ではそれしかなくても、初めは感情が認めなかった。
大河にとってはすべてが途中。初めて自分の足で立ち、他者との絆を育もうとした矢先のこと
だったから。自分の恋も、大切な人の恋も、恋した相手や反発していた相手と結べた友情も。
だから母のシナリオを一応でも呑みこむのに一週間もかかったのだ。

結局は受け入れざるを得なかった大河にも絶対に同意しかなったことはある。逢坂家から母の
家庭に籍を移すことは断固として拒否した。だって棄てたやつに再度拾われるなんて到底認め
られない。自分は身を切られる思いで父を選んだのだから、十四や十五の娘の言う事であって
も決断は決断だ、と。これは母が大河の主張を受け入れた。

もうひとつは、このまま引っ越すのはあまりに急すぎるから一度戻ることだった。

当初、大河は「大切なものを回収するため」という言い方をしたから、母はモノのことと思っ
て認めなかった。一切合財を業者に運んでもらえば済む事だからだ。それで仕方なくこれまで
の交友関係を母に話した。母にしても結婚生活にしくじって離婚→再婚を選んだ女だったから、
大河が友人のことと曖昧にぼかして話す中に恋情が含まれていることはすぐに分かった。

それはどの程度のものか母として把握しておかねばならなかったから、誘導尋問のようにして
あらかたを訊き出すの事には成功した。そして半ば『飼われていた』ようにも聞こえる大河の
境遇に、彼女はいたくプライドを傷つけられてしまったのだ。

それでも、世間体のこととしてなじりはしても、愛するものを自分の知らぬところで損なわれ
た感情に基づいていた事は確かだった。要するにこう言ったのだ、嫁入り前の娘をキズモノに
するなんて、と。そのため、この点において母娘の合意をみることはなく、最終的には黙認と
いうかたちで大河は戻って来た。
「二月一週で」と無理やり切られた期限に大河は返答もしなかった。今日が11日である段階
で「一週め」もないものだが、これはこの母娘独特の言い回しであって簡単に翻訳すると「二
週を越えるのは許さない」と言っているのだ。まったく意地の張り方がそっくりだった。


ママには裏切られたと思ってる。けど嫌悪感も一時よりは少なくなった。やっぱり自分を10
年以上見てた人だからこうして手を差し伸べてくれるのは間違いないんだし。こうして納得し
ようと頑張れば、まあなんとかはなる。

それでもここから離れたくはない……。
公園のベンチで俯いてしまう。息は戻ったのに大河は動けなかった。突き動かされ、走る事で
あふれ出そうに増幅された決意はどこに行ったのか。

ああ、半年。せめて3カ月でいいからこのまま居られたら。そのくらいなら生活費の残りでな
んとかなる。マンションを退去させられたらりゅうじのとこに転がり込んで。
……それが過ぎたらどうするの?
学校に知れたらどうなる?知れるよね。
学校を辞めてバイトしてりゅうじのうちに寄生するの?

29 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:14:42.98 ID:O+Vh+h+D0

めちゃくちゃにも程がある。と、さすがに思う。

どうしようもなく子供でしかないんだ、私。どうしたってママに頼らなくては生きていけない
んだ。今までだってパパに頼って、りゅうじとやっちゃんに頼って生かされてきたんだ。その
前はみのりんにも。……だから。分不相応な願いを持ってはだめなんだ。

両手を伸ばして膝についていないと突っ伏してしまいそうになりながらも、肩を上下させて力
を込める。夕方の公園は家路につく人が時おり近道として通っていくが、わざわざテラスに上
がってくる者はいない。倒れそうな小柄の少女に気がついて手を差し伸べる者はいない。
悔しい。
でも、ここには現れなくても大河にはいるのだった。今はたった数人ではあるけれど、この世
界に大河がいると知り、見ている者が。

――別れを。ちゃんと告げないと……

ぎりぎり涙こそ零れないけど、俯いた瞳を光らせる。

北村くん。憧れて恋して、それが破れたあと友だちになってくれてありがとう。友だちになれ
るようにずっと見ていてくれてほんとにありがとう。

ばかちー。ムカついたこともあったけど、正反対なやつだけど、いろいろ気を使ってくれてあ
りがとう。あんたと友だちになれたら苦手な相手なんかいないって思えたよ。

ふたりと友人になれた事で、自分はどれだけ世界が許せるようになったことか。自分を分かっ
てくれる人がいると信じられるようになったことか。
そう思うと自信が生まれて、少しはちっぽけでない価値を持ってると自惚れることができる。
ありがとう。
零れそうだった涙がその思いに止められて、少し顔を上げられるようになる。

みのりん……。修学旅行ではっきりしちゃった。やっぱりりゅうじのこと好きなんだよね?
やっぱり私に譲ろうって思ってるんだよね。
……今なら私、みのりんと恋敵にもなれる。みのりんとりゅうじを争って取り合おうと思うこ
ともできるよ。……ここに居られるのなら。りゅうじを見ていられる場所に居られるなら。

まるで竜児にすがったのと同じように実乃梨にぶら下がっていた。友情と愛情の区別もつかな
いまま、ただ慕い慕われて、どれほど乾きが癒やされたか知れない。ありがとう、みのりん。
ぜったいに忘れない。

りゅうじ……は。りゅうじには。
いちばん近くに思う。別れの言葉なんてなにも思いつけない。だって、あんたが私を大切にし
てるの知ってる。いつも側にいて助けたいと思ってるの知ってる。家族みたいに思ってるの知
ってる。私のこと好きなの知ってる。

でも、それだけじゃもうぜんぜん足りない。
あんたが私のこと思って眠れないんじゃなきゃいや。私のこと思うと涙が出てきて止まらなく
なるんじゃなきゃいや。私を見かけると熱くなって胸がざわついてくれないといや。私の声を
聞いたら、耳が貫かれていくように感じてくれなきゃいや。私に触れたら、そこからとろとろ
蕩けていってくれないと……いや。

あんたはそうなの?って訊こうとしてる。
わたしはそうだよって言おうとしている。

30 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:16:24.90 ID:O+Vh+h+D0

大河は自分の肩をかき抱いてこの場所で過ごした夏の日を思い出した。前の晩の無責任な経験
を思い出した。髪が覚えている。頬が、腕が、肩が、背中が覚えている。とろとろに蕩けてい
った感覚が確かに呼び覚まされてくる。
でもはっきり言語化された記録ではそうなっていなかった。それにはこう記されていた。

『安心とくつろぎを感じた。ここに居てくれと乞われている気がした。
 隣家の2DKの居心地によく似てもいた。』

何度も思い出しているうち、いつの間にか記憶がすり変わっていた。いつそうなってしまっ
たのか、大河にもわからない。なにしろ、初めて廊下でぶつかった時にはすでにそうなってい
たぐらいの感覚だって生み出せてしまう。


もうずいぶん前から一杯であふれだしていた。乾き切った地に竜児が注いでくれる水に潤され、
それを嬉しく吸い込みながら暮らしてきた。注がれる量が増えていき、池に沼に湖になり、あ
ふれて流れ出した。
それを堰き止めてもみた。堤をつくり注ぎ込まれる水さえ止めればどうにかなると思い込んだ。
いつしか地から驚くほどの水が湧き出してしまっていたのも知らずに。

この清冽な水をすくって竜児に飲ませたかった。湧き出すとっておきの水も飲ませてほしかっ
た。そうするだけでこの地が豊饒の恵みあふるる里へと変わって行く予感があった。

季節ごとに咲くたくさんの花と収穫の実り。鳥の声で目覚め、美味しい食べものでお腹いっぱ
い。火を焚いて満点の星を見上げ、みんな寄り添い笑いあう。そんな願いが、夢が、ひとすく
いの水を分け合うだけで始まるように思えた。


すっかり日は暮れて夜となっていた。
なんのためにこの街に戻って来たのか、やっと思い出せた。


マンションに帰った。
灯りをつけずに荷物を置いて、汗だくで冷え切った身体をシャワーで流し温める。久しぶりに
気に入りのコロンをお腹にちょっと付け、軽く流して上がる。
バニラの甘い香りがほんのわずかに立って少し元気づけられるのが好きだった。髪を乾かして
着替えが済んだ頃にかすかに香ってくる。
寝室に入って北側の窓の鍵を外して、大河はもう一度、しっかりとピンクのマフラーを巻く。
それから高須家へと向かった。午後8時。

両頬に平手打ちで気合いを入れてから、外階段を上がる。いつもどおり高らかに足音を立てる
ことはできずに玄関先まで来てしまった。

ホントに言うの?
あんたを寄越せば私をまるごとくれてやるって?
あんなにいっしょで、もう見せられるいいとこなんか残っていない。そもそも見せてきたもの
がどう受け取られているのかまったく分からない。これじゃ片恋となんら変わらない。
お前をまるごともらってもなあ。まあくれるってんなら。ぐらいな言われ方をされても不思議
はなさそう。

くいっと眉を八の字に寄せて困った顔をしてみる。
でも、退こうとは思わなかった。

31 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:18:11.27 ID:O+Vh+h+D0

新学期に北村くんに告白した日の方がよっぽどハードだった。それは、その時に抱えた思いの
量がぜんぜん違うから。のぼせてはいても、譲らなくちゃと思ってるやつを横からかっ攫おう
としてるってくらい分かってる。

その恍惚と不安がちっぽけな身体を動かした。

前と同じように扉を思いっきり叩いた。……けど、名を呼ぶことはできなかった。
前と同じような声で呼べるとどうしても思えない。
カギが中から開けられて、扉が開いた。


10分後。
いま、大河は寝室の北側の窓の下に座りこんでいる。ここは自分のマンションで竜児に一番近
い場所だ。壁にもたれて、竜児にもたれていると錯覚することもできる。自室の机の前に座っ
ていてくれれば3mと離れていない。

言えなかった。訊けなかった。

あんたの顔を見たらすぐに分かっちゃった。耳をつかんで引き寄せて、まるでキスをしようと
してるみたいに近づいたら。あんたが私をほしいって。恋しいって。ハァハァしてるエロ犬だって。
分かっちゃった……。片恋じゃなかった。のぼせてあんたを見誤ってるんじゃなかった。そん
なことを見間違えるわけがない。
嬉しい。

報われた思いがして、かかえていた膝をゆるめて顔を上げる。マフラーを外して床に放ると、
お腹に隠していたバニラの香りがふわっとのぼって少しだけ元気づけてくれる。
そのままで頭上の窓を見上げてみる。
あんたと離れなくちゃいけないと知ったイヴの夜から今日までカギをかけていたけど、今日か
らまたかけない。去年の夏からすがりたくてかけないでいたけど、今度は違う。あんたが私の
思いを聞いていて、あんな顔をしてくれたんなら。
ま、あれよ。自己満足よ。あんたはそんな事しない。

天井を見上げたまま目を閉じて、そんなにも幸福と思える事が存在するのか。と思わせるくら
いの表情をする。
しばらくして瞼をわずかに震わせる。

――タイムアップだ。

ろくに話したこともなかったみのりんを大切に想い続けることができるあんたに二、三日でそ
の果実を熟して差し出せなんて言えないよ。
言わなくて良かった。めちゃめちゃにブッ壊すとこだった。

閉じたまなじりから、つっとひとすじだけあふれた湧き水がこぼれる。耳の横を伝い、喉を伝
って、襟の内側に消えて行く。あんなに豊かにイメージできた水の流れだったのに。現実には
これだけかと思う。

玄関先で分かった。
あとは言うだけだった。聞くだけだった。
でもそこでたたらを踏んだ。明日でいいと思ってしまった。大事な瞬間にふさわしい舞台に誘
い出してあらためてとか。寝ぼけたことをも望んでしまった。

だから大河は予定通りに竜児の部屋を通り、窓から自室に戻ろうとして、そうしてあれを見て
しまった。竜児が実乃梨に贈り想いを伝えるはずだったクリスマスプレゼントを。

32 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:20:22.22 ID:ssAcGr6P0

大河にはそれが竜児の恋そのものに見えたから、捨てようとしたものを奪い取って実乃梨に渡
したのだ。修学旅行で実乃梨が亜美と殴り合いをしたときにそれは跳んで行って、崖の下に落
ちてしまった。あるべき場所に戻そうと拾いに行って、大河は遭難したのだ。

あれがここにあるのは、大河を助けたのが竜児である証拠。
なのに助けたのは北村と嘘をつくのは、大河がそれを隠していた気持ちを支えるという意思。
それはまた、朦朧として漏らした言葉をすでに竜児が聞いてしまっている証し。
言うことはもう残っていなかったのだ。

「……夢……だよね……?」

「夢だよ。」

無かった事にしたいと聞こえるように促した。
それが今の気持ちには反していると思ってる竜児に。

このまま側にいられたら。毎日少しずつあんたを包んだ紙を剥がしていくのに、と思う。

結局は、それならば、今なら。いなくなる私よりみのりんの事だ。
竜児は仕舞いこもうとしているけど、本当に封印しちゃったら、みのりんが片恋になってしま
う。だから、こうなったら竜児はみのりんだけを想うべきなんだよ。

私のターンは終わった。
次が巡る頃には、もうここにいないだろう。

立ちあがって明日のために眠ろう。横になろう。眠れるかどうか分からないけど、眠ろう。
鏡台の横に立てかけた木刀に目を留める。捨てろ捨てろとうるさく竜児に言われた護身用の武
器だ。言われた通りに捨てる。もう私は武器を振るう戦いをすることはない。
涙は零れない。

****

竜児は机の前に座って南側にぴったり建ったマンションを向いていた。窓、ベランダ、建築限
界の隙間、向こうの窓。その奥は大河の寝室。あいつがもう眠っているはずの天蓋付きのベッ
ドまでたかが10mしか離れていない。大河までたったそれだけ。
本当は、今は3mだったけど。

竜児は左右の手で逆の肘をつかんで輪をつくってみる。こんなに小さい輪のなかにぴったりと
はまり込むものを思っている。

ドジなやつ。帰宅したら鍵をなくしていたから窓から入らせろ?
お前の履いていたストラップシューズはどこから持ち出したんだよ。
お前の香りはどこで付いたんだよ。
お前はそんなにも俺と櫛枝が恋仲になればいいと思い続けるのかよ。
お前にとって俺は手放せるくらいのもんなのかよ。

ふざけんな。

真っ白になるほど力を込めて拳を握りしめ、ようやくのことで開いてみる。さっきも近づいた
ら知っている匂いがしていた。首なんかしめるつもりは全然なかった。何をしようとしたのか
考えまいとする。水面まで浮かび上がる、深い底から叫びだした声がひとつだけ波紋を記して
また沈んでいく。
家族じゃねえ。可愛い女だ。
俺のもんだ。

33 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:21:31.52 ID:ssAcGr6P0

何だって?

喉がカラカラになってしまい、居間に移って茶を入れる。
わざと乱暴に腰を下ろして茶をすすり、独りだと妙に広すぎる八畳間を眺める。そこに、ここ
に見える。くつろいでいた大河の幻。
それは世界の隅で見捨てられたやつが、この場所で平穏を得て過ごした安らぎの景色。俺はそ
れを見て同じものをもらっていたはずなのに。

肉がないと文句を言ったあと必ず旨そうに大メシを喰らう。図々しく寝転がる。眠くなっても
意地になってゲームをする。気まぐれに家事を手伝うと必ずなにかドジを踏む。
不機嫌なツラも綺麗だった。なにか意地悪を思いついたときの顔、つまんないことで得意げな
顔、感謝をあらわしたら負けと思ってる真っ赤な顔。
それらすべてが今では苦しさを伴って思い出される。

この身体に湧き上がってくるざわめいた気持ちを、ぜんぶ家族みたいなもんだからで片付けて
いた。いつかちゃんと整理して向きあおうと思っていても、わざと先日までほったらかしにし
ていた。手をつけたら最後、こんな気持ちになるだろうと。たぶん竜児はもう知っていた。
飲みかけの茶に視線を落として、今ここにいない大河を思う。
でも、その気持ちを当たり前のように抑えつけるなにかが竜児の中にはあった。

ふと一片の桜に目を奪われた。大河がうちを襲撃したときふすまに木刀で開けた穴を、大河が
くれた和紙を切り抜いて、そういう季節だったから桜のかたちに切り抜いて貼ったものだ。
それを見ているうちに、突然に、あれを剥がそうかと思った。大河が開けた穴を隠してきたそ
れを、剥がしてちゃんと見れば。

なんだ?なんの意味がある。
色も形もきれいで、優しげで、貧乏くさくはあってもこのうちに似合ってるのに。

竜児は頭を振ってすっかり冷えた残りの茶を飲み干した。
戸惑って、逃げようとしてるから意味のない考えが浮かぶのだ。今は、無かった事にしようと
考える大河を追い詰めたりはできないのだと当たり前のように思った。
必死に思っていた。

俺たちにはたくさん時間があるのだから。



2月14日(木)


あんたは誰を演じていたの?
気になるよ
知りたいよ
だってわたし、あんたの全てが忘れられない
びくびくしながら言ってくれたら
もしも言ってくれたら あんたの胸に飛び込むよ
捕まえてりゅうじ(傍らに)
連れてってりゅうじ(どこへでも)
お別れなんだよ 今日で

34 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:22:42.25 ID:ssAcGr6P0


今日までにいくつか出来事があった。
私は、ママとの約束よりも大事なことに出遭ったから、大橋の街に居続けて2日間だけバイト
をした。それで何の手助けになるのかは分からない。できることをするだけ。

逃げることが唯一のできることだったから、逃げただけ。
音が響き渡るほどの勢いで竜児の右手をつかみ、行こう、と思ったら次の瞬間にはふたりで身
を翻して走り出してた。つかんだ手を持ち替えて、竜児の左手に利き手を預けた。
夢中じゃないよ。わたしはママを棄ててあんたを選んだ。
この冬初めての雪が降り出した中をいっしょに走って、走って。身体の芯から凍えそうな寒気
に晒されて。右手だけが燃えるように熱い。


今日までにいくつか出来事が、あった。
大河は泰子の子じゃねえ。あんな親父と言ってもよそんちの娘で。可愛い女だ。俺のもんだ。
なってくれと土下座をして、冷たい瞳で蔑むように見下ろされて、承諾してもらえば。

そのために、逃げる。誰にも邪魔はさせねえ。
音が響き渡るほどの勢いで大河は俺の利き手をつかみ、応、と思った次の瞬間にはふたりで身
を翻して走り出してた。つかんだ手を持ち替えて、大河の右手を確りと握った。
のぼせあがっている。俺は、泰子を棄てても大河を選ぶ。
この冬最後になるだろう雪が舞う中いっしょに走って、走って。身体の芯から凍えそうな寒気
に晒されて。左手だけが燃えるように熱い。
時間は、もうなかった。


もういろんな事情は関係ない。りゅうじの側に終わりまでいるだけ。
ただ私が逢坂の娘である印のマフラーに触って、顔を埋めて、ぜんぶ見届けようと決める。
ねえりゅうじ。どこへ……行くの?



2月17日(日)


夕暮れ。りゅうじのうちに寄らずに独りでマンションに帰ってきた。
りゅうじに求婚されていっしょに逃げることになったから、曲りなりにでも高須のうちの者に
なると思って、アンゴラのマフラーは巻かずに置いて行った。
駆け落ち先でいろいろあって、帰りにりゅうじの赤いマフラーを巻いてもらった。
男物で長いから髪ごと三重に巻いて、どっかに引っかかったりしないよう後ろで団子結びにし
てくれる特別の巻き方で。

大河は何度も、何度も何度も両手でマフラーを撫でて、顔を埋めて胸一杯に匂いを吸い込む。
りゅうじの……と頬ずりもして。

お世話になるのはクリスマスイヴ以来となる。晩秋から何度となく借りて、私とりゅうじの首
まわりを行ったり来たりして暖めていたカシミヤの高級品。これに今日だけは特別な意味が込
められた。
それは、わたしが本当にりゅうじのものになった証し。
今朝りゅうじがそういう思いを込めて巻いてくれた。

嬉しい……心から。
とっておきの水はすごく甘かった。わたしのすくった水を飲んで猛毒だ……と笑った。
それだけのことで、湧き出した水があふれて流れになり、瀑の飛沫が霧に雲になって雨を降ら
せ、永遠の緑を潤していき、この世界がまるごと愛すべきものに見えた。

35 :逢坂大河のLyrics・冬:2011/04/16(土) 20:24:14.03 ID:ssAcGr6P0

いくつも流れが出逢ってやがて名のとおり大河になろうとする。
竜は天空から水を統べる神様だ。虎の傍らにいて、もちろん大河を見ている。

こんなにも幸せをくれる人のところへ棄て子のままでお嫁になんて行けないと大河は思える。
逢坂の普通の娘としてりゅうじに嫁ぎたいのだと、マフラーに顔をぜんぶ埋めて本当の願いを
言葉にする。

やっちゃんとりゅうじの仮初の家族じゃなくてね。

私は、最初の決めごとに戻ってママのうちに行く。
そこでママとの絆を取り戻そう。ママの子供を全うして、できるだけ早くこの街に帰ってくる。
離れ離れになると思うと、つらすぎて胸が押しつぶされそうになるけど、明るい面だけ見てい
こう。りゅうじだけじゃなくて、友だちにも。私にいて欲しいと思ってくれた人たちにもう一
度会うためにも。

旅立つ荷造りを始める。駆け落ち用から簡単に移し替えるだけ。やっちゃんにもうちのママに
も子供みたいなところがあった。パパだって夕を愛していて、そのためには実の子を道具にも
使うような生き物。それが人なんだよね。
みんなへっぽこくてどこか足りないまま生きている。私もそれでいい。世界に許せないものが
満ちているんじゃなく私が許さないだけだった。

荷造りは間もなく終わった。高校の制服を丁寧にたたんでベッドに置く。アンゴラの、ピンク
のマフラーもハンガーにかけてクローゼットに仕舞った。もうモノに頼らなくても、私は身体
ひとつで逢坂大河だから。

テーブルでりゅうじへのメッセージをしたためて。それから2年間を過ごした部屋のひとつひ
とつを巡り、家具のひとつひとつを触って名残りを惜しんだ。寒くて嫌いだったこのマンショ
ンを、最後に自分のうちだったと思えた。みのりんと出逢えてりゅうじと出逢えて、友だちを
招くこともできた。

――パパ?

逢坂陸郎の娘は、いい人に見初められて昨日お嫁に行ったよ、と。今はどこにいるのかも分か
らない父に率直に報告をする。

最後に、緩んできた竜児の赤いマフラーを外してまた何度も頬ずり。
自分の匂いがたくさん移ってりゅうじを包んでくれるように。念入りに。
そうだ、と。お気に入りのバニラのコロンを一吹き。
鳶色の大きな瞳には光が揺らいでいるけど、唇にしっかりと笑みを持ち続けている。

「じゃありゅうじ。着替えてくる。」

北向きの窓にまた逢おうねと小さく声をかけ静かに寝室の扉を閉めた。マンションのエントラ
ンスを出て、路地の角。見やれば慣れ親しんだうちがある。しばらく眺めて、そして。

いつしか暮れた街路を踏みしめるように、逢坂大河はゆっくりと。
でも力強く歩き出した。




――END

(continues to 『虎、帰る』+アフター)




36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 23:34:18.34 ID:OLCOdQs40
>>1
大河をぶつけるAA略

>>35
GJ
大河の、竜児に対する所有欲の強さが垣間見られたようでした

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 01:46:55.89 ID:uLQC9isu0
>>35
乙です。夏・冬と熟読しちゃった
再会、あと修学旅行のケンカで意識されてることには気づいてそうだなーと思ってた
焼けつくように激しい二人の想いにゴロゴロ悶えたので、スレタイに沿ってると思うよ!

38 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/04/18(月) 08:39:38.75 ID:OoSrO/9Y0
お題 「コーナー」「笑み」「技術」



「つっかれたー」
「おう、思ったより大変だったな」
 そう言いながら、大河と竜児の顔に浮かんでいるのは爽やかな笑み。
「ここが、これから最低四年間、私達のあ……愛の巣になるわけね」
「……お、おう」
「でも、本当にいい部屋よねー」
「おう、苦労して選んだかいがあったぜ」
「その苦労ってのは、殆どあんたの拘りのせいだけどね」
「それほど拘ったつもりはねえよ。だけど限られた予算内で最良の選択をしようと思ったら、候補はできるだけ多くチェックしなきゃだろ」
「拘ってたじゃない。特に台所とか」
「おう、そりゃあな。自分で使うだけじゃなくて大河に俺の料理の技術を伝授しなきゃならねえんだ。それなりの広さは必要だし、使い勝手も良くねえと。
 っと、そうだ、鍋とかフライパンとか買ってこなきゃいけねえな」
「来る時に大きなホームセンターあったわよね。そこでいいんじゃない?」


「おう、予想以上に広いな。これなら品揃えにも期待できそうだ」
「あ、そうだ。竜児、私ちょっと寝具コーナー行ってくる」
「布団なら持ってきただろ?」
「んー、シーツの予備がちょっと多めに要るんじゃないかと思って」
「そりゃ、あるにこしたことはねえだろうけど」
「あと、一つ欲しいものがあるのよね」
「おう? 何だ?」
「YES・NO枕」
「……いや、ねえだろ」
「そうね、いらないかもね。竜児が相手なら私はいつでもYESだもの」

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 10:25:42.37 ID:BZVnsIow0
>>38
おっさんウザいよ
発想がチープ過ぎ

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:44:18.85 ID:rdQFgpIE0
たぶんYES・NO枕が必要なのは竜児の方w

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:23:38.42 ID:WvzQY8eb0
無粋

42 :お買い物に行こう!竜虎版:2011/04/19(火) 12:56:36.58 ID:K0fDOkNC0
【トークロイド】お買い物に行こう!【初音ミク】【KAITO】
ttp://www.youtube.com/watch?v=nDYpcy5Dn9Y&feature=youtube_gdata_player
を変換してみたらこうなった。粘る竜虎どうですか?


「竜児、大変だぁ!」
「なんだどうした?」
「スーパーで」

「スーパーでっ」

「なんだ?」
「相槌を打ちなさいよ」
「おう」

「スーパーで」
「おう」
「アイスが」
「おう」
「ごこ3あー、え〜、ん〜。ご、ごこ……」
「何だぁ?」
「5個で300円!」
「そうか」


「あれ?」
「何だ?」
「えっと……」
「何だってー?」
「……そそらない?」
「何が?」
「いや、アイスだよ?」
「おう、安いなそれ」
「うん、そうでしょ?」
「うん、そうだな」
「いや……だって……」
「何だよ?」
「竜児アイス好きでしょ?」
「知らん」

「知れ!知っておけそこはっ。“知らん”てなによっ?」
「何が?何だそれは。どこで聞いた?」
「何かそういう設定が……」
「知らねえなあ」
「知らないの?」
「知らねえ」


「……教えたよ?」
「そうか」
「好きになった?」
「なるわけねえだろ」

43 :お買い物に行こう!竜虎版:2011/04/19(火) 12:57:32.83 ID:K0fDOkNC0

「何でよ?」
「何でってお前そんなんなる、なるもんと違うだろ」
「ええっ?だってなんか。だって。あのねー?」
「おう、何だ?」
「えーーっ!好きっていう話だったじゃん」
「俺が知らねえよそんな話」
「いやいや。そんなことより。とりあえず買い物行こう、ね?」
「何で?どこ行くんだ?」
「流れからしてスーパーに決まってるじゃん駄犬」
「さっき買い物済ませちゃったから大河一人で行って来いよ」
「えええ〜っ!?何でよっ?竜児いなかったらお金どうすんのよ」
「どうすんのってお前、自分で払えよ。要するにお菓子買いに行くんだろ?」
「まあそうだけど。なに?なんだ、その。どーせ竜児も食べるわけだし……」
「いや、俺べつに食わなくてもいい『まあまあまあまあおかまいなくね。どうせ二人とも食べるから!』

「金も二人で出し合うのか?」




「いや、そうじゃなくて。竜児と私ってさ、家族みたいなものじゃない?兄さんじゃない?竜児」
「知らねえ。お前4月生まれなんだし俺、弟でいいぞ」
「あなたお兄ちゃんでしょ!」

「うるさいなあもー。何なんだよ」
「お菓子買ってほしいの♪」
「知るかよ!知るかそんなもん」


「知ったね?」
「え?うん。まあ。知ったよ」
「買ってよ」
「いやだ」
「買ってよぅ」
「なんでだよ」


「カッってなってやった、反省している」
「してねえだろ」


「いや、竜児の気持ちは私にも分かるけどね?」
「おう」
「女の子は3日に1回はねえ、あのー。甘いもの食べないとねえ?」

「おう」

44 :お買い物に行こう!竜虎版:2011/04/19(火) 12:58:37.58 ID:K0fDOkNC0



「……死ぬの」
「うそこけ」
「んん〜……」
「うそだろ?」
「んん〜〜うん」
「じゃあ行かねえ」
「なんでよ?」
「なんででも」
「何で私のわがままが受け入れられないのよっ」
「ワガママだからだな」

「もぉ〜、そういうこと言うのっ?」
「知らねえってもう。お前そんなの自分の金で。もう何なんだ?知らんわ俺」
「え〜?」

「お前……金ないの?」




「……ない」
「何で」
「つ、使ったから」
「何に」
「いや。まあ。何って。盛大に服なんか買っちゃって」
「そうか」


「アー、イー、スー!買ってりゅうじーーっ」
「知らねえってもう!お前はぁ」
「えええええええええ〜?」
「うるさいっての」

「ねねねねねね、甘いモノが食べたいんですけど」
「こんな時間に食ったら晩飯が食えないようになるぞ?」
「そうは言うけどね大佐、お腹が空いたらスニッカー『知らねえってば』

「ちょ。わがまま言うんじゃないよっ!」
「……俺か?」
「……いや、私だけど」
「じゃあ、言うな」

「えーっ、何でよ。そんなのひどいっ。わたしだって甘いもの食べたい時だってあるもん!」

「はぁ……なんだかな」
「ちょぉ〜、もう〜」
「ちょっ、本読んでるんだから邪魔すんな」
「何ぃ?マンガじゃんそれ」
「どうでもいいだろうが」
「ちょぉ〜、邪魔しないからお金ちょうだい」
「あほか」

45 :お買い物に行こう!竜虎版:2011/04/19(火) 12:59:24.41 ID:K0fDOkNC0

「ねえねえねえねえねえねえ!」
「もーっ!!冷蔵庫にプリンがあっただろ?」
「もう食べちゃった」
「俺の分もか?」
「ある。それは残してある」
「じゃあそれ食っていいぞ」
「ほんと?」
「おう」


「ほぉんとにぃ?」
「おう」


「いただきます!!」
「おう」




めんどくせえなあ……




46 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/20(水) 01:28:52.26 ID:dUnr+Q/f0
【プロローグ・大河の気持ち】

「くぉらぁぁっ!川嶋亜美ぃ!竜児は私のものよっ!勝手に触るんじゃないわよっ!」
「え〜、なんのことぉ〜?亜美ちゃん、コンタクトがずれてたから高須くんに見てもらってただけなんですけどぉ〜」
「そんなもん、洗面所の鏡でも見ながら自分でやれ!」
「自分であれだけ高須くんのことボコボコにしといて、よくそんなことが言えるわねぇ。あーあ、高須くん、かわいそー」
「……………」
「へんじがない、ただのしかばねのようだ…みたいな?おーい、高須くーん、大丈夫〜?」
「大丈夫よ、ちゃんと手加減はしてあるから」
「あれで手加減してるのかよ……。あ、おばさま、どうもお邪魔しましたぁ。騒がしくしちゃってごめんなさい。高須くんに、ミルクごちそうさまって伝えてくださぁい」
「ちっ、帰れ帰れバカチワワ」

「よかったぁ〜、大河ちゃん、今日のこと気にしてごはんいらないって言われちゃったらどうしようって思っちゃったぁ」
「大丈夫よやっちゃん。でも、確かに今の私の心には明確に怒りの感情が渦巻いているのは確かだけどね。竜児、あんた今日は随分色気づいた真似してたわねぇ」
「あの……大河?」
「今日のごはんは炊き込みごはん?へーえ、お赤飯にすればよかったんじゃない。ほほほほほ!」
「大河、なあ」
「――なに?」
「夕方のアレのことだけど…川嶋に、からかわれたんだ。まあ、『そんなこと』分かってると思うけど、気分悪くしたみたいだし…ごめんな」
「………ふん、今さら弁解したって遅いわよ。フィアンセがいる前でよくもあんな真似できたもんだわ。私今日はブサ鳥見ながらごはん食べるから、どんぶりに全部乗っけてちょうだい」
「………………や、やっちゃん、もうお仕事行こ〜っと……」

「なあ大河、おまえがムカついてるのは分かったから、いい加減機嫌直してくれよ」
「言ったでしょ、今さらだって。なによ、ご丁寧に『一周目』とまったく同じシチュエーションで迎えてくれちゃってさ。いくらでも回避する方法はあったでしょうが」
「おう…それは…」
「私、今日はあんたとは別々に寝るから………それじゃ先に寝るわ。お布団借りるわね」
「おい大河?………あーあ、部屋に行っちまった。こりゃ本気で怒らせちまったなぁ…」

47 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/20(水) 01:30:30.23 ID:dUnr+Q/f0
>>46続き

「竜児…」
「……」
「竜児…寝ちゃった?」
「……」
「……………ぐすっ」
「……」
「りゅうじ……ごめんね…」
「……」
「私…『一周目』となにも変わってない…。つまんない意地張って、自分から竜児のこと突き放して…」
「……」
「『一周目』のときだってそう。『怒ってない』とか言っても、本当はばかちーにヤキモチ焼いてただけ…でも、竜児はちゃんと私の気持ちを分かってくれてて…」
「……」
「それが嬉しくて、でも心を見透かされてるみたいで悔しくて…『勝手な妄想で、私はこう思ってるだろうって決め付けるな』なんて言っちゃって…」
「……」
「それでも、竜児は変わらず私と一緒にいてくれたよね。毎日の食事も、偽乳パッド作りも、ずっと助けてくれてたんだよね…」
「……」
「だから、ばかちーと水泳勝負したとき…竜児が溺れたとき…、本当に無意識だったけど、私は心から叫んでた。『竜児は私のだ、誰も触るんじゃない』って…」
「……」
「まだ恋愛感情とまではいかなかったけど、心の中で、竜児は誰にも渡したくないって気持ちが生まれてたわ」
「……」
「今回のことも、もちろん同じ体験をなぞる可能性だって十分あったのに、いざ同じ場面に出くわしたらこの体たらくよ。ヤキモチ焼いて、竜児に八つ当たりして…」
「……」
「この同居生活だって、私の勝手なわがままなのに、竜児は認めてくれて…私を抱きしめてくれて…」
「……」
「私…いつも竜児に助けられてる…いつも竜児の存在に救われてる…なのに…」
「……」
「ぐす…りゅうじ…ごめんね…うっ…ごめ…ひっく……んね……」
「……大河…もういいから」
「…えっ?りゅう…じ…あんた……起きてたの?」
「ああ、いつも抱いてたもんが急になくなったんで、胸元が寂しくてなかなか眠れなくてな」
「あ…あう…」
「大河、おまえの気持ちはよく分かった。ちゃんと素直に言えるんじゃねぇかよ」
「だ、だってそれは…まさか聞かれてるとは思わなくて…」
「まあ、そこがおまえらしいところなんだけどな。川嶋とのことは本当に悪かった。確かにいくらでもあの展開は逸らせることはできたのに、俺のせいだ」
「ううん竜児、私の方こそ、つまらない意地ばかり張っちゃって、本当にごめんなさい」
「いいって。じゃあ仲直りしたところで…改めて、一緒に寝ようぜ、大河」
「……うん。お邪魔します」
「邪魔なもんか。『二周目』でお前の寝る場所は、ここだろ?」
「…………うんっ。竜児…あったかいよ…もっと、ぎゅってして…頭…なでて」
「おう、ゆっくり休め。ずっと…こうしててやるから」
「りゅうじ…ありがと………おやすみ…だいすき…」
「ああ……おやすみ、大河」

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 03:08:11.11 ID:Fey1Wanx0
新スレが立ったと思ったら、投下ラッシュで嬉しい悲鳴!
追いつかないので読んだとこまでレス

>>35
うわぉ、これはいい!GJ!
夏編は電車の中で読んでいて、うっか乗り過ごしそうになったが
冬編も緻密な描写で濃厚。
22話ラストのベランダでのすれ違いのシーンも、こういう見方ならアリかなとか思った。

「水が溢れて大河になる」や
「世界に許せないものが満ちているんじゃなく私が許さないだけだった。」
にもグッときた。負けないよう、両親を肯定する大河、いいと思います。
また続きも楽しみにしています。

>>38
>>40
ヨロヨロと、NOを掲げる竜児の姿が浮かんだw

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 03:21:09.90 ID:Fey1Wanx0
>>45
テキスト見て、なんじゃこりゃ?と思ったが、元ネタみて盛大に吹いた。
ほんとに竜虎らしいので、是非、釘宮ロイドと間島ロイドでやって欲しいw

>>47
りた〜んずktkr
さすがあーみん、2周目でもつええなぁ


50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 08:18:06.29 ID:WBDUDpit0
>>38
YES/NO枕のオチで隠れているが「シーツ多めに」はなにげにエロすぐる!
三題噺氏はほんとに油断がならないw

>>47
二周目でもやっぱり焼くのか。しかし自分から甘えに行くのかwww
この展開だと亜美が1から参戦できるね。プール勝負も楽しみにしてます

>>48
続きは避難所にすでに投稿済みですよ〜

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 21:53:56.98 ID:TaDymwup0


52 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/22(金) 00:22:29.08 ID:36rcBgdC0
>>47続き

【水着を買いに行こう!】

「大河ー、今日は水着買いに行く約束だったよね?今日しか部活休みないから早く行こうぜぃ!」
「うんっ。みのりん、行こっ」
「あら実乃梨ちゃん、どこ行くの?」
「あ、川嶋さん。駅ビルに水着買いに行くんだよ」
「水着?ああ、そっか、明日もうプール開きだ!楽しみだねぇ」
「川嶋さんは水着どうするの?校則で指定されてるんだけど、黒か紺、ある?」
「え、そうなの?ジムで着てた競泳用のはグレーだし…」
「あ、なら川嶋さんも一緒に行こうよ」
「え?でもぉ……」
「む〜〜〜………」
「もー、大河ってば、なんちゅー顔してんの!そんなブンむくれツラして。川嶋さんは引っ越してきたばっかりで、水着売ってるお店もよく知らないんだよ!」
「いいのよ、実乃梨ちゃん。あたしなら大丈夫、高須くんに付き合ってもらうから」
「えっ?俺!?」
「駄目に決まってんでしょうがぁ!あんたこないだのことといい、人の婚約者に手ぇ出すとは本っ当にいい度胸ねこの泥棒ネコ…もとい、泥棒バカチワワ!」
「あ、ならこうしようよ。川嶋さんは私たちと一緒に水着を買いに行く。んで、高須くんも一緒に行く。それなら大河も文句ないでしょ?」
「ん……まぁ、ね」
「よしけってーい!さあさあ行くよ、時間は有限だぜ!」
「川嶋…おまえ絶対俺のことからかって楽しんでるだろ」
「ん〜?だってあの子、反応がいちいち面白いんだもん」

「ねえねえ逢坂さん、これなんてお似合いじゃない?ほら、ジュニアサイズ。やだぁ〜、かわいい〜。ほらここ、フリル〜!」
「……川嶋さんにはこれがいいんじゃない?発情中のメスチワワにはきっとぴったりよ」
「それ男用ブーメランパンツでしょ!」
「………恥ずかしいぞ、俺は……」
「あーあ、もう大河たちはまったく……高須くんは水着あるの?」
「おう、俺は去年のがあるからな」
「そっか。そうだよね、腐らせちゃう大河とは違うよねぇ」
「大河は特別だらしねぇんだよ」
「そだね。でもさ、そんな大河を優しくフォローしてあげるのが旦那である高須くんの役目でしょ?このこの」
「お……おうっ」
「大河言ってたよ。『竜児は家事とか、全部すっごくうまいんだよ!私にはできないことをいっぱいできて、すごいんだ』って、褒めてたんだ。大河が人を褒めるの始めて聞いたんだけど、高須くんなら納得だったよ」
「大河が…俺のことを?」
「うんっ。それだけ信頼されてるってことだよね〜。まあ、普段のあの子は素直じゃないから、なかなか面と向かっては言われないかもだけど」

―――りゅうじ―――ごめんね―――ありがと―――だいすき―――

「……そうだな。なかなか素直にはなってくれねぇけど、そこがあいつのかわいいところだからさ」
「おっとー!出ましたノロケ話、略してノロバナー!高須くんはツンデレ嫁に萌え萌えだーっ!」
「ちょっ!?櫛枝、声でけぇ!」

53 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/22(金) 00:29:07.53 ID:36rcBgdC0
>>52続き

【脱げばいいってモンじゃない!】

「この水着、どうかなぁ?」
「おうっ!」
「わあ!」
「どうかなぁ?おかしくないかなぁ?この地味な水着なら、変に目立っちゃったりしないよね?」
「なんじゃその足の長さはぁぁぁっ!目立ちまくりじゃい!」
「え〜、すっごく地味な水着を選んだんだけどなぁ、なにが目立っちゃうんだろう?不思議だなぁ」
「その水着どこのメーカー!?私もそこのメーカーにする!」
「実乃梨ちゃん、おそろいにする?」
「それだけは堪忍して〜!比べられたくねぇ〜!」
「……ふっふーん、やっばいよねこれ…やばすぎだよねぇ……。亜美ちゃん、超!超!超!かわいくねぇ!?こんなにかわいくて、亜美ちゃん、大丈夫?いやぁ、自分でも怖いわぁ…」
「おう…そうか…」
「亜美ちゃんってばもしかしてグラビアとかそっち方面もいけんじゃね?ねーねー高須くんもそう思うよねぇ?」
「……おまえ、そんな格好でウロついて恥ずかしくねぇのかよ?ここ、店ん中だぞ」
「はぁ〜?こんなにかわいい水着姿のなにを恥ずかしがれってのよ?見た人から、一秒につき三千円徴収したいくらいなのに〜。ほーら、もち、永久脱毛!」
「……いや、脱げばいいってモンじゃねぇだろ」
「モデルは見られてなんぼ、グラビアならなおさら脱いでなんぼよ。あ〜ん、亜美ちゃん、今日も最高にかわいい〜♪」
「……聞いちゃいねぇ…」
「え〜?高須くんだってあんなちんちくりんより亜美ちゃんのナイスバディの方が興奮するでしょ〜?ほれほれ、どう?この谷間。あの子にこんな真似できる〜?」
「あのなぁ…俺は胸の大きさだけで女を評価なんかしねぇぞ。大河は俺にとっちゃ十分魅力的な女だぜ。外見も、中身もな」
「うーわー、真顔で言い切ったよこいつ…。あんたたちのバカップルっぷりは十分わかってるから、冗談を真に受けないでよね。あたしだって、ツバ付きを奪うほど悪女じゃないわよ」
「じゃーん!どうだい!もういいんだもん見た目なんて、私は動きやすさで決めることにした!去年の三倍速く泳いでやんよ!」
「うわー!実乃梨ちゃん、超かわいいじゃーん!それに実乃梨ちゃん、どこも太ってないよぉ」
「そ、そうかな?ありがと!……あれ?ところで大河は?」
「そういや見ねぇな…あいつ、まだ試着してんのか?」
「高須くん、私たち先に着替えてるからさ、悪いんだけどちょっと探してきてくれるかな?」
「おう」

「大河ー、おーい」
「……竜児?」
「おう、そこで試着してたのか。どうだ、水着、いいのあったか?」
「うーん…やっぱり、『一周目』と同じ奴が一番いいかなぁ」
「そうだな…あれが一番素材もしっかりしてたし、乾燥機にもかけられたしな」
「うん、そうね。今回も同じのにするわ。竜児、ちょっとその水着取ってよ。すぐそこにあるでしょ?」
「えーっと……お、あったあった。なんだおまえ、試着室に持ち込んでなかったのかよ」
「う〜……一応、他の水着も試してみてたのよっ」
「まあいいや。ほれ大河、開けるぞ」
「うぇっ!?ちょ、ちょっと竜児!?待―――っ!」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………おぅ…」
「…………………きっ…」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「すっ!すまんっ!ってかおまえなんですっぱだかなんだよ!?てっきり『一周目』と同じで制服着てるもんだとばかり思ってたのによぉ!!」
「馬鹿ぁぁぁ!勝手な思い込みでほいほい行動するからでしょーがこのエロ犬!てゆーか声がでかいのよ!いいからさっさとカーテンを閉めろぉぉぉっ!!」

「脱げばいいってモンじゃない……か。確かにその通りね、いい勉強になったわ」
「大河……高須くん……あんたら難易度高ぇ……お約束すぎるぜ……っ!」
「つーか……あたしマジで恥ずかしいわ……バカップルどころかただのバカね、バカ!」

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 01:14:06.47 ID:jsugkBYh0
>>53
この展開だと亜美ちゃん友だちになってくれないんじゃ……。
ま、逆行だからそこは無視でいいのかw

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 11:36:12.33 ID:+AB9qH5f0
>>53

中の人もおっぱいに関しては巨乳だろうが貧乳だろうがどうでもいい。
ってスタンスだったなw

56 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/04/22(金) 13:23:23.11 ID:rKH0cz210
お題 「実乃梨」「溶けて」「夜明け」



 気だるい体に鞭を打って、傍らの大河を起こさぬようにそっとベッドから抜け出す竜児。
 最低限の衣服を身につける途中で袋の中身が随分と残っているのに気づき、それを手にして台所へ。
 片手鍋に牛乳を入れ、温まるのを待つ間に個包装を剥く。
 沸騰直前に火を止めてそれを放り込み、白に溶けていく茶色を見ながら考えるのは妙な入れ知恵をしたのは誰かということ。
 櫛枝実乃梨かあるいは川嶋亜美か、はたまたその両方か。
「後で大河に白状させねえとな」
 文句をつけるべきなのか礼を言うべきなのかはわからないけれど。
「……りゅうじ」
 マグカップ二つを取り出したその時にかけられる声。振り向けば、素肌に毛布を巻きつけた大河の姿。
「おう、夜明けのコーヒーならぬホットチョコレートだ。飲むだろ?」
「ん」
 答えた大河は、しかし竜児がマグにホットチョコを注ぐ間も動かずに。
「大河?」
「飲ませて。手離したら毛布落ちちゃうから」
「おう」
 竜児は大河の口元にマグを持ってい……こうとしてふと思いつき、その中身を口に含むと大河と唇を重ねてゆっくり流し込む。
 こく、こくとそれを飲み下した大河は、唇を離すと頬を赤らめつつもちょっと不満顔。
「……ホワイトデーまではまだ一ヶ月あるんだけど?」
「おう。その時までにすげえの準備しといてやる。期待しとけよ」
「き、昨日より凄いの? ……やだ、壊れちゃうかも……」
「……そっちじゃねえよ」

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 13:41:52.93 ID:+AB9qH5f0
夜に頑張りやがって、このバカ竜虎めw

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 15:16:39.37 ID:bJ4EzMG50
エロすな〜。入れ知恵ってなんだろう?

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 18:44:41.88 ID:COuQDjvx0
余計な事を教える、見たいな感じだと思う

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 23:36:48.20 ID:NTV85CLP0
>>56昨夜はお楽しみでしたね

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 23:53:54.33 ID:bJ4EzMG50
え?ぱふぱふ? え?

62 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/23(土) 01:54:06.21 ID:wK4Gi9lQ0
>>53続き

【哀れ乳とは呼ばせない!】

「よーし、メシ炊けたぞー。味噌汁も会心の出来だ、なんと食後にはプリンもあるぞ。ほれ大河、チキン南蛮。『一周目』のときよりもっとうまくできたぜ。マヨとタルタル、どっちでも好きな方かけて食えよ」
「はーぁ……まったく、今日はとんだ赤っ恥だったわよ」
「おうっ…」
「しかもあの後………」

―――脱げばいいってモンじゃない…か、確かに高須くんに言われた通りだったわ。
―――うかつに肌を見せてると、あーんなハプニングに襲われる危険が伴うってこと、身をもって教えてくれたんだものね〜。
―――どうもありがとう、お・ふ・た・り・さん♪……ぷぷーっ。

「完全に言い返されてたわよねぇ、笑われてたわよねぇ。ださ〜」
「………面目ねぇ。…っと、泰子、今日早いんだろ?メシできてるから食べようぜ」
「あ〜、ありがと〜竜ちゃん。今日女の子の面接あるのよ〜。よかったぁ」
「今日の服はまたすげぇな…」
「そ〜かな〜?みゃは☆」
「……Yだかグリコだか知らんが、変なポーズとってねぇで早く食えよ」
「きゃあん!大河ちゃんのえっちすけっちわんたっち〜!」
「おお…やっぱり大きい…」
「大河!人ん家の親にセクハラすんなよ!」
「やーん、いいのよう竜ちゃん。だって大河ちゃんは、うちの子だもん。子どもとのスキンシップだもん、ぜんぜん悪いことじゃないよぉ〜。竜ちゃんも触る?」
「触んねーよ!」

「おい大河、水着のサイズ直ししてやるから持ってこいよ」
「ん、ありがと竜児。それじゃあ……はい、お願い」
「おう、んでどうする?『今回』もやっぱり偽乳パッド作るだろ?」
「うん……それなんだけど…今回はいいや」
「……は?」
「だから、今回はパッドいらないって言ってるの。身体にぴったり合うように水着のサイズ直ししてくれるだけでいいわ」
「ま、まぁ…おまえがそれでいいってんなら俺は止めねぇけどよ…」
「うん。別に北村くんに私の水着姿を見せたいわけじゃないし、それに…」
「おう?……ぅわっぷ!………おい、おまえなにしてる?」
「竜児の頭を私の胸に抱いてるの。分かりやすくいうと、あててんのよ」
「あのなぁ…」
「……ねぇ竜児、竜児は、やっぱりパッドあった方がいい?こんな哀れ乳より、大きな胸の私の方が、クラスのみんなに見られても恥ずかしくない?」
「……ばーか。そんなこと気にしねぇよ。大きかろうが小さかろうが胸は胸だろ。こうして抱かれてて分かるけど、おまえの胸はちゃんとある。やわらかいし、気持ちいいぜ」
「あ……」
「それに、おまえの身体は決して幼児体型なんかじゃねぇよ。小柄なだけでスタイルはいいんだ」
「竜児…」
「ただ細いだけじゃない。ウエストもくびれてるし、痩せているけど骨ばってないし、肌も白くてきれいだ。『今』だから言えるけどよ、初めておまえの水着姿見たとき、俺、正直怖かったんだ」
「えっ?」
「なんつーか…大河の身体を見ること自体が暴力めいてるっていうか…そんなひどいこと、絶対したらいけないって、自分を鎖で縛り付けたくなってたっていうか…」
「……ありがと。そっか、竜児は…ちゃんと私の身体を『女』として、意識してくれてたんだ」
「お、おう…まだ、大河は兄弟みたいなモンなんだから、そんなよこしまな感情は持っちゃいけないって思いの方が強かったけどな」
「うん。『あのとき』はまだ、お互い好きな人も違ってたしね」
「そうだな」
「………やっぱり、今回はパッド、いらない。竜児がこのままの私を好きでいてくれるなら、私はそれでいい。この身体を誰になんて言われようと、気にしない」
「…わかった。大丈夫だ、おまえの胸を笑う奴がいたら、トラウマになるまで俺が睨んでやる」
「あははっ、あんたに睨まれたら、冗談抜きでトラウマものだわ。…でも、あんたの目、ほんとはとっても優しい目だって、私知ってるよ」
「そうか?」
「うん。ねぇ竜児、顔上げて?こっち見て」
「おう…」
「りゅうじ……好きよ……んっ………ふ……ちゅ………ぷは…」
「大河…」
「竜児に見つめられながらキスするとね……なんだか、頭がぼーっとして、とろぉんってして、ふわふわーって気分になるの」
「そうか、キス一つでおまえが気持ちよくなってくれるなら、いくらでもしてやるぜ」
「ふふっ、ありがと…竜児。それじゃ……もう一度…」
「おう…」

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 19:26:36.29 ID:JpPLdZEp0
どう考えてもこのままギシアンですw

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 23:25:49.54 ID:yQRGVMkE0
大河可愛すぎだろマジでw

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 23:40:36.36 ID:FnuzQt9E0
>>56
あっまあああい GJ!
色っぽい雰囲気一転して気が緩むオチもいいなw大河可愛いよ大河

>>53>>62
これは恥ずい気まずいwww
パッドは、やっぱそうなりますよね〜
コンプレックスを乗り越える大河、いいな。目を武器に使う竜児もカッコいいぜ

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 23:59:12.90 ID:qGW5kIsV0
週末まとめ読み。至福の一時。
新スレになってますます盛んですなぁw
みなさんGJ!28282828とまらねえぇえぇぇ!

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 01:09:54.34 ID:nWl8QpjO0
>>58

なんだろうねぇ。袋の中身が随分と「残っている」あたりからすると、大河がチョコ咥えながら、
「ん」
と、竜児にプレゼントしたかな。ミノアミの入れ知恵にしちゃおとなしい気もするけど(w
口移しってのもあるかも。

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 01:31:35.36 ID:vs1r5L1F0
>>67
「昨日より凄い」というのもあるから、「男の元気が出るチョコ」かもなw
そうするとこのオチは二回戦ということか。
なんかあみのりの入れ知恵というより春田の土産みたいですが。

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 22:09:52.71 ID:Q6BFMnp30
>>67

以前みのりんの入れ知恵で大河がわかめ酒ならぬわかめチョコをやって火傷したっていうSSがあったなw
ここから推理するとあーみんとみのりんが大河のあんな所やこんな所にチョコでデコレーションしたんじゃないか?
で、それをみた竜児の股間についてる高須棒が(ry

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 22:42:01.36 ID:U2LU07Rt0
そういう経緯ならチョコバナナ火傷という新たな地平に一票

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 23:52:39.32 ID:v+smNYzk0
>>69
それだ!
でも>>67も可愛くて捨てがたいなw
さぞ濃厚な一夜だろうて…

72 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/26(火) 00:58:30.91 ID:srXb6ZUT0
【プール、開幕】

「あ、亜美ちゃんきたきたー!うっそー、超かわいいー!ほっそーい!」
「ごめぇん麻耶ちゃん、髪がうまくまとまらなくて遅くなっちゃったぁ〜。嬉しいなぁ、あたし、プールって大好き!すっごく楽しみにしてたんだぁ」
「なんかもう……感動した!」
「生き神さまじゃあ!」
―――ふっふーん、亜美ちゃん、今日もさいっこうにかわいい!さあ、この天使様をひれ伏して拝め愚民ども!影を舐めろ、がはははははは!
「……とか思ってるに違いない…」

「おーし潜水対決やろうぜ!ビリはジュースおごり!」
「おっしゃやろやろ!………あ、ちょっとタンマ!高須、高須」
「おう?」
「さっきから、ずっと探してたろ?」
「ずっと、いないなあ、って思ってたろ?」
「な、なにがだよ…?」
「あ、高須くーん!どうどう?水、冷たい!?」
「ほれ高須、『嫁』が来たぞ!……おまえって本当に分かりやすいんだもんなぁ」
「みのりん、走らないで!また髪の毛崩れちゃう!」
「んじゃ、俺たちはあっち行ってるからさ。ごゆっくり〜」

「あははははー!気持ちいいーっ!いやー私分かったんだよ。プールの中に入ってたらこの腹を見せずに済むってさー!ってわけで、泳いでくるぜ!」
「……な、なんだったんだ、あいつは…」
「あはは、みのりん、相変わらずだね……わ、つめたい……」
「あらあ〜、逢坂さん、やっと来たのぉ?なかなか出てこないから、水着のサイズがぶかぶかで、みっともなくて出てこられないのかと思っちゃったぁ〜」
「水着のサイズ?はあ?なに言ってんの?寝言?あんた寝てんの?竜児がちゃんとサイズぴったり直してくれたに決まってんでしょ」
「そ、そうなの……さすがというか…よくもまぁというか……」
「さーて、暑くなってきたからパーカー脱ごーっと」

「「「「「………ああああぁぁぁぁぁ〜〜〜」」」」」

「……ぷっ、やっぱり控えめでかわいい胸だことね〜」
「ふん、なんとでも言いなさいよ。竜児はこのままの私が好きって言ってくれたもん」
「………一年じゃやっぱり駄目か…」
「胸部の成長確認できず……」
「俺はやっぱりあみたん派だ………」
「外野がなんだかうるさいけど、他の男なんてどうでもいいもん。竜児が私にハァハァしてくれるなら、それでいいんだもん」
「あ、あぁ………そう…なのね……」
「……だから竜児も、ほら、あんまりクラスメートを威嚇しないの。外野が怯えてるわよ」
「え〜っと、うん……なんか、ごめん。さ、さーて、亜美ちゃん、泳いでこよ〜っと」

「……なぁ春田」
「なーに能登っち?」
「高須ってさ、手乗りタイガーと付き合うようになってから、キャラ変わったよな」
「うん、間違いなくね」
「なんつーか……あそこまで手乗りタイガーに一途になれるって、ある意味うらやましいな…」
「そうだね〜。でもさ、俺もゆりちゃんが『春田くん、付き合って』って言ってきたら、多分付き合うよ?一途になれるよ?」
「………おまえの妄想もあいつらとは違ったベクトルで暑苦しいよ……」

73 : ◆Eby4Hm2ero :2011/04/26(火) 12:34:32.74 ID:xcHRDOTt0
>>72
GJ!
周りの反応はそうなるよなあw
それでいいという大河がまた可愛い。


前回の三題噺ですが、
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS22/1072.html
の続きです。

……あらためてチェックしたら去年の11月に書いたやつだもんなあ。そりゃわからんわ。

74 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/04/26(火) 12:37:09.17 ID:xcHRDOTt0
お題 「ギラギラ」「最中」「高須」



「っと、あーみん、そろそろ時間じゃないかね?」
「え? あらやだ、ホント。それじゃみのりちゃん、タイガー、またね」
「おーう、よいお年をー」
「ばかちー、お土産よろしくねー」
 颯爽と立ち去る亜美を見送りながら、大河は小さく溜息を。
「毎年毎年海外なんて、うらやましいわよねー」
「まあ普段忙しいからね。年末年始ぐらいはゆっくりしないとやってられないんじゃない?」
「そんなもんかしら」
「そういや今更だけどさ、大河はこんなにのんびりしてていいわけ?」
「んー? なんで?」
「ほら、大掃除とかあるんじゃないの?」
「あ、それなら竜児に任せてるから大丈夫」
「いや、主婦としてその発言はどうなのさ」
「何言ってるのよみのりん。竜児が自分からやらせてくれって言ってきたに決まってるじゃない」
「あ、そうなんだ」
「普段の掃除は私がやってるから、余計にね。もうやってる最中は目をギラギラさせて楽しそうなこと」
「そ、そうなんだ……」
「あれだけ喜ばれると、ここしばらくわざわざ少し手を抜いて掃除してた甲斐もあるってものよね」
「……なんつーか、相変らずいい夫婦だねえ、キミ達は」
「ありがと。でもまあ、そろそろ帰らないとね。一応私の分担もあることだし」
「あー、自分の部屋とか?」
「それもあるけど、竜児の大掃除をね」
「高須くん……『の』?」

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/26(火) 13:34:57.07 ID:5OZkW2XW0
>>72
亜美ちゃんごめんとか言っちゃったよw水泳勝負にいくのかな?
竜児がハァハァしてれば他の男なんかどうだっていいってのは惚れるなあ。

>>74
「竜児ー、お背なを〜流しましょー」とかですね。チャプアンだ。w
バレンタインネタも続けて読むといいね!ホワイトデーのお返し噺も期待します。

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/26(火) 23:49:26.18 ID:Rx5Y+68s0
gj!!

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/27(水) 03:18:59.11 ID:ZYk6MSMX0
>>72
GJ!
「竜ちゃん、喧嘩しちゃうなんて初めてだよねえ〜」
だからねー
堂々としてる大河イイ!こんなバカップルぶりを見せられちゃ毒気も抜かれちゃうなw
春田はどこまでもナイスなキャラだww

>>74
GJ!さすが夫の性癖を知りつくしているw
一段落後はお風呂でキャッキャウフフですね

78 : ◆QHsKY7H.TY :2011/04/28(木) 12:23:00.07 ID:cGxmxshI0
初めての方は初めまして。
覚えてくれている方はお久しぶりです。
久しぶりに短いですが作品を投下しようとトリ付きで舞い戻って来ました。
よろしくお願いします。

79 : ◆QHsKY7H.TY :2011/04/28(木) 12:38:28.58 ID:cGxmxshI0
と思ったけどちょっとタンマ。
久しぶり何で容量の見込が甘かったらしい。
小分けしてから投下します。

80 : ◆QHsKY7H.TY :2011/04/28(木) 13:20:25.26 ID:cGxmxshI0
長文が上手く書き込めなかったので避難所に投下しました。

忍法帖って何ぞorz

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/28(木) 19:08:17.15 ID:tLX+B/Kx0
お、避難所に新作投下w早速行ってくる。

82 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/04/28(木) 23:34:23.25 ID:wqAUgty00
>>72続き

【高須竜児は目で殺す】

ドーーーーーン!
「うわははははっ!どうだ北村っ!自分ばかりモテやがって!」
「俺たちは格差社会に疑問を呈すっ!」
「……げほっ!お、おまえらなぁ……っ!ええいくそっ、やりかえーすっ!」
「ややややめ眼鏡が眼鏡が……うわあああぁぁぁぁーーーーーーっ!」
「くらえ能登、これが夏だドローーーーーーップ!」
どっぱーーーーん!
「それ春田も逃がさねぇぞ!地獄のゆりかごーーーーっ!」
「うわーーーーっ!」
バシャーーーーン!
「さあさあ祭りだっ!」
「ブチ落としてやるっ!」
「きゃーやめてやめてやめ……いやーーーーっ!」

「うわっ、ちょっ………あぶねぇぞこれ!?大河、ここは一旦避難…」
「獲物発見伝!」
「いくぞソフト部同盟!」
「は?き、北村?櫛枝!?……わ、わわわっ!」
ざっぶーーーーーん!
「あはははっ!やーい、落とされてやんのー!」
「ち、ちくしょー!おまえもいっそ俺が落として……はっ!?そうだ大河!逃げろ!『一周目』の通りなら、この後おまえは……っ!」
「みぃ〜つ・け・た♪まだ落とされてない子♪」
「あ、あんた……っ!」
「遊びよ遊び♪本気で怒っちゃや〜あよっ!おるぁっ!」
「や、やめろバカチワワ!わ、私は、お、およげな……うぎゃああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!」
ザバーーーーーーン!
「きゃはははっ!ザマーミロ!さーて、あの生意気タイガーの泣きっ面拝んだるんじゃいっ!」
「おい川嶋……っ!あぁぁばっか野郎!あいつ泳げねぇんだぞ!?」
「は?……マジで!?」
「がばごぼげぼがばばばばばばばばばば!」
「うわぁぁぁやっぱ溺れてるー!大河ーーーっ!」

「ぶはっ!りゅうじ!りゅぶぶぶじびびびびびびぃぃぃぃ!」
「おわっぷ!おい大河落ち着け!大丈夫か!?」
「あし、あしっ!つかなっ!お、おぼぼれべぢゃうぶぶぶぶぶ!」
「な、なんだってんだばばばばばば!とにかく落ち着け……ぶっほ!」
「りゅうじ!りゅうじぃぃぃ!がぼっ!こわいよ…げほっ!……沈んじゃうよぉ!」
「大河!大河っ!………駄目だ、完全にパニックになってやがる………くそっ!どうすりゃいいんだっ!?」

―――竜児に見つめられながらキスするとね……なんだか、頭がぼーっとして、とろぉんってして、ふわふわーって気分になるの。

「―――そうだ!おい大河、俺の目を見ろ!」
「がぼごぼぐぼ………っぷはっ!え?め?目っ!?………んむっ!……………ん……………ふにゃあ……りゅう…じ……?」
「………ふぅ、よかった。落ち着いたか?大河」
「あ……ん…うん……ありがと…」
「よし、このままプールサイドまで連れてってやるからな。しっかり掴まってろよ」

「……なぁ春田」
「なーに能登っち?」
「あいつらさ、今プールのド真ん中で抱き合ってキスしてたよな。みんなに見られてる前で」
「うん、思いっきりね」
「なんつーか……あそこまで見せ付けられると、もはやうらやましいを通り越して痛いよな…」
「そう?でもさ、なんかいいじゃんああいうのも。『プールの中心で、愛を叫ぶどころかキスしちゃう』って、学校の伝説になれそうだよね」
「………公然と夫婦宣言してる時点で十分伝説級の存在だよ。あぁくそ!もう結婚でもなんでもしちまえバカップルが!」

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 00:18:01.61 ID:7nf+13Pl0
テンションたけーな、GJww
そしてチラ裏だが、GWは久々に全話ぶっとおしで見るぜ!

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 00:34:51.73 ID:M5G1Ua0t0
テンション高いというか……
>82、恥ずかしくないか。冷静になって自分が書いたもの読み返してみろよ

・ドーーーーーン! とか、小学生の作文?
・大河のキャラがおかしい、気持ち悪い
・台本SSもいいが、これからも、この流れ続けるつもりなら、手抜かないで描写もかけよ
 三題噺さんくらいの短編か、上手くないと台詞だけの話で長編はやめて欲しい

後、簡単にGJしてるやつ、こんぐらいでGJて、他のGJを貶めるようなもの
本気で、このSSで満足出来る奴は褒めるのはいいと思うけどさ 

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 06:52:46.64 ID:YUrNjIqg0
>>82
GJ、そう繋がるのかw
10巻竜児の舞い上がりっぷりを思えばちゅーぐらい…!思わずお礼言っちゃう大河可愛い

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 07:03:47.58 ID:fuiCft8u0
>>73
ぐぬぬぬぬ。なんか実乃梨が入れ智恵する話があったような無かったような
気がしたんだよなぁ。

続けて読むと「ホワイトデーまではまだ一ヶ月」の大河のかわいさがたまらない。

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 14:13:21.34 ID:ATgcUbT30
>>86
逆に考えると竜児みずからホワイトデーの難易度を上げてるよなw

入れ知恵ネタ見るといつも思うんだけどさ、
彼氏いない歴=年齢のあみのりが彼氏持ちの大河になんか教えるって結構ギャグだよね。



88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 22:57:54.12 ID:TSRTUDmi0
>>87

あみのりの正体=実は竜虎のラブラブ(妄想)を見守るor発想するスレ住人じゃないかな〜?
        

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 23:13:04.64 ID:Utj3+YtJ0
今さっきブルーレイ化すると知って1人で大はしゃぎしてるwしかもOVAまで付くとか
ありがとう、そしてありがとう!! (あっちのタイガーもかなり面白い)

まだまだイけるなとらドラ!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 23:16:59.19 ID:WOxF8EbW0
みのりはライト系から風木とかまで守備範囲な幅広いオタクだから知識豊富
亜美ちゃんはまやなな様たちともそっち系の話で盛り上がってそう
別にギャグじゃなくね

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/30(土) 04:09:28.84 ID:pLJ4Ik9O0
なんか最近変なの湧いてんなぁ・・・
嫌な空気に飲まれて廃れさせないためにも、みんなもっと書き込もうぜ

>>82
乙!恥ずかしいバカップルめw

>>86
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS19/913.html
このSSじゃないかな?
この人の作品はシリアスパート上手くて、とらドラ読み込んでいるのがわかるのに、
色々と振り切れてて好きだww

>>89
まだまだいけるよ!
あっちのタイガーも面白いね。タイガーと言われるとどうしても大河が浮かぶw

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/30(土) 08:35:22.56 ID:fMh6dadM0
>>89
まだまだいけるよ!

某ガンアクションの掛け合いも悪くないけど
やっぱあの二人には大河×竜児が似合う。

OVAにちょー期待しちまうよなw

93 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/04/30(土) 11:10:24.48 ID:Li73OGRO0
お題 「合わせ」「包み」「竜児」



「えーっと、後は合わせ味噌と……」
 調味料コーナーに向かう竜児の後に、そろそろと忍び寄る小さな影。
 手にしたいくつもの包みを籠に滑り込ませようとした瞬間、竜児がくるりと振り返って。
「……大河」
「ぶー、竜児のケチ」
「お菓子が欲しいなら自分で買えばいいじゃねえか」
「だって、お小遣い制になって前ほど自由に使えなくなっちゃったんだもの」
「だからってうちにたかるんじゃねえ」
「いいじゃない、ちょっとぐらい」
「ちょっとじゃねえだろ、大河の場合。今だっていくつ持ってやがる。大体小遣いっていっても俺より多いんだろうが」
「女の子は色々と物要りなのよ。って、え? おやつ代ってひょっとして竜児のお小遣いから出てるの?」
「当たり前だろ。泰子も含めて皆で食べるんならともかく」
「でもまー、いいわよね。知ってるんだから、竜児が実はけっこう貯め込んでるの」
「いや、それはイザと言う時のためのだな……というか、残念ながらついこの間殆ど吐き出しちまったばっかりだ」
「へ? あんたが? 一体何に使ったのよ?」
「おう、そ、それは……」
 思わず泳いだ竜児の視線を追えば、行きつく先は大河自身の左手薬指に宿る銀色の輝き。
「……お、お菓子、返してくるわね」
「お、おう。まあ、一つぐらいならいいぞ」
「えと、それじゃ……竜児は何が食べたい?」

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/30(土) 12:06:30.28 ID:IRg6pu5+0
>>93
婚約指輪贈られといても菓子をたかるのが大河らしさですね。
あーなんかあずまんが大王読み返したくなってきたw

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/30(土) 22:42:24.36 ID:TT2CTPr90
>竜児は何が食べたい?
「もちろん大河を食べt…」

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/01(日) 00:49:49.25 ID:ZFHqT2WH0
「じゃあ、私はお菓子のかわりに高須竜児特製のウインナーを…」

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/01(日) 01:39:24.20 ID:DuJBCxdN0
>>93
いつも乙です!
大河のセリフ見るに、時期は高三でしょうか
指輪贈るとはさすが竜児。テレテレな間がかわいいw

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/01(日) 23:58:26.54 ID:5MvnvvCD0
大河「スリスリ……」

99 : ◆fDszcniTtk :2011/05/03(火) 22:32:46.96 ID:4I7lhNxf0
「竜児」
「おう、どうした。またえらくローテンションじゃねぇか」
「あんた、今度は北陸のほうで他の女の発育がどうとか」
「しらねぇよ!今度は何だよ」
「これよ」
http://www.hanasakuiroha.jp/chara/tooru.html
「だから他の番組もってくんなって!」
「なによ。料理に情熱燃やしてて口調が乱暴って、まるっきり竜児じゃない」
「設定にあたるなよ」
「竜児は私のものなのに」
「お、おう」

100 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/03(火) 23:39:27.41 ID:uhrvPrJh0
>>82続き

【激闘の幕開け】

「だからぁ、泳げないなんて、あたし本当に知らなかったのよ!ごめんって言ってるじゃない」
「………」
「……んもうっ!さっきから何度も謝ってるのにずっと無視して!もうあったまきた!あ〜あ、せっかく夏休み、あたしの別荘にみんなで遊びに行こうと思ってたのにな〜」
「………へっ?」
「実乃梨ちゃんと祐作にはもう声をかけてあるから、あとは高須くんだけ誘って行くことにしよーっと」
「おうっ!?待て待て、大河が行かねぇなら俺もパスさせてもらうぞ」
「あっれ〜、高須くんに拒否権はないのよ?夏休みは、亜美ちゃんと一緒に別荘で過ごすの!」
「……あのなぁ、おまえは大河に謝ってたんじゃなかったのかよ。別荘と俺は関係ないだろ」
「ふ〜ん、高須くんまでそんな態度とるんだぁ。亜美ちゃん傷ついちゃったな〜。いいのかな〜、そんなこと言ってて」
「……?」
「ねえねえ祐作ぅ〜、聞いて聞いて!あのね、高須くんと逢坂さんって、どうせい……」
「わーっ!うわーっ!」
「ん?どーせー?……なんだ、なにか言ったか?」
「ど…どーせー……どーめー!そ、そうなんだよ北村!俺と大河ってめずらしい名前だから、同姓同名の奴なんてきっといないだろうなって話をしてたんだ!」
「ふむ……確かに、竜児と大河はあまり聞かない名前だよな。俺なんて祐作だろ?ありきたりな名前だから、きっと同じ名前の奴もたくさんいるだろうな」
「………おい川嶋、おまえ…」
「うふふ…わかった?あんたたちの秘密は亜美ちゃんの手の中にあるのよ〜」
「ぐ……卑怯な…」
「ちょっとあんた……勝手な真似は許さないわよ…」
「あれー?どうしたの逢坂さん。いきなり高須くんを後ろ手にかばっちゃったりして、『竜児は私のもの!』ってことぉ?」
「ええそうよ!これ以上勝手なこと言ってると、本気でボコボコにして泣かすわよ!」
「そんなことしたら、傷害で訴えてやるわ。さすがの手乗りタイガーも、法の裁きには勝てないでしょ〜?」
「はいはいやめやめ!双方離れて離れて!二人ともいい加減にしなさーい!いくらなんでも仲が悪すぎ!」
「み、みのりん、だってこのアホチワワが……」
「実乃梨ちゃん、逢坂さんがあたしのことを……」
「拳で友情を育てたいのは分かったから、それなら喧嘩じゃなくて、尋常にスポーツで決着をつけなさーい!」
「……いいわよ。その代わり私が勝ったら、ちゃんと私も別荘に連れて行きなさい!」
「それじゃああたしが勝ったら、逢坂さんだけお留守番ってことで」
「よし決まった!それじゃあ、種目はなんにするかね?」
「ん〜、やっぱり体育の授業でもやってるし、夏といえば水泳かな〜?」
「おい、ちょっと待てよ。さっき見てたろ?大河は泳げねぇん……」
「いいわ、水泳で勝負しましょ」
「な、大河!?」
「相手の土俵にあえて上がってやろうじゃない。その上で勝利した方が、よりこいつに屈辱感を与えられるものねぇ」
「ふ〜ん、いいのね?後悔しても知らないわよ」
「二人とも、異論はないかね?………よし、双方の沈黙をもって合意とする!勝負の日は今学期最後のプール授業の日!種目は水泳、自由形一本勝負に決定!」

101 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/03(火) 23:40:46.09 ID:uhrvPrJh0
『2−C全員目を通せ!』
「……はぁ、また『今回』も俺の席に回ってきやがった」
『第一回!高須争奪杯!あみたんVS手乗りタイガー 注:あみたん、タイガー、高須、ジャッジくしえだを省いて回せ』
「相変わらず大河に賭けてる奴はいないな……おっ?コメントが『一周目』と少し違うぞ」

『泳げないのにタイガーもよく水泳で勝負受けたよな。これ、賭けになんの?』
『高須は結構泳げるから、ちゃんと教えてやればいけるんじゃね?』
『タイガーは勝ち目ゼロでしょ。あみたんに賭けとけば確実だな』
『でもタイガーも、高須を亜美ちゃんの別荘に行かせないために必死だったよな。あーあ、あそこまで大事に思われるのって、ちょっと憧れるかも』
『高須くんもいきなりブレイクしたね』
『あみたんが嫁付きを本気で相手にするわけないのにな。タイガーの反応見てからかってるだけだろ』
『そだな。亜美の本命は俺だし』
『ばかじゃねえの。あみちゃんは俺がもらう』
『いやいや俺が』
『あみは俺のだからごめんな>arl』
『もしかしてallって書こうとした?』
『オールも書けないってやばくない?>春田』
『おまえ裏口入学だろ>春田』
『でも高須くんも顔と違って結構誠実なとこあるよね。なんだかんだ言っても逢坂さんの世話焼いてるし』
『愛の力って奴ですかねぇ』
『だって公然と夫婦宣言してるもんね』
『一年後あたりに結婚したって言われても違和感なさそう(笑)』
『ほんと、いろんな意味で見てて飽きないカップルだわ』

「春田は相変わらずだな……それと結婚って……これはこれで微妙に馬鹿にされてる感があるが……まぁいいか。さてと……こうなったら総取りしてやる。今回は……」
高須 10
「……五千円賭けてやる!」

「大河、『今回』も俺は全面的に協力するからな。絶対負けるんじゃねぇぞ」
「あったりまえでしょ。ちょっと過程は違ったけど、結局勝負することになっちゃったし」
「おまえ、なんでわざわざ水泳勝負で受けたんだよ?前みたくくじ引きにすりゃ、もしかしたらおまえの希望する種目で勝負できたかもしれねぇのに」
「いいのよ。みんな私は泳げないって思ってるけど、ビート板さえあればバタ足でなんとでもなるわ」
「おう…確かにおまえのバタ足はすげぇ速いもんな」
「それに、私が勝てば賭けはこっちのぼろ勝ちじゃない。たんまり儲けさせてもらいましょ。ふふふ……」
「……やれやれ、そんな思惑もあったのかよ」
「ばかちーがどこまで本気か分からないけど、私たちが一緒に住んでるのを知られてる以上、あいつが勝ったらそれをネタに本気で竜児だけ別荘に連れて行かれちゃうかもしれないし…」
「大河だけ居残りってのは、さすがにひどすぎるもんな。せめて『一周目』みたくみんなで行けるようにしたいが…」
「だから私が勝てば済む話じゃない。『一周目』のときは私が変な小細工しちゃったからあんな大騒ぎになって……竜児を危険な目に遭わせちゃったから……」
「あ……」

―――竜児は私のだぁぁぁーーーーーっ!誰も触るんじゃなぁぁぁぁぁーーーーーいっ!

「だから今回は真っ向勝負!正々堂々とあいつに勝ってみせるわ!」
「………おう、そうだな。それじゃ次のプール授業から、みっちりトレーニングやるぞ。俺たちは運命共同体だ」
「望むところよ。あ、でもその前に……」
「おう?……って、んむっ!」
「んっ………よし、やる気充填完了!……また足りなくなったら…充填させてね」
「……おう」

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 23:45:45.92 ID:TT66Ha1V0
今度もあみたんの身体の全裸が見れるぞw

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 23:53:04.97 ID:98xpKSKT0
全然成長してない、安西先生もびっくりだ
つまらん

104 : ◆Eby4Hm2ero :2011/05/04(水) 11:20:10.78 ID:05l0Bprf0
>>100-101
GJ!
どうやって勝負にもっていくかと思ったら……なるほど、そうきましたか。
そしてクラスメイトのコメントwww

105 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/04(水) 11:21:24.06 ID:05l0Bprf0
お題 「本当」「数倍」「周り」



「そうだ大河。俺、今日ちょっと出かけるからな。昼飯は冷蔵庫に入れとくから、レンジで温めて泰子と食べてくれ」
「ん、わかった。けど、どこに行くのよ?」
「おう、中学の同級生でちょっと遠くの高校に行った奴がいてさ、そいつが夏休みで帰ってきてるってんで、久しぶりに会いにな」
「へー、あんたにも昔の友達って居たのねー」
「……当たり前だろ」


「ところで高須、お前、彼女ができたんだってな」
「はぁ? いねえぞ彼女なんて」
「またまた、とぼけんなって」
「あのなあ、俺が女子と接するのが苦手なのはお前も知ってるだろうが」
「だけど小木が見たって言ってたぞ、すっげー可愛い女の子と仲良く買い物してたって」
「おう? ……いや、それはだな……」
「なんでも周りが引きまくるぐらいにラブラブなバカップル状態だったんだって?」
「中村……小木がやたらと話を大袈裟にするのを忘れたわけじゃねえだろ?」
「そりゃわかってるさ。でも、楽しそうに買い物してたってのは本当だろ? 証拠もあるしな」
 言いながら見せられた写メには、確かにスーパーで微笑みつつ何かを話している大河と竜児の姿が。
「お……おう……」
「だけど、こんなに可愛い子見たことないぞ。一体どうやって知り合ったんだ?」
「……い、言っとくけどな、大河は確かに見た目は可愛いけど、中身はお前が想像する数倍……いや、数十倍は凶暴だからな」
「へー、大河ちゃんていうのか。下の名前は?」
「いや……名前の方が大河だ」
「……なんだよ! 名前呼び捨てかよ! ますます彼女確定じゃねえか! いやー、大橋の堅物番長にもついに春がきたかー」
「だから違うって! 大河とは、その、近所で、ちょっと縁があって……そうだ、家族! 家族みたいなもんなんだよ!」
「彼女じゃなくて、家族……ってことは……嫁か!? 嫁なのか!? そうか……あの高須がまさかなあ……」
「そうじゃねえぇぇぇっ!!」

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 12:25:43.56 ID:0Np9LewU0
>>101
すでに浮輪バタ足で勝算があるもんなwこの展開だとクライマックスも……かな?
楽しみにしてます。

>>105
どっちの夏休みかで盛り上がりが変わりますね。
三題噺氏ならトリッキーな方じゃないかなあと2828

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 17:07:22.33 ID:ACbN0Pwl0
tes

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 23:04:37.38 ID:X1S8m+Dc0
>>99
思考が竜児中心すぎる大河可愛いよ大河

>>101
コメントの温度差がいいなw竜児の株だだ上がり!
春田はやっぱり春田だったww

>>105
二人とも目立つし、実際噂されてそうだw
まわりから見たら案外穏やかに見えるんじゃないだろうか

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 08:04:55.34 ID:8MXWpI0M0
大河の凶暴凶悪描写ってのはあくまで竜児主観で且つ本心とは限らないくさいものな。
10巻読むと手を出さないための防衛機制だったみたいに読める記述もあるし。
日常は素で仲のいいカップルに見えるんじゃないかな。

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 09:02:57.74 ID:cNTI+Oyt0
それはいいすぎ、もはや、俺らが愛する大河じゃない。手乗りタイガーと呼ばれるくらいだもの。
あいつらは大喧嘩しながらやっていくさ
付き合ってしばらく立つっても、喧嘩しないカップルはいない。
無関心と同じだからね


111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 11:34:25.95 ID:xKUCOygh0
そりゃ喧嘩もするだろうけど、それと凶暴性は別では?
大河は本編でも落ち着いてきていたしさ。進路相談室でゆりちゃん来る前のやりとりとか好きだな
騒がしかったりほのぼのしてたりアマアマだったり、お互いの多彩な面を引き出せる
本当に良いカップルだわ

>>109
凶暴だったのも事実だけど、1巻でも大河は凶暴な手乗りタイガーだと何度も再確認していたと記述あるし、
全力で理性を総動員させていたらしいからなw

112 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/05(木) 18:29:00.99 ID:nsAQz4f90
>>100-101続き

【激闘に向けて】

「よし。やるぞ、大河」
「いくわよ、竜児」
「分かるぞ……『大河をどうやって川嶋と対等に競えるまでにするんだ』と言いたそうな視線がありありと感じられるぜ…」
「ふ……、それじゃあ、見せてあげましょうか。練習、始めましょ」
「おう。ほれ、ビート板」
「ありがと。じゃあ、軽くバタ足してみるわね―――」

「おおぉっ!?手乗りタイガー速ぇ!」
「あいつ、泳げないんじゃなかったのかよ!?」
「身体が浮きさえすれば、後は力技でどうにでもなるってことか……」
「やっべぇ俺タイガーに賭け直そうかな…」
「ありゃー、もしかしたら、もしかするぞ……」
「あれ、ただのバタ足だよな…泳ぎのセンスはないけど、あのパワーは侮れねぇぞ」
「あみたんがマーメイドなら、タイガーはさしずめ突撃魚雷ってとこだな」

「ふふふ、びびってるびびってる」
「そうだな。勝負はとにかく、速くゴールすればいいんだ。泳ぎ方なんか関係ねぇ」
「そうね。ねえ竜児、ちょっと反対側で待っててくれる?ちょっと端まで通して泳いでみるわ」
「おう、『一周目』の通りなら、明日からずっと雨続きになっちまうからな。できるときに特訓しとこうぜ」

「………結局、まともに練習できたのはあの日だけで、あれから二週間、ずっと雨だな」
「そうね。やっぱり今回も温水プール閉館してたし」
「とりあえず、俺ん家でバタ足の練習とイメージトレーニング……」
「後はお風呂で息を止める練習くらいしかできないものね…あ〜あ、もどかしいわ…」
「そんな二人に、ほれ、俺からの贈り物だ」
「市民プールの入場券……北村、ありがとな」
「ああ、俺は逢坂に賭けた。まぁ、あまりにも自信満々に高須が逢坂に賭けてるから、俺も乗っかっただけなんだけどな」
「私に賭けてくれたんだ……ありがとう北村くん!」
「こないだの授業で逢坂のバタ足を見て、これはいけるって思ったぞ。逢坂はさしずめ『火事場のクソ力』タイプだからな。最後にすごいひっくり返し方をしてくれそうだ」
「それじゃ、ありがたく使わせてもらうぜ。今度の週末にでも行くか」
「うんっ」
「ああ、頑張って練習しろよ。雨、止むといいな」

113 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/05(木) 18:31:08.89 ID:nsAQz4f90
「さて……市民プールでたっぷり練習はできたが、気が付けば、勝負はもう明日か…」
「そうね。ここんとこ、ずーっと雨だったからね」
「……っと、やっぱ今回も降ってきたな。この焼きそば食ったら帰るか?」
「ううん、もうちょっと練習、する。まだ…頑張る」
「そっか。なら、俺はなにも言わん」
「ありがと。そうそう、『一周目』のこのときも、頑張ろうって気持ちになってたのよね」
「おう?」
「ほんとは『一周目』のときに言いたかったんだけどね―――あんたが、私のために、一生懸命になってくれたから。私のことを、ずっと助けてくれたから。だから、頑張ろうって」
「……」
「水着姿が恥ずかしいって言ったら偽乳パッドを作ってくれた。水に顔もつけられない私を見捨てないで、つきっきりで泳ぎの練習に付き合ってくれた」
「大河……」
「だから『このとき』は、北村くんに誤解されてもいいから、あんたのために、私も一生懸命頑張ろうって気持ちになってたの……結局、素直に言えなくて喧嘩しちゃったけどね」
「……あ」

―――頑張ろうと思ったの。つまり、あんたが……あんたには、全っっっ然、関係ないけどね!
―――あーそうかよ。じゃあもういいよ頑張んなくて。俺のことどうでもいいなら勝負もなしにすれば?
―――なによ、結局行きたいんだ、川嶋亜美ちゃんの別荘。ばっかじゃないの!
―――おまえ…全っ然!分かってねぇんだな!前のときもそうだ!俺が川嶋と抱き合って、それがなんだってんだよ!
―――分かってないのはあんたよ!なんでまたその話するの!?私は怒ってないって言ってるのに!私の気持ちも知らないくせに、知ったようなこと言わないでよ!

「竜児のために頑張りたい。竜児をばかちーの別荘に行かせたくない。竜児は私のだ、誰にも渡したくない。誰にも渡さない。………そんな気持ちで、心がいっぱいになってたの」
「そう…だったのか。なんか……すまん」
「いいのよ。あのときはまだお互い好きじゃなかったんだし、自分自身、この気持ちがなんなのか、はっきりとは分からなかったからね」
「お互い、気持ちの食い違いがあって、とうとう爆発しちまったんだよな」
「うん。でもね、喧嘩しても、竜児はやっぱり優しくて……翌日、ちゃんとお弁当と、朝ご飯まで別に用意してくれてて……」
「泰子がさ……言ってたんだよ。『大河は俺を好いてくれている。どうでもいいなんて思ってない。本当に俺のことが嫌いなら、ここで飯なんか食わない』ってさ」
「やっちゃん……私の気持ち、全部分かってたんだね」
「おう、なんだかんだ言っても、やっぱりこいつが親なんだなって思えたよ。だから泰子に免じて、弁当は作ってやろうって思ったんだ」
「うふふ、マザコーン」
「ぐ……ほ、ほれ!さっさと練習やって帰ろうぜ。雨も強くなってきたし、風邪でもひいたらカッコつかねぇぞ!」
「あ!待ってよ竜児ーっ!」

「竜児……もう寝てる………わよね」
「……」
「今日はありがと。雨の中でも練習に付き合ってくれて」
「……」
「でもね…明日になる前に、一つだけやり残したことがあるから…」
「……」
「最後のやる気の充填………ちゅっ……」
「……」
「……えへへ。りゅうじ……大好き」
「……」
「明日…頑張るから…おやすみ……」
「……………とっくに目ぇ覚めてるんだよ……ったく、幸せそうな顔しやがって」
「……」
「こいつめ……お返しだ……ちゅっ……」
「……」
「俺も好きだぜ。おやすみ…大河」
「……………ばか。まだ寝てないわよ……」
「……………おう……」

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 19:10:00.20 ID:rm+hqHFV0
くそうwバカップル師ねwww

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 22:35:27.08 ID:qDgfKjzf0
>>113
乙です。
あの喧嘩は二人の感情が爆発して、でも肝心な所には触れない感じがもどかしいんだけど好きだ。
そして毎回のようにちゅっちゅしやがってこのバカップルめww

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 23:10:12.67 ID:Fh1p89M20
>>113
乙。互いへの理解があると波風も立ちにくいな。


アニメスタイルが、正規の手段では手に入れられそうになくてヘコむ…。
ちゃんと予約しときゃよかったorz

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 06:15:09.34 ID:nGLElStt0
自称ドSとか言ってる糞女をボコボコにして
涙目の状態で「ううっ…えぐっ…ご、ごめんなざぁい……」
って言わせたい

118 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/08(日) 06:42:13.29 ID:xpK0nZp80
お題 「どうやら」「皆」「それは」



「ねえ竜児、卒業旅行いかない?」
「おう、また藪から棒に……でもまあ、悪くねえアイデアだな」
「でしょでしょ」
「大河は何処に行きたい?」
「温泉!」
「おう、いいないいな。となると、熱海とか……」
「ちっちゃいこと言ってるんじゃないわよ。ここはどーんと、由布院!」
「ゆふ……って、九州じゃねえか!」
「そうよ。何か問題でも?」
「大ありだ。旅費とか、さすがにそこまで出す余裕はねえぞ」
「だ〜いじょうぶ! そのへんは私にまっかせなさ〜い!」
「まかせられるか! 大河だってそこまで小遣いもらってるわけじゃねえだろ」
「タネを明かしちゃうとね、合格祝いってことでうちの親がスポンサーなのよ。交通費はパパが出してくれて、泊まるのはママの親戚の所に格安でってね」
「おう、それはそれで申し訳無い気が……」
「厚意なんだから素直に受け取っとけばいいのよ。どうしても気になるっていうなら、自分で稼げるようになってから返せばいいじゃない」
「おう、そうだな」
「ってママが」
「……おう」
「じゃ、行き先まで決定でいいわね? 後は日程よね」
「おう。と言っても今の所大した予定はねえし、別にいつでも……」
「早目に予定確認しとかないとね。みのりんでしょー、北村君でしょー、ばかちーでしょー、麻耶に奈々子に、ついでだ、アホロン毛とバカ眼鏡も連れていってやろう!」
「おう? ……おう、そうか、皆で行くのか。それはそうだよな、うん」
「……竜児」
「お、おう?」
「あんた……どうやら私が考えてた以上にエロ犬だったみたいねえ」
「なな、何がだ?」
「旅行、二人で行くもんだと思い込んでたでしょ」
「……う」
「あわよくば湯上りしっとりつやつやボディの私と朝までしっぽりと……とか考えてたでしょこのエロエロ魔人」
「いや、そこまでは……」
「そ、そういうのは、いずれまた、ね」

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 08:55:58.36 ID:CP2M9m0Y0
おあずけ気分もいいもんだ!
修学旅行の時の班だし、また押し入れイベントがあるのかな?

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 09:41:06.68 ID:NIbW4W09O
しっとりつやつやボディ……ゴクリ

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 10:16:07.31 ID:toDE+OPH0
大河と竜児がヤってるのを押入れからみんなが見てる…とか?

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 14:39:42.98 ID:ttj5eMGA0
>>121

さあ、早く書くんだ!

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 15:23:47.66 ID:toDE+OPH0
北村「すごく見てはいけない物をみてしまった」
春田「二人が何してたか分かんないの俺だけー?」

春田でもそれは無いかww

>>122
前にとある系のss書いて叩かれまくったからそれがトラウマww
もうssは書けない

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 17:36:15.92 ID:j6Hs03Mf0
そこと違ってここは暖かいぞ?
かつて書いていた俺が言うんだから間違いない。

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 20:44:55.58 ID:CP2M9m0Y0
別にヤってるからと言って濃厚なセックスしなくてもいいぞ?してもいいけど、あ、このスレじゃだめなんだっけ。
クソバカポーないちゃいちゃを押し入れから覗いているSSでいいんだぞ?
ほうら書けるような気がしてきたろう?
いくら押し入れと言っても男女7人入るのはきついから、大河がちゅくちゅくぼーし言い始めたらドドっとふすま外れて出てくる
ようなギャグ展開でも構わない。ていうかむしろお願いします。

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 21:46:09.68 ID:68v85K2i0
>>123
心配するな!
過去にどうしようもないギシアンをポイ捨てして華麗にスルーされた俺が保証するぜw

ガチエロは避難所でね!

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 23:57:25.04 ID:4iXh4caf0
>>118
そりゃあ期待するよなあwみんなで旅行は是非実現してほしいシチュ。
目を盗んでイチャイチャもいいし、ナチュラルにカップルな雰囲気あるだけでも2828できる。

まとめサイト、更新されているな。
いつも乙です。

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 23:59:28.90 ID:4iXh4caf0
556 名前:まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY[sage] 投稿日:2011/05/08(日) 15:58:34 ID:???
まとめサイト更新しました。

「虎、帰る」シリーズを改訂後と入れ替えたりしました。
何か不具合等がありましたら、ご指摘をよろしくお願いいたします。
本スレが相変わらず規制中なのでこちらでご報告。



アニメスタイル予約していて良かった…


129 :123:2011/05/09(月) 00:22:31.00 ID:UeJmOR4P0
じゃあ明日の夜に投下しようと思う。
今書いてるところだけど結構思いつくの難しいな

130 :123:2011/05/09(月) 00:48:33.03 ID:UeJmOR4P0
後半の方でエロに走ってしまったww

131 :123 ◆1JnuILQrgF35 :2011/05/09(月) 02:14:04.80 ID:UeJmOR4P0
トリップつけるの初めてなのでテスト

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:31:25.80 ID:o8AfO+Tx0
おっしゃあ!ばっちこーい!
へいへいへい!リーリーリー!

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 23:50:54.42 ID:6E+AAHcM0
>>118
定期の投下、乙&GJ!
「旅行いかない?」で瞬時に妄想始めた竜児が目に浮かぶw

>>まとめ人さん
サイトの更新、乙&感謝!
しかしSSの数も膨大なものになったな…

>>131
投下待ってる!エッチぃの期待してていい?w

134 :123 ◆1JnuILQrgF35 :2011/05/10(火) 00:39:31.00 ID:7kIM4mi+0
避難所2に投下します

135 :123 ◆1JnuILQrgF35 :2011/05/10(火) 01:04:49.58 ID:7kIM4mi+0
投下完了
昨日の夜に書いたものです
エロシーンは余り書き方分からなくてあっさりになってしまった…

136 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:40:39.08 ID:GBd2omLp0
新作投稿させていただきます。

【タイトル】お姉ちゃんにまかせて
【内容】主に竜児がひたすらいちゃいちゃします。エロありません。
ダブルエンドっぽくなってますのでお好みの方を。31KB

↓12レスほどいただきます。宜しくお願いします。

137 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:42:41.25 ID:GBd2omLp0

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったバカポーコメディ(要するにアニメ版アフターです)


 先に靴を履いて玄関を出た。出たら外階段の踊り場で手すりにもたれて待つ。
 ちょっとの時間歩くだけなのに、きちんとした性格の彼は家じゅうの灯りを消してから出て
くる。チャリチャリっと鍵をかける音。
 私はそれを待ってから手に持った鞄を肩にかけ両手を空ける。
 じゃ、行こうかと彼が先に階段を下りていく。一段、二段下りたタイミングで竜児、と声を
かけて止まってもらった。

 ん?と半身になってこちらを向き直ってくれたら、目で告げてみる。ほとんど毎晩のことだ
から私が甘えたいのなんか彼はもう分かっているだろう。
 待ち切れずに両手で頬をつかんでゆっくり引き寄せて。ちょっと見つめてから口づける。
 背伸び、なし。
 見かけの身長145cmになった彼と目線を合わせて、一日一度、私が自然に主導権を得て
るかのようなシチュエーション。
 ややあって、彼の腕に優しく包み込まれた辺りが潮時。
 私に、はもちろんだけど彼にも火が点いてしまうようなえろちゅーまでしない。切なくて独
りで眠れなくなっちゃうのは困る。お休みの週末までがまん、がまん。

 階段を下り切ったところで、彼がふり返って手をすっと取ってくれる、ようなフェイントで
私の前髪をはねあげる。
 熱を測るようなしぐさ。そして、でこにちゅっと可愛いキス。
 やったなあ?と。頬を緩めて目で怒ってみせたら、私の額に大きな手をあてたまま、彼も嬉
しそうに頬を緩ませる。そうしてもう一回。ちゅ、される。
 えーと。これで私1回、竜児2回。
 公園前の角までの間に今度はほっぺたに3回目。コンビニ寄ってくだろ?と言うついでを装
って自然にやりました?はいはいわろす。並んで歩きながら人が通らないのを見すまして、コ
ンビニに着く前に4回目。でこちゅー好きなの?

 春、4月。
 進学して、別々に通ってる私たち。朝は高校時代と同じく、いっしょに過ごしてから出かけ
るけど帰りの時間はなかなか合わない。4年制の竜児は今の時期、まだ割と早めに帰宅できて、
3年制の私は早くも講義と実習でびっしり。遅めの帰宅になりがち。
 でもいっしょに夕ご飯したいって私のわがままを聞きいれて待っててくれてる。二日に1日
は竜児といっしょにいるのに独りご飯で出勤していくやっちゃん、ごめんね。
 だから、前のように深夜まではゴロゴロしなくなった。お互いにやるべきことがあるんだか
ら時間をうまく使ってメリハリってものを持たないとって思ったの。打ち合わせたわけではな
いけれど。
 そんなわけで、前よりも早い時間に私は高須家を辞して帰宅する。竜児が防犯と称して送っ
てくれる。夜中になってから独り出歩かないよう心配して、コンビニに寄れと世話を焼いてく
れる。という小さなデートをこのところ毎晩してる。
 そうしてお互いに火が点かない程度のスキンシップを開発したってわけ。とくに竜児が。

 今晩の夜食とかおやつを買ってコンビニから出てきて、外で待っていてくれた竜児に目くば
せして。そうすると肩に手を置かれる。これはフェイントだから、反対側にちょっと顔を向け
て待ってると、逆手で前髪を分けられて、またもでこちゅ。5回目。
 ほっぺたとばかり思ってたから意表をつかれた。

「こら♪予想外」
「お、おう。悪い悪い」

138 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:44:41.59 ID:GBd2omLp0
 住宅街の辻で、車も通らないのに並んで律儀な信号待ちをする。これはもちろん歩きながら
よりも立ち止まっていた方が狙いを定めやすいから。ちゅっ、と今度はほっぺたに。10分間
で6回目。今日の定時爆撃は多いわ。ふにゃあ。……おっと。

 ゆっくり歩いても、寄り道しても、高須家から徒歩3分の私の部屋まではすぐに帰り着いて
しまう。こんなふうになるのが分かっていたら、も少し離れた場所に借りれば良かった。
 3階に上がって玄関前まで来て、ごそごそ鍵を出していると、また大きな手が私の額にあて
られて前髪をはねあげる。私は手を止めて、目を閉じてやや上を向いてみる。フェイントも想
定のうち。さあどこにでもコロニー落として。
 微妙な間があって、ちゅ……。瞼に。あ、意外なとこ。7回目。

 これで今日のデートはお終い。背伸びをして、屈んでくれる顔をしっかりつかまえて、左右
の頬に、私から2回目、3回目を返していく。どくん、という脈動を抑えながら、今夜も負け
越しかなと思う。
 くすぐったそうな竜児の頬に添える私の手が鈍く光ってる。いずれ稼げるようになったら改
めてちゃんとするけど、とりあえず今はこれで精一杯な。と今日贈られたチタンのエンゲージ
リング。ささやかな、嬉しい誕生日プレゼント。
 わたし、逢坂大河は今日、あなたよりひと月はやく19歳になりました。明日からしばらく
はお姉ちゃんづらを拝ませてやるわ、竜児。


 近所迷惑にならないよう、扉を開けたままひそめ声で話をする。明日何時?とかみそ汁の実
はなにがいい?とか他愛ないことをゆっくりと。片手の指だけをつないで弄りながら。
 上がってく?お茶のんでく?って言いたいけど、言えない。今度は竜児が帰りたくなくなっ
ちゃうし、毎日色ボケしてるわけにもいかないんだから、慣れないとって思う。
 けど、まだ慣れない。さみしい。竜児の傍らにいない時間をうまく使えてない。なんであん
た本当に私の弟に生まれてこなかったのよ、とさえ思いたくなる。

「じゃ、私あした提出の課題あるから……」
「おう……」

 そろそろ、という振りで意を決する。返事をしながらつないだ指に目を落としてる竜児の手
にも私から贈った金属の光。なにか考えてるふうでいきなり持ち上げると、ちゅ。
 手、ててててて、手に?は、8回目っ。こっ。こっ。こっ恥ずかしいじゃないのよっ!

「りゅ、竜児……反則」
「あ、そ?そうだったか?……すまねえ」
「もう遅い。どきどきしてきた。課題手につかないかも。どうしてくれんのよ?」

 責任とって嫁にしなさいよ。お、おう、もらう。……ばか、ネタ方向に持っていくように振
ったのに何なのよその顔。集魚灯か。漁火か。
 あんたは漁船、私はイカ。
 イカは漁船と並び立つことなんてない。ふらふら浮いていって一方的に潮水吹きながら捕え
られて切り口にぴしっとエッジの立ったしっとりつやつやイカソーメンに捌かれて美味しく食
べられちゃうのよ。コリコリっとね。
 ……ちょっ。喩えが下品だった。うっかりクチに出してたら手刀くらうとこだったわ。
 ともかく、とっとと灯り消して港へ帰れ!私たちの日常のために。

「じゃ、また明日ね。りゅーぅじ♪」
「お?……おう……明日な。じゃあな」

 こっちだってね、あんたが好きな顔くらいもう知ってるの。何を想って笑いかければあんた
のスイッチが入るかくらい。がまんしてやってたのに、こうなったらMADしかない。相互確
証破壊ってやつ。勝者、なし。

139 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:46:50.07 ID:GBd2omLp0
 立ち尽くしたままの彼にニコニコ微笑みかけて扉を閉めた。がちゃっと鍵をかけた。掛けた
のを確認できて彼はようやく立ち去る。
 タイミングを測って、階段を下りかける前に再び扉を開けて竜児!と呼ぶ。驚いたように振
り返った彼に向ってちゅっと投げキッスを直撃。にひぃと笑ってやって、リアクションを見ず
にさっと退却。ざまみろ。これでたぶん眠れまい。
 イカソーメンを肴にひとり晩酌でもするがいいわ。あ、また下品。


 シャワー浴びて煩悩を振り払い、髪を乾かしながら課題を済ませたら、時刻は天辺を回った
辺りになっていた。
 そろそろ寝ようかな。あ、そうだ今日の記録を付けないと。
 メモ帳を広げて今日の日付を記入。私……3回、竜児は……8回。内訳はー?でこ4ほっぺ
2瞼1手1かあ。手は初めてだなーでもまあ今日は特別だからしたのかな。
 RtoTって刻印されたリングの放つ鈍い光を眺めてむふっと笑う。
 瞼は目を閉じてないとしないし、まあ普通はほっぺたにするよね。それにしてもこの回数の
差はすごいわ。私からするのの3倍も竜児からされてる。

 心の平衡を保って学生らしい日常を送るために、普段は過剰にいちゃつくのを抑えようって
考えはどうやら一致していた。
 過剰、というのがどの辺りを指すのかまではすり合わせていないけど、ぶっちゃけ一線は明
らか。したくなっちゃうような接触は平日NG。たぶん男の方がスタートダッシュ早いだろう
なと目分量で、自分のデッドラインよりかなり前に設定してみた。

 そうしたら竜児は、質より物量に転じたのだ。
 身長差30センチ以上ってのは大きい。普通に並んで立っているときには、首ったまにかじ
りついて爪先立ったうえで、なお協力を得ないと私からはキスできない。どうしたって座って
いるときや寝転んでいるときに集中してしまう。
 そしてそんな機会は、いまの暮らしではずいぶん減ってしまった。
 でも、ちょっと屈むだけですむ竜児は、傍らに立っている間じゅう狙ってる。高空から舞い
降りてちゅっと奪って逃げる。傍目にも内緒話をささやいてるくらいにしか見えないから、本
当に街中でも朝昼夜問わず、やる。
 その素早さときたらまるでトンビかミサゴ。捕食される小魚のわたし。
 つまり、どうやら竜児はキス魔らしい。

 む……と抗議の視線を送ったときに、でも彼は“してやったり”みたいな顔をしていたため
しはないんだよね。いつもいつも愛情たっぷり嬉しそうに優しく微笑んでいて、そのたびに私
の牙も爪もぽろっと落ちてしまう。
 かといってこっちも切なくてたまんなくなる程のことでもない。あんまり多くて効果が累積
してくれば心穏やかでいらんなくなるけど、そんなときはさっきのように警告を発するだけで
こと足りる。今日も……ざわざわしてるけどたぶん眠れないことはない。

 ……そうよ。悪かったわね。嬉しいわよあの発明。数分おきにちゅっちゅちゅっちゅ奇襲さ
れて小さな幸せを毎日貯め込んでるのよ。なんら不満はないわよ。やめろなんて言うつもりは
これっぽっちもないわよ。むしろもっと増えてもいい。
 …と言いたいとこだけど、実は不満はある。

 やり返したいんだよね。
 数で勝ち越したい、なんてことまでは思わない。けど、同じくらいし返してやりたい。同じ
だけ私の受け取ってる小さな幸せを竜児にも感じてもらいたい、というのが目下の贅沢な悩み。
 はあ……でも私の身長では強襲はできても奇襲は無理よね。
 寝よ、とベッドにもぐりこんだ。


140 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:48:44.84 ID:GBd2omLp0
「おっ……はよー♪」

 駈け込んで、居間から出てきた彼の胸に頭突き。そんでもっておはようのキス。
 せっかく屈んでくれた機会を逃しちゃMOTTAINAI。しっとりねっとり出来ないぶん、
素早く波状攻撃。ちゅっちゅっちゅっちゅっ、ちゅっ。このくらい。3回に1回はきっついハ
グされるときもあるけど、今朝はなし。
 後ろに編み下ろしたおさげを触りながら竜児が訊く。

「おう、お早う大河。今日は実習か」
「うん。ちょっと早めに帰れるから買い物すましとくわ」
「そうか。じゃ昼過ぎに献立決まったらメールよこせよ。買うもの折り返すからさ」
「わかった」 

 朝は今日の予定を伝えあって、動きをだいたい決めておく。
 その後は朝ご飯のしたくをする彼の横に立ってわりとマジメに見学。学校で習うのとずいぶ
ん違って自己流なんだろうけど、それだけに理屈がこうなってる、っていうのがよく分かって
参考になる。教え方はあんまりうまくないから私の方で優秀な生徒にならなきゃいけない。
 ところどころ代わってやらせてもらって、前よりしたくに時間がかかるようになった。それ
に根気よく付き合ってくれてる。感謝感謝。
 そうしていっしょに朝ご飯。

「あー、早く独りで作れるようになりたいなあ」
「専門家に教わるんだからまあ焦るなよ。俺が手伝えるとこは手伝うしさ」
「講義も生化学とかあるけどね、まあ座学はなんとかなる。私がどうしたって分からないのは
 数学と物理だからね」
「大学になると全然違うな。物理は実質ほとんど数学みたいになってる」
「へえ?じゃ数学は?」
「うーん。哲学や思想みてえだな。面白えよ」

「ね?友だちできた?」
「おう。結構学内でつるむやついるよ……女じゃねえぞ」
「いや……いたって心配なんかしませんよ?」

 ぴらぴらと彼の顔の前で左手を振ってみた。
 これがあれば今日から誘われても楽に断れる。寄り道して夕ご飯くらい食べて行こうよって
悪意のないお誘いを威嚇して追い払うのも大人げないし、まだ親しくもないのにいちいち婚約
者の存在を話すのはけっこうしんどかった。
 今日からはちらっと見せて「いっしょに食べる人が待ってるから、ごめんねー」って実に簡
潔に済ませられる。それでもしつこかったらモルグに送ってやればいい。

 まあ竜児には同じ対応までは求めない。ふつう男性はこういうものはチェーンに通して首か
ら下げたりするって聞いた。ちゃんと着けてるのを見れば意思表示だから、と思える。
 ……ふひひ。

「なんだよニヤつきやがって。ほれ?」
「ご、ごはんつぶ取るんじゃないよ!気が付いてたわよ!わたしのよ、それ」
「へー。じゃあ」

 にゅっとご飯粒が付いた人差し指が目の前に差しだされた。TtoRと刻印された同じリング
が光っているのを間近に見て、こそばゆい思い。口をすぼめてちゅぽっと回収。

 ご飯を済ませてしたく。いっしょに出る。
 大橋駅まで歩いて、ラッシュで混んでるJRで都心のターミナル駅に着くまでが私たちの通
学時間。きょう一日張り切ってやりましょー!という気持ちの前にあまり色ボケが介入する余
地はない。と思うのだけどキス魔に常識は通用しない。都会の雑踏にふっと訪れる空白。
 それを巧く利用したミサゴに4回、捕食された。


141 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:50:16.15 ID:gsvASuMp0
 お昼過ぎに今夜なに食べたいメールを送ったら、すぐに折り返しでお買い物メモが来た。帰
りにこれ買って、下ごしらえで出来そうなとこだけやっておけばいい。竜児が帰るまでけっこ
う時間余っちゃうから、高須家で課題やろうか?やっちゃんとダベろうかな?
 などと考えていたらばかちーからメール。ふーん、午後ヒマなのか。ちょうどいいや。ひさ
びさにお茶しよう。……相談、してみようかな?


 夕方。
 大河は待合せ場所に指定された小洒落たカフェに赴いた。大橋駅うらの馴染みがない店だけ
どあいつは居心地のいいとこをよく見つける、と感心する。
 その川嶋亜美はずいぶん先に来て暇をつぶしていたらしく、注がれた水のコップがガラスの
テーブルに五輪マークを作っていた。

「おっそいよータイガー」
「遅くないよ。時間ぴったりじゃん。あんたが早く着きすぎただけでしょ?」

 見れば亜美はフリル系のワンピースにハイヒール。ピアスまで着けている。大河はそんな亜
美を見たことなかったから少なからず驚いた。

「あんたがフェミニン系だなんて……そういう仕事なの?」
「え?あそうか。似合わない?」
「……いや、あんたはなに着ても似合うけどさ。地のツラにはほど遠いもんだから」
「ちっ。女子大生デビューってやつよ。こっちゃぁあんたみたいにどーでもいーカッコしてる
 わけにもいかねーんだからさ」

 どーでもいーと言うのは大河のジーンズ姿のことだろう。通りかかったウェイターにカフェ
オレボウルを注文する。

「仕方ないじゃん。フリフリもっさりで調理実習なんてできないもん」
「それよねえ。なんで栄養士なんか。あんたの志向の真逆じゃん?」
「別に志向ってほど拘りないし。早く資格とって職歴付けとかないと専業主婦も大変よ?」

 文学でご飯食べられるわけじゃあるまいし。などと超現実的な付けたし。
 それにね?栄養士から管理栄養士を目指す人物にもっとも求められる大切な資質、ってもん
をね?私持ってるの。
 へー。なにさ?
 “食べることが大好きであること”よ。

「まあ、そりゃそーか。身の振り方が決まってるあんたは悩まねーでいーよねー☆」
「そんなことない。決まってたって悩む事はいくらでもある」

 あれで竜児はけっこう夢想家だからね。どっかでつまづいて動けなくなることなんかいくら
だって想像できる。そのときお荷物にはなりたくないんだ。そんなときバックアップ出動した
って楽々食わしてやれるくらいは身に着けておきたいだけよ。
 運ばれてきたカフェオレをすすって、はう、と美味しそうなため息。

「花嫁修業ぷらす実利的。かてて加えて無茶っってほどにはハードル高くない」
「まあアストロノーツなんかより現実的ではあるかな」

142 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:51:23.18 ID:gsvASuMp0
 こっちはだめだねー。そもそも男と暮らして行こうなんて思えない。やりたいこといっぱい
思いつくけど、全部もやもやした夢みたいなことばっかり。ま、手遅れにならないうちになに
がしか決めないとね。
 だめなんてことない。あんたは貧乏くじを引き続けてもうやだーとか思った辺りで幸せにな
れるやつだよ。うん。きっと。
 ほんと?そう思う?
 思う思う。私これでもカトリックで中等教育まで受けた成金の娘だしさ。イエス様はちゃん
と見てらっしゃるものよ?

「へえ。さすがファム・ファタールの言う事は違うじゃん」
「だまれマグダラのマリア」

 ばかちーあんたね。ちょっと早いかもだけど、五月病ってやつでしょ?環境激変、まだ友だ
ちもいない。それでピアッシングなんかしちゃったんだ?まあ、綺麗でいいんだろうけどさ。

「タイガーもやったら?童顔じゃないんだし、似合うと思うけどね」
「あんたねえ『身体髪膚これを父母に受く』って知らないの?」
「なにそれ?」
「『孝経』よ。孔子の教えよ。『敢えて毀傷(きしょう)せざるは孝の始め也 』よ」
「親孝行の話?ばっかくさー。今時じゃねーじゃん」

 ふふん。ばかちーのばかはこういうとこで知れるね。この後『身を立て道を行い、名を後世
に挙げ、以て父母を顕すは孝の終わり也』と続くのよ。
 そーれがー?
 要するに、自分の肉体を傷つけるような強大なエネルギーをそれぞれの社会で何者かになろ
うと向けることに若いやつはいつまでも迷ってないで専念しろ。ってことよ。
 ついでに言えばここで言う父母ってのは単にパパママのことじゃなくてね。自分をこの世に
生み出した、連綿と続いた系譜に思いを至らせてみろバカってことなのよ。

 へーえ?兄貴襲撃したあんたに言われることとは到底思えないけどね。まあ、だからこそか。
それなりに現実味のある話かなー。亜美ちゃんわかんねーけどぉ。
 だってさあんた。やっちゃんが家出しないで普通に常識的に堕胎していたら。私もあんたも
竜児に逢う事なんか逆立ちしたってできなかったのよ?
 連綿と続く系譜ってのは、そういうことよ?
 ……あー。そうか。あんたの気持ちが分かったわ。そりゃピアスなんかできないよね。

「重いわー♪」
「重いでしょー♪」

 じゃあさ、その髪切ったりしないのも?
 あー、これはね。自分ではもうそんなにこだわりないんだけどさ。

「りゅうじが好きみたいだから」
「はあ?なんだてめー」
「いっしょにおふろ入ったあとはぁはぁしながら乾かしてくれるしさ。ハグするといっつも撫
 でるしさ。あー好きなんだろうなってね」

 だからいよいよこの長さでいらんないってなるまで、切らないよ。にひ♪

 亜美の透き通ったプルシアンブルーの瞳がぷるぷる震えて所謂チワワの目になる。感動して
いるわけではない。重くて深イイ話しの直後に無警告でノロケ直撃を浴び怒っているのだ。
 大河は可笑しそうに冷めかけたカフェオレを呷って涼しい顔。

「あれ?怒った?目元にシワ入るよ」
「もう……なんか。まあいいや。亜美ちゃん妬けもしねーよ」

143 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:52:35.15 ID:gsvASuMp0
 なんかあんたの髪にはぁはぁする高須くんってすっごく想像できるね。平気な顔を懸命に作
って目の周りだけ真っ赤にしてさ。ばっかじゃねーの。
 そうそう!よく想像つくねばかちー。なんであんなに平気なツラすんだろうね?

 さあ?ツンデレってやつじゃねーの?
 え?ツンツンしてたことなんかないよ?デレばっかし。
 あっそう……。
 でもさー、そんなアレがさー。

 え?と驚いて、ああこれが今日の本論かと。身をよじりながら桜色に染まっていく大河を見
て亜美は理解した。

 もともと妬けるようなノロケ話でも聞いて自分を再確認しようと思って誘ったのだ。言われ
るとおりひと足はやい五月病に罹っていたのだろう。だからノロケおっけー、むしろご馳走し
て下さいというようなところへ相談ごとが舞い込むなんて。
 誰にも援けを求めない虎女が自分を信頼して彼氏との微妙な話をしてくれる。その立場にい
ると思えるのは特別な気分。さあ、なんでも相談しろ!弄って遊んでやる!ヒマだし!

「りゅうじがさー『キス魔』なのよー」
「は?なんだって?なんか問題あんの?あんたらの間で?」
「ていうかさ、彼氏いない歴=年齢のあんたなんかにこんな微妙な相談して意味あるのかな?」
「喧嘩売ってんのかよ。耳年増なめんな」
「じゃあ無駄かも知れないけどペーパードライバーに包み隠さず話すけどさ……」
「だーから喧嘩売ってんだろてめー!いいから話せ!」

 話を聞いたら亜美はキレた。当たり前だった。

「ばっ、ばっっっかじゃねーの!どこに悩みがあんだよっ!」

 いくらでもちゅっちゅされりゃいーじゃねーかよっ。
 違う違うばかちー。それはなんの不満もない。むしろ増えてもらいたいぐらい。要するにさ、
その……。私が寂しがるのに気を使ってくれてるように思えるの。そんなことない、あんたが
気を使う事なんか全然ないんだって、言わずに態度で返したいんだよ。

 なんだろうなあ。超リアリストでありながらこんな細かい事を真剣に悩むのって。
 こいつは真っすぐぶち当たって、真剣に考えて、決めて、不安に怯えながらも決めた事を絶
対に振りかえらないって。毎日やってる……んだろうな。面倒で素敵なちびすけ。
 亜美は素早く考える。要するにこうだ。挨拶レベルのキスでも、親愛のハグでも、結局は性
的な一体感につながってる。高須くんはそれをごく薄くして散布することでこいつの乾きを潤
そうとしてるってこと。それを嬉しいって感じたこいつは同じ効果を返したいってこと。
 じゃあ?

「そうねえー?あ、どんなふうにされるの?ふつうにプチュって?」
「うん。まうすつーまうすは普段しないことになってるけど」

 ごそごそっとメモ帳を取り出す大河。ちゃんとばかちーに教わった通り記録付けてる。と言
うのをひったくって眺める亜美。なんだろね?これ?と。

「わざわざアクションひとつ余計なでこちゅーがダブルスコアで多いのは不思議だね?」

 あんたのでこってなんか特別に可愛いの?と言いながら手を伸ばして大河の前髪をめくる。
 どの辺?髪の生え際?その辺りはエロいって思う男もいるって聞いたことあるけど。あ、こ
の辺だよ、いつも。と大河が指差す。

144 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:54:24.99 ID:gsvASuMp0
「あ!あー。ふーん……?」
「なに?なんかわかる?」
「んーまあ。なんとなく。たぶんだけどね。たぶん……高須くんなら間違いない」

 亜美がバッグからごそごそ手鏡を出して、ほいっと大河の前にかざす。
 そーこに何があるー?んー?

「ああ……。ああ分かった……。分かっちゃった」
「高須くんてさ。そっか。いくらでも底なしに優しい男……でもないんだね?」
「うん。ちゃんと人並みに傷つくし。……残るんだ」
「あんたがさ」

 亜美は優しい顔になって言う。あんたがそれ、癒してやんなきゃね。キスがどうとかじゃな
いよそれ。きっと忘れていると思う。でもあのときに抉られたものが、きっと今でも残ってる
んだよ。その傷跡は高須くんの傷なんだよ。

「ありがとばかちー。私にはすっかり済んだ事になってた。話さなくちゃ気付けなかった」
「どうしたら良いのかまでは、あたしには分かんねえや。あとはあんたがやんな」
「うん。ありがと。ありがとうね」

 私、夕食のしたくあるからこれで帰るね。また逢おうね。
 はいよー。じゃあまたねー。いそいそと帰る大河を見送って亜美はちょっとだけ寂しくなっ
たけど、まあいいや、三番目で。と思い直す。
 どうしたって自分はたった一人の他人をあんなに思う事はできない。自分は自分なりに他者
と関わって行かざるを得ないのだ。でもそうした憧れはあり、それは大河を見ていれば満たさ
れる。
 “あんたは貧乏くじを引き続けて幸せになれるやつだよ。”とあのちびは言ってくれた。イ
エス様なんて信じないけど、あいつが言うならきっとそうなのだろう。

「あーあ、振られちゃったあ。……奈々子とあっそぼ」

 取り出した携帯でぽち、ぽちとお伺いメールを打つ。いるかな?


 大河は夕暮れの道を買い物へと急ぐ。細い指でくりくりと額を弄ってみるが、なにも触らな
い。その程度でしかない。
 でも間近で見られる立場の者には、あの事故の前と後で違うのが分かるくらいのうっすらと
した傷跡が視えるだろう。そう。母とか、父とか、いないけど兄弟とか。……竜児とか。
 助けに降りてきてくれて、治療する前の傷をそのまま見てしまった竜児。そのことにはずっ
と平気な顔をしていたから、分からなかった。
 でも、ずっと。ずっと。抉られたままの胸の傷を隠してきたのだろう。自分が迂闊なせいで
愛する者をこんなふうにしてしまったと、責め続けてきたのだろう。表面では忘れ去り、もう
済んだ事になっていて、でも心の奥では、ずっと。
 こんなに経ったのに。ばかな竜児。ヘタレな臆病な竜児。
 優しくてむき出しな、傷を負わされるまま黙ってる……竜児。どうしたら癒してやれるのだ
ろう?どうしたら竜児を守れるだろう?

 身体髪膚これを、なんてばかちーに説教したくせになんにも分かってなかった。私の身体は
彼の身体でもあったんだ。同じ回数キスを返して同じ幸福感を感じさせたい。どんだけボンク
ラなこと考えていたんだろうか。
 スーパーで食材の買い物をしながら、大河は懸命に考え続けた。どうしたら?


145 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 13:58:25.43 ID:gsvASuMp0
「ねえ竜児ぃ。目玉焼きには、ケチャップだよねえ?」
「は?何言ってんだ。醤油一択だろうが。お前だって何度も醤油で食ってるだろ」

 高須家での夕食後。大河は竜児に目玉焼き論争を持ちかけた。
 目玉焼きを何味で食べる?というのはもはや味そのものにとどまらず自己存在確認の問題で
すらある。と、某国民的料理漫画でも言われていた。
 当然ながら竜児にも一家言あった。白いご飯に合うのは、バターでサニーサイドアップにふ
んわり焼いて醤油をちっと回しがけした目玉焼きしかないと。オプションで許されるのはオカ
カか青海苔。マヨすら邪道。ケチャップなんて親の仇。

「ケチャの美味しさも認めてほしいね」
「いや、そこはいくら俺でも譲らねえ。醤油以外で食いたきゃ自分ちで作れ」
「んーそこまで言う?じゃ、さ」
「おう、何だ?」

 妙な喧嘩腰。大河にしては普通に話すだけで、この話は喧嘩になると知っている。目玉焼き
になに付けて食べる?というのは竜児と大河の間でも何回かつまらぬ喧嘩を引き起こしてきた
ようなネタなのだ。

「明日の朝ご飯で、別々に作って交換して食べてみようよ。私ケチャ味で作るからさ」
「おう?作れんのかよ?」
「まあね。初めて私の手料理を食べさせてあげる。期待して」
「なるほど。妙に余計な食材を買ってきたと思ったらそういうことか」

 おう。いいぜ。とちょっと楽しくなってきた竜児は機嫌よく目玉焼き一本勝負を応諾した。
普通に作るから味見て、と言うんじゃないところはやっぱり大河らしい。
 じゃあ準備もあるから今夜は早めにね、と部屋に帰る大河を送って、竜児は10回ほど捕食
する新記録。代わりに投げキッスを2発直撃でくらったから被害も甚大であった。


 部屋に帰った大河は、さっそく明日の準備を始める。
 今日の実習はパン焼きだった。出来上がり自体は可もなく不可もなく、普通に食べられるけ
れどもおいしい!という程ではなかった。
 ただ講師が雑談中に言った「粉からじゃなくホットケーキミックスを使うと簡単」というワ
ードを頼りにしてみる。
 電子レンジをオーブンモードにして予熱。卵・ヨーグルト・溶かしバターを混ぜて、ホット
ケーキミックスをさっくり混ぜる。チーズを細切れにしてまぜ、型に流し込む。
 190度に予熱されたレンジに入れて25分。
 ちぃん!という音とともに焼き上がった。チーズ入りマフィン。ひとつ試食してみると、や
っぱりちょっと甘すぎる?でもコロコロ入っているチーズの欠片が塩気を感じさせて、辛うじ
てお菓子のイメージではないように思う。美味しい。

 型から出して、粗熱が抜けたらそれぞれ二つに割りラップで包んで即冷凍。これで下準備は
できた。明日持って行って、食べてもらうだけ。
 彼に幸福感を持ってもらうのなんて、結局はできることを差し出すだけのことだ。付け焼刃
でいい。一から十まで完璧に出来るようになってからじゃなく、いま最低限かたちになってる
ことを。プロの料理人になろうってんじゃないんだからカッコ悪くていい。

 北村くんにあげるためのクッキーを焼いたときを思い出した。あれはいいとこを見せたいと
いう一心だった。自分のため。でもこれは違う。一日の始まりに必要な栄養と美味しさを竜児
に食べさせたい。ちょっとだけでも気分よく出かけられるように。
 きっと、そういうちょっとしたことを重ねていけば心の傷を癒していける。私がそうして貰
ってそうなったように、きっと竜児も。

146 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 14:01:21.14 ID:gsvASuMp0
 後始末で飛び散った粉やら垂れたバターやらを掃除しながら、心が浮き立つのを感じた。こ
れはつらい作業なんかではない。早く食べさせてどんな顔をするのか見てみたい。ヘタと言わ
れるかもしれないけど、そんなのは次のときに挽回すればいい。それも足りなかったら、また
その次に。
 そう……これは……お姉ちゃんの気分?かも。一年に一回、いまの時期。ひと月の間だけ、
私はりゅーじのお姉ちゃん。くくく……。
 可愛らしい声でキモく笑いながら、大河は眠りについた。


「頼もーっ!」

 ぷっ。なんだよ。道場破りの振りかよ。
 今日もおさげでジーンズか。相変わらずなに着ても可愛いなこいつ。でもおさげを一本で編
んでるから後ろから見るとエビの握りが歩いてるみてえ。くふっ。
 まあとりあえず朝の挨拶を……近づけた顔をぺとっと掌で遮られて、おうっ?

「勝負よ、竜児。決着つくまで馴れ合いはしませーん♪」
「お。結構本気と書いてマジだな?こっちはもうすぐに作れるが」
「うん。私はちょっと下ごしらえ要る。時間もちょっと多めにかかる」
「そうか。じゃコンロ2口だから出来上がり逆算して俺は途中から入るわ」
「にひ。それでいい。トートートーマト、レーレーレータス♪」

 大河は冷蔵庫からトマトとレタスを出してきた。ちゃんとちぎって流水にさらしてるしトマ
トも湯むきした。まあこのくらいは俺が教えたから当然だな。
 ん?持ってきたのは……マフィンか。へえ?手作りかよ。
 ふうん、ケチャ味のたまごマフィンサンドだな。目玉焼き勝負としては少々違うが、まあ細
かいことは言わねえ。失敗も少ないだろうしな。
 半解凍のマフィンに碁盤目に切れ目を入れる。火を通し易くしケチャを絡め易くする工夫。
オーブントースターで焼き始める。同時に小さい方のフライパンにベーコンを入れて弱火でじ
っくりと炙りだす。
 脂が出てベーコンがカリカリになった辺りで取り出し、火を強めて十分熱してから卵を割り
入れた。じゅわーっと音を立てながら美味しい匂いが立ち上る。
 小さなフライパンを回しながら揺すって、焦げ付きを防いでいる大河がフライ返しで3つと
も次々返す。ひとつだけしくじって潰したが、ターンオーバーに焼くなら問題はない。マフィ
ンが温まり終わってる。意外に手順パニクらねえもんだな。

 そろそろこっちもか。大きい方のフライパンにバターを溶かし、全部溶け切る直前に卵を入
れる。こっちもじゅわーっと美味しい匂いが立つ。形の美しい半熟サニーサイドアップにして、
熱々メシの上にそのまま乗せて出してやる。大河にはまだ食わせたことない目玉焼き丼。
 これは醤油に合うぜえ〜。超あうぜえ〜。

 楽しそうに注視している竜児を、大河がちらっと見上げる。にこっと笑う。そのまま踊るよ
うに腰を振って竜児の腿にぶつけてくる。一杯いっぱいのくせに余裕のアピール。
 竜児が身長差を忘れて同じように仕返しすると脇腹に当たって、押されるようによろめいた。
なによ!危ないじゃないのよ!この!と頭突き返し。
 あっはっは悪い悪い。と言いながら竜児は懸命な大河が可愛くてたまらなくなり、腰を屈め
て上気した頬にちゅ、っと。
「あーもーっ!こんな手が離せないときにっ!ちょっと、逃げないでそのままいてよ」
 大河もフライパンを回しながら、横を向いて待っている竜児の頬にちゅっ。

「ふへへ……♪」
「へへ……あ、おい。そろそろ焦げるぞ」
「うぉっとおっ!」

 目玉焼きを取り出し、空いたフライパンでケチャップととんかつソースを温めながら和え、
酒を少々回してじゅわー!洋食屋の匂いだ。酒気を飛ばした中で輪切りのトマトもベーコンも
温め、最後に目玉焼きも入れて絡める。
 実は、その技を竜児は初めて見た。なるほど肉の脂が残る鍋でケチャとソースを混ぜ、酒で
まとめるのなら簡単ドミグラスソースの味になるな。へえ?

147 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 14:02:44.82 ID:gsvASuMp0
 ソースを具材に絡め終わったら、順々にマフィンにはさんで出来上がり。大河特製ベーコン
たまごマフィン。ミルクを添えて、お好みでマスタード。
 同じタイミングに合わせて竜児特製目玉焼き丼も完成。高須家キッチンスタジアム勝負時間
の終了であった。


 試食審査!まあ単に朝ご飯なんだけどね。
 しかしこれは、う、旨い!うますぎる!熱々ご飯の上にバター風味の目玉焼き。これを突き
崩して醤油をちっと回しがけ。目玉の下におかかを敷いてあるのもいい。つくる手間もほとん
ど要らず短い時間でかっこめる。まさに朝ご飯向き。美味しいっ♪

「竜児、お姉ちゃん満足したよ?」
「誰が誰のお姉ちゃんだって?」
「私が。あんたの。ひと月間だけ」
「ふははっ、そうか。じゃあ姉ちゃん、これ旨えよ!」
「ほんと?」
「おうっ♪」

 マフィンもソースもちょっと甘い。けどチーズとカリカリベーコンがいいアクセントになっ
てるし、ケチャソースとミルクがすごく合ってる。なにより見ろよ?

「目玉焼き丼にはない野菜も摂れる。しかも加熱済み温野菜。朝食として完璧に近いぜ」
「やったね。喜んでもらえて作った甲斐があった」
「手作りマフィンと簡易ドミソースもポイント高いな。こんど教えてくれよ」
「なに言ってんの。見ただけで分かるでしょうが、あんたなら」
「いやー。さっき台所で並んでいたらすげえ楽しかったからさ。またやろうぜ」
「うんっ。ちょっと照れるけど、また、ね?」

 ベーコンたまごマフィン、あまったやつ泰子にも食わしてやりてえな?もちろん、そのため
に3個つくったんだから。お?もうこんな時間か。そろそろ出かけるしたくしねえと。

「そうね。でもまだちょっと時間ある。お姉ちゃんに任せておいて」
「何をだよ」
「……ケチャップ付いてる。口の端に」
「お、おう。そうか」
「……」
「……」

 ぺろん、ていう感じ。ちゅっ。贈って、返して、贈って、また返す。
 どきどきしてきちゃったけど構わない。余計なこと考えないでお姉ちゃんにまかせて。

「バター醤油味……だな」
「うん……朝っぱらからその顔はないわ」
「い……いや。その……」

 とまあ、この辺りで時間切れ。朝は忙しい。ばたばたとしたくを済ませて私たちは出かける
のでした。少しずつ、毎日、こんな小さな幸せを重ねて行こ!竜児。

 そうして私たちはうちを出て小走りに駈け出した。


148 :お姉ちゃんにまかせて ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 14:03:53.72 ID:gsvASuMp0
 ここで終われば綺麗だったのだけど、結局この日の通学時間にも都会の雑踏の空白で5回つ
いばまれた。内でこちゅー3回……。その後どんなにお姉ちゃんらしく愛情たっぷりに接して
やっても傾向はまったく変わらず前と同じまま。
 いやむしろ前より馴れ馴れしいかもしれない。めでたいことに。

 そう、要するに竜児は。単に、性向として、本質が『キス魔』だったのだ。あんな顔で。
 昔からなにかと私によく触るやつだったから考えてみればなんの不思議もなかった。

 でこが好きな理由は分かってしまうとたぶん、つまらなくなるから訊かない。こういうのは
あえて追求せず想像にとどめておくのが華だ。今度でこにマスタードでも塗っておいてやろう
かと思う。
 腫れるかも知れないが、MAD。相互確証破壊というやつで。

 ああ、今後飲み会なんかあって、出る事になったりして、つい付き合いで酔うと誰彼かまわ
ずキスし出すキャラとして名を馳せたりしないかな?ダメ竜児。
 そんなことが耳に入ったら、お姉ちゃん里に帰らしていただきますよ、ええ。と言ってやっ
たら面白そう。ぷーーっくくくっ!

 こんどばかちーにも教えてやろーっと♪




――END


※竜虎の誕生日設定は、原作記述から大河4月上〜中旬、アニメから竜児おうし座というのを
都合よくあてはめました。ジンギスカン美味しいよね♪


149 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/10(火) 14:05:18.07 ID:gsvASuMp0
以上です。
ちょっとキャラ改変しすぎ?

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:29:37.18 ID:VIZXsPdGO
>>149
乙!
なんというほのぼのバカップルw
ってかキス魔の竜児www
インパクトが凄すぎるw

確かにヤツならあの事故を引きずってそうだよね。
夢に見ちゃう勢いだし。

ジンギスカンは同意!

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 00:23:57.04 ID:qD6dvIjO0
>>149
竜児なら障壁が崩れるとああなりそう。
乙でした。

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 02:07:59.48 ID:Hh+DTHXo0
>>149
乙です
竜児のキス魔キャラは案外ハマってるなww

153 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/11(水) 03:19:28.58 ID:AcCV5+z70
【激闘!プール対決・その1】

「ごめんなさぁ〜い!髪まとめてたら時間かかっちゃったぁ〜」
「「「うおおおぉぉぉぉぉぉ!」」」
「ビ、ビキニっ!」
「俺、多分この日のこと死ぬまで忘れねぇ……っ!」
「ずっと雨だったからいつもの水着乾かなくってぇ。でもでも、これって校則違反かなぁ?」
「……初めて見たわ。学校のプールでビキニ着てる馬鹿」
「おおっ!手乗りタイガーの登場だ!」
「携行品はビート板一枚だけか……絶対木刀とかで武装してくると思ってたんだけどな」
「ちょっとあんた、それで泳ぐ気?」
「そうよ、いけない?補助具の使用は禁止なんて聞いてないわよ?」
「ふん、まぁカナヅチから進歩しただけでもよかったんじゃない?やっぱり泳げませぇんって不戦敗になってもつまらないし〜」
「言ってろバカチワワ」
「誰がバカチワワよ!?」
「あ、間違えた。バカビキニだ」
「なにがバカビキニよ!?」
「それではこれより、自由形一本勝負を行います!あーみん、意気込みを一言!」
「はぁーい!とにかく楽しくやれたらいいなって、それだけでーす♪」
「あみたーん、かわいいよーっ!」
「頑張れーっ!」
「大好きだーっ!」
「大河、あんたも一言言いな!」
「……竜児っ!」
「おっ!おうっ!?」
「……………勝つわよっ!勝って、私も一緒に別荘に行くんだ!」
「………おう!負けんな、大河!」
「タイガー!頑張れーっ!儲けさせてくれーっ!」
「最強伝説はまだ続くぞーっ!」
「高須てめー羨ましいぞーっ!」
「このバカップルめがーっ!」
「もう結婚しちまえーっ!」
「……うるっさいわね!ほっとけボケどもがぁっ!」
「それじゃあ両者、位置について………用意―――」

ピィィィィィィィィィィ―――――――――ッ!

154 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/11(水) 03:20:43.71 ID:AcCV5+z70
「うおぉぉぉぉっ!速ぇっ!手乗りタイガーの勝ちだぞこれは!」
「くそーっ!負けるなあみたーん!」
「いけいけタイガー!」
「あみたんも追い上げてきたぞ!」
「よし!いけるぞ大河!その調子だ………って、おうっ!?」
「どうしたんだタイガー?」
「急に潜ったぞ?」
「顔をつけた方がスピードが出るとかじゃねぇの?」
「いやむしろ…一気にスピードダウンしてねぇか?」
「おい高須、どういうことだよ!?」

―――大丈夫か!?器用な溺れ方しやがって!
―――あっ、足が、つってるーっ!
―――卑怯な手口の天罰だ!

「―――――あぁっ!あいつ、まさか!?大河、大河ぁぁぁ!」
「わー!高須が乱入しようとしてるぞー!」
「止めろーっ!あみたんの邪魔はさせーんっ!」
「ちょっ、おまえら川嶋派か!?離せ!大河が、大河が……っ!」
「あみたーん、いけいけーっ!」
「タイガーが弱ってる今がチャンスだ!」
「高須は押さえとくぜー!」
「くそっ!離せ!あいつは溺れてるんだ!これは無効試合だ!おい、誰か!誰かっ!」
「あぁっ!抜かれるーっ!」
「あみたん、そこだーっ!」
「タイガー、負けるなー!」
「おい!おいって!なんで気が付かねぇんだよ!なんで助けてくれねぇんだよ!」

―――うそでしょ!?竜児!竜児―っ!
―――誰かっ……ねぇ誰、かっ!……げほっ!………えぇーんっ!
―――なんで気が付かないの!
―――なんで助けてくれないの!

「よーし、高須だって乱入しようとしたんだ!俺たちもあみたんに加勢するぞ!」
「おうよ!タイガーには悪いが」
「妨害させてもらうぜ!」

「…っ!………なんだよ、それ………」
―――『一周目』のときは私が変な小細工しちゃったからあんな大騒ぎになって……竜児を危険な目に遭わせちゃったから……。
「あいつは………大河は…………っ!」
―――だから今回は真っ向勝負!正々堂々とあいつに勝ってみせるわ!
「………触るな…」
「よっしゃあいくぜーっ!タイガー覚悟しろーっ!」
「ん?高須?なにぶつぶつ言ってん………」

「触るなーーーーーーっ!大河は俺のもんだ!誰も触るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!」

「うわぁぁぁっ!高須がキレたぁぁぁぁぁっ!」
「離せこのやろーーーーーっ!」
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!」
「大河ぁぁぁぁっ!今助けるぞぉぉぉぉぉっ!」
「………なんか、高須さ、今さらっと……ものすごいこと叫んでなかったか?」

「………ゴール!どーだ、正義は勝ーーーーーーーつ!」
「ぎゃーっ!高須が乱入したーっ!」
「誰か、高須を止めろー!」
「無理だ!怖ぇぇぇぇぇっ!」
「っていうか………タイガー、あれ、溺れてない?」

「………って、なによこの状況!?なんでぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 10:01:27.29 ID:tE/dY26M0
やはり二周目はこうですね。
別荘編は避難所投下になるのかなw

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 10:26:09.01 ID:HQt5jgSO0
>>149
乙。GJっした!
最初はアマアマ過ぎかと思ったが、あいだに過去の「痛み」と竜児らしい反応が挟まって、
良かった。あーみんも相変わらずいい役割だし。
料理シーンがウマそうで、ヨダレでた。

>>154
リターンズ、続きキタ。
竜児、大いに怒ってよしw

避難所の方も見に行かなかきゃだな。


157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:14:08.71 ID:FNG2OZdQ0
>>149
バカップルに2828してたけど、あの傷に繋がりズシンときた。
繊細だし、あれだけ追い詰められていた竜児なら、引きずってても不思議じゃないよなあ。
キス魔もありだと思う、いきなりキスする男だしww
お姉ちゃんな大河が可愛くてたまんない。上達ぶりもスゲェ!
あーみんとの良好な友情も「その後の二人」な感じでいいなー。GJでした!

>>154
乙!逆パターンできましたか
恥ずかしい日々を送るわけだなww

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 23:45:46.27 ID:Z3h2HXd30
>>149  GJです。
恋してルンルン気分(死語か?)の大河の様子が、可愛らしくて萌えました。
キス魔云々のあたりは、原作十巻のウカレポンチぶりからすると、有り得なくはないかなw。

159 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/12(木) 10:55:05.89 ID:T7vKpoUO0
お題 「なっている」「薄く」「残響」



「いやー、まさか始業式の翌日からがっつり詰め込んだ授業があるとは思わなかったわー」
「おう、大河の所もか」
「ってことは竜児も?」
「おう。こりゃ一学期中に教科書全部終わらせるってのも嘘じゃねえかもしれねえな」
「むう、さすがは国立選抜ってところかしらね」
「だな。ところで大河、今日は晩飯は?」
「ん、大丈夫。竜児のうちで食べられるわよ」
「おう。それじゃ、メニューのリクエストはあるか?」
「そうね……そういや今日はかのうやが魚の特売日になっているはずよね?」
「おう?……・おう、憶えてたか」
「当たり前じゃない、何回一緒に買い物に行ったと思ってるのよ。で、まぐろ丼!」
「わかった、まぐろは薄く、だな。そのままとヅケとどっちがいい?」
「むう、それは悩む所ね……」
 と、突然足を止める大河。その見やる先には大橋。
「……ねえ竜児」
「おう?」
「……この一ヶ月半、どうだった?」
「どうって、別に大した事は無かったぞ」
「そうじゃなくて……その……わ、私が、いなくて……」
「おう……そりゃ、寂しかったに決まってるじゃねえか。だけど……」
「うん、わかってる。あのね、昨日も言ったけど……私も、やっぱり寂しかったのよ、時々、凄く。だけどね……竜児の言葉がね、あったから……頑張れたんだと思うの」
 それはまだ、残響のように体の中に残っているけれど。
「だから……もう一度、聞かせてくれない?」
「おう」
 竜児は大河の方に向きなおり、その瞳を真っ直ぐに見つめて。
「嫁にこい」

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 20:10:10.98 ID:RyDWWfog0
三題噺氏にしては珍しくひねりもないストレートですな。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 23:09:24.30 ID:XTFpIr5W0
>>159
GJ!
この後ハグという名のタックルを喰らうんですねわかりますん

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:47:30.59 ID:MmPJlNMm0
で、タックルを喰らい橋の欄干から2人とも川へダイブ→春田に助けられるんですね。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:51:40.06 ID:8VLjCQil0
そうすると、竜虎と春田と3人で群馬県は草津温泉に旅行するはめになるな?

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 22:02:05.50 ID:9QQtA5vZ0
温泉へ行こう

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 22:30:50.56 ID:GoyeiOD+0
湯上り大河はさぞつるつるお肌に色香を漂わせ竜児をくらくらさせてるんだろうな。
ってスピンオフであったなw
大河に目を奪われて頭回ってない竜児は萌えた。
だぼだぼジャージ姿、可愛かっただろうなー

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:14:59.22 ID:awCTnC4p0
くそう、貧乳のくせに湯上がり効果で色香を漂わせてるなんて!
……って、そんなスピンオフあったか?
まあ本編中の修学旅行、押し入れの中で確実にあったわけだが。
湯上がり密着ハグとかどんだけ!まあいいや。

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:02:39.68 ID:RES0Iikj0
>>166
スピンオフ2収録の芋話ね。
今度はおまえんちの風呂に入らせてくれとすっとんきょうな返しをする竜児がw

台風のなか高須家訪問という無茶な行動は、心細かったのかも?と補完すると2828する。
二人の掛け合いが笑えるんだけど、竜児を励ます大河、
そんな大河が支えになっていて温かいと思う竜児
結構しんみりするエピソード。

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:24:26.67 ID:AXNWuhq30
THE END OF なつやすみの大河も結構献身的だよね

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:41:09.86 ID:gtTFZwHk0
>>167
いま読んできた。
たしかに高須家での風呂上りって緊急避難ながらレアケースだよな。
ていうか、徒歩数十秒のドアtoドアとはいえ、台風直撃豪雨の中をフリフリワンピで来る大河と言う女w
文化祭後から生徒会長選の間って、ほんとに竜虎にとっては忘れ得ない妹背な時期なんだよね。
食いものも旨いらしいしさ。

170 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/16(月) 15:19:56.32 ID:00jK9uWf0
お題 「へえ」「階段」「よかった」



「……これで、高校生活も終わりなのねー」
「おう、色々あったからなあ……さすがに感慨深いものがあるよな」
「よかったこと、悪かったこと……ま、トータルで見れば良い事の圧勝かしらね」
「おう、そうだな」
「ねえ竜児、最後に思い出の場所を見て回るってのどう?」
「悪くねえな。どこから行く?」
「どこも何も、ここが最初よ」
「おう?」
「国立選抜理系クラス。私が狩野すみれと大立ち回りを繰り広げた場所じゃない」
「……おう」
「探せばどっかに傷ぐらい残ってるかも」
「つ、次行こうぜ、次」
「んー……じゃ、屋上」
「おう、時々昼飯食ったりしたもんな」
「それもあるけど……ほら、みのりんのジャンピング土下座」
「……そういやそんなこともあったか」

「あ、そういやこの階段も」
「どうかしたか?」
「ほら、クッキーの時。私が足滑らせて落っこちて、竜児が受け止めてくれて」
「おう、我ながらあの時はよく届いたもんだよな。案外本当に泰子の超能力のおかげだったりして」
「……何それ?」
「いや、小学生の頃にな……」

「むー、やっぱり体育館は片付け中ねー」
「ここは色々あったよなあ……ミスコンに、生徒会長選挙に、クリスマスパーティに……」
「私が竜児にキズモノにされた場所でもあるわね」
「おうっ!? な、何だよそれ?」
「顔面にボールぶつけられた」
「おう……いや、あれはどっちかというとお前のドジのせいじゃ……」
「鼻血まで出したんだから。ちゃ〜んと責任は……とってもらってるわね、考えたら」

「グラウンドといえば、体育祭と……福男レースか」
「ねえ竜児」
「おう?」
「あの頃はまだ、私のことが好きってわけじゃなかったのよね?」
「まあ、少なくとも自覚はしてなかったな」
「なんであんなに頑張ってくれたわけ?」
「それは……教えねえ」
「はあ? 何でよ?」
「今更改めて言うとか、恥ずかしいじゃねえか」
「そう言われるとかえって聞きたくなるわね……ほら、観念して言っちゃいなさいな」
「……その、何だ。俺が大河のために頑張らない理由がねえだろ」
「へえ、そう……って、格好良い言葉で誤魔化そうとしても無駄だからね。さあ、吐け〜!」


171 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/16(月) 15:20:56.44 ID:00jK9uWf0

 そして二人が足を止めたのは一つの教室の前。
「……やっぱ、ここよね」
「おう。一年弱しか経ってないのに、えらく懐かしく感じるよな」
「あ、竜児、ちょっと待って」
「ん? 何だ?」
「私が先に入るから、そうね……10秒ぐらいしてから入ってきてくれない?」
「おう? 何でだ?」
「いいから! ステイ!」
 言い残してがらがらぴしゃんと戸を閉められ、竜児はただただ呆然と。
「……なんなんだ、一体」
 言われた通りに10数えて、教室に入るとそこに大河の姿は無く――いや、あった。
 ロッカーの蔭、姿見の鏡に映っている、手足を脅威的に小さく丸め、コンパクトサイズになってちんまりとうずくまっている後姿と後頭部が。
「おう……」
 ともかく中に入り、そちらに足を進めること数歩。
「あ〜っ……」
 かすかな悲鳴と共にゴロンと転がり出てくる大河。ちょうど竜児の目の前に。
「……」
「……」
 恥ずかしそうに見上げる大河と、呆れたように見下ろす竜児。
「あー……大丈夫か?」
「……驚かせようと思ったのに」
「言っとくけどな、見えてたぞ最初から」
「え!? 嘘!?」
「お前、ロッカーの横に鏡があるの忘れてるだろ」
 大河の手を取り、立ち上がらせながら竜児は。
「あのさ」
「ん?」
「好きだ」
 大河は一瞬きょとんとして、見る間に頬を赤らめながら俯いて。
「ん?……たい」
 ガスッ!
 顔を覗き込もうとしたその瞬間、伸び上がった大河の頭突きが竜児の顎を直撃する。
「な、何こっぱずかしいこと、真っ昼間っから言ってんのよ! そういうのは、もっとこう、むむむ、ムードとか、そーゆーのが……」
「お前なあ……! いいじゃねえか! 言いたくなっちまったんだから!」

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 16:12:35.58 ID:xYBNOqBW0
ハイブリッドだw

173 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/16(月) 22:46:50.07 ID:cQyIEhdX0
>>170-171
原作とアニメのコラボシチュエーション、GJですぞ!
今までの軌跡を振り返る竜虎がしみじみしてて雰囲気いいですねぇw

さて、俺も間が空いちゃいましたがりたーんずの続きをば。
これで第三部完結です。

>>153-154続き
【激闘!プール対決・その2】

「大河、大丈夫か?」
「うん……平気、水は飲んでなかったから。それより……ごめん、竜児。勝負……負けちゃった…」
「気にすんな。あれはアクシデントだ。こんなもん、無効試合だ。そうだろ?櫛枝、川嶋」
「うーん……まぁ、競技中の事故ってことで仕切り直しにしたいところだけど……プールって、今日が最後だよね?」
「そうよね〜、やり直しができないなら、今回の結果を反映させるしかないんじゃない?」
「お、おい!ちょっと待ってくれよ!それじゃあ、大河は……」
「待って。別にあたしの別荘に連れて行かないとは言ってないわ」
「おうっ!?」
「最初に言ったでしょ?『楽しくやれたら、それだけだ』って」
「ばかちー……」
「だいたい、元々はちゃんと誘うつもりだったのに逢坂さんが全然取り合ってくれなかったからこんなことになっちゃったわけだし〜?」
「うぅ……っ」
「それに、夏休み中ずっと逢坂さんだけ高須くん家でお留守番なんてかわいそうすぎるもんね〜。毎晩『竜児、竜児ぃ』って高須くんの枕を濡らされても後味悪いしさ」
「そ、そうか……川嶋、ありがとな」

「………ん?なぁ、亜美。なぜ逢坂が高須の家で留守番をするんだ?それに高須の枕を濡らすとは……高須の枕で寝ているということになるぞ?」
「そう言えばそうだね………あーみん、高須くん、私たちになんか隠してないかい?」
「「「……………あ」」」
「逢坂まで、どうしたんだ?」
「大河〜、あんたまで私に隠し事かい?………あーみん、まさかとは思うけど………大河って、高須くんの家に……」
「い、いやだなぁ実乃梨ちゃん、なに言ってるのよ〜!そんなわけないじゃない!アレよアレ、言葉のあやよ!」
「お、おう。そうだぞ櫛枝!ほら、俺と大河って付き合ってるだろ!?大河は……ちょっとワケありで一人暮らしだから、俺ん家で一緒に飯を食ったりもするし、そういうことだよ!」
「そうよみのりん!私と竜児は家が近所だってのは知ってるでしょ?だからご飯とか色々助けてもらってるというかなんというか………」
「「「……………って言って、信じる?」」」
「無理だね、北村くん」
「無理だな、櫛枝」

「うわぁぁぁぁぁぁバレたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「こんのばかちー!あんたなんてことしてくれたのよぉぉぉっ!」
「うわーん!だってだってぇぇぇぇぇ!うっかり言っちゃったんだもん!」
「終わった……なにもかも…」
「……高須くん、念のため…もう一度だけ確認するけど……君と大河は……その……まさか……一緒に……」
「………あぁ、もうこれ以上隠し通すなんてできねえよ。正直に言うさ。そうだよ、一緒に……住んでるよ」
「高須………おまえ…」
「待って北村くん!竜児は悪くないの!元々は私が言い出したことなのよ!私のわがままで、竜児はそれを聞いてくれただけなの!」
「違う!大河は提案しただけだ。採用したのは俺の責任だ!だからこいつは悪くねぇ!」
「………水臭いぞ高須、逢坂。どうしてもっと早く教えてくれなかったんだ」
「「…………は?」」
「ゆ……祐作?」
「まぁ聞け亜美。つまり、高須は一人暮らしをしている逢坂の生活を助けているんだろ?」
「お、おう」
「それに、二人が婚約していることは既に周知の事実だ。そうだろ逢坂?」
「う、うん」
「赤の他人同士が同居しているのはさすがに問題だが……おまえたちに関して言えば、なにも問題はないんじゃないか?」
「いや……そうは言っても……やっぱりまずいだろ?俺たちはまだ高校生だし……」
「そう思うなら二人とも、周りの声を聞いてみろ」
「「………あ」」

174 :とらドラ・りたーんず!第三部:2011/05/16(月) 22:48:24.27 ID:cQyIEhdX0
「なんつーか……今さらだよな」
「別に同棲してるのがバレたって……ねぇ」
「普段のバカップルっぷりを見てれば、大方予想はできたしね。本当だったのはちょっとびっくりしたけど」
「知ったところで特になにか変わるわけでもないし」
「つーかもうおまえら結婚しろ」

「………と、言うわけだ。さてみんな、高須は本当に信頼できる奴だ。逢坂と多少の『仲のよさ』はあっても、取り返しのつかない間違いが起きることはないと、俺は思う」
「そうだね、大河のことをとても大切に想っているのは私も保証するよ!なんたって『婚約者』だもんね」
「それに、逢坂が一人暮らしで、高須と同居しているのにはそれなりの事情があるみたいだ。部外者である俺たちが家庭の事情にこれ以上首を突っ込むのは無粋だと思うのだが…」
「うん、じゃあこの話はこれでおしまい!2−Cだけの秘密!他言無用だよ!」
「「「「「おーーーーっ!」」」」」

「………は、はは…おまえら……ありがとうな」
「みんな、いい奴ばっかりだよね、竜児……」
「……おう、そうだな」

「…ねぇ……祐作…」
「ん、どうした?亜美」
「フォローしてくれて、ありがと……私さ、その…二人の……かなりやばいこと、バラしちゃって……」
「うむ、正直、聞く人が聞いたら、大問題になっていたかもな」
「………っ!」
「でも、2−Cにはそんな奴は一人もいなかったみたいだぞ」

「ねぇねぇ逢坂さん、高須くんと一緒に住んでるってことは、毎日のご飯は高須くんが作ってくれるのよね?いいなー」
「高須くんって、家だとどんな雰囲気なの?やっぱりラブラブいちゃいちゃしてるの?」
「高須てめー!まさかとは思っていたがマジだったのかよ!俺タイガー派だったのに!」
「これで完全に手乗りタイガーは高須のものって証明されちまったわけだな」
「つーか、そもそもさっき『大河は俺のもんだー!』とか叫んでたよな」
「『誰も触るんじゃねー!』とか、普通は言えないよなぁ」
「んで、ぶっちゃけ二人はどこまでいってるんだ?」
「ちょ、待て待て!俺と大河は断じてそんなんじゃねぇ!まだ、ちゃんと清い関係だ!」
「「「うおおおぉぉぉぉぉっ!」」」
「逢坂さん、本当なの?」
「でも、キスくらいはしてるわよねぇ?こないだプールでもしてたし」
「へー、高須くんって、見かけによらず紳士なのね」
「そ、そうよ!竜児はちゃんと、私を大切にしてくれてるんだから!」
「「「きゃーーーーーーーっ!」」」

「……そう、ね」
「いい奴らだろ。クラス委員として、2−Cは俺の誇りだ。もし万一、二人が一緒にいられなくなって『駆け落ちするようなこと』になっても、みんな全力で協力してくれる。そんな気がするんだ」
「……なるほど、よーく分かったわ。あいつら見てたら、あたしもそんな気がしてくるもの」
「どうだ?高須たちと『いい友達』になれそうか?」
「そうね、少なくとも、一緒にいて退屈だけはしないわ」
「そうか、それならよかった。おまえが『自分が後から入ったせいで、俺たちの輪が崩れるんじゃないか』なんて、いらぬ心配をしてるのかと思ったぞ」
「………ばーか、よけいなお世話だっつーの」

「こらー!おまえら!大河が困ってるじゃねえか!この話は終わ……ええい散れ散れ!大河は俺のもんだって言ったろ!誰も触るんじゃねぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!」

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:25:37.96 ID:EIYTlEuo0
スレチかもだが・・・。
橋の上からじゃなくてヘリの上からかよ!
受け止めてっていうレベルじゃねーぞ!

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 00:19:31.41 ID:/WMyhdRB0
>>175

緋弾のアリアだなwアレは笑った。

オナヌーしようとしてエロ画像をネットで漁ってたら一気に性的興奮が治まる画像を見つけたのでうp

ttp://blog-imgs-44-origin.fc2.com/p/u/r/puratina77log5/20110511004135d56.jpg

やはり和むなw

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 01:25:47.50 ID:/cHn0rdt0
>>171
GJ!
確かにムードないwきっかけの場所で想いが込み上げたんだな!

>>174
三部完結、乙!
平和なとらドラ!って感じだw幼馴染はいいコンビ
あれだけちゅっちゅしておいてまだ清い関係…だと…。二人の我慢強さに乾杯w

>>168
大河って意外に献身的だったりするよね
竜児も精神面では大河に支えられているところが強かった
問題が改善された今は、実生活でも支え合える良い関係を築いているだろうな

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 09:13:50.59 ID:N103WC2A0
りたーんず来てた。
北村も実は逆行していたとは全然読めなかった。乙!
やはりラブコメは周囲に認めてもらう瞬間がいいよね。

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 23:01:29.88 ID:VHljhdiJ0
りたーんず乙
やっぱこのクラスは賑やかで良いなw

>>176
おおぉ、これは素晴らしい
学生時代はもちろんだけど、このくらい未来の話がもっと読みたいな

180 :174:2011/05/18(水) 02:57:33.26 ID:rI7lzXRP0
>>176
これはいい!穏やかな二人の雰囲気が伝わってくるぜw

>>178
スミマセン、北村は逆行してはいないです;
ラストの亜美とのセリフの『竜虎駆け落ち』も『輪を崩すかもと亜美が危惧』も『一周目』では本当のことになりましたが、ここでは純粋に北村の感想です。
まぎらわしい書き方になってしまい失礼しましたorz

さて、おかげさまでりたーんずの4部を作っているのですが……微妙にネタが行き詰ってしまいました。
一周目の別荘では竜児との距離を縮めるために実乃梨を怖がらせていましたが、竜虎が結ばれている二周目ではそれをする必要がありません。
その部分を埋めるため、オリジナル展開に持っていく必要があるのですが、なかなかいい竜虎のラブラブシチュエーションが浮かびません;
勝手なわがままで申し訳ありませんが、よろしければ『こんなネタがあるぜ』とお力をいただければ幸いです。
長文失礼しました。

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 23:14:40.10 ID:FodpjK3l0
大河!大河!大河!大河ぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!
ブヒィ…ブヒヒ…ウホッウホホー!ウホウホウホウホウホ!!!大河大河大河大河ぁああぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!逢坂大河たんの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
アニメの大河たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
高須と結ばれて良かったね大河たん!あぁあああああ!かわいい!大河たん!かわいい!あっああぁああ!
アンソロも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!アンソロなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
大 河 ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?DVD絵の大河ちゃんが僕を見てる?
DVD絵の大河ちゃんが僕を見てるぞ!大河ちゃんが僕を見てるぞ!劇中の大河ちゃんが僕を見てるぞ!!
アニメの大河ちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕には大河ちゃんがいる!!やったよみのりん!!ひとりでできるもん!!!
あ、小説の大河ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ亜美様ぁあ!!き、北村ぁ!!会長ぅうううううう!!!みのりぃいいいん!!
ううっうぅうう!!俺の想いよ大河へ届け!!高須家の大河へ届け!!

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 23:57:20.13 ID:KGvh9DQs0
ルイズのスレかとおもた

183 :123 ◆1JnuILQrgF35 :2011/05/19(木) 00:01:03.37 ID:Ku1EGBWt0
大河が可愛すぎてヤバイ
大河の事が頭の片隅にいつもあって日常生活に支障をきたしてるww
大河!大河!大河大!河ーー

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 00:39:27.10 ID:ArWDlNu5O
>>180
北村とみのりんとあーみんが竜虎をガチで怖がらせる展開しか思いつかないよママン
そんでもってホラーワールドから桃色トルネードに変化させるバカップルの底力みたいな。

夏の海といえばバーベキュー的なコトだけど、原作ではやってたっけ?
あのメンバーでやったら楽しげだなぁ……。


関係ないけど、別荘で北村の印象が一気に変わった気がする。
二輪免許を持ってたり、ワカメの霊を召喚したり。
変態の称号はここで確定したよねw

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 00:43:52.34 ID:xK132O/l0
急にビビったw
ちゃんと竜虎改変になってるのがイイな

>>180
今度はお互いがお互いのために何かサプライズ用意するとか…

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 01:56:38.87 ID:2H2QqcOG0
これが釘宮病患者の末路か…、気をつけねば…。

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 02:20:59.25 ID:f3eHj32g0
早く中の人の画像を見せれば完治したのに…

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 08:18:55.01 ID:3s9qCvaF0
>>180 
最悪だった。キャラ改変しすぎ、書いて楽しいの? なら、マジ病気?

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 09:56:44.33 ID:+u03qbxk0
>>180
あ、北村逆行してないすか。失礼しました。

別荘編で何のミッションもなく竜虎ラブラブ描くならネタに困るって事はないでしょ。
何かミッションなあい?ってことですよね。
ないですよw逆行話的にはプール編で大団円を迎えたわけですし。
仲良し5人旅行の中に公認カップルひと組がいて波風立ったらそりゃ不自然だもの。
旅行中はふつうにいたるところでいちゃいちゃするしかないんじゃないかな。
コメディとしては初体験を徹底してじゃまされまくるというのが定番ですかね。
やっぱ避難所に(ry

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 20:47:56.54 ID:gqdxBkk70
>>180
原作展開なぞらなくても、みんなで旅行に行ったら?シチュでいいんじゃないかなぁ
能登や麻耶たんグループも混ぜて大所帯に…は、大変かw
本編は海イベントがほとんどなかったなあ。今度は大河も積極的に遊びそう。海といえばビーチバレーか。
ネタ降臨してから書いてもいいと思いますよ。待ってます!

>>184
別の話になるけど、『THE END OFなつやすみ』でバーベキューやってたね。
泥酔大人組に引いてる描写が多かったけど、二人も笑顔全開なのが10巻の写真でわかって、やっぱり楽しかったんじゃん!みたいなw

上でも出てるが、大河の献身や「みんな楽しそうでいいじゃん」と穏やかだったり
竜児の大河への尊敬や信頼がね。たまらない
オチがつきまとうのもらしいwデコ出し大河もかわいかったと思うんだ…


191 :転載:2011/05/20(金) 10:32:22.88 ID:1aui61ir0
570 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:10:41 ID:???
お題 「荷物」「声」「力いっぱい」



「……ねえ竜児、話があるの」
 いつもなら夕食後はお茶を飲みながらのまったりタイム。
 だが今日の大河はなぜか神妙な表情で。
「おう、何だ?」
「あのね、私……夏休みになったらアメリカに行くから」
「おう? ……ひょっとして、最近時々狩野の兄貴からエアメールが来てたのはそれでか?」
「うん」
「海外となると、一泊二日ってことはねえよな……三日か? 四日か?」
「……短くても一ヶ月、以上」
「何!? なんだよそりゃ?」
「竜児、私が通訳目指してるのは知ってるでしょ」
「おう」
「通訳や翻訳ってのはね、単に言葉を変換すればいいってもんじゃないのよ。そこに込められたニュアンスとか意味をきちんと理解して伝えなきゃいけないの。
 そのためには、やっぱりある程度生の英語に触れた経験が無いと……」
「そりゃわかるけどさ、そんな渡米までする必要があるのか?」
「竜児が言ったんでしょ、虎と竜は並び立つんだって」
「おう。だけどそれがどう関係するんだよ?」
「いくら将来竜児のお嫁さんになるのが決まってるっていってもね、通訳って仕事をそれまでの腰掛けにしたくはないのよ。
 竜児のお荷物とかおんぶに抱っこじゃなくて、ちゃんと自分の足で立って、胸を張って結婚したいの、私は」
「金はどうするんだ? いくらなんでも海外で一ヶ月暮らす程の蓄えはねえぞ」
「狩野すみれのツテでね、住む所と短期のアルバイトを紹介してもらえることになってる」
「……わかった。だけど一つ聞かせてくれ。どうしてこんな大事なことを今まで相談してくれなかったんだ?」
「それは、その……もし竜児に反対されたり、引き止められたりしたら……決心が鈍っちゃいそうだったから……」
「……あのなあ、どんなものであれ、大河がきちんと考えて決めた事に俺が反対するわけがねえだろ。力いっぱい応援するに決まってるじゃねえか」
「うん、そうよね……ごめんなさい」
「さて、そうすると急いでパスポートを用意しねえとな」
「いや、それはもう……」
「大河のじゃねえ、俺のだ」
「ふぇ?」
「……何頓狂な声あげてやがる」
「だって……行くの私なのよ? なんで竜児のパスポート?」
「そりゃ、俺も行くからに決まってるじゃねえか」
「えええ!?」
「本場で英語修業ってのはいいアイデアだよな。俺も将来必要になる可能性は高いし」
「ちょ、ちょっと待って!」
「何だよ、一緒に行くのが嫌か?」
「そんなわけないじゃない! だけど、それこそお金とか……」
「おう、そうだな。兄貴に二人分の働き口を頼むのもなんだし、俺は北村にどっか良い所がねえか聞いてみるか」
「竜児、本気!?」
「おう。なあ大河、俺はこうも言ったよな、『ずっと一緒だ』って」

571 : ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:14:33 ID:???
規制中なのでこちらで。
よかったら転載お願いします。

大学二年の頃のお話。
大河が通訳を目指しているというのは、「シンデレラなんかになりたくない」から頂きました。


192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 21:41:30.11 ID:6BEbbzHe0
なんだなんだ、みんなネタあって色々書けそうじゃないかw

それにしてもアレだ、いかにお色気担当とは言っても
「えっちすけっちわんたっち」が飛び出してくるとはビックリだぜ!

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 23:45:31.33 ID:XOSJ0ohS0
なぁ、お前らのキモい仲間の大河厨、本スレから引き取ってくれよ
実乃梨厨、亜美厨を連日、挑発して、すげー荒れまくってる。すげーうぜー

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 05:13:23.37 ID:KF6FQ38y0
>>191
GJ!
目標ができれば大河は邁進しそうだよね。
竜児、決断はええwそんなに離れたくないのかw
英語得意な大河は通訳似合うよなー

……シンデレラの続きも待ってます。

195 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/21(土) 10:41:38.25 ID:KtUvnrC+0
新作を避難所に投稿しましたので告知させて下さい。

お姉ちゃんにまかせろ!
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7850/1256747762/576-591

↑の576に内容を詳しく記しましたのでお読みの際は趣味に合うかどうかご判断のうえでお願いします。
中盤から汁っぽい竜虎ガチエロです。
当スレの>>136-148と対になる『休日編』となりますが、ストーリー上のつながりは少ないです。

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/22(日) 20:46:46.12 ID:TPbE03qM0
>>195

ゴクリ…、さんざん「エロ犬」言ってた大河が「エロ虎」になるなんて…。
とにかくGJ

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/22(日) 21:47:48.29 ID:4Axnjzdv0
>>191
乙!
共に夢を目指す竜虎いいなー

>>195
こちらも乙!
エロは少ないから嬉しいw

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/22(日) 21:55:49.09 ID:K5zU0St4O
>>191
アメリカでも竜児の家事スキルが爆発してJapanese Bento!amazing!!とか言われたりすんのかなw

>>195
心の汗(鼻血)がとまりません、せんせい…ふおおお

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/24(火) 01:13:55.13 ID:Zxj+HrKi0
>>192
脚本一緒だからなぁ。

200 : ◆Eby4Hm2ero :2011/05/24(火) 14:56:53.66 ID:YMDjk2I/0
前回転載ありがとうございました。やっと規制解除されましたー。

201 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/24(火) 14:58:01.86 ID:YMDjk2I/0
お題 「音」「使用」「おへそ」



「みのりん……」
 カーテンが僅かに開く音と共にかけられた声に振り向けば、使用中の試着室から小さな顔だけが突き出していて。
「どうだね大河、実際に着てみた感想は?」
「や、やっぱりちょっと恥ずかしいんだけど……」
「えー、まだ? 恥ずかしいからって露出控えめのスポーティなタイプにしたんじゃん。胸元だってしっかりカバーされてるし」
「でも、ほら……おへそとか見えちゃってるし……」
「そりゃ、お腹まで隠すビキニなんてのは無いさね」
「ねえみのりん、やっぱりワンピースじゃだめ?」
「大河……いいかい、私ら受験生には、プールで遊べるような機会なんてのはめったにないんだよ」
「う、うん」
「だったらその数少ないチャンスに目一杯アッピ〜ル!しないでどうするのさ」
「それは、そうだけど……」
「だ〜いじょうぶ! 高須くんだってきっと喜んでくれるから!」
「……そうかな……?」
「ビキニ女子が嫌いな男子なんていません! とはいえそうだね、勧める身としては出来を確認しとくべきか……大河、カーテン開けてみて」
「ふぇ? だ、駄目っ!」
「いいじゃんいいじゃん、女同士なんだから恥ずかしがることないって」
「ちょっとみのりん! 駄目だってば!」
 カーテンを開けようとしたり閉めようとしたり覗こうとしたりガードしたり、数分間のどたばたとした攻防の後。
「……高須くんの技術に敬礼」


 数日後、更衣室にて大河が取り出したのは去年と同じ赤の小花が散るワンピースの水着。
「あれ? 大河、新しいやつは?」
「んー……竜児が、ちょっとね」
「あちゃー、お気にに召さなかったかね」
「ううん、最初驚いてたけど、良いって、似合うって言ってくれた。喜んでた」
「じゃあ、何で?」
「その、『他の奴には見せたくねえ』って……」

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/24(火) 21:29:53.28 ID:RypU8x/a0
282828

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/24(火) 23:00:13.51 ID:MZvtCBzf0
〔高須くんの技術〕てパッドの製作技術のこと?
それともモミモミその他の手テクのこと?

気になって眠れないよっ!!教えてママン

アニメスタイル楽しみだよっ!!!

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/24(火) 23:14:24.04 ID:Ri+JavvH0
パッドの技術のこととばかり思っていたが、>>203の淫らな着眼点にやられた。
モミモミその他の手テクゆえに素でみのりんが敬礼するほどになっていたらどうしよう?

つかこのごろ大河のおっぱいがブームなこのスレ。
いいぞもっとやれw

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/25(水) 09:58:51.58 ID:I19+OLABO
つるつるにされてたのかと思ったが・・・

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/25(水) 10:50:26.71 ID:nSQYUswp0
「……高須くんの技術に敬礼」の下りでは、みのりん涙してるだろ(w

自分が見抜いたとはいえ、竜児の技術が大河をどれほど助けていたか、
パッド無しの姿を見て気づいてしまったのさ…

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/25(水) 23:28:09.46 ID:zoccyUs90
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira003938.jpg
そりゃあ涙するよな・・・
そんな涙を誘う姿にもドキドキムラムラしていた竜児には立派な膨らみです!
>>201ご馳走様ですw

アニスタ表紙がかわいすぎる

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/25(水) 23:49:55.05 ID:RygmUOeVO
>>207
大河はともかく背後の竜児のドヤ顔wwwここ何回読んでも吹く
チチ盛りすぎだしw

アニスタ良かったよー。ぷち大河は可愛いし、スタッフインタビューも色々たまらんぜよ

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 02:17:06.07 ID:838G3dUF0
アニメスタイルよかったかぁ。今から買おうかなぁ。

まんだらけで買うとポスターついてくるらしい。
ttp://www.mandarake.co.jp/information/event/cmp/showcase/2011/110521.html

裏面いいな、竜児悪役風だが(w
後ろを飛んでる海パン風の男は、やっぱりあいつか…

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 06:15:32.01 ID:QtxuyZ650
しばらく「ハプニングセックス」という単語が流行りそうw

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 14:51:05.60 ID:yWjX0dKt0
アニスタにアニメで竜虎がセックルしたとか書いてあったらしいけどマジなのかな
誰か買った人おせーてくれ

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 14:55:02.68 ID:sn0AXAmHP
>>211
本スレで盛り上がってるよ
「最終話で大河が脚をもじもじさせたのは
昨日のセックスが痛かったからだ」とスタッフ談

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 15:07:16.74 ID:YN1LI+2pO
>>212
ちょ、断言すんなw

>>211
岡田:プラトニックに書いた
田中:やったっぽい描写をあとで足した
長井:どちらでもいいようにしてある

田中さんwwwGJ
要するに今まで通り好きなように解釈すればよろし

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 15:09:17.60 ID:yWjX0dKt0
うおおおマジか……
サンクスアニスタ買ってくるか

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 18:00:15.83 ID:QtxuyZ650
「櫛枝実乃梨、通称みのりんのハイテンションインタビュー!今日は巷で噂の愚かなリンゴ、バカぁップルに来ていただきましたー!」
「どうも、高須竜児です」
「逢坂大河です……本当にこんなのやるわけ?」
「やるよー!もう一度……もう一度……って3回はやるよーっ!」
「うわァァァワァみ、みのりん!ちょっ」
「なあ、ここはなんで櫛枝が知ってるんだって突っ込むところか?」
「そこは掘り下げないっ。あたしは神の目で訊くからねっ。はい、あの晩ちゅーのあとなにしましたかっ?」
「寝ました」
「寝たわよ」
「……日本語って便利だなあとつくづく感心するぜ。逃がさねえ。えー。せ、せくろすしましたかっ?」
「してません」
「し……してない……」
「ちょっと攻める角度を変えてみよー。駆け落ちに行く電車の中で、ふたりの荷物はどうなってた?」
「俺は足元に置いてたな」
「私のは竜児が網棚に上げてくれた」
「はい、高須くんは抱えた荷物を地に着けた。大河は棚上げしたままだった、ということだねっ?」
「そ、そういうことになるかな。ははっ。ちょっと邦画的な象徴演出だよね」
「逃げだして抱えた荷物っていう意味な。何を抱えているかはご覧の皆さんお感じ取りくださいねってとこだ」
「そう!そうだよたきゃすきゅんっ!ふたりの荷物をここから追っかけると面白いよ」
「高須本家で泰子をおびき寄せるウソ電話を大河がかけてるとこではちぐはくに置かれてるな」
「そのあとキスシーンではぴったり添ってる。でも向きがチグハグ。大河の方だけ正しく置かれていないわけよ」
「そうね、後ろ暗いっていうのかな。竜児の決意に置いて行かれたって気分」
「そして帰りの電車だあ!ふたりと荷物の位置の関係はもう描かれない。ただ寄り添って正しい向きで置かれているのみだっ」
「ちなみに、荷物については泰子が実家に帰って来て玄関先で投げ捨てる、そのあとストーブ横で温まってるてのもあるな」
「ねえみのりん、当初の質問と関係なくない?これ」
「関係あるぜよ。だって荷物の中には君たちが心でしか触れあっていなかった、てのがのが必ずあるはずだからねっ」
「キスでいいじゃん」
「キスでいいだろ」
「あーーっ、しまったー!居直られたーーっ!!じゃあさじゃあさ、翌朝帰る時に大河が高須くんのマフラー巻かれてたのは?」
「んー。寒いよなって竜児が巻いてくれただけ。いつもそうだったし」
「帰りの電車の中で高須くんが真っすぐ座ってるのに大河が寄りかかってるのはーーっ?」
「好きだから」
「そうかい韜晦するのかい。うっへっへじゃあ行くよー?そのとき、脚をもじもじさせたのはなぜっ?」
「うっ」
「俺……ちょっとあさって向いてたから見てねえけどそんなことしてたのか大河。大丈夫か?痛かったのか?」
「ばかっ!ひ……」
「ひ……、ひ、何ですかあっ?大河ぁ?さあさあさあさあっ?」
「……左ひざがかゆかったんで右のひざでかいたのよ」
「はあ?」
「だって手は竜児に無理やり握られてたしー。なんかひざボリボリかくのいやだったんだもん」
「おう。そうか。……無理やりかよ。そうだよなーははは。そうかヒザかゆかったのか」
「ちくしょー!そうかよおめーらどうしても認めねえのかよぅ。うっ、うっうっうっ……」
「みのりん、なにも泣くこと……」
「そうだよ櫛枝、結ばれた表現がキスでした、でいいじゃねえか」
「うっうっうっ……じゃあさ大河、その後高須くんと別れて自分ち戻ってさ、椅子で留守電きいてるときなんで片脚だけあげてたのー?」
「あー。独りになったら緊張ほぐれてさ、なんか挟まってる感がしてさ……あっ」
「……お前」
「よし大河!実によし!冬のユニフォームとも言える純白のコート、そこからナマ脚が出てるカットはここだけだもんな?」
「み、みみのりん、あれよ!作画スタッフのお色気サービスってやつよっ。きっと」
「うん。もうそれでいいや。……でも大河?親友として心配ごとがひとつあるの」
「なあに?」
「ナマはいかんと思うのね。あとあと考えたらね?そこんとこはどうしたの?」
「ああなんだそんなこと。駆け落ち行き電車のシーンもう一度見てよ」
「ん?ヒントなんかあったかな?」
「私たち、コンビニ寄ってんじゃん」
「はいっ。はいっ、はぁいっ!『とらドラ!』は完ぺき!みのりんのハイテンションインタビュー、でしたっ」

〜おしまい〜

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 18:28:36.49 ID:YN1LI+2pO
>>215
……………。
とらドラ!って完璧やね。

大河がお菓子選びに夢中のすきに竜児がテンパりながら買ったのか、
それとも二人で「か、かかか駆け落ちだからこれも要るよね?ね!?」とか冗談めかして
でも真っ赤な顔でモジモジ突っつき合ってカゴに入れたのか
どちらにせよ店員は氏ねバカップルめ!って思ったであだろう…w

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 20:00:51.03 ID:ID5oMkUz0
>>213

長井監督ナイス!

>>212
多分俺の予想なんだが、スタッフのジョークじゃね?
原作10巻見ると大河が泰子の実家前で「漏れそう…。」ってもじもじしてたはず…。

多分アニメ最終話作成中に原作がここまで行ってた→じゃ、漏れそうなシーンどうやって表現するか?

A.大河の脚をもじもじさせる。

に行きついたと考えたい…。

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 22:07:31.78 ID:UTZNYhqn0
>>215
大河墓穴wwうん、完璧だな!

原作に比べると感情の起伏が少なかったアニメだから素直になれた時点で止まらなくなった
も有りかなーと、やってない派だったのに揺らぐ
場所が問題だろと思うがw
>>216みたいなバカップルが裏にあったと考えると2828が止まりません

原作はやっぱり、愛ゆえに必死に耐えててほしいw
イチャイチャしながら最後の一線でもんもんと踏み止まる高三期間は必要だ。

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 22:52:01.40 ID:838G3dUF0
>>212,213
ちょ、自慢していい?

ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/kako/kako15.html#R315

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 22:53:57.85 ID:838G3dUF0
>>209
ポスター裏、ポップで楽しげだけど、ぞくりとするような仕掛けがある。プロは侮れない。

221 :123 ◆1JnuILQrgF35 :2011/05/26(木) 23:08:23.56 ID:RAJLWYd40
>>219
本人なのか知らんがこれは凄いww

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 23:41:32.80 ID:6VDbQbcb0
>>219
真っ先にこのレスを思い出したよ!
洞察力にあっぱれだ

仕掛けが気になる…

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 23:48:47.27 ID:QtxuyZ650
>>218
原作は始まりがラブコメだったからラブコメに還したというファンタジーで良かったよ。
高三期間というのはラブコメとしての収穫の時期だから原作ベクトルのSSが圧倒的に多いのも頷ける。
実は消失エンドの可能性もあったのでは?と読んでちょっと思ったけどね。
>>219
自慢しろ自慢しろw
自分は今年になってからとらドラ!を見て読んだから悔しいぜ。
>>216
勢いでコンビニシーン書いちゃったから君に贈ろう。俺はこっちだと思うけど。


224 :おれは大河と添い遂げる:2011/05/26(木) 23:49:54.39 ID:QtxuyZ650
 早朝。昨夜の雪景色が残る道を駅へと歩く。
 傍らには皮のスーツケースを重そうに提げる小柄な女。俺が愛し、愛を告げたら受け入れて
くれたただひとりの俺の女。
 こいつと添い遂げるのを誰にも邪魔されないように、肩から下げたダッフルバッグにはたく
さんの荷物が入っていた。ドライヤーも、女物のブラシも、シャンプーやリンスも、こいつが
うちに脱ぎ忘れていった衣類も、ウェットティッシュやたくさんのタオルも。俺の荷物の方が
少ないくらいだ。
 だけど、17歳で高校生の俺にはこの絆を守りきれる力は本当はまだ無い。このままイレギ
ュラーな手段では。でも俺たちにはもうなんの準備をする時間も残されていなかった。このま
まうちにいたら唯々諾々と引き離されてしまうほかになかった。だから、逃げる事に決めた。
「コンビニ寄ってくぞ?必要なもの買っとけよ」
「……う、うん。お菓子くらいかな」
 駅前のコンビニに入り、カゴを取って、俺は真っ先に化粧品や下着を並べている棚に歩み寄
り、メタリックブルーでお菓子のようなパッケージを取り、放り込まずに丁寧に置いた。愛す
る女の顔を真剣に見つめながら。
「ヤケになってるわけじゃねえ。そこは知っておいてくれ」
「……」
「もうお前も気づいているだろうが、これはいくさで言えば敗走だ」
「敗走……?」
「そうだ。だけど、黙って全滅まで受け入れるつもりは俺にはねえ。徹底的に戦って切り開く」
「戦うの?逃げて……自由になるんじゃ……ない、よね。ないわ。うん」
 心細げだった女の目に揺らぐ炎が戻って来た。不安を俺に全部預けて空元気でいた本来の魂
に火が付いていた。そうだ、出逢った時から知っている。お前はそういう女なんだ。
「俺は俺の人生をお前にやる。それは、お前の人生を俺に寄越せってことだ」
「わかってる」
「よし。そのためにこれは要る。俺たちの人生を簡単に棄てないためにだ」
「うん。わかった。……だけど。ううん、いい。行こう」
「なんだ?なに言いかけた?遠慮せず言えよ」
 もう隠しっこは無しだ、と。まるでこれから殴り合いでもするみたいに、お互いを睨みつけ
て喋っていた。心細さと緊張感を、戦う心で埋めていたからだろう。
 だが、この女はふっと。ふっ、と力を抜いて、今まで見たこともないような優しげな顔にな
って俺に告げたんだ。
「……それを使う時には、せめて優しい顔をしてよね。初めてなんだから」
 絶望しながらとか、泣きながらとか、まっぴらだから。ま、あんたはそんなことをしないっ
て信じてる。けど、場合が場合だから釘は刺しとくよ。ふへへ♪

 優しい女だな。緊張感が一気にほぐれて行った。彼女はこれだけを買うのが恥ずかしいのだ
ろう。要りもしない菓子をぽいぽいカゴに放り込んでいる。いつもはその行為を咎める俺も、
今日は特別だった。なんでも買え。あ、でもインスタントカメラを買うのはやめろ。一体何に
使うつもりだ。
 レジで会計を済ませていると、初老の店員が俺たちをじろじろ見る。くそう、好きなだけ見
ろ。エロ惚けのバカップルめが朝っぱらから、とでも思っているんだろう。誤解されるのには
慣れてるし、そもそも今日ばかりは誤解でもねえ。俺はこの女を俺のものにする。

 コンビニを出て、店先で買った飲み物を呑む。まだ早朝で出勤ラッシュまでは時間がある。
こんなときにもこいつはヨーグルトドリンクをちゅうちゅう吸っている。大丈夫、日常を棄て
たわけでも見失ったわけでもねえ。俺たちはきっと大丈夫だ。
 飲み終わった殻や容器をゴミ箱に棄てて、大河、と声をかける。しっかりと見つめて、初め
て俺の意志で、肩に手をまわしてきつく抱きしめた。
「竜児……」
 と、大河も応えて俺を絞め殺そうとする。
 日はすでに登っていた。これから行くところは電車にのってから話そう。勝算などはないが、
できることはすべてやる。こいつのために、俺のために。
「じゃあ、行こうぜ」
「うん」
 俺たちはしっかりと手を握り合って、駅へ歩き出した。


――END


225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 23:51:21.16 ID:yV1RwS3Z0
おう自慢していいぞw
俺も当時このコメントを見てかなり感心した覚えがある。

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/26(木) 23:56:26.63 ID:yV1RwS3Z0
>>224
俺もどっちかと言えばこっち派かな。
先の見えない不安と緊張が伝わってくるけど
そんな中でも二人の芯の強さみたいなのが表現されててイイね。

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 00:00:48.01 ID:838G3dUF0
>>222
帰りの電車は大河巻きだしね。

ポスター裏の絵、みのりんと大河が競うように掴もうとしているの、なんだ?
考えすぎかもしれんけど。

228 : ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:18:31.14 ID:yTD6yf5NO
申し訳ないくらいお久しぶりです。覚えてない方もすみません。「宇宙スペースナンバーワン!」書きかけてた者です。
実はハプニングセッ…ハプニングでデータが全て消えてしまい、私事が忙しくなったこともあってしばらく創作から離れていましたが、
このたびアニスタのとらドラ特集にパワーを貰って恥ずかしながら帰ってまいりました。
また途中ですが、とりあえず書き直せたところまで投下します。次回はそんなにお待たせしないと!…いいな。

ちなみにこちらにある話の続きっす(まとめ人さんありがとうございます!)
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/Author_oLWUinCrU.html

229 :宇宙スペースナンバーワン!12 ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:21:25.29 ID:yTD6yf5NO
          # # #


「──なんじゃこりゃあ!?」

 奥の個室へ通された瞬間、竜児の口からは某殉職刑事もかくやな呻き声が漏れた。
 卓の周りにみっちり人人人。
 20人どころかその倍は居るだろう。明らかにクラスメートでは無い奴らも混じっている。
「おぉ高須! もう始めちまってるぜ」
 見知った金髪ピアスに声をかけられ、竜児はとっさに腕を掴んで大河の待つ廊下に連れ出した。
「なあ、こりゃ一体どうなってるんだよ? なんでこんなに人が居る!?」
「いやー、お前だけ彼女連れなのも気まずかろうと思ってさ、全員“同伴者OK”にしたんだけどよー。」
 竜児のナチュラル般若面に怯みつつ、金髪ピアスはヘラヘラと手を振った。
「高須が“宇宙一の嫁”を連れて来る、っつー話がどっかから漏れちまったらしくてさ。」
 ピシリ、と竜児の後ろの空気が変わる。
「おかげで出席率過去最高。おまけにどうにかしてその嫁を拝みたい、っていう外部の連中が、何人か紛れ込んでるみたいなんだよな。」
 ──漏れたも何も、犯人はお前かあの顎髭メガネしかいねえだろっ。
 文句を言おうと口を開いた瞬間、上着の裾がぎゅうう、と引かれ、竜児は後ろにつんのめった。
「大河? どうした?」
「そんなこと言ったわけ……!?」
 裾を握った拳まで真っ赤になって、大河がうめく。
「う、うちゅ、宇宙一ってあんた、いいいくらなんでもっ」
「おう、いや、実はな──」

「マジかよ……!」

 突然割り込んだ大声に振り向くと、廊下の向こう、トイレから出てきた顎髭メガネがポカンと口を開けている。
 視線の先には、竜児の背中に隠れて小さく身体を震わせる大河。
「高須お前、誘拐は犯罪だぞ!?」
「いや、飲み会終わったら返すから──なわけねえよ!? 彼女だよ!」
 気がつくと、竜児は大河の肩を掴んで思いっきり怒鳴り返していた。
「こいつが俺の“宇宙一の嫁”!」
 かくして、言い訳の機会は失われる。




230 :13 ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:24:48.81 ID:yTD6yf5NO

「おーいみんな、お待ちかねの高須と嫁さん来たぞー!」
 止める暇もあらばこそ、幹事二人が大声で竜児たちの合流を告げると、場は一瞬にして静まり返った。
 おずおずと大河を紹介する竜児に全員の視線が殺到する。
 そして、──巻き起こる大歓声。
 いつもなら早々に「うるせー!」とブチ切れるはずのチビ虎は、さっき耳にしたばかりの『宇宙一宣言』の衝撃から立ち直れず、ギクシャクと会釈するのがやっとの有様。
 それをウブな反応だと勘違いした連中が、「美女と野獣だ!」「天使と悪魔だ!」「世界不思議発見!」などと失礼なことを口々に叫ぶ。
 それからしばし──冷やかしとやっかみでドツかれまくり、何度も同じ説明を繰り返し、思わず目から殺人光線を漏らしはじめてやっと竜児が自分の席に腰を落ち着けると、大河は大河でそのまま猫を百万匹くらいかぶることに決めたらしい。
 聞いた事もないような猫なで声と丁寧語で周囲と喋っていた。
 それでいて、掘りごたつ式の長卓の下、華奢なおみ足は竜児のスネを小突いてくるのだ。
 ──何で誉めたのに怒るんだよ。
 確かに多少大袈裟だったかもしれないが、彼にとっては大河の存在は真実“宇宙一”なのである。
 大恋愛を実らせて以来、少々浮かれトンチキな竜児の脳内辞書からは、“贔屓の引き倒し”という文字は永遠に失われていた。
 ──女心ってわっかんねえ……。
 大河の個人情報を聞き出そうとする連中を適当にあしらいつつ、こっそりため息をつく。
 とりあえずきちんと経緯を説明しようと、恋人の腕を引いたその時。

「席替えターイム! チェンジ!!」

 明らかにアルコール・ハイな幹事の声が響き、大半が素直にいそいそと移動し始めた。
「はい、高須も向こうの卓に行くー」
「おう!? いや俺今、大河に話が──」
「そんなん帰ってからいくらでもすればよくね!? 膝抱っこしてチュッチュチュッチュしながらさあ! いいから動いた動いた!」
 尻を蹴飛ばされるようにして追い出された先には──目をギラギラ光らせた女子の一団が。
「隊長! 高須くんを補まえました!」
「よろしい、左右を堅めたまえ。」
「え、あの、ちょ」
 ▽竜児 は まわりこまれてしまった!
「詳しく。二人の愛の軌跡を詳しく」
「もっと事細かく。」
「下ネタも辞さなくてよ。」
 ──うわああああああ大河あああああああ!!!!


231 :14:2011/05/27(金) 01:29:12.43 ID:yTD6yf5NO
 内心の絶叫虚しくズルズルと魔窟に飲み込まれる。その背中に一瞬、大河のすがるような視線が投げられたのに気付く由もなく──。


 ──……女子怖えぇ……。
 しばし後。高校時代にさんざん噛み締めた事実を再び思い知らされ、竜児はぐったりと長卓の端に伸びていた。
 家族問題などのデリケートな部分は死守したものの、最初はお互い別の人が好きだったことや、果ては近頃のデロ甘い日常まで洗いざらい吐かされて。
 恥ずかしさと大河への申し訳無さでトラウマ級の悪鬼羅刹フェイスになったあたりで、ようやく解放されたのだ。
 今夜彼女たちがどんな悪夢にうなされようが竜児の知ったことではない。自業自得である。
 ちら、と目を上げて大河の姿を確認すると、借りてきた虎猫様は遠くで男子の群れにたかられ、崇拝されていた。
 ──おうおう、飯にも手ぇつけないでまあ……無理しやがって。
 そう、それはまさに崇拝と言った体が相応しい。お互い牽制しあっているのか、大河が無意識に威嚇しているのか、必要以上にそばに寄る不埒者はおらず──
 いや、いた。 一人だけ妙に馴れ馴れしい手つきで大河のグラスに何か注いでいる優男が。
 ──あれ酒じゃねえだろうな? アルコールは体質的に得意じゃねえって、始めにちゃんと説明したはずだぞ──
 三白眼がゆら、と不安気にゆれる。
 そんな竜児の姿に気がついてか、幹事の片割れの顎髭メガネがそっと近づいて耳打ちしてきた。
「高須。今お前の彼女の隣にいる4年生な、あんまり良い噂聞かねーから気をつけろよ。」
 曰わく、目当ての女の子を酔わせて持ち帰ったりするらしい。
 ──なんて奴だ、男の風上にもおけねえ!
 すわ嫁の一大事、と腰を浮かせた竜児の元に、あろうことかその優男が向こうからニコリと笑いかけてきた。
 せ、宣戦布告かコノヤロウ、受けて立っちゃるぜ!とばかりに両眼から殺人光線をビカビカ放っていると、酎ハイのピッチャー片手にこっちにやってきて。
「高須竜児くん?」
「……ええ、はい」
 ──そうですが何か。 俺と俺の嫁に何か。
「オレ、4年の○○」珍しい名字でよく聞き取れなかった。「まあ飲もうよ。」
 グラスにドボドボ注がれ、特におかしな味もしなかったので素直にいただく。
「彼女、大河ちゃんだっけ? めちゃくちゃ可愛いな! もう籍は入れたの?」
「まだですが、いずれ近いうちにそうなります。」

232 :15 ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:35:06.48 ID:yTD6yf5NO
 断言してまずは軽いジャブを浴びせる。
「じゃあ、ご両親に挨拶とかも?」
「だいぶ前に。 ほぼ同棲状態なんで、そういうケジメはちゃんとしねえと。」
「へえ! そりゃ偉いな。」
 何でもない会話の筈なのに、妙にねちっこい蛇のような威圧感を感じる。竜児の強面をまともに見ないよう、絶妙に視線をずらしているのも気に食わない。
 喉の乾きを覚え、ついつい手元のグラスを呷ると、すかさず注ぎ足されて。
「いや、俺もう……」
「まあまあ、もう少し付き合ってよ。
 君たしか法学Bの授業取ってたよね? オレ去年バイトで補助員しててさ──」
 云々と。益体もない話をダラダラとしながら、どんどんグラスに酎ハイを注ぎ足してくる。
 一瞬、自分が狙われてるんじゃ、などとしょうもないことを考えてしまい、竜児は鳥肌を立ててぶんぶん首を振った。
「あのすんません、俺、ちょっとトイレ……」

 これはまずい。
 歩いてみて初めて自分のふらつきに驚く。
 思い返せば、女子軍団に尋問されていた時も照れ隠しに結構飲んでしまっていた。さっきの椀子蕎麦ならぬ椀子酎ハイがトドメになったわけだ。
「俺、本当にお持ち帰られるんじゃねえだろうな……?」
 冗談ではない。想像しただけで胸が悪くなり、……それで思いついた。 出しちまおう。
 ──MOTTAINAIが、この有様じゃいざって時に大河が守れねえしな。
 まだ何かが起こると決まったわけではないけれど。 意を決して便器に向かい、竜児は喉に思いきり指を突っ込んだ。


          # # #




「あー……。喉いてえ。」
 嘔吐後特有の気怠さに胸をさすりつつ、ヨロヨロとトイレからさまよい出る。
 酔いはだいぶ覚めた──ただ、後始末をするつもりでうっかり便器をピカピカに磨きあげてしまった。
 空くのをイライラと待っていたどこかのおっさんが、個室に入るなりその輝きにひるむ声が聞こえる。
 部屋に戻る前に水を貰うべく、店員の姿を探していると。
「はい高須くん、ウーロン茶。」
「おう、助かった」
 見知った顔に横からグラスを差し出され、一息に飲み干す。だいぶ氷の溶けた薄さがありがたい。
「あーあ、残念。あたし、一年のころから密かに高須くん狙ってたんだけどな。」
「!?……ぶほっ! な、なんだよ急に……?」

233 :16 ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:39:56.58 ID:yTD6yf5NO
 まじまじと見れば、ストレートな黒髪に清楚な淡いブラウスの、おそらく同級生。 さっき竜児を質問責めにした女子軍団の一人である。
 名前はたしか、……。全然覚えていない。
「入学して半年だったかな。二号棟の横で、つまずいてミュールの留め紐を切っちゃって。
 たまたま通りかかった高須くんが、魔法のように直して立ち去ってったの。」
 擦り傷の手当てまでしてくれてね、と言われ、眉をひそめて考える──そういえばそんなこともあった、ような? 正直、似たような出来事が多くて覚えていられないのだ。
 なにしろMr.MOTTAINAIこと竜児のもとへ持ち込めば、たいていの衣類・小物を直してしまうので、陰では小人の靴屋ならぬ“般若の修理屋”と呼ばれていることなどは本人も知らぬ事実である。
「学部も違うし、なかなか話す機会がなくて。で、今日がチャンスと飛び込んでみたら、あんなにフワフワキュートな彼女のお出ましでしょー。
 おまけにさっき耳が腐っちゃうくらいたっぷりノロケられて、なんていうかもう」
 ぱっと両手を広げて微笑む。「勝負の前に惨敗、って感じ?」
「…………。」
 その表情の種類を竜児は知っていた。 こんなに切なそうな笑みは、そう、高校時代に何度か見た──
 ──心底望んだものが得られなかったやつの顔だ。
 あの時は、自分もみんなもまだ幼くて、ひどく傷つけあってしまったけれど。
 竜児はぐっと深く息を吸い、黒髪の彼女に向き合った。
「……よくわからんが、そう思ってくれて、その、嬉しい。 ──けど」
 軽く目を見開き、彼女が顔をうつむける。
「俺、大河を愛してる。」
 とんでもなく恥ずかしい、そして残酷なことを言っている自覚はあった。でもこれは告げなくちゃならない。きっと、今。
「好きで好きで、どうしようもねえ。
 想像すらしたくねえけど、今あいつが俺の人生から居なくなったら、きっと気が狂っちまう。いや、もう半分狂ってるのかもしれねえ。 そのくらい好きだ。
 だから、……ありがとう。ごめんな。」
 廊下にぽたりとこぼれた雫は、きっとグラスの汗だ。

「じゃ、じゃあ俺、先に戻るから」
 経験から言って、あとは自分で感情にカタをつけるしかない。
 言いようのない罪悪感とともに竜児が座敷に戻った瞬間──それは起こった。





234 : ◆oLWU/inCrU :2011/05/27(金) 01:44:54.65 ID:yTD6yf5NO
こんなとこで切ってすみません。ちっとシリアスにしすぎた感。

アニメスタイル最高ですね。もう五回は読み返したわ!とらドラに関わった全ての人と、竜虎スレ住民に感謝です。
ではまたなるべく近いうちに!

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 01:47:33.90 ID:yTD6yf5NO
>>224
あなたの書く竜児はなんてこんなに男らしく頼もしいのか。
春夏秋冬?シリーズも大好きっす。
さらっと絞め殺されそうになってるのカワユスw

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 02:03:38.59 ID:a0wB+gkf0
>>234
うわー、「宇宙スペースナンバーワン!来たよ。
データが消えるという災難の中、また書きなおしてくださって、有難うございます。
駆け足で読んでしまったが、”手に汗握る展開”だー 飲み会の様子が目に浮かぶ。
竜児得意の「ぼそっ」j話す攻撃で、女性陣は屍となっているであろうw
氏の竜児もメチャ男前っすよ。

残念ながら、まんだらけのポスターは、手に入れることができなかったけど、
ウィンドウの中で、大河の左肩の上で手を繋ぐ、2人の姿を見て、涙がでてきた。
勿論、本誌でも。

この盛り上がり、まさにアニスタ効果ですね。
私もきちんと締めなきゃ、エピローグ…


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 02:23:29.41 ID:a0wB+gkf0
(お、規制解除されてたのか、書き込めた…)

>>219 >>222 >>225
私も本誌読んで、このレスを思い出しました。すげぇ。
田中氏が「ブログでも触れられていない」が言ってる中、GJっす!
あと、文豪氏の考察でも触れられてたような…
やってない派だったので、>>224 があったけど、手までかな、とか想像しとこっ!

同じくポスター裏面の仕掛けがきになるがブツは無し…

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 07:33:01.28 ID:HOyp0x9v0
ヒャッホオオオ、宇宙スペースナンバーワンがきてる!
続き読みたいなあと気になってたから嬉しいです!帰宅したら読むぜー

>>236
頬染めて幸せそうな笑顔に、心から想いあっているのが伝わって、こっちまで満たされるよね。
アニメラストの後、みんなと合流して「ほらもっと密着してー!」と
冷やかされながら写真撮ってもらうシチュエーションが浮かんで楽しい。

エピローグというと、あの作品が浮かびますが、どきどき…

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 08:05:48.35 ID:CQrJpPtI0
仕事忙しくて睡眠不足気味だが、このスレのラッシュに救われてるよ。
作品投下してくれている作者の皆さん、ありがとう。

>>224
いいなぁ、これ。「釘はさしとくよ」が大河らしい。

>>233
ここで切るんだ。残酷な!でも、トラブルからの復帰、ありがとう。

>>237
ポスター裏面は、サンプル画像で確認できるよ。

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 22:26:43.16 ID:vXy9SYal0
「もう一度」の後の出来事をkwsk
大河をアンアン泣かせる方向でkwsk
避難所あたりにkwsk

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/27(金) 23:24:04.67 ID:MBqg1BCu0
>>234
ハプニングに見舞われながらも書いて下さってとても嬉しい。お疲れ様です!アニスタ万歳!
宇宙一と想ってくれてる竜児に応えたくてしおらしくしてたり…。内心バクバクしてそうな大河の動揺が可愛い
便器磨きあげる竜児に吹いたwヤツならやるw
ラストも、誠実だからこそですね。竜児の大河への愛には入り込めないものな
次回も楽しみだー

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/28(土) 00:28:44.86 ID:QNOxVi3M0
スレチだが嫁にしたいキャラランキングでアリアが入ってたぞ。
確か竜虎の中の人はアリアで主役&ヒロインで出演してたよな?

243 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/05/28(土) 03:35:18.49 ID:oJpzL1JE0
お題 「目じり」「動き」「この家」



「ただいま」「やっちゃんただいまー」
 二人並んでドアを開けた次の瞬間。
「竜ちゃん大河ちゃんおかえりぃ〜〜っ!」
 目じりに涙を浮かべ、砲弾のような勢いで飛んでくる泰子。
「おうっ!?」「やっちゃん!?」
 どうにか受け止めた竜児と大河を二人まとめてぎゅうぅぅぅっと抱き締めて、そのまますりすりと頬ずりを。
「やっちゃんね、やっちゃんね〜、寂しかったんだよ〜」
「あのなあ……俺達が引っ越してからまだ一週間も経ってねえじゃねえか」
「寂しかったものは寂しかったんだも〜ん」
「わかった、わかったから離せ。朝飯作れねえだろ。あと大河が窒息する」
「ふえ? あ、ご、ごめんね大河ちゃん〜!」
「……あ、あやうくやっちゃんの胸に関する第二のトラウマを植えつけられる所だったわ……」


「はあ……やっぱこの家が落ち着くわね〜……」
 仕事に行きたくないとごねる泰子を今日は泊まるからと説得して送りだし、手馴れた動きで掃除を始めた竜児を横目に大河はちゃぶ台に突っ伏してのんびりモード。
「なんだよ、それじゃあっちの家じゃ落ち着かないみたいじゃねえか」
「当たり前じゃない。あっちじゃまだ10日も暮らしてないんだから」
「そりゃそうだが……一応『わが家』なんだしさ」
「それに、落ち着くよりもドキドキしちゃうのよね、まだ」
「おう?」
「だって、竜児と朝から晩までずっと、ずぅ〜っと二人きりなんだもの」
「いや、二人で居ることなんて今までしょっちゅう……」
「まったく……これだから女心のわからない鈍犬は……」
「お、おう?」
「ま、いいわ。ねえ竜児」
「おう」
「ドキドキしたくなってきちゃったんだけど」
「……駄目だ。まだ掃除が終わってねえ」
「後で私も手伝うから」
「…………まったく、しかたねえなあ……」
 ハタキを置いて、竜児の手が大河の頬に添えられたその瞬間、開かれたのは玄関の扉。
「あれぇ〜?」
 瞬間固まり、ぎぎぎと首を回してそちらを見やれば焦りの表情を浮かべた泰子の姿。
「ご、ごめんね、竜ちゃん、大河ちゃん。その、やっちゃんお財布忘れちゃって……」


244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/28(土) 07:34:21.47 ID:1sOS1s0D0
まさに新婚さんいらっしゃぁ〜いですなw
乙!

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/28(土) 08:53:23.29 ID:S/QWvYWb0
まんだらけの裏ポスター、みのりんと大河が追っているのが
「星」ってのは、わざとやってるんだろうか。わざとだろうなぁ。

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/28(土) 21:39:27.11 ID:vD4u73KxO
>>243
ドキドキしたいってどんなことしたいのかしら大河ちゃんは!チュウなのかそれ以上なのかkwsk!
新婚竜虎はおいしいですな〜。GJGJ

247 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:04:33.23 ID:EKmOA0yE0
ハプニングセックル全盛のこんな時に間が悪いですが投稿します。
ねんぷちとにらみ合っていたら心が浄化されました。

【タイトル】真夏の猫
【内容】高二の夏休みに入って別荘旅行の前。その間の竜虎はきっと楽しく過ごせていたのだ
ろうと。時期が時期だけにエロい事はなにひとつしないけど、それは決して変な我慢ではなく
て、心を触れ合わせる幸福と優しい気持ちに満たされていたと思います。
まあエロパロ書いて反動で賢者モードが来たのかもしれませんorz 30KB

↓9レスほど頂きます。宜しくお願いします。

248 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:07:56.62 ID:EKmOA0yE0

「ふふん♪」
 あー。なんだか分からんが少なくとも機嫌は悪くない。
 足がつかない深さのプールで浮き輪に尻をとぷんと突っ込み、手と脚でちゃぷちゃぷ水をか
いて、どこまでも青い夏空を仰ぎ見ている大河を眺めて竜児は思っていた。
 なんで機嫌を気にしたかと言えば、表情がふだんどおりの不機嫌ツラだったからだ。
 自分から行きたいと付き合わせておきながら、さっさと自分だけ機嫌を損ねるなんてことも
珍しくはないし、もう慣れたからそんなことにいちいち腹も立たない。
 まあ、大河はこんな顔をしている方がふつうだ。
 眉は釣り上がって目はやや三角、親友の櫛枝実乃梨を除いては、基本、誰とも目を合わせな
い。たまに合わせれば、それは“そこにあんたが存在して良いとでも思ってるわけ?”などと
言いたげな攻撃的かつ威嚇的な視線を飛ばしてびびらせるとき。
 公称身長145cm、実際には143.6cm。だとか。高校二年にしては小柄すぎるその
体躯と可愛らしい見た目を讃えて『手乗り』、そこからのあまりにも落差ある威嚇の激しさと
ちょっと女の子っぽくない名前から『タイガー』。
 通称手乗りタイガーと呼ばれている、これが逢坂大河のふたつ名のゆえん。
「んーんーんー♪んんんーんんんん♪んーんんー♪」
 まあそんな危険生物であってもこんな天気の良い、おまけに夏真っ盛りの暑い日に水浴びと
くれば、機嫌も良くなるのだろう。空を見上げたままで鼻歌まで聞こえてくる。
 そのチョイスがたとえ『怪奇○作戦』のオープニングテーマであろうとも、年中不機嫌大王
な大河が鼻歌ってるという事実が大切なのだ。
 相変わらず眉は釣り上がっているが、色白の頬がぷくっと膨らんでいるところを見るとこれ
がこいつの笑顔だと可笑しくなってくる。

 これで笑ってるなんていうのはたぶん俺にしか分からない。

「ほら、竜児ーあれー?」
「おう?なんだー?」
 その大河が腕を伸ばして空を指差したので、思わず一緒に見上げる。
「ほらほら、あれあれ?」
「だからなんだ?どこだ?」
 指差す方向に目を凝らしても飛行機雲すら見当たらないから、まさかUFOらしきものでも
見つけたか?などとつい真面目に探し始めた。すると。
 ぶわしゃっ!!
 思ってもいなかった角度から水流を浴びせられ。みごと鼻の穴に直撃。
「ぶわっ!?うぇっ、げほっがはげへごほっ」
「へっへ〜〜ぇ♪油断大敵♪」
 浮き輪の舷側に両の手を突っ込み、頬をぷくぷく膨らませ、八重歯が見えるほどニヤニヤし
て、意っ地悪そうに笑ってやがる。
「お、おまっ。み?水鉄砲……できるようになったのか?」
「教わってから毎日おふろで練習したもん。なにその顔?くくくくく!」
 夏休みに入って一週間が経つ。竜児と大河は、寝るとき以外をほとんど共に過ごしている。
 今日は新しく水着を買ったから、じゃあ遊ぼうということになって市民プールに来ていた。
 4つのプールがある。子供用プール、流れるプール、滝のプール、そしてここは普通の大人
用プール。イモ洗いを避けて午前中から来て、背が立たない大河は浮き輪を借りて、のんびり
浸かっていた矢先のことだった。
「もいっちょ、おらっ」
「ぶぁ!……そうか、練習したのか。うんそいつは進歩だな。そうかー♪」
 へっへっへ♪竜児はつかまってた浮き輪から手を離して距離をとった。

249 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:09:02.88 ID:EKmOA0yE0
 な、なによあんた?
 昨日今日撃てるようになったからって、そうそういい気になんなよ?こっちには十年来磨き
上げてきた技術ってもんがあんだからよ。
 ちょ、ちょっとなにする気?
 充分距離をとって、両の拳を水に沈める竜児。その顔はまさにこれから逝くとこ行くぜとい
うヒットマンのよう。……ということはなく、と、いつもなら記述するところだがここはその
まんまで合っていた。ちゅぃぃぃっっと結構な量の水塊を飛ばす。
 ぶぁっしゃっ!
「ぶわぁっ!ちょっ、ちょっとっ!髪濡れちゃうじゃんよっ!」
「泳ぎに来てんだからそれくらいなんだ。水鉄砲の師匠に牙をむいた報い思い知れっ!」
「ぶあぁっ、ぷわ!おのれ犬の分際でっ!飼い主がたまぁに遊んでやったらその態度かっ!」
「誰が犬だ。俺は竜だって言ったろ?水上で猫に負けるかっての♪」
「ぶぁぁっ!ぷわっ!ね、猫だってっ!?こ、このーっ!」」
 ちゅぃっ、ちゅぃぃっと昨日今日マスターしたばかりの水鉄砲を撃ってはみるけど、大河の
火力(水力?)は明らかに竜児より短射程で全然届いていない。その射程外をニヤニヤした竜児
がひょっとこ顔なんかして挑発しながら遊弋している。
 かくして、虎vs竜、市民プール海戦が始まったというわけだ。
 当てられる距離に近づかなければ話にならない大河は、ひざ下だけのバタ足でとにかく射程
を詰めにかかる。竜児は離れながら射程外から一方的に撃ちまくろうとする。お互い動かずに
いれば当たる水鉄砲でも、移動しながらでは外れるばかり。
 もともと電子戦以前の時代の海上砲戦というのはほとんど命中しなかったそうである。それ
こそ300m程度の距離の水平射撃ですら艦船からの砲撃はなかなか当たらなかった、という
記録もあるくらいだ。そこで砲を連装、三連装にし、複数の砲で一斉射をし、着弾範囲を広く
取り、測定して修正し、やっと命中精度を上げる、という迂遠な歴史をたどって来たのだ。
 まあそんな海軍ヲタのたわごとはどうでもいい。迂遠な歴史、と言う点では竜児と大河の関
係そのものとも言えようが。
 斉射の出来ない単装水鉄砲では着弾修正にも時間がかかり、その間に大河が移動してしまえ
ば修正もヘッタクレもなく、こうなると竜児の大口径長距離射撃の方が分が悪くなる。撃てど
も撃てどもムダ弾で当たりはしない。待てえーーぃっ逃げんなぁーーっと追いかけ回されるの
から距離を取るだけで一杯になる。
 このままでは水中で走ってるこちらの方が体力的には不利になりかねない、と竜児は考えて
いた。なにより接舷しての白兵戦となったら手段を選ばぬ大河のこと。眼前バタ足などの大量
破壊兵器を躊躇なく使う事も考えられる。そうなれば水しぶき攻撃だけでなくキックも当たる
かもしれない。あの脚力を想像するだに被害甚大だ。
 そう思った竜児はくるり回頭してすれ違いざまの反航砲戦に出た。アホの大河は真っすぐ距
離を詰めてくるだろうから、いわく、市民プールの七面鳥撃ち。そのあいだ無照準で撃ちまく
ってやる。
「おらぁーーっ!やっとやる気になったわねっ。ぶはっ、ぶほっ!」
「よーっし来るなら来い!堂々とお前のも当たるレンジでやってやるぜ!ははっ♪」
「望むところっ♪逃げないんなら当てまくってやるっ、そらっ!当たった?あはははは♪」
 お互いの射程内に留まって撃ち合っていると避けるのにも慣れてきていた。要するに所詮は
水鉄砲、目や鼻に直撃されなければ良いのだから、肩や腕でガードしたり、顔を反らして受け
流せばよく、あとは速射とフェイントがものを言う。
 だんだん夢中になってくると大河の浮き輪が起き上がってきた。両手を水に突っ込んで撃っ
てるのだから重心が外へ行くのは当たり前だが、逆バタ足をかいてバランスを取っている。こ
の辺を無意識にできるのが運動神経の良さ。
 ではあったが、たまたま崩れかけたところへ竜児の一発が直撃する。ぶはぁっ!と顔を上げ
たとたん浮き輪は垂直に起き上がって。
「ぶわはっ、あ?お?おおお、お?」
 どばっっしゃあん!と、ひっくり返った。
 さいわい大河の小柄な身体は浮き輪からすぐに抜け、水中逆立ちなんて目には遭わずに済ん
だが、カナヅチなのを知っている竜児は意外なほど慌ててしまった。あいつ背も立たないし、
お、おいっ?とばかりに潜って大河を抱きかかえて浮上する。
「……っ、ぶわぁっっ!」
「だ、大丈夫かっ。溺れて……ねえな?」
「ははっ、平気だよ。もう30秒は息止められるもん」

250 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:10:05.43 ID:EKmOA0yE0
 なにその慌てよう?と超至近距離から水鉄砲をぴぅっ!ぶわぁっ、ともろに鼻に浴びた竜児
は思わず手を離してしまい、目も開けられずげほげほと咳き込んだ。でも大河が肩につかまり
ながらきゃっきゃ大声で笑っているのが聞こえてひと安心。問題はなさそうだ。
 ふーぃ。と息をつくと、背後の大河が言う。
「ねえ、浮き輪取りに行かなくちゃ。肩車して」
 と言いながら答えも待たず、跳び箱を飛ぶ要領でセイヤッと飛び乗る。
 おら行け私の犬っころ!目標まで10m!あああ。へいへい、10m、サー!と大河を肩に
担いで復唱、竜児は水中を歩き出す。
 気づかない、気づかない。白く柔らかな太腿が直に頬に触れていることも。さっき抱き上げ
たときにぐうぜん尻をつかんでしまったことも。
 こいつは家族。仲のいい妹みたいなもの。見た目も中身も可愛いと思っているし、とても好
きだと思っているけど、そういうものだ。
 月の裏側の神様からなよ竹のかぐや姫を授かったオキナとオウナは大切に育てた。オキナが
かぐやを欲望のままハプニング凌辱していたらお話として台無しだ。まあそんな冗談は置いと
くとしても、どこか預かりもの、という意識が竜児にもあったのは確かであったろう。昔話の
かぐや姫に喩えるには傲慢横暴過ぎても、大河の見た目はちゃあんと姫様だったし。
 このままふたりそろって転んだら大惨事になると思い、竜児はそろそろと歩きながら、膝小
僧を持って支える。つるつるですらっと伸びて綺麗な脚なのに、なにもないところで転ぶから
ここだけガサガサとした手触りになっている。こうして撫でていたらそんな古傷も消えてなく
なるだろうか。そんなわけアルマイト弁当箱か。などと考えてしまう。
 追いついて捕まえた浮き輪を背後に回した大河がまたとぷんと尻を突っ込んだ。ひゃはぁ♪
といった感じで笑いかけてくる。
 それを見て、なんとなく行き場を失った感情を緩やかに吐き出すように、竜児は浮き輪をつ
かんでぐるっと回した。ちょ?おおおお?と言う間に大河を乗せたまま回り出す。手足を浮き
輪の外へ伸ばすとゆっくり、縮こめると速く回ると教えられて、やってみたらその通り。
 楽しいのだろう。あっはははは♪と大笑い。もう眉も吊り上がってはいない。上機嫌で楽し
そうだった。竜児も釣られて頬が緩んできてしまう。大きく口を開けて、少々ハナも垂れてい
て、ポニーテールに結った髪もびしょびしょに濡れて貼り付いていて、みっともなくて、可愛
いらしかった。こいつが好きなんだとまた思った。
 いっしょにプールに来て、こんなに笑ってくれて本当に良かった。


 あそこの売店、不味いからな。と竜児が作ってきたお弁当。
 大きいタッパには小さめのおにぎりがぎっしり。小さいタッパにはおかずがいっぱい。お茶
だけ買ってきて、込み合ったプールサイドのテーブルに空席を見つけてずいぶん早めにお昼に
した。夢中で遊んでたらお腹ぺこぺこになってた。おいしいっ。
「中身、鶏そぼろだった」
「おう、そりゃ当たりだ。良かったじゃねえか」
「刻みハムとツナマヨ」
「それも当たり。おめでとうだな」
「当たりばっかじゃんよ。外れの具はなんなのよ?」
「1個イカの塩辛が入ったのがある。あと具が入ってないのもひとつ」
「具のないおにぎりは負けおにぎり。つかみませんよう〜に!うわ!塩辛だった」
「よく引いたなあ。苦手なら食ってやるぞ」
「得意じゃあないけどさ。あ、でもなんかいける。塩分ほしいみたいで。磯くさいけど」
 空腹は最高の調味料っていうんだぜ、とちょっと得意げに笑っている。竜児はなに考えてる
か表情だとわかりにくい。雰囲気とか声の調子とかだけど、やっぱり目だ。ちゃんと見ていれ
ばなんとなく分かってくる。

 ペットボトルのお茶をごくごく飲んであらためて思う。竜児の気持ちを分かるのってやっち
ゃんの他には私だけなんだ……ね。

 この場所で、ふたりはひと月ほど前に大喧嘩をした。
 互いの距離感が分からなくなって……というよりも、確かめたくなって。分からないふりを
し続けて、あえて顔色を読むのを止めて、一歩も退かずに相手のせいにした長梅雨のころ。
 パラソルの日陰から出て、焼けたコンクリートの上を裸足で歩いてみた。あっつい!あっつ
いわっ。ちょっ、竜児!?あっついよっ?慌てて駈け戻る。
「あんたも肉球焼いてみればっ?」
「焼くまでもねえ、つか肉球もねえ。……ネコ科のお前にはあんのかも知れんが」

251 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:11:12.46 ID:EKmOA0yE0
「相っ変わらずクチの減らない犬ねえ?」
 プールサイドでサンダル履いちゃいけないから、どのくらい裸足で歩けるか確かめてあげた
んじゃないのよ。と恩を着せて、背筋を伸ばして手は腰に。
 どうよ?水着。
 昨日、犬同伴で旅行用の新しいのを買ってきた。せっかくのイベントなんだから学校用の水
着じゃやだ、可愛いのほしい。ついでにビーサンとか帽子とかいろいろ揃えたい。そんなの独
りで選びに行くのやだ!とごねて、重い腰を上げさせて、蹴りだすようにして駅ビルへ行った
のだった。
「水着いいんじゃねえ。着てみるとあんまり子供っぽくないし」
「うん、私もそう思うわ。あんたに選ばせたのは正解だったね」
 ローレグのワンピース。オレンジ色のチェック模様にひまわりがパシパシ散っている柄はお
子さまっぽいが、薄手の光沢素材なので程ほどに年齢相応な感じもある。なにより肌が色白だ
から暖色系がよく似合っていた。
 例のパッドはもう要らないと言うので、竜児がちょちょっとサイズ直しだけしたものを、い
ま着ている。
「……でもな。北村がどう思うかは正直分かんねえぞ?」
 あくまで俺が似合うと思っただけだからな?と竜児はちょっとビビり顔になる。
「昨日も言ったじゃん。そんなこと後で怒んないわよ」
 私もあんたも北村くんの好みなんか結局知らないわけでしょ。だったらできるだけ似合うも
のを選ぶしかないわけで、そこで男の子の目がどうしても必要と思ったのよ。
「あんただって男の子の端くれ。あんたの目に賭けた以上、もうグダグダ迷ったりしない」
「それならいいけどよ。……暑くなってきたな?もうひと泳ぎするか?」
「ようし!食休みも済んだし、今度は流れるプールで自堕落にクラゲよう!」
 大河は日陰に脱ぎすてていたビーチサンダルを履いた。水着とお揃いで鼻緒にひまわりが付
いているおろしたて。これも昨日、選んでもらったものだ。それで日向に出て行って、焼けた
コンクリートを涼しい顔ですたすた歩いて戻ってくる。こんな感じ、と告げてみる。
 なんだそりゃ?と竜児は変な顔。ああ、裸足で歩いてみろってことか。何歩くらいで火傷す
んのかな?
「うぉあっっちぃ!!」
「きゃははは♪」
 せいぜい三歩だった。
 ひと月ほど前にふたりで大喧嘩をしたこの場所。
 互いの距離を、なあなあでなんとなく近づいた関係を確かめたいという、強い思いがそうさ
せた。回避できる喧嘩をわざわざして、そうしたからこそ竜児と大河はいま笑いあえるように
なっていた。
 長い梅雨が明けて、心が浮き立つような真夏の空の下。ふたりだけで。
 そこそこ混んできた流れるブールで、しばらくはクラゲのように漂ってはみたけれど、エネ
ルギーのあり余っている17歳同士のこと。結局は第二次海戦となった。とばっちりを食らっ
た周りから迷惑そうで、でもカップルらしいから大目にみるか、という微妙な視線をくらい、
すんませんでしたーと退散する。
 正午を過ぎると目にみえて混んできた。充分遊んだしそろそろ帰るとするか、と竜児が向け
ると、大河もそうだね、と答え、帰ることにした。
 互いに男女別の更衣室に分かれ、出口で合流した。
 その装いこそふだんのふたりを知っていれば異様。異形。
 大河は素足にかかとの後ろに大きな結び目を作ったリボンサンダル。ローライズショートデ
ニムにへそ出しタンクトップ。
 竜児は純白スラックス。雪駄でかりゆしアロハシャツ。おまけにツンツンサングラス。
 ふたりともお揃いのカンカン帽をかぶって。
 まあ夏らしい、とは言えたが、どちらも別の意味で高校生らしくはなかった。なんでこんな
ことになったのか?それは時計を30時間ほど巻き戻してご覧いただく。


 旅行用の水着その他を買いに行くから付き合え、と大河が竜児に振ったのは前日。朝食後の
ことだった。
 別に用事があるわけでもなかったが、高二男子には女物の水着売り場の雰囲気はやっぱりき
つい。一度は、えー独りで行けよーと言ったのだが、男子の目が要るんだと頼まれればそれは
別、仕方なくこの街で唯一のそうした店が集まる大橋駅ビルに出かけたのだ。

252 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:14:05.57 ID:EKmOA0yE0
 3時間ほどあーだこーだして水着を選んだ経緯は、前にも述べたから省く。水着が決まれば
合わせたビーサンを選ぶのはさほど困らない。無事に買い物を終えたあと、大河が帽子を新調
すると言いだしたところからが本題だ。
 欲しいものは、カンカン帽。ストローハット、つまり麦わら帽子の一種で、もともと水兵や
船員がかぶる用途の、水濡れにも強くするよう平たくつぶした麦わらを編んでプレスやニスで
固く整形した帽子である。名称の由来は叩くとカンカン音がするくらい固い、というところか
ら来ているらしい。
 これが、去年も今年もリバイバル流行だったというわけだ。
 もっとも大河としては、ブリム部分が広く取ってあるキャペリンではどうしてもお子さまっ
ぽいと思って、もっと汎用的なこれを欲しいなと。ちょっと思っていたにすぎない。
 そんなわけで、やはり一軒だけの帽子屋に寄ってみると、あるわあるわ。さすが流行りのも
のは品揃えが豊富。奥からチョビ髭親爺が“ボインや〜ぁでぇ〜♪”と口ずさみながら出てき
そうな雰囲気まで漂っていた。
 基本、スタイルは一緒だから、選ぶのはサイズと、巻かれたハットバンドの好みだけという
ものでそうは迷うものでもなかった。頭のサイズより気持ち小さめで、少々かませる感じでな
いと不安定だから、ちょうどいいサイズがあるかどうかだけの話だ。
 頭がちっちゃい大河のサイズに合うものも無事何個か見つかって、単にバンドが一周してい
る方か、余りバンドがぴろぴろっとリボンとして流れてるものかで悩んでいた。色はエンジか
ピンクの二択。
 うう〜、と唸りながら目線を向けられて、竜児は応えた。どうせ来年も流行るかどうかなん
て分からねえひと夏の消費物だろ?お前天然茶髪なんだからエンジのっけたら重いぞ。色でい
ったらピンクの方しかない。ぴろぴろが嫌なら他の店も探せばいい。
 じゃあ、こっちにする。と言ってぴろぴろピンクにあっさり決めた。ついで、みたいにエン
ジの方の大きいサイズをいくつか持ってきて、かぶってみてよと言う。なに俺バンドの色も選
べないわけ?と軽口をたたくと、へえ?じゃあエンジ以外に似合うとでも思うの?と。
 元より竜児には年齢相応のカジュアルなもの、という以外に選択基準なんて持ち合わせてい
なかった。大河のように綺麗なら似合うものを選ぶ甲斐というのもあるだろうと思うが、自分
にはどこといって見た目の取りえはないし、目つきが酷いのをどうにかしたい、ぐらいしか思
うことはなかった。
 だから、それをちょっと前傾ぎみでかぶってみ、と言われてその通りにしてみて、鏡をみた
ら初めて驚いたのだった。
 カッコいい、とまでは思わない。けれど、酷い目つきとは思えなかった。少々切れ長で鋭い
目、という程度に収まってるように見えたのが驚きだ。但し高校生には到底見えず、どうした
ってハタチ過ぎではあったが。
「あんた目つき気にしてるようだけど、学生風にしてるからよ。見れば分かるでしょ?」
 けっこうカッコいいんだよ?と独り言のようなお世辞も聞けた。少し嬉しい。
 衣装持ちのファッションリーダー(但しロリ限定)にそう言われれば、否定する根拠など持っ
てはいない。へえ、そうなのか。と竜児は驚いて、同時にそんなとこを大河が見ていたという
ことにもっと驚く。驚きのまま、じゃあ納得行ったんならお揃いで買お?と言われたので思わ
ずおうと頷いてしまった。
 そのあと大河はノリに乗った。
 あとは白スラックスとアロハよ!と興奮気味。ドカンとかだとほんとにヤクザっぽく見えか
ねないからストレートでねとスラックスを。アロハも毒々しいのは控えてかりゆしウェアにし
よう、と仕切られて、花と竜柄のをあっという間に揃えられた。
 おいおいそんなに服買う予算はねえぞ?というと、心配ない、プレゼントするからという。
「パッドのお礼……ってことでね。あんたには拒否する権利なんかないからっ!」
 ご飯も作ってもらってるし、いろいろ元気づけてもらってもいるし、とかぶつぶつぶつぶつ
付けたしもあったが、ほとんどは竜児には聞こえない。が、まあ日ごろの感謝の気持ちだけは
伝わったことだろう。
 あ、雪駄やサンダルはだめよ。あんたがそっちがいいなら止めないけど、それ履いたらほん
とうに軍需物資を横流しする稼業の人に見えちゃう。
 どんだけ俺は戦中派なんだと。じゃあなに履けと。真顔になって竜児が訊く。
「ふつうにスポーティなスニーカーがいいよ。持ってるよね?」

253 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:16:55.82 ID:EKmOA0yE0
「あーそうなんだ?で、これ何系?」
「んーーー。沖縄とか奄美の……モテ系男子……かね?……知らんわメンズなんか」
「なんで語尾がだんだん小さくなっていくんだよ」
「なんか沖縄つっといてモテ系って続けるのがしっくりこなかった。癒し系?なわけないか」
「すんげえ微妙な感じ!ニッチ?すき間?」
「あーもうめんどくさいなっ!ゆるゆるスジモン系でいいやもう。雪駄履けっ」
「ぶははっ♪でもせっかくお前が選んでくれたんだから、せいぜいこの夏は着させてもらうわ」
 その答えに大河は満足そうに頷いた。
 あっ、でもね?と何かを思い出したふうで口元に掌をかざし、ないしょ話のポーズ。んんん
なになに?と竜児も耳を寄せるマネ。
「みのりんにはウケない……ていうか引かれると思う。親切にも教えといてやるから」
「そ、そうなのか?……じゃっ、なぜ勧めたし?」
「……あんた。私からのプレゼントじゃんよそれ」
「あ!そうか、なんか混同していた。悪りぃ、ほんとに悪りぃ」
 ふひぃ♪と意地悪そうに大きな目を眇めた大河は、オプションよオプションなどと半笑いで、
安物の雪駄とツンツンサングラスも付けてみる。そこまでやったら仮装だとは思っていたけど
こんなのはノリがあるうちじゃなければ楽しめないからね。とも。
「うん。じゃあ次は私の方の見立て、頼もうか」
「えっ?手持ちのフリフリに合わせて帽子買ったんじゃねえの?」
「別にそれもいいけどさ。あんたのセンスが見たいわー、なんてねっ♪」
 これもノリで迂闊に言ってしまった大河に、竜児はニヤリと笑いかける。別に意地悪をしよ
うと思っていたわけでは全然ないが、委任された以上は見たいものがある。
 いいんだな?俺はお前の指向と違って、夏なんだから可能な限り露出をするべきだと思って
いる立場なんだが?ほんっとうに、いいな?
 ひっ、と少しばかり大河はおののく。
 そうして竜児が選んだのが、ローライズショートデニムにへそ出しタンクトップ、というわ
けだ。なにしろ夏休みの竜児。なにも木の股から生まれたわけじゃない。あまり知られてはい
ないが、普通にしょうもない17歳のスケベ少年であってもなんら不思議はなかった。
「お前は短足じゃないし、真夏ぐらい惜しみなく見せるべきだ、と思う」
 うんうん頷きながら、それでもこのぐらいもっともらしい事も言える。らしければらしいほ
ど実はしょうもなさがにじみ出るのだが、そこまで気を回せ、言われてる方も口車に乗せられ
てないで気づけ、というのは高校生には求めすぎだろう。
「こ、こんなの水着で歩くみたいっ……じゃんっ……たっ、平らだし私」
「誰も平らなとこなんか見ねえ。みんな脚を見る。気になるなら盛ればいいだけだろ?」
 お前を盛るのに関してだけは、俺は世界的権威と言っても間違いないからな。任せておけよ
とそれはそれは偉そうに胸を反らす。
「それはそうね。でででもっ、膝が傷だらけでみっともないしっ」
「あ、そこ見られるのいやか。そうだな?それは足元でカバーしようぜ」
 そんなわけで追加で選ばれたのがミュールサンダル。
 装飾用のリボンが付いていて、これを足首に回して結び目をつくればけっこう華やか。確か
にこれで膝だけをじっと見るやつはそうそういないだろう。
 まあこんなハダカになれと言わんばかりのコーデをこいつも納得はすまい。とは、いかな浮
かれ竜児といえども思っていた。だからセンスを見せろと言うのに応えただけでもあったし、
一応正直にそのまんまではあった。
 だけど最終的には、意外なことに、大河はさほどの文句も言わずに全部を受け入れた。
 長くなったが、かくいう経緯をたどって、軍需物資を大陸に横流しして私服を肥やすマニラ
かシンガポール辺りのその筋の人と、かの人が経営する娼館に囚われた少女、とでも言うべき
見た目のコンビが出来上がったというわけなのだ。
 まあ、大河の方は竜児と並んでいるからそう見える、というだけであって、ピンなら小柄だ
けれど健康的に色っぽい非実在美少女といったふうではあったけれど。
 プールを出てバスで20分、余談ではあるが、帰宅する前に竜児が警ら中の警察官から職質
を食らった事実は伝えておかねばなるまい。真面目な性格ゆえ生徒手帳を携行していてことな
きを得たことも。

254 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:19:22.86 ID:EKmOA0yE0


 カッチカッチカッチカッチ……。
「……うるさいなあ!もう!」
 買い物をすませて帰る道すがら、竜児はそれを聞いてブッと吹いてしまった。だって、自分
が立ててるヒールの音にイラっとしてキレ気味な女というのもそう見られるものではないだろ
う。続いて恨めしそうな視線を向けられてしまう。
 ああ、はいはい。それ選んでやったの俺だよな。済まなかったな。
「もうちょっと、そっ、そっと歩けばいいんじゃねえかな?」
「分かるけど、……どうも私向きじゃないね。歩いてみないと分かんないものだわ」
「なんか無駄な買い物させたみたいで悪かったな」
 ぺたんこサンダルでリボンストラップのもの探すか?まあシルエットだけでいいなら足首に
リボン巻けば済むしな。
「んーー、まあいいや。そうしよ?私がヒールを普段履きにしにくいって授業料だと思えば」
「……足音を立てないように歩いてみようって選択は……ないんだな?」
「やっぱ心ゆくまで地面を踏みしめたいからね!じゃあ、明日のプール帰りに寄ろうよね」
「明日もプール?マジ?」
「マジマジ。どうせあんたも私もヒマなんだし、天気もいいに決まってるし」
「俺はいいけど……旅行用の水着じゃなかったっけ?」
「うるさいな。飼い主が飼い犬と遊んでなにか悪いっ?」
 いやあ、別に文句はねえよ。深く考えるといろいろと問題あるような気はするがな。深く考
えないようにするわ。まあ……。
「なにしろ夏休みだしな!」
「そうそう。夏休みだしっ!」
 高須家に帰宅して、すぐに水着を洗って干す。夕立ちさえなければ夜までには乾くだろうし、
明日の使用にも差し支えはないはず。
 起き出していた泰子には朝出がけに見られていなかったふたりのカッコは超ウケた。大河に
は可愛い可愛いを連発したのに、竜児は指差されて延々爆笑された。泰子によればマニラ辺り
のその筋の人姿を完成させるには、扇子とバナナひと房を持たせなければいけないのだそうだ。
 明日は雪駄とサングラスはやめてスニーカーを履こう、と竜児は思った。ただ扇子はいいア
イテムかもしれない。なんかエコな印象がするから明日ついでに見に行こう。
 ひとしきり三人で笑いあって、大河は自分ちへシャワーを浴びに戻る。夕飯までには帰って
こいよ、と竜児がふざける。おう、と竜児の口ぐせを真似て大河も返す。もう、どっちが本当
の家なんだか。とくすくす笑いながら外階段を降りて行った。


 シャワー前に汚れものを全自動洗濯機に放り込んで回し、湯上がりに寝室で髪を乾かしなが
ら、北向きの窓に映る隣家の灯りをぼんやり眺めている。
 ここに戻ると夢から醒めてしまう。
 楽しくて、良くしてくれて、とても感謝していた。竜児とやっちゃんのうちに行けなくなっ
たら私はどうなるだろう?心から楽しく嬉しいのに、それを失くしてしまう怖さの方を先に強
く感じてしまうんだ。あのうちにいる間にはかけらも感じないそれを。
 ほんの数mしか離れていないのに。
 ここに独りでいるときは本当の私に戻る。夏休みになって、寝るとき以外はずっと竜児とい
っしょにいるようになって、一日のうち眠る前後の僅かな時間だけ戻る。どこにもつかまると
ころがない、背の立たないプールで漂ってるみたいな本当の私に。
 洗たくが済んだ。
 乾燥機に移してぴっぴと設定。
 これからお夕飯に招ばれて、食べたらごろごろして、テレビ見て、竜児とふざけて。そうし
てまた寝に戻ったら、やっぱりそう思ってしまうんだろうか。
 そろそろご飯どき。着替えて、夢を見せてもらいに行こう。


 外階段を騒がしく駆け上がる足音。そして今日も扉を破壊……まではしないが、そんな感じ
にばあん!と開ける。
「ぅお腹すいたーっ!」
「おう、もうすぐできるぞ。座って待ってろ。つか、静かに開けろっての」
「へへへへぇ〜♪」
 窓側の定位置に、勝手にテレビを点けて座る。卓袱台に頬杖をついて、エプロン姿で台所に
立つ竜児の大きな背を眺める。

255 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:20:32.01 ID:EKmOA0yE0
 換気扇が回る音、水道の音、ガスコンロの音、まな板でなにか刻む音、おたまが鍋に当たる
音、香ってくる美味しい匂いに、忙しく動く肘。背。聞いて、嗅いで、見て。
 昨日も、今日も、一昨日も、その前もいっしょに居て楽しかった。
 あんたといると笑うことができる。幸福な思いで満たされる。ここにいられるのが夢なんて
思えなくなる。でも……独りでいるときよりも寂しくなってしまうんだ。
 近くなるのが嬉しいのに、近くなると泣きたいほどに寂しくなる。独りになりたくない、と
思ってしまう。それは、つらい。
 どこに流れ着くのかもわからない今は自分でも驚くほどつらくて、そして幸せ。
 今日も竜児の背中を見上げて、すき、と心の中だけで呟く。
 言えない、言わない。
 それは本当の私が許してはくれないから。ただ、すき。と思ってみるだけ。
 苦しくはない。切なくもなく。ただ、思うだけ。
 できたぞー運べー、と声がかかって大河は手伝いに立つ。
 いつの間にか部屋から出てきた泰子にそんな様子を見られていたとは気づかない。
 ごはーん☆まだぁ〜?やっちゃんお腹へったぁ〜〜☆と、優しい笑みで催促をする泰子に、
おう今出すよと竜児が振りかえりもせず返事をする。
 暮色が藍に染まって、ようやく夜になろうという頃に、高須家の夕飯は始まる。
 こんな淡い思いを抱きしめているときにだって、大河は堂々と三杯飯。このおかず美味しー、
と殊更に褒めるでもないただの感想に、作った竜児もどや顔になる。訊かれもしない蘊蓄をえ
んえん語り始めると、最初はへーえ?と聞いていた大河もだんだんうぜえ、という顔になって
いく。
 それをにこにこと泰子が満面の笑顔で眺めながら竜児のご飯をくちに運んでいる。
 食事が済んで、泰子は出勤。竜児は後片付け。大河はといえば、プールで心地よく疲れたの
だろう、淹れてもらったお茶が熱くて冷めるのを待って、飲まないうちに、落ちて爆睡。
 あっという間に寝入ってしまった大河の幼子のような姿を、今度は後片付けを済ませて居間
に戻って来た竜児が、ふっとため息とともに優しい表情で見る。

 名を……呼ばれた感じがした。
 目を覚まして起き上がってみると暗い。ああこんなとこで寝ちゃった、と思った。
 深夜。高須家の台所から玄関へとつながる廊下、そういえば起こされて、うん帰ると言った
ような。途中で眠くてへたり込んで木の床がひんやりしていて。
 いつも綺麗に掃除してあるからちり一つないしカビ臭くもない。
 ふと見ると夏掛けもかけてもらっていた。
 それをズルズルひきずったまま居間へと這い入る。
「おう……起きたか?ふわぁ〜」
 竜児はもう部屋で寝てるのかな?と思ったら、居間に入ってすぐ、左の壁に寄り掛かって座
っていた。
「ずっと、そこで?」
「ああ。今日疲れてたんだな?泰子の部屋に布団もうひとつ敷いてあるから、まだ眠いなら……」
 泊めてくれるの?
 でも、ううん。
「やっちゃんが帰るまでに、帰る。決めごとだもん。でも少し」
 肩貸せ、犬。と言って竜児に寄りかかって座った。
 薄暗がりだし寝起きでちょっとぼうっとしてもいた。廊下で落ちた私と壁一枚おいただけの
ここで竜児もうたた寝しながら見守ってくれていた。見るともう一度、ふあぁ〜とあくび。
 私が甘えたい。私に触れたい竜児にもご褒美をあげたい。そんなふうに思って。
「どんなへんなことした?灯りまで消して」
「してねえ。灯りつけるか?」
「いい。恥ずかしいから。よだれ垂れて粉ふいてるっぽい。頭ぐしゃぐしゃだし」
「寝落ちしたときって必ずこの話からだな。おはようって言ってるみたいなもんだ」
「ブッ、ふふふっ、……そうかもね」
 可笑しくなってしまい声をひそめて笑いだしたら、竜児も可笑しいようで肩が小刻みに震え
だした。と、思ったら、くしゃっと肩に預けた頭に手を置かれてモフモフされた。ひとを猫だ
と思ってるんだろうか。ま、いいや。寝苦しい夜に涼しいところを見つけて伸びてたんだから
そう間違いでもない。
「な?」
「ん?」
「きょう……もう昨日か。……プール楽しかったな」
「うん。今日も楽しいよ。きっと」

256 :真夏の猫 ◆0/FKyHtS2M :2011/05/28(土) 23:21:43.01 ID:EKmOA0yE0
 竜児は私の頭に手を置いたままで時折撫でる。余計なことを訊かないし、言わなかった。
 私もそうする。
 別々のことを考えてるかもしれないし、同じことを考えてるかもしれない。
 いま何時ごろだろう?窓は暗くて、夜明けまでは、まだかかりそう。
 眠って、目が覚めたけれど夢は続いていた。心地が良くて、幸せな気持ちがして、そうして
やっぱり独りになりたくない。と思う。
 さみしいよ……と伝えてしまいたい。
 ねえ?竜児は。
 竜児は独りきりで寂しいと思ったことある?
 ……もう、ねえな。前は毎晩あった。泰子夜勤だしな。ずっと夜は寂しかった。
 いいね。寂しくなくなってさ。
 お前のおかげだよ。ふあぁぁぁ〜。
 そう……なの?
「ぁぁぁ〜。うん。お前が居てくれるようになってから」
「そっか。そうなの。じゃあ、いまは寂しくないんだ?」
「ああ」
 くしゃくしゃくしゃ、と頭めちゃめちゃにされてうざい。うざくて、うざいのに。
「……そろそろ私、寝に帰っちゃうけど。その後は?」
「ん?」
「……ちょっとは、寂しくなる?」
「ちょっとだけな」
「主人がいないと寂しくて眠れませんぐらい言えないもんか?愚鈍犬」
「主人が猫だからな。好きなとこで気まぐれに過ごすやつだしな」
「ははっ、なんだそれ……なんだ……」

 乾いた声で冗談を受けていた大河に、ごつ、と軽い頭突きが入る。
 なにごとか竜児に小さくささやかれたあと、うん、と口元を緩ませて頷いた。
 そろそろ帰って寝るわ、と告げて立ち上がり。巻いていた夏掛けを竜児にかけて玄関へ。
 ごそごそとサンダルをつっかけて、扉を開けて階段を降りる。竜児が少しあとをついて送っ
て行くと、涼しいとまではいかないが、蒸し暑さもこの時間には一段落をして、近所の家々か
ら終夜動き続けるエアコンが室外機の音を響かせている。
 竜児がマンションの角を曲がると、大河はワンピースの裾をひるがえしてエントランスに入
っていくところだった。入る前に振り向いて片手をあげる。街路灯に照らされた白い顔が笑っ
ているようだった。

 竜児も片手をあげて応える。また明日な、いやもう今日か。
 暑くなりそうだしプール日和になるだろう。そういや日焼け止めがそろそろ切れてるんじゃ
ねえか?行く前にドラッグストアに寄るの忘れないようにしねえと。
 旅行のときにすでに真っ黒になってたらまた誤解されちまうもんな。
 こっちもしばらく寝て、起きたら弁当作ろう。朝飯は何にしてやろうかな?などと半分は眠
気を払えないまま主婦脳だけが回っている。あと考えていることは、いまはひとつ。

 ――元気出せ、大河

 夏休みに入って一週間が経っていた。高須竜児と逢坂大河は、寝るとき以外をほとんど共に、
大切に思い合って日々を過ごしていた。



――END



257 : ◆oLWU/inCrU :2011/05/28(土) 23:59:43.35 ID:vD4u73KxO
>>247
その「好き」は恋愛の好きのギリギリ一歩手前で…うわあああああー
微妙な関係の二人の、奇跡のように短いイノセントな瞬間が眩しいっす。あえてその難しい期間を描写する力量、堪能させてもらいました。
二人がお互いコーディネートしあう場面もめちゃくちゃ可愛くて悶える。漫画版からの引用で合ってますか?
夜のシーンはただただ甘酸っぱく切なくてため息が出ます。素晴らすぃ。
乙でした。

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/29(日) 00:27:04.26 ID:z76m0ag2O
感想レスなのにトリップつけてたマジ恥ずい
すんません

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/29(日) 01:27:45.14 ID:S2JUWtJt0
>>243
いいなあ、こう言うの。GJ。

>>256
昼間と夜の落差が何とも言えず、いい感じです。GJ。


さて、以下に「シンデレラなんかになりたくない」の続きを投下します。
7レスほど使います。

260 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:29:11.47 ID:S2JUWtJt0

「ふぁわ〜・・・」
「・・・大河?」
「え?・・・ああ、ごめんね・・・何の話だっけ?」
「文化祭の話だった・・・おまえ、ちゃんと寝てるのかよ?」
やや非難のニュアンスを含んだ竜児の声を聞きながら、大河はやっちゃった感ををありありと味わっていた。

いつもの竜児との定時連絡。
一日の中でいちばん楽しい時間になるはずなのに、大河は少しボーっとしてしまったのだ。
10秒か20秒・・・一瞬だったけど大河は竜児との電話で居眠りをしてしまった。
おかげで、直前までの竜児のとの会話が噛み合わなくなり、あまつさえあくびまで聞かれてしまい、言い訳の余地が見つからない。

大河が寝不足だったのはこのところの睡眠時間がずっと6時間を切っていたことによる。
体は激しく睡眠を求めているのにも係わらず、大河は自分の意思でそれを抑えつけているのだ。
そんな思いをしてまで大河が毎日、夜更かししているのには訳がある。
それは来るべきクリスマスに向けてセーターを編んでいるとかいう甘い物でもなければ、オンラインゲームにはまってしまい、連夜パーティを組んでモンスターを狩っているからでもない。
目下、大河の愛読書は参考書やリーダーのテキストの束になっていると言えば、大河の置かれている環境が薄々、見えて来るだろう。

昨夜も、家の中が寝静まった静寂にひとり大河は机に向かい、英単語の羅列の眺めながらシャーペンを走らせていた。
やや猫背な姿勢の大河の耳には小ぶりなヘッドホンが覆い被さり、そのパッドの中では繰り返し流れ続ける英会話のセンテンス。



夏休みに大河はやや無謀とも言うべき約束を父親と交わしていた。
ふとした流れで通訳を目指す決意を固めた大河はその道への第一歩として外国語学部のある大学への進学を考えたのだ。
調べれば、苦労しなくても合格圏内にある大学はいくつか見つかった。
もちろん、それは地元の福岡の近くにもあるが、その多くは東京に集中していた。
・・・東京の大学。
大河にとってそれは非常に魅惑的な響きだった。
言うまでも無く、竜児の近くへ行けるからだ。
大河の心は東京へ大きく傾く。
これならば竜児が迎えに来るのを待たなくても、竜児の側へ行ける切符を手に出来るのだ。
その一方で、そんな事を許して貰えるのかと言う不安が大河の心に湧き上がる。
大河がここへ来たのはやり直す意味もあったし、何より竜児とのことを祝福してもらいたいと言う思いがあったからだ。
一緒に暮らし始めてまだ半年・・・。
それなのに家を出たいって・・・そんなこと。
大河は気持ちが乱れるのを止められない。



261 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:30:45.42 ID:S2JUWtJt0


10日あまりも悶々としたものを抱えながら大河は気持ちの整理をつけられないでいた。
そしてさんざん考え抜いて大河は答えを出した。

・・・少しでも竜児の近くへ行きたい。
・・・でも、そんなことを言い出すのは、私のわがまま。
・・・だけど、認めて欲しい。
・・・真剣なんだよ・・・って。

大河は学校名の入った受験パンフレットを父親の前にそっと置いた。
・・・ここへ、行きたいの。
パンフレットに記された東京の四谷にある名門私立大学の名前。
外国語学部難易度一覧と記された参考資料のトップに並ぶその校名。

クラスメートとの会話から通訳を目指す気持ちになったこと。
竜児だけじゃなくて自分も何かがんばりたくなったこと。
こんなお願いわがままだって十分、わかっていること。

顔をうつむけ、ひざの上で手をぎゅっと握りながら、大河は言葉を選び、自分の気持ちを余すことなく語った。
「どうしてここなんだい?」
大河の話を最後まで聞き終えた父親はそう聞き返した。
この問いに大河は明確に答える。
「いちばん、難しいから」
レベルが高い学校じゃないとがんばる意味が無いと大河は言い切る。
それにと大河は付け加える。
「私・・・お金なんて持ってないし」
私立大学の学費、東京での生活費・・・。
アルバイトで稼ぎ出せるほど甘い物じゃないって大河は理解していた。
いざとなったら母親に泣きつくという選択肢は大河の中に初めから入っていない。
父親に認めてもらえなければこれは意味がないのだ。

優しくしてくれる義理の父親。
一度は同居を拒んだ相手。
それでも目の前の人は自分を娘だと言ってくれた。
それなのに自分は東京へ行きたいと言う。
愛する人の下へ、近付きたいって言う下心はどんなに糊塗しても透けて見えてしまう。
だから、これは大河なりに出した交換条件。

トップレベルの学校に受かったら、東京への進学を認めて欲しい。
もし、ダメだったら・・・地元に残る。
それが大河が父親に出したお願いだった。

「わがまま言って学費まで出してもらうんだから・・・いちばん、じゃないと」

じっと父親を見上げ、答えを待つ思いつめた大河の表情。
許して欲しい・・・言葉にはしないものの大河は全身を使ってアピールしていた。
そんな大河を見つめながら父親は内心、嬉しさが混み上げて来るのを抑えかねた。
・・・まったく、この娘は・・・。
それでも年の功で、表情を崩すことなく、大河におもむろに告げた。
・・・そう言うことなら、反対はしない・・・と。



262 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:31:44.60 ID:S2JUWtJt0

それから受験勉強を始めた大河だったが自分がどれだけ学力不足なのかを思い知らされることになった。
受けた模試の結果に記された「D判定」の文字。
考え直した方がいいんじゃないのとおせっかいなことを大河に伝えて来る。
思わず判定用紙を破り捨てたい衝動に駆られた大河。
その判定用紙は今、大河の勉強机の前に貼り付けられている。
大河なりに自分を鼓舞する糧として・・・。
国語や社会の選択は僅かな努力で何とかなりそうと見当が付いた大河だが、肝心の英語が難関だった。
・・・もっと、ちゃんと勉強しておくんだった。
後の後悔なんとやらだが、大河は残り少ない時間に全てを掛けてチャレンジを始めた。


そんな大河は竜児に「通訳」のつの字も言っていない。
黙ったままにしていた。
全て上手く行ってばら色の未来が開けていると思うほど大河は楽観していない。
どんなに甘く見ても7割近い確率で失敗する可能性の方が高かったからだ。
そんな実現が危ういことを竜児に告げ、変に期待させるのも嫌だったし、なによりもこれは大河自身の戦いでもあったのだ。
だから大河は竜児に進路はどうするんだと聞かれた時、こんな風に答えている。

「花嫁修業よ」
「花嫁?」
「うん。クッキングスクールとか行こうかなとか思って」
「なんで、また?」
「ほら私って料理とか駄目でしょ」
「・・・まあな」
「少しは否定しなさいよ」
「事実だろ」
「・・・ぐっ」
「わりい、怒ったか?」
「これくらいで・・・怒らないわよ」
台詞と裏腹に口調が刺々しい大河。

「・・・がんばれよ、出来るさ。大河にも」
一瞬の間を置いて竜児がつぶやくように言う。
竜児のその声に大河は胸を突かれる。
・・・ホント?竜児・・・私にも出来る?
「大丈夫、わからねえことがあったら、全部、俺が教えてやる」
電話口で竜児はあくまでも料理全般について言っているのだが、大河には違って聞こえた。
受験への応援・・・大河にはそう聞こえたのだ。
大河の勝手な解釈だけど、それ以来、勉強が苦しくなるたび、大河は竜児がその時言った台詞を脳内再生している。




263 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:32:50.56 ID:S2JUWtJt0


「昨日、何時に寝たんだよ?」
竜児の追及に大河は当たり障りのない回答をでっち上げた。
「ちょ、ちょっとだけ夜更かし、しちゃっただけ・・・借りて来たDVDがつい面白くて」
全然、平気・・・大丈夫だからと大河はこの話を強引に打ち切る。
夏休みから始めた大河の受験勉強。
スタートダッシュで飛ばし過ぎた疲れのピークがちょうど来ている頃だった。
大河は注意しなきゃと自分を戒める。
・・・竜児に心配掛けたら何の意味も無い。
そっと目を閉じて、小さく大河は深呼吸する。
そして出来るだけ明るい声を出して、話を続けた。

「そう言う竜児こそ、寝てるの?」
「おう、完璧だ・・・忙しい文化祭もこの間、終わったしな」
「ああ、そのことで北村くんに文句、言っておいたからね」
「おい、あれは俺が勝手にやったことだ・・・北村は関係ねえ」
「はいはい、竜児はお人よしなんだから」
「そんなことねえだろ」
「あるわよ・・・生徒会の合宿まで付き合って、あれこれ手伝うなんて・・・今がいちばん大事な時期でしょ」
自分が辛いだけに大河の声に力が入る。
「そう言うなよ・・・去年以上の文化祭にしたいって言う北村の気持ち・・・無下には出来ねえだろ」
「もう、竜児は甘いんだから」
文句を言ってる大河とて本当に竜児を非難しているわけではない。
むしろ、大切な時期を投げ打ってでも文化祭の成功に助力した竜児を誇らしいとさえ、大河は感じている。
だから、文化祭打ち上げの日に電話で竜児には素直にこう言った。

ほとんど徹夜を3日近く続け、フラフラになりながらも大河が掛けて来た定時連絡に応答する竜児。
・・・上手く行ったの?
・・・ああ、大成功さ。
・・・良かった・・・あんた、頑張ったわ。
・・・さんざん、手伝いに反対してたくせに・・・
・・・あれは・・・竜児が・・・
・・・ま、いいさ、大河にそう言ってもらええば、満足だ。
・・・ばか。
・・・ん、照れてるのか?
・・・照れてなんて無い!
・・・大河。
・・・何?
・・・ありがとな。

そのひと言で、ホントに赤面してしまった大河。
竜児・・・と心の中で大河は呼び掛ける。
好きになってくれて、ありがとう。
大河は声に出さず、電話口でつぶやいた。

その竜児は文化祭の準備でずっと忙しくて、話もゆっくり出来なかったからなと言い、それを埋め合わせるため今日は何時まででも付き合うぞと宣言した。
そんな竜児に大河は「今日は駄目」とおどけた調子で伝え、寝てないんだから早寝しろと言い残して電話を切っている。



264 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:33:44.16 ID:S2JUWtJt0

後日、「ヤッホー、大河!高須くん、かっこいいでしょ!!BYみのり」の本文と共に大河の携帯に送られて来た写真。
文化祭のひとコマ・・・写真の中に居る竜児。
体育館のステージの上で、戸惑った様な様子を見せながらも嬉しそうにしている竜児の姿がそこにはあった。
それにしても、竜児の格好・・・と大河は笑みがこぼれるのを抑えれらない。

ミス大橋だけじゃ男女差別だ、今年はミスター大橋もやるぞと言う北村の発案で付け加えられた企画。
女子と違い、自分がイケ面だと自惚れる男子は少なく、ミスター大橋の方は出場者が不足気味。
盛り上がりに欠けることが見込まれた。
何事も完璧にしたい北村は「高須、この通りだ」と両手を竜児の前で合わせた。
何のことだよと訝る竜児に北村はミスター大橋への出場を依頼する。

ずっと断り続けた竜児だったが、生徒会特別推薦枠と言うわけの分からない資格で、文化祭当日いきなり自分がエントリーされていること知る。
・・・盛り上げるためだ、悪く思うな、高須。
悪代官の様に笑う北村の顔がちらつくのを竜児は打ち消せない。
とうとう断れなくなって、どうなっても知らねえからなと半分自棄になってミスター大橋の審査ステージに立った竜児。
そのステージ会場である体育館はさっきまでの盛り上がりが嘘のように竜児の登場で急に静まった。
あちこちで聞こえるひそひそ話。
ブーイングならはっきり言ってくれと竜児は思うのだが、会場は静かなまま・・・。
それと言うのも会場の観客はステージの上に居るのが竜児だと気が付いていないのだ。
・・・誰?
・・・あんなやつうちの学校に居たか?
・・・ねえねえ、ちょっとカッコよくない?
・・・だよね。
小声で話される会話は好印象そのもの。

その竜児の外見はと言えば、スタイリスト志望だという生徒がコーディネートしただけあってちょっとした映画俳優並みだった。
ヘアスタイルをいじり、伊達メガネを掛けさせて目つきを隠せば、背丈のある竜児はなかなかカッコが良い。
和製ヨン様だなと竜児のコーデを担当した生徒が会心の出来映えだと自画自賛するだけのことはあった。
ただ、悲しいことに竜児だけが自分の変身振りに気が付いていないだけだったのだ。

そんな中、今年も司会に抜擢された川嶋亜美からステージ場の人物の名前が会場に披露されると、体育館が大きくどよめいた。
何なんだよと竜児は思わざるを得ない。
竜児は見世物にでもなった気分を味わう。
そんな中、自己アピールを、と川嶋亜美に言われた竜児は慌てた。
何も考えていなかったのだ。
仕方無しに、竜児は「あ〜高須竜児です。趣味は家事全般・・・得意なメニューは・・・」などと自己紹介を始めてしまった。
本人はいたって真面目なのだが、会場はそう取らなかった。
あのヤンキー高須が受け狙いでトンチンカンなこと言っていると思われ、会場の爆笑をさそったのだ。
あちゃあと言う顔で幕引きを図る川嶋亜美。
・・・高須くんてば台無しと川嶋亜美は天を仰いだ。

実はこの企画、日頃、誤解の多い高須竜児と言う存在を全校生徒に正しく認識して貰おうと言う意図があったのだ。
もちろん、それは川嶋&北村コンビのアイディアで、名付けて・・・竜児二枚目デビュー作戦。
売り出しは見事に失敗に終わった。



265 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:34:46.57 ID:S2JUWtJt0

・・・かに見えた。
それから数十分後・・・。
ミス&ミスター大橋の表彰式で起きたちょっとしたハプニングが竜児の評価を大きく変えた。
出場者全員が並んだステージの上で結果が発表され、竜児は優勝こそ逃したものの、そこそこ上位に食い込んだのだ。

そして、そのステージの上で竜児は準ミス大橋からダンスを申し込まれた。
1学年下の女の子・・・としか相手を認識できない竜児。
何で、俺と言う顔をする竜児にその子はにっこり笑い、まだ分かりませんかという顔をする。
やや、あってから竜児はあっと言う顔になった。
相手の外見が変り過ぎて気が付くのが遅れたのだ竜児は・・・。
この数日、さんざん一緒に居たというのに。

その子は裁縫部の部長。
裁縫部では演劇部のステージ発表用の衣装を作っていたのだが、あるトラブルから期日に間に合わなくなりそうになったのをここ数日、竜児が深夜まで手助けしていたのだ。

「高須先輩には助けられました」
そう語られるエピソードに会場は静まり、やがて惜しみない大きな拍手で体育館は包まれた。

みのりんの写真はその時の物。
これがきっかけで恐いヤンキー高須と言うイメージは過去のものになり、下級生を中心に密かな竜児ファンが誕生することになる。
ちなみにダンスは大河がいるからと躊躇する竜児の背中を「女の子に恥、かかすんじゃないわよ」と川嶋亜美に蹴り飛ばされて、踊っている。


竜児は大河に準ミス大橋からダンスを申し込まれて、一緒に踊ったと正直に打ち明けたものの、大河は最初、まるで信じようとしなかった。
「竜児、もう少し、ましな嘘を考えなさいよ」
「嘘じゃねえ」
「はいはい、竜児の頭の中ではそうなってるのね」
「ホントなんだ」
「いいのよ。妄想するは自由だから」
その時は笑って取り合わなかった大河。

ある時それが事実だったと知る。
親友、みのりんとの電話で竜児が言っていることが事実だと告げられたのだ。
証拠として大河の携帯へ転送された写真がそれを証明した。

キャンプファイアの火を背景に踊るシルエットがふたつ・・・。

「大河、妬けちゃう?」
楽しそうに言う櫛枝実乃梨の口調に大河は静かに返した。
「全然・・・」
なんだつまないと笑う実乃梨に大河は苦笑を浮かべる。

実乃梨との電話を切って、大河は件の写真を見つめる。
大河は少しだけ心が騒ぐのを感じ取った。
でも、それはヤキモチとか言う性格のものではなくて、ちょっとした空白感だった。
自分が側に居られれば、竜児をダンスに誘えたのにと・・・。
大河は目を閉じる。

真っ暗なまぶた裏で大河が見たのはさっきの写真に自分を重ね合せた世界だった。
何処からともなく聞こえるフォークダンスの曲。
大河の目の前で踊る竜児・・・。

「・・・竜児」

大河は声に出して最愛の相手を呼んでみた。
幻の竜児は答えない。


266 :シンデレラなんかになりたくない8 ◆x6jzI2BeLw :2011/05/29(日) 01:37:09.47 ID:S2JUWtJt0

さっきまで聞こえていたざわめきが小さくなっていた。
参列者が所定の場所に並び終えた気配が伝わって来る。
しんと静まった控え室で大河は竜児の胸から顔を上げた。
「・・・竜児」
「おう」
幸せになろうねと言ってさっき、竜児の腕に包まれていた大河。
やや不安そうな表情で竜児を下から見上げる。
「・・・どうした、大河?」
「幻・・・じゃないよね?」
「消えたりしねえよ・・・安心しろ」
「ちょっとだけ、思い出してた」
「何をだよ?」
「高3の文化祭のこと」
「文化祭って?」
「少し、竜児が遠く感じたんだ・・・あの頃」
気持ちが離れたとかそんなんじゃないよと大河は付け加え、フォークダンスの写真をめぐる想いを竜児に告げた。

「きっと、寂しかったんだと思う・・・会いたくて、会いたくて・・・竜児の名前を呼んだ」
でも、竜児は答えてくれなかったと大河は悪戯っぽく言う。

「足りねえよな、あの頃の俺」
竜児は淡い悔悟の念が胸を掠めるのを感じる。
遠く離れた地にある大河の深い心の機微にまで感じ取ってやれなかった。
そして、何より大河が密かにしていた頑張りに気づいてやれなかったこと。

「でも、もう過ぎたことだから」
そう言って微笑む大河に陰は無い。

「竜児」
「大河」

お互いに名前を呼び、見詰め合うふたり。
もう幾度となく、見つめた表情。
廊下でぶつかった時からここまで流れた時間が竜児と大河の間を風の様に通り抜ける。

・・・ここまで長かったね。
・・・ああ。
・・・これからもお願いね。
・・・任せとけ。

言葉にしない会話が交わされる。
ほぼ同時に緩むふたりの口許。

そして全ての想いを込めて大河は竜児に告げた。

「行こう、竜児」
「おう!」


式の開催を告げる鐘の音が響く中、大河と竜児は外へ続くドアのノブに手を添えた。



今回はここまでです。
最初、下げ忘れた・・・


267 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/29(日) 14:06:16.90 ID:0KBxAEdV0
>>257
よくご覧になってますね>漫画版
ご指摘どおり2巻p165、3巻p115、4巻p141辺りから拝借してます。八重歯って書いちゃったしなw
コス描写は原作に対応した記述ありますが漫画版のポーズ付きビジュアルだとまた格別です。
この辺はアニメでは実現しえない美点かな。

268 :たまには替え歌:2011/05/29(日) 21:44:33.84 ID:4cUm+Oad0
LOVE☆とらドラ〜ナ ファイナル
元歌:ttp://www.youtube.com/watch?v=l7qzMARDXqM&feature=related

RYU!
好きよ 好ーき好きいい感じよ 生まれたまんまで勝負
胸は平ら 腰はチャチャチャ Paradise night
おどルンバ いざサンバ トラのちリュウ ryu!

態度がもう Fire(ふぁいや!) はだかんぼ Desire
ちょいと引けた腰の 意志は弱い

伊豆の別荘いらっしゃい 禁じられた Pa-pa-ya デュッワー
(でゅっでゅあ、でゅっでゅあ でゅっでゅあ、でゅっでゅあ)
自販機にはさまれて 甘いジュースいかが?
いえいえそれはいけませぬ

RYU!
いやよ いやいや終わらないで 情熱は底なし沼
瞳ウルル キスはちゅちゅちゅ Paradise night
そこコンガ どこトンガ チワのちリュウ ryu!

萌えろ乙女 Passion(ぱっしょん!) 置き去りの天然
吹く鼻血が騒ぐ ソフト部だけど

イヴに呼び出されて 危ない夢見ましょ おや?
(おっけーっ!)
じらさないでドリアン 切なすぎてマンゴー
いったいクマでどこ行くの?

RYU!
そこよ そこそこ そこがツボよ 押せばネタの泉湧く
あたまカラン ハートあっちっち Paradise night
おどドンパ いざダンパ みのりんとリュウ ryu!

(間奏)

PC室にいらっしゃい PaPa Pa-PaPa Pa-pa-ya デュッワー
(でゅっでゅあ、でゅっでゅあ でゅっでゅあ、でゅっでゅあ)
日ごろのお世話に感謝をこめて バレンタインチョコいかが?
いえいえそれはいけませぬ

RYU!
いやよ いやいや終わらないで 情熱は底なし沼
瞳ウルル キスはちゅちゅちゅ Paradise night
そこコンガ どこトンガ チワのちリュウ

そこよ そこそこ そこがツボよ 押せばネタの泉湧く
あたまカラン ハートあっちっち Paradise night
おどドンパ いざダンパ みのりんとリュウ ryu!

好きよ 好ーき好きいい感じよ 生まれたまんまで勝負
胸は平ら 腰はチャチャチャ Paradise night
おどルンバ いざサンバ トラのちリュウ

おどルンバ いざサンバ? トラのちリュウ
RYU!

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/29(日) 23:34:59.74 ID:ltOQXI+30
なんでこんな投下増えてんのwアニメスタイルの影響か
GJ!、ですよ書き手さんら


270 :212:2011/05/30(月) 00:53:58.86 ID:MaY0mbVYP
>>219
このレス覚えてるw

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/30(月) 06:33:18.47 ID:VI6KufD90
投下沢山で嬉しすぎる。読み終わった!みなさんGJ!!

>>234
初めから読み返し、相変わらずのにやにや成分の高いお話に頬が緩みっぱなしですw
飲み会でたじたじな竜児が容易に想像できるwかと思えば、きっちり応える男前!
果たして何が起こったのか次回も期待

>>243
なんて可愛い新婚さんなんだ…!

>>247
切なくも優しい距離感に心が洗われる…。二人一緒にいるだけで幸せ、だなぁ
昼間の無邪気っぷりが微笑ましいのなんの
エロはエロで大変おいしいですがw、過ぎ去ったこの頃の関係も特別ですね

>>266
丁寧に追う空白期間の密度が素晴らしいです。大河の努力に頑張れーって言いたくなる
いよいよ式開幕!終わるのはさみしいけれど、二人の結婚を見届けたい

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/30(月) 06:44:29.28 ID:VI6KufD90
>>242
ちなみに大河は、2009年に3位にランクインしてた
確かに大河がどうしようもなくかわいいのは揺るぎない事実だが、夫は竜児だから!竜児の嫁だから!
イチャイチャチュッチュな竜虎を眺めるのが至高。

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/31(火) 07:44:16.04 ID:12q0w4os0
BD化、時間がかかっているのはアップコンバートでの画質確保の手間らしい

ttp://ameblo.jp/bdmeister/entry-10904049017.html

この心遣いはありがたいばかりだな。てか、キングレコードがBD化渋った理由よくわかるよ。
手に取るのは遅くなりそうだが、我慢する。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/31(火) 08:56:21.90 ID:9d5zBe8j0
SD画質をアップコンバートするのは結構手作業に負うからね。
各種パラメータ決定して、その後部分部分のダメなとこを見て拾って再調整。
25話分の作業にそれ含めたら2カ月、そこからBDプレスまで2カ月が最短ってとこ。
でもOVA完成までの方が期間はかかるのかな?内容によるけど。

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/31(火) 19:11:11.34 ID:v3ktFRiM0
大体の日程くらい知りたい
秋くらいかな・・・

276 : ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:32:50.14 ID:9d5zBe8j0
6月に入ってすぐOVAの進捗が発表されれば9月10月のセンがあるけど、
まあ12月。それを過ぎれば年明けで放映終了3周年の3月と読むのが相場かな?
いずれにせよ、年度内ならもう宣伝告知するのが当たり前なのに無いのは気になります。

いろいろアニメスタイルで惑わされましたが、本来好きな竜虎成分を投稿しますね。
【タイトル】イチャイチャちゅちゅ
【内容】スケベな竜児がイチャイチャちゅっちゅします。もう結ばれた後は大河が可愛すぎる
のでどうにも抑えようがありません。全部大河が悪いのです。そのためまんまなタイトルにな
りました。あ、オチのために泰子付き。

ちなみにこのシリーズは4月中旬の大河の誕生日から始まって早や4篇めですが、GWを経て
5月に入った形跡がないです。何度でも日曜祝日がやってくる不思議時空、言うなればエンド
レスフォーとなっていることは賢明なる諸兄には既にお分かり頂けていることと。

↓ああ考えなしタイトルですまん。5レスほどいただきます。
 宜しくお願いします

277 :イチャイチャちゅっちゅ ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:34:37.94 ID:9d5zBe8j0

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴った寸止めコメディ(要するにアニメ版アフターです)

 恋人以上夫婦未満。19歳になった逢坂大河と、もうすぐ19歳になる高須竜児。
 やることはとっくに済ませてはいても、いまだ親がかりなふたり。毎日エロエロアマアマに
惚けてるわけにもいかない。のべつまくなしのイチャつき禁止。学生の本分を全うせねばと、
どちらからともなく自律的な制約を課している。
 それは“平日は自重しましょう”というもの。
 そうしてやってきたお休みの日。
 日々のつとめをこなしたら制約を解放しても良いとふたりが暗黙に決めている休日がまたも
やってきて、また別のくだらない話が始まる。

****

「ああもう……とろい!お姉ちゃんにまかせな」
「お、おう」
 朝食後の午前9時。
 高須家の竜児の部屋で、大学生ともなれば要るよな?と購入したノートパソコンをセッティ
ングしているふたりの姿があった。
 そんなものマニュアルを見ながら竜児が独りのときにやればいいことではあったけど、高校
時代からPC持ちの大河はさぞ先輩風を吹かしたいだろうと。
 吹かさせてやったらさぞ喜ぶだろうと、微妙な気配りでわざわざふたりの時に始めたわけだ。
 案の定、大河は机の前に座ってゆるゆるとセッティングしている竜児の周りをウロウロ歩き
回り、後ろからチョークスリーパーをかけたりなどしながらうるさくクチを挟む。それは家人
がなにか買い物をして帰ると必ず検分に寄ってくる、さながら飼い猫のよう。
 ぬこだなこいつ……と竜児が半笑いで楽しんでいたら冒頭の台詞と相成ったわけだ。
 大河ぬこは竜児のひざに横からとすんと座って、机を向いてちゃっちゃか作業を始め……る
のかと思いきや逆方向。竜児の首に手を回すと、ちゅっちゅ別の作業を始めた。
 ああ、要するに構ってほしかったのかと竜児は得心する。今日中にセッティング終わらない
かも知れねえな?とどこかで思いながら愛する茶虎のしなやかな背をきゅうっっと抱きしめて、
無言のままその作業を手伝うことにする。
 無言……。
 無言……。
 長いなおまえら、朝っぱらから。
 無言……。
 ああやっと終わった。
 ぬこのお姉ちゃんは竜児の胸に顔を埋めてのどをゴロゴロ鳴らしている、といったような雰
囲気で甘えまくっていた。
 茶虎猫っぽい長い髪を手で毛づくろいされていると心地よいのか次第次第に仰ぎ見るように
なる。そうすると今度はそのしぐさを見て竜児の方から遊びに来る。
 さっきのキスで濡れて光っている小さな唇。
 薔薇の蕾……に喩えるのがラブコメとしてキレイなのだろうが、頑丈で健康で美しく生まれ
て育ち、色白ゆえに血潮を透かして見せるその唇は、色も形も桜貝の艶を想い起こさせる。
 桜や桃の、花の薄ピンクとは違う、光をを伴って、透けた中に真の紅が走っているからこそ
感じさせるピンク。それには躍動する生命がメタデータとして重ねられていた。
 綺麗、は造られたもの、かつて讃えられたもの、評価が定まりこれからは動かないものを形
容する言葉であろうと竜児は思う。いま、このときを切り取って感じるには、うつくしい、と
いう語こそがふさわしい、と。

278 :イチャイチャちゅっちゅ ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:35:43.09 ID:9d5zBe8j0
 大河……お前のすべては美しい。……ってなに思ってんだ俺は。こんなこと言ったらまた冷
やかな目でクサ過ぎっ、とか言われるぞ?あ、それたまんねえな。
 そうして見惚れていると、半開きの唇がりゅ……じ……と動いて誘いをかける。
 竜児の印象のうえでそれは“いつまでも見てるばかりならぶつよ!強くね!!”というもの
ではあったが、打たれたって構わねえ見たいだけ見るぜ俺は、という覚悟完了をとうに済まし
ていた。そんときは、お前が美し過ぎるから見惚れていたんだ、なにが悪い!と目を睨んで真
顔で言ってやる。
 打たれた。
 強くね。
 痛い。
 痛い。マジで。
 言った。
 言ってしまった。
 お前が美し過ぎて見惚れていた、と。
 伝わった。
 大河はみるみる真っ赤になって、竜児の顔をまともに見ていられなくなって、また胸に顔を
埋めてしまう。
 消え入りそうな声で、ご。
 ごごごごごごご。
 ごめん、と。
 乱暴して、済まないと。
 竜児は、にやり。
 と笑みを浮かべる。
 『とらドラ!』の原作者たる通称ゆゆぽの文体でないのは気にしないでほしい。
 趣味。
 であった。

 たまらぬ竜虎であった。

 ともかくも、お前に見惚れていたから固まっていたと主張する竜児に完敗した格好で、大河
はくるりと向きを変え、思い出したPCのセットアップ作業に取りかかった。
 ご存知であろうが、セットアップというのはやたら“お待ちください。数分かかることがあ
ります”という待ち表示が出るものだし、再起動、を要求される事もしばしば。
 短気な大河がそのことごとくをクリアできたのは、待ち時間に振りかえるたびその口が塞が
れたからである。むちゅっ。……ん。ちゅるっ。……んん。
「きっ……キス魔」
「それがどうした?さっきも言った通りお前のせいだ」
「わ、私のせいだっての?」
「お前が美し過ぎるうえに、キスしてって顔に描いてあんのがいけない」
「ひ、ひゃぁぁぁぁ!な、なに?ななななななななに言ってんのっ!」
「あんなに乱暴で横暴で傲慢で口汚かったくせにっ」
「ん、んみゅ、むーーーっ」
「こんなに素直に可愛くなりやがって。くそー」
「んん……」
「詐欺師」
「ん……む……、はぁはぁはぁはぁ」
「泥棒猫」
「にゅっ?んんんん?んーーー?」
「淫乱め」
「んん!?んーーーーっ?んーーーーっ?」
「貧乳」
「んんーーーーっ、おいこらっ、黙って聞いてりゃ最後がなんかひどいっ?」

279 :イチャイチャちゅっちゅ ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:36:48.51 ID:9d5zBe8j0
「あ、ほらほら、次のウイザードが開いたぞ?」
「お?そうだったそうだった」
「……愛してる」
「ひ、ひゃぁぁぁぁ!いきなりっ!?遺憾すぎるっ。んっ」
「もう貧乳しか愛さない」
「……うそこけおっぱい星人……触んな!こんなとこで」
「嘘なもんか。身長150cm以上の女なんてみんな都市伝説だ」
「もう何言ってるかよく分かんないよ……だから揉むなっつうに!!」
「黙れ、生意気いうのはこのクチだな?」
「ん?んんんんん……んぁ」
「マキバオーかお前は。くそう、可愛いなっ!!なんだお前!?」
「お、大きな声出すなっ!やっちゃん起きるわよ。ってかなんで逆ギレ?ん、んむっ」
「はぁはぁ……だったらその“もっとして”って顔をなんとかしろ」
「……あんたがこんだけあからさまにエッチになるなんて私の方がびっくりだわ」
「ああっ、呆れたような顔もたまんねえなっ!?ほんとになんて女だ」
「んんんんん?んはっ!いちいち理由つけて私のせいにすんなっ。したいって認めろキス魔」
「……したいです」
「じゃあ……してよし。んっ……ん……んんん……」
「他にも、したいのですが」
「なんで丁寧語。……午後にね」
 ほら、ステイ!
 わおーん!
 まあ通常の3倍の時間をかけて、ようやく竜児のPCが使い物になったのだった。

「ぽぇぇぇ〜ん☆」
 日が高くなってきた頃に、夜勤を済ませて明け方に帰宅し寝ていた竜児の母、泰子が起き出
してきた。卓袱台と冷蔵庫と食器棚をあさって、竜児が作り置いていてくれた食事があればへ
っへっっへー♪と半笑いで食べる、なければ半ベソで自分で作る、というのが日課。
 最近はお休みの日となれば、泰子の世話を手抜きして一日中大河を構うようになっていて、
ご飯のおこぼれにあずかれない事が多くちょっとさみしい。これでも一応大人だし人の母でも
あるから納得はしているけれども。
 ずるずると下着姿にジャージを羽織っただけのナリで這い出して来ると、すでに居間には家
人の姿なく、ああこれはさっそく乳繰り合いに行っちゃったーと思ったのだが、卓袱台の上に
は『泰子:食器棚』というぞんざいなメモを見つけた。ちゃんとおかずを三品盛り合わせてラ
ップかけて置いてある。冷ご飯と冷や汁を盛ってきてひとりブランチと洒落こむ。
 テレビを点けようとしたら、竜児の部屋から『んんんんんー!』と聞き覚えのある声。
 もー、りゅーちゃんサカりすぎー♪と、平然とご飯。点けたテレビの音量を極小にしてるあ
たりは優しさか、野次馬根性か。
 先程の聞き覚えのある鼻声が、で、ホームページどこにすんのよ?グーグルでいいの?と言
っているのが聞こえてきて、ああ、と納得。パソコンいじりかあ、と。

「ちょ、ちょっと竜児これこれ?」
「んー?『夫婦の1日の平均会話時間は?』ほぉ?女性誌の記事だな」

・1〜30分未満:31.0%
・30分〜1時間未満:31.5%
・1〜2時間未満:21.5%
・2〜3時間未満:9.0%
・3時間以上:5.0%
・0分:2.0%

「私たち、どのくらいかな?」
「まだ夫婦じゃねえけど……そうだなあ?」

280 :イチャイチャちゅっちゅ ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:37:50.38 ID:9d5zBe8j0
 朝9時、朝食後にセッティングを始めて今は正午前。凡そ3時間か。その間会話と言えば。

「2〜3分、よね?」
「そうだな」
「3時間あたり大目に5分として、睡眠時間を除いた一日18時間をあてはめると?」
「30分、てことになるのか」
「がーん。大変!すでにして会話のない夫婦だわ!」
「いや、それは別に。だからまだ夫婦になってねえし」
「なに落ち着いてるのよ!だからこそ大問題じゃないの?」

 そんなこと、ねえと思うぞ?と竜児はまたも大河の口を塞ぐ。んっ、んっんっ。
 10分経過。
 まあ誤解のないように言っておくと、10分ずっと貪りあっているわけではない。激しく求
めあうのが好みの大河に対して、優しく柔らかく触れ合うのが好みの竜児は相性抜群。当座は
大河のペースに合わせ自陣の奥深く侵攻させておいて、やがて柔らか〜く、文字通り懐柔して
いくように時間をかけてフロントラインを取り戻すのだ。
 そうすると瞬発力しか持たないスプリンターの大河は、打つ手なしになってしまい、後半ひ
たすら蕩かされる一方となり、どこまでも竜児の侵入を許してしまう。
 そうすると、余韻、というものがもたらされて、ついふへふへ崩れ落ちそうな笑顔になり竜
児につかまって甘えてしまい、最終的には虜囚の辱めを受けるほかにない。
 そうなると言葉も出ない。竜児にしてもそんな大河を見て感じるのが大好きだから余計な言
葉をかけて邪魔したりは、しない。
 必然的に、ろくに会話もせず抱き合っている時間ばかりが延々と続く、というわけだ。

 では、その主な会話内容は?
・収入・小遣いなどのお金に関すること 31.0%
・仕事のこと 42.0%
・育児・子供の教育について 57.5%
・マイホーム購入、家のリフォームなどについて 14.0%
・親の介護・同居について 13.0%
・趣味について 40.5%
・その他 23.0%。

「お金に関すること……話題じゃないよね」
「仕事のこと……話するけど、ほんとに時々だな?」
「育児、子供の教育……まだまだだよね?」
「マイホーム購入、家のリフォーム、俺は興味あるけど、まあ、ねえな」
「親の介護・同居……あ、こういうのもそのうち考えないといけないんだ?」
「あとは趣味……お前の趣味、なに?」
「いたって無趣味。あ、よく2ちゃんで夜釣りはするね?」
「……それはいちおうツンデレヒロインとしてはどうなんだ?俺は趣味人だよ」
「なんなのさ」
「インテリアデザインだろ?ガーデニングだろ?料理だろ?」
「じゃあ私もそれ趣味にするわ。教えて?」
「……だからいつの間にそんな素直な女になったんだお前はよ?ああったまんね!」
「むゅっ、んっ、んんん……」

 また10分経過。
 誤解のないように言っておくが、え?もういい?あ、そう。

「はぁはぁ、あとは……『その他』か」
「ねえ竜児、そもそもこの記事でまとめてるような話題が、私たちにはないよね?」
「そうだな。なんでだろ?」
「あ?」
「どうした?」
「この記事『40〜50代既婚男女各100人に緊急調査を行った』だって」
「なんだ。結婚して長い夫婦の話じゃねえか。俺らには関係な……むぐっ、んん……」

281 :イチャイチャちゅっちゅ ◆0/FKyHtS2M :2011/05/31(火) 21:39:52.87 ID:otjVtOqk0
 逆襲の10分経過。

「ねえねえねえねえ。りゅーーじぃ」
「おう……わかった。お前の部屋の……掃除をしねえとな」
「そ、そうね。掃除をね。……念入りに……3回くらい……」

 まあよく3時間も竜児のひざに座っていたもの。大河はひょんと飛び降りて、居間へとつな
がるふすまを勢いよく開けて、でもすぐに後ろ手に閉める。

「どうした?」
「ややややっちゃんが……手、振ってる」
「心配すんな。聞いてないふりするに決まってる」
「ふ、……ふりじゃ恥ずかしい。聞かれた?いちゃいちゃ聞かれたっ?」
「念入りに3回掃除とかも聞かれたかな?」
「あ……わ……わわわ」
「いいかげんに慣れろ。お前んちではともかくも、うちではもうお前は俺の嫁だ」
「嫁!!う……うん。堂々と、嫁らしく、ね?」
「そう!嫁らしくな!ん!?んんん……」

 嫁ですが、何か?という顔をしてふたりは居間へ出てくる。ニヤニヤな泰子に無言で眺めら
れて、大河は恥ずかしくてもう、たまらない。
 午後は自分のマンションに移動して、竜児とえっち三昧だ!という思いと、高須家で三人家
族でいる、という思い。どちらも同じように大切に思っているけど、でもそれは両立しないも
のだから。
 それでも大河が愛するひとはちゃんと大河の方を迷いもなく当たり前のように選んでくれる。

「泰子ぉ、俺、午後は大河のうち掃除しに行くから。夕飯までには帰るからよ」
「あいあ〜い☆遅かったら勝手に食べて出るからねえ」
「大河ぁ、昼飯なにがいい?焼きそばパスタお好み焼き、あーあとそば粉のパンケーキも」
「パ、パンケーキがいい」
「やっちゃんさっき食べたからちょっとだけねぇ〜☆」
「おう。じゃ、りんご擦って軽く煮た即席ジャムとバターで食おうぜ」
「うん……ミルクに合いそうだから、付けて」
「おう。紅茶も淹れる」

 パンケーキっつってもな。そば粉のだから結構ワイルドだぞー。歯ごたえがキシッキシッと
して旨いんだぜ。と、竜児が最近覚えたレパートリーを披露しようと張り切っている。

 つまらないことを、泰子はわざわざ大河に言わない。ただ、自らの日常を少しも曲げずに接
して、嬉しそうに微笑んでは眺めるだけのことだ。
 それは、かつても、今も、竜児が毎日少しずつ大河に注いでいた愛情と同じもの。

 いつか伝われば、それでいい。



――END



282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/31(火) 23:59:47.91 ID:+f7dBVPc0
ウカレポンチに拍車が掛かっているww

283 : ◆Eby4Hm2ero :2011/06/01(水) 08:15:51.81 ID:kUKr0PXV0
なんというバカップル。
いいぞもっとやれw

284 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/01(水) 08:17:44.06 ID:kUKr0PXV0
お題 「ロッカー」「音」「竜児」



「ねえ竜児、これ見て」
「おう? 『おれのこえ』のチラシじゃねえか。クーポンでもついてたか?」
「そうじゃなくて、ほら、ここ」
「……『コスプレ衣裳レンタルサービス始めました』……カラオケでコスプレ?」
「アイドルとかパンクなロッカーの衣裳着て、なりきって歌うんじゃないの?」
「おう、なるほど」
「なんか面白そうだし、ちょっと行ってみない?」


「ねえ竜児、アホロン毛とバカメガネは? 誘ったんでしょ?」
「春田は例の女子大生とデートだそうだ。能登も何か先約があるってさ」
「奇遇ね〜」
「おう香椎、何がだ?」
「麻耶ちゃんも今日は約束があるからってパスなのよ」
「……へぇ〜、そうなんだぁ〜」
「おやあーみん、どうかしたかね?」
「べっつにぃ〜」
「おーい皆、くじが出来たぞ」
「おう、すまねえな北村。それじゃ、この紙コップに入れてよく振って、と」

 1番・香椎奈々子:メイドさん
「お帰りなさいませ、ご主人様♪」
「おう……」
「むう、これは……」
「そこの男子二人! デレーっとするんじゃない! 特に竜児!」
「お、おう、すまねえ」
「いや、しかしこいつはなかなかポイント高いね〜。みのりんレーダーにビンビンきてるぜ!」
「ねえ実乃梨ちゃん、今年のミスコン、うちのクラスこれで行かない? 去年被りまくったからメイドは少なくなるだろうし」

 2番・北村裕作:サンタクロース
「うーん、普通によくあるコスプレよね〜」
「しかし、イマイチ新鮮味が無いねえ」
「北村君のサンタコスはクリスマスパーティで見たから……これとはちょっと違うけど」
「おう、そういや大河はステージに出たもんな。準備中ずっとアレを間近で見せられてたわけか……」
「はっはっは、ではリクエストにお応えして、去年のクリスマスを完・全・再・現!」
「おい北村、お前まさか」
「クロス・アウッ!」
「ひゃー!!」
「ちょっと裕作! あんた何考えてるのよ!」

 3番・櫛枝実乃梨:音楽家
「ベントーベンがショッパン食って、ヘンデル屁ん出るバッハっはー!」
「おお櫛枝、その衣裳もカツラも良く出来てるな」
「でしょでしょ! いやー、まさかカラオケ屋でこんな逸品に出会えるとは思わなかったよ」
「……みのりん……」
「……なんで櫛枝はイロモノ担当になるんだろうなあ……」
「……いいんじゃない? 本人楽しんでるんだし」
「実乃梨ちゃん、写メ撮っとく?」
「おーう、頼むぜ奈々子様ー!」


285 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/01(水) 08:19:29.61 ID:kUKr0PXV0
 4番・川嶋亜美:ゴスロリ
「亜美ちゃん、きれーい!」
「うおお、お宝フォトゲットだぜ!」
「奈々子も実乃梨ちゃんもありがと。まあ亜美ちゃんってば元がイイから、なんでも似合っちゃうのよね〜。
 ……って、そこ二人は何で微妙な表情してんのよ」
「おう、綺麗なのは綺麗なんだが……なんだかちょっと恐くてなあ……」
「亜美は身長があるからな。そういう格好だと威圧感があるのはしょうがないだろう」
「ぷくく、ばかちー言われてやんの」
「……そうよねー、こーゆーフリフリヒラヒラしたのはタイガーの得意分野だものねー。『お人形さんみた〜い。ちっちゃくて可愛い〜』とか言われちゃうんでしょ?」
「ぐ……」

 5番・高須竜児:チャイナドレス
「キモっ」
「これは……ちょっとねえ……」
「あいやー……流石にないかなー……」
「ごめん竜児、正直あんたキモいわ」
「……いや、いい。自分でもわかってるから。くそ、なんでこんなことに……」
「まあ、女性用の方が種類が多いからな。そんなこともあるだろう」

 6番・逢坂大河:「セーラー服」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「ちょ、ちょっと、なんで皆黙ってるのよ! やだ、そんなに変?」
「……ふぉっ」
「実乃梨ちゃん、鼻血鼻血! はい、ティッシュ!」
「おお、ありがと奈々子様。ふ、ふへへ、なんかこー、滾るモノが……」
「なんで? 何の変哲も無いセーラー服着ただけなのに、あんたはなんでそんなに完成度高くなるわけ!?」
「いや、これは……うちの制服を変えるように生徒会から要望を出そうかな」
「…………」
「竜児?」
「お、おう、すげえ似合ってるぞ」



「ねえ竜児」
「おう?」
「さっきのセーラー服、そんなに似合ってた?」
「おう。皆の反応でもわかっただろ」
「でも、竜児だけはちょっと反応遅かったわよね」
「それは、その……」
「竜児の趣味じゃなかったとか?」
「いや……正直に言うとだな……思わず『好きだ』とか言いそうになっちまったのを堪えててだな……」
「そ、そうなんだ……えへへ……今度中学の時の制服持ってくるわね」
「おう? 何でだ?」
「それもセーラー服なのよ」
「おう……」

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/01(水) 10:49:04.03 ID:QQrRpZAb0
>>281
ふたりとも自重!だが、どっちかというと狙い澄ました竜児の方が怖えぇ。
もともと偏執的なのにリミッターはずれるとこうなるのかw

>ああこれはさっそく乳繰り合いに行っちゃったー
やっちゃんストレート過ぎw

>>285
乙です。やっぱ、2-Cのメンツ揃うと楽しい! 
麻耶と能登はデート中か…

アニスタのねんぷち見て、三題噺氏も滾ってしまった?
俺も気がつくとボーッとねんぷち見てることがある。

BDのOVAはさ、黒セーラー+黒ニーソの大河がもっと動いてるのみたいな。
>>238 さんが書いてるような記念写真風景とか。

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/01(水) 13:16:44.90 ID:W3NSoxpV0
>>285
乙です。のとまや明らかに怪しい!
亜美はゴスロリも着こなすんじゃないかなあ。実乃梨のイロモノは本人の指向だからw
レースクイーンとかスポーティなの似合いそうな気がするよ。
あと言いたいのは、大河は高三になっても中学の制服着れるのかw


288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/02(木) 07:34:30.86 ID:OsrfNWDn0
>>281
GJ!けしからんベタ甘バカップルだ……!
実際、一旦いちゃつきはじめるとタガが外れそう。制約設けてると特にw
お姉ちゃんが口癖になってる大河がかわいいなもう!

>>285
GJ!竜児罰ゲームだろww
いやきっとセーラー服大河というご褒美貰って、竜児的にはコスプレ万歳ですね!
進展してそうな能登麻耶が気になりますな
「透明人間」で大河が能登を気にかけている様子が描かれてたから、二人が上手くいったら喜ぶだろうなぁ。もちろん竜児も。

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/02(木) 07:41:04.38 ID:KCWLoXZK0
おい、お前ら、エロパロ版に、大河メインのエロSSが掲載されてるぞ
見に行って、コメントしてやれよ

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/02(木) 21:27:22.41 ID:DJNXuhr90
なん…だと…。ちょっと光速で見に行ってくるw

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/02(木) 22:07:09.58 ID:RCNzpwO50
読みに行ったら大河メインでなくて太河だった。
どうやらムチムチでCカップらしい。可愛かったよ。
なんか竜児と竜二と竜司の3人にいろいろされてたw
やっぱ頭に紅葉が乗っているんだろうなあ。

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/02(木) 23:35:08.17 ID:l5WZopWI0
竜児と竜二と竜司の3人にいろいろされる大河だと…

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 01:15:35.08 ID:n9v6Jnm/0
ちょっと投下しますよ。
9レス程。
『借りてきた虎』前編

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 01:21:21.79 ID:n9v6Jnm/0
と思ったが規制でまともに書き込めない。また今度。

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 01:38:37.41 ID:nQR8ba+b0
規制が憎い…!

296 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:00:27.15 ID:HQRDtodoO
数レスお借りします。
>>229->>233の続きです。なんとか最後までたどり着いたので、どぞ。

297 :宇宙スペースナンバーワン!17 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:02:17.54 ID:HQRDtodoO
         # # #


「た・い・が! た・い・が! た・い・が!」

 部屋の隅を囲むように立つ全員から、湧き起こる大河コール。
 そして轟く虎の咆哮──

「しゃーおらー!」

 ──なんだなんだ、一体どういう状況だ!?
 慌てて人垣に突っ込んで、竜児が騒ぎの中心にたどり着くと、そこには。
 なんということでしょう、“フワフワキュート”なお姿のまま、元気にサソリ固めを披露する嫁の姿が──。
「おおっと、タップ! タップです! ギブアップだー!
 勝者、大河選手!」

 うおぉー!

 爆発する歓声、飛び交う座布団、ここは有明か後楽園か。
「大河! おま、なにしてっ……たいがあ!」
 呼べど叫べど声は届かず、大河もこちらに気付かない。
 力尽きた相手をそこいらに転がすと、彼女は勝ち誇ったように小ぶりな胸をそらした。両手の指をキツネさんにして、「うぃー!」と謎の勝ち鬨をあげる。
 どっとまた歓声があがり、駆け寄った女子が数人、ほっぺにチュウしてわっせろーい。
 もうむちゃくちゃのカオスである。

「なあ、何があったんだよ!?」
 すぐ脇で「虎だ、お前は虎になるのだ!」とはしゃいでいた金髪ピアスを捕まえて訊けば、要するに。
 あの優男が大河にちょっかいを出して、手酷くやり返されたらしい。
「お前が席を外すなり、ソッコー飲ますわ口説くわ、ひどかったんだぞ。」
 そういうことか、と竜児が唇を噛む。最初からそっちが目的だったのか。
「あげくに、『身長差のあるキスってどんな感じ? フリだけでいいからさ』っつって強引に迫ったもんだから、さすがに間に入ろうとしたその時だよ。
 『いいわよ。』ってニッコリ笑った彼女が、オデコでガツン!
 ──で一言、『あらやだ、目測を誤っちゃった。』」
「おおう……。」
 その様子がありありと想像できて、竜児は思わず天を仰いだ。
「俺は思わず拍手したね。あんなに綺麗なヘッドバット初めて見たぜ。」
 その後は売り言葉に買い言葉、逆上した相手が掴みかかったところを以下省略。
 全く予想外な大河の反撃に、全員やんややんやの大喝采。酒宴のノリを止める者もなく、さっきの騒ぎに至った、と。こういう事らしい。


298 :18 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:04:46.36 ID:HQRDtodoO

「しかし、大河が先に手を出したんなら……」
「心配すんな高須。見ろ」
 わざわざやってきた顎髭メガネが指さす先には 泡を噴いて伸びているイケメン(無惨)と、……それをさも嬉しそうに写メったり足蹴にしている一団が。
「うわ。恨まれてんだなあ」
「いつかは誰かに刺されるぞと思ってたから、かえって早めにこうなって良かったんじゃね?」
「良くはねえだろうよ……。」
 一応ケジメはつけねばならない。
 肩を落としつつ、大河を探してあたりをを見回す。
「いやーしかし、高須の嫁さんサイコーだな!」
「間違いなく宇宙一だな!」
 初対面の時よりも興奮した様子で、そう大河を絶賛する二人だったが。残念ながら、竜児の耳には全く入っていなかった。
 見つけたからだ。
 数時間前のしおらしさが嘘のよう、牢名主よろしく積まれた座布団に鎮座して、ふんぞり返っている“宇宙一の嫁”を──。

 感情が顔に出てしまっているのか、近づくだけで、大河を囲む人垣があっという間にぱっくり割れて。
「わっ、……竜児!」
 こちらに気づいた大河が顔色を変える。
 竜児は無言で、彼女をそっと高座から抱え降ろした。
「──っ!」
 叱られると思ったのだろう。身をすくめたチビ虎を膝に乗せるようにして、まずは話に聞いたオデコから。
 傷はねえ、痣もねえ、瘤にもそれほどなってねえ……、と順番に撫で、全身をくまなく確かめる。
 手のひらや首筋は、じんましんなどが出ていないか、特に念入りに。
 傍目には、食前に赤ずきんの肉付きを確かめる狼そのものだが、今は周囲の視線など全く気にならなかった。
 とにかく大河の無事、大河の安全、大河の体調だ。
 小さな畳の擦れ跡ひとつ見逃さない。
「りゅ、竜児……大丈夫だよ。」
「おう。」
「えへへ、やっちゃった。
 っていうか、その。ご、ごめ……っ」
「いいから、ちょっと待ってろな。」
 一通り無事を確認すると、竜児はくるりと踵を返した。

 ひっそりこの場を去ろうとしていた男の目の前で、襖をぴしゃりと閉める。
「!?……な、なんだ、今度はお前が相手か?」
「いえ、少し話があるだけです。」
「オレにはねえよ。なに、示談金でもくれんのか。」
 名乗った時とは裏腹の、ずいぶん粗暴な態度である。
 見ろよこの痣、お前の女は酔拳使いだ、などとおどけるのを、竜児は黙って聞き流した。

299 :19 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:09:02.92 ID:HQRDtodoO
「恥をかかされたのはこっちだぞ、わかってんのか?」
「こんな騒ぎにな目から障気が噴き出してた、あの時あの部屋にいた人間は、きっと全員呪われたよ、と。

「大河になにかあってみろ。」
 自分でも驚くほど低い声が出る。
「……俺は、あんたを、許さねえ。」
 訴えられようが殴られようが、これだけは言っておかねばならない。
 おのれの顔面の威力も忘れ、竜児はずいっと額を寄せた。
 新種のエイリアンが喉笛に噛みついたように見えたのだろう。どこかで小さく悲鳴が上がる。
「……、聞いてるのか?」
「………………。」
「おい、……あの、先輩?」
 思わず普段の口調に戻って、竜児が肩に触れた瞬間、相手の体がずるりとその場にくずおれる。
「え? ……ちょ、あれ?」

「……気絶してる。」
 駆け寄ってきて横から覗き込んだ大河が、呆れたように肩をすくめた。



          # # #



「ぬぁーにが『命にかかわる』よ。」
 竜児の背中でぶらぶらと足を揺らし、大河の苦笑が夜道に響く。
「お酒はそんなに問題ないって知ってるくせに。」
「あのくらい言っといたほうがいいんだよ。
 後でまたイチャモンつけられちゃかなわねえしな。」
 駅から家までの短い距離をてくてく歩きながら、竜児はよいしょ、とヤンチャな雌虎を背負いなおした。
「それにしてもさ、まさか気絶しちゃうなんてね。」
「……言うなよ。気にしてるんだから。」
「あんたの啖呵、美人局の元締めのようだったわ。」
 ぷくく、と耐え切れないように笑う恋人に、もはや反論する気力もない。

 クラスコンパはあれから二次会に突入し、ずいぶん盛り上がった──幸い、本性を晒した大河は大いにウケて、記念撮影で引っ張りだこになっていた。
 もちろん、隣に竜児がぴったり張り付いていたのは言うまでもない。
 今までの鬱憤を晴らすように飲み食いして調子を取り戻した大河は、最後のほうでは黒歴史の「手乗りタイガー伝説」を、自ら披露して笑いを取っていた。

「お前こそいいのか? あんなに色々ぶっちゃけちまって……。
 それになんだよあの手乗りタイガーのテーマってのは。初耳だぞ」
「即興よ即興。続きはね、えーっと。
 ♪闇を切り裂いて〜宙を舞うフリルぅ〜」
「♪はぁーヨイヨイ。」
 適当な歌詞に適当な合いの手を入れ、二人してクスクスと笑いあう。芯から冷えるような冬の夜道に、ここだけはホカホカと暖かかった。

300 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:10:50.26 ID:HQRDtodoO
↑ちょww手打ちミスったw
すんません、19もう一回投下しますorz

301 :19 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:14:00.34 ID:HQRDtodoO
「恥をかかされたのはこっちだぞ、わかってんのか?」
「こんな騒ぎになったことは謝ります。……ただ、」
 言葉を切って、唇を湿す。
 その減らない口をもぎ取ってホルマリンに漬けてやろう。という仕草に見えるが、慎重に言葉を選んでいるのだ。
「大河にずいぶん飲ませたと聞きました。
 あいつがろくに飲めない理由、最初に説明しましたよね。」
「ああ? 覚えてねえよそんなもん。」
「アレルギー体質で、下手すりゃ命にかかわることも──」
「知ったこっちゃねえって言ってんだろ!」
「今さら知らなかったじゃすまねえよ。」

 その瞬間、魔界の扉が開いた──と後に大河は述懐する。
 あんたの両目から障気が噴き出してた、あの時あの部屋にいた人間は、きっと全員呪われたよ、と。

「大河になにかあってみろ。」
 自分でも驚くほど低い声が出る。
「……俺は、あんたを、許さねえ。」
 訴えられようが殴られようが、これだけは言っておかねばならない。
 おのれの顔面の威力も忘れ、竜児はずいっと額を寄せた。
 新種のエイリアンが喉笛に噛みついたように見えたのだろう。どこかで小さく悲鳴が上がる。
「……、聞いてるのか?」
「………………。」
「おい、……あの、先輩?」
 思わず普段の口調に戻って、竜児が肩に触れた瞬間、相手の体がずるりとその場にくずおれる。
「え? ……ちょ、あれ?」

「……気絶してる。」
 駆け寄ってきて横から覗き込んだ大河が、呆れたように肩をすくめた。





302 :20 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:18:27.59 ID:HQRDtodoO
          # # #


「ぬぁーにが『命にかかわる』よ。」
 竜児の背中でぶらぶらと足を揺らし、大河の苦笑が夜道に響く。
「お酒はそんなに問題ないって知ってるくせに。」
「あのくらい言っといたほうがいいんだよ。
 後でまたイチャモンつけられちゃかなわねえしな。」
 駅から家までの短い距離をてくてく歩きながら、竜児はよいしょ、とヤンチャな雌虎を背負いなおした。
「それにしてもさ、まさか気絶しちゃうなんてね。」
「……言うなよ。気にしてるんだから。」
「あんたの啖呵、美人局の元締めのようだったわ。」
 ぷくく、と耐え切れないように笑う恋人に、もはや反論する気力もない。

 クラスコンパはあれから二次会に突入し、ずいぶん盛り上がった──幸い、本性を晒した大河は大いにウケて、記念撮影で引っ張りだこになっていた。
 もちろん、隣に竜児がぴったり張り付いていたのは言うまでもない。
 今までの鬱憤を晴らすように飲み食いして調子を取り戻した大河は、最後のほうでは黒歴史の「手乗りタイガー伝説」を、自ら披露して笑いを取っていた。

「お前こそいいのか? あんなに色々ぶっちゃけちまって……。
 それになんだよあの手乗りタイガーのテーマってのは。初耳だぞ」
「即興よ即興。続きはね、えーっと。
 ♪闇を切り裂いて〜宙を舞うフリルぅ〜」
「♪はぁーヨイヨイ。」
 適当な歌詞に適当な合いの手を入れ、二人してクスクスと笑いあう。芯から冷えるような冬の夜道に、ここだけはホカホカと暖かかった。
 あの角を曲がれば、もうすぐ二人の愛の巣だ。
「気分は悪くねえか? 少しでも変ならすぐ言えよ?」
「平気だってば。勧められたお酒は、ほとんど飲むふりしてただけだから」
「じゃあお前、シラフであんな大立ち回りしたのかよ?
 おおう……改めてすげえな。」
 うんせっ、とまた背中の恋人をずり上げて、竜児が数歩たたらを踏む。
 その首筋にぎゅっと腕を回し、大河は冷えたほっぺたをこすりつけた。

「……ねえ、竜児。竜児はすごく優しいね。なんだか怖いくらい。」
「神田川か、縁起でもねえ」
「♪赤い〜マフラー手ぬぐいにして〜」
「ぬぐえねえよ。逆だ逆。
 それに、俺なら銭湯でお前を待たせるもんか。」
 ──むしろ俺が冷えっ冷えのキンキンになるまでお前は出てこねえ。
 そんな軽口を叩いて、耳たぶをがぶがぶ噛られる。
「いてて、痛ぇよ大河! 落っことすぞ。」


303 :21 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:22:14.74 ID:HQRDtodoO
「……なんで怒らないの?」
「なにが。」
「その……暴れたこと。」
「そりゃ、無茶するんじゃねえ! って怒鳴りたい気持ちはあるけどよ。」
 そら着いたぞ降りろ、と言うと、上までおぶってとしがみつかれ、アパートの階段をえっちらおっちら登りだす。
「そもそも俺が不甲斐ねえからああなったんじゃねえか。
 初対面の奴らの中にお前を放置したまま、うっかり飲み過ぎちまって……。」
 おまけに最愛の嫁がセクハラされているまさにその時、自分は何をしていたかといえば──居酒屋の便器を磨いていたのだ。あと、余所の可愛い子に告白されていた。
 あんまりといえばあんまりである。
「違うよ竜児、私見てたの。あいつ、酎ハイにこっそり焼酎足してあんたに飲ませてたのよ。もちろん私にもね。
 最初から酔い潰すつもりで、だから──」
「言い訳にならねえ。」
 ぴしゃりとそう言い切って、同時に足を止める。ポケットの鍵を探るも、大河の脚が邪魔で届かない。
「大河、」
「──ん。」
 以心伝心、差し出された大河の鍵で開けると、二人はもつれるようにして玄関口に倒れこんだ。

「ぷっはー!」
「どひゃー!」
「疲れたね!」
「疲れたな!」
「でも楽しかった!」
「そりゃ良かった。」
 冷たい廊下に折り重なったまま、しばしぬくもりを伝えあう。
「──ねえ、竜児。」
「うん?」
「すっっ……ごく、恥ずかしかったし、びっくりしたけど。
 ……宇宙一って言ってくれて、ありがとう。」
「おう。」
「それで、……それでね、」
 小さな小さな囁きは、言い終わらないうちに胸元に埋まって消える。
「結局ぶち壊しちゃって、ごめん……。」

 ──妙に空元気だと思ったら、ずっとそんなことを考えてたのか。

「……大河。」
 目を合わせようとすると、大河はいやいやと首を振って、ますます胸に押し付けてきた。
「大河。たーいーが。」
「やっ。」
「やじゃねーよ。顔見せろ。」
「だって、あんたの友達の前で……、」
「俺のメンツが潰れたと思ってんのか。」
「…………。」
「ばーか。」
 小柄な身体をしっかり抱いて上半身を起こす。
 冷えたつむじにちゅっと唇を落とすと、小さく洟を啜る音がした。
「……なんで泣くんだよ。」
「……私……、服も、頑張って……っ、
 竜児には彼女がいるんだ、って、ちゃんと、み、見せ、たくてっ……」
「おう。みんな驚いてたぞ。」


304 :22 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:30:05.32 ID:HQRDtodoO
「へ、変な虫がつ、つかないように、って……」
「効果抜群だったと思うぞ。」
 例の黒髪の彼女は結局、二次会へは来なかった。いつか新しい誰かが見つかるようにと願う。
 そう、自分にとっての大河のような相手が。
「なのに……、ついカッとしちゃって……」
「計画性のない犯行だったわけか。」
「茶化さないでよう。」
 えぐっ、としゃくりあげて、大河はまだ顔を上げない。
 ──やっぱり少し酔ってるんだな、と竜児は独りごちた。普段ならここまでマイナス思考にはならないはずだ。
 だけど、これが大河の本音なのも確かだろう。
「大河、こっち見ろ。」
「…………。」
「見ろって。」
 強引に顎を持ち上げると、有無を言わさずぶちゅっ、と口づける。
「──ぷは。……ひっでぇ顔。鼻水でしょっぺえ。」
「ううー。」
 ようやく現れた大河の瞳を、綺麗なアーモンド型にたっぷりと涙を湛え、端からぽろぽろとこぼしているそれを、竜児はとてもうつくしいと思った。
 こんなにも強くて、弱くて、意地っ張りで、うつくしいいきものが──竜児の腕のなかで、彼のことが好きだと泣いているのだ。

「俺は……。宇宙一幸せな男だな……。」

「な、なによ急に。気持ち悪い。」
 二人を繋いでいた鼻水の(!)糸を恥ずかしそうに指で払って、大河がまたひと粒涙をこぼす。
「そしてお前は。……その幸せな男の、宇宙一の嫁さんだ。」
「もー! そういうの、いいってば。」
「いいやよくねえ。お前には宇宙一としての自覚が足りねえ。」
「……はあ?」
 あんた、頭がおかしくなっちゃったんじゃないの。ようやく憎まれ口が戻ってきた大河の濡れた頬を、手のひらでそっと拭う。
 その泣き顔に、真っ赤になった鼻の頭に。胸元を掴んだままの華奢な手に。どうしようもなく熱情が吹き上がる。
「──おう、こりゃ大変だ。涙で冷えて風邪引いちまう。」
「ええ?」
「こんなときは風呂だ。風呂しかねえ。
 よし、風呂に入ろう!」
 反動をつけて立ち上がると、落ちまいと慌ててしがみついてくるのをいいことに、さっさと脱衣場に連れ込む。
「ちょ、……竜児!? え、一緒に?
 っていうか、お湯がぜんぜん溜まってな──」
「先に体を洗えばいいだろ。洗いっこしようぜ大河。要するにだ、それまで裸でイチャイチャしようぜ!」
 どーん。


305 :23 ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 02:33:55.68 ID:HQRDtodoO
 どうよ、とばかりに胸を張った竜児の腕から無言で抜け出すと、ため息をひとつつき。大河は粛々と服を脱ぎ始めた。
「……。
 な、なんだよ。発情犬!とか、エロ駄犬!とか、言わねえのな。」
「……いや、なんていうか……、そこまで堂々とサカられると、罵倒する気も失せるわ……」
「それはそれで、ちょっと物足りねえような。」
「なに、あんたやっぱりMのケがあるの。」
「ねえよ!ねえけどよ。てかやっぱりって何だよっ」
 そんなことをうだうだ言い合いながら、お互いの服に手をかける。
 宇宙一幸せな男とその宇宙一の嫁は、まごうことなく宇宙一のバカップルなのであった。

 この時のイチャイチャが原因で、後日二人揃って風邪を引き、亜美にさんざんからかわれることになるのだが──
 宇宙一というのも因果なものである。




           〈宇宙スペースナンバーワン!〉〜終〜

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 02:49:04.86 ID:ad+KSBjj0
>>305
うおー、ナンバーワン投下乙っす! 手打ちミス? んなこた、気にしねぇ!
竜児カッケーっす。掘られたいくらいw
大河、いいなぁ、静と動の切り替わり、こうでなくっちゃ。
鼻水の糸、とか、2人の感情のぶつかりあいの描写がリアルでいいなぁ。
風邪引いてても2人でイチャイチャしてろ! (裸でな)

ホント、楽しくて、しみじみとできるいい話でした。

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 05:08:24.98 ID:ddpfT3eA0
ナンバーワンすごい楽しみにしてました。
やっぱり大河に竜児最高ですね。
このイチャイチャ感がたまらないです^^

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 07:01:05.55 ID:E0JjEgVI0
ナイーブな空気感で行くのかと思わせてサソリ固めたあ、とんだ虎だったw
せっかく猫かぶっていったのにその怒りやら気落ちはいかばかりかですね。
まあ酔っての風呂は気を付けてなwww
乙でした。

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 15:58:16.34 ID:usAeWz6g0
三題噺氏の>>284を元に描きました。
突貫で仕上げたので粗いですがお許しを
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1678870.jpg

あーみんのゴスロリと聞いて連想したのは何故かうみねこのベアトリーチェだった
あと、北村の裸サンタを見る度フレディ・マーキュリーを思い出すのは俺だけでいいはず

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 18:44:01.56 ID:E0JjEgVI0
>>309
ナイスだ!
奈々子様だけこの集団に入って後悔しているような表情が素晴らしい!
ていうか、半裸サスペンダ筋肉男はフレディで同意です。
あと、このあーみんはどう見ても腐った水銀燈ではなかろうか。ジャンク!

311 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/03(金) 21:52:42.73 ID:HQRDtodoO
連投規制とけたー

泣き顔に興奮することもあるよね、っつーオチでしたw
人物の名前を出さないようにするのに苦労したっす。“先輩”ワルモノにしてすまねぇw
レスくれたみなさんありがとうございます!読みながら2828しました。すげー励みになりました。
まとめ人さまいつもお世話になってます!

>>277
大河はナニをセットアップするつもりなのかw
イチャイチャちゅっちゅたまりませんなー付き合いだして一番楽しい時期だろうなムハー

>>284
竜虎に反応すべきなのにw
みのりんの「ベントーベンがショッパン食って、ヘンデル屁ん出るバッハっはー!」だけで三杯飯が食えるwww乙です!

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/03(金) 22:21:23.63 ID:HQRDtodoO
>>309
イラストにおこせるってSugeeee
大河はもちろん実乃梨がおいしいっすなぁwwフレディには自分も同意ですw

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/04(土) 00:03:26.82 ID:HQRDtodoO
連レスすみません、>>311は架空の人物の固有名を出さないようにしたって話で、モデルなどはいません。念のため。

>>306
鼻水ほめてもらえて超嬉しいっす

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/04(土) 01:14:58.40 ID:FdlPuJ5w0
>>305
GJがいくつあっても足らない!本当にGJ!
堂々と真っ直ぐな竜児かっけぇ、豪快であり可憐でもある大河愛らしい、
幸福感あふれる竜虎で大好きです。
本編の先に、こんな一日もあるんだろうなと思わせられる。
思わず吹き出すネタが挟まるのも絶妙でw
この後は先に完治したほうのイチャイチャ看病ですね。大河が竜児を、に一票入れておこうw
完結、乙でした!

>>309
イラスト化キター
竜児が予想外に似合っててびっくりだ…!

315 : ◆Eby4Hm2ero :2011/06/05(日) 05:55:21.67 ID:8tpqCosc0
>>309
まさかのイラスト化! GJ!
ありがとうございます!

316 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/05(日) 05:57:17.45 ID:8tpqCosc0
お題 「やめた」「男」「闇」



 宵闇がせまる公園で、小柄な少女の前に立つサングラスにマスクの男。
「へっへっへ、おじょーちゃんかわいいねえ。ちょっとおにーさんとあそばないかい?」
 あからさまに怪しい台詞に少女は怯えた表情をうかべ、後ずさること数歩。
 男のにじり寄る速度はそれより僅かに速く、その手が少女の肩にかかった瞬間。
「いやーっ!」ぼずん!
 叫びと共に放たれた右ストレートを鳩尾に食い込ませ、男は声も出せずにその場に崩れ落ちる。
「……あ」
 呆然と自分の拳を見つめる少女。
「…………『あ』じゃねえ……」
 よろよろと立ち上がる男。外れたサングラスの下から現れたのは、少女を射殺さんばかりの鋭い眼差し。
「本気で反撃するとか、聞いてねえぞ、俺は……」
 その実、中身は人畜無害の権化たる高須竜児なのであった。

「まったく、変質者に絡まれてる所を北村に助けてもらう作戦の練習じゃなかったのかよ。大河が自分で撃退しちまったら意味ねえじゃねえか」
「竜児の変質者っぷりがあまりに真に迫ってたから、思わず手が出ちゃったのよ。あんた素質あるわー」
「……嬉しくねえよ。ともかく、もう一度最初からな」
「んー……やめた」
「何!?」
「考えたらちょうどいいタイミングで北村君が通りかかるとは限らないし、待ち伏せしてやったら不自然になってバレるかもしれないし」
「……そーゆーことは最初に考えろ」
「なによ、竜児だって気づかなかったじゃない」
「そりゃそうだが……しかたねえ、帰るか」
「あ、その前にちょっとジュース買ってきて。喉渇いちゃった」


「!」
 2本のジュースを手に戻ってくれば、ベンチに座った大河の前にマスク姿の男が立っていて。
「大河!」
 思わず駆け出す竜児。
「てめえ、何してやがる!」
 叫び声に振り向く二人。竜児を見たとたん、踵を返して逃げ出す男。
 一瞬追いかけようかとも思ったが、今はそれより大事な事が。
「大河、大丈夫か!? 変な事とかされてねえか!?」
「……あんた、ひどい奴ねー」
「へ?」
「道を聞いてただけの人を、悪鬼の形相で追い払っちゃうなんて」
「え? だって、マスク……」
「風邪ひいてるみたいだったわよ」
「お、おう……そうだったのか……」
 追いかけて謝ろうにも、もはや男の姿は影も形も無く。
「……なんてこった」
 後悔と罪の意識でがっくりと肩を落とす竜児に、しかし大河は微笑んで。
「でもまあ、勘違いとはいえ私を守ろうとしてくれたのよね。ありがと竜児」
「……おう」
 と、その笑みが『ニコリ』から『ニヤリ』に変化する。
「これからもその調子で、しっかりと犬の務めを果たすように」
「……大河、おまえなあ……」

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/05(日) 09:08:06.39 ID:GRgcYCLV0
>>316
まぁ、果たすんだけどね(w

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/05(日) 09:39:10.62 ID:lBUYd/P90
北村攻略戦の時期にしてすでにバカップルの片鱗が見えるとこ乙っす。
逡巡せず荒事に及ぼうとした竜児からはいかに変質者気分になりきっていたかが伝わりますw
しかも罵倒でなく礼を言う大河たまらんw

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/05(日) 22:57:42.88 ID:RoWjWzBOO
>>316
大河のために通報されるリスクを負う竜児はえらいな。フリでもその格好はヤバイww
それに大河に駆け寄るところは頼もしい。乙です!

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/06(月) 06:49:29.15 ID:tjxFIfte0
              /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /:::::::::::::::::} ::::::::::::::::::::::::::::::::トゝ
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          ノイ:::::::::/厶トハ:::::::::/厶」::::|:ト|
           | lヘ /V-。ミヽ:ハ //。--}ハN
           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' |リ
            {ヘハ :::::    }   ::::: l'
              }:.、   、    ,   ,′
               N个 、  ̄   イl
              r<|   > < |‐- 、
              |  `ー‐┐ r‐'~ ̄}    _
             ,.人__    {  }  _ L 、 /´: : :\
           /     ̄`  く_ノ '´ , < {__: : : : : : ヽ
      _ .. -<           ○  /r :⌒: : : \⌒ヽ : : :\    もう離さねえからな
    r‐'                  { /: : : :i: : : : : : : : : :\:: : :}
   .}  ∧               |/: : : ,: :|: : : : : : : : : : : : : : {       望むところよ
   |   ∧   !          /: : ::/厶|_: : : :∧:ヽ : , : : : :.|
   |     ヘ  |          }: :|: W=、|: ! : :|⌒V、: }: : ! : |
   |      '  i          (_|: : !{"芹代ィ: : {ィ示ミy: : ::| : |
   |      } }  ,          {: .:r.{l ヾ= ' \jゞツY: : |: :| : |
   |      リ/          .∧: |: :ゝ:::::  '  :::::∠ イ: |: :} : |
    }      |          /: :.V ::::>  ` '  , イ l}:ノレ: : :ヽ
    |  :.    |          /:/: : : .:::,:⊥| `¨ {_:::::. : : : : : : : 八
    |   \  |          /::ル--っ: \〈    ノ`):: : r‐ 、: : : : : :、
    |    \人        /:// 二つミ: :r)ヘ ∠//7フ7二ヽ:_: : : ::\
    |   __` }       〃/ ,仁二) )乂ミl彡': : {  _ト┬ } ∨:::ト、: \
    | / ――L____ ノ// / r―'’v: : ゝV (: : : |三彡} と |  }: :| 〉: : }
   〔            //¨{  /  y _)ノY_入_/ Vh  ハ | l ∧ ∨: : /
     ト           /:′ !  }  |    厂「 } {]l    ',|./ /  }: : : /
    |          /: |  |___/|  l   , ′ | '、 ̄ !     }|_/ /: : :(
    `ー‐---=≧_(|: :{_O| /: :|  ! /   ,j  ', ∧   ハ: }/: : : : : :}
       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/
       |       `〜、l : : '  } |i  / ∨   〉∧____/: : : : :(
       }         ノ: : :{  ′{_/   ∨./   {ハ: : : : ∧: : : :>
       /        <__人:|  |            }ノ: : ィ(  `¨´

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/06(月) 07:47:18.84 ID:UV/ZL+u10
お、AA作ってくれたんだ?GJ!
サイズ的に>>1用ってわけにはいかないかな?

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/06(月) 21:03:16.40 ID:YSFHpez4O
>>320
これは素晴らすぃ!ありがとう!!
投下も増えるしレスも増えるし、新作AAまで…
アニメスタイル効果はばつぐんだ

323 :24スレもあると既出じゃないかとは思うんだ:2011/06/06(月) 23:07:13.81 ID:CtGxqTnn0

おやつの時間。

「なあなあ大河ー?あの侮蔑……ってのかな?汚いものを見るような目で見てくんねえ?」
「な?なんでよ?」
「落差っていうのか、今そう見られたらどんな思いがするのか知りてえ」
「……こうかな?ふんっ!」
「あんまり変わんないな?なんか可愛いばっかりで」
「そ、そう?ふ、へへへ」
「こう、見透かされてぐさーーっとくる感じが全然ねえな」
「もうどんな顔して睨んだのか思い出せないよ」
「そうか。無理か」
「そんなに見たければ、そうね?あんたどっかで浮気してみれば?」
「何でだ?なんでそうなる?ん……そうするとどんな顔するんだ?」
「ちょっとイメトレしてみるね……うー……え?」
「お、なんかそんなふうな感じになってきた」
「あんたって……最っ低!」
「来たーっ!ぞくぞく来たっ!なんかお前に何されても悔いはねえ感じ!」
「なに言ってんだか……まあこんなもんよ」
「ちなみに俺が誰と浮気すると思うとそんな顔すんだ?」
「そんなの内緒に決まってるじゃん。バカ?」
「おう……まあ。そうだよな」
「ふう……やきもちは簡単に妬けるけど。あんたを侮蔑するのはもう無理だわ」
「そうだな。俺たち完っ璧に愛しあってるもんな!」
「そうそう。はぁ〜エネルギー使ったら甘いものが欲しくなるわ。冷蔵庫のプリン食べよーっと」
「……」
「ないんだけど。あんたしらない?」
「お、おう。けさ食べちゃった」
「あんたって……最っ低ね!」
「うわ!また来たよ!ぞくぞく来たっ!」
「あれ?なんだろ。プリンと浮気が等価ってこと?」
「それはちょっと女としてどうなんだろうな……お、どうでもいいけど最中ならあるぜ?」
「お茶いれて。くち乾くから」
「おう」

「今日は暇ねー」
「そうだな……ほんとにくち乾くもんだな。あっまい」
「……う、うん。甘いね」
「……甘いよな」
「お茶も……欲しいな」
「おう……」
「もう一回……甘くてもいいかも」
「きりがねえな」
「最中なくなったら買いに行こうか?」
「何を?」
「ぽ、ポッキー」

人間、時には初心に帰ってみるのもいい。


324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/06(月) 23:25:30.71 ID:UgoXldt20
>>320
大河超可愛い
欲を言うと竜児の頭部がなんか・・・

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/07(火) 06:00:15.48 ID:OQrXDy0E0
まぁ少し人から造られたような感じはするよね

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/07(火) 23:24:24.67 ID:5RIR6aaV0
>>323
侮蔑の目で見られてぞくぞくとかエムやなw

>>320
ああああああかわえええええええ(*´д`*)

こういうのAAの保管庫に収録してもらえんの?

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/07(火) 23:31:25.55 ID:yFA3LC3Z0
>>320
おお、すげー。GJっす。
早速まとめ人さんが、まとめサイトのトップに掲げてくださっているぜ!

>>323
竜児のキャラが…w
大河は、竜児の浮気相手として誰を想像してたんだろうな?
あーみんは普通すぎるし、みのりんはシャレにならんから、奈々子様あたりが妥当? 以外な所でさくらとか?
あ、後ろ二人は巨乳… うわなにsるごめんなさ…

328 :短編SS ◆1JnuILQrgF35 :2011/06/07(火) 23:46:02.45 ID:WHL1IsD70
「私もう寝るけど竜児は?」
「部屋片付け終わってからな」
「寝込み襲わないでよね」
「おう…てお前が言う事か?」
「あ、あの時はラブレター持って帰られたんだから仕方ないでしょ」
「んじゃ俺も仕方ないな、大河の寝込み襲おうかな」
「な、何が仕方ないのよ」
「こんなに可愛い女の子が無防備に寝てたら襲いたくもなるだろ」
「///」

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/07(火) 23:53:30.29 ID:qKre2wo50
「こんなに可愛い女の子が無防備に寝てたら襲いたくもなるだろ///」
「///」

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 00:39:12.14 ID:wMec+r5UO
大事なことだから二回言ったんだな、わかるぞw

>>328
新婚さんか…新婚さん竜虎は良いものだ…
竜児はきっと高校時代を思いつつ言ったに違いない
あの時感じた罪悪感のようなムラムラを堂々とぶつければいいよw

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 01:01:48.56 ID:Uez1OhFc0
いや、竜児がそんな小っ恥ずかしい冗談を真顔で言えるかなと思ってw

332 :短編SS ◆1JnuILQrgF35 :2011/06/08(水) 01:07:36.09 ID:ZDrKU+SZ0
確かにその方がいいなw

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 02:02:40.49 ID:wUF4Z25B0
以下に「シンデレラなんかになりたくない」の続きを投下します。
4レスくらい、短めですけど、書ける内に書いてしまえと…

では、いきます。

334 : ◆x6jzI2BeLw :2011/06/08(水) 02:11:55.31 ID:wUF4Z25B0
…行けない^^;

忍法帖って文字数も制限するのか(汗
ROMってばかりいるとこれだ…

この分は避難所に投下します。


335 :代理:2011/06/08(水) 03:30:34.98 ID:USddTypo0
612 名前:シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 02:16:14 ID:???

「メリークリスマス!!パンパン」
竜児が携帯電話に出るや否や、テンションの高い大河の声が返って来る。
「いきなり何だ?」
思わず携帯から耳を離した竜児はそう大河に問う。
「鈍いわね。楽しい、楽しいクリスマスに決まってるじゃない」
ちなみにパンパンはクラッカーの音だと大河は付け加えた。
「竜児、クリスマスのおめでとうは?」
「ああ、メリークリスマス」
大河に催促され、竜児はしぶしぶと言った感じで答える。
「何よ・・・その盛り下がったクリスマスは」
「仕方ねえだろ・・・おまえと一緒じゃねえんだから」
ぐじぐじという感じで竜児は現況を嘆く。
世間一般ではクリスマスと言う一大イベントで高揚していると言うのに、共に祝いたい相手は遥か彼方にいる。
竜児じゃなくても気分が落ち込むと言うもの。
「せっかくのイベント、そんな気分じゃ楽しくないよ」
盛り上がって行こうとあくまでもハイテンションを維持する大河。
そんな大河の声を聞いているうち、竜児も少しずつテンションが上って来るから、気分とは伝染する物なのかもしれない。


「ちゃんと用意した?」
「ああ、ばっちりだ」
そう答えた竜児の前にはクリスマスケーキを始めとしてごちそうが並ぶ。
そして電話を掛けている大河の側もまったく同じ構図が展開されていた。
「じゃ、行くわよ、竜児?」
「おう」
電話越しにお互い、グラスに注ぐコポコポと言う水音を聞く。
竜児はふたつあるグラスにシャンパンを等分に注いでいた。
大河も同じ様に目の前にあるグラスと、その向こうに置かれたグラスへシャンパンを注ぐ。
「それでは・・・かんぱ〜い」
大河はグラスを宙へ持ち上げる。
「かんぱい」
竜児も1000キロ離れた場所で大河と同じポーズをする。
竜児も大河も自分が持つグラスを目の前に置いたもうひとつのグラスに軽く触れさせた。
カチンと言う甲高い音がほぼ同時に聞こえ、お互いに相手が今していることを知る。

コク・・・コク・・・。
ゴクン・・・ゴク、ゴク・・・。

のどを通るシャンパンの音が大河にも聞こえ、竜児にも聞こえた。
その瞬間、ふたりは同時に相手の姿を目の前に思い浮かべる。
例え体は離れていても、確かにこの時間、心は相手の部屋にあった。

「・・・ふう・・・げっぷ」
「竜児・・・ムード台無し・・・うぷ」
「大河こそな」
炭酸入り飲料の一気飲みで、げっぷを漏らすふたり。

336 :代理:2011/06/08(水) 03:32:52.25 ID:USddTypo0
613 名前:シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 02:16:52 ID:???

クリスマスパーティをしよう。
そう言い出したのは大河だった。

「思えば・・・あんたとまともなクリスマス・・・過ごしてないのよね」
「ああ、確かにな」
「鳥どーんのはずが、竜児ってばインフルエンザで倒れるし」
「し、仕方ねえだろ、かかっちまったもんは」
お互いに笑い話にしているが、お互い心の中で別のことを思っていた。

大河がいないって気が付いて、大橋高校主催のクリスマスパーティを抜け出した竜児。
着ぐるみ姿になって大河の部屋を訪れて、そしてそのまま、大河に送り出されて櫛枝実乃梨の元へ駆け出してしまったあの時。
今、思い返せばどんな気持ちで大河は居たのだろうと竜児は悔悟の念が胸を過ぎるのを止められない。

これでいいんだと竜児を見送った大河。
でも、心は安堵とほど遠くて、どれだけ待っても安寧はやって来なかった。
それどころか、湧き上がる感情の奔流に大河は揺さぶられた。
そして、気が付けば竜児の名前を叫びながら駆け出していた。
あの時ほど、掴み取りたい物が掴み取れないもどかしさに身を焼かれたことはなかったと大河は記憶の断片をなぞる。


だから、今年こそは素敵なパーティを・・・と言うわけでごちそうを持ち寄り、それぞれ自分の部屋でケーキなどを突付いているのである。
「今、部屋の中を誰かにのぞかれたら、寂しい風景に見えるだろうな」
竜児が苦笑いしながら言う。
「・・・それは言わない約束」
大河も自覚があるだけに、ふたりでしている行為が寂しい部類に入ることを認めざるを得ない。
一人ぼっちでケーキを食べている光景なんて・・・人に見られたいもんじゃないと大河は思う。
だけど、そんなものでも大河はしたかったのだ。
竜児とてそれが分かっているから、大河の提案を拒んだりしなかった。

「ホントは竜児が作った物・・・食べたかった」
ローストチキンにフォークを突き刺し、大河は言う。
「おう、ここにあるぜ」
竜児の前に並ぶ料理の量は明らかに一人前を越えていた。
いないはずの大河の分も竜児はしっかり作っていたのだ。
「・・・竜児」
食べられないでしょ・・・と文句を付けられると竜児は思ったのだが、大河は違うことを伝えて来た。
「食べさせて」
「お、おう」
「何があるの?」
「何でもあるぞ」
「じゃ、チキンナゲットちょうだい」
「ああ、待ってろ」
竜児はお皿からチキンナゲットをスティックで突き刺し、そっと目の前の空中にかざす。
「ほら、ナゲット」
口を開けろと言う竜児の声に大河は「あ〜ん」と言いながら小さく口を開けた。
「味はどうだ?」
「ん・・・ちょっと塩味が足んない」
大河が口にしたのはローストチキンだったが、大河の舌には竜児が作ったナゲットの味が広がっていた。

337 :代理:2011/06/08(水) 03:35:45.18 ID:USddTypo0
614 名前:シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 02:17:37 ID:???


「そうだ、荷物着いたか?」
「うん、昨日」
「サイズとか、大丈夫だったか?」
「ぴったり」
「なら、良かった」

昨日、学校から帰宅した大河は竜児から宅配便が来ていると知らされ、うがいもしないで部屋に駆け込んでいた。
調味料の空き箱を利用した入れ物が大河には宝箱に見えた。
竜児らしく几帳面に梱包された箱を空けると中から出て来たのは手編みのセーターだった。
大河はそれを取り出すと、衝動的に胸元で抱き締めていた。
まるでセーターが竜児であるかのように頬を寄せ、大河は目を閉じる。
・・・竜児。
ベッドの縁に背中を預け、大河はセーターをぎゅと抱いて、しばらくそのままの姿勢で動かなかった。

「普通、逆でしょ」
大河としてはそう言うしかない。
「そうか、俺は気にしないぞ」
「私は気にするの」
彼氏に手編みのセーターを贈られる彼女ってどうよと大河はもう笑うしかないのだが、素直に感謝の気持ちは竜児へ伝える。
「ありがと、竜児・・・大事に着るね」
そう言った大河は今もそのセーターを着ているのだ、わざわざ部屋の暖房温度を下げて・・・。

「大河からのプレゼントももらったぜ」
「あいにく、手編みじゃないけどね」
「暖かそうな手袋じゃないか・・・大河が選んだんだろ、これ?」
「そうよ・・・時間が無くて適当に選んじゃったけど」
「これなら、手が凍えないで済むな・・・ありがとな、大河」
「・・・うん」

良かった・・・気に入ってもらえてと大河は胸を撫で下ろす。
竜児には適当に選んだと言ったものの、本当はお店を何軒も回って決めた物だった。
プレゼント用と聞いてラッピングしますかと言うお店の勧めを断って大河はそのまま手袋を持ち帰った。
自分の手の平よりふたまわり大きいサイズの手袋。
大河はそれを手にはめて、両手で自分の頬にそっと触れた。
そうするとまるで竜児の手が伸びて来ている様な錯覚に大河は襲われる。
そのまま大河は両手を頬から下げると胸元で交差させた。
ふっと小さな息を漏らした大河。
やがて大河は自分の腕に力を入れ、自分で自分を思いっきり抱き締めた。

そんな大河はひとつだけ竜児に内緒にしていることがある。
竜児へ贈ったクリスマスプレゼントの手袋がペアルックだと言うことを・・・。

338 :代理:2011/06/08(水) 03:39:22.17 ID:USddTypo0
615 名前:シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 02:18:42 ID:???


「まだ、大事に持ってるよ、竜児のセーター」
「いい加減、ぼろぼろじゃねえのかよ」
「ちょっとほつれてるけどね」
「そう言えば俺もあるな・・・大河からもらった手袋」
「・・・少しは練習したから・・・今度手編みにチャレンジしてみる」
「大河がくれる物なら何でも嬉しいぜ」
「竜児、さっきから口数が多い・・・」
「そういう大河こそ」
「・・・き、緊張してるのよ」
「いよいよ・・・だもんな」
ドレス姿の大河は少しだけ固い表情で竜児を見る。
「・・・竜児」

式場の係員がスタンバイOKと伝えて来る。

「大河・・・深呼吸」
そんな大河に竜児は落ち着けとアドバイスする。
「うん・・・すう〜すう〜すう〜・・・うぎゅ」
「息、吸い過ぎだ、ドジ」
吸い込み過ぎた息をゲホゲホと言いながら大河は吐き出す。
「あ〜もう」
この大事な席で何やってんだろと大河は自分の頭をポカリと小突く。
「でも、リラックス出来たじゃねえか」
「あれ?ホントだ」
さっきからバクバク言い出していた心臓の鼓動が落ち着いて居る事に大河は気が付いた。

・・・高須様、どうぞ。

タイミングよく、ゴーサインが出る。
ガチャと音を立てて木製の扉が大きく開け放たれる。
一歩、踏み出した大河と竜児にきらめく陽光が降り注ぐ。
建物の階でまぶしさに大河と竜児は立ち止まる。
スピーカーを通して聞こえて来る司会進行の川嶋亜美の声。

・・・新郎、新婦の入場です。みなさま、拍手でお迎え下さい。

パチパチと手を叩く音が前方から竜児と大河へ届く。

「行こう」
「うん」
竜児の声に大河は小さくうなづくと手を竜児へ伸ばした。
竜児はそんな大河の手を取ると短い階段をゆっくりと降り始める。
そこは屋外にあるガーデン形式の会場・・・竜児と大河の進む真正面に見える式台。
その式台へ向って階段下から敷き詰められたレッドカーペットが大河と竜児の歩みを待っている。
カーペットの両脇に並べられた椅子に座っていた人々が一斉に立ち上がり、ふたりがやって来るのを待つ気配。

階段を下まで降り切った大河と竜児はそこで一度立ち止まり、ふたり揃って前方で待つ人々に深々と腰を折った。

・・・今日を迎えられたのは・・・ここに居るみんなのおかげだ、そうだろ、大河?
・・・そうね・・・みんなで幸せにって誓ったよね・・・みんな居るよ・・・ねえ、竜児。

大河は押し寄せる高揚の精神波に世界中でいちばん幸せな気分を味わっていた。


今回はここまでです。

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 03:48:42.49 ID:USddTypo0
>>328-329
真顔で言ったあと妙に気恥ずかしくなり、テンパって二度発言と把握したw
不意の反撃に言い返せない大河に2828…って、どこの付き合い始めバカップルだw可愛すぎるわ!

>>330
竜児って最初は結構素直にドキドキムラムラしてるのにw
3巻では猛烈な罪悪感に襲われるんだよね
出会った頃より、もっと大事な存在になっている大河を汚したくない
みたいな心理に突き動かされていたのかと思うと萌える

>>333
おつです!
眠いのであとの楽しみにとっておくんだぜ…!

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 17:13:34.57 ID:fD2mhb0e0
>>328

木刀で討滅wor大河が起きた時に寝ぼけて蹴られるんじゃ?

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 23:00:35.16 ID:w6iKSCXZ0
>>338
GJ。乙。遠くから竜児を思っている大河がいじらしい。
きっと毎日セーターをクンカクンカしているなw続き待ってます。
代理も乙。

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/08(水) 23:54:52.49 ID:wMec+r5UO
>>335
乙。とうとう式の始まりか!
切ない思い出の描写が幸せな現在でくるまれてすげー良い感じです。
代理さんも即時対応乙。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/09(木) 00:12:00.92 ID:/XmyB8zf0
>>338
離れていた間の一つ一つの想いが丁寧に紡がれていて、いいなぁ…
代理の方も乙です!

> 「・・・それは言わない約束」
大河のせつない気持ちがこもっています。

さ、いよいよ結婚式! ドキドキして参りました。
あーみんの司会はふっかけられそうだw (最初だけね)
大河のドジっぽいのも健在で可愛い。


344 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:15:46.51 ID:/XmyB8zf0

アニスタ祭りの時にチラと書いたのですが「とらドラ!, again」のエピローグを投下します。
(反応くださった方、当たりでしたら、有難うございます!)

本編終了から半年以上も経ってしまい、何を今さらな感じで、ほんっっっとうにすいませんが、
覚えてくださっている方、よければご覧ください。

まとめサイト (管理人様いつもありがとうございます)
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS11/578n.html
の続きとなります。

もはや、とらドラ!でも何でも無いような気もしますが、とらドラ!世界を広げてくれたあの方に
最後を締めてもらいたいと思いました。工学的な知識が乏しいので、変な所は、妄想とお目こぼし
頂けると幸いです。なお作中で、ある夫婦の子供がでてきますが、オリジナル設定です。
名前が安直ですいません。

では、6レス投下します。


345 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:18:42.19 ID:/XmyB8zf0

竜児と大河の結婚式から、およそ10年の月日が経った…


某月某日 日本、種子島 

「竜河姉! あのロケット、お父さんが作ったんだよね?」
竜児に肩車されたあどけない顔立ちの少年が、数km先の発射台の上にそびえ立つ、白とオレンジに
塗り分けられたロケットを指差しながら、竜児の横に立つ姉に声を掛けた。

「泰児、何度言ったら分かるの? いい? お父さんが作ったのはロケットじゃなくて、ロケットに
積んである、宇宙ステーションで使う装置。いい加減、覚えなさいよね。それから3年生にもなって、
お父さんに肩車してもらってんじゃないの!」
母親ゆずりの美貌と知性、父親ゆずりの生真面目さと才気を備えた8才の少女が、腰に手をあてたまま、
斜め上にいる弟を睨みつけた。

「ええっ? ここ見晴らしいいのに… あ!そか。竜河姉、俺を降ろして、今度は自分が肩車して
もらうつもりなんだ。俺に身長抜かれちゃったから、ロケット良く見えないもんねぇ…」
父母のどちらかに似ているというより、父方の祖母、つまり泰子の雰囲気が隔世遺伝している、
のんびりとした様子の少年が、竜児の肩の上で“わかった!”とばかりに手を打っている。

「そ、そんなわけないでしょ! 私は泰児みたいなガキじゃないんだから。それに今日はスカートだし…」
父親である竜児の方にチラチラと視線を向けながら、竜河は顔を赤らめる。
「あ、竜河姉、バレたから顔赤くなってやんのー」
「ちょっと泰児、なに言ってんの! このバカッ…」
竜児を挟んで上と下で口喧嘩が始まりそうになった、その時、
「コラ、あんたたち、人前で騒ぐなって言ったでしょ。ぶっとばすよ!」

背後からドスをきかせた声で言い争いを諌めたのは、2人の母、高須大河その人である。

竜河と泰児、双子の姉弟の暗黙のルールに「母が出てきたら、ケンカは終わり」というものがある。
そうしなければ、自分達が罵り合っている言葉より、もっと酷い一言で刺されるからだ。


346 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:20:45.20 ID:/XmyB8zf0

竜児と大河、2人の間に子供達が生まれたのは、結婚1年目の春。もうすぐ桜の花が開こうかという、3月の
終わりだった。波乱と喜びに満ちた結婚式が6月に終わり、少し日をあけてから旅立った新婚旅行で授かった、
いわゆる「ハネムーンベイビー」というやつである。

それから約9年の歳月が流れ、少し先に生まれた姉の竜河は、母の大河によく似た面立ちに成長した。
性格もはっきりしており、小さい頃から姉らしく、シャキシャキしている。最近、身長の伸びが鈍くなって
きて、泰児に追い越されてしまったため、母親と同じぐらいにしか成長できないのでは、と気を揉んでいる。
竜河としては、母の親友で世界を舞台に活躍する女優の川嶋亜美と同じぐらいになりたいと思っているのだ。

後に生まれてきた弟の泰児はおっとりした性格で、いつも姉の竜河にガミガミと注意されているが、本人は
いたってマイペースなため、周りからは「意外に大物かも?」と言われている。同じく母の親友で、
ソフトボール日本代表の主将を務める櫛枝実乃梨とよく気が合い、その影響で3年生から野球を始めた。
毎日活発に走り回っているせいか、最近、急に背が伸び始め、竜河の身長をたちまち抜いたばかりか、
大河に迫る日も遠くないようで、泰児の身長の話になると母娘の機嫌が悪くなる今日この頃だった。

* * * * *

この日、日本ではじめてとなる、有人ロケットが打ち上げられようとしていた。

搭乗する3人の宇宙飛行士の1人は、大橋高校の生ける伝説として、十数年たっても絶えることなく語り継がれ
ている「永遠の兄貴」こと、北村(旧姓 狩野)すみれである。

並みいる他の先輩達を押しのけて、30才過ぎの若さで3人目の搭乗員に選ばれた時は、一部からやっかみの声や
果ては政府による人気取りのためなどの噂もあがったが、訓練での実績や日々の言動などが報じられるにつれ、
今ではすっかり「日本を代表する兄貴」「北村夫妻の漢の方」という愛称が国民の間で定着している。

「スゴイよね、日本初の有人ロケットの関係者が仲間内に2人もいるんだから!!」
興奮を隠せないように、首からぶらさげた双眼鏡で何度もロケットを覗き込んでは先程から「すごい」を連発
しているのは、大河の弟で15才になった恵児である。

義兄とその先輩であるすみれにすっかり感化され、事あるごとに「自分も宇宙飛行士になる!」といっては、
大河に「アンタの成績じゃ無理」と軽くあしらわれ、その度に口喧嘩になるのだが、相変わらずの年齢不詳、
見ようによっては20代前半に見間違われる大河と、15才の恵児が言い争っている姿を見ると、ごく普通の
歳の差の姉弟のようで、不思議な光景に見えるものだった。


347 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:23:11.49 ID:/XmyB8zf0

『10分前…』

見学スペースに設置されたスピーカーが、打ち上げ時刻がいよいよ間近に迫ってきたことを告げる。
アナウンスを聞いて、表情を一層強張らせる少年が1人、恵児の横に立っていた。

「ねぇ、ひろし君! お母さん、いよいよ宇宙に出発だね!」
「あ、あぁ… うん…」
ひろしと呼ばれた少年は、恵児に声を掛けられても生返事しかできない。
緊張感で一杯の顔を何度もしかめ、まるで口の中はカラカラなのに、出ない唾液を何度も何度も呑み込もうと
しているかのようだ。

「ひろし、そんな暗い顔してたらダメだぞ… お母さんはついに永年の夢を叶えようとしてるんだからな…」
少年の頭の上にポンと手を置き、少し乱暴に撫でたのは、30才を過ぎてもおかっぱ頭の北村祐作。
頭を撫でられた少年は、竜児と大河の結婚式の翌月に生まれた、北村祐作とすみれの子、竜河や泰児と同じ
小学3年生の北村宙(ひろし)だった。

「う、う…ん。でも…」
すみれは日本国内での訓練だけでなく、アメリカやロシアなど長期間海外に行くことも多く、一般的な家庭と
比べると母子が一緒に過ごした時間はとても短い。それでもひろしにとっては、たった1人の母親であり、
また日本中から「兄貴」と呼ばれていても、まだ「おかあさん」と甘えてもみたい年頃なのだ。

「ひろし君、あのロケット作ったのはね、“正確さ”にかけては、こだわりを通り越して病的、いや“変態”の
域に達してる、あの目付きが悪ーいおじさんがいるチームだから、きっと、大丈夫だと思うよ!」

膝を折りながら、ひろしの肩に手を掛け、にこやかな笑顔でウインクしたのは、竜河憧れの人、川嶋亜美。
物心ついた男子なら誰もがどぎまぎしてしまう笑顔に、ひろしのこわばった表情が幾分かほぐれる。

「おい、川嶋っ、“変態”ってなんだよ? それに“思うよ”じゃねぇ、絶対問題なんか起きねぇ、俺が保証する」
亜美の意図を汲んで、竜児がきっぱりと言葉を継いだ。

「そうそう、ぜんっぜん問題無いさ、だからひろし君、泥船に乗ったつもりでいたまえ」
ひろしの手を取り、強く握りしめるのは、泰児の野球とお笑いの師匠でもある櫛枝実乃梨。

「だから、みのりん、泥船は沈むってば…」
「あちゃー、大船だった。大河、オイラまた間違えちまったぜよ… すまねぇっ! ひろし君!」
オーバーアクションでずっこける実乃梨の姿に、その場にいた仲間達 ― 能登と麻耶、幸太とさくらの2組の
夫婦、奈々子、春田と瀬奈達から笑い声が巻き起こり、釣られて、ひろしの表情も笑みがこぼれてくる。

北村祐作が再び我が子の頭を無言で撫でると、ようやく、ひろしの不安は収まったようだった。

* * * * *


348 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:28:48.97 ID:/XmyB8zf0

北村父子の様子を眺めながら、竜児はふと、この10年の日々を思う…

大河の妊娠は、最初は驚きもしたが、すぐに大きな喜びと変わった。子供が生まれる。家族が増える。
自分達が父親に、母親になる。徐々に大きくなる大河のお腹を一緒にさすりながら、これから迎えるで
あろう慌ただしくも楽しい日々に思いを馳せ、そして、順調に竜河と泰児の誕生を迎えることができた。

結局、大河の大学への復学はわずか1年で終わってしまった。しかし、その1年の間に大河は飛び級で
卒業してしまい、大学院への入学資格を得たまま休学。竜河と泰児が乳離れした後、改めて復学し、
司法試験、修習生を経て、今では弁護士として、北村と同じ法律事務所で机を並べて仕事をしている。

大河の復学以降の子育ては、弁財天国を引退した泰子が主に引き受けてきた。30代でも十分通用する
容貌のため、周りから素で「お母さん」と呼ばれながら、2度目の育児を今度はいくらかゆっくりと
楽しんでいるようだった。

弁護士となった大河は、マスターとの約束をきちんと守り、年に何度か店を訪れては、理不尽な借金を
背負うハメになった者達の相談に乗ったり、時には背中を張り飛ばして、喝を入れている。赤の他人の、
一銭の得にもならないことを続けるなんて、最初はちょっと意外な気もしたが、単に恩返しするため
だけでなく、大河自身も意義を感じつつ、また、楽しんでいるようでもあった。

勿論、この10年が何もかも順風満帆で、トラブルなく過ごしてきたという訳ではない。子供達の育児の
やり方や大河の勉強や仕事との両立、竜児が単身赴任する時などいろいろ大騒ぎになったし、喧嘩もした。

特に揉めたのは、2人の長い別離の原因となった大河の前の父親、逢坂陸郎に関することだった。

竜河と泰児が生まれ、ようやく気軽に外出ができるぐらいに成長した頃、大河は突然子供達を連れて、
刑務所に収監されている陸郎に会いに行くと言い出した。
これには、大河のやりたいことをできるだけ叶えるようにしてきた竜児、大河の両親、そして泰子や
清児、園子、つまり家族・親族の全てが猛反対したのだ。


349 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:31:07.51 ID:/XmyB8zf0

「あいつには二度と関わらない。お前だって、そう言ってただろ? ましてや子供を連れて行くなんて
非常識にも程がある。幸せな姿を見せて、嘲りに行くのか? そんなことしたら、またあいつは恨みや
妬みを貯めこむだけじゃねぇか!」
「私には私なりの考えがあるの! ガキじゃないんだから、ちゃんと考えてる! 信じてよ!」
「なんだよ、考えって… 話してみろよ。ちゃんと説明しろよな!」
「うっさいハゲ… う……、ううん、ゴメン…。でもこれは私とクソジジイの問題なのよ」
「そのハゲと結婚して、家族になったのは誰だよ! お前の問題は、俺の、家族の問題じゃねぇのかよ!」
「………」

頑として理由を語らないまま、ただひたすら面会に行くと言い張る大河に、最後は竜児が根負けした。
小さな子供を面会に連れていくことは無論できないため、竜児が付いていく条件を呑ませ、2人で刑務所を
訪れたのだった。面会での会話は素っ気なく、大河は写真を見せて子供が生まれたことを話し、自分の身の
回りの出来事や、仕事の話をするだけ。一方、うつろな表情の陸郎も「ああ…」と生返事をするだけ。
そして、同じような会話がその後も年に1〜2回繰り返された。

もう一つ大きく揉めたのは、陸郎が刑期を終えて出所する時、大河が身元引受人となり、仕事の斡旋と
その保証人にまでなったことだった。これにもまた、大河の両親と泰子、親族の全てが猛反対した。
刑務所の中にいるならまだしも、実社会に戻ってきた陸郎の面倒を見るなんて正気じゃない、一切の
関わりを絶つべきだと、電話、メール、面会、あらゆる手段で大河への説得が試みられたものだった。

竜児は、もうその頃には、大河の意図を正確に汲むことができていた。
そして大河と一緒になって、周囲の理解を得ることに奔走した。

ほんの数年前。竜児と大河、竜河と泰児、4人が並んで刑務所の前に立ち、陸郎の出所を待っている時、
竜児は大河に微笑みながら、声を掛けた。

「お前もつくづく物好きだよな…」
「あんなクソジジイの身元を引き受けようなんて人間、他にいないしね。弁護士の私は適任でしょ。
それに首に縄つけて見張っとかなきゃ、いつまでも枕を高くして眠れないわよ…」

竜児に向かって、同じように微笑みを返しながら憎まれ口を叩く大河の表情には、
(だって、竜児が最初に言ったんだよ…)
という言葉が浮かんでいた。


350 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:38:40.55 ID:hgIAKV0U0

今、陸郎は大河が紹介した地方都市の小さな輸入商の元で、インテリアのセンスと真っ当だった頃の人脈を
活かしながら、1人で暮らしている。これまでさして問題を起こすこともなく、さすがにお互いが家族として
振舞うことは無いが、たまに顔を合わせては素っ気ない会話を繰り返しているのだった。

一方、竜児は10年前の結婚式の日から父親には会っていない。

見た目どおり、本物のヤクザ、それもある程度の地位にいるようだったから、ロクでもない人生を送って
そうだが、人様にあまり迷惑を掛けずに天寿を全うしてくれれば、とだけ竜児は思っている。

竜児は一度だけ、どうやって父親を探しだしたか、泰子に尋ねたことがあった。
その時、泰子はニッコリ笑って、「オーナーに教えてもらったんだよ」と言った。
確かに毘沙門天国と弁財天国のオーナーは、大橋で商売を営む人達の顔役でもあり、表と裏、様々な人脈が
あると思うが、それでも20数年前のひと頃だけ街にいた人間の消息を掴んでいたとは思えない。
きっと泰子は、全てを知った大河の歓迎会の夜に、オーナーから聞き出した小さな手がかり、その細い糸を
辿って、わずか一週間の短い間に必死の思いで父親を見つけ出し、協力を仰いだのだろう。

その後、泰子も父親と会っている様子は無い。
たまにケータイの画面を見ながら、にんまりしていることがあるので、父親の写真かメールでも見てるのかと、
さりげなく覗いてみるが、たいていは竜河や泰児の画像で、あの凶悪ヅラや怪しげな相手からのメールなどは
見られなかった。ただ何度か、巧妙に画面を隠されたような時があった。その時の泰子の表情からは何も読み
取れなかったけれど…

また、大河と泰子が竜児に見つからないよう、内緒話をしているのを時折見かけたり、子供達を竜児や親に
預けて、2人きりでどこかに出掛けていくことが数年に1度ぐらいあった。ひょっとして、3人で会って、
人をダシにして盛り上がったりしているのかもしれない。なんせ泰子と大河の2人は稀代の凶悪ヅラの男に
心底惚れている、という余人を以て代えがたい共通点を持っているのだから。

でも… これでいいんだと竜児は思う。
父親からもらったものは、肩の上ではしゃぐ泰児や、手を繋ぐ時、最近ちょっと恥ずかしそうにする竜河に
脈々と受け継がれている。家族っていうのは、そうやって続いていく。皆がいて、だから、ここにある、と。


351 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:41:29.41 ID:hgIAKV0U0

* * * * *

『全システム準備完了』
拡声器から流れるカウントダウンが1分を切り、その瞬間(とき)が刻一刻と迫ってくる。

『10… 9… 8… 7… 6… 5… 4… 3… メインエンジンスタート 1… 0、点火、リフトオフ!』

辺り一体に轟音が鳴り響き、白雲が波打つように一気に広がった。真っ昼間だというのに、ブースターから
吹き出す炎の眩しさに、誰もがおもわず目を細めてしまう。

すみれを乗せたロケットは、ふわりと浮かびあがると、糸に引かれるように、するすると空に向かって
真っ直ぐ昇り始めた。

「いっけー!!!」
頭上の青空に向かって、実乃梨が拳を突き上げる。
他の仲間達も固唾を呑んで、空へとあがっていくロケットの姿を見つめている。

ロケットは見る見る間に速度をあげ、雲を抜け、一条の煙を引きながら、空に大きな弧を描いていく。
やがて、小さな点となり、わずかな輝きを残して、宇宙へと飛び立っていった。

* * * * * 

打ち上げから約1週間後。

すみれ達を乗せた国産初の有人宇宙船は、予定通りに国際宇宙ステーションと無事ドッキング。
長期滞在チームのクルー達と対面し、積んできた食料などの物資や機材の搬入などを終え、今日から
新しいミッションに取り掛かることになっていた。

「よし、兄貴、動作チェックは任せていいかな?」
宇宙ステーションに接続された宇宙船の軌道モジュールの中で、すみれはリーダーと共に、ミッションに
必要な機材のチェックを行っていた。

「分かりました。それから私の名前は北村すみれです。地上と同じ様にそう呼んで頂けますか。クルー達に
私のことを“兄貴”と呼べって言ったのはリーダーですね? さっき“どういう意味だ?”って、コマンダーに
尋ねられましたよ」
「まぁまぁ細かいことは気にしない気にしない。じゃ、テストの用意ができたら、お呼びがかかるから、
それまでの準備はよろしく。後で見に来るから…」

ここでの滞在が3度目となるリーダーは、勝手知ったる我が家のごとく、軽やかに身をひねって、実験棟の
方へと消えていった。


352 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:44:16.54 ID:hgIAKV0U0

「…ったく…」
軽く舌打ちしながらも、すみれは表情を変えず、目の前の装置に視線を移した。

今回の日本チームの主要なミッションの1つは、国際宇宙ステーションの増強だった。宇宙船に積んできた
パーツを取り付け、利用可能年数の延長や機能の向上を目指す重要な役割を担っている。

今、すみれの目の前にある「装置」は、ロボットアームの届かない所に資材を運ぶためのもの。
船外活動を行う宇宙飛行士が牽引するのではなく、遠隔操作で搬送することで、作業のスピードアップと
安全性を高めるものだった。今日は初めて、宇宙空間での動作確認を行うことになっている。

搬送装置は1m立方程のサイズで、さして大きなものではないが、自律移動も可能なガスの噴射装置や
カメラ、たくさんのセンサーを備え、今回の運用がうまく行けば、ここで永く使われることになっている。

すみれは、まず外見から分かる箇所、ケーブルをたどるローラー、資材を繋ぐためのジョイント、カメラや
ガスの噴射口となるスラスタなどの動きを、遠隔操作を行うコントローラーをいじりながら、順にチェック
していく。最後に本体のカバーを外し、内部の配線の状態やガスのボンベ、バルブなどを確認した。

「そう言えば、ここは高須が作ったんだったな。地上でも見たが、なかなか美しいじゃねぇか…」
すみれは独り言ちながら、迷いなく、滑らかに機器の状態をチェックしていく。
ひと通り、問題が無いことを確認すると、先程外したカバーを戻そうとして、ふと、その手が止まった。

「ん… なんだ? 地上で見た時とちょっと変わってないか?」

他の人間なら気づかなかったかもしれないが、卓越した記憶力を持つすみれは、本体を覆うカバーの裏側が
以前よりも少し厚みが増しているように感じたのだった。

宇宙ではどんな疑問でも放置しておくことは許されない。地上の法則が全く通じないここでは、小さな気の
緩みが、即、命に関わる事故に繋がる。すみれは、カバーの裏側に金属板が新たに嵌めこまれているのを
発見し、工具を使って、慎重にその板を取り外す作業を行った。

「こんなところに新しく補強板をつけたのか… 確かに内部を守るのにいい考えだが、ちゃんと申し送りを
しておいて欲しいものだな… って、お、おいっ… なんだこれは!」


353 :とらドラ!, again epilogue ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:46:43.62 ID:hgIAKV0U0

元に戻そうと、補強板を裏側へひっくり返した時、すみれのクールな性格を象徴する、そのシャープな目が
驚きでまんまるに見開かれた。しばらく呆然と金属の板の隅々まで視線を走らせたあと、声にならぬ声が
その端正な口元からこぼれ落ちる。

「…あ、あの大バカ野郎… 昔の大工じゃねぇんだ。税金使って、何してやがんだ……」

だが、キツイ言葉とは裏腹に目付きは緩んでいて、まるで仕事を忘れたかのように、口元には笑みすら
浮かんでいる。

やがて、すみれは何事も無かったかのように補強板を元通りに差し込むと、カバーを本体に被せ、金具を
きっちり閉じてから緩みのないことを確認する。
ちょうどその時、実験棟から戻ってきたリーダーが、ひょっこりと顔を見せた。

「兄貴、確認は終わったか? 今日の作業のブリーフィングをやるから、こっちに来てくれ」
「はい、問題ありません。ちなみに私には北村すみれという名前があり…」
すみれは工具を手早くしまいながら、リーダーの後を追って、軌道モジュールを出て行った。

再び閉じられてしまった搬送装置の中、このあと、人の目に触れることの無いであろう金属板の裏側には、
竜児の手によって「仲間達」の姿がレーザーで鮮やかに描かれていた。

竜河と泰児、ひろしの3人の子供を大河、竜児、北村とすみれの親達が囲み、さらにその横には恵児、
実乃梨と亜美、奈々子に春田と瀬奈、能登と麻耶、幸太とさくらの家族も立っている。その周りには
泰子や大河の両親、祖父母もいる。一番端には目付きの悪い竜児の父親。小柄な陸郎の姿もある。

苦楽を共にしてきた大橋の仲間が、家族がそこに佇み、微笑んでいる。
皆の足元には1つの言葉が添えてあった。

「星に届いた! みんな、幸せ」


(了)


354 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2011/06/09(木) 00:52:59.73 ID:hgIAKV0U0

以上で「とらドラ!, again」全て終了です。

ひゃー、忍法帖になってからなのか、以前より文字数制限が厳しくなったのですね。
6レスでは足りず、9レスになってしまいました。すいません。
おまけに途中でさるさんに引っ掛かってしまいましたが、接続方法を変えて、投下しました。(意地)
なので、IDが途中で変わっています。


お読みくださった方、本当に有難うございました。これまで感想をくださったり、いつも「待って
るよー」と声を掛けてくださった方々のおかげで最後まで続けることができました。

生まれて初めて書いたSSでしたが、元2-Cの面々や他のとらドラ!メンバー全員が活躍することと、
みのりんとあーみんと竜虎の2人との結びつきを書けたのが嬉しかったです。大河と竜児の2人には
他のSSで見ないような、つらい目に合わせてしまい、自分でヘコんだりしてました。
大河には「2人きりでイチャイチャする時期がぜんっぜん無いじゃないっ!」と怒られそうです… orz

何かのシチュが降りてきたら、また書くことがあるかもしれませんが、1スレ民として引き続き、
皆様が描く竜虎のバカップルぶりを楽しませて頂きます。
有難うございました。



355 : ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:39:40.34 ID:RhOSIjTM0
おお、有名連載が次々と!これもアニスタ効果なのかな。

新参もお仲間に加えていただきます。
【タイトル】晩秋のバックステージ、そして天の竜
【内容】アニメ16話と17話の間。ifストーリーに見えるかもしれませんがそれはそれで良
いと思います。17話以降の亜美が大河と急接近しているのが好きで、こんな感じなのかなと
妄想を。竜虎もこの二週間の間にこうかなと。エロ行為は当然なく、せいぜい手を握るくらい。
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/Author_0FKyHtS2M.html にてまとめていただいた、
『逢坂大河のLyrics・夏及び冬』の間の晩秋編といった位置づけとなります。
この空白期間は錯綜していて難しいですね。43KB

↓15レス?ほどいただきます。宜しくお願いします。

356 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:42:23.61 ID:M5ZJAiN50

 空が高い。

 もしも雲ひとつなかったなら、青い空が高いのか低いのかなんて見たって分からない。太陽
光が空気の分子に当たったとき――レイリー散乱ってんだけどよ――青色の波長の光だけを、
よりたくさんまき散らすから青く見えるんだよと竜児に教わったことはあるけど。
 高く見えるのは、散りばめられた雲が距離を知らせてくれるからだ。
 秋の空に浮かぶ雲は5000m以上の高い空にできる。いわし雲とかうろこ雲とか言われて
るやつ。理系風に言うと、け……巻雲だっけ?ケンセキだったかケンソウだったか。よだれ垂
らして寝ていて授業は正確に覚えてないけど一応知っている。
 自宅の寝室の、北側の窓を開け放して、隣家との僅かな隙間から帯に切り取られた空を見上
げて、逢坂大河は窓辺に佇む。
 この前、オリオンの光を見上げた時にはあまりの遠さにくじけそうになった。
 人と分かり合おうとするのに喩えれば、それは星の距離なんていう絶対に手の届かないもの
じゃない。せいぜい、こうして見上げる雲の高さだ。背は届かないし、高校生は飛行機に乗る
のもそうはない。でもどうしようもなく泣くしかない距離とは、もう思わない。
 そうは言っても。
 今ごろ分かっても、時間は戻らない。

 めちゃくちゃな私は激情に突き動かされて、電柱でなく人に。傷も負うし死にもする、人に
刃を向けてしまった
 春先には家宅侵入、傷害未遂。そしてついに今度は、傷害。
 どこへ突き出されても文句の言えない犯罪者となり、未成年だから、そして被害者が情状を
酌んで、温情を示してくれたから、停学で済ましてもらって今ここにいる。
 もしもあの女が剣道有段者でなかったら、情状を酌んでもらえないほど深刻な事態になって
いたかもしれない。そんなことにも気を回せないほどキレていたから、最初の斬撃で後の先を
取られ木刀をすっ飛ばされたのが良かったのだろう。心得者に殴りこんだから幸運にも済んだ
だけ。落ち着いて記憶をたどってみてその恐ろしさに震えた。
 しょせん、後はこれだから……と素手で殴りまくったのにやはり幸運にも指を折らずに済ん
だ拳を見た。痛みがまだ残る、腫れた小さな手を握って開いてみた。このちっぽけな身体が暴
力に訴えて出せる力なんて高が知れてる。

 今日から二週間の停学となった。
 土曜日の事件当日にはそのまま病院に行って被害者ともども治療を受け、幸い軽傷だったか
ら事情を訊かれて、私は身元を引き取りに来ない保護者を遅くまで待って、担任に付き添われ
てマンションに帰った。
 翌日は朝から迎えに来てくれた担任といっしょに被害者宅へ謝りに行った。
 ゆりちゃんは私を同行させる説得に相当時間がかかると思っていたらしく、訪問を午後に約
束していて、あっさり行くと伝えた私に驚いていた。空いてしまった時間に駅前でいっしょに
お昼してくれて、いろんな話を聞いてくれた。
 あんまり深刻な顔をされたから、少し安心させるつもりでお休みの日に迷惑かけてごめん、
婚期がまた遅れちゃうねと軽口を叩いたら、つまらない心配は要らないと小突かれた。
 帰ってきたら竜児とやっちゃんが出迎えてくれて、お夕飯に招んでくれた。
 そうして、眠れない二日間が明けた。
 目は覚ましていたけど隣家の竜児が出かけて行く姿を見送ることはできなかった。日が高く
なってから起き出して、窓を開けて、ここに立ってる。

 よく晴れてもう初冬に移ろうとする冷たい風が広い寝室に吹き込んで遠慮なく手と脚を冷や
していく。けれども、このぐらいだったら、代謝能力抜群の大河の小さな身体は芯まで冷えき
るまでに至らない。


357 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:44:08.42 ID:M5ZJAiN50
 空を見上げたかったわけじゃない。
 腰をかがめて窓枠に肘をつき、もたれて、半開きのカーテンで目隠しされていない隣家の部
屋を眺めた。整頓された机にぴったり収められた椅子、本のサイズごとにきっちり並べられて
埃ひとつない本棚も見える。
 その部屋の主はいまごろ学校だけれど、掃除の行き届いたガラ空きの部屋を眺めているだけ
で気が休まる。寝巻がわりのスウェットが部屋の隅に畳まれた布団と夜具の上に同じように丁
寧に畳まれて置かれてる。今日に限って押し入れに仕舞ってないのは少々なりとも寝坊をした
んじゃないかな、あいつ。
 がさつな自分がそんな他人の細かいところを小姑のように見てるなんて不思議なこと。とは
大河自身は気づかない。

 竜児が守ってくれた。
 興奮したあの女からだけじゃなく、私が私を壊すのを見つけて、飛び込んで、抱きとめてく
れた。壊すんじゃねえ、耐えろと、もの言わぬ声で強く叱られた。
 感謝……だろうな。
 冷気の中で背を丸め、飽きもしないでわずか3m先の、今はあるじ不在の部屋を見ていると
ようやくのこと気持ちが穏やかに帰る。竜児がいてくれる。帰れるうちがある。

 しばらくそうしていたら、隣家の居間に、ヘアバンドで髪を後ろに放り出した、つるつる茹
で卵な洗顔後の泰子があらわれた。肌年齢というのはあってもすっぴんの方がかわいいな、や
っちゃん。と眺めていると、気が付いて手を振ってきた。
 大河も思わず笑みがこぼれて手を振り返す。
 泰子は左手を茶碗に見立て、右手を二本指にしてご飯を食べる振りで、頭上にハテナマーク
を浮かべて首を傾げる。そしてニコっと笑いながら手招きをする。
 大河は両腕でバッテンをつくって、立てた親指で自らの喉をかっさばく。ええええ?と泰子
が驚いて。大河は続けて両手で輪をつくったハンギングの振りを返し、ぐえ!と白眼も剥くと、
泰子がびっくりしたまま自分のつるつる童顔を指差して、やっちゃんが?とボケ返す。
 両手をゆっくり下手に開いて「オウ!」と肩をすくめて見せる大河は自分の顔をぴっぴっと
指差して、てへ♪と。ちょっと腰を曲げたかわいいこポーズが似合わなくてキモい。それから
拝んで頭を下げる。竜児に聞いているだろうからこれで外出禁止だって伝わるはず。
 だけど、竜児は大河が停学になったことまでは話していないようだった。泰子はちょこちょ
こベランダに這い出てくると、なぁ〜〜にぃ〜〜?どおしたのぉ〜?とのんびり聞く。ジェス
チャー芸が全部無駄。
 かくかくしかじかと説明したら、そぉなの〜☆と意にも介さず。じゃあ、ちょっと待ってて
ねえ〜☆とおにぎりを握ってくれてコンビニ袋。デッキブラシに引っ掛け、身を乗り出して窓
越しに渡してくれた。
 ありがと、やっちゃん。いただきます。大河は半身を乗り出して受け取った。

 寝室でごろごろしているうち午後になった。
 と、ぴんぽんとインターホンが鳴った。来客の予定なんかないし、ここを訪れるのは竜児か、
やっちゃんか、もしかしたらみのりんくらいだ。訪問販売なんだろうと寝転がったままで無視
をする。しばらくして携帯にメール着信。なによもう。見ると泰子からで、続いて開け放した
窓から呼ぶ声も聞こえてくる。
 ――たいがちゃぁん、たいがちゃぁん
 メールに“お友だち来てるよぉ〜☆”とだけ記されているのを見て、窓辺に立ち、隣家のベ
ランダを見やれば、そこにはたいがちゃぁんと手を振る泰子、そしてもう一人横に。
 上目遣いの智天使の笑みを浮かべて、長〜い脚をほんの少しXっぽく縮め、首を傾げた被写
体ポーズ。風にさらっさらの髪を投げて、愛想いっぱいに片手をあげ、はーい♪なんつってる
完璧美少女こそ別名腹黒バカチワワ。愛称ばかちー。川嶋亜美だった。


358 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:46:47.78 ID:M5ZJAiN50
「ヨーグルトは」
「いらねー」
「牛乳」
「いらねー」
 招き入れてしまった以上、何らかもてなさねば。
 ひっでーツラ!と絆創膏だらけの顔を笑われ、ひっでーカッコ!と寝巻姿をこ憎らしく笑わ
れても来客は来客だから。
 とは思っていたがあいにくお菓子もドリンクも切らしていた。竜児特製のはちみつキンカン
はとっくの昔にぜんぶ飲んじゃったし、しかたなく湯を沸かして紅茶を淹れる。
 はい、どーぞ。といつぞやのように無愛想にカップを置いた。
「てか座ったら?なんで突っ立ってんの?」
「座れねーんだよ……とっ」
 亜美は後頭部の襟元に手をやり、ごそごそっと。んっ、と。つかんだ木刀をしゅるり、と背
から抜き出して大河に渡す。
「はい、忘れ物」
「……こんなもの届けに来たっての?」
「要らねーの?オートロックとはいえいざってときの護身用じゃね?」
「それはそうだけど」
「はーーっ、背筋伸びたわ。やーれやれ」
 このうちの家具はすべて独り用。椅子もすべて一脚だけ。ローテーブルの脇にかしこまった
皮張りのソファにスローモーションのようにふわっと腰をおろして亜美は長い脚を組む。
 大河は受け取った木刀を壁に立てかけて、毛足の長いラグにぺたんこ座りで、来客が手を付
けるのをを待たずに熱い紅茶をすすり始めている。
「お砂糖でもジャムでもお好きな方でどーぞ。ミルク沸かす?」
「んー、いい香り。ジャムかなー。薔薇の」
 あるか!と吐き捨てられる。
 優雅な手つき、紺青の瞳はキラキラ。端をついっと上げたアヒルぐちで、ここでは一文の得
もないお愛想。つーかあんた紅茶淹れるのうまいじゃん?にこっ。……なんかきもいと大河は
掛け値なしに思う。
「で?それだけでわざわざ来たわけ?ていうかあんた学校どうしたのよ?」
「んー。亜美ちゃん具合悪くてえ、早退して休んでるのー。これ渡さなきゃなんないからあ」
 口調のかわいさとは裏腹に無造作なしぐさでポケットを探り、テーブルにぽいっと投げたの
は十字にひもをかけた大河の生徒手帳だった。
「木刀はただのついでだよ」
 それがパシっと音を立てて落ちると、さすがに大河の顔色も変わった。
 まったく忘れていた、というより落としたことにも気づいていなかった。そこに挟んである
ものを見られてはいけない相手もいるというのに。
 あわててひもを解き、開いて中を確認する大河を見下ろして亜美が言う。
「一枚目を麻耶と奈々子が見てる。実乃梨ちゃんが聞いてる。二枚目はあたしが見ただけ」
「そ……」
「そう。噂になるとしても一枚目だけ」
 あ、……ありがと。大河は嫌そうに見上げて礼を述べた。

 ソファに身を沈め、ソーサー片手に紅茶を楽しんでる貴族の足元で膝まづく平民、といった
感じにも見えたが他人行儀はここまでと決めたらしい。亜美は起き上がり、ローテーブルの角
を挟んで大河の横に胡座をかいて、目線を同じ高さにして座った。
 大河が顔を上げるのを待って、ねえあんた、と。いままでのことなんかどうでもいい。これ
からのこと。
「祐作はやめな」
「なんであんたに、そんなこと……」
「あんたもバカじゃないんだからもう分かってるよね?」
 祐作は、やめときな。黙りこんだ大河にぴしゃりと言い放ちつつも、でもさほど厳しい顔を
しているわけでなく、亜美は淡々と続ける。

359 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:48:40.78 ID:M5ZJAiN50
 祐作はね、あんたに好かれてるの知ってる。でもあんな告白してあんたがどう思うのかも分
からない、自分が堂々としていさえすれば問題なんか存在するはずないと思ってるやつ。だか
らあいつの側にいても対等にはなれないよ。従うか、従えるかで。並ぶことだけはできない。
「だから、あんたにも合わない」
「……竜児なら合うって?あんたに分かんの?」
 ほんの半年前には憎悪しか持っていなかった女とこんな挑発的な話をしているのが大河には
不思議に思えた。憎まれ口のような調子ではあっても、ちゃんと会話になっている。

 紅茶を挿し替えに立つと、亜美はなんかお菓子ないのかよ?と図々しい。
 もう一度キッチンまわりを探してみるとあった。地元の銘菓、袋入りの五家宝(ごかぼう)。
 和菓子かよ、なんか地味〜。
 どんな味なのか私も知らないよ。
 そんなもん客に出すのかよ?
 あ……けっこうふにょふにょであんまり甘くないや。ほら毒味してやったわよ。どーぞ。
 まあ不味くはねーけど紅茶には合わねー。緑茶ねーの?渋ーいの。
 ……ないわ。図々しい。
 だいたいなんでこんなもの買ったのよ?
 買ったんじゃないよ、やっちゃんにおすそ分けってもらったのよ、ちょっと前に。
 やっちゃんて?さっきあんたも会ったでしょ?ああ高須くんの。
 んー。くち乾く。紅茶でいいからもう一杯淹れろや。 
 地味な菓子をそこそこ美味しそうに食べて、二杯目からは適当に淹れた紅茶を飲みながら、
大河と亜美は元の話に戻る。

 高須くんだってね……たいして変わんないよ。男の子はだいたい同じ。
「でも優しい人は従えることができる。自分次第で対等になれるのよ」
「ふん。ばかちーはやっぱばかね。なんで対等でなきゃいけないの?」
「え?」
 だってあんたは……。
「人と対等になれるなんて幻想。私も、対等を夢見るあんたもたぶん、従うしかない人間よ」
 悔しそうでも、諦めてるようでもない、ごく普通の表情の大河を見て、亜美は意外に感じて
いた。孤高の虎じゃなかったのか?あたしが一方的に見誤っていた?
 そんなはずねえだろっ、と頭に血が上る。
「だったらなんでとっとと高須くんに従わねえんだよっ!」
「あんたに関係ないでしょっ!」
「関係なかったら言わねえよっ!」
「クチはさむんじゃないよっ!私に触れんなっ」
「触って悪りぃのかよっ?おめえに触れてえんだよっ!あたしはっ」
 なっ?
 売り言葉に買い言葉ってやつだった。怒鳴った口のままで固まった大河を、頬を上気させた
亜美が睨みつける。
 ……なに言ってんのよ。
 ……い、言った通りだよくそちび。あんたに触れると幸せになれる……伝説ってのがあるん
だからさ、などと亜美は口ごもった。そのばつ悪そうな顔をぽかんと眺めながら、触れたいと
告げられた驚きが大河にとってどこか懐かしい感じをもたらしている。
 そう、はっきり覚えてる。“放っとけねえんだよ”と言われたあのとき。
 自分だって言ったことがある。それは“犬のようにしてくれる?”って意味不明な言葉でし
かなかったけれど。でもその求める思いは同じはずだった。

360 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:50:47.40 ID:M5ZJAiN50
「触れたいっ……て?ばかちー?」
「う、なによ」
「じゃああんたにも触れていいってことだよね?私も」
「キモいんですけど。……まあ、いいよ。そういうことで」
 近くへ行きたい。
 触れたい。
 触れられたい。
 ああ、そうだ。分かった。あああああ、そっか。
 ばかちーとなら女同士だからこの気持ちだけで友だちになれる。
 だから北村くんはわざわざああ言わなくちゃならなかったのか。私にはそんな区別がついて
なくて、それもありかも、なんて思っちゃったんだ。
「ま、あんたから頭下げて仲良くしてくれって言うんなら、やぶさかではないわね?」
「なんだその態度?なんか湧いた?脳に?」
「だってあんたから告白したじゃん?立場下じゃん?」
 わたし対等信じないってさっき言ってあるしさと、憎まれ口を叩いても大河は嬉しそう。
「あんたねー!まあそれでもいいけどね」
「……ってね?形だけあんたを下風に立たせて実質では私が従わされるってわけか」
「けっこうわかってんじゃん?そういうことよ」
「それ悪くないかもね。……ほーら対等なんてありえない♪」
 きゃきゃきゃ、と笑いだす大河を見て、亜美も緊張を解く。
 対等だよ。と亜美はまた紺青色の瞳をきらきらさせる。
 じゃあ北村くんとも対等になれるよね?と大河も負けじと鳶色の瞳をうるうるさせる。
 きらきらとうるうるで、しばし見つめあって。きららとうるる。
 うげー!
 おげぇ!
「キモいんだよ似合わねえんだよタイガーなんだその顔っ!」
「ばかちーこそいいかげん室内愛玩犬やめなさいよっ!」
 そこで、どちらからともなくぷっと笑いだし……なんてことはないのだった。
 互いにおどけて見せたのは相当むりがあったようで、心底きもいと思って、嫌そうな顔にな
って睨み合い、でもどこかでは、少なくとも背負っていた荷を下ろせた気分になった。

 大河は生徒手帳を弄りながら憮然として訊く。
 ねえ?
 ん?
「みのりんが聞いてた……んだよね?」
「そう。……だけど?」
 亜美の眉根がわずかにひそむ。大河が何を考えているか分かってしまった。
 けれどどうしてそう考えるのかが分からない。訊いても、言うまいだろうと思う。そして、
おまえはそれを心配しなくて良いのだと、得意げに伝えることも、もうできない。
 大人ぶって、冷静に観察して、間違えないよう導けると思いあがっていた。
 でもどうだ?実乃梨の背中をぽんと押してやるつもりで放った一言は当事者のそれから一歩
も出ていなかった。3人が大けがをして動けなくなってるときに無傷だから動こうとする者を
留めるなんておかしい。そんな資格を持ちあわせてはいないのに。
 その悔恨や不安やらも手伝って、亜美の足をここに向けさせたのだ。可愛いと思っている無
垢なケモノならば、導くこともまだできる。そう思っていた。

361 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:53:04.45 ID:M5ZJAiN50
 舐めていた。
「私はね、あんたがやめろって言う北村くんが好きなのよ」
「……そこに戻るわけ?ほんとにそれでいいの?」
 いいの。別に無理してるわけじゃない。ほんとにいいって思う。と大河は言う。
 ばかちーから見ればどうしてか分からないかもしれないけど、そうなのよ。竜児の事情もあ
るから、今そこまでは勝手に教えてあげられないけど。
 無理していないやつがこんな顔をするのか。
 告白しただけではこのちび虎の近くへは行けないのか。
 つと立った大河は、ちょっと待ってなと言い置いて寝室へ行く。しばらくして戻ってくると
手に一枚のDVD。今さらだろうけど、と亜美に渡す。
「流出もしていないしカメラにもPCにもデータは置いてない。これだけ」
 ほんとに今さらだ。亜美だってモノマネ動画で脅迫される心配なんかとっくの昔にしていな
かった。ただ単に、気持ちを向けてくれた、触れに来てくれたことに感謝を示しているのだろ
うと。
 これが大河なりに対等を受け入れたしるしということなのだろう。
 この先には、今は踏み込めないと亜美は知る。今の自分では彼女を思い通りにできないこと
を思い知らされた。夏から秋へと季節が移るわずかな間に、ケダモノ少女は自分たちに追いつ
き、並び、追い越そうとしているのだと知った。
 来て良かった、と目を細めて大河を見ると、いたずらっぽく込めた親しみを隠しもせず笑い
かけている。こんな顔を高須竜児は見たのだろうか?とふと思う。見ていて恋しないなんてう
そだろ、とも思う。
 これからだ、と亜美は思えた。すべてはこれから。
 手はつながねえけど、あんたを傍で見続けていきたい、と強く。

 またねタイガー、と来客が帰ったあと。
 大河はいまだ消えない、砕けた憧れの欠片を集めてみる。
 想い人がいたのを隠して、私が持っている期待を奪い去らなかった。そんな狡さを否応なく
見せられた。ずっと好きでいてくれたのはもちろんほのかに嬉しい。けど、二番目以下だとい
うことも明確に突き付けられた。
 桜がまだ散らない頃にそれを言ってくれたら竜児と素直に向き合えていたのかもしれない。
もしもそうだったら、今日までどんなふうに、いっしょに過ごして来れただろう。
 もやもやしていた思いが、亜美にはっきり指差されて形になってしまっていた。見たくなか
ったとムカつきもするし、見せてくれたのはありがたい、とも思う。
 ゴールデンウィークには彼氏だって、ばかちーを睨んで言えたかも知れないんだ。そうした
ら、あいつの性格ならチョッカイ出して来なかったはず。むしろ私らになんの興味も持たなく
て、ストーカーも北村くんに撃退してもらって、私たちはそんなこと知らないでいたかも。
 当然、別荘に誘われたりもしなかったかわりに、夏は彼氏と毎日いっしょに思い出を作れた
んじゃないかって思う。プールでしょ、バーベキューでしょ、図書館で涼んだり、海にも1回
くらいは行けたんじゃないかな?やっちゃんと3人で。
 勝手な妄想を次々湧かして身もだえる。もちろん高二らしいエロ含みで。

 こんな考えが生まれるなんて昨日まで予感すらなかった。
 実際に歩んできた半年間と比べてそんなに大幅に良かっただろうか?とも思う。都合良く最
も満たされる妄想ばかり重ねてみたのに、けた違いにいいのかと言えば、そっちはそっちで望
まない方に転ぶことだっていくつもあるはずだった。
 たとえば……実の父親のこと。
 また近づこうなんて思うことはなく、なんの迷いもなく要らないと切って棄ててしまってい
たと思う。私にはもう竜児がいるからあんなの要らない、と本気で押し通せたはず。竜児もみ
のりんも傷つけずには済んでいて、そのかわり、たぶん私は後悔しまくって泣くだろう。
 それよりも亜美のこと。
 向こうから近付いてくれなければ、ファーストインプレッションが最悪すぎて仲良くなるな
んて不可能だった。
 自分がやつとどうなりたい、などとはっきり考えたこともなかったから、まさに神々が気ま
ぐれに振ったダイスの目に導かれて、めちゃくちゃ虎女とキラキラチワワ女はぶつかり、今日、
友だちになれた、としか思えない。


362 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:54:50.54 ID:M5ZJAiN50
 だから甘ったれた気持ちを振り払う。北村のせいではないと。
 自分と竜児の間のことは、本当の自分に訊いてみればすぐに分かること。それを見るのがい
やで、それを認めたらドミノのように今までの自分を断罪することになるのがいやで、今日ま
で来てしまった。
 無垢ゆえに脆く、脆いゆえ壊れていくのはアホくさいと見えてしまっていた。
 そうしてドミノは至る。
 あの女、狩野すみれはほぼ完璧に正しかった。
 あの女と同じことをした北村もまた、そうなのだ。
 受け入れない、けど拒絶はしない、どんなに問われても答えない。それがどれだけ誠を尽く
すことになるか。傷を最小でとどめられるやり方なのか。それを完璧に近づけるにはどうすべ
きなのか。あんな半端なところで泣き崩れて、突っ張りきれなくなるような無様をどうしたら
晒さないで済むかも、教えてもらった。

 ふぅーーーーっと、大河はベッドに寝転がって長いため息。窓を開け放して、部屋は冷え切
っていた。シルクのパジャマに包まれた身体は盛大に熱を発していたが、ひざの下とひじの先
も部屋の温度と同じに冷え切っていた。
 竜児は今朝もご飯を用意してくれていた。とっとと食いに来いよーと窓をガンガン叩いてく
れた。私と同じように思い切り胸を抉られたはずなのに、いつもと同じ日常を貫くんだという
確固たる意思を感じた。……みじめに思えて、寝たふりでスルーしてしまったけど。
 なんでそんなに気を使うのよ?みのりんと思いがつながりそうなのに、そんなことしてる場
合なの?いまだに私を気にしてるとでも言うわけ?
 いいの。別に無理してるわけじゃない。ほんとにいいって思う。と大河はさっきのようにま
た思う。眉間の奥、胸の奥と、順々に白く小さな炎がぽっと燃え上って、すぐまた消えていく
奇妙な違和感にもとまどう。
「バカじゃないの……なに考えてんの」
 小さな胸を波のように締め付けてくる感情に驚き、耐えかねて枕を力一杯抱きしめてしまう。
 二日、眠っていなかった。
 そして大河はうとうと……とし、寝落ちる前に微かに呟いた。
 ――竜児のことが。

「おい、大河起きろ。メシ食え」
 おい、大河。最初に声をかけられた時にびくっと目を覚ましていた。
 インターホンで起こしにかかってから入って来ると余裕ぶっこいていたから、いきなり合鍵
で入ってこられるとは考えてもいなかった。でも、朝に無視された立場からすれば、夕食どき
はこうでもなんら不思議はない。
 いつもどおりなの?
 いつもどおりにしてくれるんだ。
 合わせる顔がない、という。大河のまだ短い人生ながらも夜ごとひと晩じゅう抱いた最大の
惧れを軽々と蹴散らした高須竜児は、寝室の入り口に立って声をかけた。

 その後で、それが寝たふりとすぐに見破りつつ、竜児は立ち尽くしてしまう。すたすたベッ
ドに歩み寄って、丸まってる猫を揺すって起こすだけなのに。大河がいぎたなく寝ているパジ
ャマ姿を目の当たりにして、そんなのは何度も見慣れているはずなのに、それは突然に訪れて
しまった。
 元気づけるんだから。
 昨日までと何ひとつ変わらない日常を与えるんだから。
 俺がしっかりしねえと。
 絆創膏だらけのやつを見て、自分が絆創膏の代わりになってやらねえと、ぐらい疑いなく思
っていたというのにそれは直後に突然にやってきた。ここは女の寝室で、あれはベッドで、寝
ているのは大河なのに、自分がここに足を踏み入れてはいけないのに、……と。
 朝も昼も食ってないであろう大河を一日中心配していた。
 買い物もせず駈け帰り、ありあわせで夕食をつくり、ここへ来たのだった。
 突然の思いに惑ったのはほんの数十秒であったろうか。

363 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:56:54.02 ID:M5ZJAiN50
 お気に入りのシルクのパジャマで背を向けて寝たふりの大河は、北向きの窓から差し込む夕
刻の、つるべ落としの秋の日の最後の明かりを逆光で受けていた。
 滑らかな生地を透かして、隠された素肌のシルエットが肩口から見える。華奢な肩と腕の輪
郭をおぼろげながらに映して、それは確かにここに居るよと訴えかけているようだった。
 今日まで気づきもしなかったのに。
 いやそれは嘘だ。気づいても、気にならないでいられたのに、だ。
 それもまた嘘だった。気づいて、気になって、そのうえで気にしてはいけないのだと目を背
けていた、が事実だった。
 俺はそれを見たかったんだな?見なくちゃいけなかったんだ?と竜児は問いを内なる声で発
してしまった。ここは女の寝室で、あれはベッドで、寝ているのは大河なのに、自分はここに
いて……と、だから思えてしまった。
 だが、誰も答えてはくれない。
 俺は……なに考えているんだ?見えている……ったって、背中だろ。だからわずか数十秒の
思考にとどまる。

 答えの代わりに想い起こした。
 竜児には、いつでも一番大切に思っている女の子がいた。
 垂れ目が可愛いらしく、腕も身体もふくよかに柔らかくて、明るく優しくて、いつも一緒に
いてくれて、いつも竜児のことを思ってくれていて、最高の笑顔を向けてくれる、満開の向日
葵のようなその女の子を物心がついて10年くらいか、思い続けてきた。
 お金が足りなかったり、身体を壊したり、ふたりで静かに暮らしているところに押し入って
こようとする他人がいたり、捜索の手が伸びてきたり。
 そのたびにふたりとも恐ろしく、悲しくなり、涙をこぼすのを竜児は見て育ってきた。歯を
食いしばって、自分には最高の笑顔を向けてくれながら、どうにかこうにか逃げまどって、こ
こまで連れて来てくれたその女の子を。

 長い間、ほとんど泣き喚くしかできることがなかった、ちっぽけでつまらぬ、価値のない自
分は、身体も大きくなり、手にも脚にも力を得て、背の高さも並んだ頃には、その女の子を守
らねばならないと心の底から思うようになった。自分にとって誰よりも大切な、世界でただひ
とりの愛する女の子だから。
 いつも、どうしようもないことで泣かされていてかわいそうだった。泣かずにがまんして笑
うのを見てしまった幼い自分の胸もごっそりと抉られてしまって、ぽっかりと大きな傷が開く
ようだった。それは、痛くて、苦しくて、耐えられそうにないじゃないか。

 寂しくてどうにかなってしまいそうだったけど、ひとりで留守番をすることから竜児は始め
た。女の子の泣き顔を思って耐えた。
 長い時間仕事に出ていたというのに、疲れた身体で帰って来て、ご飯を作っている姿を見た
から代った。掃除をするよりは少しでも寝て休まないといけないから、代った。夜中にレシー
トを並べては電卓を叩いて悲しそうな顔をしているのを目を擦りながら見て、倹約するという
ことを学んだ。
 少しずつ女の子を支えて、少しでも本当に笑ってほしい。いっしょに寄り添って笑えたら、
すごくいいじゃないか。
 竜児にとって、渇いた喉に水を注ぎ込むようなやり方がそうして始まったのだ。

 やがて女の子がいくぶんか巧く世間を泳ぎ渡って行けるようになり、やや暮らしに余裕が生
まれた頃に、竜児にも友だちができた。どちらも眼鏡男だったのは偶然なのだろうが、見た目
とは違って優しくていいやつと分かってくれたのはとても嬉しく、それはささやかな自信にも
つながった。
 だから、綺麗で、可愛くて、明るい別の女の子に恋をすることもできたのだろう。
 いつかこの気持ちを告げられたら、受け入れてくれたなら、最高の笑顔を向けてほしい、い
つも自分のことを想ってほしい。そんな淡い願いとともに。
 一番大切な女の子と結ばれることは永遠にないのだから。そんなことは明らかだから、意識
もせず16歳の竜児は健やかに思いを秘め続けた。
 思っているだけで良かったのだ。実際のところは。
 否、思っていることしか、赦してもらえないでいるのだ。竜児の心中でいっしょに育ち続け
た女の子は、誰にも、何も、求めないというのに。


364 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 01:58:37.33 ID:M5ZJAiN50
 だけど、今やどうだろう。
 もう晩秋から初冬に至ろうという、外は空高く晴れ上がって寒風吹く頃というのに、窓を全
開にして、寒いだろうに昼間っから惰眠を貪っている、さらにまた別の、小柄なこの女を眺め
ている。
 見た目も性格も理想とは違っていたけれど、綺麗だと思うし、可愛いと思っている。時たま
ではあっても最高の笑顔を向けてもくれた。いてくれと頼んだわけでもないのに、毎日いっし
ょで、すぐ近くにいた。
 ただ、喉が渇いていたから水を与え、腹を減らしていたから食わせただけだった。
 それで安らいで、それで笑顔を向けてくれて、それで自分にもこのうえない喜びをもたらし
てくれる、とは後から気づいた。彼女が近くにいないことなどもはや考えられない。

 声をかけてから黙ったままで、歩みよって揺するのでなく、さらに起きろとたたみかけるの
でなく、かといってリビングに戻り放っといてくれるのでもなく、ただ立ちつくして送り続け
る視線を寝たふりの大河は感じて、耐えきれないかのようにひとつ大きく呼吸をする。
 その背の動きを見せられて、だめだ、とどこかで思いながらも、竜児はさらに内なる声を発
するのをやめられなくなった。

 惹かれて、側に居ると言い放ったときの俺の中二な台詞は、どこかその場限りの口から出ま
かせのつもりでもあった。かわいそうな女の子を救う方便で理屈なんてどうでもいい。放っと
けない俺が居たいと思ったから居ることにした。
 でも、真に受けたこいつは、言った通りに並び立とうとしている。
 たくさんの昼と夜を共に過ごして、そんなみっともない姿を幾度と見て。歯を食いしばって
自分の足で立つんだという、高潔な姿をこれ以上なく鮮やかに見せつけられて。
 そうして、今ではかわいそうな、棄てられた女の子だなんてまったく思わない。
 竜児が気持ちを放り込んでいた皮袋は、もう、ぼろぼろで、どうしようもなくずたずたで、
ものを仕舞っておく役に立ちそうもなくなっていた。中になにがあるのか文字通りだだ漏れに
なろうとしていた。
 でも、気づくことと向き合えることはまったく別物。

 逆光に透かされる、パジャマの中の大河を見てしまってなお思う。
 とうに日は暮れて差し込む光が赤から青、紫へ色を変えていく中で。
 こいつの瞳を真っすぐに見て思えるか?その方の情動、控えおろ!と竜児の脳内お奉行がま
たもしゃしゃり出て、預かりものゆえいつか返さねばならぬものよとしたり顔。そのほう道理
というもの、存じておろうが、と。
 思い出せと諭されて、罪を恥じ、竜児はまた新しい丈夫な皮袋にその思いを仕舞いこむ。仕
舞い込めさえしたならそれは真実に他ならない。
 曰く家族のようなもの、と。
 曰く妹のようなもの、と。
 左様。安全に包み隠し終わったうえなら、狂おしいほど熱を持ちながら思ってよい、だがゆ
めゆめ言ってはならぬとお奉行がお白州を終える。これにて一件落着。
 そうして赦しを得た竜児はもう遠慮はしない。目の前の女にあらためて思いを寄せる。言わ
なければどんなに強く思おうが、いいんだから。
 ――大河、お前が。と。

 竜児は、歩み寄って北向きの窓を閉めた。寝ている女の傍らに立ち、おい大丈夫か?腹減り
すぎて起きれないのか、と揺する。
 ――お前が好きだ
 風邪ひくぞ、と妙にしゃがれた声をかける。
 ――お前が好きだ
 目を開けた。表情が硬かった。メシ用意してあるからいっしょに食おうぜと、いつものよう
に、なにげなく向けてみる。
 ――お前が好きだ


365 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:00:09.26 ID:M5ZJAiN50
 大河は逃げなかった。……というより逃げ込めるところがない。竜児の優しい眼差しにほん
の少し違和感を感じて、訝しそうに見上げていた。
 大きな鳶色の瞳を三角に眇めて、迷惑そうな、寝起きで分からないといったような顔。この
ままぶすーーっとして、やがてけだるそうに起き上がって、ぺたぺたリビングへ歩いて行って
夕食を済ませばいいのだろう。

 私の駄目なところばっかり見てきて。
 あれだけ思ってくれた大切な男の子と。
 無愛想に、迷惑そうに、ご飯を。いっしょに。少しだけ感謝をあらわして。
 ――竜児が好き

 ゆらっと瞳が揺れたと思ったら、ぼろっと。重みに耐えかねた大粒の涙がこぼれた。ひとつ
だけ、つっと白い頬を伝って枕に落ちて、染みをつくる。
 大河はそんなことに構わず、竜児の目を真っすぐに睨み続ける。
 ふつうに、いつもの不機嫌ツラをしているつもりでいたのに、そうなってしまった。
 竜児は大河が起き上がれるまでベッドに腰掛けて、目をそらさずに黙って見つめ続けた。
 互いに、何をを言葉にしたらいいのか、分からない。
 口を開いてしまえば、伝えたい言葉はおそらくひとつしかなかった。それはどうしても言え
ない。言ったらいくつものことをさらに壊してしまいそうだ。
 言えず、動けず、固まったまま。それでも目を反らしたくはない。
 涙がもうひとつ。ぼろっ、と。
 ずいぶん時間が経ってから、竜児はティッシュを取り出して、大河のドジをフォローするよ
うに拭った。いつものような手つきで、でも初めて大河の涙を拭う。その手が微かに震えて息
苦しく、胸が裂けてしまいそうで、でも大丈夫。大丈夫と言い聞かせる。
 ――お前が好きなんだ、俺
 うん大丈夫、と頷いた大河がその手を受け継いで自分で拭いはじめた。悲しくて、つらくて
泣けてしまったのではないんだよと。心配すんなと、伝えたい。
 ――竜児が好きだよ、私
 竜児は大河の冷え切った手を取った。握って、リビングに引っ張って行こうとした。それは
まるでダンスに誘っているようにも見えた。
 その動きが途中で止まる。
 冷たい手だった。かわいそうだ。そんなふうに見られるのなんかまっぴらだと思う誇り高い
女と、いやというほど知っていた。それでも分かってしまえば、やっぱり竜児はあっためてや
らねえと、と思う。
 ――お前が好きだ、大河
 引っ張られて立ち上がりかけた大河は、もう片方の手も握られて、すとんと落ちて再びベッ
ドに腰掛けた。目を向けられなくなって俯いてしまう。冷え切った手を預けて、普段よりも熱
い竜児の手で擦られる。抵抗もせず、出来ずに、ただただ好意を受け取る。
 それが、自分にだけ向けられる優しさと、この距離で触れられればごまかされようもなくわ
かってしまった。甘えたい気持ちが湧いて何度も、何度も唇が開きかけ、無責任な言葉を宙に
響かせてしまいそうになって、そのたびに必死で抑え込んだ。
 ――竜児が好き
 ――竜児が好き
 ――竜児が……好き
「りゅっ……」
 悲鳴のように漏れた音が動きを止める。
 耳元にまで破裂しそうな鼓動を感じているうちに体温が上がってきて、末端の手足にも熱が
送り込まれて、やがて温まる。
 握った手に熱を感じた竜児は、大河の両手をつかんだまま、リビングへと引っ張り出した。
手を離したくなかったけれど、夕食のしたくをすませておいたガラスのローテーブルに向かい
合って座った。ご飯を盛ってやり、食べ始めたころに、互いにやっと人語を解し、口にするこ
とができるようになった。

366 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:11:57.67 ID:RhOSIjTM0
「おいしいよ」
 おかずを頬張りながらの大河の頬にさらにもうひとつ、ぼろっと伝う。
 ――すきだよ
「そうか、よかったな」
 またなにげなく拭ってやりながらの竜児がぽつりと受ける。
 ――すきだ
 いつまでもこうしていたいと思った。少しずつ笑みが戻って、ゆっくり、ゆっくりと時間を
かけて、笑いあうでなく、背きあうでなく、でも寄り添っているかのような不思議な心地よさ
を感じて、ふたりでご飯を食べた。

 でも、こんなときでさえも大河はしっかりと三杯飯を胃におさめるのだ。自分が悩んでいる
うちならば、こうなのだった。もう、ラブレターを間違えた鞄に入れたぐらいで倒れるような、
ひ弱な子虎ではない。
 勝手知ったる大河んちで洗った食器を提げて帰ろうとした竜児に大河が声をかける。
「ねえ?」
「なんだ?」
「アイスクリーム食べたい。明日でいい」
「はあ?この寒いのにか?」
「あんたが作るホームメイドのやつ。すごく美味しいから」
 暖かい部屋で季節を問わずに食べるのが真のアイス通ってものよ?頼んだわよ。
「……この期に及んでわがまま放題なら、まあ逆に安心だよ」
「あんたが私の傷心につけこんで不埒な行為に及ばなかった方が安心したね」
「しねえよ!」
 やれやれといった感じで緊張を解く竜児に、ふひ♪と眉を気持ち吊り上げ、少しばかり赤く
した目をやっぱり心もち三角にした、挑発的ないつもの笑みを大河は見せる。
 わかったわかった。いつもどおりでなによりだ。じゃあ明日な?

 独り残された、だだっ広いリビングで、大河は膝を抱えてうずくまる。
 以前は、この寒々しい自分ちに独りきりでいた時の孤独とそれなりにうまく折り合えていた
と思う。高須家へ招かれて団らんの中に置かれたときの方が、言いしれない寂しさに襲われて
いたのを覚えている。
 でも、今はここに独り残されている方がさみしい。
 それでいて、次に逢えるときが約束されている。それがどれほどの幸福感をもたらしてくれ
るかを、大河は身をもって感じている。
 涙を零してしまった辺りから胸を焦がされて、それはそれはたまらなかった。よくもまあこ
んな病気みたいな発作みたいな状態に、それも瞬時に陥るものと驚いたり呆れたり。
 なるほど“落ちる”と形容するわけだと妙な感心も。
 現在進行中で胸を焦がされているなかでもこう思えるのが大河という女ではあった。
 でも、それでも堰き止めた思いは乗り越えて流れ出している。

367 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:14:32.35 ID:RhOSIjTM0
 だって本当に息苦しいのだ。目を開けていても、閉じていても、竜児の顔が、手が、指先が、
背中が肩が、声が、次から次へと想い起こされる。そのひとつひとつに集中して思いを寄せれ
ば息苦しさが少し緩まって、幸福感で満たされてくる。
 これじゃ、竜児のことしか考えられない。
 驚いたことに、その自分の脳内で再合成されたに違いないビジュアルイメージは実物の倍ほ
ど格好良く、実物と同じように優しくて、面倒を見てくれる能力抜群で、毅然と、決然と、ロ
マンティックに口説いてくれて、スーパーに連れてってくれたりするのだ。
 スーパーなのかよ、というツッコミは大河の脳内ですらスルーされている。
 ――お前のために角煮をとろっとろに蕩かしておいたぜ
 うはぁ、たまんないわ!
 あ、あ〜ん……あん。おいしっ。おかわり(はぁと)。
 この特殊な状況に置かれた少女の妄想力は自由で奔放で勝手でアホくさいものなのだった。
毎日繰り返す営みに、涙ぐんだり、笑いあったり、戦いも、やすらぎも、すべてはまだ途中な
のであった。大して現状と変わらないような気もするが、昨日と今日は別の日でちょっとずつ
だけど違うんだもん。
 逢坂大河は、恋をした。
 遺憾ながら。


 どうもおかしいなと気づいた。
 確か昨日は恋しい恋しいと思い勢いで浮かれポンチな妄想をしながら落ちたはずだ。気持ち
良く深〜く眠れて夢も見なかった。眩しいじゃんかと思ったらぱっちり目が覚めて、何も残っ
ていない。
 あらま。
 明るいけどまだこんな時間?
 二度寝を試みるも全然眠くないし、起きたとしてやることはないし。シャワーでも浴びてく
るかと立ってみて気づいた。
 ゆうべ確かに竜児に恋したはずなのに、寝て起きたらなんかうそくさい。
 熱いシャワーとぬるいシャワーを交互に浴びて、たっぷりの泡を立ててつるんつるんに磨き
上げながらいろいろと思ってみるけど、息苦しさも胸の締め付けも感じられなかった。
 角煮妄想をしてみても、絶妙な煮汁にひたひたとろとろなバラ肉の旨さと、白いご飯をいっ
ぱいに頬張って食べる喉越しの充実と幸せを真っ先に思い出すばかり。
 こんなに美味しく煮上げる竜児すごい!とは思うけど殊更にかっこいいとはあんまり思えて
こなくて、この妄想の中ではむしろ皿に残してるふた切れのどっちかをいかに目を盗んで奪い
取ってやろうかという方が当面の関心事だ。
 おっかしい、おかしいな?と思いながら手持ちの中では数少ないせくすぃーな下着をつけて
みた。恋したのだからいつ、いかなるとき変な雰囲気になってそういう事になるかも知れない
から。と、思ってみる自分にもアホくさいわあと。実は乗りが悪かったり。


368 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:18:37.77 ID:RhOSIjTM0
 身じたくを終えて、停学二日目の朝。
 外出は極力しないよう担任に言われていたけど、独り暮らしなのは知っているから食事や買
い物を別としてなるべくね、ということだった。そろそろ時分だし隣家でご飯を招ばれるのは
許容範囲だろうから行こうと思う。暇だし。お腹すいたし。
 マンションを出て見上げたら今日もいわし雲がびっしりと高い。湯冷めしそうな寒気の中を
通りに出て、今日は少しばかりエレガントに歩いてみる。
 この来るべき冬は面倒がってまだコートを出していないから、秋物ワンピースの上にラベン
ダー色の手編み風カーディガン、アンダースカートのフリルをひらひら舞わせるキメたファッ
ションにふさわしくエレガントに。でかいクシャミをひとつぶっ放しながら。
 出勤途中のサラリーマンやOLと多くすれ違う時間帯にちょうど当たったらしく、何人もが
襟を合わせながら、季節感もなくこの寒いのに気合い十分のあれは?という顔で振り返る。ド
ラマの撮影でもしてるのだろうか、前か後ろにひょっとしてカメラクルーが?映っちゃっても
いいのかしら?そうしたら名古屋のお母さんと友だちに放映日を連絡しとかないと、あ、なん
てドラマでこのシーンどこなのか聞かないと。スタッフさんどこー?スタッッフーーッ!など
と要らぬ心配してるっぽい人もいるけどそんなわけはない。
 ただの停学中の美少女はそんな視線には気づかず、高須家へと向かう路地をぐるっと回り込
んで、数十秒で着いた。

 外階段を普通に登って、大河にしては静かに扉を開けて上がり込む。
 ちゃんと来そうな頃には鍵をあけておいてくれるのもいつもどおり。上がるとみそ汁の美味
しそうな香りがうちいっぱいに漂っている幸せな朝も、いつもどおりだった。
「角煮ー、角煮はー!竜児角煮ー!」
「お前なあ、朝メシで角煮はねえよ。シャケだ鮭!」
 さっさと居間へ駈け込んで、窓際の定位置にちょこんと座って、卓袱台に頬杖をついて台所
に立つ竜児を急かす。いわゆるメシまだコール。
「うん。まあ言ってみただけ。けさ起きたらなんと角煮の妄想でお腹減らされたから」
「じゃあ夕食は角煮にすっか。和風中華風、どっち?」
「中華風ってのは珍しいからそれ!でも茴香の香り付き?あれ嫌い」
「俺も苦手だから心配すんな。軽く素揚げにしてネギとショウガと鷹の爪でちょいピリにするから」
「酢豚っぽいけどそれいい!」
 あとデザートにアイスクリームだっけな。……と、と?なんだお前?
 ん?なによ?


369 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:19:50.21 ID:RhOSIjTM0
 偶々手が離せなくて、雑談を交わしながらようやく振りかえってみたら大河が妙に身綺麗な
のを見てしまい、つい竜児は突っ込んでしまった。
「どっか出かけんの……かなって綺麗なカッコしてるから驚いただけだけどよ」
「停学中にお出かけするわけないじゃん。気分よ」
 別に特別に装ったつもりはなく本当に気分でちょっと念入りにしただけだった。今までだっ
てこのぐらい着飾っていたことは何度かあったけど、それを竜児がどうこうコメントするなん
て一度もなかった。内心どう思っていたかまでは分からないけど、少なくとも言われた覚えは
まっったくない。
 それが言うに事欠いて、きっ“キレイ”って?
 つるっとシレっと言われたことに反射的な受けを返した後で気づいてしまい、昨日までと違
う今日に大河は困ってしまった。何のつもりだこのバター犬!あんたの方だけ雰囲気おかしく
したら、どんな態度とっていいかこっちだって分かんなくなるじゃないよっなどと心のうちで
軽く毒づいてみるが。

 あ?あっ?あっ?……あれ?すっ、はっ、すっ、はあ〜。
 来たよ?
 なんか息、くるしいよ?吸って吐いて、吸って吐いて、ヒッヒッフー。これは違うけどちゃ
んと呼吸してるのに。胸がきゅーーっと締め付けられて、喉の下になんか塊を感じて、それが
鳩尾を通ってお腹の方へゆっくり降りていく。
 その通り道が奥からくすぐったい。なんかたまんないよ?
 なんでそんなことしたのか、立ちあがって、アンダースカートの裾を両手でつまみ上げて、
そのまんまくる〜っと一回転。モデルのように回れれば理想だったけどちょっと加減ができな
くて広がりすぎたのはみっともなかったし、これがなんのための行為か考える間もなく、勢い
で、ほーら、どう?なんて。……て。
 りゅ・う・じ・に・愛・想・ふ・り・ま・い・て・しまったっ。げーーーっ!キモいっ!

 竜児は棒立ちで、クチを∞の形に半開きにして、両肩を落としてげっそりと呆れてるように
見えた。なによ!あああんたが褒めたんじゃないよ?
 だめだっ、なに言ってる私っ!もうだめっ!自爆。
「か……」
 か?
「可愛いな。……い、いいんじゃね」
 なんだ。呆れてるんじゃないのあんた。まんまじゃん。ここ全力でツッコんでくれないと私
すべっちゃうんだけど。てかもうすべっちゃったじゃんっ。おまけにその棒立ちの後ろでなん
か焼いてるものがどんどん炭化してるじゃんっ。
「今朝はっそういうおかずなわけっ?」
「お?おおっ!あああっ!?」
 そのまますとんと垂直に落ちて私が座り込んだのは、いうまでもない。今日からこんな重い
十字架を背負わなきゃいけないの?私は?


370 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:20:48.56 ID:RhOSIjTM0
「あんたが焦がしたんだから背の方食べなさいよ。腹身に箸伸ばすんじゃないよ」
「おう……。でも俺のせいか?お前が……」
「私が何したってのよ?言ったらぶつからね」
「……せめて皮くれー」
「だめ。焼き鮭の皮おいしいもん。好物だもん。あんたは大根おろしでご飯食べてろ」
「そんなに綺麗にしてるくせになんてセコいんだお前はよっ」
「どぅぁーおらぁぁっっ!言うなっつったろが!!……おかわりっ」
「おうっ」
 結局、焼き鮭の切り身ひとつを奪い合っ……仲良くつつきあって朝ご飯を済ませた。

「昨日、川嶋が来たんだって?」
 朝食といえども高須家では食休みというのをきちんと取る。熱いお茶をすすって、洗い物も
済ませてくつろぐ時間をちゃんと読みこんで竜児は動いている。いつも。
「やっちゃんに聞いたの?」
「おう。早退してまでおまえんちに行くなんてなんか大事な用だったんだろ?」
「そ。大事なものを秘密裏に届けてくれたのよ」
「なんだよ?」
「生徒手帳……って言うより中に挟んでた写真ね。アレよ、アレ」
「ああ……アレか。親切なやつだな。礼言っとかねえと」
「もう済ましたわよ。なんであんたがお礼言うわけ?やっぱ私のお母さんか?あんた」
「そんなつもりはねえけどよ……お、そうだ」
 今日から夕方早目に行くから、全科目ノート写せ。んでもって昼間それ見てちゃんと進めろ
と竜児は世話を焼く。うん、と大河も素直に頷く。
「分かんない事はその次に行ったとき教えてやるから。そういうルーチンでやるぞ」
「ほんと?なんでも教えてくれる?じゃあ答えられない質問を用意しないとね」
「なんだそりゃ?あ、そろそろ俺は行くな。お前はゴロゴロしてっていいぞ」
「うん。合鍵置いてきちゃったから、やっちゃん起きてきたら帰るわ」
「おう。じゃまた夕方な」
 それ置いて行けと、大河はマフラーを奪う。コタツもストーブも出してないこの寒いうちに
軟禁して私を凍死させるつもりかと脅迫したら苦笑しつつ巻いてくれた。


371 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:21:46.24 ID:RhOSIjTM0
 登校していくのを、外階段の踊り場に出て手を振って見送る。
 出かける竜児を朝に見送るなんて初めてのことで、これじゃまるで嫁みたい、と思う。
 家事がなにひとつできない嫁。まああんたができるからいいのかな?
 分かんない事は教えてやるからって言ってた。ほんとは誰が好きなの?って訊いてやろうか。
ははっ、まさかね。まさか。訊くまでもない。余計な期待はしちゃいけない。
 もう息苦しくはない。寂しくない。やっぱり病気みたいな発作みたいなものなんだ。いつも
いつまでも悩まされることはない。
 それでも思うんだ。私は。
 りゅうじがすきだよ。ありがとう。ばかちーにも同じ思い。

 大河は主のいない竜児の部屋に入って、畳に寝転がってみたり、机に向かって椅子に腰掛け
てみたりする。何を想っているのか誰にも言わないけど、嬉しそうだった。
 しばらくして竜児の部屋からベランダへ出てみる。
 隣のマンションとの僅かな隙間から帯に切り取られた空を見上げる。ちょっと風が強い。

 人と人が対等につながれるなんて幻想でしかない。私は誰かに従わされ、あるいは従えて、
独りきりで生きていく他にないんだろう。
 でも、竜児とだけは幻想を現実にできるのかもしれないんだ、ばかちー。
 ドミノの最後のピースを倒すまでは誰にも言えないことだけど。先のことなんか分からない
し、どうせ裏切られると思ってるのに期待なんか持てない。
 最後までドミノが倒れるのかも。ね?
 でも、少しだけ夢は見るよ、わたし。いろんなことをぜんぶ巧くやって、自分の望みもその
中でかなえられるって、そういう夢を。


372 :晩秋のバックステージ、そして天の竜 ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:22:48.88 ID:RhOSIjTM0
 今日も見上げた空が高い。
 高空にはいわし雲が散りばめられてまだ秋の空だけど、寒気団がやってきていているのか、
風はずいぶん冷たくなった。
 でも大丈夫。

 大河は、赤いカシミアのマフラーに顔を埋めた。あったかくて、匂いがして、まるで抱きし
められているようだ。……とは思ってみるけど、思いを込めて抱かれ包まれたら、本当はどん
な気持ちになるのか分からない。知りたいと思うけど、たぶん知る機会はこない。
 でもそれでいい。恋がかなうのはどんなに嬉しいか、私にだってもう分かった。
 ずっともらうばかりだった私が、初めて竜児にあげられるもの。それがこんなに嬉しいもの
なら最高だ。竜児のそんな顔が見れたら言うことない。お釣りくらい貰わなくちゃ。

 大河は空を見たまま、小さな胸を押さえて確かめてみる。おかしな浮かれ方をしていないか、
変なごまかしをしていないか。だって、間違えたら取り返しがつかない。
 本当の自分に嘘をついていない?
 大丈夫。うん。
 涙は出ない。ちゃんと落ち着けば、苦しくも切なくもない。大丈夫だよ。

 竜は水を統べる神様だから、あの高い空からきっと見ていてくれる。
 私も見上げていたい。
 私のすきな竜児を、見ていたい。




――END



※作中にて、以下の一部を引用させていただきました
岡崎律子『心晴れて 夜も明けて』作詞


373 : ◆0/FKyHtS2M :2011/06/09(木) 02:27:34.90 ID:M5ZJAiN50
以上です。字数制限でレス数が増えてしまいましたことお詫びします。
この後クリスマスが来ると思うといまひとつ凹みますが。

374 :代理:2011/06/09(木) 16:54:39.99 ID:QAE31xIg0
617 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/06/09(木) 13:18:06 ID:???
お題 「へえ」「違う」「うまく」



「たっだいま〜」
「おう、お帰り大河」
「はい竜児、おみや〜」
「おう、サンキュ。ホテルのレストランなんて、そうそう行く機会ねえからなあ……」
「ぷっくくく……」
「な、なんだよ」
「だって、竜児へのおみやげがドギーバッグなんて……ぴったりすぎて……ぷぷっ……」
「ほっとけ。で、どうだった?」
「んー、みのりんもばかちーも元気だったわよ」
「おう、そいつはよかった」
「ばかちーってば、今度映画の主役やるんだって」
「何!? マジか?」
「マジ」
「へえ……あいつはどんどん凄くなるなあ……何かお祝いでも贈るか」
「あ、それならうちでホームパーティでもやらない?」
「おう? なんでだ?」
「普通のプレゼントなら、もうあちこちから貰ってそうじゃない? それに、今ならスケジュール調整の関係でちょっと暇があるんだって」
「なるほど……そいつはいいアイデアだな」
「でしょでしょ。みのりんもばかちーも久しぶりに竜児に会いたがってたしね」


「櫛枝、川嶋、ちょっとこのテリーヌも食べてみてくれねえか?」
「どれどれ、いっただきま〜す」
「……! ひょっとして、これって……」
「おう、この間大河が持ってかえってきたやつをさ、自分なりに再現目指してみたんだけど……実際に食べた事ある二人から見てどうだ?」
「うっまあぁぁい! でも……」
「んー、そうね、再現というにはちょっと味が違うかしら」
「おう、そうか……やっぱそう簡単にうまくいくもんじゃねえか」
「あー! みのりんとばかちーばっかりずるーい! 私もそれ食べるー!」
「おう、大河……ほれ、どうだ?」
「んー、美味しい! この間のホテルのやつよりこっちの方が好きかも」
「……ねえ、高須君」
「おう川嶋、何だ?」
「ひょっとしてさ……殆ど無意識に大河好みの味付けに変えちゃってるんじゃないの?」
「!」


375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/09(木) 21:25:49.44 ID:GfCVVx5V0
ドギーバッグ酷ぇ(w

ero先生らしからぬところが一点。アーミンは大河の事「タイガー」って呼ぶよね。

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/09(木) 22:53:16.29 ID:hHTiZhmI0
まぁ、時にはミスるんでは。乙でした!

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/10(金) 00:13:25.96 ID:2uj9jzKr0
大河とあーみんの距離感が素晴らしくうまいね
原作6巻と7巻の間にもいろいろ思うところがあったんだろな
大河も竜児もあーみんも

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/10(金) 17:24:42.83 ID:JBVVL/w70
>>354
エピローグ、やはりagainの方でしたか!GJっす!
とらドラらしい、心温まる締めにじんわりしました。
またネタが舞い降りましたら是非!あなたの書く竜虎がもっと読みたいです。

>>373
凄い、濃密な心象描写。
何度か読み返し、お互いの枠に嵌められないというか、湧き出る想いにぎゅううっと胸が締めつけられました。
大河とあーみん、竜児と大河の対峙と緊張感孕むエピソードが続くなか、
安心感ある二人らしさが漂う朝食にほっこり。くるくる回る大河かわええw
ラストが切なくて可愛いな…。
短期間にたくさんいいものを読ませて頂いて幸せだ!本当に乙です。

>>374
愛の成せる業ですな〜、GJ!

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/10(金) 18:14:12.78 ID:DbwBH5F/0
高校時代竜児に犬意識をすりこんでおいて良かったな、大河w
ご主人様がちゃんと好みを把握してるとか…

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/10(金) 22:59:49.47 ID:IhjHHIC9O
>>354
大作乙でした。途中からの読者でしたが、ハッピーエンドに着地した時は嬉しかったなあ。
宇宙に行く兄貴が見られて良かったです!

>>373
秋きたー!自分の中ではどうしても「サツ魔イモ」のイメージなんだけど、しっとりした秋も良いっすね。
この独白を読んで、文化祭→殴り込み事件でボコボコになった大河の心中を思うと胸が痛む。

>>374
テリーヌ作っちゃう竜児SUGEEEEE!
高須家の味に大河が馴染むのと同じように、竜児の味付けも大河の好みに近づいたんですかねw萌えるなあ…

381 :文化祭企画・第1話:2011/06/11(土) 19:38:27.25 ID:v6++5bRd0
「ただいまー大河」
「あ、お帰り竜児。じゃ買い物に……なんだ済ましてきたんだ?」
 エコバッグを提げた竜児が帰宅して、買ってきた食材を冷蔵庫に整理すると、卓袱台の前に
座る。そして鞄から取り出した綴じたプリントを何部かぱさっと置く。
「なにこれ?」
「代案だそうだ。春田の脚本が嫌ならこの中から決めろって」
「へえ〜、なんで竜児に決めろって言うんだろ?」
「俺じゃねえ。お前だ。うちのクラスは有名人のお前をいかに乗せるか、なんだとさ」
「……乗せたくてあんな脚本なんだ?どんっっっっだけ舐めてんだぁっ?あいつらっ」
「舐めてるわけじゃねえよ。みんな危険なお前との距離感を測りかねているんだ」
 ふざけりゃ乗ってくれるんじゃねーの?ってまずは考えても不思議はねえよ。みんな有名人
のお前を人気者にもしたいんだろうな。好意に乗っかってイベントを楽しめ。
「そ、そういうふうに言われれば別にやぶさかではないわね?」
 で?どんな脚本があんの?
 おう、まずこれか。2−C貴腐人ソロリティ作、だそうだ。

 『リン・かけ』企画書
 配役
 高嶺竜児  …高須竜児
 高嶺 菊  …逢坂大河
 剣崎 順  …北村祐作
 香取石松  …逢坂大河(二役)
 志那虎一城 …櫛枝実乃梨
 河合武士  …川嶋亜美
 影道 殉  …狩野すみれ(特別出演)

 ほう『父の志を継いだ姉、菊にボクシングのトレーニングを受けた竜児は永遠のライバル剣
崎と出会い、いろいろ戦って世界チャンピオンを目指す』んだそうだ。
 ふーん。私があんたのお姉ちゃん役なのか。あ、この二役の石松ってのはなにさ?
 え〜『元々のケンカ好きが高じてボクシングを始めた“ケンカチャンピオン”の異名をもつ
日本Jr.いちばんのチ……』
 は?なんだって?『……いちばんのチビでムードメーカー、切り込み隊長』
「なんじゃこりゃあっ!」
「待て待て、姉ちゃんの菊は最後には剣崎と結婚するらしいぞ?剣崎役は北村だぜ?」
「え?そ、そうなの?」
 おう。『出会った当初は反目し合っていた剣崎とは、いつしか互いに憎からず思う仲となっ
ていった』んだそうだ。『竜児に自分の支えが必要なくなったと悟った菊は、最後のフィニッ
シュブローを竜児に授けて姿を消し、竜児と剣崎の世界タイトルマッチが行われている頃ウェ
ディングドレスをまとって教会で二人を待つ』だとさ。
「すげえな、ベタだけどもろヒロインじゃねえか」
「う?う?うぇへへへへぇ〜♪」
「剣崎には『チャンピオンベルトより一人の女が大事』って台詞もあるぞ?大丈夫か?」
「ひ、ひゃぁぁぁぁぁ、みず、水ちょうだい」
 ごぶごぶごぶごぶ……!
 お、つづきすげえ!『菊を巡って、世界タイトル戦の会場に向かう剣崎に路上での勝負を挑
み、最後はそれぞれのフィニッシュブローをぶつけ合い、石松は惜敗する』なんてのもある。
お前取り合われるヒロインなのか。いい役だよなあ……。
「……ちょっと待ちなさいよ。石松?私の二役のほうじゃない。どうすんの?」
「どうすんのかな?あ、注釈がついてる」
 ……剣崎と石松の決闘シーンは役者の心理的な乗りを考慮して、石松役を高須竜児とする。
んだってさ。ははっ、俺が北村とお前を取り合うのがクライマックスらしいぞ。
 おいっ、どうした?
 なに真っ赤になって卒倒してるんだ?
 おいっ、大河っ、しっかりしろ!くまさん柄のパンツ見えてるっ!倒れるなら隠せっ!
 なにっ?なんだって?
 “そんなの出来ない”!?
なに言ってんだおいっ。おいっ。

――第2話に続……かせたくない

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/11(土) 23:36:35.42 ID:SzphbY1I0
りゅうじつながりかいww

383 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/13(月) 11:10:47.97 ID:ZtqCLq+k0
お題 「尖らせた」「焦がした」「つん」



「……おう……」
 鏡に映しだされたすっきりと整えられた前髪に、竜児は思わず感嘆の声をあげる。
 つんつんと軽く引っ張ってみるとしっかり感触があって、どうやら夢や幻ではないらしい。
「……なによ竜児、その感慨深げな表情は」
 切った髪を新聞紙ごと片付けながら唇を尖らせた大河に竜児は苦笑を返し。
「だって、前の時はなあ……」
「前?」
「ほら、俺が髪の毛を焦がした時」
「……! あ、あれはハプニング、不可抗力じゃない!」
「おう、そうだったな」
「何年前の話を持ち出すのよ。大体、それが人に髪を切ってもらってとる態度?」
「おう、すまねえ。ありがとな、大河。おかげでさっぱりしたぜ」
「何言ってるのよ竜児。さっぱりするのはこれからじゃない」
「おう?」
「髪の毛切った後にはすることがあるでしょ」
「……いや、それは自分で」
「遠慮しなくていいわよ。ほら、いつまでも座り込んでないで」
「別に遠慮とかじゃなくてだな」
「なによ、いまさら恥ずかしがるような仲でもないでしょ?」


「なあ高須」
「おう?」
「お前、今日はなんか微妙にフローラルな香りがしないか? 髪切ったついでに整髪料変えたとか?」
「いや、昨日ちょっと……シャンプーを間違えてな」

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/13(月) 11:40:30.81 ID:kiWFuuP20
うーん。三助さんはムシがつかないようにわざとシャンプー間違えたかw
髪切ってくれる嫁いいなあ、乙です。

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/13(月) 22:22:43.87 ID:vZdE51KzO
>>383
三段噺氏の安定感パネェ
フローラル竜児はさぞかし大学or職場の話題になったろうw
恋人に髪をいじらせるって萌えだよな…。よほど気を許した相手じゃなきゃ髪って触らせないよな。
原作「〜なつやすみ」読んだときも、「おいおい彼氏じゃない異性にそんなことしたらいけないぜ」って
大河に内心突っ込みいれたくらいだw

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/14(火) 12:03:50.93 ID:kdjlsu/M0
フローラル竜児www
職場だとしたらその気配りにフラフラ〜っとなりかけてた新入女子社員が給湯室で泣くわけだw
で、去年同じ目にあった先輩がドヤ顔で「もういんのよ、いんの」とかボヤくと。

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/14(火) 18:54:48.46 ID:CnO/GATN0
>>381
くまさんww第二話に続く…だといいなw

>>383
乙乙!世話焼きたがる大河が可愛すぎる

>>385
甲斐甲斐しさに良い嫁さんになるなと思ったよ。
へえへえへえ〜しか言えない竜児は触れられて内心キョドってる表れだといいw

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/14(火) 19:55:53.35 ID:2Qr2ldwO0
>>385>>387
七夕くらいからもう彼氏彼女より身近に思ってるんじゃないかな
「〜なつやすみ」と「サツ魔イモ」は本編より距離近すぎる気もするけど、
特に本編のイベントがない日常はこんなんで良いんだろとすんなり思えちゃった

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 00:25:26.22 ID:26fkCbKVO
>>386
泣く女子社員と聞いて



「……っ、……。」
「わ。ちょっとどうしたの、こんなところで泣いたりして。
 課長に叱られた?」
「……、」
「違うの?じゃあ何。」
「……。」
「誰にも言わないから。ずっと占領してたらみんなに迷惑でしょ?」
「……け、経理部の。……高須さん……」
「あー、去年入社の。
 ──ばっかねぇ、好きになっちゃったんだ?」
「……、……、……。」
「え? 髪から? 彼女のシャンプーの香りがした?
 そりゃキッツいわー。」
「…………。」
「いい子だよねぇ。顔は鬼般若だけど気が利くし優しいし。ギャップがたまんないよねー。
 去年も何人かがっかりさせてたよ。私も含めてね。」
「……先輩も?」
「まーね。でもあれはダメ。結婚秒読みらしいよ。
 しかも相手に恥ずかしいくらいメロメロでさー。一度酒飲ませて酷い目にあったわ……」
「……惚気られたんですか。」
「写真まで取り出されてね。
 それがまースゴい美少女なの。ガラス細工のお人形さんみたいな。
 その御面相でどうやって知り合ったんだ、ってつい突っ込んだら、高校の同級生だっつーんだから……人生波乱万丈よね、全く。」
「……ぜったいウブだと思ったのに。」
「理系で真面目で人見知り、まではセオリー通りだけどね。
 マイホームパパになりそうだし、十代でアレを選んだ彼女は、かなり見る目があったわねー。」
「……同級生か……くやしいなあ。」
「優良物件はたいてい買い手がついてるもんよ。まあ、諦めず頑張って次探しましょ。
 はいはい、納得したところでそこをどく!
 化粧直しが済んだら、私の机の上の書類5部ずつコピーしておいてね。」
「……先輩のオニ。」
「あら、来週の電気器機メーカーさんとの合コン、誘ってあげようと思ったんだけどなー。」
「ウソですやりますやりますー」



こうですか、わかりません


390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 00:34:17.47 ID:yM82IPt90
ウソだ、本当は分かっているはずだ

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 01:37:11.74 ID:py7ohbyG0
いいね、これw

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 02:32:57.86 ID:oMM/YNEj0
写真まで取り出されてってことは、自主的に惚気たのかww
まぁ浮かれポンチだからなw

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 02:45:22.52 ID:IBT3P5C90
>>389
うまいうまいw大事にもなるわけないシチュだしいいよね。
新人ちゃんはこのあと写真を見たいと言い出してサシ飲み機会ゲットw


「高須さん、彼女いるって聞いたんですけどどんな人ー?」
「え?ああ、うん。高校の同級生でさ、腐れ縁、ていうかね。そんな感じ」
「へー。付き合い長いんですね。じゃあそろそろ?」
「おう、学生の時にもう籍だけは入れちゃってるし、秋ぐらいには形にしようと思ってるよ」
「……、……」
「あ、しゃ写真見る?興味あったら」
「……見せてくださぁい。……バケツプリンっ!?女子の夢!豪快な人っ?」
「あ、それ間違い。こっちこっち」
「そうなんですかー。どこがガラス細工のお人形さん?とか思っちゃったー」
「……なんかけっこう噂になってる?」
「そりゃあもう。う……確かに可愛いっ。どうやってゲットしたのー?」
「えーと、雪の日で、バレンタインで」
「わぁ〜いいんだあっ。もう一杯行きましょうっ!それでそれで?」
「『ずっと見ていたい』って言われて結婚しよう、と」
「ふぉぉ鼻血でそう!そ、それが馴れ初めですかっ」
「いや最初は……ラブレター貰ったのがきっかけ……かな」
「なるほどー、つまりさっきのバケツプリンな彼女がいたところに今カノがスーサイドアタック!って感じ?」
「えー。ち、近いかな?彼女じゃねえけど。アタックは何度も喰らったけど」
「いろいろあったんですねえ」
「いろいろあったんだよ。電車だいじょうぶ?」
「大丈夫大丈夫。今日は逃がしませんからね。そのいろいろを聞かせてもらわないと」
「大丈夫かな?」

 翌日、給湯室にて

「あー、頭いた……あ、先輩」
「二日酔いにもめげず情報収集ごくろうさん。……で?」
「ランチ誘ってもらえて光栄ですー」
「おおランチも迎え酒もバッチコイだ。新情報ある?」
「なんかいろいろイイ話ばっかりでうそくさかったですねー」
「ほう?いいねいいねー深〜いとこ聞き出せたみたいじゃない」
「台風の日の話がそれっぽかったですよ?豪雨のなか彼女が家まで来てずぶ濡れでっていう」
「お、なんかエロ話のかほり!」
「そそ、そうなんですよー」
「よし、長くなりそうだから続きは昼!ダッシュでゴーね」
「分かりました」


 『高須の秘密を探れ』作戦は着々と進行しつつあった。

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 20:08:53.86 ID:LzxVmSY10
>>389から>>393と繋がったかw
俺の予想はこうだなw

「高須さん、高校時代の友人はどんなでした?」
「おう、友達では北村祐作って奴が居て、そいつの幼馴染の川嶋亜美がいたな。」
「ええ!あのモデルの川嶋亜美さんと友達なんですか…!?」
「ああ、ちなみに高校卒業後にわかった話だが、彼女から『川嶋亜美もあんたのこと好きだった。』と聞いたことがあるな…。で後日、本人に聞いたら本当だった。」
「なんていうか女泣かせですね…、先輩。」
「ん?何か言った?」
「いえ、なんでも…。」

翌日

「先輩、高須さんは無理です。本人から聞いた話だとあのモデルの『川嶋亜美』でも落とせなかったそうです。」
「勝ち目…、ないわね。それも後少しで三十路突入するのに…orz。ちっくしょ〜、絶対にいい男捕まえてやる〜!」
「ちょ、先輩?」

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/15(水) 23:45:32.41 ID:NE3tbKCG0
給湯室からの発展ワロスwwww
第三者からアツアツぶりをうかがわせるってのも面白いな
つか竜児モテすぎじゃねww

396 :Live at The BBQ ◆oLWU/inCrU :2011/06/15(水) 23:55:50.26 ID:26fkCbKVO
>>389に愛着が湧いてきたんで即興で書いてみましたw
設定とかは全部いいかげんっす。矛盾しててもお許しを。

●主な登場人物
 「あたし」:竜児の会社の一年後輩。
 「先輩」:お局一歩手前のバリキャリ主任。人情派


『Live At The BBQ』


 ──社員でバーベキューなんて、誰が言い出したんだろう。
 ブツブツ言いつつ、あたしは物資のリストに端からチェックを入れた。 肉よし、野菜よし、燃料よし、お酒──多めで、たいへんよし。
 交流を深める良い機会だからと、家族参加OKのバーベキュー開催を言い渡されたのが、梅雨が明けてすぐのこと。
 準備は毎年若手社員の担当だということで、こうして朝も早よから初夏の日差しに炙られているわけだ。
 向こうでは監督と称してついてきてくれた先輩が、男性社員にテントの設営場所などをレクチャーしている。
 ふと汗を拭おうと顔を上げると、近づいてくる人影が見えた。あれは、あの遠目にも空恐ろしい形相は──。

「高須さーん! こっちこっちー!」

 おーう、といういつもの口癖とともに、一年先輩の高須竜児さん(既婚。涙)がのたのたとこちらへやってくる。
 なぜかやたらと重装備なうえに、誰かの手を引いているからだ。
 一見、山賊がさらってきたお姫様を引きずっているように見えたのはご愛嬌。
 日除け帽子とゆったりしたサマーワンピースを纏い、慎重に歩みを進めているその美しい少女は、初夏の高原に驚くほど似つかわしくて。
 男性連中も思わず作業の手を止めて、ぽかんと二人を眺めている。
 あのひと、もしかして──
「──高須さんの奥さん!?」
「そうみたいね。
 うーわー、結婚式以来だけど、やっぱ生きて動いてるのが奇跡みたいな美少女だわー」
 隣にやってきた先輩が、溜め息とともに眼鏡をずり上げる。
 その“奇跡みたいな美少女(あたしよりひとつ年上)”は、高須さんに紹介されると恥ずかしそうに名乗って会釈し、「た、高須大河です。今日はどうぞよろしくお願い──あわわ」
 ついでに帽子をずり落として慌てて旦那さんに被せて貰っている。
 ──ドジっ子属性もあるとか逆に無敵か。完全無欠美少女かっ。
 思わず激しく目線を交わす先輩とあたし。


397 :Live At The BBQ2 ◆oLWU/inCrU :2011/06/15(水) 23:58:52.05 ID:26fkCbKVO

 一通り自己紹介を済ませると、高須さんは担いでいた荷物を下ろしてシャツの襟を緩め、腕まくりした。
「今日はこいつがあんまり動けないから、そのぶん俺が頑張りますんで。」
「竜児ってば、病気じゃないんだから大丈夫……」
「いいや駄目だ。今のお前をアツアツの鉄板に近づけるなんざ、世間が許してもこの俺が許さねえ。
 髪の毛の先っぽでも焦がしてみろ、暴動と略奪の末にバルカン半島で火薬が爆発するぞ。」
「……。」
 ……さっぱり意味がわからないけど過保護なのは伝わってくる。
 奥さんも何事か突っ込もうとして、結局下腹部に手をあてて黙ってしまった。
 そう、聞くところによると、妊娠4ヶ月目なんだそうで。
 以前二次会を断った時の、高須さんの嬉しそうな顔が忘れられない。
 嫁さんがコレなもんで、とお馴染みのジェスチャーをすると、かけられるお祝いの声もそこそこに聞き流し、飛ぶように帰宅してしまった。
 残された独身者たちの怨嗟の声が渦巻くまいことか。

 そういうわけで、「担ぐんじゃねえ。焼くんじゃねえ。できれば刃物も持つんじゃねえ。」という旦那さんのお達しのもと、彼女とあたしはちんまり座って大量のサラダを作ることになったのだった。
 社員食堂に頼んで下拵えが済んでいるので、実際やることは少ない。
 みんなが合流するまであと一時間。それまで少しでも親しくなれれば……。


「……あの。た、高須さんって、家ではどんな感じなんですか?」
 あちゃあ。緊張のあまり、訊きたいこととは違う言葉が出てしまう。
 日除け帽子ごと首を傾げると(これがまた恐ろしいくらい絵になっていた)、奥さん──大河さんはレタスを大胆に盛り付けながら肩をすくめた。
「会社でどんな感じだかわからないので……。」
「そ、そうですよねー!」
「ただ、やたら細かくて口うるさくて、──とても、優しいです。」
 アヒル口で小さく付け加えるのが本当に可愛い。この人本当にあたしより年上かぁ?
 とにかくこのペースじゃ埒があかないので、まず年下であることを伝えて敬語をやめてもらう。
 それからしばし、途中何度も高須さんの襲来を受けながらも、全員が合流する頃にはだいぶ親しく話せるようになっていた。
 遠くで談笑している先輩と目が合ったので、適当に今考えたサインを送る。

 ──我、潜入ニ成功セリ。



398 :Live At The BBQ3 ◆oLWU/inCrU :2011/06/16(木) 00:01:55.91 ID:26fkCbKVO

 さすがは先輩、正しく理解したらしく、力強いサムズアップ。
 やがて部長による乾杯の音頭が取られ、バーベキューは賑々しく始まったのだった。

「大河、食べてるか? 煙たくねえか?」
 もう何度目かわからない高須さんの様子伺い(と食べ物の差し入れ)に、大河さんは笑ってぱたぱたと手を振った。
「そっちこそ平気? 竜児が近づくほうが煙いわよ。」
 あはは燻し竜だ、と笑う大河さんのほっぺをプニッと摘み、見たことの無いような優しい顔で竜児さんも笑う。
「おう、こんなところにソース付いてる。」
「え、やだ。どこどこ」
「じっとしてろ、今拭いてやる。」
 魔法のように取り出したウェットティッシュでお口をふきふき。彼女も「んー。」なんてほっぺを突き出して、可愛いのなんのってもう……
 ……あのう、あたしも居るんですが。
 目元はあんなに恐ろしいのに、こんな柔らかい表情もできるんだなー。
 その笑顔が欲しかったのにな。もうすっかり諦めたはずの恋なのに、ほんの少しだけ胸の奥がチクリとした。
「大丈夫。彼女がずっとついててくれたのよ。」
「そうか、それは助かるなあ。」
 急に話を振られビクッとするあたしに、竜児さんはその優しい笑顔を少しだけ向け、
「俺、もうしばらく焼いてなくちゃいけねえからさ。
 こいつになにかあったらすぐ呼んでくれな。」
「は、はい! お任せください!」
「そんな、私の係にしちゃ公私混同でしょうがっ。
 気にしなくていいからね?」
 つい舞い上がったあたしに気付いているのかいないのか。去りゆく旦那さんの背中を強めにはたくと、大河さんは猫のように目を細め──いや、猫じゃない。これは虎だ。子持ちの雌虎の目だ──。
 背筋に走った震えを気取られないように、あたしはビール缶の残りを一息に飲み干した。
 ──このひと、見た目通りの可愛らしい生き物じゃないみたいです、先輩。
「さて、じゃあ今度は私からも質問していいかしら。」
 早速席を外そうとしたあたしを牽制するように、大河さんがウフフと笑う。
「え、いやー。あの、そのぅ……」
「聞きたいわー。会社の竜児って、どんな感じなのか。」
 それは、その話題は……。詳しく話せば話すほど、いろいろダダ漏れになる気がするんですが!
「ね?」
「……はい……。」

 ──潜入失敗。SOS、SOS。



399 :Live At The BBQ4 ◆oLWU/inCrU :2011/06/16(木) 00:05:00.95 ID:26fkCbKVO
 必死でサインを送れども、笑顔でサムズアップを返す先輩に絶望しつつ。
 あたしは高須さんに横恋慕した過去の陰徳に、残りの時間すべてを費やすことになってしまったのだった。




     《おしまい》


最高においしいネタ振りしてくださった三段噺氏に捧ぐ。
アフォですみませんw
タイトルの元ネタわかるひとはザッチョー!

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 01:49:27.90 ID:B6rk35Fz0
隠匿、だよね?最終行の真ん中w
元ネタは分かりませんが乙ですよ。
てか竜虎のBBQはなぜ波乱含みになるのか?あ、髪を焦がしたネタに一回転して戻ったのか!

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 07:44:33.41 ID:RxdHzBiL0
「……あのう、あたしも居るんですが。」にワロタ

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 08:00:53.34 ID:Vb5fm1Fa0
この話の恐ろしいとこはあたしちゃんの二人称が竜児さんになったところで即座に大河にマークされるとこだよね。
経験者であろう先輩さんは見捨ててるし、どの辺が人情家設定なのかもワロス
まわり全部グルになって色ボケOLを社会復帰させるイベントなのかw

403 :文化祭企画・第2話:2011/06/16(木) 11:48:19.04 ID:ZWpFYeT50
 文化祭2―C企画プロレスショー(ガチ)の演目をめぐって暴れる逢坂大河を説得するため、
クラスのみんなが代案を高須竜児に託した。果たして大河を納得させられる企画はあるのか?
高須家で会議は踊る。

 おう大河、もう大丈夫か?次の脚本はペンネーム・くしえだみのりん作、だそうだ。原作コ
ミックスもひとそろい付いてる。

 『純愛山河』企画書
「愛は平和ではない 愛は戦いである 武器のかわりが誠実(まこと)であるだけで
それは地上における もっともはげしい きびしい みずからをすててかからなければならない戦いである――
わが子よ このことを覚えておきなさい」(ネール元インド首相の娘への手紙)
 昭和39年。
 財閥令嬢の早乙女愛(さおとめ あい)は7歳、蓼科スキー場で見知らぬ少年に命を救われた。
命がけで自分を助け、額に傷を負った少年の姿は、愛の心に『白馬の騎士』の面影を残す。
 8年後の昭和47年。15歳の美しい乙女に成長した愛と再会した白馬の騎士―太賀誠(た
いが まこと)17歳―は、愛の理想とは程遠く、自ら『フーテン・タイガー』と名乗って暴力
に明け暮れる不良学生になり果てていた。
 額の傷が原因で誠の両親は不仲になり、家庭が崩壊した事実を知り責任を感じた愛は何があ
っても誠を更正させ償おうと決意する。
 愛のはからいによって名門・大橋高校に編入した誠はそんな彼女を嘲笑うかのように、机投
げなどの暴力と偽乳パッドなどの悪知恵で学園中をかきまわす。
 苦しみ悩みながら「愛は平和ではない。愛は戦いである」というネール元インド首相の言葉
を繰り返し心に刻む愛。そんな愛の傍らに常に寄り添う全校きっての眼鏡秀才、岩清水宏(いわ
しみず ひろし)の一途な思い。
 最終的に大橋高校を追放された誠は、『悪の花園』こと、東京一の不良校・花園実業高校へ
と転校、愛はその後を追い、岩清水も追う。だがそこには強大な敵が待っていた。
 影の大番長・高原由紀(たかはら ゆき)、配下の座王権太(ざおう ごんた)、そして第3
勢力の砂土谷峻(さどや しゅん)との壮絶な対決!そして大河と高須くんの至高の愛の行方!!
(梶原○騎・原作 な△やす巧・劇画 講□社刊)

 配役
 太賀 誠 …逢坂大河(男装)
 早乙女愛 …高須竜児(女装)
 岩清水弘 …北村祐作
 高原由紀 …川嶋亜美
 座王権太 …櫛枝実乃梨(色物)
 砂土谷峻 …狩野すみれ(男装)(特別出演)

「女装……」
「あー。梶○一騎原作ね。中学のとき読みふけったわ。私の格闘の原点とも言えるわね」
「ほー?そうなのか。でもこれは格闘マンガじゃないぞ?」
「なに描いてもワンパターンよ。どうせこの主人公は真っ白に燃え尽きて最後死ぬよ?」
「そうなのか?KCの最終巻を見てみようぜ」
「ね?」
「ほんとだ……最後の最後に誠は愛にくちづけてそのままこと切れてるな」
「え?……きききキスシーンなんかあるっ!?」
 おう、朝の浜辺だな。きれいだけど嫌ならお前が早乙女愛役やればいい。岩清水役の北村か
ら「早乙女愛、僕は君のためなら死ねる!!」って言ってもらえるぞ?なんか一世を風靡した
フレーズらしいし、やっぱヒロインだよな。あ、それじゃやっぱり俺とお前のキスシーンはな
くならねえのか。あっはっは、櫛枝めー!
 おいっ、どうした?なにまた真っ赤になってひっくり返ってるんだ?
 大河っ、しっかりしろ!今度はいちご柄のパンツ見えてるっ!倒れるなら隠せってさっき言
っただろ!てか何で柄が変わってるんだ?え?そこは突っ込むな?おうわかった!
 なにっ?なんだって?
 “やっぱ出来ない”!?
なに言ってんだおいっ。おいっ。

――第3話に続……けるのは誰得?

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 22:06:45.06 ID:1DIOAy0h0
>>399
発展してるwwGJ!!
大河の仕草や言動がいちいち可愛くて可愛くて、なんだこの人妻は!
妊娠中は一層過保護になるのは確定だなw所構わずいちゃつきやがって…もっとやって下さい

>>403
今度は大河繋がりw
最後役者名になってるしwパロネタも面白そうだなあ

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 23:06:56.10 ID:DMNOkb9P0
スレチだろうが貼ってやる!
何故ならきっとオレなら嬉しいから!

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm14744078

あぁ、今週末久々に一気見しようかなw

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/16(木) 23:41:42.99 ID:0kAc4sJxO
>>400
そうです「陰徳」→「隠匿」の間違いです!オチを間違えるなんて大河に蹴られてしにたいぜ
レスくれた方ありがとうございました。
やっぱ推敲しないとアラが目立ちますな。こっちの先輩は悪くないっす、鈍感なだけで…w

>>403
みのりんのPNが隠す気ゼロ!
あと「なに描いてもワンパターンよ。どうせこの主人公は真っ白に燃え尽きて最後死ぬよ?」でクッソワロタ
さすが大河、誰もが思ってても言えないことを…ww乙です!

407 : ◆Eby4Hm2ero :2011/06/17(金) 07:16:10.42 ID:BTPEED0E0
まさかフローラルな竜児からこんなに発展するとはwGJ!w

しかも今回投下分と微妙に被る方向にww

408 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/17(金) 07:20:25.87 ID:BTPEED0E0
とらドラ!で三題噺「声」「名前」「わかんない」



「ちょっと蘭。らーんってば」
「んあ、すーちゃん、何?」
「何じゃないわよ。アンタ最近、ぼーっとしてること多くない?」
「え? そうかな?」
「そうだよ。……さては。オトコだな?」
「え〜? わかっちゃう?」
「わからいでか。で、誰よ?」
「えっと、あそこ、前から3番目の……」
「どれどれ…………ひょっとして、あの強面君? えっと、名前はたしか、高須……」
「竜児君」
「そうそう、その高須君……でも蘭、アレは無いんじゃない?」
「どうして?」
「いや、だってさ……正直恐すぎるでしょ、あの目は」
「ちっちっち、いいかねすーちゃん、人は見た目じゃわかんないものなんですのよ」
「それにしたってさ……」
「高須君真面目だよー。それにすっごく優しいの」
「そう言うからには、何かあったわけ?」
「んとね、先月の新歓コンパ、すーちゃん用事で来なかったでしょ」
「あー、ミキから聞いたけどあんたがぶっ倒れたっていう?」
「倒れてないもん。ちょっとお酒飲んで気持ち悪くなって吐いちゃっただけだもん」
「似たようなもんじゃん。で?」
「その時真っ先に気づいて介抱してくれたのが高須君なの。汚しちゃった所も嫌な顔一つしないで片付けてくれて、タクシー呼んでくれて」
「はー、なるほどねえ……」
「それに、意外にマメで家庭的」
「その根拠は?」
「お昼ご飯は必ずお弁当なの。それもけっこう手の込んだ」
「毎日観察してたわけ? アンタ、ストーカーの素質あるかもね……でもそれって、彼女が作ってるとかじゃないの?」
「いやー、それはないでしょ、あの顔で」
「蘭……さっきと言ってる事違わない? っと、その高須君にお客さんみたいね。うわ、なんか可愛い子だ。あれって彼女じゃないの?」
「い、いやー、どうかなー。ちっちゃい子だし、妹とかじゃないのかなー」
「それにしちゃ似てないけど……」
「あ、ほら、高須君屈んだでしょ。あーやって目線を合わせてあげるのが優しい証拠ってええええ!?」

「た、大河おまえ、なんでこんな所で、いきなりキ、キスとか……」
 思わず声を上ずらせる竜児に大河はニヤリと笑って。
「そろそろあんたの本性が周りに知れてくる頃だから、ちょっと釘を刺しておこうと思って」

409 : ◆Eby4Hm2ero :2011/06/17(金) 07:27:49.60 ID:BTPEED0E0
さて、長々続けてきました三題噺の定期投下ですが、今回200本目でとりあえずの一区切りとしようと思います。


以後は少しペースを落としつつ不定期に、ということで

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 07:48:33.52 ID:1GYAiF+Q0
>>403
GJ! 北村もハマり過ぎだ。勿論、「君」はすみれになるんだけど。

>>409
最後にぐるっとまわって、三題噺氏が締めるという素晴らしい展開。
そして、なんと鮮やかなことか! キャンディーズ(笑)の面々のあっけにとられる表情が
目に浮かぶ。

200本にわたる投下、本当にお疲れ様でした。このスレが長く続いてこられたのは、
間違いなく氏のおかげ。 これからも不定期の投下をお待ちしています!


411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 07:59:06.84 ID:1GYAiF+Q0
>>405
ご教示感謝! はいはい、マイリスマイリス
(俺の元凶コメ大杉。いや俺もなんだがw)

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 18:06:33.74 ID:HYQ3tfV40
おう。三題噺氏も普通の男の子にお戻りですか。
発展を綺麗に締めていただいて気持ち良かったです。釘刺しはまさに大河らしい華。
私も不定期投下、お待ちしています。『ドランクドラゴン』とても良かったです。
(´_`。)すーちゃん、安らかに。

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 19:25:40.96 ID:MDb/sii60
>>409

定期投下乙です。いつも楽しく読ませてもらってました。
さて、俺も投下して○年近く放置プレイしていたSSの続きを書かねばw

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 23:49:05.18 ID:m7aEXCCX0
>>409
三題噺の二百本達成おめ!

>>413
投下待ってる!

>>405
全然スレチじゃない
おすすめの動画だの画像だのはどんどん教えあっていくべき

ttp://seiga.nicovideo.jp/seiga/im1168671

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 23:53:00.99 ID:8cX+9RGKO
>>409
うは、かがむ竜児に大河からチュウ、は鉄板すなぁ。固まって赤くなる同僚たちが目に浮かぶようで、たまらん萌える
竜児に惚れると火傷するぜw

今までコンスタントな投下お疲れ様でした。さびれた時も荒れた時(めったにないが)も、氏のSSがいつも和ませてくれました
今後も不定期投下を楽しみにしています!

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/17(金) 23:57:43.14 ID:8cX+9RGKO
>>414
うわっこれプロの犯行じゃねえの!?乙!

ただ2525MADとかは権利関係で嫌う人もいると思うので、一言注意書きを入れてもらえるとありがたい

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/18(土) 01:10:16.58 ID:ATbixgte0
三題噺さん、超おつかれ!
毎朝見るお天気お姉さんよりも慣れ親しんだ氏の作品が少なくなるのは寂しいが
見れなくなるわけじゃなし、これからも期待してまっせ!でもご無理はなさらぬようw

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/18(土) 08:24:26.72 ID:2M74uDZP0
>>409
長い間、楽しい三題噺をありがとうございました。第200回も最後の1行でやってくれましたね。

次はどんな作品になるのか楽しみにしています。

419 :文化祭企画・第3話:2011/06/18(土) 20:06:50.62 ID:olMgRIMa0
 文化祭2―C企画プロレスショー(ガチ)の演目をめぐって暴れる逢坂大河を説得するため、
クラスのみんなが代案を高須竜児に託した。果たして大河を納得させられる企画はあるのか?
高須家で会議は踊る。

 おう大河、今度は何柄?……い、いや、別に。おう、そうだ。まだ次の企画を検討する気は
あるか?そうか。次の脚本は映研有志作。連作人気映画シリーズからチョイスしたらしいぞ?

 『とらはつらいよ! とら次郎忘れな草』企画書
 ――ほら、逢っている時は何とも思わねえけど、別れた後で妙に思い出すひとがいますね?
 そういう女でしたよ、あれは。
 テキ屋稼業をなりわいとする「フーテンの虎」こと車とら次郎がふらっと故郷の武州大橋に
戻っては何かと大騒動を起こす人気連作から評判の高い11作め。いわゆるリリー三部作の1
を大胆に脚色!
 初夏の北海道を旅するとら次郎が出会ったマドンナ、ドサ回りの三流歌手、松岡リリー。
 何かにつけて悪態をつく男勝りのリリーにとら次郎も最初のうちは手を焼いたが、やがて自
分の身の上とリリーの育った環境が似ていることから同情し、リリーも心に傷を負ったとら次
郎に接するうち、兄のように慕うようになっていった。そうしてとら次郎の同情は、やがて抑
えがたい恋心へと変化していくのだが……。
 常に失恋するか身を引くかで成就しないとら次郎の恋模様を、北海道ロケ……は無理だから、
大橋高校内の美しい風景を背景に描く人情喜劇。とら次郎役とリリー役のリバース可。

 配役
 車とら次郎 …逢坂大河(男装)
 松岡リリー …高須竜児(女装)
 諏訪さくら …狩野さくら(特別出演)
 車竜造   …北村祐作
 車つね   …川嶋亜美
 諏訪博   …富家幸太(禍物)(特別出演)
 たこ社長  …狩野すみれ(ヅラ)(特別出演)
 源公    …櫛枝実乃梨(ヅラ)

「『常に失恋』とか縁起でもないわよっ!!なんで私がテキ屋っ!?それにカッコ書き多すぎっ!」
「うーん……そうか?これが実現したら『手乗りタイガー』じゃなく『とらさん』になれるぞ?」
 北村くんに『逢坂』じゃなく『とらさん』て呼ばれるとして何の得あんのよ?
「だいたいタンカバイとかできないしっ!『四谷赤坂麹町、ちょろちょろ流れるお茶の水ぅ』までしか言えないからっ!」
「よく知ってんじゃねえか?『けっこう毛だらけねこ灰だらけ』はいっ?」
「お尻の周りは……んにょだらけ……だぁおっ、乗せんなっ!」
「……いちおうレンタルとかで結構見てはいるんだな?」
「うん、まあね。これでも人情物すきだし」
「そうかー、うんうん。お前らしい。……なあ?」
「なによ?」
「俺、とら次郎の方をやってみてえな。なんかこう……な、なんでもねえっ!」
「はーーーーっ?あんたはたぶん、そりゃあテキ屋の格好がすごく似合うだろうねえ」
 それに、なんか他人ごとのように思えない筋……だしね……。身につまされる、っていうのかな?
「お……。……おう。……だろ?」
 リリーなら私も……やり易そうだけど……さ。やってみたいけど……さ?
「でも特別出演よっく見てみな。これで公演まで無事に漕ぎつけられると思うの?」
「特出?……生徒会関係者だけじゃねえか?」
「はっ!相変わらず馬鹿か?まず最低何人かは事故で怪我して入院するね!」
「なんだよひでえな。お前の言いたい事はあれだろ?『不幸を呼ぶ黒猫野郎』っ!」
「あんた、さてはインテリだねっ?不幸は確率を越えて訪れるものなのよ」
「そうか、そうかもな。お前の勘は人間より鋭いはずだからな。これはやめとこう。うん」
「転ばぬ先の杖って言うもんね。あんたがまともな危機管理意識をもってて良かったわ」
 まあな。ところでさ?んー?
 今回は平和裏にボツにしたから、いつものパンツネタで落とせねえ。やばくねえ?
「それを言っちゃあ〜お仕舞いよ?竜児ぃ」

――第4話に続くかもしれないし無理かもしれない

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/18(土) 23:20:28.05 ID:tpjwGrTNO
>>419
大河だと寅さんならぬ寅ちゃんだなw
フェルト帽にウール腹巻きの大河も案外かわいいかもだ
竜児のマドンナは…、……。うん。

関係ないが
♪おに〜〜〜っのパンツはいいパンツ〜
ってな歌を思いだしたので続編でよろしくw

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 04:49:12.22 ID:8+iLhDOI0
>>409
不敵な大河さん、さすがだw
200ものネタが浮かぶだけでもスゴイのに、形にされている三題噺氏は本当に尊敬。
今後も楽しみにしています!

>>419
>おう大河、今度は何柄?
ちょセクハラww
自分らと重ね合わせて乗り気になっちゃう竜虎萌え

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 05:24:01.14 ID:0sqC+AOl0
>♪おに〜〜〜っのパンツはいいパンツ〜
「フニクリ フニクラ」の替え歌だな。登山電車のCMソングw

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 12:42:36.36 ID:dTYcyl1F0
狩野さくらで一回噴いた。

あと、律儀に出演を依頼に行った北村に、すみれが目を細めて

「ほう、お前は花も恥じらう年頃の私にヅラをかぶれと言うのか。
いや、おもしろい。引き受けようじゃないか。なんなら明日の朝礼から
かぶってやろうか」

とか言うシーンを想像して2828した。俺キモイ。

424 :家内安全 ◆fDszcniTtk :2011/06/19(日) 13:10:46.14 ID:dTYcyl1F0
パンパンッと、手を打つ音が響く。

部屋の隅で頭を下げる送信の男がしばらくして貌を上げる。まなじりは裂いたように鋭く、
瞳には狂気の色。このまま柱をへし折って家をつぶしてやろうと思っているのではない。
家内安全を祈っているのだ。

「竜児、お疲れ」
「おう」
「神棚ちゃんとできたわね」
「急ごしらえだがな」

新婚夫婦が見上げる先には、真新しい神棚。高須竜児、大河夫妻の家庭では、このところ
不吉な出来事が連続している。

- 竜児が箪笥の角に足の小指をぶつけた。
- 大河が食事の用意をしているときに転けた
- 竜児が出勤中、車のはねた泥をかぶった
- 大河が買い物をしているときに転けた
- 竜児が出張中、新幹線の停電に巻き込まれて帰れなくなった
- 大河が洗濯をしているときに転けた
- 竜児が散歩中自転車にぶつかられた
- 大河が風呂で転んで、竜児に抱きとめられた

「もっぱら、不幸はあんたに起きている気がするわ。あと、最後のは不幸っていうか、私的には、その…」
「馬鹿野郎、この先子供を授かるときが来て、今みたいにコロコロ転けられてたまるか」

顔を赤らめる大河を、空気を読まない竜児が閻魔大王の面でにらみおろす。

「まぁ、神棚作ったんだし、これで少しは御利益があるだろう。毎日拝めよ」
「わたしクリスチャンなんだけど…まぁ、あんたが言うんだから拝むわ。でもさ、
ここじゃなくてあっちが良かったんだけど」

と、大河は別の角を指さす。大河的には今の場所には収納用の棚でも作って欲しかったのだが。

「駄目だ。神棚は北東の方角に置いちゃいけないんだ。鬼門って言ってな。悪いことは
そっちから来るんだよ」
「どうして北東が鬼門なのよ」

収納棚に未練のある大河が、食い下がる。

425 :家内安全 ◆fDszcniTtk :2011/06/19(日) 13:11:53.77 ID:dTYcyl1F0
「北東の方角は古い呼び方では丑寅って言ってな。ほら、鬼は牛の角はやして、
虎のパンツ履いてるだろう」
「……無理がある気がする」
「いいんだよ。」
「まぁ、いいけど。ねぇ。丑寅が鬼門なら、辰寅はどうなのよ」
「そんな方角は無ぇ」
「じゃ竜虎」
「無ぇよ」
「ちぇ、つまんない」

と、言ったところでぱっと大河の顔が明るくなる。

「じゃ、竜児。竜虎の方角はラブラブって事にしていいでしょ」
「いいでしょって。お前…。まぁ、好きにしろ」

迷走し始めた大河に竜児はあきれ顔だが、大河の方は目を細めて楽しそうに
あれこれ考えている。

「じゃぁさ、毎朝起きたら竜虎の方角に手を合わせてお祈りして…」
「だから無ぇよ、そんな方角」
「いいの!」
「しょうがねぇな。じゃ、お祈りすればいいんだな」
「ちゃんと、毎日『幸せでありますように』ってお祈りしなさいよ」
「おう」
「で、お祈りしたらちゃんとキスしてね」
「お、おう」

426 : ◆fDszcniTtk :2011/06/19(日) 13:13:39.49 ID:dTYcyl1F0
鬼のパンツでひらめいたので即興で書いた。

427 : ◆fDszcniTtk :2011/06/19(日) 13:14:35.09 ID:dTYcyl1F0
ああああああ


正:「送信」
誤:「痩身」

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 15:20:09.20 ID:eaU6s6/z0
>>420
心得た。

>>423
しかもたこ社長のづらですからね。
幸太とさくらにお兄ちゃん呼ばわりされる役を大河が引き受けるわけありませんわw

>>426
神棚には毎朝ごはんと塩と水を備えないとねw
「ちょっと竜児!ぼけっと見てないでワキワキカーニバル!しないと剥くよっ」
「俺が上げればいいんじゃねえかな?」「どぅぁーっるるろぃぁっ!!」

てなわけで鬼のパンツでもうひとつ↓

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 15:22:34.44 ID:fE3s3Fmc0
>>427
それ逆じゃ?

430 :文化祭企画・第4話:2011/06/19(日) 15:30:14.12 ID:eaU6s6/z0
 文化祭2―C企画プロレスショー(ガチ)の演目をめぐって暴れる逢坂大河を説得するため、
クラスのみんなが代案を高須竜児に託した。大河を納得させられる企画はあるのか?
 夕方の高須家で会議は踊る。

 『とら☆ドラ2! ビューチフルドリーマー』企画書
 永遠に繰り返されるドタバタな大橋高校文化祭の前日!衣食住が保証された廃墟でのサバイ
バル!それは歴史の裏で暗躍してきた鬼般若がある日廊下で出逢った少女のためにかなえたけ
がれなき夢だった。
 タイガにとって不要な者たちが次々に存在を消されていく夢の世界。そのからくりを見破っ
て鬼般若を脅し、夢のハーレムを手に入れたまるおは、そこにタイガがいないことに気づく。
果たしてまるおの選択は?

 配役
 タイガ        …逢坂大河
 諸星まるお(ダーリン) …北村祐作
 三宅まや       …木原麻耶
 面堂網太郎      …川嶋亜美
 みのリン       …櫛枝実乃梨
 ちぇりー       …富家幸太(特別出演)
 スミレ先生      …狩野すみれ(特別出演)
 藤波留之介      …狩野さくら(特別出演)
 ヲサレメガネ     …能登久光
 まるおの父      …春田浩次
 まるおの母      …香椎奈々子
 独身マーク      …恋ヶ窪ゆり(友情出演)
 鬼般若        …高須竜児
 白ワンピの少女    …逢坂大河(二役)

「出オチっぽいわ。↓どう考えてもこんなコスでしょ?こんなの着れるかっ」
 ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/images/B004S98P24/ref=dp_image_z_0?ie=UTF8&n=13299531&s=toys
「大河。↑な格好はねえぞ。セーラー冬服と水着と夏っぽい私服だけだ。あと二役の白ワンピ」
「ふーん。じゃあいいかも。なんか台本もしっくり来るわ」
『うち、タイガだっちゃ』
『タイガだっちゃさん?甘いよな苦いよな、ええ名前でんな。あ、わてこういうモンだす』
『鬼般若……さん?』
 とかなんとか、ちょっと読みあわせてみた。あ、そう言えばこのシーンはポンチョ羽織って
るけど虎縞ビキニだったか。じゃあきれいにボリュームたっぷりに縫ってやらねえと。
「まあ、最後にダーリンは現実に帰還することを選ぶようだけど……な」
 ふっ、鬼般若ふぜいが紡いだ夢なんざすぐに醒める程度のもんなんだろうよ。
 ……なにテンション下げてんだ俺は。劇だ劇。
『責任とってね!』
 大河は気に入ったらしく台詞をそらんじている。これでいいんだよな?
『ダーリン……うち夢見てたっちゃ。』悪の手乗りタイガーより、たぶんずっとな。
『竜児がいて……みのりんがいて……』
「え?」
『北村くんやばかちーや、パパもママもいて。うちは普通のうちで普通にいいこで……』
 声がだんだん小さくなってしまい、俯いて黙ってしまった。少し肩が震えているようだった。
「……台詞。続けて受けてよ竜児。『それは夢だよ。それは夢だ』って」
「……大河……それは夢じゃねえよ。現実になるよ。いつかな。きっとな」
 ぐずっとハナをすすって、大河はそっか、と顔を上げた。別に泣いてなどいない。すこし瞳
の光を揺らしているだけのことだった。
「じゃあ、この企画もダメね。役者が入り込めないもん。誰の脚本?」
「あ、ああ。>>420の要望みたいだな。……行こか?」
 ズダンズダダダダーンとイントロが響いて、派手なエンディングテーマ曲が始まる。
 ttp://www.youtube.com/watch?v=DkDgdrl1lW4
 カメラが高須家居間から北側に引いて台所から外に出て、高須家の遠景になっていく。

――第5話に続いたら奇跡(ネタ無茶ぶりの>>420さんに感謝しつつ)

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/19(日) 23:58:01.06 ID:BEME4xJMO
>>426
ちょwよりによってあなたがwww
レス冥利につきます、あざーす!大河の「いいの!」が可愛すぎて床ゴロゴロ
新居に神棚、所帯じみた竜虎はほのぼのの極みっすなあ…

>>430
ずいぶん懐かしいネタをwリアタイじゃ見てないな、とか呑気に思ってたら不意打ちの切なさ
この状況で大河に『夢だよ』なんてそりゃ言えないわ。すまんタイガー。でも辛い現実にはきっと本物の竜児が待ってるぜ…
妙な無茶ぶりに応えてもらえて嬉しいです!ラムちゃん衣装の大河たまんねーなー

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/20(月) 01:44:02.02 ID:gQGWiIjN0
ちと亀だが
>竜児のマドンナは…、……。うん。
こんなこと言われると描くしかないじゃなイカ。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1716777.jpg

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/20(月) 09:50:04.17 ID:cWcQmWOb0
GJ!
一瞬キモくて良く似合ってる。いい顔だ。
寅ちゃんがバイしてたらなんか買っちゃいそうだなw

434 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/20(月) 20:33:11.53 ID:A9/rEGnUO
>>432
あんなこと書いて悪かったよ、と思いながら開いて噴いた
程よい似合わなさ…!そこはかとない色気と違和感…!乙です!
大河の寅さんポスターまんまなドヤ顔も可愛くてならねぇ


以下数レスお借りします。
基本の竜虎を目指してしくじりました的な、意外な人視点の掌編です

435 :永遠の昼 ◆oLWU/inCrU :2011/06/20(月) 20:36:30.53 ID:A9/rEGnUO

 風爽やかな初夏の校舎裏、ベンチで仲良くお食事中の影が二つ。
 やがて長身の影が手際よく弁当箱をしまうと、小柄な影がぺそっと肩にもたれ、そのまま彫像のように動かなくなる。
 それから、しばし。


          # # #


「どうかしたの?」
 図書室からの帰り道。校舎裏の角に下級生が溜まっているのを見つけ、香椎奈々子は何気なく声をかけた。
 するとあっという間に囲まれて、「物置きから備品を取りたいんですが……」「お邪魔するのが怖くて」「もとい悪くて」「恐れ多くて」などと口々に言い募られる。
 どうも要領を得ないので、指差された方向を覗きこむと、そこには。

「──あららー。」

 ヤンキー高須こと高須竜児と、手乗りタイガー逢坂大河が、まるでペイネの絵のように寄り添う後ろ姿があった。
 普段あからさまにベタベタしない分、こういう所で補っているらしい。
 公序良俗を乱さないのは結構だが、ああまで幸せそうにされてはかえって目の毒だ。
 一言からかってやろうと、香椎は本を抱え直してベンチに歩み寄り──
「……!」
 とっさに声を飲んで、そうっと前に回りこむ。

 ちょいちょい、と手招きをすると、下級生たちは恐る恐るこちらに近づいてきた。
「……寝てる……。」
 誰かが思わずそう呟き、慌てて口元を覆う。
 片手の指を絡めて握りあったまま、二人はぐっすりと眠りこんでいた。
 竜児はまるで宝物を手にした少年のような表情で。大河もめったに見られない柔らかな表情で──ただしいかにも昼食後らしく、竜児の学ランに涎のしみをくっつけて。
 そこには、かつて“大橋高校の魔界コンビ”などと称された面影は微塵もない。

 香椎が「今のうちにどうぞ」とジェスチャーをすると、下級生たちは我に返ったように数メートル先の物置きへ、物音を殺して入ってゆく。
 彼らが製図用の大道具を担いで立ち去るまでの間、香椎はシャッター音で驚かさぬよう、少し距離をとってから二人の姿を携帯カメラにおさめた。
 すぐさま悪友たちに『爆睡カップル@校舎裏』なるタイトルで一斉送信。
 昼休みは残り10分ほど。他の誰かがやってきたなら、予鈴まで鑑賞したのち一緒にからかい倒すつもりだ。
 それまでもう少しだけ、二人に穏やかな微睡みを。



436 :永遠の昼2 ◆oLWU/inCrU :2011/06/20(月) 20:39:23.70 ID:A9/rEGnUO

 斜向かいのベンチに腰を下ろすと、香椎は持っていた短歌集を静かに開いた。
 ぺらぺらとめくるうちに、とある歌を目にして笑みがこぼれる。
「……『プレンソーダの泡のごとき唾液もつひとの傍に昼限りなし』……かぁ。」
 刹那の恋を詠んだ歌だが、目の前のこの二人には──願わくば、“昼”のような明るさと暖かさが、永遠に続きますように。
 そうしていつかは自分にも、こんなふうに手を取り合える誰かが現れますように。

 ──ずどどどどどど!
 校舎の外階段を猛スピードでこちらへ駆け降りてくる足音は、勢いからして実乃梨だろう。
 さすがは実乃梨ちゃん、とうっかり噴き出せば、竜児が煩そうに肩を震わせる。
 急いで冷やかしの言葉を考えながら、香椎はその目蓋が上がるのをわくわくと待ち構えた。





437 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/20(月) 20:44:19.80 ID:A9/rEGnUO
「涎」って単語が出てくる名作短歌が珍しかったんで思いついただけの小話です。
香椎のコレジャナイロボ化がひどい。すんません。
引用した短歌は中城ふみ子女史の歌です。もっとイチャイチャさせたいのにうまくゆかぬ…精進しますぐぬぬ

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/20(月) 22:50:15.35 ID:CoFU4hrF0
>>437
うまい。

ちょっとこれはなんと言っていいやら。表現の軟らかさといい表現の写実性といい…
ただもんじゃねぇ。いや、宇宙スペースの人なわけだが。

確かに香椎じゃないっちゃないけど、でもいつものメンツで
読書家というと能登か………かわいくないよね。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/20(月) 23:39:23.73 ID:vs4IjFb+0
高三の初夏って設定だもんね。
香椎と櫛枝はきっと同じクラスで結構仲良くなってるんじゃ?ってすんなりのみこめました。
少し遠い視点から竜虎を垣間見るのはいいですね。涎いっぱつできちんと伝わるし。
ラスト2行を動き出しで終わるとこも短編らしさあふれて好感です。
香椎が竜虎を冷やかす言葉がイメージしにくくて、どこかにはめ込んで欲しかった気はする。
たとえばタイトルとか。
昼休みの優しい点描にGJでした。

>>438
たしかにこれを能登が見つけていると汗臭いw
でもそれも雰囲気が違うだけで、けっこういいんじゃないかと思えます。

440 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/21(火) 00:03:48.53 ID:A9/rEGnUO
>>438-439
そーーーなんすよ!実は最初は能登で書いてたっすマジで!でもかわいくないからボツwww
あと亜美でも書いてみたんですが、三年の話なんであまりに切なくなりすぎてボツ…
仕方がないから香椎を引っ張り出しました。短歌集なんぞを借りたのは、受験か面接のためということにしといてくだせえ
ご意見ありがとうございます。セリフより地の文がくどくなっちゃうのがクセなんで、一応意識してみます

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/21(火) 08:01:31.73 ID:4H/4A7Tm0
>>426
相変わらず生活感あるSSを書かれる
嫁さんが無邪気で微笑ましいしかわいいな!

>>430
なにこれ温まる…

虎コス大河、実物見てないけど可愛いねぇ
某所で下乳がうpされてたが、それは竜児の特権…とごにょごにょしたw我ながら竜虎脳すぐる
ところで、今度はねんどろが出るそうな。…りゅ、竜児も……

>>432
マドンナきたw二人とも楽しそうw

>>437
うわー、奈々子様だ!かわえええ
第三者視点の竜虎はまた別角度から捉えられて2828しますなあ
穏やかな昼下がりの空気感がたまらん。心地よい文体が好きです
能登バージョンも気になりますw

442 : ◆oLWU/inCrU :2011/06/21(火) 20:42:16.89 ID:55IwtpnpO
でしゃばってすんません。能登verが気になると言ってもらえたので避難所に投下しました
大筋はまったく同じなので興味のある方だけドゾー
>>441
あざす!みなさん丁寧にレスくださるので本当に励みになります。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/21(火) 23:58:09.52 ID:AzGb1oJo0
大河かわいいよ大河
最近竜児もかわいく思えてきた

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 22:28:32.19 ID:k1A42wt70
寝室の防音について相談する竜虎…
みたいな場面で一本どうでしょうか書き手様方。

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:14:20.80 ID:qQo2nlHc0
>>444
久々にインスピレーションがキター。竜虎は結婚後アパートを借りて棲んでいる設定。
ちなみにこれは半分実際のお話w

「ねえ、竜児?」
「お、なんだ?」
「今日の夜ごはんお肉がいい。」
「ああ、ハイハイ。また俺が食われる側な。」
「じゃあ竜児これにしよ?」
「0.02mmのこれな。」


「さすがエロ犬だけあるわね…。竜児の股間は魔物ね、もはやリヴァイアサン。」
「そういうお前は手コキタイガーだろ?もっと竜児のカルピス飲みたいって…。」
「っな…、なにを言ってるのかしらこのエロ犬は?」
「誤魔化しはきかないぞ。」
「え、ちょっと待って、竜児ぃ…。」
ギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアン
竜児ィ、奥に…。大河、お前の喰い付きが良すぎて…。ああn、竜児のが、竜児のが奥にぃ…。
ギシギシアンアンギシギシアンアン

住人「もうやだ、引っ越す。」

そして4月

新大学生「あ、ここの部屋バストイレ別なのにずいぶん安いですね…。」
不動産屋「ええ。まあそれなりに訳ありなんで…。」
新大学生「訳ありって?まさか耐震偽装とか部屋で自殺した人が居るとかじゃないですよね…。」
不動産屋「いえ、全く別ですよ。まあ夜になるとうるさいんですがね…。」
新大学生「? まあこの部屋は他見当たっても無いんで契約します。」

5月とある深夜
「ん?なんか水の音がする。風呂場の水…、洗濯機でもないな…。」
ああ、ダメ竜児ィ…。ちょ、大河!近所に聞こえたらどうすんだよ?だって竜児のが凶暴すぎて、ひゃん…。

新大学生「こういうことかよ、畜生…。てか1年契約しちまったけど、もしかして1年間毎晩聞かされるのか?これを?」




446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:17:15.24 ID:qQo2nlHc0
というわけでお目汚し失礼しました。しかしギシアン減ったなおい!
ちなみに大学の友達はリアルでこういうことがあったらしく「彼女が居ないた妬ましく思うと同時に、彼女がいないという焦りがある。」
なんて言ってましたね…w」

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:36:54.03 ID:jR9srE2C0
>>445
新大学生よ、俺と部屋かわってくれw
そういえばギシアン減ったなあ。つうか人が(ry

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:56:30.65 ID:rdaKOPK+0
久々のギシアンキターってか現行スレでは初じゃ…
今485kb、初のギシアンゼロスレになるのを最後で阻止したなw
その状況は竜虎ならご褒美ですw

>>443
二人一緒だとさらにかわいい!

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:59:25.04 ID:rdaKOPK+0
スレタイ案拾ってきました。
【クスクス妄想】
【キュンキュン妄想】
【モエモエ妄想】
【ピカピカ妄想】
【スヤスヤ妄想】
【ナデナデ妄想】
【ヌクヌク妄想】
【ホカホカ妄想】
【モヤモヤ妄想】
【ポカポカ妄想】
【トロトロ妄想】
【ソワソワ妄想】

ナデナデに一票

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 00:22:57.33 ID:U3mphKXz0
とりあえず次スレ立てたw 名前はナデナデ。独断ですまん<(_ _)>

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1308756083/

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 02:15:30.60 ID:ZTi60thv0
乙!


452 : 忍法帖【Lv=17,xxxPT】 :2011/06/23(木) 09:58:00.25 ID:MwjSS3zG0
>>450
乙です

453 : ◆Eby4Hm2ero :2011/06/23(木) 10:19:01.31 ID:tpsmwOPE0
>>450
スレ立て乙です!

では埋めネタとして一つ。

454 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/23(木) 10:21:51.79 ID:tpsmwOPE0
お題 「揺れる」「景色」「蓋」



 土鍋の蓋を開けて、ボウル一杯に用意した大根おろしをたっぷりと投入する。
 汁の表面を覆い尽くした純白は、さながら一面の雪景色のようで。
「どうだ大河、これが雪見鍋だ」
「へー、私てっきりかき氷でも乗せるんだと思ってたわ」
「んなわけねえだろ。溶けちまうじゃねえか」
「で、コレは取り出すまで掴んだ具が何かわからない闇鍋の一種だったりするわけ?」
「そうじゃねえって。単にたっぷりの大根おろしでさっぱり食おうって鍋だよ。今日は鶏肉だけど、具は魚や豚肉でもいいぞ」
「ふつーにおろしポン酢じゃ駄目なの?」
「冬場は大根が美味いからそれ自体を味わおうとか、大根の消化酵素で肉が柔らかくなったりとかもあるんだよ。あとはまあ、見たてによる風情を楽しむとかだな」
「見たて、見たてねえ……それなら、要は白ければいいわけよね?」
「おい大河、お前なんか妙なこと考えてるんじゃねえだろうな?」
「べっつに〜。大した事じゃないわよ」
「まあ汁の味付けしだいだけど、蕪でも出来ないことはないんじゃねえかな。頼むからメレンゲや生クリーム浮かべるのは勘弁してくれよ」



455 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/06/23(木) 10:27:01.36 ID:tpsmwOPE0
「まったく……電話かメールでもくれたら俺が帰る途中に買ってくるのに」
 脱いだ服を洗濯籠に放り込みながら、竜児は呟く。
 というのも、帰って来た時に出迎えたのが真っ暗な家と『ちょっとお買い物に行ってきます。先にお風呂をすませておいて』というメモ一枚だったから。
「大体、飯の準備が粗方終わってるみたいなのになんで風呂が先なんだよ。そんなに時間がかかる所まで行ってるのか?」
 竜児が微妙に不機嫌なのは、別にいつもの大河の「おかえり」が聞けなかったからではない。絶対に。
 ……多分。
 …………違うんじゃないかな。
 ………………まあ、ちょっとはそうかもしれない。
 ともかく、少々乱暴に浴室のドアを開けて。
「おうっ!?」
 目に飛び込んできたのは揺れる湯気の向こうで床も壁も覆い尽くす泡・泡・泡。
 そしてその中央、湯船の中で首から下をすっかり泡に隠した……
「えへへ、おかえり竜児」
「おかえりじゃねえ。大河、一体何だよこりゃ!?」
「んーとね、雪見風呂」

456 : 忍法帖【Lv=17,xxxPT】 :2011/06/23(木) 10:41:58.48 ID:MwjSS3zG0
早くもおかえりなさいませ>三題噺氏
そして新妻は露店風呂付き温泉旅行をねだる……とw

「ご飯にする?お風呂にする?それともワ・タ・シ?」って故事がありますが。
お風呂にすると私がもれなく付いてきますなー。

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 16:20:58.15 ID:U3mphKXz0
竜児の股間に備え付けの高須棒が大暴れする予感w

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 21:49:37.48 ID:eG7RvERPO
>>450
スレ建て乙です!

>>454
こっそり混ざってる関白宣言ワラタ
竜児と大河の料理問答が毎回的確で楽しいw
雪見風呂良いですな、バスロマンですなあムハー!

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 22:41:07.09 ID:hdjc0/+t0
>>450
乙!

>>454
GJ!
ツンデレ竜児は最初の頃を思い出すw
至高の「おかえり」が聞けてよかったなあw

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 23:08:01.45 ID:wCR7/SBr0
>>450
乙!

>>454
乙!
かわいいなぁ雪見風呂w
この後はなんだかんだで互いに恥ずかしがりながらいちゃラブですねww


461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/23(木) 23:09:27.45 ID:wCR7/SBr0
「竜児ー!起きろー!」

大河はベッドの手前から思いっきり踏み切って宙へ。。
爽やかな朝にお似合いな高度1mからのボディプレスが寝ぼけた竜児に炸裂した。

「ぐっほぅ!?」
「あらやだ、ちょっと跳び過ぎちゃった」
「お……おう、今日のは……死ぬかと思ったぞ……」
「ごめんね、竜児。次からはもうちょっと低く跳ぶから」
「……普通に起こしてくれてもいいんだぞ?」
「んー、まぁ、考えとく」
「……おう、頼むぞ」

覆いかぶさる大河を抱きかかえながら起き上がった竜児は目覚まし時計を見やる。
何故か普段の起床時間より2時間程早いところを指していることに気づいた。

「おい大河、この時計遅れてないか?」
「ん? あってるよ。ほら」

大河はもぞもぞとベッドサイドにあるケータイを竜児へと見せる。
そこには確かに目覚まし時計と同じ時刻が表示されている。

「なんでこんな早い時間に……?」
「知りたい?」

突然ギラリとイヤな光を放ち始める大河。
それはまるで獲物を見つけた猛獣のように。
牙を剥く瞬間を至近距離で見てしまった竜児の本能が警鐘をガンガン鳴らす。
今すぐ逃げろと。出来る限りの距離を取れと。

「竜児も男だもんね。朝、目覚めたら辛そうだもんね?」
「辛そう……って何が?」
「そこ」
「そこって……いやいや、これは生理現象だ!」
「今すぐラクにしてやるわ!」

ギシギシアンアン


呼ばれた気がして書いた。
久々過ぎて反省はしてるけど後悔は(ry

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 09:17:58.47 ID:tEkJkUlY0
ギシアン乙!
早起き乙!
ぼけっと突っ立っている獲物に容赦ない大河さん乙!


463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 21:20:54.89 ID:kHppJcGE0
>>461
乙!二時間前とかはりきりすぎだろ大河さんww

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 21:24:15.42 ID:kHppJcGE0
  /   .....  \.  /: /: : : : : : : :/: : : :│: : : : : : : : : :ヽ : : : : : :!
  |  .::::::::::::::.   ヽ /: /: : : /: :/ :│: : : : l: : : : : : : : : : : :| : : :i: : :|
  |  .::::::::::::::::::::..  〈: / : : : : :/| : /! : : : : | :l: :.∧ : : :'; : | : : :i: : :|
  '. ::::::::::::::::::::::::.  Y : : : : / :| /、| : : : :│ :|: / ',: : :│リ : : :i: :.:|
     :::::::::::::::::::::::::   |/: : : ,'≦示ミ\{ : : | : j// ヽ: : :}/ : : : i: :.:|
.   ヽ ::::::::::::::::::::::::. │: {∨{{ ト//ハVヘ/: !vイィ示≧ッ/| : :j: : :!: : |
    \ :::::::::::::::::::  { 八 :'、ヽ弋公'  \|∨ ト//リ }}|: : : : |:!: : |
     {`::::::::::::::::::  j : : {\>//     弋公' ノ′/: : ': : : :!
     '、 :::::::::::::::  {ヽ: :{ 人        ′  ///: :イ: : /: : j:│
.  /⌒ーヘ :::::::::::::::  } ト、\|丶、 `ー   ‐一'   フ: : :|: :/| : /| :|
 /    、}::::::::::::::::: {\{:  ̄|  {>   ._.. -ァ: 7 : : ノ<:j /:│:!
´       }:::::::__:::::::..../ \: ∨  `\ _/  / /: : : :/  'イ: : :| :!
  {      |:::::::::::::::::::,'   }: : \__,/∨ヘ  / /: : : :/  /: : 八:|
  '、    :j:::::::::::::::::::{/  人: : : :\〃ハヾ∨ /: : : :/  / : :/  \

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 21:27:28.15 ID:kHppJcGE0
                 __/: : : /: : : : ⌒丶 : : : \
                厶/⌒: : : : : : : : : : : \: : : :ヽ
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                ヽ: 、 =-       ィ': :∠j 厂 |: : 丶: : : :.\
                   \_: :> ` _, < /⌒ヽ ̄  ̄} : 丶 : : : : \
                    |: : i:/フ / >|   ∨ \{: : : : : : : : : : :)
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466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 21:32:19.54 ID:kHppJcGE0
                  _,ィ兮<二ニ ─-
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               | i : j  r:リ  ヽ{Vァテ心、!: : : : : :j: : : :i|               / .::ノ
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467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/24(金) 21:36:53.95 ID:kHppJcGE0
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>>420さんに感謝しつつ) 舞いよ?竜児ぃ」

――第4話に続くかもしれないし無理かもしれない >  思っているだけで良かったのだ。実際のところは。
 否、思っていることしか、赦してもらえないでいるのだ。竜児の心中でいっしょに育ち続け
た女の子は、誰にも、何も、求めないというのに。
v ホなるまい。真面目な性格ゆえ生徒手帳を携行していてことな
きを得たことも。 ャしする稼業の人に見えちゃう。
 どんだけ俺は戦中派なんだと。じゃあなに履けと。真顔になって竜児が訊く。
「ふつうにスポーティなスニーカーがいいよ。持ってるよね?」 v 驍烽」 /test/read.cgi/anichara2/1302817738/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

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